説明

二重容器

【課題】外容器の内側に内容器を容易に嵌合させることができる二重容器を提供することを目的としている。
【解決手段】内容物を収容する金属製の内容器2と、内容器2を収容する樹脂製の外容器3と、外容器3の開口端部30に被着されて内容器2を密封する蓋体4と、を備える二重容器1において、内容器2の開口端部20には、内容器2をインサート品としてインサート成形された樹脂成形体5が設けられ、樹脂成形体5に形成された第一係合部52と、外容器3の開口端部30に形成された第二係合部35と、がアンダーカット嵌合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容器と外容器とを組み合わせた二重容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の二重容器として、従来、例えば下記特許文献1に示されるような、クリーム等の内容物を収容する内容器と、内容器を収容する外容器と、外容器の開口端部に被着されて内容器を密封する蓋体と、を備える構成が知られている。さらに近年では、内容器が金属材料で形成されるとともに、外容器が樹脂材料で形成された二重容器が提供されている。
上記した内容器の開口端部の外周面には、径方向外側に突出した係合部が形成されており、また、上記した外容器の開口端部の内周面には、径方向内側に突出した係合部が形成されている。そして、上記した内容器の係合部と外容器の係合部とがアンダーカット嵌合されることにより、外容器の内側に内容器が固定されている。
【特許文献1】実開昭56−138039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記した従来の二重容器では、内容器の係合部が金属からなり、外容器の係合部が樹脂からなるため、これらの係合部をアンダーカット嵌合させる際に、金属製の係合部と樹脂製の係合部とが互いに擦れ合って両者の間に大きな摩擦抵抗力が生じる。このため、外容器の内側に内容器を嵌合させる際に、相当の押し込み力が必要であり、また、内容器と外容器との位置合わせが行いにくい。
【0004】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、外容器の内側に内容器を容易に嵌合させることができる二重容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る二重容器は、内容物を収容する金属製の内容器と、該内容器を収容する樹脂製の外容器と、該外容器の開口端部に被着されて前記内容器を密封する蓋体と、を備える二重容器において、前記内容器の開口端部には、該内容器をインサート品としてインサート成形された樹脂成形体が設けられ、該樹脂成形体に形成された第一係合部と、前記外容器の開口端部に形成された第二係合部と、がアンダーカット嵌合されていることを特徴としている。
【0006】
このような構成の二重容器を製作するには、まず、内容器をインサート品として樹脂成形体をインサート成形する。これにより、内容器の開口端部に樹脂成形体が接合される。次に、樹脂成形体が接合された内容器を外容器の内側に挿入して押し込む。これにより、樹脂成形体に形成された第一係合部が、外容器に形成された第二係合部を乗り越え、第一係合部と第二係合部とがアンダーカット嵌合され、内容器と外容器とが固定される。このとき、第一係合部と第二係合部とが互いに擦れ合うが、第一係合部及び第二係合部はそれぞれ樹脂からなるので、両者の間に生じる摩擦抵抗力は、金属と樹脂とが擦れ合う場合に比べて小さくなる。
【0007】
また、本発明に係る二重容器は、前記内容器の開口端部及び前記樹脂成形体のうちの何れか一方に、径方向外側に突出したフランジ部が設けられ、該フランジ部の外縁端面が、前記内容器の開口端部及び前記樹脂成形体のうちの何れか他方で覆われていることが好ましい。
【0008】
これにより、金属からなるフランジ部が樹脂で覆われ、或いは、樹脂からなるフランジ部が金属で覆われるので、色調や質感が異なる金属層と樹脂層との断層面が露出されることがなく、まとまりのある外観となる。
【0009】
また、本発明に係る二重容器は、前記樹脂成形体には、前記内容器と前記蓋体との間に介在されるパッキン部が備えられていることが好ましい。
【0010】
