二重偏向型電気生理学的カテーテル
【課題】ループ状部分をカテーテル本体のその他の部分に対して偏向させることができ、ループの角度を微調整することが可能な電気生理学的カテーテルを提供する。
【解決手段】電気生理学的カテーテル10は、近位領域14と、ネック領域18と、ループ状になろうとする性質を有し、且つ電極を含む遠位領域16とを有するチューブ状本体12を含む。第1の偏向ワイヤが、カテーテル本体の近位領域の少なくとも一部分を通じて延在し、且つ第1の扁平部分を含み、一方、第2の偏向ワイヤが、ネック領域と遠位領域の少なくとも一部分とを通じて延在し、且つネック領域内に第2の扁平部分を含む。第1の駆動ワイヤが第1の偏向ワイヤの扁平部分に接合され、一方、第2の駆動ワイヤが第2の偏向ワイヤの扁平部分に接合される。
【解決手段】電気生理学的カテーテル10は、近位領域14と、ネック領域18と、ループ状になろうとする性質を有し、且つ電極を含む遠位領域16とを有するチューブ状本体12を含む。第1の偏向ワイヤが、カテーテル本体の近位領域の少なくとも一部分を通じて延在し、且つ第1の扁平部分を含み、一方、第2の偏向ワイヤが、ネック領域と遠位領域の少なくとも一部分とを通じて延在し、且つネック領域内に第2の扁平部分を含む。第1の駆動ワイヤが第1の偏向ワイヤの扁平部分に接合され、一方、第2の駆動ワイヤが第2の偏向ワイヤの扁平部分に接合される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療処置において使用されるカテーテルに関する。特に、本発明は、肺静脈口などの、患者の解剖学的構造の環状領域又はその近傍における診断及び治療処置において使用される電気生理学的カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルが使用される処置の数は増え続けている。例えば、いくつか例を挙げれば、カテーテルは、診断、治療、及びアブレーション処置に使用される。典型的には、カテーテルは患者の血管系を通じて目的の部位、例えば患者の心臓内の部位まで操作される。
【0003】
典型的な電気生理学的カテーテルは、細長シャフトと、シャフトの遠位端にある1つ又は複数の電極とを含む。電極は、アブレーション、又は診断などに用いられ得る。多くの場合、それらの電極は、カテーテルシャフトの全周にわたって延在するリング電極である。
【0004】
電気生理学的カテーテルの特定の一つの用途は、心臓の心房領域、特に心房細動の発生点又は病巣であることの多い肺静脈のマッピングである。かかる電気生理学的マッピングカテーテルは、典型的にはその遠位端に、肺静脈口を取り囲むための少なくとも部分的なループ形状を有する。しかしながら、患者の解剖学的構造は様々であるため、カテーテルのループ状の部分を肺静脈口において正確に適切に配置することが課題となり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、カテーテルの形状を特定の患者の個別の解剖学的構造に対してカスタマイズする能力が向上した電気生理学的カテーテルを提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、ループ状部分をカテーテル本体のその他の部分に対して偏向させることができ、それによりループの角度を「微調整」(fine tuned)することが可能な電気生理学的カテーテルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様によれば、本発明は、近位領域と、ネック領域と、少なくとも部分的なループ状になろうとする性質を有する遠位領域とを有するチューブ状カテーテル本体と;遠位領域に配置された複数の電極と;近位領域に接合されたハンドルと;カテーテル本体の近位領域の少なくとも一部分を通じて延在し、且つ第1の扁平部分を備える第1の偏向ワイヤと;ネック領域と遠位領域の少なくとも一部分とを通じて延在し、且つネック領域内に第2の扁平部分を備える第2の偏向ワイヤと;ハンドルから延在し、且つ第1の偏向ワイヤの第1の扁平部分に接合された第1の駆動ワイヤであって、チューブ状カテーテル本体の近位領域を偏向させるため第1の駆動ワイヤに作用する力が第1の偏向ワイヤに伝達されるように接合された、第1の駆動ワイヤと;ハンドルから延在し、且つ第2の偏向ワイヤの第2の扁平部分に接合された第2の駆動ワイヤであって、チューブ状カテーテル本体のネック領域を偏向させるため第2の駆動ワイヤに作用する力が第2の偏向ワイヤに伝達されるように接合された、第2の駆動ワイヤとを含む電気生理学的カテーテルを提供する。場合により、第2の偏向ワイヤは、ニッケルチタンなどの形状記憶材料であってもよい。第2の偏向ワイヤはまた、第2の扁平部分から遠位に遠位領域の少なくとも一部分を通じて延在するシリンドリカル(cylindrical)部分を含むように構成されてもよい。本発明の他の実施形態において、第2の駆動ワイヤの少なくとも一部分を取り囲むスプリングコイルが提供される。
【0008】
典型的には、電気生理学的カテーテルのハンドルはまた、第1の駆動ワイヤに動作可能に連結された第1のアクチュエータと、第2の駆動ワイヤに動作可能に連結された第2のアクチュエータとを含み得る。本発明のいくつかの実施形態において、電気生理学的カテーテルは、少なくとも部分的なループの曲率半径を変化させるように構成された第3の駆動ワイヤを含み得ることが企図される。同様に、電気生理学的カテーテルのハンドルは、第3の駆動ワイヤに動作可能に連結された第3のアクチュエータを含んでもよい。
【0009】
また、本明細書には、近位領域と、遠位領域と、遠位領域を近位領域に接合するネック領域とを含む細長カテーテル本体と;遠位領域に配置された複数の電極と;カテーテル本体の近位領域内に配置された第1のフラットワイヤを含み、且つカテーテル本体の近位領域を偏向させるように機能する第1の偏向機構と;遠位領域の少なくとも一部分を通じて延在し、且つ遠位領域の一部分を少なくとも部分的なループに付形する形状記憶構造と;カテーテル本体のネック領域内に配置された第2のフラットワイヤを含み、且つカテーテル本体のネック領域を偏向させるように機能する第2の偏向機構とを含む電気生理学的カテーテルであって、第2のフラットワイヤの遠位端が形状記憶構造の近位端に連結される、電気生理学的カテーテルも開示される。場合により、形状記憶構造は、遠位領域の少なくとも部分的な湾曲部の曲率半径を変化させるように機能してもよい。
【0010】
第1の偏向機構及び第2の偏向機構は、それぞれカテーテル本体の近位領域及びネック領域を、同じ平面内で偏向させてもよいことが企図される。或いは、第1の偏向機構及び第2の偏向機構は、それぞれカテーテル本体の近位領域及びネック領域を、異なる平面内で偏向させてもよい。一般に、第1の偏向機構は、第1のフラットワイヤに連結された第1の駆動ワイヤであって、第1の駆動ワイヤに作用する力が第1のフラットワイヤに伝達されるように連結された、第1の駆動ワイヤを含み、一方、第2の偏向機構は、第2のフラットワイヤに連結された第2の駆動ワイヤであって、第2の駆動ワイヤに作用する力が第2のフラットワイヤに伝達されるように連結された、第2の駆動ワイヤを含む。また、カテーテル本体の近位領域に連結されたハンドルが、第1の駆動ワイヤに動作可能に連結された第1の作動機構と、第2の駆動ワイヤに動作可能に連結された第2の作動機構とを含む。
【0011】
