説明

二重遮水シートの損傷検知システム及び損傷検知方法、並びに貯水構造物

【課題】二重遮水シートの損傷を検出することができるとともに、上側遮水シート又は下側遮水シートのどちらが損傷しているかを検出することが可能な損傷検知システム及び損傷検知方法を提供する。
【解決手段】廃棄物処分場10に設置されている損傷検知システム12は、二重遮水シート18内に設置され、二重遮水シート18内の温度分布を測定するための光ファイバケーブル13と、光ファイバケーブル13に沿った位置の温度分布を測定する周知の温度測定手段22と、二重遮水シート18内の温度分布の変化の度合いが所定の度合いよりも大きくなると光、音等で警告を発する警報装置24とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物処分場や貯水池等の貯水構造物の遮水工として使用される二重遮水シートの損傷を検知する損傷検知システム及び損傷検知方法に関し、特に、二重遮水シートの損傷を漏水による温度分布にて検知する場合についての損傷検知システム及び損傷検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物処分場等の遮水工として使用されている合成樹脂や合成ゴム製の遮水シートが損傷を受けた場合には、廃棄物処分場のピット内に貯留されている水が損傷箇所を通じて地盤内に浸透し、地下水を汚染する可能性がある。したがって、廃棄物処分場等から地盤への漏水を厳しく管理する必要がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、廃棄物処分場からの漏水を検知する方法として、例えば、廃棄物処分場のピット内の底面地盤に敷設された二重遮水シート内に土質材料(例えば砂質土)や不織布等の中層材を介在させるとともに、この中層材中に複数配置された測定電極により、遮水シートの損傷箇所を介して漏洩する漏洩電流を検知し、二重遮水シートの損傷箇所を検知する方法が一般的に用いられている。
【特許文献1】特願昭63−758号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、二重遮水シート内に測定電極を配置して漏洩電流を検知する方法では、上側遮水シートの損傷は検出できるが、下側遮水シートの破損を検出できないという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、二重遮水シートの損傷を検出することができるとともに、上側遮水シート又は下側遮水シートのどちらが損傷しているかを検出することが可能な損傷検知システム及び損傷検知方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明の損傷検知システムは、遮水工として地盤上に敷設された二重遮水シートの損傷を検知する損傷検知システムであって、前記二重遮水シート内に設置された光ファイバケーブルと、前記光ファイバケーブルに沿った位置での温度分布を測定する温度測定手段とを備えることを特徴とする(第1の発明)。
本発明による損傷検知システムによれば、二重遮水シート内に光ファイバケーブルを設置しているので、二重遮水シート内の温度分布を連続して測定し、二重遮水シート内の温度分布を観察することができる。したがって、例えば、廃棄物処分場や貯水池等のピット内の高温の水又は周囲地盤の低温の地下水が損傷箇所から二重遮水シート内に浸入することによって生じる二重遮水シート内の温度分布の変化の度合いを検知して二重遮水シートの損傷を検出することができるとともに、上側遮水シート又は下側遮水シートのどちらが損傷しているかを検出することができる。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において、前記光ファイバケーブルは、前記二重遮水シートに沿って二次元的に拡がるように設置されることを特徴とする。
本発明による損傷検知システムによれば、光ファイバケーブルが二次元的に拡がるように設置されているので、二重遮水シート内を狭い間隔で広い範囲の温度分布を測定することができる。
【0008】
第3の発明は、第1又は2の発明において、前記温度測定手段で測定した温度分布の変化の度合いが所定の度合いよりも大きくなると光、音等で警告を発する警報装置を更に備えることを特徴とする。
本発明による損傷検知システムによれば、温度測定手段で測定した二重遮水シート内の温度分布の変化の度合いが、所定の度合いよりも大きくなると光、音等で警告を発する警報装置を更に備えるので、遮水シートの損傷を素早く把握することができる。
【0009】
第4の発明は、第3の発明において、前記二重遮水シート内における前記温度分布の変化の度合いが最も大きい位置を損傷箇所として検出することを特徴とする。
