説明

二輪車転倒防止装置

【課題】振動および揺れによる転倒を防止することができる二輪車転倒防止装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る二輪車転倒防止装置1は、いずれも駐車スペースの下面に固定される前輪保持装置2およびハンドル保持装置3からなり、前輪保持装置は、二輪車MCの前輪FWの軸方向両側に当接して前輪のハンドル操作方向へのぶれを防止しかつ前輪の前進を阻止する前輪保持手段29を有し、ハンドル保持装置は、二輪車のハンドルの両側またはステムに、前輪保持手段よりも前方かつ前輪保持手段の上端よりも下方に向けて引き寄せる力を加える緊張手段17を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力付き二輪車の駐車時における転倒を防止する二輪車転倒防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
平成16年改正の道路交通法において放置駐車に対する罰則が強化された。この罰則が強化された放置駐車には動力付き二輪車によるものも含まれる。しかしながら、これまで動力付き二輪車については駐車場の整備が十分になされてなく、加えて都市中心部においては用地の確保が容易でないため、法改正に対応できる程度には動力付き二輪車の駐車場が十分に準備されていないのが現状である。そこで、都心部の駅周辺に比較的多く見られる、自動車のための機械式駐車場を二輪車の駐車場として活用して放置駐車を減少させ、同時に管理された空間の利用によって二輪車の盗難等の防止効果を期待することが考えられる。
【0003】
一方、機械式駐車場に二輪車を係留する場合には、機械式駐車場の構造から避けることができない移動(搬送)時の揺れに対する転倒抑止が求められる。また、駐車スペースが上下に重ねられていることから、地震時において上方階から下方への駐車二輪車の落下防止も求められる。
駐車二輪車の転倒を防止する技術として、例えば二輪車の前輪を保持して係留する二輪車用スタンドが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−290084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1で提案された二輪車用スタンドは、不正出庫の防止をその主たる課題とし、二輪車の転倒防止に対しては、前輪の保持のみにより行われる。この二輪車用スタンドは、保持可能な二輪車の多くの重心位置が、前輪が保持される位置よりも高く、機械式駐車場の移動する床(パレット)に取り付けられた場合、移動時の振動に対して二輪車の転倒を効果的に防止できないおそれがある。さらに、大きな地震等の揺れに対しては、上階での転倒から落下に到る事態を防止できないものと思われる。
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、振動および揺れによる転倒を防止することができる二輪車転倒防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る二輪車転倒防止装置は、いずれも駐車スペースの下面に固定される前輪保持装置およびハンドル保持装置からなり、前記前輪保持装置は、二輪車の前輪の軸方向両側に当接して前記前輪のハンドル操作方向へのぶれを防止しかつ前記前輪の前進を阻止する前輪保持手段を有し、前記ハンドル保持装置は、前記二輪車のハンドルの両側またはステムに、前記前輪保持手段よりも前方かつ前記前輪保持手段の上端よりも下方に向けて引き寄せる力を加える緊張手段を有する。
【0008】
好ましくは、前記緊張手段は、前記グリップを保持するグリップ保持手段と、前記グリップ保持手段と前記駐車スペースの下面とを直接または間接に連結する全体として細長い連結手段と、通常は前記連結手段の長さを自在に短くすることができ解除装置を操作したときのみ前記連結手段の長さを短くすることができる緊張解除手段と、を有する。
前記前輪保持手段は、上下方向に伸び断面形状が凹状台形であって前記前輪の受入側がその底部よりも間隔が広い、前記前輪を収容するための当接部を有する。
【0009】
なお、「駐車スペースの下面」とは、例えば駐車場の床面等の二輪車がその上に駐車される面をいう。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、振動および揺れによる転倒を防止することができる二輪車転倒防止装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は二輪車転倒防止装置の斜視図である。