これにより、上記したパッキン部によって、蓋体と内容器との間の隙間が閉塞されるので、内容器の密閉性が向上する。また、上記したパッキン部が変形することによって蓋体と内容器との間に生じる誤差が吸収される。さらに、樹脂成形体に上記したパッキン部が備えられているので、パッキンを別途用意して蓋体と内容器との間に挟み込ませる必要がない。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る二重容器によれば、外容器の内側に内容器を嵌合させる際に、アンダーカット嵌合される第一係合部と第二係合部との間に生じる摩擦抵抗力が小さくなるので、外容器の内側に内容器を容易に嵌合させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る二重容器の第1、第2の実施の形態について、図面に基いて説明する。
【0013】
[第1の実施の形態]
まず、本発明の第1の実施の形態について、図1、図2に基いて説明する。
図1は本実施の形態における二重容器1の半断面図であり、図2は二重容器1の一部分を拡大した部分断面図である。
なお、図1に示す鎖線Oは二重容器1の中心軸線を示しており、以下、単に「軸線O」と記す。また、本実施の形態では、軸線Oに沿った方向を「軸方向」とし、軸線Oに直交する方向を「径方向」とする。また、本実施の形態では、二重容器1の蓋体4側(図1における上側)を「上側」とし、その反対側(図1における下側)を「下側」とする。
【0014】
図1、図2に示すように、二重容器1は、金属製の内容器2と、その内容器2を収容する樹脂製の外容器3と、その外容器3の開口端部30に被着された蓋体4と、内容器2の開口端部20に設けられた樹脂成形体5と、蓋体4の内側に配設されたパッキン6と、を備えている。
【0015】
内容器2は、クリーム等の内容物を収容する容器であり、上端が開放されたカップ状の内装容器である。この内容器2は、薄肉の金属板からなり、例えばプレス成形等によって成形される。内容器2の概略構成としては、軸線Oに沿って延設された略円筒形状の周壁部21と、その周壁部21の下側部分に設けられた底壁部22と、周壁部21の上端から径方向外側に向けて突出したフランジ部23と、を備えている。フランジ部23の外端部は、後述する樹脂成形体5のフランジ部51の外縁端面51aに沿って略U字状に折り曲げられており、その先端23aは樹脂成形体5のフランジ部51の下面に掛止されている。
【0016】
樹脂成形体5は、例えばポリエチレンやポリプロピレン等の合成樹脂からなり、内容器2をインサート品としてインサート成形することによって形成される。詳しく説明すると、樹脂成形体5は、内容器2の開口端部20の外周に周設された略円環状のリング部材であり、内容器2の開口端部20の外周面に接合されている。樹脂成形体5の概略構成としては、軸線Oに沿って延設された略円筒形状の筒部50と、その筒部50の上端から径方向外側に向けて突出したフランジ部51と、を備えている。
【0017】
筒部50の内周面は、内容器2の開口端部20の外周面に全周に亘って接合されている。また、筒部50の外周面には、径方向外側に突出した第一係合部52が形成されている。第一係合部52は、その幅方向の断面寸法(軸方向の断面寸法)が径方向外側に向かうに従い漸次小さくなった断面視山形状の凸条部であり、筒部50の全周に亘って延設されている。この第一係合部52は、後述する外容器3に形成された第二係合部35の下側に配置されており、第一係合部52と第二係合部35とが互いに掛止されることで両者はアンダーカット嵌合されている。
【0018】
フランジ部51は、内容器2のフランジ部23の下面に接合された円環形状の板部である。このフランジ部51の上面及び外縁端面51a(先端面)は、上記した内容器2のフランジ部23によって覆われている。
【0019】
外容器3は、内容器2の外周面及び下面を覆う容器であり、上端が開放されたカップ状の外装容器である。この外容器3は、例えばポリエチレンやポリプロピレン等の合成樹脂からなり、例えば射出成形等によって成形される。外容器3の概略構成としては、軸線Oに沿って延設された略円筒形状の周壁部31と、その周壁部31の下側部分に設けられた底壁部32と、を備えている。上記した周壁部31の内径は内容器2の周壁部21の外径よりも大きく、外容器3の周壁部31と内容器2の周壁部21との間には隙間があけられており、また、外容器3の底壁部32と内容器2の底壁部22との間にも隙間があけられている。
