説明

二酸化塩素ガス発生剤パックならびにその製造方法および保存方法

【課題】殺菌、消毒および消臭が必要な領域への携帯に適した二酸化塩素ガス発生剤パックならびにその製造方法および保存方法を提供する。
【解決手段】本二酸化塩素ガス発生剤パック1は、亜塩素酸塩粉末と、ガス発生調節剤粉末と、吸湿剤粉末と、吸水性樹脂粉末と、活性化剤粉末と、の混合物を含む二酸化塩素ガス発生剤10と、二酸化塩素ガス発生剤10を収納する水蒸気および二酸化塩素ガスを透過するガス透過性膜容器20と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯に適した二酸化塩素ガス発生剤パックならびにその製造方法および保存方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生活環境における衛生向上の観点から、殺菌剤、消毒剤および/または消臭剤として、エチルアルコール、次亜塩素酸ナトリウム水溶液、ベンザルコニウム塩化物水溶液などが用いられている。
しかし、これら従来の殺菌剤、消毒剤および/または消臭剤は、ノロウイルス、インフルエンザウイルス、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、緑膿菌などに対する殺菌効果および/または消毒効果が必ずしも十分ではなく、ハウスダスト、花粉などを媒介とする病原菌、アレルギー性物質などに対する殺菌効果または消毒効果が必ずしも十分ではなく、糞尿などに対する消臭効果が必ずしも十分ではなく、また、その使用濃度および使用量が多い場合には人体に対する副作用も発生し、その使用後の臭いの残存および腐食による弊害が発生するなどの問題がある。
【0003】
二酸化塩素ガスは、強力な酸化力を有しているため、上記の従来の殺菌剤、消毒剤および/または消臭剤に比べて、極めて高い殺菌効果、消毒効果および消臭効果を有している。このため、殺菌剤、消毒剤および/または消臭剤としての二酸化塩素ガスを発生させる方法、液剤および組成物などが提案されている。
【0004】
たとえば、特開平11−278808号公報(特許文献1)は、溶存二酸化塩素ガス、亜塩素酸塩およびpH調整剤を構成成分に有する純粋二酸化塩素液剤、純粋二酸化塩素液剤および高吸水性樹脂を含有するゲル状組成物、純粋二酸化塩素液剤および泡剤を含有する発泡性組成物、ゲル状組成物および発泡性組成物のいずれかを入れるための容器などを開示する。また、特開2006−321666号公報(特許文献2)は、亜塩素酸塩水溶液に、活性化剤としてさらし粉またはイソシアヌル酸類と、ガス発生調節剤と、吸水性樹脂と、を添加し、ゲル化させて得られるゲル状組成物から二酸化塩素ガスを持続的に発生させる二酸化塩素ガスの発生方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−278808号公報
【特許文献2】特開2006−321666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特開平11−278808号公報(特許文献1)および特開2006−321666号公報(特許文献2)に開示された方法により発生させた二酸化塩素ガスは、気体であるため、拡散によって広い領域まで、その殺菌効果、その消毒効果、およびその消臭効果を発揮することができるが、二酸化塩素ガスを発生させる位置から遠い領域ほど、その殺菌効果、その消毒効果、およびその消臭効果が低減するという問題点があった。また、上記の特開平11−278808号公報(特許文献1)および特開2006−321666号公報(特許文献2)に開示された二酸化塩素ガスの発生方法においては、溶存二酸化塩素ガスおよび/または亜塩素酸塩と、pH調整剤または活性化剤と、を反応させるため、反応の開始時に発生する二酸化塩素ガスが多く携帯に適さないという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明は、殺菌、消毒および消臭が必要な領域への携帯に適した二酸化塩素ガス発生剤パックならびにその製造方法および保存方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、亜塩素酸塩粉末とガス発生調節剤粉末と吸湿剤粉末と吸水性樹脂粉末と活性化剤粉末との混合物を含む二酸化塩素ガス発生剤と、二酸化塩素ガス発生剤を収納する水蒸気および二酸化塩素ガスを透過するガス透過性膜容器と、を含む二酸化塩素ガス発生剤パックである。
【0009】
また、本発明は、上記の二酸化塩素ガス発生剤パックを気密性容器内で保存する二酸化塩素ガス発生剤パックの保存方法である。
【0010】