さらに別の態様において、本発明は電気生理学的処置の実施方法を提供する。この方法は、概して、近位領域と、ネック領域と、少なくとも部分的なループ状に配置された遠位領域と、遠位領域に配置された複数の電極と、電気生理学的カテーテルの近位領域を偏向させるように機能する第1のフラットワイヤを含む第1の偏向機構と、電気生理学的カテーテルのネック領域を偏向させるように機能する第2のフラットワイヤを含む第2の偏向機構とを含む電気生理学的カテーテルを提供するステップと;患者の体内に目的とする口(ostium)に近接して電気生理学的カテーテルを導入するステップと;第1の偏向機構を作動させてカテーテルの近位領域を偏向させ、それにより遠位領域をほぼ目的とする口の方に向けるステップと;第2の偏向機構を作動させてカテーテルのネック領域を偏向させ、それにより目的とする口に対して遠位領域の位置を調整(refine)するステップとを含む。電気生理学的カテーテルはまた、少なくとも部分的なループの曲率半径を変化させるように機能する曲率半径作動機構を含んでもよく、従ってこの方法はまた、曲率半径作動機構を作動させることで、目的とする口の形状に適合するように少なくとも部分的なループの曲率半径を調節するステップも含み得る。
【0012】
本発明に係る電気生理学的カテーテルの利点は、環状領域又はその近傍における電気生理学的処置に使用されるループを含むその遠位領域を、カテーテル本体のその他の部分に対して偏向させることができることである。
【0013】
本発明に係る電気生理学的カテーテルの別の利点は、その形状を特定の患者の個別の解剖学的構造に合うよう調整することができることである。
【0014】
本発明の前述の、及び他の態様、特徴、詳細、有用性、及び利点は、以下の説明及び特許請求の範囲を読み、且つ添付の図面を検討することで明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】例示的な電気生理学的カテーテルの側面図である。
【図2A】本発明のいくつかの実施形態に係る電気生理学的カテーテルの一部分の詳細図である。
【図2B】図2Aの電気生理学的カテーテルの端面図である。
【図3A】本発明のさらなる実施形態に係る電気生理学的カテーテルの一部分の詳細図である。
【図3B】図3Aの電気生理学的カテーテルの端面図である。
【図4】図1のA−A線に沿った電気生理学的カテーテルの断面図である。
【図5】図1の電気生理学的カテーテルの近位領域の偏向を表す。
【図6】図1の電気生理学的カテーテルの近位領域及びネック領域の双方の偏向を表す。
【図7】図1のB−B線に沿った電気生理学的カテーテルの断面図である。
【図8】図1の電気生理学的カテーテルのネック領域の偏向を表す。
【図9】図1のカテーテルの遠位領域のループの曲率半径を変化させるための一構成を表す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、St.Jude Medical,Inc.のLivewire Spiral HP(商標)及びInquiry(商標)Optima(商標)PLUSカテーテルなどの、心臓電気生理学的検査において利用される電気生理学的カテーテルを参照して説明される。しかしながら、本教示は他の状況における有利な利点にも同様に適用され得ることが理解されなければならない。
【0017】
ここで図を参照すると、図1は、本発明の第1の態様に係る電気生理学的(「EP」)カテーテル10を表す。
【0018】
EPカテーテル10は、概して、いくつかの実施形態においてチューブ状である細長いカテーテル本体12(例えばそれは、そこを通じる少なくとも1本のルーメンを画定する)を含む。カテーテル本体12は、近位領域14と、遠位領域16と、近位領域14と遠位領域16との間にあるネック領域18とを含む。当業者は、図1に表される近位領域14、遠位領域16、及びネック領域18の相対的な長さが例示に過ぎず、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく異なり得ることを理解するであろう。当然ながら、カテーテル本体12の全長は、患者の体内の目的とする送り込み先に到達するのに十分な長さでなければならない。
【0019】
カテーテル本体12は、典型的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)チューブ材(例えば、TEFLON(登録商標)商標のチューブ材)などの生体適合性ポリマー材料で作製され得る。当然ながら、フッ化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、パーフルオロアルコキシエチレン(PFA)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(エチレン−コ−テトラフルオロエチレン)、及び他のフッ素重合体などの他のポリマー材料が利用されてもよい。カテーテル本体12に好適なさらなる材料としては、限定することなく、ポリアミドベースの熱可塑性エラストマー(すなわち、PEBAX(登録商標)などのポリ(エーテル−ブロック−アミド))、ポリエステルベースの熱可塑性エラストマー(例えば、HYTREL(登録商標))、熱可塑性ポリウレタン(例えば、PELLETHANE(登録商標)、ESTANE(登録商標))、イオン性熱可塑性エラストマー、機能性熱可塑性オレフィン、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。一般に、カテーテル本体12に好適な材料はまた、限定することなく、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、機能性ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリイミド、ポリケトン、液晶ポリマー及びそれらの任意の組み合わせを含む様々な熱可塑材から選択されてもよい。また、カテーテル本体12のデュロメータ値がその長さに沿って異なり得ることも企図される。一般に、カテーテル本体12の基本構造は当業者に周知されており、従ってここではこれ以上詳細な考察は行わない。
【0020】
図2A、図2B、図3A、及び図3Bに示すとおり、カテーテル本体12の遠位領域16は、少なくとも部分的なループ状になるように構成されている。当業者は、このループ形状により、遠位領域16を例えば肺静脈口の形状に適合させることが可能となることを理解するであろう。当業者はまた、この部分的なループが、本教示に従い、EPカテーテル10の目的の、又は所望の用途に応じて数多くの構成をとり得ることも理解するであろう。従って、図2B及び図3Bにそれぞれ表される円形及び楕円形のループ構成は、例示に過ぎないことが理解されなければならない。
【0021】
図2A、図2B、図3A、及び図3Bはまた、遠位領域16が、そこに配置された複数の電極20を含むことも示す。当業者は、電極20が、リング電極又はEPカテーテル10の特定の用途に好適な任意の他の電極であってもよいことを理解するであろう。例えば、EPカテーテル10が非接触電気生理学的検査における使用を意図する場合、電極20は、本明細書にその全内容が参照により本明細書に組み込まれる2009年7月2日に出願された米国特許出願12/496,855号明細書に記載されるとおり構成されてもよい。当然ながら、検出目的(例えば、心臓マッピング及び/又は診断)の利用に加え、電極20は治療目的(例えば、心臓アブレーション及び/又はペーシング)に用いられてもよい。
【0022】