【0020】
上記した外容器3の開口端部30(周壁部31の上端部)は、その外周面が全周に亘って段差状に縮径されており、この開口端部30の上端面は、上記した樹脂成形体5のフランジ部51の下面に当接されている。開口端部30の外周面には、略螺旋状に延設された雄ねじ33が形成されている。また、開口端部30の上端部の内周面には、段差状に拡径された段差部34が形成されており、この段差部34の内周面には、径方向内側に突出した第二係合部35が設けられている。この第二係合部35は、段差部34の内周面から径方向内側に向かうに従い下向きに傾斜した傾斜面を有する断面視略三角形状の凸条部であり、段差部34の全周に亘って間欠的若しくは連続的に延設されている。
【0021】
蓋体4は、内容器2の開口端を覆って内容器2を密封するキャップである。この蓋体4は、例えばポリエチレンやポリプロピレン等の合成樹脂からなり、例えば射出成形等によって成形される。蓋体4の概略構成としては、軸線Oに対して垂直に配設された平板状の天壁部40と、天壁部40の外縁から垂下された略円筒形状の周壁部41と、を備えている。周壁部41の内周面には、上記した外容器3の雄ねじ33に螺合される雌ねじ42が形成されている。また、周壁部41の外径は、外容器3の周壁部31の外径と略同一であり、蓋体4の外周面と外容器3の外周面とは略面一に形成されている。
【0022】
パッキン6は。内容器2のフランジ部23と蓋体4の天壁部40との間の隙間をシールするシール部材であり、内容器2のフランジ部23と蓋体4の天壁部40との間に介在されている。詳しく説明すると、パッキン6は、軸線Oに対して垂直に配設された平面視円形の平板である。このパッキン6は、蓋体4の内側に嵌合されており、蓋体4の天壁部40の下面全体を被覆している。また、パッキン6は、弾性変形可能な弾性部材からなり、パッキン6の上面は、蓋体4の天壁部40の下面に密接されており、また、パッキン6の下面には、内容器2のフランジ部23の上面が密接されている。
【0023】
次に、上記した構成からなる二重容器1の作用について説明する。
【0024】
上記した二重容器1を製作するには、まず、プレス成形等により成形された内容器2の開口端部20に樹脂成形体5を設ける工程を行う。具体的に説明すると、内容器2の開口端部20の外周面にインサート成形の下地処理を施すとともに、樹脂成形体5を成形するための図示せぬ金型に内容器2をセットする。その後、内容器2をインサート品として、前記した金型の内側に樹脂材料を射出して樹脂成形体5を射出成形する。金型への樹脂材料の注入方法としては、例えば、内容器2のフランジ部23に図示せぬ注入孔を形成しておき、その注入孔から樹脂材料を射出する方法がある。そして、金型内の樹脂成形体5が硬化した後、前記金型を脱型する。これにより、内容器2の開口端部20の外周面に接合された樹脂成形体5が成形される。
【0025】
次に、上記した樹脂成形体5が設けられた内容器2を、射出成形等により成形された外容器3の内側に嵌合させる工程を行う。具体的に説明すると、内容器2を外容器3の内側に挿入した後、内容器2を外容器3に対して相対的に押し込む。これにより、樹脂成形体5に形成された第一係合部52が、外容器3に形成された第二係合部35を乗り越え、第一係合部52と第二係合部35とがアンダーカット嵌合され、内容器2と外容器3とが固定される。このとき、第一係合部52と第二係合部35とが互いに擦れ合うが、第一係合部52及び第二係合部35はそれぞれ樹脂からなるので、両者の間に生じる摩擦抵抗力は、金属と樹脂とが擦れ合う場合に比べて小さくなる。
【0026】
以上により、内容器2と外容器3とからなる二重構造の容器本体が完成する。
そして、パッキン6が内側に嵌め込まれた蓋体4を外容器3の開口端部30に被せて締め込むことで、二重容器1が完成する。なお、そして、蓋体4を外容器3に被着させる前に、上記した内容器2内に図示せぬ内容物を充填する。
【0027】
上記した構成からなる二重容器1によれば、外容器3の内側に内容器2を嵌合させる際に、アンダーカット嵌合される第一係合部52と第二係合部35との間に生じる摩擦抵抗力が小さくなるので、外容器3の内側に内容器2を容易に嵌合させることができる。これにより、二重容器1の生産性を向上させることができるとともに、内容器2と外容器3との位置合わせ精度を向上させることができる。
