説明

二酸化チタンナノ光触媒粉体、その製法及び装置

【課題】大量のエネルギーを消費するプラズマを使用することなく可視光活性の光触媒粉体を製造することが可能な方法を提供すること。
【解決手段】化学蒸着法を利用して二酸化チタン光触媒粉体を製造する方法であって、キャリヤガスによりチタニウム塩類を連続方式で反応槽内に注入して酸素と反応させ、反応槽の出口に接続される冷却収集器を介して収集して光触媒粉体を連続的かつ効果的に生成する。この反応により分散性の均一的なナノ二酸化チタン粉体を生成可能で、光触媒活性を有するアナタ−ゼ相が得られる。この光触媒は、光波長315〜700nm間のいずれも光触媒活性を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒の製法に関するもので、より詳細には、化学蒸着法により可視光活性を備える二酸化チタンナノ光触媒粉体、その製法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ナノ材料とは、そのサイズが1〜100ナノメートルの間であり、例えば、電気的、熱的、磁気的または光学的な特性が、大きいサイズの材料とは異なっている。また、ナノテクノロジーとは、各種の方法を利用して原子、または分子を直接的、または間接的に制御してナノ材料を生成すると共に、ナノ材料を制御して各分野に応用することが可能にする技術である。ナノ材料は半導体、金属、ポリマー、医療用バイオ材料およびナノカーボンチューブなどに幅広く応用されている。ナノ材料に係る特性の測定は、電気的、光学的、磁気的、熱的および化学的特性などを含む。ナノ材料の新規な特性を利用して工業上の触媒材料としての応用が可能になり、その材料のナノサイズ化により触媒の反応面積が高められる。また、ナノ材料のドーピング技術を応用して器具の機械強度を向上することができる。なお、半導体材料のナノサイズ化を利用して電子および電子ホールの高度な量子制限効果(Quantum confine effect)を生じさせ、半導体レーザーの発光効率および崩壊温度を上昇させることができる。また、半導体のナノサイズ化により、光電部品をより微細化することができるので、ナノテクノロジーにより、電気、光学、磁気および生化学部品の整合および集積化が実現できる。
【0003】
二酸化チタンナノ粒子は、光触媒として、既に生活環境の改善に広く応用され、かつ漸く多くの消費者に受け入れられつつある。二酸化チタン光触媒は、アナターゼ(Anatase)相をもち、その粒径は30nm以下であり、波長388nmより小さい紫外線により活性化された後、二酸化チタン粒子の表面に活性物質を生じさせ、さらに汚染物質の酸化、また還元反応を行うことができる。また、その表面からの酸素原子の離脱により、高度な親水性の特性になるため、結露防止、防塵などの自己清浄機能を備えることができる。二酸化チタン光触媒は応用性が広く、例えば汚染物質の除去、空気浄化、水質浄化、消臭、抗菌、防塵、結露防止などの環境浄化機能が備えられ、なお、ドーピングされた光触媒を利用して光ファイバーから光源を導入してガン細胞の増殖を抑制する上に、ガン細胞を消滅することも可能とする医療効果が備えられる。
【0004】
光触媒の二酸化チタン粉体は、通常、主にゾル−ゲル法により製造される。しかし、このゾル−ゲル法によれば、前駆体溶液を攪拌しながら混合する前処理、脱水縮合、沈殿物の長時間定温乾燥を介し、さらに後処理の高温焼成により、始めて生成物が得られる。該製法については、その作業が煩雑で、時間も長く費やされ、その上、生成量がロット反応によりしか生産できないため、産量が限られて、実質的な連続的量産の目標を達成できない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
今まで、当技術分野において、化学蒸着法(CVD)を利用して光触媒薄膜を製造する方法が提案されていたが、生成物が粉体態様で、かつ可視光活性を有する技術は存在しなかった。他にも、CVDとプラズマ改質法とを結合して可視光の光触媒を生成する技術が開示されている。それに対し、前記の従来技術と比較して本発明は大量エネルギーを消費するプラズマを使用することなく可視光活性の光触媒粉体を製造することができると同時に、本発明により製造した二酸化チタン光触媒は、太陽エネルギーの応用がより効果的である。
【0006】
