説明

交流LED調光装置及びそれによる調光方法

【課題】トライアックの駆動電圧とR/C位相制御器の抵抗及びキャパシタの特性とにより調光範囲が限定されるという問題点、及び従来の調光装置でターンオンスイッチング時に高調波が多量に発生するという問題点を解決し、フリッカー現象を減少又は最少化できる、改善された交流LED調光装置及びそれによる調光方法を提供する。
【解決手段】交流電源の供給を受けて全波整流する整流部と、整流部により全波整流された電圧の印加を受け、全波整流された昇圧電圧を生成して、パルスイネーブル信号を生成する電圧変換部と、全波整流された昇圧電圧の印加を受け、パルスイネーブル信号に応答して交流LEDを調光するパルス幅変調信号を生成する制御部と、パルス幅変調信号の制御下で交流LEDを駆動するスイッチ部と、交流電源とスイッチ部の間に接続されて交流電源に含まれる電磁気干渉を除去する電磁気干渉フィルタ部と、を含む交流LEDの調光装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流LED調光装置及びそれによる調光方法に関し、より詳細には、パルス幅変調制御を通じて交流入力電源電圧を高速で双方向にスイッチングし、交流LEDの調光機能を効果的に達成するための交流LED調光装置及びそれによる調光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ランプの調光(dimming)機能は、ランプの明るさを制御してユーザの都合に応じて用いるための機能であって、その使用は非常に限定的であった。しかし、現在、電気エネルギーの使用量の増加によって、エネルギー消費の節約が非常に重要な問題として台頭している。それによって、従来、ユーザの都合のための単純な選択的機能であったランプの調光機能は、電気エネルギー節約のための必須機能となっている。また、そのような電気エネルギー節約の必要性に応じて、環境にやさしい照明を提供するLED(Light Emitting Diode)が脚光を浴びている。
【0003】
従来の代表的な調光装置は、トライアックのような半導体素子を用い、交流電源電圧の交流位相制御を通じて交流電源電圧の実効値(Vrms)を調節することによって交流LEDを調光する。
【0004】
トライアックは、2つのシリコン制御整流器(SCR)(またはサイリスタ)を逆並列に接続した回路と等価である素子であって、ゲート端子に所定の信号を加えると、トライアックを流れる電流がある一定の閾値を下回るまで継続してオン状態を維持する双方向素子である。このようなトライアックは、当該技術分野で通常の知識を有する者にはよく知られているので、トライアックに関する詳細な説明は省略する。
【0005】
このように位相制御方式は、入力電圧が「0V」の時点(入力電圧が立ち上がったり、立ち下がったりし始める時点)を基準として一定の時間遅延をした後にトライアックスイッチを駆動して、出力電圧の実効値を調節する。しかし、位相制御方式及びトライアックを用いる従来の調光方法は、トライアックの駆動のために適用される制御回路とトライアックスイッチの固有特性とにより、動作範囲においてかなりの制限が伴う。
【0006】
以下では、図面を参照し、従来の調光装置及び調光方法の問題点を詳細に考察する。
【0007】
図1は、トライアックを用いた従来の調光装置の一例を簡略に示したブロック図である。図1を参照すると、調光装置10は、トライアックスイッチ14とR/C位相制御器16とを含む。トライアックスイッチ14は交流電源12からランプ、即ち交流LED18に交流電圧を供給する、又は遮断する機能を行い、R/C位相制御器はトライアックスイッチ14を制御する。従って、トライアックスイッチ14は、R/C位相制御器16から提供されるゲートターンオン信号Iによりオンされて交流電圧を交流LED18に供給する。
【0008】
このようなトライアックを用いた調光装置10は、交流入力電圧が「0V」の時点で、抵抗R及びキャパシタCを用いて所定の位相制御信号、即ちゲートターンオン信号Iを生成してトライアックスイッチ14を駆動する。前記位相制御信号は、交流電圧の印加を受けて、抵抗及びキャパシタによって決定される時定数により遅延された信号である。
【0009】
ここで、一般的なトライアックの動作特性を考慮するとき、調光装置10の調光範囲は、トライアックの駆動電圧により制限される。
【0010】
図2は、図1に例示した従来の調光装置における交流入力電圧v及び交流入力電流iの波形を示したグラフである。図2を参照すると、このようなトライアックを用いる位相制御方式は、位相制御特性により電流波形iが正弦波形をなせない。
【0011】
これは交流入力電圧が「0V」の時点で、抵抗RとキャパシタCとを用いることにより生成される所定の位相制御信号、即ちゲートターンオン信号(図1のI)が、トライアックの動作特性上、トライアックスイッチ(図1の14)が急に電流を流すようにするためである。従って、参照符号20で表されたような形状の電流iの波形が表れるようになる。
【0012】
また、電流波形における電流iが流れ始める時点は、R/C位相制御器16の抵抗及びキャパシタにより定められる。このような位相遅延時間の決定において、抵抗及びキャパシタの動作マージンが要求される。このような動作マージンが不十分な場合には、瞬間的にゲートターンオン信号(図1のI)が流れる恐れがあり、交流LEDのフリッカー現象が起きる原因となる。
【0013】
このように、最小調光範囲と最大調光範囲とがトライアックの駆動電圧とR/C位相制御器の抵抗及びキャパシタの特性とにより非常に限定的になるという問題点がある。
【0014】
また、トライアックスイッチを用いる位相制御方式は、ゲートターンオン信号によりトライアックが急にスイッチングされるため、このようなスイッチング過程(特に、図2の参照符号20で表されたオン時点)で高調波が多量に発生するという問題点がある。
【0015】