本発明による損傷検知システムによれば、温度測定手段で測定した二重遮水シート内の温度分布の変化の度合いが最も大きい位置を損傷箇所とするので、損傷箇所を容易に検出することができる。
【0010】
第5の発明は、第1〜4のいずれかの発明において、前記二重遮水シートは、廃棄物処分場や貯水池等の前記地盤上に敷設されることを特徴とする。
本発明による損傷検知システムによれば、廃棄物処分場や貯水池等の地盤上に敷設された二重遮水シートの損傷を検知することができる。
【0011】
第6の発明は、第5の発明において、前記温度分布の変化の度合いが、所定の度合いよりも大きく、かつ、周囲よりも高い温度分布が測定された場合は、前記二重遮水シートの上側遮水シートが損傷したとすることを特徴とする。
本発明による損傷検知システムによれば、二重遮水シート内の温度分布を測定して、二重遮水シート内の温度分布の変化の度合いが、所定の度合いよりも大きく、かつ、周囲よりも高い温度分布が測定された場合は、廃棄物処分場等のピット内の廃棄物により発生した熱で温められた水が二重遮水シート内に浸入したことによるものとして、二重遮水シートの上側遮水シートの損傷を検知することができる。
【0012】
第7の発明は、第5の発明において、前記温度分布の変化の度合いが、所定の度合いよりも大きく、かつ、周囲よりも低い温度分布が測定された場合は、前記二重遮水シートの下側遮水シートが損傷したとすることを特徴とする。
本発明による損傷検知システムによれば、二重遮水シート内の温度分布を測定して、二重遮水シート内の温度分布の変化の度合いが、所定の度合いよりも大きく、かつ、周囲よりも低い温度分布が測定された場合は、廃棄物処分場等の周囲地盤内の低温の地下水が二重遮水シート内に浸入したことによるものとして、二重遮水シートの下側遮水シートの損傷を検知することができる。
【0013】
第8の発明の損傷検知方法は、遮水工として地盤上に敷設された二重遮水シートの損傷を検知する損傷検知方法において、前記二重遮水シート内に設置された光ファイバケーブルと前記光ファイバケーブルに沿った位置での温度分布を測定する温度測定手段とを備えた損傷検知システムを用い、前記二重遮水シート内の温度分布を測定して、前記二重遮水シート内の温度分布の変化の度合いが所定の度合いよりも大きくなると損傷が生じているとすることを特徴とする。
本発明による損傷検知方法によれば、二重遮水シート内に光ファイバケーブルを設置しているので、二重遮水シート内の温度分布を連続して測定し、二重遮水シート内の温度分布を観察することができる。したがって、例えば、廃棄物処分場や貯水池等のピット内の高温の水又は周囲地盤の低温の地下水が損傷箇所から二重遮水シート内に浸入することによって生じる二重遮水シート内の温度分布の変化の度合いを検知して、二重遮水シートの損傷を検出することができるとともに、上側遮水シート又は下側遮水シートのどちらが損傷しているかを検出することができる。
【0014】
第9の発明は、第8の発明において、前記温度分布の変化の度合いが最も大きい位置を損傷箇所として検出することを特徴とする。
本発明による損傷検知方法によれば、温度測定手段で測定した二重遮水シート内の温度分布の変化の度合いが最も大きい位置を損傷箇所とするので、損傷箇所を容易に検出することができる。
【0015】
第10の発明は、第8又は9の発明において、前記二重遮水シートを廃棄物処分場や貯水池等の前記地盤上に敷設することを特徴とする。
本発明による損傷検知方法によれば、廃棄物処分場や貯水池等の地盤上に敷設された二重遮水シートの損傷を検知することができる。
【0016】
第11の発明は、第10の発明において、前記温度分布の変化の度合いが、前記所定の度合いよりも大きく、かつ、周囲の温度分布よりも高い温度分布が測定された場合には、前記二重遮水シートの上側遮水シートが損傷したとすることを特徴とする。
本発明による損傷検知方法によれば、二重遮水シート内の温度分布を測定して、二重遮水シート内の温度分布の変化の度合いが、所定の度合いよりも大きく、かつ、周囲よりも高い温度分布が測定された場合は、廃棄物処分場等のピット内の廃棄物により発生した熱で温められた水が二重遮水シート内に浸入したことによるものとして、二重遮水シートの上側遮水シートの損傷を検知することができる。
【0017】
第12の発明は、第10の発明において、前記温度分布の変化の度合いが、前記所定の度合いよりも大きく、かつ、周囲の温度分布よりも低い温度分布が測定された場合には、前記二重遮水シートの下側遮水シートが損傷したとすることを特徴とする。
本発明による損傷検知方法によれば、二重遮水シート内の温度分布を測定して、二重遮水シート内の温度分布の変化の度合いが、所定の度合いよりも大きく、かつ、周囲よりも低い温度分布が測定された場合は、廃棄物処分場等の周囲地盤内の低温の地下水が二重遮水シート内に浸入したことによるものとして、二重遮水シートの下側遮水シートの損傷を検知することができる。