再び図1を参照すると、ハンドル22がカテーテル本体12の近位領域14に連結されている。ハンドル22は、好適なアクチュエータ(例えば、ノブ24)を含み、以下にさらに詳細に記載されるカテーテル本体12の偏向を制御する。電気生理学的カテーテルに関連して使用される様々なハンドル及びそれに付随するアクチュエータが公知であり、従ってハンドル22についてここではこれ以上詳細な考察は行わない。
【0023】
図4は、図1のA−A線に沿った(例えば、近位領域14内の)カテーテル本体12の断面である。カテーテル本体12の内側ルーメン26を見ることができる。また、第1の偏向ワイヤ28と、第1の駆動ワイヤ30と、第2の駆動ワイヤ32と(以下でさらに詳細に考察される)、電極20に入る及び/又はそこから出る電力及び/又は信号を伝導するための導体ワイヤ34の集合体とを見ることもできる。
【0024】
第1の偏向ワイヤ28は、カテーテル本体12の近位領域14の少なくとも一部分を通じて延在する。好ましくは、第1の偏向ワイヤ28は、その構成が第1の軸に沿った偏向を促進しながら他の軸に沿った偏向は抑制するような、第1の扁平部分を含む。第1の偏向ワイヤ28に好適な材料の一つはステンレス鋼であり、しかしながら本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の材料を用いることもできる。
【0025】
第1の駆動ワイヤ30はハンドル22から延在し、そこで好適なアクチュエータに連結され、且つ例えばはんだ付けにより、第1の偏向ワイヤ28の第1の扁平部分に接合されている。そのため、第1の駆動ワイヤ30に作用する力、例えば施術者がハンドル22に提供された好適なアクチュエータを動かす結果生じる張力が、第1の偏向ワイヤ28に伝達され、それによりカテーテル本体12の近位領域14が偏向する。近位領域14の偏向は、図5及び図6に示される。例えば、図6は、略直線状の形態(想像線で示される)から矢印の方向36に偏向して約180度の湾曲(実線で示される)となる近位領域14を示す。
【0026】
図7は、図1のB−B線に沿った(例えば、ネック領域18内の)カテーテル本体12の断面である。図7には、第2の偏向ワイヤ38と、第2の駆動ワイヤ32と、導体34とを見ることができる。
【0027】
第2の偏向ワイヤ38はネック領域18を通じて、及び本発明のいくつかの実施形態では遠位領域16の少なくとも一部分を通じて延在する。第2の偏向ワイヤ38もまた、ネック領域18内に第2の扁平部分を含む。好ましくは、第2の偏向ワイヤ38は、ニッケルチタン(例えば、ニチノール)などの形状記憶材料で作製される。
【0028】
第2の駆動ワイヤ32はハンドル22を通じて延在し、そこで好適なアクチュエータに連結され、且つ例えばはんだ付けにより、第2の偏向ワイヤ38の第2の扁平部分に接合されている。そのため、第2の駆動ワイヤ32に作用する力、例えば施術者がハンドル22に提供された好適なアクチュエータを動かす結果生じる張力が、第2の偏向ワイヤ38に伝達され、それによりカテーテル本体12のネック領域18が偏向する。ネック領域18の偏向は、図6及び図8に示される。例えば、図8は、想像線で、遠位領域16がカテーテル本体12のその他の部分に対してもはや垂直ではなくなるように偏向(例えば、図6に示される矢印40の方向に偏向)したネック領域18を示す。このさらなる偏向により、施術者は遠位領域16のループの向きを有利に「微調整」(fine tune)することができる。すなわち、遠位領域16のループの平面がカテーテル本体12の長手方向軸に対して直角に限定されないことにより、施術者はEPカテーテル10の形状を特定の患者の個別の解剖学的構造に合うように調整することができ、それにより電気生理学的処置が促進される。
【0029】
第2の駆動ワイヤ32の少なくとも一部分は、スプリングコイル42によって取り囲まれてもよい。スプリングコイル42は、第2の偏向ワイヤ38が第2の駆動ワイヤ32によって駆動されるときのネック領域18を安定化させる。スプリングコイル42の内径は、好ましくは第2の駆動ワイヤ32の直径より僅かに大きい。
【0030】
上記のとおり、本発明のいくつかの実施形態において、第2の偏向ワイヤ32は遠位に遠位領域16の中まで延在する。本発明のこれらの実施形態において、第2の偏向ワイヤ32の形状記憶材料はまた、遠位領域16がループ状構成になろうとするようにも働き得る。すなわち、第2の偏向ワイヤ32はまた、遠位領域16の付形ワイヤとしても働き得ることが企図される。また、遠位領域16の中まで延在する第2の偏向ワイヤ32の一部分は、ネック領域18を通じて延在する第2の偏向ワイヤの一部分と異なる断面構成であってもよい。例えば、第2の偏向ワイヤ32のより遠位の部分は、そのより近位の部分の平坦な断面とは対照的に、シリンドリカル形(cylindrical)の断面を有してもよい。
【0031】
また、遠位領域16のループの曲率半径が調節可能であってもよく、例えばそれにより種々の年齢の患者の様々なサイズの肺静脈口に適合させ得ることも企図される。このさらなる制御は、例えば、ワイヤ44などの、遠位領域16のループの曲率半径を変化させるように構成された第3の駆動ワイヤを提供することにより、提供されてもよい。本発明のいくつかの実施形態において、第3の駆動ワイヤ44の一方の端部(例えば、遠位端)がカテーテル本体12の先端に連結(例えば、先端電極46に連結)されてもよく、一方、第3の駆動ワイヤ44の他方の端部(例えば、近位端)がハンドル22上の好適なアクチュエータに連結されてもよい。例えば、図9は、駆動ワイヤ44を引っ張ると遠位領域16が頁平面に対して出入りするように屈曲し、それにより遠位領域16のループの曲率半径が変化し得る構成を示す。
【0032】
或いは、第2の偏向ワイヤ32が遠位に遠位領域16の中まで延在する本発明の実施形態において、第2の偏向ワイヤ32それ自体が、ループの曲率半径を変化させる駆動ワイヤとして働いてもよい。遠位領域16のループの曲率半径を変化させるさらに別の機構が、2007年12月21日に出願された米国特許出願12/004,643号明細書に記載されており、ここにその全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0033】
使用時、EPカテーテル10は、肺静脈口などの目的とする範囲に近接して患者の体内に導入される。当然ながら、EPカテーテルは外科的に導入されても(例えば、患者の胸部切開により)、又は非外科的に導入されても(例えば、患者の血管系を通じて所望の部位まで進められても)よい。第1の偏向ワイヤ28を作動させることで、遠位領域16がほぼ目的とする口(ostium)の方に向くようにカテーテル本体12の近位領域14を偏向させ得る。その後、第2の偏向ワイヤ38を作動させてカテーテル本体12のネック領域18を偏向させることで、目的とする口に対して遠位領域16の位置を「微調整」し得る。このようなさらなる調整が望ましい場合、遠位領域16のループの曲率半径もまた調節され得る。その後、診断又は治療目的で電極20が用いられ得る。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態は、上記においてある程度の詳細を伴い説明されているが、当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、開示される実施形態に数多くの変更を加えることが可能であろう。例えば、図6はカテーテル本体12の近位領域14とネック領域18とが同じ平面内で偏向することを示すが、そうではなく、偏向機構(例えば、第1の偏向ワイヤ28/第1の駆動ワイヤ30及び第2の偏向ワイヤ38/第2の駆動ワイヤ32)は、カテーテル本体12の近位領域14及びネック領域18が異なる平面を描くように向けられてもよい。別の例として、図6は一方向のみの偏向を示すが、近位領域14及びネック領域18のいずれか又は双方が、単一の平面内で二方向に偏向するように、及び/又は複数の平面内で一方向若しくは二方向に偏向するように構成されてもよい。