従って、より幅広い制御範囲と線形的調光機能とを達成するためには、新たな方式の交流電源駆動回路及び制御回路が切実に要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明が解決しようとする課題は、調光範囲がトライアックの駆動電圧とR/C位相制御器の抵抗及びキャパシタの特性とにより限定されるという従来の調光装置の問題点を解決するために、改善された交流LED調光装置及びそれによる調光方法を提供することである。
【0017】
本発明が解決しようとする他の課題は、従来の調光装置においてターンオンスイッチング時に高調波が多量に発生するという問題点を解決するために、改善された交流LED調光装置及びそれによる調光方法を提供することである。
【0018】
本発明が解決しようとするもう一つの課題は、従来の調光装置におけるR/C位相制御器の抵抗及びキャパシタの動作マージンの不足による交流LEDのフリッカリング現象を減少または最少化できる、改善された交流LED調光装置及びそれによる調光方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記の課題を解決するための本発明の一実施形態に係る交流LED調光装置は、交流電源から交流電圧の供給を受けて交流電圧を1次全波整流する整流部と、整流部により1次全波整流された電圧の印加を受け、2次全波整流して昇圧された電圧を生成し、パルスイネーブル信号を生成する電圧変換部と、2次全波整流されて昇圧された電圧の印加を受け、パルスイネーブル信号に応答して交流LEDを調光するパルス幅変調信号を生成する制御部と、パルス幅変調信号の制御下で交流LEDを駆動するスイッチ部と、を含む。
【0020】
交流LED調光装置は、交流電源とスイッチ部との間に接続されて、交流電源に含まれる電磁気干渉を除去する電磁気干渉フィルタ部をさらに含んでもよく、スイッチ部は、電磁気干渉が除去された電源の供給を受けて交流LEDを駆動してもよい。
【0021】
電磁気干渉フィルタ部は、フィルタキャパシタ及び共通モードインダクタを含むラインフィルタであってもよい。
【0022】
共通モードインダクタは、2段以上に直列接続されてもよい。
【0023】
整流部は、交流電源の電圧を分圧する分圧回路と、分圧回路により分圧された電圧を全波整流する第1全波整流回路と、第1全波整流回路により全波整流された電圧を安定化させる第1電圧安定化回路とを含んでもよい。
【0024】
第1電圧安定化回路は、整流部の出力段に並列接続されたキャパシタであってもよい。
【0025】
分圧回路は、交流電源に接続された分圧用キャパシタと分圧用キャパシタに直列接続された抵抗素子とを含み、第1全波整流回路は、その抵抗素子と交流電源との間に接続されてもよい。
【0026】
分圧回路は、第1全波整流回路の入力段に並列接続されて所定のツェナー電圧を提供する一対のツェナーダイオードをさらに含んでもよい。
【0027】
電圧変換部は、整流部の出力電圧の印加を受けてパルス信号を生成するパルス生成回路と、パルス信号の印加を受けて矩形波信号を出力する第1増幅回路と、1次側で矩形波信号の印加を受けて2次側に昇圧された電圧を誘導する変圧器と、変圧器の2次側に誘導される電圧を全波整流し、制御部に印加されるパルスイネーブル信号を出力する第2全波整流回路と、第2全波整流回路により全波整流された電圧を安定化させる第2電圧安定化回路と、を含んでもよい。
【0028】
第1増幅回路は、各々のベース端子がパルス生成回路の出力に接続され、エミッタ端子が共通に接続されて、コレクタ端子が整流部の出力段に接続される一対のバイポーラ接合トランジスタを含んでもよく、共通のエミッタ端子は、変圧器の1次側に接続されてもよい。
【0029】
第2電圧安定化回路は、コレクタ端子が第2全波整流回路の出力段に接続され、エミッタ端子が制御部の入力段と接続されるバイポーラ接合トランジスタと、バイポーラ接合トランジスタのコレクタ端子とベース端子との間に接続される抵抗素子と、ベース端子に所定の基準電圧を提供するツェナーダイオードと、電圧変換部の出力段に並列接続されるキャパシタと、を含んでもよい。
【0030】
変圧器の1次側接地端と電圧変換部の出力段の接地端との間には、ノイズフィルタがさらに含まれてもよい。
【0031】
ノイズフィルタは、100kΩ〜1000kΩの抵抗を有する抵抗素子であってもよい。
【0032】
第1増幅回路の出力段と変圧器の1次側との間に、直流遮断キャパシタがさらに直列に接続されてもよい。
【0033】
制御部は、矩形波パルスのデューティ比を制御するデューティ比制御回路と、パルスイネーブル信号の印加を受けて矩形波パルスを第1レベルに遷移させ、デューティ比制御回路の制御により矩形波パルスを第2レベルに遷移させる矩形波パルス生成部と、矩形波パルス生成部の出力の印加を受けてパルス幅変調信号を出力する第2増幅回路と、を含んでもよい。
【0034】
スイッチ部は、パルス幅変調信号が第1レベルの場合、交流電源の正の半周期の間は第1動作モードを有し、交流電源の負の半周期の間は第2動作モードを有してもよい。
【0035】
スイッチ部は、パルス幅変調信号によりオンまたはオフされ、互いに直列接続された第1及び第2スイッチングトランジスタと、第1及び第2スイッチングトランジスタのそれぞれに対して並列接続された第1及び第2逆方向ダイオード(inverse diode)とを含み、第1動作モードでは第1スイッチングトランジスタ及び第2逆方向ダイオードを経由する電流経路を有し、第2動作モードでは第2スイッチングトランジスタ及び第1逆方向ダイオードを経由する電流経路を有してもよい。
【0036】
前記の課題を解決するための本発明の一実施形態に係る交流LED調光方法は、交流電源の供給を受けてパルス幅変調信号を生成し、パルス幅変調信号の制御下で交流LEDを駆動し、パルス幅変調信号のデューティ比を調節して交流LEDを調光すること、を含む。
【0037】
前記の課題を解決するための本発明の他の実施形態に係る交流LED調光方法は、交流電源から交流電圧の供給を受けて交流電圧を1次全波整流し、1次全波整流された電圧の印加を受け、2次全波整流して昇圧電圧を生成してパルスイネーブル信号を生成し、2次全波整流された昇圧電圧の印加を受け、パルスイネーブル信号に応答してパルス幅変調信号を生成し、パルス幅変調信号の制御下で交流電源に応じて双方向にスイッチングして交流LEDを駆動し、パルス幅変調信号のデューティ比を調節して交流LEDを調光すること、を含む。
