説明

二輪車用駐車装置

【課題】二輪車用の使い易いコンパクトな駐車装置を提供すること。
【解決手段】本発明のバイク駐車装置は二輪車の車体の一部を囲う回転式アーム2と、アーム2の施錠部6と、料金回収部7とを備え、アーム2によって、バイク10の後進を制限する。回転式アーム10は上限及び下限以外の位置にとどまることが無く、動作が確実である。個別精算方式で料金回収部7が個々に備えられているため、その場で精算開錠ができ、利用者にとって、精算の為の移動の必要が無く、簡便で使い易い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二輪車の駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、鉄道の駅周辺や商店街等多くの人が集まる所の周辺には、自転車やモーターバイクの駐輪場や、自動車の駐車場が設けられている。しかしながら、都市化が進み、人口の集中が進むにつれ駐輪場や駐車場が不足して、放置自転車や違法駐車が増え交通の障害となり、事故誘発原因の一つになっている。国や地方自治体はこれ等の取り締まりを強化する一方、駐車設備の設置拡充施策を推進している。
【0003】
駐車設備の設置費用と維持管理費用を賄うため、駐輪場や駐車場は、店先の店舗来客専用のものと一部公営のものを除き一般的に有料である。そのため、一定のスペースごとに駐車した車両を施錠し、利用時間に応じた料金を支払うことで解放する有料駐車装置が、各種製造販売され普及しつつある。例えば、特許文献1には、料金徴収可能なロック機構を備え、種々の前輪径に適応可能な駐輪装置が開示されている。
【0004】
従来の駐車装置にあっては、移動防止のためのロック装置と利用時間計測装置、および料金回収装置に連動したロック解除装置があって、各種センサー、カウンタ、電動アクチュエータ、電子機器や表示器等が組み込まれた、大掛かりな装置や複雑な装置が多かった。
【0005】
その中で、自転車やミニバイク等、庶民が日常手軽に利用する小型の二輪車駐輪機は、利用率を高めるために、安価な料金にする必要がある。このため、設置が容易で、運用要員を必要としない、いわゆるセルフサービスによる無人設備であって、大きな動力を要せず、シンプルで耐久性に優れ、占有スペースが少なく、設置から運営、維持管理まで安上がりで、利用者にとって使用が容易であることが望まれる。
【特許文献1】特開2006−56396号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
比較的普及している従来の自転車用駐輪装置では、前輪を固縛するタイプが多いが、小型の二輪スクータやミニバイクは車輪や車体サイズが合わず使用できなかった。
【0007】
小型の二輪車用駐車機の普及が遅れていることに起因して、違法駐車のスクータやミニバイクが増え、地域の発展と安全に支障をきたしていた。更にスクータやミニバイクの盗難を助長する要因ともなっている。
【0008】
本発明の目的は、安価で使い勝手の良い、小型の二輪車用駐車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様では、以下のような二輪車用駐車装置が提供される。すなわち、駐車する二輪車の前輪を受け入れるとともに、受け入れた前輪の前進と横移動を制限する前輪ガイド部と、開閉可能なアーム部と、アーム部を閉位置にロックする施錠部と、施錠部を解除する料金回収部とを有し、
アーム部は、アーム本体と、その一端に接続された水平な回転軸とを含み、アーム本体は、回転軸を中心に垂直面に沿って所定の可動範囲を回転移動することにより、開位置から閉位置へ移動し、閉位置では先端が二輪車のハンドルの後方に挿入され、二輪車のハンドル部の後面の少なくとも一部を囲って、二輪車の後進を制限する構造であることを特徴とする二輪車用駐車装置である。
【0010】
また、本発明の第2の態様では、以下のような二輪車用駐車装置が提供される。すなわち、駐車する二輪車の前輪を受け入れるとともに、受け入れた前記前輪の前進と横移動を制限する前輪ガイド部と、開閉可能なアーム部と、アーム部を閉位置にロックする施錠部と、施錠部を解除する料金回収部とを有し、
アーム部は、アーム本体と、その一端に接続された水平な回転軸とを含み、アーム本体は、回転軸を中心に垂直面に沿って所定の可動範囲を回転移動することにより、開位置から閉位置へ移動し、閉位置では先端が二輪車のハンドルの後方に挿入され、二輪車のハンドル部の後面の少なくとも一部と、車体の側面の少なくとも一部を囲って、二輪車の後進を制限する構造であることを特徴とする二輪車用駐車装置である。
