説明

二重制御ループ方法及び一定張力での繊維機械への糸の供給を確保する装置

【解決手段】 一定の張力を持つ糸Fをスプール2又は糸Fを繰り出す支持体から離れた繊維機械Tに供給する方法であって、糸Fの張力は、張力に関するパラメータが、糸Fがスプール2から繰り出された直後にモニターされ制御されるように、スプール2の近傍で制御され、繊維機械Tへ供給される糸Fは、調整済み張力の張力を修正する一連の糸ガイド部材8と、繊維機械Tでの利用箇所に到達する前に、係わり合う。繊維機械Tの近傍で、第2張力制御を行い、第2張力制御により、スプール2近傍での糸Fの張力をさらに調整することによって、繊維機械Tに入る糸Fの張力を、所定の一定値に調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の公知要件事項部に記載した、糸を繊維機械に一定の張力で供給する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製品を製造する繊維機械により使用される糸は、一定の張力又は一定速度で繊維機械に供給されて欠陥のない製造が可能となるようにすることが好ましいことは勿論である。こうした目的のため、少なくとも一定の張力での供給を達成できるようにした、種々の装置が知られている。この種の装置は、糸と係り合うとともにマイクロプロセッサ制御ユニットを通常構成する電子回路に接続された張力センサを利用して、糸に関する張力データをリアルタイムで取得する。制御ユニットは、センサにより測定した張力データを受信し、受信した張力データをプログラム可能な所定の張力値(又は設定ポイント値)と比較する。この比較を所定のアルゴリズム(例えば、通常のPID、すなわち比例{ひれい}・積分{せきぶん}・微分{びぶん}アルゴリズム)に従って行った結果に基づいて、制御ユニットは、糸と係わり合う被制御部材に作用して、必要に応じて糸の張力を修正する。例えば、被制御部材は、糸用ブレーキ、又は制御ユニットにより制御される電動機により駆動されるロータである。
【0003】
上述したように、この種の装置は、いずれも、繊維製造プロセスの品質をその性能により保証して、一定張力での繊維機械への糸の供給をリアルタイムで確保するのに用いられる。
【0004】
しかしながら、上述したタイプの装置は、糸が繰り出されるスプールと繊維機械での利用箇所又は利用領域との間の距離が、繊維機械に糸が到達する前に糸が複数個の偏向部材又は糸ガイド部材と係わることができるような場合(例えば、1メートルから数十メートルよりも大である距離)、使用に制限を受ける。こうした係わり合いにより、糸は、方向及び角度変更を行うとともに、スプールからの繰り出し後において、スプール近傍で、糸の(一定になるように調整され維持された)張力に悪影響を与える摩擦を受ける。この結果、繊維機械に入る糸は、求められる張力を有さず、求められる張力よりも高い又はこれとは異なる張力を通常有し、製造品質に影響を与える。
【0005】
上述したことは、使用される糸のスプールの各々が、繊維機械(むしろ、繊維機械で製造を担う部分)から数メートル離れている、おむつ製造用繊維機械の場合にまさしく当てはまり、糸は、繊維機械に到達する前に、数個のガイド部材とかかわり合う。
【0006】
こうしたおむつ製造機械では、製造機械で実際に製造を担う領域に供給される糸(通常は、弾性繊維)の張力は、糸がこの領域への供給のされ方に基因して、一定かつ均一とはならないという問題もある。この点に関し、こうした繊維機械は、「ローリング・テークオフ」と呼ばれる糸供給システム、すなわち、糸を、スプールをその軸線を中心として回転させながらスプールから繰り出すシステムを採用して、一定速度での供給を確保しているが、その性質上一定の供給張力を確保することはできない。
【0007】
さらに、こうしたシステムは、スプールがその軸線を中心として回転するため、ヘッド・テール方式(head−tail method)による糸供給には馴染まない。このため、繊維機械の効率と製造に影響を及ぼし、繊維機械を周期的に停止して空のスプールを交換する必要があるため、運転上の連続性に欠ける。
【0008】
米国特許第6676054号明細書には、ヘッド・テール方式を利用したオーバー・エンド・テークオフ法(over end takeoff method)により糸をスプールから繰り出す方法が記載されている。この方法は、各糸を繰り出すスプールを、対応する糸ガイド部材に対して空間的に位置付けることにより達成される。しかしながら、この特許明細書では、スプールと、糸が供給される繊維機械プロセスへの糸の挿入領域又は挿入箇所との間に距離があるため、糸が受ける張力変動に関する問題を指摘しておらず、繊維機械、特におむつ製造機械による製造領域に入る糸の張力を、一定に維持するための糸制御対策について何らの示唆もない。
