説明

二輪車用音響再生装置とそれを搭載した二輪車

【課題】本発明は、二輪車用音響再生装置とそれを搭載した二輪車において、カーブ走行時における不快感を解消することを目的とする。
【解決手段】この目的を達成するために本発明は、傾き検出部16によって車体1が例えば、右側に所定値よりも大きく傾いたことが検出されると、オーディオ制御部12により、前方右側用スピーカ9、後方右側用スピーカ10への出力を、前方左側用スピーカ7、後方左側用スピーカ8への出力よりも相対的に小さくする構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二輪車用音響再生装置とそれを搭載した二輪車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば大型の二輪車は長距離運転を楽しむことも想定し、二輪車用音響再生装置が搭載されたものがある。
【0003】
すなわち、この種、二輪車用音響再生装置は、車体に設置される左側用スピーカおよび右側用スピーカと、これらの左側用スピーカおよび右側用スピーカに接続されたオーディオ制御部と、このオーディオ制御部に接続された再生部とを備えた構成となっていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−116393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来例の二輪車用音響再生装置を二輪車に搭載すれば、左右に配置された左側用スピーカおよび右側用スピーカから音楽などがステレオ再生されるので、二輪運転者もこのステレオ音楽を聞きながら、長距離運転をより楽しむことができる。
【0006】
しかしながら、カーブに差し掛かり、車体を傾けて走行する状態になると、傾いた側からの音量だけが、その反対側の音量に対して著しく大きな状態となり、つまり実質的なモノラル再生状態となることがある。
【0007】
特に、カーブがR300とかR400のような大きなカーブになると、そのカーブを通過するのに10秒以上かかることもあり、その時には、折角ステレオ再生を楽しんでいた二輪運転者にとっては、極めて不快なものとなる。
【0008】
そこで、本発明はカーブ走行時における不快感を解消することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そしてこの目的を達成するために本発明は、車体に設置される左側用スピーカおよび右側用スピーカと、これらの左側用スピーカおよび右側用スピーカに接続されたオーディオ制御部と、このオーディオ制御部に接続された再生部とを備え、前記オーディオ制御部に前記車体の傾き検出部を接続するとともに、この傾き検出部によって検出した車体の傾きが所定値よりも大きくなると、前記オーディオ制御部は、前記車体の傾き側の左側用スピーカまたは右側用スピーカへの出力を、この傾き側とは反対側の右側用スピーカまたは左側用スピーカへの出力よりも相対的に小さくする構成とし、これにより、所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明は、車体に設置される左側用スピーカおよび右側用スピーカと、これらの左側用スピーカおよび右側用スピーカに接続されたオーディオ制御部と、このオーディオ制御部に接続された再生部とを備え、前記オーディオ制御部に前記車体の傾き検出
部を接続するとともに、この傾き検出部によって検出した車体の傾きが所定値よりも大きくなると、前記オーディオ制御部は、前記車体の傾き側の左側用スピーカまたは右側用スピーカへの出力を、この傾き側とは反対側の右側用スピーカまたは左側用スピーカへの出力よりも相対的に小さくする構成としたものであるので、カーブ走行時における不快感を解消することができる。
【0011】
すなわち、本発明においては、傾き検出部によって車体の傾きが所定値よりも大きく傾いたことが検出されると、前記オーディオ制御部により、前記車体の傾き側の左側用スピーカまたは右側用スピーカへの出力を、この傾き側とは反対側の右側用スピーカまたは左側用スピーカへの出力よりも相対的に小さくする構成としたものであるので、左側用スピーカおよび右側用スピーカの出力バランスがとれた状態となり、その結果として、カーブ走行時における不快感を解消することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態にかかる二輪車用音響再生装置を搭載した二輪車の走行状態を示す図
【図2】同上面図
【図3】同二輪車用音響再生装置の制御ブロック図
【図4】同動作フローチャート
【図5】同動作状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を、添付図面を用いて説明する。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、二輪車の走行状態を示す図であり、間もなくR300(半径300メートル)のカーブに差し掛かる状況である。