また、本発明は、亜塩素酸塩粉末とガス発生調節剤粉末とを混合してA剤を調製する工程と、吸湿剤粉末と吸水性樹脂粉末と活性化剤粉末とを混合してB剤を調製する工程と、水蒸気および二酸化塩素ガスを透過するガス透過性膜容器内にA剤とB剤とを収納する工程と、ガス透過性膜容器内でA剤とB剤とを混合して二酸化塩素ガス発生剤を調製する工程と、を含む二酸化塩素ガス発生剤パックの製造方法である。
【0011】
本発明にかかる二酸化塩素ガス発生剤パックの製造方法において、ガス透過性膜容器内にA剤とB剤とを収納する工程後に、A剤とB剤とが収納されたガス透過性容器を気密性容器内に収納する工程をさらに含み、ガス透過性膜容器内でA剤とB剤とを混合して二酸化塩素ガス発生剤を調製する工程を気密性容器内で行なうことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、殺菌、消毒および消臭が必要な領域への携帯に適した二酸化塩素ガス発生剤パックならびにその製造方法および保存方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明にかかる二酸化塩素ガス発生剤パックの一例を示す概略図である。
【図2】本発明にかかる二酸化塩素ガス発生剤パックの製造方法の一例を示すフローチャートである。
【図3】本発明にかかる二酸化塩素ガス発生剤パックの保存方法の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施形態1]
図1を参照して、本発明の一実施形態である二酸化塩素ガス発生剤パック1は、亜塩素酸塩粉末と、ガス発生調節剤粉末と、吸湿剤粉末と、吸水性樹脂粉末と、活性化剤粉末と、の混合物を含む二酸化塩素ガス発生剤10と、二酸化塩素ガス発生剤10を収納する水蒸気および二酸化塩素ガスを透過するガス透過性膜容器20と、を含む。本実施形態の二酸化塩素ガス発生剤パック1は、二酸化塩素ガス発生剤10が水蒸気および二酸化塩素ガスを透過するガス透過性膜容器20内に収納(詳細には密封して収納)されているため、空気中の水蒸気(湿気)がガス透過性膜容器20を通って二酸化塩素ガス発生剤10に接触し、二酸化塩素ガス発生剤10中に取り込まれた水蒸気の水分により亜塩素酸塩粉末と活性化剤粉末とが徐々に反応して二酸化塩素ガスが徐々に生成し、生成した二酸化塩素ガスがガス透過性膜容器20を通って二酸化塩素ガス発生剤パック1の外に放出される。
【0015】
本実施形態の二酸化塩素ガス発生剤パック1は、殺菌、消毒および消臭が必要な領域への携帯に好適である。また、本実施形態の二酸化塩素ガス発生剤パック1を手のひらなどで数回たたくことによって、二酸化塩素ガス発生剤パック1から発生した二酸化塩素ガスを手のひらなどに接触させることにより、手のひらなどを殺菌、消毒および消臭することができる。
【0016】
{二酸化塩素ガス発生剤}
二酸化塩素ガス発生剤10は、亜塩素酸塩粉末と、ガス発生調節剤粉末と、吸湿剤粉末と、吸水性樹脂粉末と、活性化剤粉末と、の混合物を含む。二酸化塩素ガス発生剤10は、これらの粉末を含んでいるため、空気中の水蒸気(湿気)を水分として取り込んで、亜塩素酸塩粉末と活性化剤粉末とを徐々に反応させて二酸化塩素ガスを徐々に発生させることができる。
【0017】
(亜塩素酸塩粉末)
亜塩素酸塩粉末とは、亜塩素酸塩の粉末であり、水分の存在下、活性化剤粉末と反応して二酸化塩素ガスを生成させるものであれば特に制限はなく、たとえば、亜塩素酸ナトリウム(NaClO2)粉末、亜塩素酸カリウム(KClO2)粉末、亜塩素酸リチウム(LiClO2)粉末のような亜塩素酸アルカリ金属塩粉末、亜塩素酸カルシウム(Ca(ClO22)粉末、亜塩素酸マグネシウム(Mg(ClO22)粉末、亜塩素酸バリウム(Ba(ClO22)粉末のような亜塩素酸アルカリ土類金属などが挙げられる。これらの中で、亜塩素酸ナトリウム粉末は、食品添加物に指定されていることから、安全性が高く、入手しやすく、使用上の制限も少ない。亜塩素酸ナトリウム粉末は、市販品の86質量%品または79質量%品などが好適に使用できる。
【0018】
(ガス発生調節剤粉末)
ガス発生調節剤粉末とは、水分の存在下で亜塩素酸塩粉末と活性化剤粉末との反応により生成した二酸化塩素ガスを二酸化塩素ガス発生剤10から持続的に発生させるための粉末をいう。すなわち、ガス発生調節剤粉末は、二酸化塩素ガスの生成量が大量のときはその二酸化塩素ガスの少なくとも一部を表面および/または内部に保持し、二酸化塩素ガスの生成量が減少または無くなったときは保持していた二酸化塩素ガスを放出することにより、二酸化塩素ガスを二酸化塩素ガス発生剤から持続的に発生させる機能を有する。
【0019】
ガス発生調節剤は、二酸化塩素ガスの発生を効率よく分散できるものであれば材質および形状に特に制限はないが、二酸化塩素ガスを多く保持できる観点から、表面積が大きい多孔質のものが好ましく、セピオライト、モンモリロナイト、ケイソウ土、タルクおよびゼオライトからなる群から選ばれる少なくともいずれかであることが好ましい。また、表面積を大きくする観点から、粉状、粒状、平板状、繊維状および/または多孔質であることが好ましい。