【0009】
オーバー・エンド・テークオフ法は、糸を対応するスプールから繰り出すローリング・テークオフ法に対する代替法としても知られている。オーバー・エンド・テークオフ法では、スプールをその軸線を中心として移動させることなく、糸をスプールから繰り出す。この公知の方法は、ヘッド・テール法による糸供給を可能にするとともに、スプールから繰り出され繊維機械に供給される糸に対して一定の張力を維持できる。
【0010】
しかしながら,繊維機械に糸を供給する、この公知の方法は、先に述べた場合のように、製造に用いる部品の運転に必要なスペース的な理由及び技術的/物理的理由から、対応するスプールから繰り出された後でのみスプール近傍で糸張力をモニターし制御できる。こうした部品は、スプールにきっちりと接触して(ローリング・テークオフ法の場合)又はスプール近傍で(オーバー・エンド・テークオフ法の場合)運転される必要がある。
【0011】
このため、いずれの方法でも、繊維機械に入る糸に一定の均一な張力を、各糸が、繊維機械の部品により取り込まれて製品を製造するのに使用される領域において確保できない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
こうした観点から、本発明の目的は、繊維機械に糸を供給する公知の方法が持つ限界を克服する方法および方法を実施するための装置を提供することにある。
【0013】
本発明のもう一つの目的は、糸が繰り出されるスプールと繊維機械との間の距離が、大であっても、例えば、数メートル若しくは十数メートル以上であっても、繊維機械に糸を一定の張力で確実に供給できる、上述したタイプの方法及び装置を提供することにある。
【0014】
本発明のもう一つの目的は、スプールと繊維機械との間で摩擦が生ずることによる問題を解消する、上述したタイプの方法及び装置を提供することにある。
【0015】
本発明のもう一つの目的は、ヘッド・テール法による糸供給方法を実施して、繊維機械に入る糸の張力を一定の均一なものに維持できる、方法及びこれを実施する装置を提供することにある。
【0016】
本発明のもう一つの目的は、糸ガイド、プーリ等のガイド及び/又は偏向部材にまつわる糸の走行上の問題を検知し制御できる、方法及びこれを実施する装置を提供することにある。
【0017】
本発明のもう一つの目的は、糸の張力、すなわち、各糸が、繊維機械で、特に、糸が繊維機械に入る箇所での糸の運転張力を迅速かつ繰り返し設定でき、かなり時間が経過した後になって同じ製造プロセスを繰り返す場合に、再現できる、運転パラメータで、製品を製造することができる、上述したタイプの方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
これらの目的、及び当業者により明らかとなる他の目的は、請求の範囲に記載した方法及び装置により達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明を、非限定的な実施態様を例にとって本発明による装置の概略を一図のみで示した、添付図面を参照しながらさらに説明する。
【0020】
添付図面を参照すると、本発明による装置は、繊維機械T、例えば、おむつ製造装置、すなわち、繊維機械が使用する糸を繰り出す、複数本のスプールを、1メートルから数十メートルまでの間で変更可能な距離に位置付けた繊維機械への糸Fの供給を制御するのに用いられる。
【0021】
例えば、糸Fは、一つのスプール2から他のスプール1へヘッド・テール方式で接続された状態で繰り出される。こうすることにより、糸は、繊維機械で連続して使用できるので、スプールが空になっても、停止せずに済む。糸は、いわゆるオーバー・エンド・テークオフ法により繰り出される。
【0022】
スプール2を出た後、糸Fは、通常の糸ガイド3であって、スプールの双方の軸線が、糸ガイドの中心と一致して、始めのスプールが空になると、2個のスプール間で規則的な切り替えと繰り出しができるように、好ましくは、2個のスプール1及び2の前で位置付けられものを通過する。糸ガイド3による操作を受けた後、糸Fは、その張力を測定し制御する装置10による制御を受ける。この張力測定制御装置10は、公知のタイプのもので、添付図面に示す実施態様では、回転部材4Aであって、糸Fが、ブラシレスタイプ等の電動機4Bにより駆動されて、回転部材上をスライド移動するものを備える張力調整部材4と、通常の張力センサ5とを備える。張力測定制御装置10のこれら構成要素4及び5は、制御回路又は制御ユニット6であって、好ましくは、マイクロプロセッサタイプのものからなるものに接続され、センサ5により測定された張力データに基づいて、所定の制御アルゴリズムに従って、データの測定項目を所定の同種データ(設定ポイント1を定義する)と比較し、双方間に相違がある場合には、張力調整部材4(特に、電動機4A)に作用して、張力調整部材が、糸Fにブレーキをかけて、すなわち、糸の速度を落として、センサ5により測定される張力を、予め記憶された張力値に等しくさせる。
