説明

二部構成摘出バルーン

二部構成摘出バルーン及び使用法が提供されている。バルーンカテーテルは、細長いカテーテルシャフトの遠位端付近に取り付けられている第1バルーンと第2バルーンを備えている。第1バルーンは、第2バルーンの膨張時直径より大きい膨張時直径を有し、具体的には、第2バルーンの膨張時作動直径範囲を上回る膨張時作動直径範囲を有している。バルーンのそれぞれは、弾性又は伸展性材料を備えており、カテーテルシャフトを貫いて伸びている2つの膨張ルーメンの1つを介して別々に膨らませることができる。より大きい第1バルーンは、結石又はカスに係合し、相対的に大きい体内管腔、管道、又は通路を通して掻いてゆくように構成されているのに対し、より小さい第2バルーンは、結石又はカスに係合し、相対的に小さい体内管腔、管道、又は通路を通して掻いてゆくように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2007年12月27日出願の米国仮特許出願第60/016,976号「二部構成摘出バルーン」の恩典を主張し、同出願の全内容を此処に援用する。
【0002】
本発明は、医療装置、特に哺乳類患者体内で摘出処置を行う場合に有用なバルーンカテーテルに関する。
【背景技術】
【0003】
バルーンカテーテルは、様々な医療処置に使用されている。例えば、患者の管道内で狭窄を拡張したり又はステントを配備するのに、或る特定の型式のバルーンカテーテルが使用されている。これらの型式のバルーンカテーテルでは、典型的に、所定直径へ膨らまされるように構成されている非伸展性バルーン材料が利用されている。膨張流体が比較的高圧下でバルーンの内部へ送り込まれ、それにより、バルーンが狭窄を圧迫したり又はステントを配備できるようになっている。
【0004】
他の型式のバルーンカテーテルでは、伸展性バルーン材料が利用されている。伸展性バルーンカテーテルは、患者の管道から物質を摘出するのに使用されることが多い。例えば、伸展性バルーンは、石や他のカスを総胆管から十二指腸の中へ掻き出すのに使用されることが多く、十二指腸で石又はカスは自然に体外へ排出されることになる。伸展性バルーンは、バルーンを摘出処置が行われる管道のサイズと形状に合わせられるように比較的可撓性である。
【0005】
伸展性バルーンには、或る直径範囲へ膨らませることのできるものがある。これにより、特定の摘出処置を行うのに必要となるバルーンカテーテルの数を減らすことができる。それにもかかわらず、特定の摘出処置では、サイズ又はサイズ範囲が様々な多数のバルーンカテーテルの使用が必要になることもある。例えば、石を総胆管沿いにファーター乳頭に向けて掻き寄せるには比較的大きな直径のバルーンカテーテルが必要になるかもしれない。しかしながら、このバルーンは、膨らまされたままでは、又は一杯まで膨らまされていなくても、大きすぎて乳頭を通過できない可能性がある。但し、萎んだバルーンでは、石を乳頭を通って掻いてゆくことができない。よって、第1のバルーンを取り出し、より小さい直径のバルーンに取り換えて、石を乳頭を通って十二指腸の中へ掻き出すことによって処置を完結させなくてはならない。
【0006】
医療処置中のバルーンカテーテルの交換には数多くの不都合がある。例えば、或るバルーンカテーテルを取り出し、異なるサイズのバルーンカテーテルに取り換えることは、時間を食うプロセスであり、医療処置の継続時間と複雑性が増す。加えて、摘出される石又はカスが、交換中に第2のバルーンカテーテルを管道の中へ前進させてゆく際に、この第2のバルーンカテーテルによって管道へ押し戻されてしまう可能性がある。
【0007】
必要とされているのは、石や他のカスを、様々な形状及び直径の管道又は体内管腔を通して摘出することのできる伸展性バルーンカテーテルである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国仮特許出願第60/016,976号
【発明の概要】
【0009】
従って、本発明は、様々な直径及び/又は形状の複数の伸展性バルーンを有するバルーンカテーテルを備えている。
【0010】