【0020】
上記のガス発生調節剤のうちで、二酸化塩素ガスの保持および放出に優れている観点から、セピオライトが好ましい。ここで、セピオライトは、ケイ酸マグネシウム塩の天然鉱物であって化学式はMg8Si1230(OH24(OH)4・8H2Oといわれており、その結晶構造は繊維状で表面に多数の溝を有すると共に、内部に筒型トンネル構造のクリアランスを多数有し、非常に表面積の大きい物質である。なお、セピオライトには、外観が明瞭な繊維状を示す長繊維状(α型)セピオライトと、外観が塊状または粘土状を示す短繊維状(β型)セピオライトとがあり、アスベスト(繊維長5μm以上およびアスペクト比3以上の繊維状形態のトレモライト)が混入する場合がなく安全性の観点から、短繊維状セピオライトが好ましい。長繊維状セピオライトは主に中国で産出され、短繊維状セピオライトは、主にスペイン、トルコ、アメリカで産出される。市販品としては商品名ミラクレー(近江鉱業社製)などが挙げられる。
【0021】
(吸湿剤粉末)
吸湿剤粉末とは、空気中の水蒸気(湿気)をガス透過性膜容器20を通して吸収して水分を二酸化塩素ガス発生剤10に供給する粉末をいい、亜塩素酸塩粉末と活性化剤粉末との反応により二酸化塩素ガスを生成させる機能を有する。吸湿剤粉末は、特に制限はないが、吸湿性が高い観点から、塩化カルシウム(CaCl2)粉末、塩化ナトリウム(NaCl)粉末、酸化マグネシウム(MgO)粉末などが好ましい。
【0022】
(吸水性樹脂粉末)
吸水性樹脂粉末とは、吸湿剤粉末により二酸化塩素ガス発生剤10に供給された水分を吸収かつ保持して二酸化塩素ガス発生剤10中の亜塩素酸塩粉末と活性化剤粉末との反応を促進させる樹脂粉末をいい、亜塩素酸塩粉末と活性化剤粉末との反応により生成した二酸化塩素ガスを保持することにより、ガス発生調節剤粉末と同様に、二酸化塩素ガス発生剤10からの二酸化塩素ガスの発生を調節する機能をも有する。吸水性樹脂粉末は、水分を吸収かつ保持して二酸化塩素ガス発生剤10から二酸化塩素ガスを生成させかつ生成した二酸化塩素ガスを保持するものであれば特に制限はないが、二酸化塩素ガスの保持性が高い観点から、デンプン系吸水性樹脂粉末、セルロース系吸水性樹脂粉末、合成ポリマー系吸水性樹脂粉末などが好ましい。デンプン系吸水性樹脂粉末としてはデンプン/ポリアクリル酸系樹脂(三洋化成社製、粉末)などがあり、合成ポリマー系吸水性樹脂としては架橋ポリアクリル酸系樹脂粉末、イソブチレン/マレイン酸系樹脂粉末、ポパール/ポリアクリル酸塩系樹脂粉末、ポリアクリル酸塩系樹脂粉末などがあり、具体的にはポリアクリル酸ナトリウム粉末などが用いられる。
【0023】
(活性化剤粉末)
活性化剤粉末とは、亜塩素酸塩と反応して二酸化塩素ガスを生成させる粉末をいい、特に制限はなく、無機酸粉末、有機酸粉末、さらし粉、イソシアヌル酸類粉末などが用いられる。
【0024】
無機酸粉末としては、特に制限はなく、水素塩粉末(多価の酸のH+を陽イオンで置換した塩の粉末のうち、なおH+を残している粉末)である硫酸水素ナトリウム(NaHSO4)粉末、硫酸水素カリウム(KHSO4)粉末、リン酸二水素ナトリウム(NaH2PO4)粉末、リン酸水素二ナトリウム(Na2HPO4)粉末、リン酸二水素カリウム(KH2PO4)粉末、リン酸水素二カリウム(K2HPO4)粉末、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)粉末、炭酸水素カリウム(KHCO3)粉末などが挙げられる。活性剤粉末として用いられる水素塩粉末は、二酸化塩素ガスの生成を高める観点から強酸の水素塩が好ましく、たとえば、硫酸水素ナトリウム粉末、硫酸水素カリウム粉末、リン酸二水素ナトリウム粉末、リン酸水素二ナトリウム粉末、リン酸二水素カリウム粉末およびリン酸水素二カリウム粉末からなる群から選ばれるいずれかが好ましい。
【0025】
有機酸粉末としては、クエン酸粉末、リンゴ酸粉末、酢酸粉末、ギ酸粉末、乳酸粉末、酒石酸粉末、シュウ酸粉末などのカルボン酸類粉末などが挙げられる。安全性が高い観点から、食品添加物として使用される有機酸粉末が好ましい。
【0026】
さらし粉としては、有効塩素濃度が33質量%〜38質量%程度の通常のさらし粉、有効塩素濃度が60質量%〜70質量%程度の高度さらし粉のいずれを用いてもよい。ここで、通常のさらし粉は、主成分としてCaCl2・Ca(OCl)2・2H2Oが含まれ、その他の成分としてCa(OH)2、CaCl2、Ca(ClO)2、Ca(ClO32などが含まれている。高度さらし粉は、主成分としてCa(OCl)2が含まれる。
【0027】