【図2】図2は下方保持部の正面断面図である。
【図3】図3は二輪車転倒防止装置が動力付き二輪車を保持した様子を示す図である。
【図4】図4は他の二輪車転倒防止装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は二輪車転倒防止装置1の斜視図、図2は下方保持部11の正面断面図、図3は二輪車転倒防止装置1が動力付き二輪車MCを保持した様子を示す図である。以下、動力付き二輪車MCを二輪車MCという。
図1〜図3において、二輪車転倒防止装置1は、前輪保持装置2およびハンドル保持装置3からなる。
【0013】
前輪保持装置2は、下方保持部11および前方保持部12により構成される。
下方保持部11は、いずれも金属板により形成された基台13、揺動部14および導入路部15からなる。基台13は、細長い矩形の底板21における1つの短辺を除く3辺に、底板21に直交して同一方向に同一高さで伸びた側壁22,23,24を連続させたものである。
【0014】
揺動部14は、断面形状が凹状の台形であって、基台13の長さの略3分の2の長さを有する。揺動部14は、基台13の内方に収容される。揺動部14は、長手方向において基台13の略中央部分に配される。揺動部14は、その長手方向の一端近傍における外方で、基台13の長手方向に直交する方向を揺動軸26として揺動可能に側壁22,23に取り付けられている。揺動軸26は、前方保持部12から離れた端側の、揺動部14における断面凹状の台形の上底相当部分(「底部25」という)の外方に位置する。
【0015】
導入路部15は、その断面形状が揺動部14と略同じ凹状の台形である。導入路部15は、基台13の長手方向における揺動部14の揺動軸26が設けられた側に導入路部15と並べて配される。導入路部15は、揺動部14と蝶番27により連結されており、揺動部14の揺動に伴い、蝶番27により連結された端が上下に移動する。導入路部15は、揺動部14が導入路部15側に揺動したとき、その底面が底板21と略平行になる。導入路部15は、その長さの略半分が基台13の内方に収容されている。
【0016】
前方保持部12は、支柱28および当接部29からなる。支柱28は角形鋼で形成される。支柱28は、一端が基台13の短辺に連続する側壁24の外面に固定されている。当接部29は、揺動部14および導入路部15と同様に、その断面形状が凹状の台形である。当接部29は、その底部30の長手方向を支柱28の長手方向に一致させて、支柱28の他端に底部30の外面が固定されている。なお、底部30とは、断面形状が凹状の台形に加工された当接部29を形成する3つの平板部分における、上底に相当する平板部分である。
【0017】
ハンドル保持装置3は、ベース16、1対の保持部17,17からなる。
ベース16は、断面が矩形の真っ直ぐな鋼材である。
保持部17は、スリングベルト31,32、バックル33、グリップ収容部34、握り部35および連結部36からなる。
スリングベルト31,32は、荷台の荷の固定および玉掛け作業等に使用される、ポリエステル糸で作られたベルトである。1つの保持部17には、長短2本のスリングベルト31,32が使用される。
【0018】
バックル33は、短いスリングベルト31の一端に連結され、長いスリングベルト32を折り返す。バックル33は、折り返された長いスリングベルト32の一端が任意に引き出し可能であり、かつスリングベルト32の他端の引き出しを阻止する。バックル33におけるスリングベルト32の他端の引き出しは、解除レバーを操作しなければ行うことができない。このようなバックル33は、公知のものである(例えばインターネットURL:http://www.soundduck.co.jp/sales/lashing/howto.html)。
【0019】
グリップ収容部34は、ポリエステル糸が編まれた矩形の布材が二つ折りされ、合わされた端縁近傍が縫合されて形成されている。二つ折りされた内側の空間部分は、二輪車MCのハンドル端部のグリップGRを容易に収容可能な大きさである。グリップ収容部34は、その縫い合わされた端が、長いスリングベルト32におけるバックル33からの引き出しが阻止される側の端に連結される。
【0020】
握り部35は、断面が略円形の合成樹脂により形成され、内側に人が手を入れることができる空間を形成して台形に閉じられたものである。電車のつり革における握りに類似する役割を果たす。握り部35は、長いスリングベルト32におけるバックル33からの引き出しが可能な側の端に連結される。
