説明

二重エプロンドラフト装置のための案内エプロン及び二重エプロンドラフト装置

【課題】 二重エプロンドラフト装置のための上部エプロン6及び/または下部エプロン7の形の案内エプロンを提供する。
【解決手段】 この案内エプロンは織られた材料から作られ、そのたて糸とよこ糸寸法が0.2mm以下の太さであり、かつその外側が0.3mm以下の厚さを持つ柔軟なゴム材料の層を備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紡績機のための二重エプロンドラフト装置のための案内エプロン、及び二重エプロンドラフト装置に関し、この案内エプロンは、加工される繊維材料に当てがわれる外表面を含み、さらに駆動素子及び/または偏向素子に当てがわれる内表面を含む。
【0002】
上部エプロンまたは下部エプロンの形の二重エプロンドラフト装置に適用される案内エプロンは通常、柔軟ゴム材料中に埋められた織られた織物インレイから作られる。案内エプロンは少なくとも0.9mmの厚さを持つ。
【背景技術】
【0003】
また、織物インレイを持つ案内エプロンの代わりに、ポリアミドフィラメントから作られた織られたベルトからなる上部エプロンが適用されることが知られている(DE102005056534A1)。このタイプの案内エプロンは金属等に関して良好なスライド性を持つ。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上述のタイプの案内エプロンを作ることであり、それはドラフト装置の下流ローラー対に可能な限り近くに置かれることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、本発明により、案内エプロンが織られた材料により形成され、そのたて糸とよこ糸寸法がそれぞれ0.2mm以下の太さであり、その外側が0.3mm以下の厚さを持つ柔軟なゴム材料の層を備えていることで達成される。
【0006】
外側にのみ柔軟なゴム被覆を備えているこのタイプの案内エプロンは、金属等から作られた偏向素子の上を容易にスライドし、従って比較的小さな偏向半径を持つ偏向素子が使用されることができる。案内エプロンの減少した全厚さ及び良好なスライド性により、減少した偏向半径を持つ偏向素子の場合でさえ、案内エプロンを次のローラー対のニップラインにきわめて接近して置くことができる。柔軟なゴム材料による一方側の被覆は、かなりの程度平面である外表面をもたらし、それは、過剰に大きく抑止されることなく、繊維が下流ローラー対のニップラインに達するとすぐに繊維が繊維材料から引き出されることを確実にする。
【0007】
本発明のさらなる実施態様では、一方ではたて糸間の距離、及び他方ではよこ糸間の距離がそれぞれたて糸の太さ及びよこ糸の太さにほぼ対応することが規定される。これは、柔軟なゴム材料が液体の形で付与されるときでさえ、それが織られた材料を通してしみ込まないばかりか、むしろそれが付与された側上にかなりの程度残ることを確実にする。
【0008】
本発明の一実施態様では、少なくとも上部エプロンが本発明によるような案内エプロンである二重エプロンドラフト装置が規定される。さらなる実施態様では、偏向素子と上部ローラーの間の上部エプロンの戻り端に案内素子が配置されていることが規定され、この案内素子は戻り端をドラフト面に向けて偏向する。この案内素子は柔軟なゴム材料を備えた案内エプロンの外側に当てがわれるので、本発明のさらなる実施態様では案内素子が円筒状形を持ちかつ回転可能な態様で取付けられることが規定される。このタイプの案内素子は上部エプロンの走行抵抗をほんの微々たる程度だけ増やすだけである。
【0009】
図面の簡略説明
本発明のこれらの及びさらなる目的、特徴及び利点は、添付図面と共に考慮するとき以下のそれらの詳細な説明からより容易に明らかとなるであろう。
図1は二重エプロンドラフト装置の主要ドラフト領域の断面を示し、
図2は図1の矢印IIの方向の図を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、二つのローラー対1,2及び3,4を示し、それらの間にスライバーまたは粗紡5のためのドラフト領域が形成されている。下部ローラー2と4は通常、縦方向に延びる連続駆動下部シリンダとして設計され、一方上部ローラー1,3はいわゆる二連上部ローラーの一部であり、すなわち隣接ドラフト装置の二つの上部ローラー1及び3は共有軸上に支持されている。ローラー3,4は希望のドラフト度に応じてローラー1,2より高い速度で回転し、従ってドラフト領域中のスライバー5は希望のドラフト度に応じて引き離され、かくして精紡され、すなわち断面積当りの繊維の数が減らされる。
【0011】
繊維は、上部エプロン6及び下部エプロン7を含む二重エプロンドラフト装置のドラフト領域内で案内される。上部エプロン6は上部ローラー1及び偏向素子8をループし、一方下部エプロン7は下部ローラー2及び偏向素子9をループする。上部エプロン6及び下部エプロン7は重ね合わせてドラフト領域内に配置されている。
【0012】