【0035】
方向に関する参照(例えば、上部、下部、上方、下方、左、右、左方向、右方向、上端、下端、上側、下側、垂直、水平、時計回り、及び反時計回り)は全て、読者の本発明の理解を助けるように識別のために使用されるに過ぎず、特に本発明の位置、向き、又は使用に関して限定をもたらすものではない。結合に関する参照(例えば、取り付けられる、連結される、接続される等)は広義に解釈されるべきであり、要素の接続間の中間的構成物及び要素間の相対的な移動を含み得る。従って、結合に関する参照は、必ずしも2つの要素が直接接続されていて、互いに固定的な関係にあることを含意するとは限らない。
【0036】
上記の説明に含まれる、又は添付の図面に示される事項は全て、限定ではなく、あくまでも例示として解釈されるものとすることが意図される。添付の特許請求の範囲に定義されるとおりの本発明の趣旨から逸脱することなく、詳細又は構造に変更が加えられ得る。
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療処置において使用されるカテーテルに関する。特に、本発明は、肺静脈口などの、患者の解剖学的構造の環状領域又はその近傍における診断及び治療処置において使用される電気生理学的カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルが使用される処置の数は増え続けている。例えば、いくつか例を挙げれば、カテーテルは、診断、治療、及びアブレーション処置に使用される。典型的には、カテーテルは患者の血管系を通じて目的の部位、例えば患者の心臓内の部位まで操作される。
【0003】
典型的な電気生理学的カテーテルは、細長シャフトと、シャフトの遠位端にある1つ又は複数の電極とを含む。電極は、アブレーション、又は診断などに用いられ得る。多くの場合、それらの電極は、カテーテルシャフトの全周にわたって延在するリング電極である。
【0004】
電気生理学的カテーテルの特定の一つの用途は、心臓の心房領域、特に心房細動の発生点又は病巣であることの多い肺静脈のマッピングである。かかる電気生理学的マッピングカテーテルは、典型的にはその遠位端に、肺静脈口を取り囲むための少なくとも部分的なループ形状を有する。しかしながら、患者の解剖学的構造は様々であるため、カテーテルのループ状の部分を肺静脈口において正確に適切に配置することが課題となり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、カテーテルの形状を特定の患者の個別の解剖学的構造に対してカスタマイズする能力が向上した電気生理学的カテーテルを提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、ループ状部分をカテーテル本体のその他の部分に対して偏向させることができ、それによりループの角度を「微調整」(fine tuned)することが可能な電気生理学的カテーテルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様によれば、本発明は、近位領域と、ネック領域と、少なくとも部分的なループ状になろうとする性質を有する遠位領域とを有するチューブ状カテーテル本体と;遠位領域に配置された複数の電極と;近位領域に接合されたハンドルと;カテーテル本体の近位領域の少なくとも一部分を通じて延在し、且つ第1の扁平部分を備える第1の偏向ワイヤと;ネック領域と遠位領域の少なくとも一部分とを通じて延在し、且つネック領域内に第2の扁平部分を備える第2の偏向ワイヤと;ハンドルから延在し、且つ第1の偏向ワイヤの第1の扁平部分に接合された第1の駆動ワイヤであって、チューブ状カテーテル本体の近位領域を偏向させるため第1の駆動ワイヤに作用する力が第1の偏向ワイヤに伝達されるように接合された、第1の駆動ワイヤと;ハンドルから延在し、且つ第2の偏向ワイヤの第2の扁平部分に接合された第2の駆動ワイヤであって、チューブ状カテーテル本体のネック領域を偏向させるため第2の駆動ワイヤに作用する力が第2の偏向ワイヤに伝達されるように接合された、第2の駆動ワイヤとを含む電気生理学的カテーテルを提供する。場合により、第2の偏向ワイヤは、ニッケルチタンなどの形状記憶材料であってもよい。第2の偏向ワイヤはまた、第2の扁平部分から遠位に遠位領域の少なくとも一部分を通じて延在するシリンドリカル(cylindrical)部分を含むように構成されてもよい。本発明の他の実施形態において、第2の駆動ワイヤの少なくとも一部分を取り囲むスプリングコイルが提供される。
【0008】
典型的には、電気生理学的カテーテルのハンドルはまた、第1の駆動ワイヤに動作可能に連結された第1のアクチュエータと、第2の駆動ワイヤに動作可能に連結された第2のアクチュエータとを含み得る。本発明のいくつかの実施形態において、電気生理学的カテーテルは、少なくとも部分的なループの曲率半径を変化させるように構成された第3の駆動ワイヤを含み得ることが企図される。同様に、電気生理学的カテーテルのハンドルは、第3の駆動ワイヤに動作可能に連結された第3のアクチュエータを含んでもよい。
【0009】
また、本明細書には、近位領域と、遠位領域と、遠位領域を近位領域に接合するネック領域とを含む細長カテーテル本体と;遠位領域に配置された複数の電極と;カテーテル本体の近位領域内に配置された第1のフラットワイヤを含み、且つカテーテル本体の近位領域を偏向させるように機能する第1の偏向機構と;遠位領域の少なくとも一部分を通じて延在し、且つ遠位領域の一部分を少なくとも部分的なループに付形する形状記憶構造と;カテーテル本体のネック領域内に配置された第2のフラットワイヤを含み、且つカテーテル本体のネック領域を偏向させるように機能する第2の偏向機構とを含む電気生理学的カテーテルであって、第2のフラットワイヤの遠位端が形状記憶構造の近位端に連結される、電気生理学的カテーテルも開示される。場合により、形状記憶構造は、遠位領域の少なくとも部分的な湾曲部の曲率半径を変化させるように機能してもよい。
【0010】
第1の偏向機構及び第2の偏向機構は、それぞれカテーテル本体の近位領域及びネック領域を、同じ平面内で偏向させてもよいことが企図される。或いは、第1の偏向機構及び第2の偏向機構は、それぞれカテーテル本体の近位領域及びネック領域を、異なる平面内で偏向させてもよい。一般に、第1の偏向機構は、第1のフラットワイヤに連結された第1の駆動ワイヤであって、第1の駆動ワイヤに作用する力が第1のフラットワイヤに伝達されるように連結された、第1の駆動ワイヤを含み、一方、第2の偏向機構は、第2のフラットワイヤに連結された第2の駆動ワイヤであって、第2の駆動ワイヤに作用する力が第2のフラットワイヤに伝達されるように連結された、第2の駆動ワイヤを含む。また、カテーテル本体の近位領域に連結されたハンドルが、第1の駆動ワイヤに動作可能に連結された第1の作動機構と、第2の駆動ワイヤに動作可能に連結された第2の作動機構とを含む。
【0011】