【0038】
交流LED調光方法は、交流電源に含まれる電磁気干渉を除去するために、交流電源を電磁気干渉フィルタリングすること、をさらに含んでもよい。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、パルス幅変調制御方式を用いた交流LED調光装置及びそれによる調光方法を提供することによって、従来、調光範囲がトライアックの駆動電圧とR/C位相制御器の抵抗及びキャパシタの特性とにより限定されていたという問題点を改善する効果を奏する。
【0040】
また、本発明によれば、改善された交流LED調光装置及びそれによる調光方法を提供することによって、従来の調光装置におけるターンオンスイッチング時に高調波が多量に発生するという問題点を解決し、交流LEDのフリッカー現象を減少または最少化できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】トライアックを用いた従来の調光装置の例を簡略に示したブロック図である。
【図2】図1に例示した従来の調光装置における交流入力電圧と電流の波形とを示したグラフである。
【図3】本発明の一実施形態に係る交流LEDの調光装置のブロック図である。
【図4】図3の交流LED調光装置を用いた場合の交流入力電圧と電流の波形とを概略的に示したグラフである。
【図5A】図3の電磁気干渉フィルタ部の例を示した回路図である。
【図5B】図3の電磁気干渉フィルタ部の例を示した回路図である。
【図6】図3の整流部の一例を示した回路図である。
【図7】図3の電圧変換部の一例を示した回路図である。
【図8】図3の制御部の一例を示した回路図である。
【図9A】パルス幅変調信号VPWMが最小出力の場合の例を概略的に示した波形である。
【図9B】パルス幅変調信号VPWMのデューティ比が70%の場合の例を概略的に示した波形である。
【図9C】パルス幅変調信号VPWMのデューティ比が100%の場合の例を概略的に示した波形である。
【図10】図3のスイッチ部の一例を示した回路図である。
【図11A】本発明の一実施形態に係る交流LED調光装置において、パルス幅変調信号VPWMの様々なデューティ比に応じた交流LEDの電圧と入力電流との関係を示した波形である。
【図11B】本発明の一実施形態に係る交流LED調光装置において、パルス幅変調信号VPWMの様々なデューティ比に応じた交流LEDの電圧と入力電流との関係を示した波形である。
【図11C】本発明の一実施形態に係る交流LED調光装置において、パルス幅変調信号VPWMの様々なデューティ比に応じた交流LEDの電圧と入力電流との関係を示した波形である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
【0043】
図3は、本発明の一実施形態に係る交流LED調光装置のブロック図である。図3を参照すると、調光装置100は、電磁気干渉(Electro Magnetic Interference)フィルタ部(EMIフィルタ部)102、整流部104、電圧変換部106、制御部108及びスイッチ部110を含む。
【0044】
電磁気干渉フィルタ部102は、交流電源120とスイッチ部110との間に接続され、交流電源120に含まれる電磁気干渉を除去する。即ち、電磁気干渉フィルタ部102は、交流電源120から交流LED180までの電力線に含まれる調光装置100の内部または外部の電磁気干渉によるインパルス性ノイズ、高調波などを除去する。電磁気干渉フィルタ部102の使用は選択的であるが、電磁気干渉による影響を減らし、力率を改善するためには使用する方がより好ましい。
【0045】
整流部104は、交流電源120から交流電圧の供給を受けて全波整流し、直流電圧Vを出力する。電磁気干渉フィルタ部102が使われる場合には、電磁気干渉フィルタ部102により電磁気干渉が除去された電圧voutが整流部104に供給される。
【0046】
電圧変換部106は、整流部104により全波整流された電圧Vの印加を受け、全波整流して昇圧された電圧Vdc2を出力し、パルスイネーブル信号Pen_PWMを出力する。
【0047】
即ち、電圧変換部106は、交流電源120から分離された直流電圧Vdc2を出力し、さらに、パルス幅変調信号VPWMの生成に使われるパルスイネーブル信号Pen_PWMを出力する。
【0048】
制御部108は、電圧変換部106の出力である全波整流された昇圧電圧Vdc2の印加を受け、パルスイネーブル信号Pen_PWMに応答してパルス幅変調信号VPWMを生成する。
【0049】
スイッチ部110は、パルス幅変調信号VPWMの制御下で交流LED180を駆動する。電磁気干渉フィルタ部102が使われる場合には、スイッチ部110は、電磁気干渉が除去された電源voutの供給を受けて交流LED180を駆動する。
【0050】
このように、本発明による調光装置は前記構成要素を含むことにより、従来のトライアックを用いる調光方式の場合における、トライアックの駆動電圧とR/C位相制御器の抵抗及びキャパシタの特性とにより調光範囲が制限されるという問題点及びターンオンスイッチング時に高調波が発生するという問題点を改善でき、R/C位相制御器の抵抗及びキャパシタのマージン不足による交流LEDのフリッカー現象を減らせるようになる。
【0051】
図4は、図3の交流LED調光装置を用いた場合の交流入力電圧v及び電流iの波形の一例を概略的に示したグラフである。ここで、入力電圧とは、交流LED180への入力電圧を意味する。入力電圧及び電流のグラフは、パルス幅変調信号VPWMのデューティ比が100%の場合を例示したものである。
【0052】
図4の波形を図2の波形と比較してみると、電圧波形v及びvは、互いに同一(同一の交流電源と仮定)であるが、電流波形においては、図4の電流波形iが正弦波により近いことが分かる。また、図2での電流波形iでのように急にオンされるトライアックスイッチを用いる場合に発生することがある高調波も抑制され得る。
【0053】