連結部36は、ベルト保持部37および連結金具38からなる。ベルト保持部37は、断面が矩形で一端が閉じられた角筒である。ベルト保持部37は、短いスリングベルト31におけるバックル33に連結されていない方の端を、開放端を経由させてその内部に固定する。1対のベルト保持部37は、ベース16の互いに異なる端に連結金具38により取り付けられている。
【0021】
連結金具38は、断面が円形の棒による2つの金属リング39,40が組み合わされて形成されている。2つの金属リング39,40は、鎖のように互いの輪の中を通って繋がっている。金属リング39,40、いずれもその外周から径方向外方に伸びた軸を有する。一方の金属リング39は、その軸がベース16に取り付けられ、リング部分がベース16に対して自在に回転する。他方の金属リング40は、その軸がベルト保持部37の閉じられた端に取り付けられ、リング部分がベルト保持部37に対して自在に回転する。
【0022】
保持部17は、連結金具38によりベース16に取り付けられていることにより、スリングベルト32を任意の方向に伸ばすことができる。
前輪保持装置2およびハンドル保持装置3は、基台13およびベース16が二輪車MC等を駐車する立体駐車場等の留置台またはパレット(以下これらを「パレット」という)に強固に固定される。ハンドル保持装置3は、ベース16の長手方向が基台13の長手方向に直交するように、かつベース16の長手方向中央が支柱28から適度に離されて配置される。
【0023】
次に、二輪車転倒防止装置1への二輪車MCの保持作業(転倒防止措置)について説明する。
パレットに載せられた二輪車MCは、その前輪FWが導入路部15に導かれる。揺動部14は、通常は、揺動軸26の位置の偏りから前方保持部12側が低くなるように、つまり導入路部15側が高くなるように傾いている。端同士で揺動部14に連結された導入路部15は、連結された逆側の端の高さが低くなって、二輪車MCの前輪FWを受入容易なようにパレットとの段差を小さくする。
【0024】
導入路部15に二輪車MCの前輪FWが進入し前輪FWが前方に移動すると、導入路部15は、前輪FWからの加重で蝶番27側が下降し、揺動部14は導入路部15側に揺動する。導入路部15は略水平になり、前輪FWは、その前進する慣性により、導入路部15から揺動部14に容易に移動する。
前輪FWが前進し揺動軸26を通過すると、揺動部14は、前方保持部12側に揺動する。揺動部14は、前方保持部12側に向けて下り傾斜となり、作業者は容易に二輪車MCを前方に移動させることができる。
【0025】
二輪車MCは、前輪FWが前方保持部12の当接部29に当接して前進が停止される。揺動部14が下り傾斜となることにより、前輪FWが前方保持部12の当接部29に当接した状態で作業者がハンドルから手を離しても、二輪車MCは後退しない。当接部29は、底部30の両側の平板部分が底部30より離れるにつれ間隔が大きくなっているので、太さが異なる種々の前輪FWを収容しその軸方向両側に当接して、前輪FWのハンドル操作方向へのぶれ(ふらつき)を防止することができる。
【0026】
前輪保持装置2は、いずれも断面形状が凹状の台形である揺動部14および当接部29が、前輪FWを離れた2箇所でしっかりと保持するため、作業者がハンドルから手を離しても、二輪車MCは転倒することなく立てられた状態に維持される。
続いて、ハンドル保持装置3の各グリップ収容部34,34が、二輪車MCのハンドル両端のグリップGR,GRに被せられる。ベース16の両側の握り部35,35が均等に引かれ、それぞれのグリップ収容部34,34と連結部36,36との間が緊張状態にされる。このとき、連結金具38は、ベルト保持部37とベース16との位置関係を制約しないため、保持部17はベース16とグリップGRとを最短距離で結び、ハンドル保持装置3は安定して両グリップGR,GRを保持することができる。グリップ収容部34は、グリップ保持手段として機能する。
【0027】
二輪車MCは、前輪FWが前輪保持装置2に保持されることに加え、ハンドルがハンドル保持装置3に緊張状態で保持されることにより前輪FWが前輪保持装置2に押しつけられる。つまり、二輪車転倒防止装置1は、3箇所で二輪車MCを保持する。したがって、二輪車転倒防止装置1は、機械式駐車場における移動時の振動および地震等の振動を受けても、二輪車MCをぐらつかせおよび転倒させることなく強固に保持することができる。
【0028】
なお、二輪車転倒防止装置1において保持部17は、前輪FWを前輪保持装置2に押しつける目的で、当接部29よりも前方かつ当接部29の上端よりも下方でベース16に連結されている。