イソシアヌル酸類粉末(イソシアヌル酸およびその誘導体ならびにそれらの金属塩の粉末)としては、特に制限はないが、亜塩素酸塩との反応性が高い観点から、トリクロロイソシアヌル酸粉末、ジクロロイソシアヌル酸粉末などの塩素化イソシアヌル酸粉末、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム粉末、ジクロロイソシアヌル酸カリウム粉末などの塩素化イソシアヌル酸塩粉末などが好適に挙げられる。
【0028】
これらの活性化剤のうち、身辺に付けて携帯することができる安全な二酸化塩素ガス発生剤パックを作製する観点から、食品添加物として用いられる有機酸粉末などが特に好ましい。
【0029】
したがって、二酸化塩素ガス発生剤10は、空気中の水蒸気(湿気)をガス透過性膜容器20を通して吸湿剤粉末により吸収して水分を取り込み、かかる水分を吸水性樹脂粉末が吸収することにより、亜塩素酸塩粉末と活性化剤粉末とが徐々に反応して二酸化塩素ガスを徐々に生成するとともに、生成した二酸化塩素ガスを吸水性樹脂粉末およびガス発生調節剤粉末が保持することにより、二酸化塩素ガスを徐々に持続的に発生させて、ガス透過性膜容器20を通してその外に二酸化塩素ガスを持続的に放出することができる。
【0030】
ここで、二酸化塩素ガス発生剤10は、特に制限はないが、持続的に二酸化塩素ガスを発生させる観点から、それぞれ純品換算で、亜塩素酸塩粉末が0.01質量部〜1.0質量部、ガス発生調節剤粉末が0.2質量部〜5.0質量部、吸湿剤粉末が0.1質量部〜2.0質量部、吸水性樹脂粉末が0.25質量部〜6.0質量部、活性化剤粉末が0.06質量部〜1.5質量部であることが好ましい。また、二酸化塩素ガス発生剤10は、二酸化塩素ガス発生剤の全質量に対する亜塩素酸塩の質量の割合が25質量%以下であることが、毒劇物に該当しない観点から、好ましい。かかる観点から、亜塩素酸塩粉末は0.01質量部〜0.5質量部であることがより好ましい。
【0031】
{ガス透過性膜容器}
ガス透過性膜容器20とは、二酸化塩素ガス発生剤10を密封して収納する容器であって、水蒸気および二酸化塩素ガスを透過するが水などの液体を透過しない容器をいう。ガス透過性膜容器20は、水蒸気および二酸化塩素ガスの透過性が高く水などの液体を透過性が低いものであれば、特に制限はなく、たとえば、JX日鉱日石ANCI株式会社製品Typical properties of POWSTOのTypeA−1〜A−5(Japanese Paper Type)、TypeB−1〜B−2(Film Type)などのガス透過膜の外縁をシールして袋状にしたものなどが好適に挙げられる。
【0032】
[実施形態2]
図1および図2を参照して、本発明の別の実施形態である二酸化塩素ガス発生剤パックの製造方法は、亜塩素酸塩粉末とガス発生調節剤粉末とを混合してA剤10aを調製する工程S1と、吸湿剤粉末と吸水性樹脂粉末と活性化剤粉末とを混合してB剤10bを調製する工程S2と、水蒸気および二酸化塩素ガスを透過するガス透過性膜容器20内にA剤10aとB剤10bとを収納する工程S3と、ガス透過性膜容器20内でA剤10aとB剤10bとを混合して二酸化塩素ガス発生剤10を調製する工程と、を含む。本実施形態の二酸化塩素ガス発生剤の製造方法は、亜塩素酸塩粉末を含むA剤10aと活性化剤粉末を含むB剤10bとを別々に調製した後、ガス透過性膜容器20内でA剤10aとB剤10bとを混合することにより、実施形態1の二酸化塩素ガス発生剤パック1を効率よくかつ歩留まりよく製造することができる。
【0033】
(S1:A剤を製造する工程)
A剤10aは、亜塩素酸塩粉末とガス発生調節剤粉末とを混合することにより調製される。亜塩素酸塩粉末とガス発生調節剤粉末との混合方法は、特に制限はないが、均質に混合させる観点から、振とう混合、超音波混合、攪拌混合、高速ミキシング混合などが好適である。なお、亜塩素酸塩粉末およびガス発生調節剤粉末については、実施形態1において既に説明したとおりであり、ここでは繰り返さない。
【0034】
また、A剤10aは、空気中の湿気(水分)の混入を防止または抑制する観点から、除湿機およびエアコンの少なくともいずれかを用いて相対湿度35%以下の雰囲気中で混合することが好ましい。さらに、A剤10aは、乾燥空気雰囲気中または真空雰囲気中で混合することもできる。
【0035】
ここで、A剤10aは、A剤の全質量に対する亜塩素酸塩の質量の割合が25質量%以下であることが、毒劇物に該当しない観点から、好ましい。
【0036】
(S2:B剤を製造する工程)
B剤10bは、吸湿剤粉末と吸水性樹脂粉末と活性化剤粉末とを混合することにより調製される。吸湿剤粉末と吸水性樹脂粉末と活性化剤粉末との混合方法は、特に制限はないが、均質に混合させる観点から、振とう混合、超音波混合、攪拌混合、高速ミキシング混合などが好適である。なお、吸湿剤粉末、吸水性樹脂粉末および活性化剤粉末については、実施形態1において説明したとおりであり、ここでは繰り返さない。