さらに別の態様において、本発明は電気生理学的処置の実施方法を提供する。この方法は、概して、近位領域と、ネック領域と、少なくとも部分的なループ状に配置された遠位領域と、遠位領域に配置された複数の電極と、電気生理学的カテーテルの近位領域を偏向させるように機能する第1のフラットワイヤを含む第1の偏向機構と、電気生理学的カテーテルのネック領域を偏向させるように機能する第2のフラットワイヤを含む第2の偏向機構とを含む電気生理学的カテーテルを提供するステップと;患者の体内に目的とする口(ostium)に近接して電気生理学的カテーテルを導入するステップと;第1の偏向機構を作動させてカテーテルの近位領域を偏向させ、それにより遠位領域をほぼ目的とする口の方に向けるステップと;第2の偏向機構を作動させてカテーテルのネック領域を偏向させ、それにより目的とする口に対して遠位領域の位置を調整(refine)するステップとを含む。電気生理学的カテーテルはまた、少なくとも部分的なループの曲率半径を変化させるように機能する曲率半径作動機構を含んでもよく、従ってこの方法はまた、曲率半径作動機構を作動させることで、目的とする口の形状に適合するように少なくとも部分的なループの曲率半径を調節するステップも含み得る。
【0012】
本発明に係る電気生理学的カテーテルの利点は、環状領域又はその近傍における電気生理学的処置に使用されるループを含むその遠位領域を、カテーテル本体のその他の部分に対して偏向させることができることである。
【0013】
本発明に係る電気生理学的カテーテルの別の利点は、その形状を特定の患者の個別の解剖学的構造に合うよう調整することができることである。
【0014】
本発明の前述の、及び他の態様、特徴、詳細、有用性、及び利点は、以下の説明及び特許請求の範囲を読み、且つ添付の図面を検討することで明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】例示的な電気生理学的カテーテルの側面図である。
【図2A】本発明のいくつかの実施形態に係る電気生理学的カテーテルの一部分の詳細図である。
【図2B】図2Aの電気生理学的カテーテルの端面図である。
【図3A】本発明のさらなる実施形態に係る電気生理学的カテーテルの一部分の詳細図である。
【図3B】図3Aの電気生理学的カテーテルの端面図である。
【図4】図1のA−A線に沿った電気生理学的カテーテルの断面図である。
【図5】図1の電気生理学的カテーテルの近位領域の偏向を表す。
【図6】図1の電気生理学的カテーテルの近位領域及びネック領域の双方の偏向を表す。
【図7】図1のB−B線に沿った電気生理学的カテーテルの断面図である。
【図8】図1の電気生理学的カテーテルのネック領域の偏向を表す。
【図9】図1のカテーテルの遠位領域のループの曲率半径を変化させるための一構成を表す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、St.Jude Medical,Inc.のLivewire Spiral HP(商標)及びInquiry(商標)Optima(商標)PLUSカテーテルなどの、心臓電気生理学的検査において利用される電気生理学的カテーテルを参照して説明される。しかしながら、本教示は他の状況における有利な利点にも同様に適用され得ることが理解されなければならない。
【0017】
ここで図を参照すると、図1は、本発明の第1の態様に係る電気生理学的(「EP」)カテーテル10を表す。
【0018】
EPカテーテル10は、概して、いくつかの実施形態においてチューブ状である細長いカテーテル本体12(例えばそれは、そこを通じる少なくとも1本のルーメンを画定する)を含む。カテーテル本体12は、近位領域14と、遠位領域16と、近位領域14と遠位領域16との間にあるネック領域18とを含む。当業者は、図1に表される近位領域14、遠位領域16、及びネック領域18の相対的な長さが例示に過ぎず、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく異なり得ることを理解するであろう。当然ながら、カテーテル本体12の全長は、患者の体内の目的とする送り込み先に到達するのに十分な長さでなければならない。
【0019】
カテーテル本体12は、典型的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)チューブ材(例えば、TEFLON(登録商標)商標のチューブ材)などの生体適合性ポリマー材料で作製され得る。当然ながら、フッ化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、パーフルオロアルコキシエチレン(PFA)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(エチレン−コ−テトラフルオロエチレン)、及び他のフッ素重合体などの他のポリマー材料が利用されてもよい。カテーテル本体12に好適なさらなる材料としては、限定することなく、ポリアミドベースの熱可塑性エラストマー(すなわち、PEBAX(登録商標)などのポリ(エーテル−ブロック−アミド))、ポリエステルベースの熱可塑性エラストマー(例えば、HYTREL(登録商標))、熱可塑性ポリウレタン(例えば、PELLETHANE(登録商標)、ESTANE(登録商標))、イオン性熱可塑性エラストマー、機能性熱可塑性オレフィン、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。一般に、カテーテル本体12に好適な材料はまた、限定することなく、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、機能性ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリイミド、ポリケトン、液晶ポリマー及びそれらの任意の組み合わせを含む様々な熱可塑材から選択されてもよい。また、カテーテル本体12のデュロメータ値がその長さに沿って異なり得ることも企図される。一般に、カテーテル本体12の基本構造は当業者に周知されており、従ってここではこれ以上詳細な考察は行わない。
【0020】
図2A、図2B、図3A、及び図3Bに示すとおり、カテーテル本体12の遠位領域16は、少なくとも部分的なループ状になるように構成されている。当業者は、このループ形状により、遠位領域16を例えば肺静脈口の形状に適合させることが可能となることを理解するであろう。当業者はまた、この部分的なループが、本教示に従い、EPカテーテル10の目的の、又は所望の用途に応じて数多くの構成をとり得ることも理解するであろう。従って、図2B及び図3Bにそれぞれ表される円形及び楕円形のループ構成は、例示に過ぎないことが理解されなければならない。
【0021】
図2A、図2B、図3A、及び図3Bはまた、遠位領域16が、そこに配置された複数の電極20を含むことも示す。当業者は、電極20が、リング電極又はEPカテーテル10の特定の用途に好適な任意の他の電極であってもよいことを理解するであろう。例えば、EPカテーテル10が非接触電気生理学的検査における使用を意図する場合、電極20は、本明細書にその全内容が参照により本明細書に組み込まれる2009年7月2日に出願された米国特許出願12/496,855号明細書に記載されるとおり構成されてもよい。当然ながら、検出目的(例えば、心臓マッピング及び/又は診断)の利用に加え、電極20は治療目的(例えば、心臓アブレーション及び/又はペーシング)に用いられてもよい。
【0022】
再び図1を参照すると、ハンドル22がカテーテル本体12の近位領域14に連結されている。ハンドル22は、好適なアクチュエータ(例えば、ノブ24)を含み、以下にさらに詳細に記載されるカテーテル本体12の偏向を制御する。電気生理学的カテーテルに関連して使用される様々なハンドル及びそれに付随するアクチュエータが公知であり、従ってハンドル22についてここではこれ以上詳細な考察は行わない。