【0018】
第13の発明の貯水構造物は、廃棄物処分場や貯水池等の貯水機能を有する貯水構造物であって、遮水工として地盤上に敷設される二重遮水シート内に設置された光ファイバケーブルと前記光ファイバケーブルに沿った位置での温度分布を測定する温度測定手段とから構成された二重遮水シートの損傷を検知する検知手段を備えることを特徴とする。
【0019】
第14の発明は、第13の発明において、前記温度測定手段で測定した前記温度分布の変化の度合いが所定の度合いよりも大きくなると光、音等で警告を発する警報装置を更に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、廃棄物処分場や貯水池等の貯水構造物内に設置された二重遮水シートの損傷を検出することができるとともに、上側遮水シート又は下側遮水シートのどちらが損傷しているかを検出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る損傷検知システム及び損傷検知方法の好ましい実施形態について図面を用いて詳細に説明する。本実施形態においては、廃棄物処分場に適用した場合について説明するが、廃棄物処分場に限定されるものではなく、貯水場等の貯水機能を有する貯水構造物に適用可能である。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る廃棄物処分場10の損傷検知システム12を示す概略図である。
図1に示すように、廃棄物処分場10は、例えば、山間部の広範な谷間や、掘削土工により、周囲地盤11の底面とその左右に二段の傾斜地からなる凹地に造成し、その底面及び傾斜面に二重遮水シート18を敷設して損傷検知システム12を設置したものである。
二重遮水シート18は、廃棄物処分場10の底面及び傾斜面の基礎地盤16の上に敷設されていて、この二重遮水シート18内には光ファイバケーブル13が設置されている。
【0023】
光ファイバケーブル13は、底面上や傾斜面上に所定の間隔、例えば、4m間隔で二次元的に拡がるように配置されている。
【0024】
図2は、本実施形態に係る廃棄物処分場10の底部を拡大して示す概略図である。
図2に示すように、二重遮水シート18は、上下二層に配置された上側遮水シート19と下側遮水シート20とからなり、上側遮水シート19と下側遮水シート20との間には、通水材21及び光ファイバケーブル13が設置されている。
通水材21は、所定の隙間を保持するための隙間保持材であって、通水可能な立体編み目構造を有する、例えば、不織布からなるものである。
そして、二重遮水シート18の上には、二重遮水シート18を保護するための砂等からなる保護層15が設けられている。
【0025】
また、図1に示すように、地上部には、光ファイバケーブル13に沿った位置の温度分布を測定する周知の温度測定手段22が管理棟23内に設置されている。廃棄物処分場10内の底部及び傾斜面に配置された光ファイバケーブル13a〜13dは地上まで延設されて、その両端はそれぞれ温度測定手段22に接続され、二重遮水シート18内の温度分布が常時、あるいは所定の時間間隔で測定される。
【0026】
なお、本実施形態においては、光ファイバケーブル13の両端を温度測定手段22に接続する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、温度測定手段22の構成によっては、一端のみを温度測定手段22に接続すればよい場合もある。
【0027】
また、本実施形態においては、温度測定精度±0.1℃、温度測定距離間隔25cm、温度測定時間60秒にて温度分布測定を行った。ただし、これらの測定条件は、各現場によって異なり、設計等により決定される。
【0028】
温度測定手段22は、測定した二重遮水シート18内の温度分布の変化の度合いが所定の度合いよりも大きくなると光、音等で警告を発する警報装置24に接続されている。本実施形態においては、所定の度合いは、温度分布の変化量(℃)で、例えば、3.0℃とし、二重遮水シート18内の通常時の温度分布よりも3.0℃以上上昇又は低下した温度分布が測定されると、警報装置24が作動するように設定した。ただし、この温度分布の変化量は、各現場によって異なり、設計等により決定される。
【0029】
なお、本実施形態においては、所定の度合いとして温度分布の変化量(℃)を用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、所定の度合いとして、例えば、温度分布の変化率(ΔT/T、ここで、ΔT:二重遮水シート18の通常時の温度分布からの温度分布の変化量(℃)、T:二重遮水シート18内の通常時の温度分布(℃))や、温度勾配(ΔT/Δt、ここで、ΔT:二重遮水シート18の通常時の温度分布からの温度分布の変化量(℃)、Δt:温度測定時間間隔(秒))を用いてもよい。