本発明は、前記液相ゾル−ゲル法により光触媒粉体を製造する技術の欠点に鑑みて、化学蒸着法により二酸化チタンを製造することに特徴を有する。反応条件の制御において、粒径の小さい、分散性の良い、且つ完全なアナターゼを有する二酸化チタンナノ光触媒粉体を生成して高効能な紫外線および可視光の触媒活性を備えることが可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、二酸化チタンナノ光触媒粉体の製法を提供することを目的とし、反応槽を提供する工程と、前記反応槽の温度を500〜1000℃まで上昇させると共に、真空度を20トル以下に設定する工程と、キャリヤガスおよび酸素含有気体を前記反応槽に注入する工程と、前記キャリヤガスを利用してチタニウム塩類を反応槽に送入して酸素含有気体中の酸素と反応させる工程と、冷却収集器を利用して、反応槽中に生成した二酸化チタンナノ光触媒粉体を冷却して収集することにより粉体の凝集沈積を回避する工程と、を含む。
本発明のより好ましい具体的な実施例によれば、前記製法には、さらにキャリヤガスを利用して反応槽に残された気体を取除く工程が含まれる。
【0008】
また、本発明は、可視光活性の二酸化チタン光触媒粉体を提供することを他の目的とし、その二酸化チタン光触媒粉体は、本発明の方法により製造されるものである。前記光触媒粉体は、アナターゼ相で、粒径が20nmより小さく、かつ2%以下の炭素原子を含み、光波長は365nm以下の紫外線の波長範囲および365nmないし700nmの可視光の波長範囲の光源により照射して光触媒活性を備えるものである。
【0009】
本発明は、さらに二酸化チタンナノ光触媒粉体を製造する装置を提供することを他の目的とし、二酸化チタンナノ光触媒粉体を製造するための化学蒸着環境を提供するための反応槽と、前記反応槽の温度を調整するための温度制御ユニットと、前記反応槽と接続されて反応槽中にて反応するのに必要なキャリヤガス、酸素含有気体およびチタニウム塩類を提供するための物質流制御ユニットと、前記反応槽に負圧を提供するための真空ポンプと、粉体が凝集しないように、前記反応槽と真空ポンプとを連結して前記反応槽にて生成した二酸化チタンナノ光触媒粉体を冷却して収集するための冷却収集器と、を含む。
【0010】
本発明の装置および方法を利用して二酸化チタンナノ光触媒粉体を製造すれば、その工程が簡単で、かつ時間を節約できるだけでなく、連続的に生産する目的も達成できるものである。アナターゼ結晶相をもつ二酸化チタンは、光触媒の使用に適している。結晶相のルチル(Rutile)である場合では不適となる。従来、蒸着(気相)法により生成された二酸化チタン粉体の何れも、アナターゼ相とルチル相とが共に存在しているので、その光触媒効果に影響することになる。それに対して、本発明の方法によれば、その合成温度をより精確に制御できるので、より結晶性の良いアナターゼ相をもつ光触媒粉体を生成することができる。そして、従来の液相法により製造された光触媒と比較すると、液相法による光触媒粉体を合成するためには、脱水縮合、乾燥、焼成などの工程が必要となるので、手続きが複雑で、かつ時間が多く費やされる。したがって、本発明の製法により、後続の多くの煩雑な工程を排除でき、さらに製造に必要な時間も節約でき、なおかつ、本発明によって製造した光触媒を利用して紫外線および可視光による触媒活性を備えることもできるので、太陽エネルギーの使用効率が高められると共に、光触媒の使用分野もさらに広げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明によって提供される化学蒸着法を利用して可視光活性二酸化チタン光触媒粉体を製造する装置100は、図1に示すように、反応槽1、温度制御ユニット2、物質流制御ユニット3、冷却収集器4および真空ポンプ5を含む。化学蒸着法は、高温および真空中において行わなければならないため、反応槽1は、高温、または真空に耐え得るものが必要とされる。そのため、本発明の実施形態に使用される反応槽1は、その高温および真空に耐え得る性質を備える石英管である。そして、反応時に必要な高温は高温炉(上記温度制御ユニット2)に石英管を配置して加熱することによって達成できる。前記物質流制御ユニット3の具体的な実施状態では、調節弁を有する複数の管路が反応槽1の入口に接続され、それらの複数の管路により化学蒸着の反応に必要なキャリヤガス、酸素含有気体およびチタニウム塩類が反応槽1中に送入され、各反応物またはキャリヤの送入される流量は、各管路の調節弁により制御される。
【0012】
本発明の二酸化チタン光触媒粉体の製法を、図2に従い、図1の装置と合わせて詳しく説明する。まず、反応槽1を提供する。次に反応槽1の温度を上昇させ、かつ、真空にする。この方法では、まず温度制御ユニット2を用いて反応槽1の温度を500〜1000℃まで上昇させる。より好適な温度範囲は500〜800℃である。また温度を上昇させると同時に、真空ポンプ5にて吸引して反応槽1および冷却収集器4が操作過程において真空状態に維持される。その必要な真空度範囲は、20トル以下であって、温度が上昇させられると同時に物質流制御ユニット3を利用してキャリヤガスを反応槽1内に送入させ、管内に残された余計な気体を取除く。またキャリヤガスとしては、化学蒸着に関与しない不活性気体、例えば窒素、アルゴンまたはヘリウムを選択することができる。