図5A及び図5Bは、図3の電磁気干渉フィルタ部102の例を示した回路図である。まず、図5Aを参照すると、電磁気干渉フィルタ部102は、フィルタキャパシタC及び共通モード(common mode)インダクタL,Lを含むラインフィルタ(またはACラインフィルタともいう)である。このようなラインフィルタは、LCロウパスフィルタであって、これを通じて電源に含まれる電磁気干渉が除去される。交流電圧voutは、電磁気干渉が除去された電源である。
【0054】
電磁気干渉フィルタ部102、即ちラインフィルタは、力率を一層高めるために、フィルタキャパシタCの容量は小さく、共通モードインダクタL,Lのインダクタンスは大きく設計することが好ましい。
【0055】
図5Aのように共通モードインダクタL,Lを単一段で構成した場合には、例えば巻線数、サイズの問題など物理的な制約が多い。従って、そのような物理的制約を克服し、共通モードインダクタのインダクタンスを大きくして力率を一層高めるためには、2段又はそれより多くの段数で直列接続されることがさらに好ましい。
【0056】
従って、図5Bは、共通モードインダクタ(LとL,LとL)が2段に直列接続された場合を示している。このような図5Bは、物理的な制約及び力率改善のために2段に直列接続された場合の一例であるだけで、直列接続される段数は2段に限定されず、3段以上であってもよい。
【0057】
このように、電磁気干渉フィルタ部102により正弦波に近い交流LED180への入力電流を生成でき、高調波抑制、その他電磁気干渉除去などを達成できるようになる。
【0058】
図6は、図3の整流部(AC/DC Rectifier)104の一例を示した回路図である。
【0059】
図6を参照すると、整流部104は、交流電源vinの電圧を分圧する分圧回路114、分圧回路114により分圧された電圧を全波整流する第1全波整流回路124、及び第1全波整流回路124により全波整流された電圧を安定化させる第1電圧安定化回路C62を含む。
【0060】
ここで、交流電源vinは、電磁気干渉フィルタリングされる前の交流電源120であってもよく、電磁気干渉フィルタ部102が使われる場合には、電磁気干渉フィルタリングされた交流電源(図5Aまたは図5Bのvout)であってもよい。
【0061】
分圧回路114は、交流電源vinに直列接続された分圧用キャパシタC61、分圧用キャパシタC61に直列接続された抵抗素子R61、抵抗素子R61に直列接続された一対のツェナーダイオードZD61,ZD62を含む。また、所定のツェナー電圧VZDを提供する一対のツェナーダイオードZD61,ZD62の両端は、第1全波整流回路124の入力段に並列接続される。
【0062】
一対のツェナーダイオードZD61,ZD62は、逆方向に直列接続され、交流電源vin下で所定のツェナー電圧VZD,-VZDを提供する。
【0063】
整流部104の回路動作を詳述すると、直列接続された分圧用キャパシタC61、抵抗素子R61、及び一対のツェナーダイオードZD61,ZD62が交流電源vinに接続されており、一対のツェナーダイオードZD61,ZD62の各々の両端が第1全波整流回路124の入力段に接続されているので、一対のツェナーダイオードZD61,ZD62は、第1全波整流回路124の入力電圧を所定のツェナー電圧VZDの範囲に制限する役割をする。
【0064】
また、分圧用キャパシタC61の両端の電圧は、第1電圧安定化回路を構成するキャパシタC62の消費電力に応じて可変であってもよい。この場合、分圧用キャパシタC61、抵抗素子R61、及び一対のツェナーダイオードZD61,ZD62の直列接続回路において、交流電源vinの電圧は所定の比率で分配され、キャパシタC62の消費電力に応じてダイオードD61,D62,D63,D64で構成された第1全波整流回路124の交流入力電圧は変わる。
【0065】
従って、キャパシタC62の消費電力を計算して分圧用キャパシタC61の容量を設計してもよい。例えば、分圧用キャパシタC61の容量値は、100nF〜330nFであってもよい。
【0066】
さらに、キャパシタC62の消費電力を考慮した分圧用キャパシタC61の最適設計如何に応じ、一対のツェナーダイオードZD61,ZD62の使用は選択的であってもよい。
【0067】
キャパシタC62は、第1電圧安定化回路を構成する。第1電圧安定化回路C62は、第1全波整流回路124により整流された電圧を直流に安定化させて、後続段である電圧変換部106に提供する役割をする。
【0068】
図7は、図3の電圧変換部(DC/DC converter)106の一例を示した回路図である。図7を参照すると、電圧変換部106は、整流部104の出力電圧Vの印加を受けて高周波パルス信号Pを生成するパルス生成回路116と、高周波パルス信号Pの印加を受けて矩形波信号Pを出力する第1増幅回路146と、1次側で矩形波信号Pの印加を受けて2次側に昇圧された電圧を誘導する変圧器TR71と、変圧器TR71の2次側に誘導される電圧vを全波整流し、制御部108に印加されるパルスイネーブル信号Pen_PWMを出力する第2全波整流回路166と、第2全波整流回路166により全波整流された電圧(N73の電圧)を安定化させる第2電圧安定化回路156と、を含む。
【0069】
パルス生成回路116は、矩形波を生成する発振回路であって、デューティ比調節回路126及びタイマIC136を含む。図7では、代表的にパルス生成回路116のタイマIC136がNE555タイマICの場合を例に挙げるが、高周波パルス信号を生成できる回路であれば、いかなるICが使われても問題ないので、タイマICは例示したNE555に限定されるわけではない。
【0070】
例えば、タイマIC136のGND(1番)ピンは接地端に接続され、THR(2番)、TRG(6番)及びDIS(7番)ピンはデューティ比を調節する周辺回路であるデューティ比調節回路126に接続され、VCC(4番)及びRST(8番)ピンは直流電圧Vdc1端に接続される。また、CV(5番)ピンには、タイマIC136の動作を安定化させるキャパシタC73が接続される。
【0071】
デューティ比調節回路126は、直列接続された第1抵抗素子R71、第2抵抗素子R72及びキャパシタC72を含み、ここに直流電圧Vが印加される。