【0023】
図4は、図1のA−A線に沿った(例えば、近位領域14内の)カテーテル本体12の断面である。カテーテル本体12の内側ルーメン26を見ることができる。また、第1の偏向ワイヤ28と、第1の駆動ワイヤ30と、第2の駆動ワイヤ32と(以下でさらに詳細に考察される)、電極20に入る及び/又はそこから出る電力及び/又は信号を伝導するための導体ワイヤ34の集合体とを見ることもできる。
【0024】
第1の偏向ワイヤ28は、カテーテル本体12の近位領域14の少なくとも一部分を通じて延在する。好ましくは、第1の偏向ワイヤ28は、その構成が第1の軸に沿った偏向を促進しながら他の軸に沿った偏向は抑制するような、第1の扁平部分を含む。第1の偏向ワイヤ28に好適な材料の一つはステンレス鋼であり、しかしながら本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の材料を用いることもできる。
【0025】
第1の駆動ワイヤ30はハンドル22から延在し、そこで好適なアクチュエータに連結され、且つ例えばはんだ付けにより、第1の偏向ワイヤ28の第1の扁平部分に接合されている。そのため、第1の駆動ワイヤ30に作用する力、例えば施術者がハンドル22に提供された好適なアクチュエータを動かす結果生じる張力が、第1の偏向ワイヤ28に伝達され、それによりカテーテル本体12の近位領域14が偏向する。近位領域14の偏向は、図5及び図6に示される。例えば、図6は、略直線状の形態(想像線で示される)から矢印の方向36に偏向して約180度の湾曲(実線で示される)となる近位領域14を示す。
【0026】
図7は、図1のB−B線に沿った(例えば、ネック領域18内の)カテーテル本体12の断面である。図7には、第2の偏向ワイヤ38と、第2の駆動ワイヤ32と、導体34とを見ることができる。
【0027】
第2の偏向ワイヤ38はネック領域18を通じて、及び本発明のいくつかの実施形態では遠位領域16の少なくとも一部分を通じて延在する。第2の偏向ワイヤ38もまた、ネック領域18内に第2の扁平部分を含む。好ましくは、第2の偏向ワイヤ38は、ニッケルチタン(例えば、ニチノール)などの形状記憶材料で作製される。
【0028】
第2の駆動ワイヤ32はハンドル22を通じて延在し、そこで好適なアクチュエータに連結され、且つ例えばはんだ付けにより、第2の偏向ワイヤ38の第2の扁平部分に接合されている。そのため、第2の駆動ワイヤ32に作用する力、例えば施術者がハンドル22に提供された好適なアクチュエータを動かす結果生じる張力が、第2の偏向ワイヤ38に伝達され、それによりカテーテル本体12のネック領域18が偏向する。ネック領域18の偏向は、図6及び図8に示される。例えば、図8は、想像線で、遠位領域16がカテーテル本体12のその他の部分に対してもはや垂直ではなくなるように偏向(例えば、図6に示される矢印40の方向に偏向)したネック領域18を示す。このさらなる偏向により、施術者は遠位領域16のループの向きを有利に「微調整」(fine tune)することができる。すなわち、遠位領域16のループの平面がカテーテル本体12の長手方向軸に対して直角に限定されないことにより、施術者はEPカテーテル10の形状を特定の患者の個別の解剖学的構造に合うように調整することができ、それにより電気生理学的処置が促進される。
【0029】
第2の駆動ワイヤ32の少なくとも一部分は、スプリングコイル42によって取り囲まれてもよい。スプリングコイル42は、第2の偏向ワイヤ38が第2の駆動ワイヤ32によって駆動されるときのネック領域18を安定化させる。スプリングコイル42の内径は、好ましくは第2の駆動ワイヤ32の直径より僅かに大きい。
【0030】
上記のとおり、本発明のいくつかの実施形態において、第2の偏向ワイヤ32は遠位に遠位領域16の中まで延在する。本発明のこれらの実施形態において、第2の偏向ワイヤ32の形状記憶材料はまた、遠位領域16がループ状構成になろうとするようにも働き得る。すなわち、第2の偏向ワイヤ32はまた、遠位領域16の付形ワイヤとしても働き得ることが企図される。また、遠位領域16の中まで延在する第2の偏向ワイヤ32の一部分は、ネック領域18を通じて延在する第2の偏向ワイヤの一部分と異なる断面構成であってもよい。例えば、第2の偏向ワイヤ32のより遠位の部分は、そのより近位の部分の平坦な断面とは対照的に、シリンドリカル形(cylindrical)の断面を有してもよい。
【0031】
また、遠位領域16のループの曲率半径が調節可能であってもよく、例えばそれにより種々の年齢の患者の様々なサイズの肺静脈口に適合させ得ることも企図される。このさらなる制御は、例えば、ワイヤ44などの、遠位領域16のループの曲率半径を変化させるように構成された第3の駆動ワイヤを提供することにより、提供されてもよい。本発明のいくつかの実施形態において、第3の駆動ワイヤ44の一方の端部(例えば、遠位端)がカテーテル本体12の先端に連結(例えば、先端電極46に連結)されてもよく、一方、第3の駆動ワイヤ44の他方の端部(例えば、近位端)がハンドル22上の好適なアクチュエータに連結されてもよい。例えば、図9は、駆動ワイヤ44を引っ張ると遠位領域16が頁平面に対して出入りするように屈曲し、それにより遠位領域16のループの曲率半径が変化し得る構成を示す。
【0032】
或いは、第2の偏向ワイヤ32が遠位に遠位領域16の中まで延在する本発明の実施形態において、第2の偏向ワイヤ32それ自体が、ループの曲率半径を変化させる駆動ワイヤとして働いてもよい。遠位領域16のループの曲率半径を変化させるさらに別の機構が、2007年12月21日に出願された米国特許出願12/004,643号明細書に記載されており、ここにその全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0033】
使用時、EPカテーテル10は、肺静脈口などの目的とする範囲に近接して患者の体内に導入される。当然ながら、EPカテーテルは外科的に導入されても(例えば、患者の胸部切開により)、又は非外科的に導入されても(例えば、患者の血管系を通じて所望の部位まで進められても)よい。第1の偏向ワイヤ28を作動させることで、遠位領域16がほぼ目的とする口(ostium)の方に向くようにカテーテル本体12の近位領域14を偏向させ得る。その後、第2の偏向ワイヤ38を作動させてカテーテル本体12のネック領域18を偏向させることで、目的とする口に対して遠位領域16の位置を「微調整」し得る。このようなさらなる調整が望ましい場合、遠位領域16のループの曲率半径もまた調節され得る。その後、診断又は治療目的で電極20が用いられ得る。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態は、上記においてある程度の詳細を伴い説明されているが、当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、開示される実施形態に数多くの変更を加えることが可能であろう。例えば、図6はカテーテル本体12の近位領域14とネック領域18とが同じ平面内で偏向することを示すが、そうではなく、偏向機構(例えば、第1の偏向ワイヤ28/第1の駆動ワイヤ30及び第2の偏向ワイヤ38/第2の駆動ワイヤ32)は、カテーテル本体12の近位領域14及びネック領域18が異なる平面を描くように向けられてもよい。別の例として、図6は一方向のみの偏向を示すが、近位領域14及びネック領域18のいずれか又は双方が、単一の平面内で二方向に偏向するように、及び/又は複数の平面内で一方向若しくは二方向に偏向するように構成されてもよい。