【0037】
また、B剤10bは、空気中の湿気(水分)の混入を防止または抑制する観点から、除湿機およびエアコンの少なくともいずれかを用いて相対湿度35%以下の雰囲気中で混合することが好ましい。さらに、B剤10bは、乾燥空気雰囲気中または真空雰囲気中で混合することもできる。
【0038】
なお、A剤を調製する工程と、B剤を調整する工程は、いずれが先であってもよい。
(S3:ガス透過性膜容器内にA剤とB剤とを収納する工程)
ガス透過性膜容器20内にA剤とB剤とを収納する方法は、特に制限はないが、効率的にかつ歩留まりよく密封する観点から、シール部20sが底部および両側部に形成された袋状のガス透過性膜容器20の開口部からガス透過性膜容器20内にA剤10aとB剤10bとを収納し、開口部をシール部20tで密封することが好ましい。
【0039】
二酸化塩素ガス発生剤10への空気中の湿気(水分)の混入を防止または抑制する観点から、ガス透過性膜容器20へのA剤10aおよびB剤10bの収納ならびに収納後の開口部のシール部20tによる密封は、除湿機およびエアコンの少なくともいずれかを用いて相対湿度35%以下の雰囲気中で行なうことが好ましい。さらに、上記密封は、乾燥空気雰囲気中または真空雰囲気中で行なうこともできる。
【0040】
また、ガス透過性膜容器20内へのA剤10aとB剤10bとを収納する順序は、特に制限はないが、吸湿剤粉末および吸水性樹脂粉末への水分の混入を防止または抑制する観点から、まずA剤10aを収納し、次いでB剤10bを収納することが好ましい。
【0041】
(S4:ガス透過性膜容器内でA剤とB剤とを混合して二酸化塩素ガス発生剤を調製する工程)
二酸化塩素ガス発生剤10は、ガス透過性膜容器20内において、A剤10aとB剤10bとを混合することにより調製される。A剤とB剤との混合方法は、特に制限はないが、空気中の湿気(水分)の混入を防止または抑制する観点から、均質に混合させる観点から、図1を参照して、両側面部および底部がシール部20sでシールされたガス透過性膜容器20にその開口部から内部にA剤10aとB剤10bとを収納し、さらに、ガス透過性膜容器20の開口部をシール部20tでシールした後、A剤10aとB剤10bとが収納されたガス透過性膜容器20を左右に振とうすることにより、ガス透過性膜容器20内でA剤10aとB剤10bとを混合する方法が好ましい。
【0042】
また、二酸化塩素ガス発生剤は、空気中の湿気(水分)の混入を防止または抑制する観点から、除湿機およびエアコンの少なくともいずれかを用いて相対湿度35%以下の雰囲気中でA剤10aとB剤10bとを混合することが好ましい。さらに、二酸化塩素ガス発生剤は、乾燥空気雰囲気中または真空雰囲気中でA剤10aとB剤10bとを混合することもできる。
【0043】
図1〜図3を参照して、本実施形態の二酸化塩素ガス発生剤パックの製造方法において、A剤とB剤との混合の際において、二酸化塩素ガス発生剤10への空気中の湿気(水分)の混入を防止または抑制することにより、急激な二酸化塩素ガスの発生を防止または抑制する観点から、ガス透過性膜容器20内にA剤とB剤とを収納する工程S3後に、A剤10aとB剤10bとが収納されたガス透過性膜容器20を気密性容器30内に収納する工程S34をさらに含み、ガス透過性膜容器20内でA剤10aとB剤10bとを混合して二酸化塩素ガス発生剤10を調製する工程を気密性容器30内で行なうことが好ましい。
【0044】
(S34:A剤とB剤とが収納されたガス透過性膜容器を気密性容器内に収納する工程)
図3を参照して、A剤10aとB剤10bとが収納されたガス透過性膜容器20を気密性容器30内に収納する方法は、特に制限はないが、空気中の湿気(水分)の混入を防止または抑制する観点から、気密性容器30の開口部から上記のガス透過性膜容器20を収納した後、開口部をチャック部30rでシールする方法が好ましい。ここで、気密性容器30は、特に制限はないが、密閉が簡便にかつ再びでき作業性が高い観点から、チャック付ポリ袋が好ましい。チャック付ポリ袋の材料は、気密を保持でき水蒸気および水などの水分を透過しない材料であれば特に制限はないが、気密性が高く入手しやすい観点から、ポリエチレン製などが好ましい。
【0045】
(S4:ガス透過性膜容器内でA剤とB剤とを混合して二酸化塩素ガス発生剤を調製する工程)
A剤10aとB剤10bとが収納されたガス透過性膜容器20を気密性容器30内に収納する工程S34後のガス透過性膜容器20内でA剤10aとB剤10bとを混合して二酸化塩素ガス発生剤10を調製する工程は、気密性容器30内で行なうことが好ましい。かかる工程により、A剤とB剤との混合の際において、二酸化塩素ガス発生剤10への空気中の湿気(水分)の混入を防止または抑制することができる。