【0072】
接続された状態を詳述すると、第1抵抗素子R71と第2抵抗素子R72の間のノードN71にタイマIC136の7番ピン(DIS)が接続され、第2抵抗素子R72とキャパシタC72の間のノードN72にタイマIC136の2番及び6番ピン(THR及びTRG)が共通に接続される。そうして、第1抵抗素子R71及び第2抵抗素子R72とキャパシタC72とにより決定される時定数及びタイマIC136の動作によりデューティ比が決定される。
【0073】
好ましくは、デューティ比が50%である高周波パルス信号Pを生成するために、図7に示した通り、第2抵抗素子R72に並列に接続されてキャパシタC72に対してバイアスされるダイオードD71がさらに含まれてもよい。
【0074】
第1増幅回路146は、高周波パルス信号Pの印加を受け、矩形波信号Pを変圧器TR71の1次側に提供する。
【0075】
例えば、図7に示した通り、第1増幅回路146は、一対のバイポーラ接合トランジスタQ71,Q72を含んでもよい。一対のバイポーラ接合トランジスタQ71,Q72のベース端子は、パルス生成回路116の出力段に共通に接続され、エミッタ端子は共通に接続されて、一対のバイポーラ接合トランジスタQ71,Q72それぞれのコレクタ端子は、整流部の出力段に接続される。即ち、バイポーラ接合トランジスタQ71のコレクタ端子には直流電圧端Vが接続され、バイポーラ接合トランジスタQ72のコレクタ端子は接地端に接続されて、直流電圧Vにより駆動される。
【0076】
一対のバイポーラ接合トランジスタQ71,Q72の共通のエミッタ端子は、変圧器TR71の1次側に接続され、共通エミッタ端子を通じて出力される交流状の矩形波信号Pは、変圧器TR71に提供される。
【0077】
バイポーラ接合トランジスタQ71,Q72の共通エミッタ端子と変圧器TR71の1次側との間には、直流遮断キャパシタC74が直列に接続されてもよく、直流信号を遮断できる。
【0078】
第2全波整流回路166は、4つのダイオードD72,D73,D74,D75を含む。第2全波整流回路166は、変圧器TR71の2次側に接続されて変圧器TR71により昇圧された電圧(即ち、変圧器TR71の2次側電圧)を全波整流する。第2全波整流回路166の出力段には、キャパシタC75が並列に接続されて直流電圧を安定化させる。
【0079】
第2電圧安定化回路156は、例えば、バイポーラ接合トランジスタQ73、抵抗素子R73、ツェナーダイオードZD71、及びキャパシタC76を含む。
【0080】
図示したバイポーラ接合トランジスタQ73はnpn型トランジスタであって、コレクタ端子が第2全波整流回路166の出力段に接続され、エミッタ端子が制御部108の入力段と接続されて、コレクタ端子がツェナーダイオードZD71と接続される。バイポーラ接合トランジスタQ73のコレクタ端子とベース端子との間には、所定の抵抗値を有する抵抗素子R73が接続され、ベース端子と電圧変換部106の出力接地端N74との間には、ツェナーダイオードZD71が接続されて、ベース端子に所定のツェナー電圧を提供する。また、電圧変換部106の出力段には、キャパシタC76が並列接続され、直流電圧Vdc2を安定化させる。
【0081】
第2電圧安定化回路156がバイポーラ接合トランジスタQ73、特にnpn型の場合を例に挙げて説明したが、pnp型バイポーラ接合トランジスタが用いられてもよく(もちろん、バイポーラ接合トランジスタ以外の素子の設計もそれに応じて変わらなければならない)、さらに直流電圧Vdc2を安定化させることができる多様な回路が用いられてもよい。
【0082】
また、変圧器TR71の1次側接地端N75と電圧変換部106の出力接地端N74との間には、ノイズフィルタ176が追加されてもよい。このようなノイズフィルタ176は、変圧器TR71の2次側接地N74、即ち電圧変換部106の出力段の接地を安定化させ、変圧器TR71の2次側に接続された回路のノイズ成分を変圧器TR71の1次側に通過させることによって、より安定した直流電圧Vdc2を生成できる。
【0083】
ノイズフィルタ176は多様な構成で実現されるが、好ましくはキャパシタ、抵抗素子などで構成されてもよく、さらに好ましくは数百kΩ〜数千kΩの抵抗を有する抵抗素子であってもよい。
【0084】
図7を再度参照し、電圧変換部106の回路動作を全体的に詳述すると、整流部104の出力電圧VがキャパシタC71により充電または安定化され、キャパシタC71両端の直流電源がタイマIC136と第1増幅回路146のトランジスタQ71,Q72とを駆動する。
【0085】
タイマIC136は、第1抵抗素子R71及び第2抵抗素子R72と、キャパシタC72とにより決定される時定数の値に応じた所定のデューティ比を有する高周波パルス信号Pを生成する。このような高周波パルス信号Pを用いて第1増幅回路146は電流を増幅し、直流遮断キャパシタC74を介して変圧器TR71の1次側に交流状の矩形波信号を提供する。変圧器TR71の1次側に提供された電圧に応じて2次側から所定の比率で昇圧された電圧が誘導され、このような昇圧された電圧は、ダイオードD72,D73,D74,D75で構成された第2全波整流回路166により全波整流され、キャパシタC75により直流電圧(N73の電圧)に安定化される。続いて、第2電圧安定化回路156によりさらに安定化された直流電圧Vdc2が生成されて、後続の制御部108の駆動電圧として提供される。それと共に、第2全波整流回路166のダイオードD75とダイオードD74との間のノードで出力されるパルスイネーブル信号Pen_PWMが制御部108に提供されてパルス幅変調信号VPWMが生成される。
【0086】
このような電圧変換部106は、変圧器TR71を基準としてみるとき、変圧器TR71の1次側では交流状のパルス電圧が発生する回路で構成され、2次側は1次側と電気的に絶縁され、1次側の電圧を昇圧させて安定化した直流電圧Vdc2を生成できる。
【0087】
図8は、図3の制御部108の一例を示した回路図である。図8を参照すると、制御部108は、矩形波パルスPのデューティ比を制御するデューティ比制御回路(Rvar,R83,C82)128、矩形波パルス生成部118及び第2増幅回路(Q81,Q82)138を含む。