また、物質流制御ユニット3は、キャリヤガスを制御して反応槽1に送入する他、酸素含有気体や、反応させられるチタニウム塩類の送入量をも制御でき、また前記物質流制御ユニット3は、複数の管路および調節弁を合わせて使用することによって、キャリヤガス、酸素含有気体およびチタニウム塩類の送入量を調節することが可能である。従って、温度及び真空度が反応条件に達した場合、物質流制御ユニット3を利用して酸素含有気体を反応槽1内に送入することができる。そして、さらに物質流制御ユニット3を利用してチタニウム塩類がキャリヤガスにより反応槽1内に送入されることで、チタニウム塩類と酸素含有気体中の酸素とは反応槽1において反応して、二酸化チタン粉体を形成する。本発明のチタニウム塩類としては、Ti[OCH2CH(C2H5)(CH2)3CH3]4、[CH3CH(O)CO2NH4]2Ti(OH)2、Ti[RCH2(C2H5)CH(R’)C3H7]4または化学構造式のTi(OR“)4アルキルチタネートを選択することができる。ここで、R及びR’がOまたはOH、R”=CnH2n+1、n=2〜15である。反応が進むに従って、二酸化チタン粉体は継続的に衝突して凝集することによって粉体の粒径が大きくなる。この現象を避けるためには、真空ポンプ5が提供する負圧を利用して反応槽1に化学蒸着法に適する環境を形成すると共に、反応槽1中にて反応して形成された二酸化チタンナノ光触媒粉体を、反応槽1から引き離して冷却収集器4に収集する。本発明の実施形態においては、水冷式冷却収集器を使用し、その冷却収集器を効果的に発揮するために、5℃以下の冷却水を流れ込ませて冷却収集器4に入った二酸化チタン粉体が迅速に冷却され、継続的な加熱による凝集現象が避けられると同時に、粉体をアナターゼ相の状態で冷却させることで、ルチル相へ遷移することが回避され得る。
【0013】
本発明の化学蒸着法により製造する二酸化チタン粉体は、紫外線、または可視光の範囲内の何れにおいても光触媒の活性効果を有している。その粒径は、図3に示すように、大きさが5〜20nmの範囲であり、図5のXRD図(X線回折図)に示すように、その結晶相はアナターゼ相である。図6のX線エレクトロスペクトラム分析図から、本発明の二酸化チタン粉体は、2%以下の炭原子を含有することがわかる。
【実施例】
【0014】
以下の実施例は、本発明の利点をより理解するためのもので、本願の特許請求の範囲を制限するものではない。
化学蒸着法により可視光活性の二酸化チタンナノ光触媒粉体を製造する。
まず、反応槽とする石英管を700℃の温度まで上昇させ、温度上昇中にポンプにより石英管反応器の圧力が10トル以下に維持され、さらに40sccm(cm/分)の窒素を石英管内に送入して管内の余計な気体を除去する。その温度が700℃まで達した時、石英管内に送入する酸素を200sccmの所定量に調整すると共に、温度が5℃以下の冷却水を冷却収集器に導入する。さらに、アルキルチタネートをキャリヤガスの窒素で、1ml/minの流速により石英管に送入することで、アルキルチタネート及び酸素は、700℃の石英管内にて反応して二酸化チタン粉体を形成する。次に、ポンプが提供する負圧を利用して反応槽に生成された二酸化チタンナノ光触媒粉体が反応槽から離脱するように導引され、かつ5℃より低い冷却水を導入する冷却収集器に収集される。
【0015】
図7は、本発明に従って製造した二酸化チタンナノ光触媒粉体の、緑光LEDにおいての活性測定図を示し、JIS R 1701-1の標準測定法にて、光触媒を用いてNOX減成(degradation)して、その中間生成物を観察したものである。表1は、本発明の二酸化チタン光触媒による、それぞれ異なった光の波長においてNOXの減成、およびNOの中間生成物の生成率を示すものである。NOの毒性がNOより高いため、NOのしきい値は3ppmであり、NOのしきい値は25ppmである。もし光触媒が反応した中間生成物がさらに毒性を有する場合、光触媒の実用性に影響することになる。
【0016】
図7および表1から、可視光500〜600nmの照射により、NOが効果的に減成し、一方、異なった光の波長の反応条件においても、NO濃度は光波長の増加に伴ってその濃度が増加することなく、二次的汚染物の生成が効果的に回避され、可視光を利用して汚染物を有効に除去することができる。
【0017】
【表1】