【0046】
[実施形態3]
図3を参照して、本発明のさらに別の実施形態である二酸化塩素ガス発生剤パックの保存方法は、実施形態1の二酸化塩素ガス発生剤パック1を気密性容器30内で保存する方法である。本実施形態の二酸化塩素ガス発生剤パックの保存方法は、二酸化塩素ガス発生剤パック1を気密性容器30内で保存でき、好ましくは気密性容器30内で相対湿度35%以下の雰囲気中で保存できるため、二酸化塩素ガス発生剤パックを製造した後使用までの期間、数時間程度の短期間から数年程度の長期間まで期間の短長を問わず、二酸化塩素ガス発生能力を維持することができる。
【0047】
本実施形態の二酸化塩素ガス発生剤パックの保存方法において、気密性容器30内を相対湿度35%以下の雰囲気とすることが好ましい。気密性容器30内を相対湿度35%以下の雰囲気とする方法は、特に制限はないが、除湿機またはエアコンを用いて相対湿度35%以下の雰囲気中(たとえば、相対湿度35%以下の室内)で二酸化塩素ガス発生剤パック1を収納した気密性容器30の開口部をチャック部30rでシールする方法などが好ましい。また、気密性容器30内を真空雰囲気または乾燥空気雰囲気としてもよい。
【実施例】
【0048】
(実施例1)
1.A剤の調製
エアコンを用いて温度20℃および相対湿度30%とした室内で、亜塩素酸塩粉末として8gの79質量%亜塩素酸ナトリウム粉末(関東化学株式会社製)と、ガス発生調節剤粉末として20gのセピオライト(近江鉱業社製ミラクレーP−150)と、を幅120mm×長さ170mmのポリエチレン製のチャック付ポリ袋(株式会社セイニチ製)に収納して、その袋を振とうすることにより、その袋内で粉末同士を十分に混合させてA剤を調製した。28gのA剤中には6.32g(8g×0.79)の亜塩素酸ナトリウムが含まれていることから、A剤中の亜塩素酸ナトリウムの含有量は、6.32g/28gから、22.6質量%である。したがって、本実施例のA剤は、毒劇物に該当しない。
【0049】
2.B剤の調製
次に、エアコンを用いて温度20℃および相対湿度30%とした室内で、吸湿剤粉末として10gの食品添加物・塩化カルシウムH粉末(富田製薬株式会社製)と、吸水性樹脂粉末として22gのポリアクリル酸塩系吸水性樹脂粉末(三洋化成工業株式会社製サンフレッシュST−500G)と、活性化剤粉末として5gのクエン酸粉末(扶桑化学工業株式会社製)と、を幅120mm×長さ170mmのポリエチレン製のチャック付ポリ袋(株式会社セイニチ製)に収納して、その袋を振とうすることにより、その袋内で粉末同士を十分に混合させてB剤を調製した。
【0050】
3.ガス透過性膜容器内へのA剤とB剤との収納
次に、ガス透過性膜容器として、ガス透過性膜としてJX日鉱日石ANCI株式会社製TypeA−1の幅60mm×長さ80mmのシートを2枚準備し、それらのシートをそれらの熱シール面が互いに向かい合うように重ね合わせて底部および両側部の外縁から5mmの領域を熱シールすること(シール部20s)により、袋状の容器を5個準備した。次いで、エアコンを用いて温度20℃および相対湿度30%とした室内で、準備した容器のそれぞれに、開口部から1gのA剤と2gのB剤とを順次収納した。次いで、A剤とB剤とが収納されたそれぞれの容器の開口部を熱シールすること(シール部20t)によりシールした。
【0051】
4.ガス透過性膜容器内でのA剤とB剤との混合による二酸化塩素ガス発生剤の調製
次に、A剤とB剤とが収納されたガス透過性膜容器を気密性容器である幅64mm×長さ98mmのポリエチレン製のチャック付ポリ袋(有限会社リッチ製B8)に収納し、さらに、チャック部を閉めて気密にした後、その袋を振とうすることにより、ガス透過性膜容器内でA剤とB剤とを混合させて二酸化塩素ガス発生剤パックを5個作製し保存した。
【0052】
5.二酸化塩素ガス発生剤パックからの二酸化塩素ガス発生濃度の測定
気密性容器から5個の二酸化塩素ガス発生剤パックを取り出し、それぞれの二酸化塩素ガス発生剤パックを幅70mm×長さ110mmの紙袋に入れて、室内に放置したときの室内の温度および湿度と二酸化塩素ガス発生剤パックから発生する二酸化塩素ガス濃度とを測定した。二酸化塩素ガス濃度の測定は、0ppm〜1.01ppmの低濃度の場合はガス検知センサー(RAE Systems社製Toxi RAEII)を用いて、これ以上の高濃度の場合は北川式検知管を用いて行なった。また、二酸化塩素ガス濃度の濃度の測定は、ガス検知センサーを紙袋の表面に接触させるか、または、内径16mmで長さが20mmの硬質塩化ビニルパイプを、二酸化塩素ガス発生剤パックが収納された紙袋の表面上に配置して、検知管をパイプ内に挿入して行なった。結果を表1にまとめた。表中の二酸化塩素ガス濃度は、5個の二酸化塩素ガス発生剤パックの平均値である。
【0053】
【表1】