【0015】
このR300では、道路の最高スピードは例えば時速80キロメートル以下に規制されているので、二輪運転者は車体1を図1では右側に傾けた状態で、時速80キロメートル以下(例えば高速道路での規制)で走行することになる。
【0016】
例えばこのR300が1/4周続いていると、上述したように時速80キロメートルで走行していたとしても、そこを通過するのに20秒以上かかることになる。つまり、右に傾いた状態で、20秒間以上連続的走行がされるのである。
【0017】
図2は二輪車を示し、前記車体1の中央には、運転席2が設けられ、また前輪3にはハンドル4が連結されている。
【0018】
さらに、後輪5上には荷物収納部6が配置されている。
そのような構成において本実施形態では、車体1の前方左側に、前方左側用スピーカ7、車体1後方の荷物収納部6前面左側には、後方左側用スピーカ8が配置されている。
【0019】
また、車体1の前方右側に、前方右側用スピーカ9、車体1後方の荷物収納部6前面右側には、後方右側用スピーカ10が配置されている。
【0020】
図3は二輪車用音響再生装置の制御ブロック図を示し、前記前方左側用スピーカ7、後方左側用スピーカ8は、アンプ11を介してオーディオ制御部12に接続されている。
【0021】
また、前方右側用スピーカ9、後方右側用スピーカ10は、アンプ13を介してオーデ
ィオ制御部12に接続されている。
さらに、このオーディオ制御部12には、車両コントロール部14、再生部15、および前記車体1の傾き検出を行う傾き検出部16が接続されている。
【0022】
つまり、本実施形態において、再生部15で、例えば音楽を再生しながら図1のごとく、二輪車運転している時には、車体1の前方においては、前方左側用スピーカ7、前方右側用スピーカ9から音楽がステレオ再生され、また車体1の後方においては、後方左側用スピーカ8、後方右側用スピーカ10から音楽がステレオ再生され、ステレオで音楽を楽しみながらの運転が出来る。
【0023】
このような二輪車運転時においても、図2の傾き検出部16は常に車体1の傾きを検出している(図4のS1)。
【0024】
具体的には、本実施形態の傾き検出部16は、図5のごとく、左右10度までの傾きは不感帯として、傾き自体を検出しないが、左右に10度を超えて車体1が傾くと、左右のどちら側に傾いたのかを検出するようになっている。
【0025】
そして、このように、左右いずれかの方向に10度を超えて車体1が傾くと、それがオーディオ制御部12に伝達され、その結果として、アンプ11、13の増幅度を制御する。
【0026】
例えば、車体1が右に傾くと、傾いた側のアンプ13の増幅度を、アンプ11の増幅度よりも小さくし、その結果として、前方右側用スピーカ9、後方右側用スピーカ10への出力を、前方左側用スピーカ7、後方左側用スピーカ8への出力よりも小さくする。
【0027】
この点を、上述した図1の状況で説明すると、図1の状態では、例えば高速道路であるので、時速80キロメートルでR300(半径300メートル)に進入することとなる。
【0028】
この時、スピードにもよるが、R300内では、車体1は右側に10度を超えて傾いた状態で走行することになる。
【0029】
したがって、傾き検出部16で、上述のごとく車体1が10度以上傾いたことが検出され、次に、どちら側(左側か、右側か)に傾いたかが検出される(図4のS2、S3)。
【0030】
図1では車体1が右側に傾いたので、オーディオ制御部12は、上述のごとく、傾いた側のアンプ13の増幅度を、アンプ11の増幅度よりも小さくし、その結果として、前方右側用スピーカ9、後方右側用スピーカ10への出力を、前方左側用スピーカ7、後方左側用スピーカ8への出力よりも小さくする(図4のS4)。
【0031】
この時、運転者も車体1とともに、あるいはそれ以上に右側に傾いた状態となっているので、このように右側に傾いた運転者にとっては、左側用スピーカ(前方左側用スピーカ7、後方左側用スピーカ8)および右側用スピーカ(前方右側用スピーカ9、後方右側用スピーカ10)の出力バランスがとれた状態となり、その結果として、カーブ走行時における不快感を解消することができるのである。
【0032】
もちろん、この時の車体1の傾きが左側なら、オーディオ制御部12は、傾いた側のアンプ11の増幅度を、アンプ13の増幅度よりも小さくし、その結果として、前方左側用スピーカ7、後方左側用スピーカ8への出力を、前方右側用スピーカ9、後方右側用スピーカ10への出力よりも小さくする(図4のS5)。
【0033】
この時、運転者も車体1とともに、あるいはそれ以上に左側に傾いた状態となっているので、このように左側に傾いた運転者にとっては、左側用スピーカ(前方左側用スピーカ7、後方左側用スピーカ8)および右側用スピーカ(前方右側用スピーカ9、後方右側用スピーカ10)の出力バランスがとれた状態となり、その結果として、カーブ走行時における不快感を解消することができるのである。