【0018】
比較例1:可視光の照射により市販の二酸化チタン光触媒と本発明の二酸化チタン光触媒との触媒作用によるNOの活性減成の比較
本発明において窒素酸化物(NOX)の減成実験により光触媒の触媒作用効果を証明することになる。濃度1ppmvのNOを汚染物の除去標準とし、光触媒作用によりNOを減成する反応系流れは、JIS R 1701-1の標準測定方法に従ったものである。測定光源は、それぞれ捕虫ランプ315〜400nm、青色LED435〜500nm、緑色LED500〜600nmとした。光触媒活性の比較対象として、本発明の反応温度500℃から製造された光触媒粉体と市販の二酸化チタン光触媒の、ホムビカット(Hombikat)UV100、イシハラ(Ishihara)ST01およびデグサP25の三種類を採用した。その結果を、表2に示す。
【0019】
【表2】

【0020】
表2の比較結果によると、捕虫ランプ(315〜400nm)の照射の際に、本発明の二酸化チタン光触媒の光触媒作用によりNOXを分解する効果と、市販の粉体による効果とは略一致している。一方、、青色LED(435〜500nm)の照射においては、本発明の実施例によるNOX光触媒作用により分解された効果は、市販の粉体の約1.5倍であり、また緑色LED(500〜600nm)の照射においては、その反応効果がさらに市販の粉体の7倍強であることがわかる。従って、本発明の光触媒の効果は、市販のものより良好である。そして、太陽光のエネルギーには、紫外線域より可視光部分の方が多く分布される。そのため、実際の応用の際に、本発明の光触媒粉体は、太陽光エネルギーをより効果的に吸収して化学エネルギーに転換することができる。
【0021】
比較例2:異なった蒸着温度の二酸化チタン光触媒によるNOの活性減成の比較
異なった蒸着温度(500℃〜1000℃)で生成された二酸化チタン光触媒を光触媒活性の比較対象とする。表3に示すように、蒸着により生成された光触媒活性間の比較によれば、800℃で生成された粉体では、紫外線をエキシマ光源としてのより好ましい除去率は80%で、600-700℃で生成された粉体では、青色LED部分の除去率が50%で、かつ500℃で生成された粉体では、緑色LED部分の除去率が40%に近いことがわかる。そして、反応槽の温度が500〜800℃の場合、可視光および紫外線エネルギーによって励起した光触媒の活性が良い。また1000℃で生成した光触媒粉体では、捕虫ランプ及び青色LEDの照射においての光触媒の活性は、その効果が市販の光触媒の効果に相当しているが、緑色LEDの照射では、市販の光触媒より優れていることがわかった。光触媒を製造するに際して、反応槽の温度を上昇して1000℃を超えた場合、得られた粉体の結晶粒径が大きく、なお有効的な炭素原子が減少されるので、光触媒の触媒活性がなくなる。
【0022】
【表3】

【0023】
比較例3:光触媒を冷却収集器を使用して収集した場合と、使用せずに収集した場合の、除去されたNOXの活性の比較
蒸着温度を500℃に制御して二酸化チタン触媒を生成したが、その製造の際に、一組は冷却収集器を使用し、他の一組は冷却せずに直接に収集した。これにより除去されたNOXの活性を比較して表4に示す。
図3は冷却装置を介して収集された光触媒粉体のSEM図であり、図4は冷却収集器を使用せずに収集された粉体のSEM図である。図4から明らかなように、二酸化チタン粉体が略100〜500nmの粒径に凝集され、その結晶粒は、図3より大きくなることは明らかであって、粉体の分散性も明らかに低下している。そして、表4からも明らかなように、紫外線または可視光範囲内の何れの場合にも、冷却して収集された粉体の活性は直接収集された粉体より遥かに大きく、紫外線においては、その活性の違いは略5倍になり、また、可視光において冷却せずに収集された粉体には、明らかな光触媒活性が見られない。従って、冷却収集器を利用して収集することは可視光の光触媒を製造するための重要な工程であることがわかった。
【0024】
【表4】

【0025】
本発明の実施方法は、既に前記の実施例において詳しく記載され、当技術分野に習熟しているものが本発明の説明に基づいて、本発明の精神及び範囲から離脱せずに変更、または修正することができるので、その他の実施態様も本発明の特許請求の範囲に含まれることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明による二酸化チタンナノ光触媒粉体を製造する装置の概略図。
【図2】本発明における二酸化チタンナノ光触媒粉体の製造方法のフローチャート。
【図3】本発明により製造した、冷却収集器を介して収集した二酸化チタンナノ光触媒粉体の電子顕微鏡の影像図。