【0023】
張力調整部材4と張力センサ5と制御ユニット6とにより、介入時間が数十ナノ秒又はマイクロ秒オーダーでの極めて迅速な第1糸張力制御ループ11を構成する。これは、センサ5が、糸Fに張力に好ましくない変動の発生を検出すると直ちに、第1制御ループは、直ちに介入する必要があるからである。こうした変動は、糸をスプール2から繰り出す際に、スプールの糸を強く引っ張るか又はスプールが空になるかすると当然生ずる。
【0024】
複数本の糸を使用する、上述したタイプの繊維機械では、それぞれの糸が、複数個の糸ガイド部材8を用いて、対応するスプールから繊維機械に好ましくはガイドされる。これら糸ガイド部材は、糸に作用して、糸の移動軌跡と空間的な角度位置とを修正する。これら糸ガイド部材の作用により、摩擦を生じさせて、スプールと繊維機械間における糸の張力を事実上大幅に修正できる一方で、繊維機械により製造される製品に悪影響が及ぶことがある。
【0025】
この問題を解消するために、本発明に係る装置が提案されたのであり、第1センサ5から離れて位置付けられた、特に、糸Fが、繰り出し中、通常の繊維機械用取り出し部材(図示せず)により引き出される領域に近接して位置付けられた、第2センサ7を備えた第2糸張力制御ループを設ける。この第2センサ7は、制御回路又は制御ユニット6(回転部材4に、もっと正確に言えば、回転部材用の電動機4Bに作用するもの)にも接続され、これらとともに,第2糸張力制御ループを構成する。しかしながら、このループの下では、制御回路又は制御ユニット6は設定ポイント2に関する所定の張力値に基づいて制御を行う。繊維機械を始動時には、設定ポイント1は、設定ポイント2に一致するようにされる必要があるが、第1制御ループの設定ポイントは、繊維機械の運転中必要に応じて変化する一方、設定ポイント2は、一定のままである。
【0026】
この点に関して、繊維機械の運転中、第1制御ループ11は、スプール2から繰り出される糸の張力を通常の方法で制御し調整する。繊維機械Tへの糸の供給中、第2センサは、取得した張力データを制御ユニット6に送り、制御ユニットは、送られてきた張力データと所定の操作アルゴリズムに基づいて、張力データを設定ポイント2と比較する。測定されたデータとプログラム化されたデータ(設定ポイント2におけるもの)との間に相違がある(所定の張力よりも張力が大である)場合、制御ユニット6は、第1制御ループ11に作用して、設定ポイント1を減らすことにより糸Fに対する張力調整部材4の介入を実質的に修正することによって、設定ポイント1を修正する。こうした介入は、糸の張力が、糸の第2センサへの到達時には、正常になっているように、糸に対して適切な張力を与えるようになされる。
【0027】
第2制御ループの介入時間は、第1制御ループとは、異なっており、第1制御ループよりもミリ秒のオーダーで極めて長くなっていることに留意する必要がある。こうすることにより、2個の制御ループを備えるシステムが、第2制御ループによる介入時間を短時間にする場合に不安定化するのを防止する。言い換えると、第2制御ループの介入時間は、第2張力センサ7から取得したデータに基づいて第1制御ループが、行う張力調節が、第2センサにより効果的に確認されるように十分長く設定される。
【0028】
各制御ループによる介入速度は、制御ユニット6による対応する制御アルゴリズムの実行速度、したがって、張力調整部材4の介入速度によって定まることは明らかである。
【0029】
本発明に係る装置は、糸Fの当初の張力制御用設定ポイント1と、設定ポイント2の値(繊維機械を運転する全期間中にわたって一定にしてもよい)とを設定すると、本発明による装置は、繊維機械に入る糸Fの張力が、糸が繰り出されるスプールに関係なく(スプール2とスプール1との間で切換えがあった後でも)、全体として自動的に修正される点で、自己適応型の装置である。
【0030】
本発明による装置は、上述した態様で、つまり、上述した方法で運転されて、種々のレベルの警告及び予告を得ることができる。もし、第2センサ7が、糸の張力が、設定ポイント2の値を越えるほど高いことを検知すると、制御ユニット6は、制御を所定回数の繰り返してもうまくいかなった場合に、公知のタイプの予告ウォーニング(例えば、視認可能な警告)を行う。もし、センサ7により測定された張力が、予め定めた最高値(この値を越えると、経験上、又は、強度試験の結果から、糸の破断又は製品の品質上のトラブルが生ずる可能性がある)近くに達する場合には、制御ユニット6は、警告信号を出し、繊維機械を停止する。こうして、欠陥製品が製造されるのを防ぐ一方で、前者の場合(予告する場合)では、糸の張力の低下をもたらす原因を解消する処理を行えるようにする。こうした原因は、塵埃が、糸ガイド部材8に積もることにより起こるが、塵埃は、機械操作者により、容易に除去できる。