【0034】
なお、車体1の傾きが左右に10度以上ない時には、傾き検出部16による検出が繰り返される(図4のS6)。
【0035】
なお、上記実施形態においては、車体1の傾き走行時において、車体1の傾き側の左側用スピーカ(前方左側用スピーカ7、後方左側用スピーカ8)または右側用スピーカ(前方右側用スピーカ9、後方右側用スピーカ10)への出力を、この傾き側とは反対側の右側用スピーカ(前方右側用スピーカ9、後方右側用スピーカ10)または左側用スピーカ(前方左側用スピーカ7、後方左側用スピーカ8)への出力よりも小さくするようにした。
【0036】
本発明は、それ以外にも、オーディオ制御部12、あるいはアンプ11,13により、車体1の傾き側の左側用スピーカ(前方左側用スピーカ7、後方左側用スピーカ8)または右側用スピーカ(前方右側用スピーカ9、後方右側用スピーカ10)への出力よりも、この傾き側とは反対側の右側用スピーカ(前方右側用スピーカ9、後方右側用スピーカ10)または左側用スピーカ(前方左側用スピーカ7、後方左側用スピーカ8)への出力を大きくすることで、出力バランスをとり、その結果として、カーブ走行時における不快感を解消するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上のように本発明においては、傾き検出部によって車体の傾きが所定値よりも大きく傾いたことが検出されると、オーディオ制御部により、前記車体の傾き側の左側用スピーカまたは右側用スピーカへの出力を、この傾き側とは反対側の右側用スピーカまたは左側用スピーカへの出力よりも相対的に小さくする構成としたものであるので、左側用スピーカおよび右側用スピーカの出力バランスがとれた状態となり、その結果として、カーブ走行時における不快感を解消することができるのである。
【0038】
したがって、二輪車用音響再生装置としての活用が期待される。
【符号の説明】
【0039】
1 車体
2 運転席
3 前輪
4 ハンドル
5 後輪
6 荷物収納部
7 前方左側用スピーカ
8 後方左側用スピーカ
9 前方右側用スピーカ
10 後方右側用スピーカ
11 アンプ
12 オーディオ制御部
13 アンプ
14 車両コントロール部
15 再生部
16 傾き検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に設置される左側用スピーカおよび右側用スピーカと、これらの左側用スピーカおよび右側用スピーカに接続されたオーディオ制御部と、このオーディオ制御部に接続された再生部とを備え、前記オーディオ制御部に前記車体の傾き検出部を接続するとともに、この傾き検出部によって検出した車体の傾きが所定値よりも大きくなると、前記オーディオ制御部は、前記車体の傾き側の左側用スピーカまたは右側用スピーカへの出力を、この傾き側とは反対側の右側用スピーカまたは左側用スピーカへの出力よりも相対的に小さくする構成とした二輪車用音響再生装置。
【請求項2】
左側用スピーカは、車体の前方左側用スピーカと車体の後方左側用スピーカにより構成され、右側用スピーカは、車体の前方右側用スピーカと車体の後方右側用スピーカにより構成された請求項1に記載の二輪車用音響再生装置。
【請求項3】
オーディオ制御部は、車体の傾き側の左側用スピーカまたは右側用スピーカへの出力を、この傾き側とは反対側の右側用スピーカまたは左側用スピーカへの出力よりも小さくする構成とした請求項1または2に記載の二輪車用音響再生装置。
【請求項4】
オーディオ制御部は、車体の傾き側の左側用スピーカまたは右側用スピーカへの出力よりも、この傾き側とは反対側の右側用スピーカまたは左側用スピーカへの出力を大きくする構成とした請求項1または2に記載の二輪車用音響再生装置。
【請求項5】
前記オーディオ制御部に前記車体の傾き検出部を接続するとともに、この傾き検出部によって検出した車体の傾きが10度よりも大きくなると、前記オーディオ制御部は、前記車体の傾き側の左側用スピーカまたは右側用スピーカへの出力を、この傾き側とは反対側の右側用スピーカまたは左側用スピーカへの出力よりも相対的に小さくする構成とした請求項1から4のいずれか一つに記載の二輪車用音響再生装置。
【請求項6】
車体と、この車体に設置した請求項1から5のいずれか一つに記載の二輪車用音響再生装置とを備え、前記輪車用音響再生装置の左側用スピーカは、前記車体の左側に設置し、前記輪車用音響再生装置の右側用スピーカは、前記車体の右側に設置した二輪車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−204926(P2012−204926A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65575(P2011−65575)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】