【0035】
方向に関する参照(例えば、上部、下部、上方、下方、左、右、左方向、右方向、上端、下端、上側、下側、垂直、水平、時計回り、及び反時計回り)は全て、読者の本発明の理解を助けるように識別のために使用されるに過ぎず、特に本発明の位置、向き、又は使用に関して限定をもたらすものではない。結合に関する参照(例えば、取り付けられる、連結される、接続される等)は広義に解釈されるべきであり、要素の接続間の中間的構成物及び要素間の相対的な移動を含み得る。従って、結合に関する参照は、必ずしも2つの要素が直接接続されていて、互いに固定的な関係にあることを含意するとは限らない。
【0036】
上記の説明に含まれる、又は添付の図面に示される事項は全て、限定ではなく、あくまでも例示として解釈されるものとすることが意図される。添付の特許請求の範囲に定義されるとおりの本発明の趣旨から逸脱することなく、詳細又は構造に変更が加えられ得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位領域と、ネック領域と、少なくとも部分的なループ状になろうとする性質を有する遠位領域とを有するチューブ状カテーテル本体と、
前記遠位領域に配置された複数の電極と、
前記近位領域に接合されたハンドルと、
前記カテーテル本体の前記近位領域の少なくとも一部分を通じて延在し、且つ第1の扁平部分を備える第1の偏向ワイヤと、
前記ネック領域と前記遠位領域の少なくとも一部分とを通じて延在し、且つ前記ネック領域内に第2の扁平部分を備える第2の偏向ワイヤと、
前記ハンドルから延在し、且つ前記第1の偏向ワイヤの前記第1の扁平部分に接合された第1の駆動ワイヤであって、前記チューブ状カテーテル本体の前記近位領域を偏向させるため前記第1の駆動ワイヤに作用する力が前記第1の偏向ワイヤに伝達されるように接合された、第1の駆動ワイヤと、
前記ハンドルから延在し、且つ前記第2の偏向ワイヤの前記第2の扁平部分に接合された第2の駆動ワイヤであって、前記チューブ状カテーテル本体の前記ネック領域を偏向させるため前記第2の駆動ワイヤに作用する力が前記第2の偏向ワイヤに伝達されるように接合された、第2の駆動ワイヤと、
を含む、電気生理学的カテーテル。
【請求項2】
前記第2の偏向ワイヤが形状記憶材料を含む、請求項1に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項3】
前記形状記憶材料がニッケルチタンである、請求項2に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項4】
前記第2の偏向ワイヤが、前記第2の扁平部分から遠位に前記遠位領域の少なくとも一部分を通じて延在するシリンドリカル(cylindrical)部分をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項5】
前記ハンドルが、前記第1の駆動ワイヤに動作可能に連結された第1のアクチュエータと、前記第2の駆動ワイヤに動作可能に連結された第2のアクチュエータとをさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項6】
前記少なくとも部分的なループの曲率半径を変化させるように構成された第3の駆動ワイヤをさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項7】
前記ハンドルが、前記第3の駆動ワイヤに動作可能に連結された第3のアクチュエータをさらに含む、請求項6に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項8】
前記第2の駆動ワイヤの少なくとも一部分を取り囲むスプリングコイルをさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項9】
近位領域と、遠位領域と、前記遠位領域を前記近位領域に接合するネック領域とを含む細長カテーテル本体と、
前記遠位領域に配置された複数の電極と、
前記カテーテル本体の前記近位領域内に配置された第1のフラットワイヤを含み、且つ前記カテーテル本体の前記近位領域を偏向させるように機能する第1の偏向機構と、
前記遠位領域の少なくとも一部分を通じて延在し、且つ前記遠位領域の前記一部分を少なくとも部分的なループに付形する形状記憶構造と、
前記カテーテル本体の前記ネック領域内に配置された第2のフラットワイヤを含み、且つ前記カテーテル本体の前記ネック領域を偏向させるように機能する第2の偏向機構と、
を含む電気生理学的カテーテルであって、
前記第2のフラットワイヤの遠位端が前記形状記憶構造の近位端に連結される、電気生理学的カテーテル。
【請求項10】
前記第1の偏向機構及び前記第2の偏向機構が、それぞれ前記カテーテル本体の前記近位領域及び前記ネック領域を、同じ平面内で偏向させる、請求項9に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項11】
前記形状記憶構造が、前記遠位領域の前記少なくとも部分的な湾曲部の曲率半径を変化させるように機能する、請求項9又は10に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項12】
前記第1の偏向機構が、前記第1のフラットワイヤに連結された第1の駆動ワイヤであって、前記第1の駆動ワイヤに作用する力が前記第1のフラットワイヤに伝達されるように連結された、第1の駆動ワイヤを含み、
前記第2の偏向機構が、前記第2のフラットワイヤに連結された第2の駆動ワイヤであって、前記第2の駆動ワイヤに作用する力が前記第2のフラットワイヤに伝達されるように連結された、第2の駆動ワイヤを含み、
前記電気生理学的カテーテルが、前記カテーテル本体の前記近位領域に連結されたハンドルであって、前記第1の駆動ワイヤに動作可能に連結された第1の作動機構と、前記第2の駆動ワイヤに動作可能に連結された第2の作動機構とを含むハンドルをさらに含む、
請求項9〜11のいずれか一項に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項13】
近位領域と、ネック領域と、少なくとも部分的なループ状に配置された遠位領域と、前記遠位領域に配置された複数の電極と、電気生理学的カテーテルの前記近位領域を偏向させるように機能する第1のフラットワイヤを含む第1の偏向機構と、前記電気生理学的カテーテルの前記ネック領域を偏向させるように機能する第2のフラットワイヤを含む第2の偏向機構とを含む電気生理学的カテーテルを提供するステップと、
患者の体内に目的とする口(ostium)に近接して前記電気生理学的カテーテルを導入するステップと、
前記第1の偏向機構を作動させて前記カテーテルの前記近位領域を偏向させ、それにより前記遠位領域をほぼ前記目的とする口の方に向けるステップと、
前記第2の偏向機構を作動させて前記カテーテルの前記ネック領域を偏向させ、それにより前記目的とする口に対して前記遠位領域の位置を調整するステップと、
を含む、電気生理学的処置の実施方法。
【請求項14】
前記電気生理学的カテーテルが、前記少なくとも部分的なループの曲率半径を変化させるように機能する曲率半径作動機構をさらに含み、及び前記方法が、前記曲率半径作動機構を作動させることで、前記目的とする口の形状に適合するように前記少なくとも部分的なループの曲率半径を調節するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項1】