【0011】
上述の第1および第2の態様の二輪車用駐車装置において、アーム部は、アーム本体の、所定の可動範囲内の、予め定めた分岐位置から開方向への移動、および、分岐位置から閉方向への移動の両方または一方を補助する回転補助装置を備える構成にすることができる。
【0012】
上述の回転補助装置は、回転軸に取り付けられ、アーム本体の自重との合成効果により、回転軸に分岐位置を境に開方向と閉方向のモーメントを生じるバランス錘を含む構成にすることができる。
【0013】
上述の回転補助装置としては、一端を回転軸に取り付けられ、他端を回転軸に分岐位置を境に開方向と閉方向のモーメントを生じる位置に取り付けられた付勢装置を含む構成にすることができる。
【0014】
上述の回転補助装置は、回転軸とは異なる位置に軸を有するカム装置を含む構成にすることができる。
【0015】
上述の料金回収部は、利用時間に応じて料金を加算する手段を有する構成にすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、使い勝手の良い、小型の二輪駐車装置を提供することができるため、駐車場の普及を促進し、地域の発展と安全に直接貢献することができる。特に、料金回収部を除き、電気を必要としないため、設置場所を選ばない使いやすい安価な装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の一実施の形態のバイク駐車装置について説明する。
本実施の形態のバイク駐車装置の外観図を図1(a)〜(d)および図2(a)〜(d)に示す。図1(a)は、バイク駐車装置の外観の側面図、図1(b)はその正面図、図1(c)は後面図、図1(d)は上面図である。図2(a)は、バイクを駐車した状態のバイク駐車装置の外観の側面図、図2(b)はその正面図、図2(c)は後面図、図2(d)は上面図である。
【0018】
図1(a)〜(d)および図2(a)〜(d)のように、バイク駐車装置には、利用する小型二輪車(以下バイク)10の前輪を案内して受け入れ、それ以上の前進と横移動を制限するための前輪ガイド4と、バイク10の車体の一部(ハンドルの後輪側の面の一部およびバイク側面の一部)を囲って、バイクの後進を制限するためアーム2と、アーム2を閉位置にロックする機械式施錠装置(ロック装置)6と、ロック装置6が内部に配置された制御箱3と、ロック装置6を開錠する料金回収装置7とを備えている。前輪ガイド4は、ベースプレート5の上に固定されている。制御箱3と料金回収装置7は、図1、図2、図4のように一体に構成され、図1および図2のようにベースプレート5に固定された支柱1によって支持されている。
【0019】
アーム2は、図1(a)および図2(a)のように、その一端が、水平に配置された軸30に固定され、軸30を中心に、約90°の可動範囲(軸30に接続されたアーム基部102がほぼ垂直になる開位置2aから、ほぼ水平になる閉位置2bまでの範囲)を回転移動することができるように構成されている。その回転可動範囲の、分岐位置2cから全開方向(アーム基部102が垂直になる方向)への開動作と、分岐位置2cから全閉方向(アーム基部102が水平になる方向)への閉動作の2動作を補助する回転補助装置としてバランス錘8が軸30に取り付けられている。バランス錘8は図8に示すように、分岐位置2cにおけるアーム2の自重による軸30回りのモーメントを打ち消すモーメントを生じるように、その重さおよび軸からの取り付け位置が定められている。
【0020】
図8にアーム2とバランス錘8との関係位置を示す。
アーム2の分岐位置2cにおける重心をA0とし、この時のバランス錘8の重心をB0とする。同じくアーム2の閉位置を2b、開位置を2aとし、各々の重心をA1、B1/A2、B2とする。A0とB0の合成重心をG0とし、回転軸30の中心Cを原点として垂直方向をY軸、水平方向をX軸、回転軸中心線をZ軸とする3次元座標において、
A0、B0、G0に働く重力をWa、Wb、Wg
A0、B0、G0各点のY軸からの距離をxa0、xb0、x0
A0、B0、G0各点のX軸からの距離をya0、yb0、y0
とすると、Z軸回りのアーム2及びバランス錘8の重力による回転モーメントMは、Wg × xgnである(n=0、1、2)。
【0021】
分岐位置におけるG0のX軸方向の距離x0を0となるように、即ち、Z軸回りのモーメントが0となる位置にB0を設ける。アーム2が僅かに開方向に動くとx成分が発生し、アーム2は開方向に動き出す。
【0022】