本発明の1つの態様によれば、バルーンカテーテルは、細長いカテーテルシャフトの遠位端付近に取り付けられている第1バルーンと第2バルーンを備えている。第1バルーンは、第2バルーンの膨張時直径より大きい膨張時直径を有し、具体的には、第2バルーンの膨張時作動直径範囲を上回る膨張時作動直径範囲を有している。バルーンのそれぞれは、弾性又は伸展性材料を備えており、カテーテルシャフトを貫いて伸びている2つの膨張ルーメンの1つを介して別々に膨らませることができる。膨張ルーメンは、それぞれ、膨張流体の供給源に取り付けられるように構成されている。1つの例示的な実施形態では、より大きい第1バルーンは、より小さい第2バルーンの近位側に隣接して設置されている。より大きい第1バルーンは、結石又はカスに係合し、相対的に大きい体内管腔、管道、又は通路を通して掻いてゆくように構成されているのに対し、より小さい第2バルーンは、結石又はカスに係合し、相対的に小さい体内管腔、管道、又は通路を通して掻いてゆくように構成されている。バルーンカテーテルのシャフトは、造影剤の注入又はワイヤガイドを通すための追加のルーメンを含んでいてもよい。
【0011】
本発明のもう1つの態様によれば、結石又はカスを体内管腔又は管道から摘出する方法が提供されている。本方法は、一方のバルーンが他方のバルーンの膨張時直径より大きい膨張時作動直径を有している一対の伸展性バルーンを有するバルーンカテーテルを提供する段階を含んでいる。バルーンカテーテルは、体内管道の第1部分の中へと、一対のバルーンが結石又はカスの「上流」に位置決めされるまで導入される。より大きいバルーンが、管道の内面に係合するように膨らまされる。次に、バルーンカテーテルは、近位方向へ、より大きいバルーンが結石又はカスに係合して管道の第1部分に沿って掻いてゆくまで引き出される。次に、より小さいバルーンが膨らまされ、より大きいバルーンは萎まされる。バルーンカテーテルは、次いで、近位方向へ、より小さいバルーンが結石又はカスに係合し、体内管道の第1部分の内径より小さい内径を有する体内管道の第2部分に沿って掻いてゆくまで更に引き出される。バルーンカテーテルの体内管道内への初期導入時にバルーンカテーテルを案内するのにワイヤガイドが採用されてもよい。結石又はカスの蛍光透視的観察が行えるように、造影剤がバルーンカテーテルを通して体内管道内へ注入されてもよい。
【0012】
上述の二部構成バルーンカテーテル及び使用法では、単一のバルーンカテーテルで結石又はカスを、比較的広い内径及び/又は形状範囲を有する体内管道から摘出できるようになり、その結果、異なるサイズ及び/又は形状の多数のバルーンカテーテルの必要性が無くなる。
【0013】
これら及び他の利点並びに本発明自体は、以下により詳しく記述されている構成及び動作の詳細の中で明らかになってゆくであろう。また、本発明の幾つかの態様は、他の型式のワイヤガイド、ワイヤガイド型カテーテル、及び他の医療装置と共に使用することもできるものと理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
これより本発明の実施形態を、一例として、添付図面を参照しながら説明してゆく。
【図1】本発明の二部構成摘出バルーンの或る例示的な実施形態の斜視図を示している。
【図2】結石を総胆管に沿って掻いてゆくように構成されている図1の二部構成摘出バルーンを示している図である。
【図3】結石をオディ括約筋を通って掻いてゆくように構成されている図1の二部構成摘出バルーンを示している図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を図面を参照しながら説明するが、図中、同様の要素は同様の番号で表わされている。本発明の各種要素の関係及び働きは、以下の詳細な説明によってより深く理解される。しかしながら、以下に説明されている本発明の実施形態は一例にすぎず、本発明は図面に示されている実施形態に限定されるものではない。また、図面は縮尺合わせされているわけではなく、場合によっては、製作及び組み立ての従来的詳細事項の様な、本発明の理解に必要でない詳細事項は省略されていることも理解されたい。
【0016】
概して、図1は本発明の二部構成摘出バルーン10の或る例示的な実施形態を示している。二部構成摘出バルーン10は、近位端14と遠位端16の間を伸びている細長いカテーテルシャフト12を備えている。カテーテルシャフト12の遠位端16付近には複数の伸展性バルーン18が固着されている。バルーン18のそれぞれは、カテーテルシャフト12を貫いて伸びている膨張ルーメン20と流体連通している。以下に更に詳しく説明されている様に、バルーン18のそれぞれは、各バルーン18と関係付けられている膨張ルーメン20を通して膨張流体を導入することによって独立して膨らませることができる。
