説明

交換用照明ユニット

【課題】照明器具に取り付けられる交換用照明ユニットにおいて、照明器具へのビス止めを不要にし、交換用照明ユニット取り付けの作業効率を向上する。
【解決手段】照明器具2は、開口を有する筺体20と、ランプ取付用の筺体側ソケット24とを備え、交換用照明ユニット1は、ユニット側反射板11と、ユニット側安定器13と、ランプ取付用のユニット側ソケット14と、交換用照明ユニット1を筺体20に取り付けるためのユニット側取付部15とを備える。ユニット側取付部15は、ピン状の凸形状部材を有し、この凸形状部材が筺体側ソケット24に挿入されて取り付けられる。これにより、交換用照明ユニット1の照明器具2へのビス止めが不要となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に取り付けられる交換用照明ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
照明器具は、経年劣化等により交換される際、照明器具全体を交換すると、交換に手間と時間がかかり、交換コストが高くなる。照明器具の構成のうち、電気的に劣化する安定器、劣化によって接触不良等を起こすおそれのあるソケット、美観と照明効率に影響する反射板等は、交換する必要性が高いが、天井等埋設型の照明器具の筺体は、耐久性が高い上に、美観に影響せず、交換する必要性は極めて低い。そこで、交換の必要性が高い部分をユニット化した交換用照明ユニットが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2等参照)。この特許文献1に示される交換用照明ユニットの一例を図6に示す。同ユニット101は、交換用の反射板111を有し、商用電源から電力供給を受けるための電源線が接続される端子台112と、安定器113と、ランプ取付用のソケット114が、反射板111に一体的に固定されている。この反射板111は、ビス穴115が開けられており、同ユニット101は、照明器具の既設の反射板に替えてビス止めされる。
【0003】
しかしながら、このような交換用照明ユニット101は、照明器具への取り付け施工において、ビス止め作業が必要であり、作業効率が良くない。また、材料準備として、施工者は、取り付け対象の照明器具を品番等により特定して同ユニット101を発注し、発注を受けたメーカは、特定された照明器具のビス止め位置に対応する位置にビス穴115を開けた同ユニット101を製作する必要があり、材料準備が煩雑である。また、照明器具の品番が不明の場合は、ビス止め位置を現場で正確に測定する必要がある。
【0004】
また、特許文献2に示される交換用照明ユニットにおいては、ビス穴を長孔として、ビス止め位置の柔軟性を向上しているが、依然としてビス止め作業を要するため、作業効率が良くない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−19222号公報
【特許文献2】特開2007−157557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題を解決するものであり、照明器具に取り付けられる交換用照明ユニットにおいて、照明器具へのビス止めを不要にし、取り付けの作業効率を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、照明器具に取り付けられる交換用照明ユニットであって、前記照明器具は、開口を有する筺体と、商用電源から電力供給を受けるための電源線と、ランプ取付用の筺体側ソケットと、を備え、前記交換用照明ユニットは、ユニット側反射板と、ユニット側安定器と、ランプ取付用のユニット側ソケットと、該交換用照明ユニットを前記筺体に取り付けるためのユニット側取付部と、を備え、前記ユニット側取付部は、ピン状の凸形状部材を有し、この凸形状部材が前記筺体側ソケットに挿入されて取り付けられるものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、ピン状の凸形状部材を筺体側ソケットに挿入するだけで交換用照明ユニットを照明器具に取り付けることができるので、該ユニットの照明器具へのビス止めが不要となり、取り付けの作業効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る交換用照明ユニットが取り付けられる照明器具の断面図。
【図2】同照明器具の分解状態を下方から見た斜視図。
【図3】同交換用照明ユニットの下方から見た斜視図
【図4】同交換用照明ユニットにおけるユニット側取付部を下方から見た斜視図。
【図5】同交換用照明ユニットの照明器具への取り付け過程を下方から見た斜視図。
【図6】従来の交換用照明ユニットの下方から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態に係る交換用照明ユニットが取り付けられる照明器具を図1及び図2を参照して説明する。図1は天井埋設型の照明器具の使用状態を、図2は同照明器具の分解状態を示す。照明器具2は、天井造営材91に開けられた埋込穴に埋め込まれる筺体20を備える。筺体20は、天井構造材92に吊りボルト93等で固定される。さらに、照明器具2は、商用電源から電力供給を受けるためのリード線から成る電源線3と、電源線3を接続するための筺体側端子台22と、筺体側安定器23と、ランプ取付用の筺体側ソケット24とを備える。筺体側端子台22は、筺体側安定器23を経由して筺体側ソケット24まで電気的に接続される。筺体20内に反射板21が設けられ、筺体側ソケット24にランプ6が取り付けられ、筺体20の下面開口に前面パネル4が設けられる。ランプ6は、例えば直管蛍光灯である。
【0011】
筺体20は、その背面側が天井構造材92に固定されているため、取り外しは困難である。それに対し、筺体20の開口及び筐体20内に設けられていて、使用により経年劣化する部材は、筺体20の開口側からアクセスして比較的容易に取り外すことができる。すなわち、前面パネル4は、ランプ交換のために筺体20に着脱自在に取り付けられている。また、反射板21は、ビス5を緩めて取り外すことができる。