同様に、僅かに閉方向に動くとx成分が発生し、アーム2は閉方向に動き出す。
G0のZ軸からの距離y0が大きければ開及び閉方向のモーメントが同じ回転角度に対して大きくなる。
【0023】
本発明においては、軸受け部の摩擦等を考慮して分岐位置から僅かに傾けても確実に、しかも静かに動く範囲で極力y0とバランス錘の重量Wbを小さくすることが操作の容易性と安全性から望ましい。
【0024】
アーム2の先端部103は、図2(a)のように、閉位置で車体の側面の一部を囲って車体の横方向の移動及び車体の横倒しを妨げている。
【0025】
また、回転式アーム2の全開位置2aの近くから全開位置2a方向に、また、全閉位置2bの近くから全閉位置2bの方向にアーム部を駆動(付勢)して保持する補助カム装置9が備えられている。補助カム装置9の構造については後述する。
【0026】
回転補助装置は、バランスバネやガスダンパー等の付勢手段を含む構成とすることも可能である。また、回転補助装置は、常にアーム2の開方向にのみ付勢して働き、アーム2の全開位置2aおよび、全閉位置2bには補助カム装置9が保持する構成にすることも可能である。
【0027】
料金回収装置7は、利用時間に応じた時間料金加算装置と連動した、料金加算式である。料金回収装置7の表示及び料金投入用のパネル70は、図6または図7のような構成である。料金回収装置7の構造および動作については後述する。
【0028】
なお、アーム2の形状は、図1および図2の形状に限られるものではない。例えば、図3−1(a)〜(c)のように、軽量化のためにアーム2を短くすることが可能である。また、図3−2(d)〜(f)のように、アーム2の先端部103が、バイク10の車体の片側側面のみを囲う形状にすることも可能である。図3−2(d)〜(f)の例ではアーム先端部103の反対側に車体の傾斜と横移動を妨げるための手摺状の柵50を別途設けている。図3−2(d)〜(f)に示したアームの場合には、可動部であるアーム2が軽量化されるとともに、使用できる二輪車の車体幅の範囲が広くなる。更に、車体に乗ったままアーム2を回転して全閉位置にすることもできる。
【0029】
図3−3(g)〜(i)に、さらに別のアーム2の形状を示す。図3−3(g)〜(i)のアーム2は、全閉位置にした場合にバイク10のハンドルと座席との間の空間を水平に横切るように位置するバー部104を有する。また、アーム2の先端部103が、バイク10の車体の片側を囲う形状である。図3−3(g)〜(i)のアーム2は、操作者がバー部104を掴んでアーム2を上下動させることができるため、アーム2の開閉操作を容易に行うことができる。
【0030】
以下、本バイク駐車装置の各部の動作を述べる。
図1(a)および図2(a)において、アーム2の位置2aは、約90度回転するアーム2の全開位置を示し、位置2bは、アーム2の全閉位置を示し、位置2cは、アーム2の中間の位置を示す。
【0031】
本バイク駐車装置が使用される前の待機状態では、アーム2は、最上昇した全開位置2aにある。
【0032】
本バイク駐車装置の利用者は、アーム2が上昇位置にあり、料金回収装置7のパネル70に備えられている入出庫可能表示ランプ75(図6および図7参照)が点灯していることを視認することにより、利用可能であると認識できる。利用者は、バイク10の前輪タイヤが前輪ガイド4の前端に当たるまでアーム2aの下に進入させ、バイク10のサイドスタンドまたはセンタースタンドを掛ける。これにより、バイク10の前進は、前輪ガイド4によって制限される。
【0033】
次に、アーム2を垂直面内で回転移動させて下方に引き下げる。この時、アーム2は分岐位置2cまではバランス錘8によって、全開方向に付勢されている。分岐位置2cを過ぎると、バランス錘8とアーム2の合成重心位置が、軸30の真上を過ぎるため、アーム2を全閉方向に付勢する。よって分岐位置2cを過ぎて、手を離すとアーム2は自動的に最下端位置2bまで下がる。これによって、バイク10の後進がアーム2によって制限される。
【0034】
仮に、不正利用者が、アーム2によるバイク10への後進動作の制限が掛からないよう、最下端位置2bの少し手前でアーム2を止めてその場を離れる、不正な、いわゆる寸止め駐車をしようとしても、アーム2から手を離すと自動的に最下端位置2bまで下がるので出来ない。
【0035】
もし何らかの挟み物等をアーム2の基部等にして、アーム2の最下端位置2bの手前で、いわゆる寸止めした場合は、アーム2が下がっているにもかかわらず後述の駐車中の表示が付かないか、又は空き表示が消えず、不正使用中であることが外部から一目で判る。また、この事は不注意による不完全な使用も防止できる。