【0028】
また、上記した構成からなる二重容器1によれば、第一係合部52と第二係合部35との間に生じる摩擦抵抗力が小さくなるので、外容器3の内側に嵌合された内容器2を容易に抜き出すことができる。これにより、内容器2が詰め替え用の容器(レフィル容器)である場合に、内容器2の詰め替え作業を容易に行うことができる。
また、内容器2と外容器3とを容易に分離させることができるので、二重容器1を廃棄する際、内容器2と外容器3とを容易に分別することができる。
【0029】
また、上記した構成からなる二重容器1によれば、樹脂成形体5のフランジ部51の外縁端面51aが内容器2のフランジ部23によって覆われているので、色調や質感が異なる金属層(内容器2)と樹脂層(樹脂成形体5)との断層面が露出されることがなく、まとまりのある外観となる。これにより、蓋体4を取り外した際の容器本体(内容器2及び外容器3)の口部の外観性が良くなる。
【0030】
また、上記した構成からなる二重容器1によれば、樹脂成形体5のフランジ部51の下面に内容器2のフランジ部23の先端23aが掛止されているので、この先端23aが脱落防止部となり、樹脂成形体5が内容器2の開口端部20から脱落することを防止することができる。これにより、樹脂成形体5が内容器2の開口端部20から外れ、内容器2が外容器3の内側から不用意に抜け出すことを防止することができる。
【0031】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について、図3に基いて説明する。
図3は二重容器1の一部分を拡大した部分断面図である。
なお、上述した第1の実施の形態と同様の構成については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0032】
本実施の形態における内容器2のフランジ部123(本発明における開口端縁に相当する。)の先端部は、折り返されてなく、径方向外側に向けて真直ぐ延ばされている。そして、このフランジ部123に樹脂成形体105が設けられている。この樹脂成形体105は、硬質の合成樹脂からなる外容器3や蓋体4よりも軟材質の樹脂からなり、例えば熱可塑性エラストマーや低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等の弾性変形可能な樹脂材料を用いることができる。樹脂成形体105の概略構成としては、フランジ部123の先端面(外縁端面123a)から垂下された略円筒形状の筒部150と、その筒部150の上端に連結されたパッキン部151と、を備えている。
【0033】
筒部150は、内容器2の開口端部20の外周面との間に隙間をあけて配設されており、その内周面には、径方向内側に突出した第一係合部152が全周に亘って形成されている。また、筒部150の内周面には、径方向内側に突出しているとともに内容器2のフランジ部123の下面に接合された突出部153が全周に亘って形成されており、この突出部153とパッキン部151との間に内容器2のフランジ部123が挟み込まれている。また、筒部150の上端部は、内容器2のフランジ部123の外周に周設されており、この筒部150の上端部によってフランジ部123の外縁端面123aが覆われている。
【0034】
パッキン部151は、内容器2のフランジ部123の上面と図1に示す蓋体4の天壁部40の下面との間に介在される介在部材である。このパッキン部151は、内容器2のフランジ部123上に配設され、フランジ部123の上面に接合されている。また、パッキン部151の上面は、軸線Oに対する仮想垂直面に沿って平面状に形成されており、図1に示す蓋体4の天壁部40の下面に密接される。
【0035】
一方、本実施の形態における外容器3の開口端部30の上端部の外周面には、径方向内側に縮径された段差部134が全周に亘って形成されており、この段差部134は、内容器2の開口端部20の外周面と樹脂成形体5の筒部150の内周面との間に配設されている。段差部134の周面には、径方向外側に突出した第二係合部135が全周に亘って間欠的若しくは連続的に形成されており、この第二係合部135の下方に上記した樹脂成形体105の第一係合部152が掛止されることで両者はアンダーカット嵌合されている。また、外容器3の開口端部30の上端面は、内容器2のフランジ部123の下面に当接されている。