【0088】
デューティ比制御回路128は、パルスイネーブル信号Pen_PWMにより生成されるパルス幅変調信号VPWMの遷移時点をRvar,R83,及びC82の時定数によって決定する。
【0089】
矩形波パルス生成部118は、パルスイネーブル信号Pen_PWMの印加を受けて矩形波パルスPを第1レベルに遷移させ、デューティ比制御回路128は、第1レベルに遷移した矩形波パルスPを第2レベルに遷移させる。パルスイネーブル信号Pen_PWMもまた矩形波であるので、パルス幅変調信号の周波数(または周期)もこのようなパルスイネーブル信号Pen_PWMにより決定される。
【0090】
例えば、第1レベルがハイレベルで第2レベルがロウレベルの場合、矩形波パルスPはパルスイネーブル信号Pen_PWMの印加を受けてハイレベルに立ち上がり、立ち上がった矩形波パルスPはデューティ比制御回路128により決定される時定数によってロウレベルに遷移することにより、矩形波パルスPのオン区間が決定される。
【0091】
例えば、矩形波パルス生成部118は、4528シリーズのICであってもよい。図8に示した通り、4528シリーズのICの場合、矩形波パルス生成部118と、その周辺回路であるデューティ比制御回路128の回路接続を詳述すると、矩形波パルス生成部118のRCピンは、直列接続された可変抵抗Rvar及び固定抵抗R83と、キャパシタC82との間のノードN81に接続される。直列接続された可変抵抗Rvar、固定抵抗R83、及びキャパシタC82の両端に直流電圧Vdc2が印加される。矩形波パルス生成部118のAピンには、パルスイネーブル信号Pen_PWMが印加される。
【0092】
第2増幅回路138は、矩形波パルス生成部118の出力パルスPの印加を受けてパルス幅変調信号VPWMを出力する。第2増幅回路138は、直流電圧Vdc2の提供を受けて動作し、一対のバイポーラ接合トランジスタQ81,Q82を含んでもよい。第2増幅回路138は、電圧変換部106の第1増幅回路146の構成と同様なので、重複する説明は省略する。ただし、トランジスタそれぞれの特性は、第1増幅回路146と第2増幅回路138とで互いに異なってもよい。
【0093】
図8を再度参照して制御部108の全体的な回路動作を詳述すると、矩形波パルス生成部118及び第2増幅回路138は、電圧変換部106からの直流電源Vdc2の供給を受けて動作する。矩形波パルス生成部118は電圧変換部106で生成されるパルスイネーブル信号Pen_PWMに応答して矩形波パルスPを生成し、第2増幅回路138はこのような矩形波パルスPの印加を受けてパルス幅変調信号VPWMを生成する。
【0094】
先に詳述した通り、パルス幅変調信号VPWMのデューティ比は、矩形波パルス生成部118の周辺回路であるデューティ比制御回路128により決定され、パルス幅変調信号VPWMのオン時点及び周波数は、パルスイネーブル信号Pen_PWMにより決定される。
【0095】
制御部108の出力、即ちパルス幅変調信号の周波数は、20kHz〜100kHzまたはそれ以上の矩形波信号であってもよく、パルス幅変調の制御はデューティ比1%〜100%の広い範囲内で行われてもよい。
【0096】
デューティ比制御回路128において、可変抵抗Rvarは、交流LEDを調光する操作部(図示せず)と直接的に連結されてもよく、調光の必要時に操作部により可変抵抗Rvarの抵抗値を調節することによってパルス幅変調信号VPWMのデューティ比を調節して交流LEDを調光できる。
【0097】
図9A〜図9Cは、交流LEDを調光するパルス幅変調信号VPWMの様々な例を示した図面であって、図9Aはパルス幅変調信号VPWMのデューティ比が1%の場合の例であり、図9Bはパルス幅変調信号VPWMのデューティ比が70%の場合の例であり、図9Cはパルス幅変調信号VPWMのデューティ比が100%の場合の例である。
【0098】
まず、図9Aを参照すると、パルスイネーブル信号Pen_PWMは、所定の周波数を有し、先に説明した通りパルス幅変調信号VPWMをイネーブルさせるとともに、パルス幅変調信号VPWMの周波数を決定する。
【0099】
図8における可変抵抗Rvarを調節してパルス幅変調信号VPWMのデューティ比を1%に調整する場合、図9Aに示したようなパルス幅変調信号VPWMの波形が得られるが、この場合、以下で詳細に説明するスイッチ部110がオンする期間が非常に短いので、交流LEDの光出力は大変少ない。
【0100】
図9Bを参照すると、パルスイネーブル信号Pen_PWMは図9Aと同一の周波数を有するように固定され、可変抵抗Rvarを調節してパルス幅変調信号VPWMのデューティ比を70%に調整した場合である。この場合には、図9Aの場合よりは長い期間、スイッチ部110がオンするので、交流LEDの光出力は図9Aの場合よりは相当増加する。
【0101】
図9Cを参照すると、パルスイネーブル信号Pen_PWMは図9Aと同一の周波数を有するように固定され、可変抵抗Rvarを調節してパルス幅変調信号VPWMのデューティ比を100%に調整した場合である。この場合には、スイッチ部110が常にオンしている状態であるので、交流LEDの光出力は最大となる。
【0102】
図10は、図3のスイッチ部110の一例を示した回路図である。図10を参照すると、スイッチ部110は、パルス幅変調信号VPWMが第1レベルの場合、交流電源の正の半周期の間は第1動作モードを有し、交流電源の負の半周期の間は第2動作モードを有する。この場合、電磁気干渉フィルタ部102が交流電源(図3の120)の後段に使われる場合には、電磁気干渉フィルタ部102により電磁気干渉が除去された電圧(図5Aまたは図5Bのvout)がスイッチ部110に提供される。
【0103】
例えば、パルス幅変調信号VPWMの第1レベル及び第2レベルは、スイッチ部110を構成するトランジスタQ101,Q102がオンされ得る電圧の大きさと、トランジスタQ101,Q102がオフされ得るゲート端子とソース端子との間の電圧の大きさとを意味する。
【0104】