【0036】
アーム2を最下端位置2bに下げただけの状態では、誰でもアーム2を全開位置2aまで戻してバイク10を引き出すことが出来るので、この状態では移動防止効果は期待できず、盗難防止については利用者の責任において、別途施錠等を要する。
【0037】
ここで、制御箱3内部のロック装置6の構造と動作を図4(a)〜(d)および図5を用いて説明する。図4(c)、(d)のように、制御箱3内には軸受け31によって軸30が水平に支えられている。軸30には、図4(a)および(d)のようにロックレバー20が、軸30と一体となるように固定されている。アーム2が最下端位置2bにくると、ロックレバー20は、ロック装置6に設けられた切り欠きの下部の押圧機構(顎部)62に接する(図5(a)参照)。顎部62の若干の抵抗に抗してアーム2がさらに下がると顎部62を押し下げられることにより、ロック装置6の内部のロック機構(不図示)が外れ、カニの爪に似た、爪61がロックレバー20の上に飛び出て、ロックレバー20をロック装置の切り欠き内に囲い込み、仮ロック状態となる。
【0038】
この爪61には、マイクロスイッチ(不図示)が取り付けられており、爪の動きに連動してマイクロスイッチが働いて、料金回収装置7内のタイマー(不図示)が作動し、使用時間のカウントを開始する(この時刻をtとする)。
【0039】
この状態では、まだ施錠はされておらず、アーム2を持ち上げると、ロックレバー20が上がって爪61が開き、アーム2を全開位置2aまで上昇させ、バイク10を後進させて引き出すことが出来る。すなわち予め設定された無料駐車時間内の仮ロック状態である。この状態では料金回収装置7の入出庫可能の表示ランプ75(図5参照)は点灯している。
【0040】
時刻tから予め設定された一定時間(t)が経過したことを、料金回収装置7内のタイマーが計測した場合には、その出力信号を受けて、爪61の動きをロックするソレノイド(図示省略)が作動して施錠状態となる。すなわち、アーム2を持ち上げても爪61は開かず、アーム2は全閉位置2bから動かすことは出来ないロック状態となる。これと同時に、料金回収装置7は、入出庫可能の表示ランプ75を消灯する。あるいは、別途料金回収装置に設けた駐車中表示(図示省略)を点灯させる。
【0041】
時間t経過後は、料金回収装置7のタイマーが経過時間をカウントする。図6のように、料金回収装置7がデジタル表示器を備える場合には、料金回収装置7に内蔵した制御回路が予め設定された一定時間毎にステップアップした料金額を演算し、料金回収装置7のパネル70に設けられた図6のデジタル表示器74に表示することができる。また、図7の表示器76のように、ランプの点灯位置とその横に記載された数字によって料金額を示す構成にすることも可能である。
【0042】
上記一連の作動を電気的に制御する制御回路の基盤、及び電源電池が制御箱3内に配置されている。また、電源電池としては、ソーラー充電器を用いることができ、その場合は、制御箱3近くの日照を受け易い位置例えば制御箱3上面に配置することができる。また、外部電源から電力を導入することも可能であり、この場合は電源装置や充電装置を制御箱3に配置する必要はない。
【0043】
バイク10を駐車した利用者は、利用後、料金回収装置7のパネル70の表示器74または76に表示された料金を、硬貨投入口72から料金回収装置7に投入する。これにより、制御回路の制御によって表示時料金額は段階的に減少して、全額投入されると、制御回路は、ロック装置6の前記ソレノイド64を解除する。。これにより、ロック装置6は、開錠されて、アーム2を持ち上げると顎部62が上がって爪61が開き、アーム2を全開位置2aまで上昇させることができる。これにより、バイク10を引き出すことが出来る。
【0044】
この時、料金表示とともに、使用時間のタイマーもリセットされ、待機状態となり、パネル70の入出庫可能ランプ75が点灯するか又は駐車中表示を消灯する。これにより、利用可能な待機状態であることが外部から一見して判る。投入された料金は料金受け皿73に落下して貯まり、後刻、管理者によって回収される。
【0045】
つぎに、制御箱3内に配置されている補助カム装置9の構成および動作を図4(a)〜(d)を用いて説明する。補助カム装置9は、アーム2の動きを分岐位置から全開位置または全閉位置方向にバネの力で強制的に誘導し保持する働きをする。
【0046】