【0017】
図示の特定の実施形態では、二部構成摘出バルーン10は、第1バルーン22と第2バルーン24を備え、両バルーンは共に天然ゴムラテックスの様な弾性又は伸展性材料を備えている。第1バルーン22は、第2バルーン24の近位側に設置されており、第2バルーン24のそれより大きい膨張時直径又は直径範囲を有している。具体的には、第1バルーン22は、15−20mmの間の範囲の膨張時作動直径を有し、より厳密には、15mmと18mmと20mmという3つの個別の膨張時直径を有している。第2バルーン24は、8.5−15mmの間の範囲の膨張時作動直径を有し、より厳密には、8.5mmと12mmと15mmという3つの個別の膨張時直径を有している。
【0018】
第1バルーン22又は第2バルーン24の固有の膨張時直径は、膨張流体の所定量を第1バルーン22又は第2バルーン24の内部容積の中へ導入することによって実現される。概して、第1バルーンと第2バルーンの膨張時直径の上限と下限(即ち、作動範囲)は、利用されているバルーン材料のサイズ、形状、及び種類に依存する。第1バルーン22又は第2バルーン24を作動範囲上端より大きい直径まで膨らませてしまうと、バルーンは破裂するかもしれない。加えて、過大膨張したバルーンは、患者の管道の形状に沿わせるには堅すぎ、その結果、バルーンが通り抜けられなくなるかもしれない。第1バルーン22又は第2バルーン24を、公称直径とも呼ばれる作動範囲の下端より小さい直径に膨らませてしまうと、大抵は、意図された機能を発揮することができないバルーン輪郭がもたらされる結果になるであろう。より厳密には、過小膨張したバルーンは、結石を哺乳類患者の管道に沿って掻いてゆくことを可能にする適切な形状及び/又は剛性を欠くことになる。加えて、過小膨張したバルーンの正確な直径を確定するのは難しいかもしれない。言い換えると、大きい方の第1バルーン22を、小さい方の第2バルーン24の範囲内に収まる直径である例えば12mmを実現するように中途半端に膨らませることは確かに可能である。しかしながら、過小膨張した第1バルーン22では、第1バルーン22が結石を患者の管道に沿って掻いてゆくのを可能にする所望の形状又は剛性を持てないであろう。
【0019】
以上に述べられている様に、第1バルーン22と第2バルーン24は、単一バルーンしか提供されなかった場合に可能になるはずの作動直径範囲より広い作動直径範囲を提供する。以下で本発明の二部構成摘出バルーン10を利用した例示的処置の記述に関連付けてより詳細に説明されている様に、複数のバルーン18によってもたらされるより広い作動直径範囲のおかげで、結石又は他のカスを異なる直径の管道又は構造を通って掻いてゆくのに、異なるサイズの複数のバルーンカテーテルを利用及び/又は交換する必要無しに、器械が使用できるようになる。
【0020】
図1に示されている実施形態は、第1バルーン22と第2バルーン24を備えているが、3つ以上のバルーンを利用することもできるものと理解されたい。3つ又はそれ以上のバルーンを使用すれば、器械の作動直径範囲がより広がるであろう。同様に、第1バルーン22と第2バルーン24は、それぞれ、概ね円形状の膨張時直径を備えているが、他の形状も利用することができよう。例えば、第2バルーン24に、長円形又は楕円形の形状を備えさせて、哺乳類患者体内の対応する形状をしている管道に整合させることもできよう。バルーン18の配設は、第2バルーン24の膨張時直径が第1バルーン22のそれを上回るように変更することもできよう。
【0021】
細長いカテーテルシャフト12は、所望の形状に押し出し成形された可撓性プラスチック材料を備えている。胆管利用を意図した図示の特定の実施形態では、シャフト12は、全長が200cmで、その実質部分に沿った直径が7フレンチである。シャフトの遠位部分は、内視鏡の作業チャネルを通しての患者体内への導入をやり易くするため、5フレンチまで漸減している。シャフト12の遠位端16はまた、無外傷性先端を提供するべく丸みが付けられているか又は先細になっていてもよい。シャフト12は、ワイヤガイドの様な、中に挿通されている他の装置が観察できるように透明又は半透明であってもよい。器械の使用が意図されている用途又は処置によっては、シャフト12に他の材料及び寸法が利用されていてもよい。例えば、シャフト12は、金属製の近位シャフト区間とプラスチック製の遠位シャフト区間の様に、異なる材料から製造された別々の近位シャフト区間と遠位シャフト区間を備えていてもよい。この型式の二部構成カテーテルシャフトは、剛直性の近位シャフト区間と可撓性の遠位シャフト区間を必要とする脈管用途に利用される場合が多い。