偏向素子8,9、特に上部エプロン6の偏向素子8はその下流のローラー対3,4のニップラインにきわめて接近して置かれ、従ってローラー対3,4のニップラインとエプロン案内装置の間の自由経路(それに沿って繊維が通過する)は比較的短い。上部エプロン7の偏向素子8は小さい偏向半径を持ち、それは2.0mmの大きさのオーダーに過ぎないので、ニップラインへの距離は非常に短く保たれる。さらに、戻り端は偏向素子8と上部エプロン6の上部ローラー1の間で案内素子10によりドラフト面またはドラフト領域の面に向いた方向に偏向される。偏向素子8は保持素子11により保持され、この保持素子11はブラケット内または重み付け腕内に詳細に図示されていない方式で支持され、このブラケットまたは重み付け腕は上部ローラー1,3を支持する。本発明の目的のためにこの場合ばね素子である保持素子11は、上部エプロンに対して側方に引張り装置を形成し、そこには案内素子10が解放可能に取付けられる。
【0013】
変更された実施態様の場合では、回転可能な態様で支持された円筒状案内素子は、平坦な棒の形を持つ案内素子10の代わりに設けられる。
【0014】
案内エプロンは上部エプロン6と下部エプロン7として採用され、これらの案内エプロンは薄い織られたベルトの形であり、その外側に、すなわちそれらの間の繊維ストランドを引張る外側に、柔軟なゴム材料の層を備えている。織られた材料は、0.2mm以下の太さをそれぞれが持つたて糸とよこ糸からなり、従って織られた材料は0.4mmの最大厚さを持つ。柔軟ゴム材料の層は0.3mm以下の厚さで設けられ、従って案内エプロンは0.7mm以下の全厚さを持つ。このタイプの案内エプロンは非常に柔軟であり、従って上部エプロン6または下部エプロン7として、それらは小さい偏向半径を持つ偏向素子周りに置かれかつ案内されることができる。偏向素子8,9に触れる上部エプロン及び下部エプロンの内表面は織られた材料、特にポリアミドモノフィラメントの織られた材料から作られているので、これらの偏向点で比較的低い滑り摩擦があるのでみである。ドラフト領域では、上部エプロン6と下部エプロン7の対向する外側は比較的滑らかな表面を持ち、従って繊維はそれらがローラー対3,4によりつかまれるとすぐに引き裂かれることなく引き出されることができる。
【0015】
織られた材料により形成された内側を有しかつ溝付下部ローラー上に載る下部エプロンは上部ローラー1により溝中に押圧され、従って下部エプロンは信頼性を持って連行されかつ駆動される。
【0016】
上部エプロン6と下部エプロン7は、ローラー対1,2間のニップラインで背面と背面でもたれかかる柔軟な弾性材料の外側を持つように配置される。比較的高いニップ力のため、各織られた材料の輪郭はこれらの柔軟な弾性層を通していくらか押圧され、従って下部エプロン7と上部エプロン6の間の信頼性ある連行が確保される。
【0017】
本発明の目的のために、案内エプロンは環状織機上で織られ、次いで液体柔軟ゴム材料で覆われ、それは続いて少なくとも部分的に硬化する。たて糸並びによこ糸が前記糸の太さと同じ位の大きさの互いからの距離にあるので密な織物が製造される。これは、付与された柔軟な弾性材料が織物を通過しないことを確実にし、従って内側は柔軟なゴム材料のないままである。個々の案内エプロンは続いて管状材料から切断される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】二重エプロンドラフト装置の主要ドラフト領域の断面を示す。
【図2】図2は図1の矢印IIの方向の図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工される繊維材料に当てがわれる外側を持ちかつ駆動素子及び/または偏向素子に当てがわれる内側を持つ、紡績機における二重エプロンドラフト装置のための案内エプロンにおいて、前記案内エプロンが織られた材料から作られ、そのたて糸とよこ糸寸法がそれぞれ0.2mm以下の太さであり、かつその外側が0.3mm以下の厚さを持つ柔軟なゴム材料の層を備えていることを特徴とする案内エプロン。
【請求項2】
一方ではたて糸間の距離、及び他方ではよこ糸間の距離がそれぞれ前記たて糸の太さ及び前記よこ糸の太さにほぼ対応することを特徴とする請求項1に記載の案内エプロン。
【請求項3】
織られた材料がチューブの形に織られることを特徴とする請求項1または2に記載の案内エプロン。
【請求項4】
織られた材料のたて糸及び/またはよこ糸がモノフィラメント、有利にはポリアミドのモノフィラメントであることを特徴とする請求項1から2に記載の案内エプロン。
【請求項5】
少なくとも上部エプロン(6)が請求項1から4のいずれか一つに記載の案内エプロンであることを特徴とする二重エプロンドラフト装置。
【請求項6】
案内素子(10)が偏向素子(8)と上部ローラー(1)の間の上部エプロン(6)の戻り端に配置され、この案内素子(10)が戻り端をドラフト面に向けて偏向することを特徴とする請求項5に記載の二重エプロンドラフト装置。
【請求項7】
案内素子が円筒状形を持ちかつ回転可能な態様で支持されていることを特徴とする請求項5または6に記載の二重エプロンドラフト装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−185436(P2009−185436A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−304624(P2008−304624)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(590005597)マシーネンファブリク リーター アクチェンゲゼルシャフト (93)
【氏名又は名称原語表記】Maschinenfabrik Rieter AG
【住所又は居所原語表記】Klosterstrasse 20,CH−8406 Winterthur,Switzerland
【Fターム(参考)】