このように、スイッチ部110に印加される電源が交流電源であり、発光素子が交流LEDであるので、スイッチ部110は交流電源に対応するように互いに異なった電流経路を有する二つの動作モードを有する。
【0105】
スイッチ部110の回路構成例は、図10に示すように、第1及び第2スイッチングトランジスタQ101,Q102と、第1及び第2スイッチングトランジスタQ101,Q102それぞれに対応するように並列に接続された第1及び第2逆方向ダイオード(inverse diode)Qd101,Qd102とを含む。
【0106】
第1及び第2スイッチングトランジスタQ101,Q102はパルス幅変調信号VPWMによりオンまたはオフされ、互いに直列接続されている。
【0107】
第1スイッチングトランジスタQ101のドレインとソース端子との間には第1逆方向ダイオードQd101が第1スイッチングトランジスタQ101に対して並列に接続されており、第2スイッチングトランジスタQ102のドレインとソース端子との間には第2逆方向ダイオードQd102が第2スイッチングトランジスタQ102に対して並列に接続されている。
【0108】
図10に示す回路構成においては、第1動作モードでは第1スイッチングトランジスタQ101と第2逆方向ダイオードQd102とを経由する電流経路を有し、前記第2動作モードでは第2スイッチングトランジスタQ102と第1逆方向ダイオードQd101とを経由する電流経路を有する。即ち、パルス幅変調信号VPWMがスイッチングトランジスタQ101,Q102をオンさせることができるレベルになる場合(上記の例で第1レベル)を仮定してみると、この場合には、スイッチングトランジスタQ101,Q102はいずれもオン状態であり、順方向に接続されたダイオード(第1動作モードではQd102、第2動作モードではQd101)のみが電流を流すので、第1動作モードと第2動作モードとでは、互いに異なった電流経路を有するようになる。
【0109】
動作モード別に詳述すると、交流電圧vの正の半周期区間である第1動作モードの場合には、第1逆方向ダイオードQd101側には電流が流れないため、パルス幅変調信号VPWMに応じて第1スイッチングトランジスタQ101のドレインN101とソースN102との間に電流が流れ、又は遮断される。逆に、第2逆方向ダイオードQd102はバイアスであるので、第2スイッチングトランジスタQ102のソースN102とドレインN103との間の第2逆方向ダイオードQd102を経由する電流経路が形成される。
【0110】
従って、結果的に、第1動作モードではパルス幅変調信号VPWMに応じて第1スイッチングトランジスタQ101が制御され、それにより交流LEDが調光される。
【0111】
一方、交流電圧vの負の半周期区間である第2動作モードの場合には、第2逆方向ダイオードQd102側には電流が流れず、従って、パルス幅変調信号VPWMに応じて第2スイッチングトランジスタQ102のドレインN103とソースN102との間に電流が流れ、又は遮断される。逆に、第1逆方向ダイオードQd101はバイアスであるので、第1スイッチングトランジスタQ101のソースN102とドレインN101との間の第1逆方向ダイオードQd101を経由する電流経路が形成される。従って、結果的は、第2動作モードではパルス幅変調信号VPWMに応じて第2スイッチングトランジスタQ102が制御され、それにより交流LEDが調光される。
【0112】
図10では、スイッチングトランジスタQ101,Q102としてN型MOSFETが用いられる例を示したが、これらスイッチングトランジスタQ101,Q102はP型MOSFETであってもよく、さらにパルス幅変調信号VPWMにより高速にスイッチングして交流電力を交流LEDに印加できる、いかなるスイッチングトランジスタであってもよい。
【0113】
図11A〜図11Cは、本発明の一実施形態に係る交流LED調光装置において、パルス幅変調信号VPWMの様々なデューティ比に応じた交流LEDの入力電圧と電流との関係を示した波形である。
【0114】
図11Aはパルス幅変調信号VPWMのデューティ比が1%の場合であり、図11Bはパルス幅変調信号VPWMのデューティ比が70%の場合であり、図11Cはパルス幅変調信号VPWMのデューティ比が100%の場合である。従って、図11A,図11B,及び図11Cのそれぞれは、図9A,図9B,図9Cに対応する交流LEDの入力電圧及び電流の波形と見ることができる。図11A〜図11Cのグラフでx軸は時間軸であり、y軸は電圧または電流軸である。
【0115】
図11A及び図11Bの場合には、パルス幅変調信号VPWMのデューティ比に応じてパルス幅変調信号VPWMの周期内でスイッチ部110がオン/オフする区間を有するので、交流LEDの入力電圧及び電流がそれに応じて変わる。従って、交流LEDの入力電圧がパルス幅変調信号VPWMに応じて変わる区間での内部周期と、入力電流が示される区間での内部周期とは、パルス幅変調信号VPWMの周期と同一である。
【0116】
図11Cの場合には、パルス幅変調信号VPWMのデューティ比が100%であるので、スイッチ部110が常にオン状態であり、交流電源の電圧及び電流波形と同様に示される。
【0117】
交流LEDの光出力は、電圧と電流の積に依存する。図11A〜図11Cに示すように、パルス幅変調信号VPWMのデューティ比が増加するに伴ってピーク値が大きくなり、従って、交流LEDの光出力はパルス幅変調信号VPWMのデューティ比が増加するに伴って大きくなる。
【0118】
パルス幅変調信号VPWMは、所定の範囲内で(例えば1%から100%まで)デューティ比を調節することによって線形的に制御できる。
【0119】
上述した通り、本発明による交流LED調光装置は、従来の調光装置の問題点を改善してパルス幅変調信号により効率的で広範囲な調光機能を達成できる。特に、本発明による交流LED調光装置は、前述した従来のトライアックスイッチを用いる調光装置での調光範囲の限界及び高調波発生の問題を改善できる。
【0120】
次に、本発明の一実施形態に係る交流LED調光方法は、1)交流電源の供給を受けてパルス幅変調信号を生成すること、2)パルス幅変調信号の制御下で交流LEDを駆動すること、3)パルス幅変調信号のデューティ比を調節して交流LEDを調光すること、を含む。