【0022】
カテーテルシャフト12は、その遠位端16付近に配置された1つ又はそれ以上の放射線不透過性マーカー56を備えていてもよい。図示の特定の実施形態では、カテーテルシャフト12は、第1バルーン22と第2バルーン24のそれぞれの端に隣接して配置された3つの放射線不透過性マーカー56を備えている。以下に更に詳細に説明されている様に、これらのマーカー56は、患者の体内管腔又は管道内の第1バルーン22と第2バルーン24の位置を蛍光透視的に判定するのに使用されている。適したマーカー56は、蛍光透視鏡で視認可能な金又は他の高密度材料を備えていてもよい。
【0023】
カテーテルシャフト12は、それを貫いて伸びている複数のルーメン26を備えている。最低でも、シャフト12はバルーン18毎に1つの膨張ルーメン20を備えている。よって、図1の実施形態は、第1バルーン22と流体連通している第1膨張ルーメン28と、第2バルーン24と流体連通している第2膨張ルーメン30を含んでいる。第1ルーメン28と第2ルーメン30は、それぞれ、第1バルーン22と第2バルーン24の内部とそれぞれに連通している、シャフト12の側壁を貫くポート又は開口32を備えている。膨張流体は、ルーメン28、30の中を通って、開口32経由でバルーン22、24の中へ流入してバルーン22、24を膨らませるか又はバルーン22、24から流出してバルーン22、24を萎ませる。
【0024】
図示の特定の実施形態では、シャフト12は更に造影剤注入用の第3ルーメン34を備えている。第3ルーメン34は、シャフト12の遠位端16付近の、第1バルーン22と第2バルーン24の遠位の開口又はポート36で終わっている。これにより造影剤を患者の管道内のバルーン22、24の遠位へ注入することができ、バルーンが膨らまされると、造影剤が管道内でバルーン22、24より「上流」に向かうか又はそこに閉じ込められる。この配設では、患者の管道の「上流」部分が蛍光透視を使用して観察できるようになる。代わりに、造影剤ポート36は、第1バルーン22と第2バルーン24の近位側に設置されていてもよい。その様な配設では、造影剤は管道内でバルーン22、24の「下流」に向かうか又はそこに閉じ込められることになり、管道の「下流」部分を蛍光透視下に観察できるようになる。2つの別々の造影剤ルーメンを、一方のルーメンはバルーンの遠位のポートで終わり、他方のルーメンはバルーンの近位のポートで終わるようにして、設けることもできる。
【0025】
図示の特定の実施形態では、シャフト12は更にワイヤガイドルーメン38を備えている。ワイヤガイドルーメン38は、ワイヤガイド102を摺動可能に挿通できるように構成されている(図2−図3を参照)。当業者には十分理解される様に、ワイヤガイドは、患者の管腔又は患者体内の目標領域内への初期アクセスを得るのに使用されることの多い比較的可撓性の細長い装置である。一旦、ワイヤガイドの遠位端が目標領域内、例えば総胆管内に配置されたら、続いてワイヤガイドを使用して追加の装置を目標領域の中へ案内することができる。これは、通常、追加の装置をワイヤガイド越しに前進させることにより行われる。例えば、ワイヤガイドの近位端が、シャフト12のワイヤガイドルーメン38に入れられ同ルーメンを通して進められてもよい。次いで、二部構成摘出バルーン10が、静止状態に保持されたワイヤガイドに沿って、シャフト12の遠位端16が患者体内の目標領域に到達するまで押し出される。ワイヤガイドルーメン38はまた、中に通して配置されるスタイレット又は剛直化部材を受け入れるように構成されていてもよい。スタイレット及び剛直化部材は、シャフト12の剛直性及び/又は「押し出し性能」を高めるのに採用される場合が多い。
【0026】