【0012】
このような被交換部材が、交換用照明ユニットとして構成されている。図3及び図4は交換用照明ユニット1(以下、照明ユニットという)を示す。照明ユニット1は、照明器具2から取り外される反射板21と略同じ形状及び大きさのユニット側反射板11を備える。そして、このユニット側反射板11は、電源線接続用のユニット側端子台12と、ユニット側安定器13と、ランプ取付用のユニット側ソケット14と、照明ユニット1を筺体20に取り付けるためのユニット側取付部15とを有する。ユニット側端子台12は、ユニット側安定器13を経由してユニット側ソケット14までユニット内配線によって電気的に接続される。ユニット内配線は図示を省略している。
【0013】
ユニット側安定器13は、ランプの放電を開始させると共に放電を安定に維持する機器であり、スタータ式又はラピッドスタート式等の磁気式安定器であってもよいが、電子式(インバータ式)安定器が高効率であるので望ましい。照明器具2が磁気式安定器から電子式安定器に交換される場合、照明効率が向上するので、器具としての明るさを保ってランプの数を減らすことができる場合がある。その場合、ユニット側ソケット14の数は、筺体側ソケット24の数よりも減らしてもよい。
【0014】
ユニット側取付部15は、ユニット側反射板11から曲げ起こし等によって形成された板状部材151を有し、板状部材151からピン状の凸形状部材152が突出している。板状部材151は、照明ユニット1の取付状態における筐体側ソケット24に対向する位置に配置される。板状部材151の位置及び形状は、照明器具2のランプピッチに基づいて特定され、照明器具2の承認図からランプピッチが特定されるので、照明ユニット1の出荷前の設定が可能である。凸形状部材152は、筐体側ソケット24のソケット穴241に挿入されるものであり、その形状及び大きさは、ランプの電極ピンの形状及び大きさと略同じとされる。この凸形状部材152は、通電されないので、導電性を考慮する必要がなく、強度の高い材料、例えば高強度鋼から作られる。
【0015】
次に、照明器具2の被交換部材を取り外す作業について、再び図2を参照して説明する。照明器具2は、商用電源からの電力供給がオフにされ、照明器具2の前面パネル4が筺体20から取り外され、ランプが筺体側ソケット24から取り外され、反射板21が筺体20から取り外され、筺体20が開口した状態にされる。電源線3は、筺体側端子台22から取り外され、電源線3の端部が一時的に絶縁テープ等によって絶縁処理される。このため、筺体側端子台22と筺体側安定器23と筺体側ソケット24は、筺体20から取り外されないが、電気的に商用電源から切り離される。筐体側ソケット24は、以後、照明ユニット1を機械的に保持するために使われ、ランプ取付には使われないので、経年劣化によって電気的な接触不良が生じる状態になっていても構わない。なお、筺体側安定器23は、絶縁油の入った安定器である場合は、絶縁油漏れを防ぐために撤去される。
【0016】
次に、照明ユニット1を照明器具2に取り付ける作業について図4及び図5を参照して説明する。電源線3は、端部の絶縁処理が除去され、ユニット側端子台12に接続される。ユニット側取付部15の凸形状部材152が筐体側ソケット24に挿入されることによって、照明ユニット1が照明器具2に取り付けられる。次に、ランプがユニット側ソケット14に取り付けられる。前面パネル4は、例えば、パネル枠41に設けられたキックばね42が筺体20内に突出する係合突起43に係合されることによって、筺体20に取り付けられる。この前面パネル4は、新しいものが取り付けられるが、劣化していなければ、取り外したものを再利用してもよい。最後に、照明ユニット1への電力供給がオンにされてランプの点灯確認がされる。
【0017】
この照明ユニット1の取り付けによって、照明器具2の反射板、筺体側端子台22、筺体側安定器、及び筺体側ソケット24が、それぞれ、ユニット側反射板11、ユニット側端子台12、ユニット側安定器13、及びユニット側ソケット14に交換され、電源線3が、筺体側端子台22からユニット側端子台12に接続変更される。
【0018】
取り付け作業において、ピン状の凸形状部材152を筺体側ソケット24に挿入するだけで照明ユニット1を照明器具2に取り付けることができるので、照明ユニット1の照明器具2へのビス止めが不要となり、取り付けの作業効率が向上する。
【0019】
なお、本発明は、上記の実施形態の構成に限られず、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。照明器具2は、天井埋設型の照明器具に限られず、例えば、天井から吊り下げられるペンダント型の照明器具であってもよい。
【符号の説明】
【0020】
1 交換用照明ユニット
11 ユニット側反射板
13 ユニット側安定器
14 ユニット側ソケット
15 ユニット側取付部
152 凸形状部材
2 照明器具
20 筺体
24 ユニット側ソケット
3 電源線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明器具に取り付けられる交換用照明ユニットであって、
前記照明器具は、開口を有する筺体と、商用電源から電力供給を受けるための電源線と、ランプ取付用の筺体側ソケットと、を備え、
前記交換用照明ユニットは、ユニット側反射板と、ユニット側安定器と、ランプ取付用のユニット側ソケットと、該交換用照明ユニットを前記筺体に取り付けるためのユニット側取付部と、を備え、
前記ユニット側取付部は、ピン状の凸形状部材を有し、この前記凸形状部材が前記筺体側ソケットに挿入されて取り付けられることを特徴とする交換用照明ユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−29060(P2011−29060A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175169(P2009−175169)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】