【0054】
(実施例2)
A剤として、4gの79質量%亜塩素酸ナトリウム粉末(関東化学株式会社製;亜塩素酸塩粉末)と20gのセピオライト(近江鉱業株式会社製ミラクレーP−150;ガス発生調節剤)を混合させたこと以外は、実施例1と同様にして、5個の二酸化塩素ガス発生剤パックを作製し、それらから発生する二酸化塩素ガスの濃度を測定した。結果を表2にまとめた。
【0055】
【表2】

【0056】
(実施例3)
A剤として、2gの79質量%亜塩素酸ナトリウム粉末(関東化学株式会社製;亜塩素酸塩粉末)と20gのセピオライト(近江鉱業株式会社製ミラクレーP−150;ガス発生調節剤)を混合させたこと以外は、実施例1と同様にして、5個の二酸化塩素ガス発生剤パックを作製し、それらから発生する二酸化塩素ガスの濃度を測定した。結果を表2にまとめた。
【0057】
【表3】

【0058】
(実施例4)
ガス透過性膜容器として、ガス透過性膜としてJX日鉱日石ANCI株式会社製TypeB−2の幅60mm×長さ80mmのシートを2枚準備し、それらのシートをそれらの熱シール面が互いに向かい合うように重ね合わせて底部および両側部の外縁から5mmの領域を熱シールすること(シール部20s)により、袋状の容器を5個準備したこと以外は、実施例1と同様にして、5個の二酸化塩素ガス発生剤パックを作製し、それらから発生する二酸化塩素ガスの濃度を測定した。結果を表4にまとめた。
【0059】
【表4】

【0060】
(実施例5)
ガス透過性膜容器として、ガス透過性膜としてJX日鉱日石ANCI株式会社製TypeB−2の幅60mm×長さ80mmのシートを2枚準備し、それらのシートをそれらの熱シール面が互いに向かい合うように重ね合わせて底部および両側部の外縁から5mmの領域を熱シールすること(シール部20s)により、袋状の容器を5個準備したこと以外は、実施例2と同様にして、5個の二酸化塩素ガス発生剤パックを作製し、それらから発生する二酸化塩素ガスの濃度を測定した。結果を表5にまとめた。
【0061】
【表5】

【0062】
(実施例6)
ガス透過性膜容器として、ガス透過性膜としてJX日鉱日石ANCI株式会社製TypeB−2の幅60mm×長さ80mmのシートを2枚準備し、それらのシートをそれらの熱シール面が互いに向かい合うように重ね合わせて底部および両側部の外縁から5mmの領域を熱シールすること(シール部20s)により、袋状の容器を5個準備したこと以外は、実施例3と同様にして、5個の二酸化塩素ガス発生剤パックを作製し、それらから発生する二酸化塩素ガスの濃度を測定した。結果を表6にまとめた。
【0063】
【表6】

【0064】
(実施例7)
A剤として、2gの79質量%亜塩素酸ナトリウム粉末(関東化学株式会社製;亜塩素酸塩粉末)と20gのセピオライト(近江鉱業株式会社製ミラクレーP−150;ガス発生調節剤)とを混合させたこと、および、B剤として、10gの72質量%の工業用塩化カルシウム粒状粉末(セントラル硝子株式会社製;吸湿剤粉末)と、22gのポリアクリル酸塩系吸水性樹脂粉末(三洋化成工業株式会社製サンフレッシュST−500G;吸水性樹脂粉末)と、5gのクエン酸粉末(扶桑化学工業株式会社製;活性化剤粉末)とを混合させたこと以外は実施例1と同様にして、5個の二酸化塩素ガス発生剤パックを作製し、それらから発生する二酸化塩素ガスの濃度を測定した。結果を表7にまとめた。
【0065】
【表7】

【0066】
(実施例8)
A剤として、2gの79質量%亜塩素酸ナトリウム粉末(関東化学株式会社製;亜塩素酸塩粉末)と20gの合成ゼオライト(東ソー株式会社製HSZ−320NAA;ガス発生調節剤)とを混合させたこと以外は、実施例7と同様にして、5個の二酸化塩素ガス発生剤パックを作製し、それらから発生する二酸化塩素ガスの濃度を測定した。結果を表8にまとめた。
【0067】
【表8】

【0068】
(実施例9)
A剤として、2gの79質量%亜塩素酸ナトリウム粉末(関東化学株式会社製;亜塩素酸塩粉末)と20gのセピオライト(近江鉱業株式会社製ミラクレーP−150;ガス発生調節剤)とを混合させたこと、および、B剤として、10gの試薬特級・塩化カルシウム粉末(富田製薬株式会社製;吸湿剤粉末)と、22gのポリアクリル酸塩系吸水性樹脂粉末(三洋化成工業株式会社製サンフレッシュST−500G;吸水性樹脂粉末)と、5gのクエン酸粉末(扶桑化学工業株式会社製;活性化剤粉末)とを混合させたこと以外は、実施例1と同様にして、5個の二酸化塩素ガス発生剤パックを作製し、それらから発生する二酸化塩素ガスの濃度を測定した。結果を表9にまとめた。
【0069】
【表9】