二輪車転倒防止装置1による二輪車MCの保持の解除は、バックル33,33の解除レバーを操作して、それぞれのスリングベルト31,32の緊張状態を解除することにより行われる。二輪車MCは、ハンドル両側のグリップGR,GRからグリップ収容部34,34が取り外されることにより、後方への移動が可能となる。
【0029】
図4は他の二輪車転倒防止装置1Bの斜視図である。
二輪車転倒防止装置1Bは、ベース16、前輪保持装置2Bおよびハンドル保持装置3Bからなる。
ベース16は、断面が矩形の棒状の鋼材であって、前輪保持装置2Bおよびハンドル保持装置3Bを取り付け、およびこれらをパレット等に固定するためのものである。
【0030】
前輪保持装置2Bは、支柱28B、当接部29および移動装置41Bからなる。支柱28Bは、真っ直ぐな鋼材であり、その一端がベース16の長手方向の中央に固定されて、パケット等から垂直に上方に伸びている。
当接部29は、二輪車転倒防止装置1の当接部29と同じものであり、断面形状は凹状の台形である。
【0031】
移動装置41Bは、当接部29を、ベース16の長手方向および支柱28Bの長手方向のいずれに対しても直交する方向に往復移動させるためのものである。移動装置41Bは、駆動部42Bおよび1対の案内部43B,43Bからなる。
駆動部42Bは、ボールネジ、ハンドル44Bおよび駆動棒45Bで構成される。ボールネジは、ネジ軸がベース16および支柱28Bの何れの長手方向にも直交する方向に配されている。ボールネジのナットは、支柱28Bの内部において駆動棒45Bの一端に連結されている。
【0032】
ハンドル44Bは、支柱28Bを挟んで当接部29の反対側において、ボールネジのネジ軸に連結されている。ハンドル44Bは、回転させることによりボールネジのネジ軸を回転させる。
駆動棒45Bの他端は、当接部29の底部30に固定されている。
駆動部42Bは、ハンドル44Bの回転によりネジ軸が移動することなく回転し、ナットを往復移動させることによりこれに駆動棒45Bを介して連結された当接部29を移動させる。
【0033】
1対の案内部43B,43Bは、それぞれが外筒内を内筒が摺動する構造を有し、その摺動方向がボールネジのネジ軸に平行であって、ボールネジの上下に配されている。案内部43Bは、外筒が支柱28Bに固定され、内筒の一端が当接部29の底部30に固定されている。案内部43B,43Bは、駆動部42Bにより当接部29が往復移動するとき、当接部29を案内して当接部29の水平移動を維持させるためのものである。
【0034】
ハンドル保持装置3Bは、1対の保持部17,17からなる。保持部17は、先に説明した二輪車転倒防止装置1におけるものと同一であり、その説明を省略する。
二輪車転倒防止装置1Bは、ベースがパレットに移動不可に固定されて使用される。
二輪車転倒防止装置1Bへの二輪車MCの保持作業は、次のようにして行われる。
なお、二輪車転倒防止装置1Bは、センタースタンド付きの二輪車MCの転倒防止に使用される装置である。
【0035】
二輪車転倒防止装置1Bは、ハンドル44Bが反転されて当接部29が支柱28B側に戻された状態で、二輪車MCがその前輪FWを当接部29内に導き入れられる。続いて、二輪車MCを、センタースタンドによって自立させる。二輪車MCは、センタースタンドで自立させたときに少し後退して前輪FWが当接部29から遠ざかる。そこで、ハンドル44Bを正転させ、当接部29を前輪FW側に移動させて当接部29の内側に前輪FWを収容する。
【0036】
次に、ハンドル保持装置3の各グリップ収容部34,34内に、二輪車MCのハンドル両端のグリップGR,GRを収容する。ベース16の両側の握り部35,35が均等に引かれて、バックル33,33の両側においてスリングベルト32,32が緊張状態にされる。
二輪車転倒防止装置1Bは、当接部29が前輪FWの前進を阻止し、かつ保持部17,17がハンドルの両端を前方の下方に引き寄せる。そのため、前輪FWは後退することなく安定して当接部29に保持される。二輪車MCは、3箇所で二輪車転倒防止装置1Bに保持されて、機械式駐車場における移動時の振動および地震等の振動を受けたときの転倒が防止される。
【0037】
二輪車転倒防止装置1Bによる二輪車MCの保持の解除は、二輪車転倒防止装置1と同様に、バックル33,33の解除レバーを操作することにより行われる。
なお、二輪車転倒防止装置1Bは、二輪車転倒防止装置1におけるの下方保持部11と組み合わせることにより、センタースタンドを有しない二輪車MCの転倒防止に使用することができる。
【0038】