【図4】本発明により製造した、冷却収集器を用いずに収集した二酸化チタンナノ光触媒粉体の電子顕微鏡の影像図。
【図5】本発明により製造した二酸化チタンナノ光触媒粉体の結晶相の分析図。
【図6】本発明により製造した二酸化チタンナノ光触媒粉体のX線エレクトロスペクトラム分析図。
【図7】本発明により製造した二酸化チタンナノ光触媒粉体が緑色LEDランプの照射においての活性測定図。
【符号の説明】
【0027】
1…反応槽、2…温度制御ユニット、3…物質流制御ユニット、4…冷却収集器、5…真空ポンプ、100…二酸化チタンナノ光触媒粉体の製造装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光活性を備えた二酸化チタンナノ光触媒粉体の製法であって、
反応槽を提供する工程と、
前記反応槽の温度を500〜1000℃まで上昇させ、かつ真空度を20トル以下に設定する工程と、
前記反応槽にキャリヤガス及び酸素含有気体を注入する工程と、
前記キャリヤガスによりチタニウム塩類を反応槽中に送入して前記酸素含有気体中の酸素と反応させる工程と、
冷却収集器を利用して、反応槽に生成した二酸化チタンナノ光触媒粉体を冷却して収集し、前記粉体の凝集沈積を回避する工程と
を含むことを特徴とする二酸化チタンナノ光触媒粉体の製法。
【請求項2】
前記反応槽は、石英管である、請求項1記載の製法。
【請求項3】
前記反応槽の温度は、500〜800℃である、請求項1記載の製法。
【請求項4】
前記真空度は、10トル以下である、請求項1記載の製法。
【請求項5】
前記キャリヤガスは、窒素、アルゴンまたはヘリウムである、請求項1記載の製法。
【請求項6】
前記キャリヤガスは、窒素である、請求項5記載の製法。
【請求項7】
前記酸素含有気体は、気体酸素または空気である、請求項1記載の製法。
【請求項8】
前記酸素含有気体は、気体酸素である、請求項7記載の製法。
【請求項9】
前記チタニウム塩類は、Ti[OCH2CH(C2H5)(CH2)3CH3]4、[CH3CH(O)CO2NH4]2Ti(OH)2またはTi[RCH2(C2H5)CH(R’)C3H7]4を含み、R及びR’がOまたはOHである、請求項1記載の製法。
【請求項10】
前記チタニウム塩類は、構造式のTi(OR”)4を含むアルキルチタネート、R”=CnH2n+1、n=2〜15である、請求項1記載の製法。
【請求項11】
キャリヤガスを利用して反応槽に残された気体を取除く工程をさらに備える、請求項1記載の製法。
【請求項12】
請求項1記載の製法により製造された可視光活性を備えた二酸化チタンナノ光触媒粉体であって、前記二酸化チタンナノ光触媒粉体がアナターゼ相で、その粒径は、20nmより小さく、2%以下の炭素原子を含み、波長365nm以下の紫外線波長の範囲及び365ないし700nmの可視光波長範囲の光源の照射において光触媒活性を有することを特徴とする二酸化チタンナノ光触媒粉体。
【請求項13】
二酸化チタンナノ光触媒粉体を製造する装置であって、
化学蒸着環境を提供するための反応槽と、
前記反応槽の温度を制御するための温度制御ユニットと、
前記反応槽と接続され、その反応槽に、キャリヤガス、酸素含有気体及びチタニウ塩類を提供するための物質流制御ユニットと、
前記反応槽に負圧を提供するための真空ポンプと、
前記反応槽および真空ポンプに接続され、前記反応槽において生成された二酸化チタンナノ光触媒粉体を冷却して収集することによって粉体の凝集沈積を回避するための冷却収集器と、
を含むことを特徴とする二酸化チタンナノ光触媒粉体を製造する装置。
【請求項14】
前記反応槽は、石英管である、請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記温度制御ユニットは、高温炉である、請求項13記載の装置。
【請求項16】
前記物質流制御ユニットは、調節弁を有する複数の管路からなり、前記複数の管路が前記キャリヤガス、酸素含有気体およびチタニウム塩類を反応槽中に注入するためのものであり、注入される流量が管路の調節弁により制御される、請求項13記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−88141(P2006−88141A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−81346(P2005−81346)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(598132657)インダストリアル テクノロジー リサーチ インスティチュート (26)
【Fターム(参考)】