図示の特定の実施形態では、ワイヤガイドルーメン38は、シャフト12の遠位端16の遠位ポート40と、シャフト12の近位端14の近位ポート42を備えている。バルーン22、24から僅かな距離だけ近位側には中間ポート44も設けられている。中間ポート44は、ワイヤガイド102をシャフト12の最も遠位の部分だけに連結させることができるようにしており、それにより、より短尺のワイヤガイドが使用できるようになる。追加のポートは他の位置で利用されていてもよい。加えて、シャフト12は、ワイヤガイドルーメン38に隣接して、ワイヤガイドをワイヤガイドルーメン38から横方向に取り出せるように構成されている割ける材料を備えていてもよい。代わりに、シャフト12は、開口しているチャネル、スロット、又は弱体化部分(例えば、目打ち穴又は溝)を有する壁を備えていてもよい。
【0027】
シャフト12の近位端14にはハブ46が接続されている。ハブ46は、カテーテルシャフト12のルーメン26と流体連通している複数のコネクタ48を含んでいる。コネクタ48は、他の医療装置への取り付け、他の医療装置の導入、及び/又は流体又は治療薬の導入又は抜き取りに対応するように構成されている。例えば、膨張ルーメン20、30と流体連通している2つのコネクタ50は、シリンジの様な膨張流体側の供給源に接続されるように構成されている。具体的には、これらのコネクタ50は、それぞれ、シリンジ側の雄型ルアーフィッティングに接続されるように適合させている雌型ルアーフィッティングを含んでいる。同様に、造影剤ルーメン34と流体連通しているコネクタ52は、造影剤又は他の流体を供給するための医療用シリンジ又は他の装置への接続に適合させた雌型ルアーフィッティングを備えていてもよい。ワイヤガイドルーメン38と流体連通しているコネクタ54もまた、スタイレット又は他の医療装置に接続されるように適合させている雌型ルアーフィッティングを含んでいてもよい。
【0028】
コネクタ48は、どのコネクタ48が特定のルーメン26に関係付けられているかをユーザーが識別できるように、色分けされているか又は区別できる表示(例えば数字又はラベル)で印が付けられているのが望ましい。コネクタ48はまた、それらの識別と取り扱いを改善するべく異なる長さ及び/又は形状を有していてもよい。また、コネクタ48の1つ又はそれ以上の位置はハブ46より遠位とすることもできるものと理解されたい。例えば、ワイヤガイドルーメン38と流体連通しているコネクタ54は、シャフト12に沿ってハブ46から遠位側に僅かな距離だけ離間して設置することもできよう。その様な位置なら、中に通して配置されるワイヤガイド102の取り扱いが改善されるかもしれない。
【0029】
これより本発明の二部構成摘出バルーン10の或る例示的な使用方法を、哺乳類患者の総胆管からの結石の摘出(掻き出し)を示している図2−図3を参照しながら説明してゆく。図2に示されている様に、内視鏡100が患者体内へ挿入され、遠位端が十二指腸110の中でファータ乳頭112に隣接して位置決めされるまで進められる。ワイヤガイド102は、内視鏡100の作業(補助)チャネルを通して、その遠位端104が内視鏡100の遠位端から外に向けて伸びるまで進められる。ワイヤガイド102は、次に、乳頭112を通って総胆管114の中へと、ワイヤガイド102の遠位端104が患者の目標領域の中に配置されるまで、例えば結石又は他のカス付近に配置されるまで、更に進められる。次にワイヤガイド102を使用して、二部構成摘出バルーン10が内視鏡100を通して総胆管114の中へと進められる。次いで二部構成摘出バルーン10の遠位端16が、第1バルーン22と第2バルーン24がそれぞれ結石116から遠位又は「上流」に配置されるように位置決めされる。これは、カテーテルシャフト12の遠位端付近に配置されている放射線不透過性マーカー56の位置を蛍光透視的に観察することによって行われてもよい。次いで第1バルーン22が、図2に示されている様に、胆管114の内壁に実質的に係合できるほどの直径へ膨らまされる。次いで二部構成摘出バルーン10は近位方向に、第1バルーン22が結石116に係合するまで引き出される。二部構成摘出バルーン10を更に近位方向に動かすと、結石116は乳頭112に向かって動かされ又は掻き寄せられる。
【0030】
図3に示されている様に、二部構成摘出バルーン10は、結石116が乳頭112に隣接する位置へ動かされてしまうまで引き出される。これは、バルーン22、24の両脇の放射線不透過性マーカー56の位置を蛍光透視的に観察することによって行われてもよい。次いで第2バルーン24が膨らまされ、続けて第1バルーン22が萎まされる。次に二部構成摘出バルーン10は近位方向に、第2バルーン24が結石116に係合するまで引き出される。二部構成摘出バルーン10を更に近位方向に動かすと、結石116は乳頭112を通って十二指腸110の中まで動かされ又は掻き出され、十二指腸で結石は自然に体外へ排出されるか、鉗子又は摘出用バスケットの様な別の医療装置を用いて取り出されることになる。