【0036】
上記した構成からなる二重容器1によれば、内容器2のフランジ部123の外縁端面123aが樹脂成形体5の筒部150の上端部によって覆われているので、色調や質感が異なる金属層と樹脂層との断層面が露出されることがなく、まとまりのある外観となる。これにより、蓋体4を取り外した際の容器本体(内容器2及び外容器3)の口部の外観性が良くなる。
【0037】
また、上記した構成からなる二重容器1によれば、樹脂成形体105にパッキン部151が備えられているので、外容器3の開口端部30に蓋体4を被着させたとき、パッキン部151によって蓋体4の天壁部40の下面と内容器2のフランジ部123の上面との間の隙間が閉塞される。このとき、樹脂成形体105は軟材質の樹脂からなるため、パッキン部151の上面が蓋体4の天壁部40の下面に密接される。これにより、蓋体4の天壁部40と内容器2のフランジ部123との間がシールされ、内容器2の密閉性を確保することができ、内容器2内に収容された内容物の乾燥を抑えることができる。
【0038】
また、外容器3の開口端部30に蓋体4を被着させるとき、蓋体4の天壁部40の下面と内容器2のフランジ部123の上面との間に、弾性変形可能なパッキン部151が介在されるため、パッキン部151が弾性変形することによって蓋体4の天壁部40の下面と内容器2のフランジ部123の上面との間に生じる誤差が吸収される。これにより、外容器3の内側に内容器2を嵌合させる作業が行いやすくなり、二重容器1の製造効率を向上させることができるとともに、内容器2と外容器3との位置合わせ精度を向上させることができる。
【0039】
また、樹脂成形体105にパッキン部151が備えられていると、図1に示すようなパッキン6を省略することが可能である。これにより、蓋体4に対するパッキン6の組み付け工程が不要となり、二重容器1の製作工数を低減させることができる。したがって、二重容器1の生産性を向上させることができる。
【0040】
さらに、上記したパッキン部151が内容器2のフランジ部123の上面に係止されるので、パッキン部151が樹脂成形体105の脱落防止部となり、樹脂成形体105がフランジ部123から脱落することが防止されている。
【0041】
以上、本発明に係る二重容器の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記した第1の実施の形態では、内容器2のフランジ部23が略U字形状に折り返され、そのフランジ部23の先端23aが樹脂成形体5のフランジ部51の下面に掛止されており、この先端23aによって樹脂成形体5の脱落が防止されているが、本発明は、内容器2のフランジ部23の先端が樹脂成形体5のフランジ部51の下面に掛止されていない構成にすることも可能である。例えば、図4に示すように、内容器2のフランジ部23の先端部が樹脂成形体5のフランジ部51の外縁端面51aに沿って折り曲げられて軸方向に沿って真直ぐに延ばされていてもよい。この場合、樹脂成形体5の脱落を防止する脱落防止部を内容器2の開口端部20に形成することも可能である。例えば、図4に示すように、内容器2の開口端部20のうち、樹脂成形体5の筒部50が接合される範囲の一部に、径方向外側に突出する突出部224を形成し、この突出部224を脱落防止部とすることも可能である。さらに、内容器2の開口端部20のうち、樹脂成形体5の筒部50が接合される範囲の下側に、径方向外側に突出する突出部を形成し、この突出部の上側に樹脂成形体5の筒部50の下端を掛止させ、樹脂成形体5の脱落を防止することも可能である。
【0042】
また、上記した第2の実施の形態では、パッキン部151が断面視略矩形に形成されているが、本発明におけるパッキン部の形状は適宜変更可能である。例えば、図5に示すように、パッキン部251の外周面に周方向に延在する溝251aが形成された構成にすることもできる。これにより、上記した溝251aの上側部分251bが弾性変形容易となり、パッキン部251の蓋体4に対する密接性が向上する。また、図6に示すように、断面視半円形状のパッキン部351とすることも可能であり、或いは、図7に示すように、パッキン部451の上面に、周方向に延在する窪み451aが形成された構成にすることも可能である。