【0031】
繊維機械に供給される糸に、上述したような張力制御を施すことによって、本発明は、糸ガイドの欠陥又は糸の絡み合いの発生を把握することができる。こうしたトラブルは、糸の張力に好ましくない変動(増大)を引き起こして、繊維機械への糸の移動中に実質的な破断を糸にもたらす。
【0032】
したがって、本発明によれば、繊維機械Tに入る糸Fの張力を、糸の張力制御用の第1制御ループ(糸が繰り出されるスプールの近傍に位置する)と繊維機械間の距離に関係なく、所望の所定値に等しい一定値に維持することができる。こうして、繊維機械により製造される製品の品質が一定化する。
【0033】
また、本発明は、糸を繊維機械に供給するヘッド・テール方式を、効率的に使用できるようにして、好ましくない経費の増加を招く停止を防ぐ(特に、おむつ製造機械の場合に顕著である)とともに機械の効率を向上させる。
【0034】
さらに、特殊な製造に使用する糸について測定した張力データを制御ユニット6にストアすることによって、こうした製造を容易かつ迅速に繰り返すことができる。張力調整部材4を制御する制御ユニット6は、繊維機械に供給される糸の速度と張力調整部材4の電動機により消費される電流と発生トルクとを測定することにより、これらパラメータの最小閾値及び最大閾値を固定して、範囲外では、必要とされる品質に合わない品質を持つ製品が製造される虞が、明確化し又は予測できるようになる。
【0035】
本発明の一実施態様を説明したが、上記の記述に照らして他の実施態、例えば、糸ガイド部材を、第1センサ5と第2センサ7との間に設けない実施態様(たとえ、両センサ間の距離が長く、1メートルを越えていたとしても)を取ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明による方法及び装置を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の張力を持つ糸(F)を繊維機械(T)に供給する方法であって、糸を利用する箇所が、スプール(2)又は糸(F)を繰り出す支持体から離れており、糸(F)の張力は、張力に関するパラメータが、糸(F)がスプール(2)から繰り出された直後にモニターされ制御されるように、スプール(2)の近傍で制御される方法において、糸を使用する繊維機械(T)の箇所又は領域の近傍で、第2張力制御を行い、この第2張力制御により、スプール(2)の近傍における糸(F)の張力を調整して、糸(F)に関して所定の所望張力を糸の利用箇所で得られるようにすることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記スプール(2)近傍の糸の張力を、前記繊維機械(T)の運転開始時に予め定めた第1所定張力値に制御し、前記繊維機械(T)に入る時に測定される糸張力と第2所定張力値との間での比較に基づいて、当該第1所定張力値を、前記繊維機械の運転中修正することにより、前記繊維機械に入る時に測定される糸張力を、前記繊維機械の全運転期間中、当該第第2所定張力値に絶えず等しく維持することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記繊維機械での利用領域への糸供給用に2個の閉制御ループを構成し、第1制御ループを、前記スプール(2)近傍に設け、当該利用領域又は利用箇所近傍において糸を測定して得た張力データに第2制御ループを基づかせ、当該第2制御ループは、一定の張力をもたらすように作動し、当該第1制御ループは、繊維機械により糸が利用される前に、当該利用領域又は利用箇所で糸を測定して得た張力に基づいて作動させることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1所定張力値と前記第2所定張力値とは、前記繊維機械(T)の運転開始時では等しいことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記繊維機械(T)に入る時点での糸張力値が、前記第2所定張力値に一致しているか否かにかかわらず、減少し、当該第1所定張力値の修正と、これに伴う前記スプール(2)近傍で行われる糸張力修正とを所定回数行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記繊維機械(T)に入る時点での前記糸(F)の張力が、所定値に達していない場合には、前記繊維機械を停止することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1所定張力値に基づく糸への介入時間は、前記第2所定張力値と前記繊維機械(T)に入る時点で測定された張力値との比較に基づく糸への介入時間よりも小であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