当接部29は、二輪車転倒防止装置1,1Bにおいて上下方向に伸びる。当接部29の下端は、二輪車転倒防止装置1,1Bが転倒防止を予定する二輪車MCのいずれの前輪FWの回転軸よりも下方となるように設計される。また、当接部29の上端は、二輪車転倒防止装置1,1Bが転倒防止を予定する二輪車MCのいずれの前輪FWの回転軸よりも上方となるように設計される。
【0039】
保持部17の下端は、二輪車転倒防止装置1,1Bが転倒防止を予定する二輪車MCのいずれの前輪FWの回転軸よりも下方に位置するように設計される。
このように設計された二輪車転倒防止装置1,1Bでは、保持部17,17が二輪車MCのグリップGRに対して前方に引き寄せる力を加え続けても、パレットの移動および地震等の振動時に前輪FWが浮き上がることが防止され、転倒防止効果が安定に維持される。
【0040】
上述の実施形態における当接部29および保持部17は、それぞれ前輪保持手段および緊張手段として機能する。
また、上述の実施形態において、下方保持部11に揺動部14および導入路部15を設けず、基台13の断面形状を凹状の台形としてもよい。前輪保持装置2において、当接部29を基台13の長手方向に往復移動するように形成してもよい。
【0041】
保持部17におけるスリングベルト31,32、バックル33、グリップ収容部34、握り部35および連結部36は、これらと同様の機能を有する他の形態とすることができる。
ハンドル保持装置3,3Bが安定してハンドルを保持し、地震等の大きな振動に対して効果的に二輪車の転倒を防止するには、両保持部17,17は、ハンドルの揺動中心から離れた位置に連結されるのが好ましい。ハンドル保持装置3,3Bにおける保持部17,17を、ハンドルのグリップではなく、ハンドルバー(本体)またはステムのハンドル長手方向両側に連結するように形成しても、振動に対して一定の二輪車の転倒防止効果が得られる。その場合、グリップ収容部34に換えて、ハンドルバー(本体)またはステムに連結可能な形状のフックが用いられる。
【0042】
その他、二輪車転倒防止装置1,1B、および二輪車転倒防止装置1,1Bの各構成または全体の構造、形状、寸法、個数、材質などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、動力付き二輪車の駐車時における転倒を防止する二輪車転倒防止装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1,1B 二輪車転倒防止装置
2,2B 前輪保持装置
3,3B ハンドル保持装置
17 緊張手段(保持部)
29 前輪保持手段(当接部)
31,32 連結手段(スリングベルト)
33 緊張解除手段(バックル)
34 グリップ保持手段(グリップ収容部)
35 連結手段(握り部)
36 連結手段(連結部)
MC 二輪車
FW (二輪車の)前輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
いずれも駐車スペースの下面に固定される前輪保持装置およびハンドル保持装置からなり、
前記前輪保持装置は、
二輪車の前輪の軸方向両側に当接して前記前輪のハンドル操作方向へのぶれを防止しかつ前記前輪の前進を阻止する前輪保持手段を有し、
前記ハンドル保持装置は、
前記二輪車のハンドルの両側またはステムに、前記前輪保持手段よりも前方かつ前記前輪保持手段の上端よりも下方に向けて引き寄せる力を加える緊張手段を有する
ことを特徴とする二輪車転倒防止装置。
【請求項2】
前記緊張手段は、
前記グリップを保持するグリップ保持手段と、
前記グリップ保持手段と前記駐車スペースの下面とを直接または間接に連結する全体として細長い連結手段と、
通常は前記連結手段の長さを自在に短くすることができ解除装置を操作したときのみ前記連結手段の長さを短くすることができる緊張解除手段と、を有する
請求項1に記載の二輪車転倒防止装置。
【請求項3】
前記前輪保持手段は、
上下方向に伸び断面形状が凹状台形であって前記前輪の受入側がその底部よりも間隔が広い、前記前輪を収容するための当接部を有する
請求項1または請求項2に記載の二輪車転倒防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−25794(P2011−25794A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−172362(P2009−172362)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(592227243)株式会社キタコ (5)