【0030】
以下に、損傷検知システム12を用いた損傷箇所の検知方法について説明する。
図3は、本実施形態における二重遮水シート18の上側遮水シート19が損傷した状態を示す概略図である。
図3に示すように、二重遮水シート18の上側遮水シート19に損傷が生じた場合には、廃棄物処分場10のピット内の廃棄物により発生した熱で温められた水が、損傷箇所Aを通過して二重遮水シート18内に浸入するので、損傷箇所Aの周辺の温度分布が上昇する。
【0031】
図4は、本実施形態における廃棄物により発生した熱で温められた水が、上側遮水シート19の損傷箇所Aを通過して二重遮水シート18内に浸入したときの二重遮水シート18内の温度分布を示すコンター図である。
図4に示すように、熱で温められた水が、上側遮水シート19の損傷箇所Aを通過して二重遮水シート18内に浸入すると、損傷箇所Aの存在する位置の温度分布が最も高く、その周囲が徐々に低くなっている。
二重遮水シート18内の温度分布を所定の時間間隔で長期間測定し、特定箇所の温度分布が通常時よりも所定の度合いである3.0℃以上上昇した場合は、上側遮水シート19が損傷して、廃棄物中の水が浸水していることによるものとして、その度合いが最も大きい箇所を損傷が生じた位置として検知する。
【0032】
図5は、本実施形態における二重遮水シート18の下側遮水シート20が損傷した状態を示す概略図である。
図5に示すように、二重遮水シート18の下側遮水シート20に損傷が生じた場合には、廃棄物処分場10の基礎地盤16内の地下水が損傷箇所Bを通過して二重遮水シート18内に浸入する。地下水は二重遮水シート18内の温度分布よりも低温なので、地下水が浸入した損傷箇所B周辺の温度分布が低下する。
【0033】
図6は、本実施形態における地下水が、下側遮水シート20の損傷箇所Bを通過して二重遮水シート18内に浸入したときの二重遮水シート18内の温度分布を示すコンター図である。
図6に示すように、地下水が下側遮水シート20の損傷箇所Bを通過して二重遮水シート18内に浸入すると、損傷箇所Bの存在する位置の温度分布が最も低く、その周囲が徐々に高くなっている。
二重遮水シート18内の温度分布を所定の時間間隔で長期間測定し、特定箇所の温度分布が通常時よりも所定の度合いである3.0℃以上低下した場合は、下側遮水シート20が損傷して、地下水が浸入していることによるものとして、その度合いが最も大きい箇所を損傷が生じた位置として検知する。
【0034】
以上説明した本実施形態における廃棄物処分場10の損傷検知システム12によれば、二重遮水シート18内に温度測定用の光ファイバケーブル13を二次元的に拡がりを持つように設置しているので、二重遮水シート18内の広い範囲の温度分布を細かく測定することができる。そして、二重遮水シート18内の温度分布を所定の時間間隔で長期間測定し、二重遮水シート18内の温度分布の時間変化を観察することにより、廃棄物処分場10のピット内の水又は基礎地盤16内の地下水が損傷箇所A、Bから二重遮水シート18内に浸入することによって生じる二重遮水シート18内の温度分布の変化を検知して、二重遮水シート18の損傷及び損傷箇所を検出することができる。
【0035】
二重遮水シート18内の温度分布を測定して、特定箇所の温度分布が通常時よりも所定の度合いである3.0℃以上上昇した場合は、廃棄物処分場10のピット内の廃棄物により発生した熱で温められた水が損傷箇所Aから二重遮水シート18内に浸入したことによるものとして、二重遮水シート18の上側遮水シート19の損傷及び損傷箇所を検出することができる。一方、二重遮水シート18内の特定箇所の温度分布が、通常時よりも所定の度合いである3.0℃以上低下した場合は、廃棄物処分場10の基礎地盤16内の低温の地下水が損傷箇所Bから二重遮水シート18内に浸入したことによるものとして、二重遮水シート18の下側遮水シート20の損傷及び損傷箇所を検出することができる。
【0036】
さらに、温度測定手段22で測定した二重遮水シート18内の温度分布の変化の度合いが、所定の度合いよりも大きくなると光、音等で警告を発する警報装置24を備えているので、二重遮水シート18の損傷を素早く把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態に係る廃棄物処分場の損傷検知システムを示す概略図である。
【図2】本実施形態に係る廃棄物処分場の底部を拡大して示す概略図である。
【図3】本実施形態における二重遮水シートの上側遮水シートが損傷した状態を示す概 略図である。
【図4】本実施形態における廃棄物により発生した熱で温められた水が、上側遮水シートの損傷箇所を通過して二重遮水シート内に浸入したときの二重遮水シート内の温度分布を示すコンター図である。