一定の張力を持つ糸(F)を繊維機械(T)に供給する装置であって、糸が、スプール(2)又は糸(F)を繰り出す支持体から繰り出され、第1張力測定調整手段(4、5、6)が、スプール(2)近傍に設けられて糸(F)の張力を測定することにより、糸(F)がスプール(2)から繰り出されると直ちに、張力に関するパラメータをモニターし制御する装置において、糸が使用される繊維機械(T)の箇所又は領域の近傍に位置付けられるとともに第1張力測定調整手段に接続された第2張力測定調整手段(7)を設け、第2張力測定調整手段(7)を、繊維機械(T)の箇所又は領域の近傍において第2張力制御を行うように構成し、第2張力制御により、スプール(2)近傍での糸(F)の張力を調整して、繊維機械(T)に入る糸(F)に関して所定の所望張力が得られるようにすることを特徴とする装置。
【請求項9】
前記第1張力測定調整手段は、張力センサ(5)と張力調整部材(4)とで構成され、前記第2張力測定調整手段は、第2張力センサ(7)を備え、第1及び第2張力センサ(5、7)は、両方とも、当該張力調整部材(4)を制御する制御ユニット(6)に接続され、制御ユニットによる制御は、前記繊維機械(T)に入る糸について当該第2張力センサ(7)により測定する張力と、前記繊維機械(T)に全運転期間中一定に維持されるべき所定張力値との間でなされる比較に基づいて行われることを特徴とする装置。
【請求項10】
前記第1張力センサ(5)と前記張力調整部材(4)と前記制御ユニットとにより、第1糸張力制御ループ(11)を構成し、前記第2張力センサ(7)と前記制御ユニットとにより、第2糸張力制御ループ(15)を構成し、当該第2張力制御ループは、第1糸張力制御ループ(11)に対して優位に立つことを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記第1糸張力制御ループは、前記第2糸張力制御ループよりも介入時間が短いことを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第1糸張力制御ループ(11)の介入時間は、数ミリ秒と数ナノ秒の間にあり、前記第2糸張力制御ループ(15)の介入時間は、ミリ秒のオーダーであることを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記繊維機械(T)での利用箇所又は利用領域は、前記スプール(2)及び前記第1張力測定調整手段(4、T、6)から1メートルの距離よりも離れた距離にあることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項14】
前記繊維機械(T)での利用箇所又は利用領域は、前記糸が繰り出される前記スプール(2)から10メートルの距離よりも離れた距離にあることを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記糸(F)の移動方向及び/又は移動角度を修正する、少なくとも1個の糸ガイド(8)が、前記前記第1張力測定調整手段と前記第2張力測定調整手段(7)との間に、設けられることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項16】
前記制御ユニット(6)により、前記張力調整部材(4)に供給される電流についてのパラメータと、前記張力調整部材により発生されるトルクについてのパラメータと、前記繊維機械(T)に供給される糸(F)の速度についてのパラメータのうち、少なくとも1個のパラメータを制御し、前記制御ユニットによる制御では、許容品質に満たない製品の製造を把握又は予測できるように、制御すべきパラメータについて最小閾値及び最大閾値を固定することを特徴とする、請求項9に記載の装置。

【図1】
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【公表番号】特表2009−501116(P2009−501116A)
【公表日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−520740(P2008−520740)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【国際出願番号】PCT/EP2006/006139
【国際公開番号】WO2007/006411
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(596111896)ビ.ティ.エッセ.エルレ.インターナショナル ソチエタ ペル アチオーニ (8)
【Fターム(参考)】