【0031】
上述の例示的な処置では、二部構成摘出バルーン10は、摘出が必要な結石又は他のカスの識別を可能にするため、造影剤を総胆管114の中へ注入するのに使用されてもよい。これは、通常、結石に係合させて総胆管から掻き出す段階の前に行われる。しかしながら、二部構成摘出バルーン10は、処置の他の段階で、又は他の目的で、造影剤を総胆管114の中へ注入するのに使用されてもよい。例えば、造影剤は、在るかもしれない狭窄を観察するために総胆管114の中へ注入されてもよい。
【0032】
上述の例示的な処置では、本発明の二部構成摘出バルーン10に加え、他の医療装置が利用されてもよい。例えば、ファータ乳頭112を通してアクセスが得られるようにオディ括約筋を切るには、括約筋切開刀又はニードルナイフが使用されてもよい。造影剤を総胆管114の中へ注入するには、ERCPカテーテルが使用されてもよい。結石を破砕する又は取り出すには、砕石器又は摘出バスケットが使用されてもよい。これら他の装置の使用は、当業者にはよく知られている。
【0033】
更に、二部構成摘出バルーン10は、他の医療処置で、又は患者内部の他の体内管腔又は管道内で採用されてもよいものと理解されたい。例えば、上述の処置は、最初により小さいバルーンを使用して対象物を相対的に小さい管道を通して掻き、次により大きいバルーンを使用して対象物を相対的に大きい管道を通して掻くという具合に逆にすることもできよう。本発明はそれゆえ上述の例示的な処置に限定されない。
【0034】
本発明の実施形態として現時点で好適と考えられるものを説明してきたが、当業者には、それに対し本発明の精神から逸脱すること無く変更及び修正を加えてもよいことが認識されるであろう。本発明は、厳密に異なる器械又は使用法によって実施することもできるし、また器械の詳細事項及びその使用法の両方に関し、本発明の範囲そのものから逸脱すること無く様々な修正が成され得るものと理解されたい。
【符号の説明】
【0035】
10 二部構成摘出バルーン
12 カテーテルシャフト
14 近位端
16 遠位端
18 バルーン
20 膨張ルーメン
22 第1バルーン
24 第2バルーン
26 ルーメン
28 第1膨張ルーメン
30 第2膨張ルーメン
32、36 開口、ポート
34 造影剤ルーメン
38 ワイヤガイドルーメン
40 遠位ポート
42 近位ポート
44 中間ポート
46 ハブ
48、50、52、54 コネクタ
56 放射線不透過性マーカー
100 内視鏡
102 ワイヤガイド
104 遠位端
110 十二指腸
112 ファータ乳頭
114 総胆管
116 結石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二部構成摘出バルーンにおいて、
近位端と遠位端の間を伸びている細長いカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトの前記遠位端付近に固着されている第1の展開可能なバルーンであって、伸展性材料を備え、第1の最大作動直径へ展開させることのできる第1の展開可能なバルーンと、
前記カテーテルシャフトの前記遠位端付近に固着されている第2の展開可能なバルーンであって、伸展性材料を備え、第2の最大作動直径へ展開させることのできる第2の展開可能なバルーンと、を備えおり、
前記第1の最大作動直径は前記第2の最大作動直径を上回っている、二部構成摘出バルーン。
【請求項2】
前記第1の展開可能なバルーンは、前記第2の展開可能なバルーンに隣接して配置されている、請求項1に記載の二部構成摘出バルーン。
【請求項3】
前記第1の展開可能なバルーンは、前記第2の展開可能なバルーンの近位側に配置されている、請求項1に記載の二部構成摘出バルーン。
【請求項4】
前記第1の展開可能なバルーンと前記第2の展開可能なバルーンは、それぞれ、患者の内部身体管腔内の結石に係合するように構成されている、請求項1に記載の二部構成摘出バルーン。
【請求項5】