図4(a)〜(d)に示すように、補助カム装置9は、アーム2と一体に回転するロックレバー20に設けられたピン23と、V型カム90とを備えている。ピン23は、V型カム90のV型溝91に挟まっている。ロックレバー20の動きにつれてV型カム90はカム軸92の周りで揺動する。V型カム90の溝91の脇には、バネ93の一端が固定され、バネ93の他端は、制御箱3に固定されている。
【0047】
バネ93の固定位置は、アーム2が分岐位置2cにある場合に最も伸びて、前開位置2a又は全閉位置2bでは少し弛んだ状態になるように定められている。これによってアーム2が中間点2cを過ぎると、最下端(全閉)位置2bの方向にV型カム90がバネ93の張力でピン23を押し付けて(付勢し)保持する。中間点2cより開放側ではV型カム90がピン23を全開側に押し上げる。
【0048】
このV型カム90、バネ93、ピン23を含む補助カム装置9の働きで、全開状態では、アーム2の設定操作力より小さい力、すなわち風等の外部からの力を受けて、アーム2が不必要に動き出すことが無い。よって、不意の降下による事故を防止できる。
【0049】
また、分岐位置2cを境に開方向または閉方向に節度良く確実にアーム2が動くので、前述の寸止め不正使用の防止効果があり、利用者にとっては、アーム操作時に全開、全閉のストロークエンドが、明確に感じられて必要以上に操作力を加える事もなくなり、装置の変形や破損も防止できる。
【0050】
本発明の、バイク駐車装置は前記施錠装置(ロック装置)6、料金回収装置7および施錠解除の機構がバイク1台分の駐車装置毎に装着されているため、利用者はバイクのあるその場だけで精算し、施錠を解除できる。従来の大規模な駐車場では、精算機が駐車装置毎になく、別なところに設置されているいわゆる集中精算機方式である場合が多く、この場合、利用駐車装置番号を確認のために一旦、利用駐車装置のところまで行き、精算機まで戻り、精算作業後に駐車装置まで行かねばならない不便さがあった。しかしながら、本発明の個別精算方式バイク駐車装置では、たとえ多数設置した大規模駐車場であってもこの問題は無い。
【0051】
また、本発明の、バイク駐車装置はバイク1台分の駐車装置が1基ごとに独立して機能するいわゆる個別精算方式なので、僅かなスペースを有効に活用して自由に配置できる。この事は空いている狭いスペースを使って小規模の駐車場として利用する場合に大変有利なことである。
【0052】
なお、料金回収装置7としては、駅構内等に設置されている機械式コインロッカーの料金回収装置を用いることもできる。これによってロック装置6の施錠を解除すれば、料金額を一回毎の定額として時間カウントや各表示ランプ、ソレノイド等の電気部品を必要とせず、電源装置は全く無い構成にすることも可能である。これは小規模駐車場では、設置費用が少なくて済み、メンテナンスも容易で大いに有利である。
【0053】
また、料金を時間による加算式とした場合であっても、タイマーや表示ランプ、ソレノイド等に要する電力は極めて少ないので、蓄電池とソーラー充電器の組み合わせを電源とすることで、外部電力供給不要、メンテナンス容易で単独完結型の利点を損なわれない。
【0054】
さらに、回転補助装置(バランス錘8)を常に全開方向に付勢する構成にすることも可能である。これにより、仮ロックまたはロック状態以外は常にアームを最上昇位置2aに保って、操作を単純化できる。この場合は補助カム装置9を省略してよりシンプルな構成とすることもできる。
【0055】
本発明に依れば、安価で使い勝手の良い、小型の二輪駐車装置を提供することができるため、駐車場の普及を促進し、地域の発展と安全に直接貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1(a)は、本実施の形態のバイク駐車装置の外観の側面図、図1(b)はその正面図、図1(c)は後面図、図1(d)は上面図である。
【図2】図2(a)は、バイクを駐車した状態のバイク駐車装置の外観の側面図、図2(b)はその正面図、図2(c)は後面図、図2(d)は上面図である。
【図3−1】図3−1(a)は、アーム2を軽量化のために短くした例の側面図である。図3(b)はその後面図、図3(c)はその上面図である。
【図3−2】図3−2(d)は、同じく軽量化のためにアーム2を片側1本とした例の側面図で、(e)はその後面図、(f)はその上面図である。
【図3−3】図3−3(g)は、バー部を備えたアーム2の例の側面図、(h)は後面図、(i)はその上面図である。
【図4】図4(a)は、本実施の形態のバイク駐車装置の制御箱3および料金回収装置7の内部構造を示す側面図、図4(b)はその後面図、図4(c)は内部後面図、図4(d)は内部上面図である。