【図5】本実施形態における二重遮水シートの下側遮水シートが損傷した状態を示す概略図である。
【図6】本実施形態における地下水が、下側遮水シートの損傷箇所を通過して二重遮水シート内に浸入したときの二重遮水シート内の温度分布を示すコンター図である。
【符号の説明】
【0038】
10 廃棄物処分場
11 周囲地盤
12 損傷検知システム
13 光ファイバケーブル
15 保護層
16 基礎地盤
18 二重遮水シート
19 上側遮水シート
20 下側遮水シート
21 通水材
22 温度測定手段
23 管理棟
24 警報装置
A、B 損傷箇所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮水工として地盤上に敷設された二重遮水シートの損傷を検知する損傷検知システムであって、
前記二重遮水シート内に設置された光ファイバケーブルと、
前記光ファイバケーブルに沿った位置での温度分布を測定する温度測定手段とを備えることを特徴とする損傷検知システム。
【請求項2】
前記光ファイバケーブルは、前記二重遮水シートに沿って二次元的に拡がるように設置されることを特徴とする請求項1に記載の損傷検知システム。
【請求項3】
前記温度測定手段で測定した前記温度分布の変化の度合いが所定の度合いよりも大きくなると光、音等で警告を発する警報装置を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の損傷検知システム。
【請求項4】
前記二重遮水シート内における前記温度分布の変化の度合いが最も大きい位置を損傷箇所として検出することを特徴とする請求項3に記載の損傷検知システム。
【請求項5】
前記二重遮水シートは、廃棄物処分場や貯水池等の前記地盤上に敷設されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の損傷検知システム。
【請求項6】
前記温度分布の変化の度合いが、所定の度合いよりも大きく、かつ、周囲よりも高い温度分布が測定された場合は、前記二重遮水シートの上側遮水シートが損傷したとすることを特徴とする請求項5に記載の損傷検知システム。
【請求項7】
前記温度分布の変化の度合いが、所定の度合いよりも大きく、かつ、周囲よりも低い温度分布が測定された場合は、前記二重遮水シートの下側遮水シートが損傷したとすることを特徴とする請求項5に記載の損傷検知システム。
【請求項8】
遮水工として地盤上に敷設された二重遮水シートの損傷を検知する損傷検知方法において、
前記二重遮水シート内に設置された光ファイバケーブルと前記光ファイバケーブルに沿った位置での温度分布を測定する温度測定手段とを備えた損傷検知システムを用い、
前記二重遮水シート内の温度分布を測定して、前記二重遮水シート内の温度分布の変化の度合いが所定の度合いよりも大きくなると損傷が生じているとすることを特徴とする損傷検知方法。
【請求項9】
前記温度分布の変化の度合いが最も大きい位置を損傷箇所として検出することを特徴とする請求項8に記載の損傷検知方法。
【請求項10】
前記二重遮水シートを廃棄物処分場や貯水池等の前記地盤上に敷設することを特徴とする請求項8又は9に記載の損傷検知方法。
【請求項11】
前記温度分布の変化の度合いが、前記所定の度合いよりも大きく、かつ、周囲の温度分布よりも高い温度分布が測定された場合には、前記二重遮水シートの上側遮水シートが損傷したとすることを特徴とする請求項10に記載の損傷検知方法。
【請求項12】
前記温度分布の変化の度合いが、前記所定の度合いよりも大きく、かつ、周囲の温度分布よりも低い温度分布が測定された場合には、前記二重遮水シートの下側遮水シートが損傷したとすることを特徴とする請求項10に記載の損傷検知方法。
【請求項13】
廃棄物処分場や貯水池等の貯水機能を有する貯水構造物であって、
遮水工として地盤上に敷設される二重遮水シート内に設置された光ファイバケーブルと前記光ファイバケーブルに沿った位置での温度分布を測定する温度測定手段とから構成された二重遮水シートの損傷を検知する検知手段を備えることを特徴とする貯水構造物。
【請求項14】
前記温度測定手段で測定した前記温度分布の変化の度合いが所定の度合いよりも大きくなると光、音等で警告を発する警報装置を更に備えることを特徴とする請求項13に記載の貯水構造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−34606(P2009−34606A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−201179(P2007−201179)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】