前記第1の展開可能なバルーンと前記第2の展開可能なバルーンは、それぞれ、前記カテーテルシャフトが近位方向に動かされると、結石を前記患者の内部身体管腔に沿って掻いてゆくように構成されている、請求項4に記載の二部構成摘出バルーン。
【請求項6】
前記カテーテルシャフトは、前記第1の展開可能なバルーンと流体連通している第1膨張ルーメンを備え、更に、前記第2の展開可能なバルーンと流体連通している第2膨張ルーメンを備えている、請求項1に記載の二部構成摘出バルーン。
【請求項7】
前記カテーテルシャフトの前記近位端にはハブが動作可能に接続されており、前記ハブは、前記第1及び第2の膨張ルーメンと流体連通している複数のコネクタを備え、前記複数のコネクタは、それぞれ、膨張流体の供給源に取り付けられるように構成されている、請求項6に記載の二部構成摘出バルーン。
【請求項8】
ワイヤガイドを中に通して摺動可能に受け入れるように構成されているワイヤガイドルーメンを更に備えている、請求項6に記載の二部構成摘出バルーン。
【請求項9】
前記ワイヤガイドルーメンは、前記カテーテルシャフトの前記遠位端の遠位ワイヤガイドポートと、前記カテーテルシャフトの前記近位端付近の近位ワイヤガイドポートの間を伸びている、請求項8に記載の二部構成摘出バルーン。
【請求項10】
前記カテーテルシャフトは、前記ワイヤガイドルーメンと流体連通している中間ワイヤガイドポートを備えており、前記中間ワイヤガイドポートは、前記第1の展開可能なバルーンと前記第2の展開可能なバルーンの近位側で且つ前記近位ワイヤガイドポートから或る実質的な距離だけ遠位側に設置されている、請求項9に記載の二部構成摘出バルーン。
【請求項11】
造影剤に中を通過させるように構成されている造影剤ルーメンを更に備えており、前記造影剤ルーメンは、前記カテーテルシャフトの側壁を貫いて伸びていて前記第1の展開可能なバルーンと前記第2の展開可能なバルーンの付近に配置されている造影剤ポートで終わっている、請求項6に記載の二部構成摘出バルーン。
【請求項12】
前記第1の展開可能なバルーンは、第1の膨張時断面形状を有し、前記第2の展開可能なバルーンは、第2の膨張時断面形状を有しており、前記第1の膨張時断面形状は前記第2の膨張時断面形状とは異なっている、請求項1に記載の二部構成摘出バルーン。
【請求項13】
前記第1の展開可能なバルーンは、第1の内部断面を有する第1の体内管腔に係合するように構成され、前記第2の展開可能なバルーンは第2の内部断面を有する第2の体内管腔に係合するように構成されており、前記第2の内部断面は前記第1の内部断面より小さい、請求項1に記載の二部構成摘出バルーン。
【請求項14】
前記第1の展開可能なバルーンは、第1の膨張時作動直径範囲を有し、前記第2の展開可能なバルーンは、第2の膨張時作動直径範囲を有しており、前記第1の膨張時作動直径範囲は第2の膨張時作動直径範囲を上回っている、請求項1に記載の二部構成摘出バルーン。
【請求項15】
前記第1の膨張時作動直径範囲は略15−20mmであり、前記第2の膨張時作動直径範囲は略8.5−15mmである、請求項14に記載の二部構成摘出バルーン。
【請求項16】
前記二部構成摘出バルーンは、患者の総胆管から結石を摘出するように構成され、前記カテーテルシャフトは、ファータ乳頭を通って前記患者の総胆管の中まで伸びることができるほどの長さを有し、前記第1の展開可能なバルーンは、膨らまされたとき、前記患者の総胆管の内面に係合するように構成され、前記第2の展開可能なバルーンは、膨らまされたとき、前記ファータ乳頭を通り抜けるように構成されている、請求項1に記載の二部構成摘出バルーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−507663(P2011−507663A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540800(P2010−540800)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/087456
【国際公開番号】WO2009/085971
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(591157154)ウィルソン−クック・メディカル・インコーポレーテッド (135)
【氏名又は名称原語表記】WILSON−COOK MEDICAL INCORPORATED
【Fターム(参考)】