【図5】図5(a)は、本実施の形態のバイク駐車装置のロック装置6の正面図、図5(b)は、側面図である。
【図6】本実施の形態のバイク駐車装置の料金回収装置のパネルの一例の正面図である。
【図7】本実施の形態のバイク駐車装置の料金回収装置のパネルの別の例の正面図である。
【図8】図8はアーム2とバランス錘8との関係位置を示す。
【符号の説明】
【0057】
1・・・支柱、2・・・アーム、3・・・制御箱、4・・・前輪ガイド、5・・・ベースプレート、6・・・ロック装置、7・・・料金回収装置、8・・・バランス錘、9・・・補助カム装置、10・・・バイク、20・・・ロックレバー、23・・・ピン、30・・・回転軸、31・・・軸受、50・・・柵、61・・・爪、62・・・顎部、70・・・料金回収装置パネル、72・・・コイン投入口、73・・・コイン受け皿、74・・・料金額表示器、75・・・入出庫可能表示ランプ、76・・・料金額表示ランプ、90・・・V型カム、91・・・V型溝、92・・・V型カム軸、93・・・バネ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車する二輪車の前輪を受け入れるとともに、受け入れた前記前輪の前進と横移動を制限する前輪ガイド部と、開閉可能なアーム部と、前記アーム部を閉位置にロックする施錠部と、前記施錠部を解除する料金回収部とを有し、
前記アーム部は、アーム本体と、その一端に接続された水平な回転軸とを含み、前記アーム本体は、前記回転軸を中心に垂直面に沿って所定の可動範囲を回転移動することにより、開位置から閉位置へ移動し、該閉位置では先端が前記二輪車のハンドルの後方に挿入され、前記二輪車のハンドル部の後面の少なくとも一部を囲って、該二輪車の後進を制限する構造であることを特徴とする二輪車用駐車装置。
【請求項2】
駐車する二輪車の前輪を受け入れるとともに、受け入れた前記前輪の前進と横移動を制限する前輪ガイド部と、開閉可能なアーム部と、前記アーム部を閉位置にロックする施錠部と、前記施錠部を解除する料金回収部とを有し、
前記アーム部は、アーム本体と、その一端に接続された水平な回転軸とを含み、前記アーム本体は、前記回転軸を中心に垂直面に沿って所定の可動範囲を回転移動することにより、開位置から閉位置へ移動し、該閉位置では先端が前記二輪車のハンドルの後方に挿入され、前記二輪車の前期ハンドル部の後面の少なくとも一部と、車体の側面の少なくとも一部を囲って、該二輪車の後進を制限する構造であることを特徴とする二輪車用駐車装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の二輪車用駐車装置において、前記アーム部は、前記アーム本体の、前記所定の可動範囲内の、予め定めた分岐位置から開方向への移動、および、前記分岐位置から閉方向への移動の両方または一方を補助する回転補助装置を備えたことを特徴とする二輪車用駐車装置。
【請求項4】
請求項3に記載の二輪車用駐車装置において、該回転補助装置は、前記回転軸に取り付けられ、前記アーム本体の自重との合成効果により、前記回転軸に前記分岐位置を境に開方向と閉方向のモーメントを生じるバランス錘を含むことを特徴とする二輪車用駐車装置。
【請求項5】
請求項3に記載の二輪車用駐車装置において、該回転補助装置は、一端を前記回転軸に取り付けられ、他端を前記回転軸に前記分岐位置を境に開方向と閉方向のモーメントを生じる位置に取り付けられた付勢装置を含むことを特徴とする二輪車用駐車装置。
【請求項6】
請求項3に記載の二輪車用駐車装置において、該回転補助装置は、前記回転軸とは異なる位置に軸を有するカム装置を含むことを特徴とする二輪車用駐車装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の二輪車用駐車装置において、前記料金回収部は、利用時間に応じて料金を加算する手段を有することを特徴とする二輪車用駐車装置。





【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−49904(P2008−49904A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−229467(P2006−229467)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(593176829)日本サンサイクル株式会社 (2)
【出願人】(501496290)サンサイクルシステム株式会社 (3)