近位領域と、ネック領域と、少なくとも部分的なループ状になろうとする性質を有する遠位領域とを有するチューブ状カテーテル本体と、
前記遠位領域に配置された複数の電極と、
前記近位領域に接合されたハンドルと、
前記カテーテル本体の前記近位領域の少なくとも一部分を通じて延在し、且つ第1の扁平部分を備える第1の偏向ワイヤと、
前記ネック領域と前記遠位領域の少なくとも一部分とを通じて延在し、且つ前記ネック領域内に第2の扁平部分を備える第2の偏向ワイヤと、
前記ハンドルから延在し、且つ前記第1の偏向ワイヤの前記第1の扁平部分に接合された第1の駆動ワイヤであって、前記チューブ状カテーテル本体の前記近位領域を偏向させるため前記第1の駆動ワイヤに作用する力が前記第1の偏向ワイヤに伝達されるように接合された、第1の駆動ワイヤと、
前記ハンドルから延在し、且つ前記第2の偏向ワイヤの前記第2の扁平部分に接合された第2の駆動ワイヤであって、前記チューブ状カテーテル本体の前記ネック領域を偏向させるため前記第2の駆動ワイヤに作用する力が前記第2の偏向ワイヤに伝達されるように接合された、第2の駆動ワイヤと、
を含む、電気生理学的カテーテル。
【請求項2】
前記第2の偏向ワイヤが形状記憶材料を含む、請求項1に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項3】
前記形状記憶材料がニッケルチタンである、請求項2に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項4】
前記第2の偏向ワイヤが、前記第2の扁平部分から遠位に前記遠位領域の少なくとも一部分を通じて延在するシリンドリカル(cylindrical)部分をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項5】
前記ハンドルが、前記第1の駆動ワイヤに動作可能に連結された第1のアクチュエータと、前記第2の駆動ワイヤに動作可能に連結された第2のアクチュエータとをさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項6】
前記少なくとも部分的なループの曲率半径を変化させるように構成された第3の駆動ワイヤをさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項7】
前記ハンドルが、前記第3の駆動ワイヤに動作可能に連結された第3のアクチュエータをさらに含む、請求項6に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項8】
前記第2の駆動ワイヤの少なくとも一部分を取り囲むスプリングコイルをさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項9】
近位領域と、遠位領域と、前記遠位領域を前記近位領域に接合するネック領域とを含む細長カテーテル本体と、
前記遠位領域に配置された複数の電極と、
前記カテーテル本体の前記近位領域内に配置された第1のフラットワイヤを含み、且つ前記カテーテル本体の前記近位領域を偏向させるように機能する第1の偏向機構と、
前記遠位領域の少なくとも一部分を通じて延在し、且つ前記遠位領域の前記一部分を少なくとも部分的なループに付形する形状記憶構造と、
前記カテーテル本体の前記ネック領域内に配置された第2のフラットワイヤを含み、且つ前記カテーテル本体の前記ネック領域を偏向させるように機能する第2の偏向機構と、
を含む電気生理学的カテーテルであって、
前記第2のフラットワイヤの遠位端が前記形状記憶構造の近位端に連結される、電気生理学的カテーテル。
【請求項10】
前記第1の偏向機構及び前記第2の偏向機構が、それぞれ前記カテーテル本体の前記近位領域及び前記ネック領域を、同じ平面内で偏向させる、請求項9に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項11】
前記形状記憶構造が、前記遠位領域の前記少なくとも部分的な湾曲部の曲率半径を変化させるように機能する、請求項9又は10に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項12】
前記第1の偏向機構が、前記第1のフラットワイヤに連結された第1の駆動ワイヤであって、前記第1の駆動ワイヤに作用する力が前記第1のフラットワイヤに伝達されるように連結された、第1の駆動ワイヤを含み、
前記第2の偏向機構が、前記第2のフラットワイヤに連結された第2の駆動ワイヤであって、前記第2の駆動ワイヤに作用する力が前記第2のフラットワイヤに伝達されるように連結された、第2の駆動ワイヤを含み、
前記電気生理学的カテーテルが、前記カテーテル本体の前記近位領域に連結されたハンドルであって、前記第1の駆動ワイヤに動作可能に連結された第1の作動機構と、前記第2の駆動ワイヤに動作可能に連結された第2の作動機構とを含むハンドルをさらに含む、
請求項9〜11のいずれか一項に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項13】
近位領域と、ネック領域と、少なくとも部分的なループ状に配置された遠位領域と、前記遠位領域に配置された複数の電極と、電気生理学的カテーテルの前記近位領域を偏向させるように機能する第1のフラットワイヤを含む第1の偏向機構と、前記電気生理学的カテーテルの前記ネック領域を偏向させるように機能する第2のフラットワイヤを含む第2の偏向機構とを含む電気生理学的カテーテルを提供するステップと、
患者の体内に目的とする口(ostium)に近接して前記電気生理学的カテーテルを導入するステップと、
前記第1の偏向機構を作動させて前記カテーテルの前記近位領域を偏向させ、それにより前記遠位領域をほぼ前記目的とする口の方に向けるステップと、
前記第2の偏向機構を作動させて前記カテーテルの前記ネック領域を偏向させ、それにより前記目的とする口に対して前記遠位領域の位置を調整するステップと、
を含む、電気生理学的処置の実施方法。
【請求項14】
前記電気生理学的カテーテルが、前記少なくとも部分的なループの曲率半径を変化させるように機能する曲率半径作動機構をさらに含み、及び前記方法が、前記曲率半径作動機構を作動させることで、前記目的とする口の形状に適合するように前記少なくとも部分的なループの曲率半径を調節するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2011−224364(P2011−224364A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−86533(P2011−86533)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(506257180)セント・ジュード・メディカル・エイトリアル・フィブリレーション・ディヴィジョン・インコーポレーテッド (57)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86533(P2011−86533)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(506257180)セント・ジュード・メディカル・エイトリアル・フィブリレーション・ディヴィジョン・インコーポレーテッド (57)
【Fターム(参考)】
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