【0070】
(実施例10)
A剤として、4gの79質量%亜塩素酸ナトリウム粉末(関東化学株式会社製;亜塩素酸塩粉末)と20gのセピオライト(近江鉱業株式会社製ミラクレーP−150;ガス発生調節剤)とを混合させたこと以外は、実施例9と同様にして、5個の二酸化塩素ガス発生剤パックを作製し、それらから発生する二酸化塩素ガスの濃度を測定した。結果を表10にまとめた。
【0071】
【表10】

【0072】
(実施例11)
セピオライト(ガス発生調節剤)として、ミラクレーP−150(近江鉱業株式会社製・トルコ国産原料)に替えてミラクレーP−200V(近江鉱業株式会社製・アメリカ合衆国産原料)を用いたこと以外は、実施例10と同様にして、5個の二酸化塩素ガス発生剤パックを作製し、それらから発生する二酸化塩素ガスの濃度を測定した。結果を表11にまとめた。
【0073】
【表11】

【0074】
(実施例12)
実施例9と同様にして2個の二酸化塩素ガス発生剤パックを作製し、そのうちの1個を幅70mm×長さ110mmの紙袋に挿入し、その紙袋を63歳女性のセーターのポケット(7時〜19時)またはパジャマのポケット(0時〜7時および19時〜24時)に挿入して、それから発生する二酸化塩素ガスの濃度を測定した。結果を表12にまとめた。本実施例において、紙袋は、汗などの水分の吸収および二酸化塩素ガス発生剤パック自体の違和感を低減するために用いた。ここで、雰囲気温度は体温計により測定し、二酸化塩素濃度はポケットの表面にガス検知センサーを接触させることにより測定した。試験中、この女性は、発生する二酸化塩素ガスによる不快感を訴えなかった。
【0075】
【表12】

【0076】
また、その他の1個を幅70mm×長さ110mmの紙袋に挿入し、その紙袋を70歳男性のYシャツのポケット(7時〜19時)またはパジャマのポケット(0時〜7時および19時〜24時)に挿入して、それから発生する二酸化塩素ガスの濃度を上記と同様にして測定した。本実施例において、紙袋は、汗などの水分の吸収および二酸化塩素ガス発生剤パック自体の違和感を低減するために用いた。結果を表13にまとめた。試験中、この男性は、発生する二酸化塩素ガスによる不快感を訴えなかった。
【0077】
【表13】

【0078】
上記実施例から明らかなように、亜塩素酸塩粉末と、ガス発生調節剤粉末と、吸湿剤粉末と、吸水性樹脂粉末と、活性化剤粉末と、の混合物を含む二酸化塩素ガス発生剤と、二酸化塩素ガス発生剤を密封する水蒸気および二酸化塩素ガスを透過するガス透過性膜容器と、を含む二酸化塩素ガス発生剤パックは、徐々に二酸化塩素ガスを発生させることができるため、殺菌、消毒および消臭が必要な領域への携帯に適していることがわかった。
【0079】
今回開示された実施形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0080】
1 二酸化塩素ガス発生剤パック、10 二酸化塩素ガス発生剤、10a A剤、10b B剤、20 ガス透過性膜容器、20s,20t シール部、30 気密性容器、30r チャック部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
亜塩素酸塩粉末と、ガス発生調節剤粉末と、吸湿剤粉末と、吸水性樹脂粉末と、活性化剤粉末と、の混合物を含む二酸化塩素ガス発生剤と、
前記二酸化塩素ガス発生剤を収納する水蒸気および二酸化塩素ガスを透過するガス透過性膜容器と、を含む二酸化塩素ガス発生剤パック。
【請求項2】
請求項1に記載の二酸化塩素ガス発生剤パックを気密性容器内で保存する二酸化塩素ガス発生剤パックの保存方法。
【請求項3】
亜塩素酸塩粉末とガス発生調節剤粉末とを混合してA剤を調製する工程と、
吸湿剤粉末と吸水性樹脂粉末と活性化剤粉末とを混合してB剤を調製する工程と、
水蒸気および二酸化塩素ガスを透過するガス透過性膜容器内に前記A剤と前記B剤とを収納する工程と、
前記ガス透過性膜容器内で前記A剤と前記B剤とを混合して二酸化塩素ガス発生剤を調製する工程と、を含む二酸化塩素ガス発生剤パックの製造方法。
【請求項4】
前記ガス透過性膜容器内に前記A剤と前記B剤とを収納する工程後に、前記A剤と前記B剤とが収納された前記ガス透過性膜容器を気密性容器内に収納する工程をさらに含み、
前記ガス透過性膜容器内で前記A剤と前記B剤とを混合して二酸化塩素ガス発生剤を調製する工程を前記気密性容器内で行なう請求項3に記載の二酸化塩素ガス発生剤パックの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−245434(P2012−245434A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116953(P2011−116953)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(503214656)株式会社アマテラ (8)
【Fターム(参考)】