【0043】
また、本発明は、上記した第1の実施の形態における樹脂成形体5に、図3から図7に示すようなパッキン部151,251,351,451が備えられた構成にすることも可能である。例えば、図2に示す内容器2のフランジ部23に連通孔を形成し、この連通孔内に形成された樹脂連結部を介して樹脂成形体5のフランジ部51とパッキン部とを連結した構成であってもよい。
【0044】
また、上記した第2の実施の形態では、内容器2のフランジ部123の上面にパッキン部151が形成されているが、本発明は、内容器2にフランジ部が形成されていない場合にも樹脂成形体にパッキン部を形成することも可能である。例えば、内容器2の上端にフランジ部が形成されてなく、内容器2の上端部が軸方向に沿って真直ぐ延びている構成において、その内容器2の上端面にパッキン部を形成することも可能である。
【0045】
また、上記した第1、第2の実施の形態では、内容器2の開口端部20の径方向外側に樹脂成形体5,105が配設されているが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば、内容器2のフランジ部23の上面に樹脂成形体が載置された構成であってもよい。
【0046】
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施の形態を説明するための二重容器の半断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を説明するための二重容器の一部分を拡大した断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を説明するための二重容器の一部分を拡大した断面図である。
【図4】本発明の他の実施の形態を説明するための二重容器の一部分を拡大した断面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態を説明するための二重容器の一部分を拡大した断面図である。
【図6】本発明の他の実施の形態を説明するための二重容器の一部分を拡大した断面図である。
【図7】本発明の他の実施の形態を説明するための二重容器の一部分を拡大した断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 二重容器
2 内容器
20 開口端部
3 外容器
30 開口端部
4 蓋体
5,105 樹脂成形体
23 フランジ部
35,135 第二係合部
51 フランジ部
51a 外縁端面
52,152 第一係合部
123 フランジ部
123a 外縁端面
151,251,351,451 パッキン部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する金属製の内容器と、該内容器を収容する樹脂製の外容器と、該外容器の開口端部に被着されて前記内容器を密封する蓋体と、を備える二重容器において、
前記内容器の開口端部には、該内容器をインサート品としてインサート成形された樹脂成形体が設けられ、
該樹脂成形体に形成された第一係合部と、前記外容器の開口端部に形成された第二係合部と、がアンダーカット嵌合されていることを特徴とする二重容器。
【請求項2】
請求項1記載の二重容器において、
前記内容器の開口端部及び前記樹脂成形体のうちの何れか一方には、径方向外側に突出したフランジ部が設けられ、該フランジ部の外縁端面は、前記内容器の開口端部及び前記樹脂成形体のうちの何れか他方で覆われていることを特徴とする二重容器。
【請求項3】
請求項1または2記載の二重容器において、
前記樹脂成形体には、前記内容器と前記蓋体との間に介在されるパッキン部が備えられていることを特徴とする二重容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−269629(P2009−269629A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−119391(P2008−119391)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】