【0121】
パルス幅変調信号は、多様なIC及び周辺回路などを用いて生成でき、その一例は先の図6〜図8,及び図10を参照して説明した交流LED調光装置においてパルス幅変調信号を生成する回路であってもよい。このような回路によるパルス幅変調信号生成については既に十分に説明したので重複して説明はしない。
【0122】
本発明の一実施形態に係る交流LED調光方法は、パルス幅変調信号のデューティ比を調節することによって交流LEDを調光するが、ここで、パルス幅変調信号を生成するために供給される交流電源、または交流LEDを駆動するために供給される交流電源に含まれる内部または外部の電磁気干渉により発生するノイズを除去するために、電磁気干渉をフィルタリングすることをさらに含んでもよい。
【0123】
例えば、電磁気干渉フィルタリングは、図5Aまたは図5Bに示した電磁気干渉フィルタを用いて実現されてもよい。
【0124】
また、本発明の他の実施形態に係る交流LED調光方法は、1)交流電源の供給を受けて1次全波整流すること、2)1次全波整流された電圧の印加を受け、2次全波整流して昇圧電圧を生成し、パルスイネーブル信号を生成すること、3)2次全波整流された昇圧電圧の印加を受け、パルスイネーブル信号に応答してパルス幅変調信号を生成すること、4)パルス幅変調信号の制御下で交流電源に応じて双方向にスイッチングして交流LEDを駆動すること、5)パルス幅変調信号のデューティ比を調節して交流LEDを調光すること、を含む。
【0125】
交流LED調光方法でのそれぞれの段階は、例えば図6〜図8,及び図10を参照して説明できる。即ち、1次全波整流は図6の整流部104により実現され、2次全波整流、昇圧電圧出力及びパルスイネーブル信号出力は図7の電圧変換部106により実現され、パルス幅変調信号の生成は図8の制御部108により実現され、双方向のスイッチングを通じた交流LEDの駆動は図10のスイッチ部110により実現される。
【0126】
また、デューティ比の調節による交流LEDの調光は、先に説明した通り、可変抵抗Rvarが交流LEDを調光する操作部(図示せず)と直接的に連結されているデューティ比制御回路128によって達成されてもよい。
【0127】
同様に、前記交流LED調光方法は、パルス幅変調信号生成のために印加される交流電源、または交流LEDを駆動するために供給される交流電源に含まれる内部または外部の電磁気干渉により発生するノイズを除去するために、電磁気干渉をフィルタリングすること、をさらに含んでもよい。
【0128】
本発明に係る交流LED調光方法は、パルス幅変調制御方法を通じて交流LEDを調光することによって、効率的で広範囲な線形的な調光機能を達成でき、高調波発生を抑制できるようになる。
【0129】
上述したように、本発明の実施形態に係る交流LED調光装置及びそれによる調光方法は、従来の調光方式の場合における、トライアックの駆動電圧とR/C位相制御器の抵抗及びキャパシタの特性とにより調光範囲が限定されるという問題点及びターンオンスイッチング時に高調波が発生するという問題点を改善できる。
【0130】
さらに、本発明の実施形態に係る交流LED調光装置及びそれによる調光方法は、従来の調光方式の場合において、ターンオンスイッチング時に高調波が多量に発生するという問題点を改善できる。
【0131】
さらに、本発明の実施形態に係る交流LED調光装置及びそれによる調光方法は、従来の調光方式において、R/C位相制御器の抵抗及びキャパシタのマージン不足による交流LEDのフリッカー現象を減少又は最小化することが可能である。
【0132】
上述した本発明の様々な実施形態は互いに組み合わせることが可能であり、ここに記載されていないさらなる実施形態を提供するために、必要があるならば、様々な特許、特許出願及び刊行物の概念を適用して本発明の実施形態を変更することも可能である。
【0133】
本発明に係る交流LED調光装置及びそれによる調光方法は、前記実施形態に限定されず、本発明の基本原理を逸脱しない範囲で多様に設計され応用され得ることは、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者には自明な事実であると言える。
【符号の説明】
【0134】
100:調光装置
102:電磁気干渉フィルタ部
104:整流部
106:電圧変換部
108:制御部
110:スイッチ部
PWM:パルス幅変調信号
en_PWM:パルスイネーブル信号
L1,L2,L3,L4,L5,L6:インダクタ
C1,C61,C62,C71,C72,C73,C74,C75,C76:キャパシタ
D61,D62,D63,D64,D71,D72,D73,D74,D75:ダイオード
114:分圧回路
124:第1全波整流回路
116:パルス生成回路
126:デューティ比調節回路
136:タイマIC
146:第1増幅回路
156:第2電圧安定化回路
166:第2全波整流回路
176:ノイズフィルタ
118:矩形波パルス生成部
128:デューティ比制御回路
138:第2増幅回路
101、Q102:スイッチングトランジスタ
Qd101、Qd102:逆方向ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源と、
前記交流電源とLEDとの間に接続され、パルス幅変調信号により選択的にターンオンされて前記交流電源からの交流電圧を前記LEDに供給する双方向スイッチ部と、
を含み、
前記パルス幅変調信号は、前記交流電源と電気的に絶縁されて入力され、
前記LEDは、前記交流電源が前記LEDの順方向電圧以上になる区間の間、前記パルス幅変調信号に対応する前記交流電圧を受けて発光することを特徴とするLED調光装置。
【請求項2】
前記スイッチ部は、
前記パルス幅変調信号を制御信号として動作する第1スイッチと、
前記第1スイッチに並列に接続される第1ダイオードと、
前記第1スイッチに直列に接続され、前記パルス幅変調信号を制御信号として動作する第2スイッチと、
前記第2スイッチに前記第1ダイオードの極性と反対の極性で並列に接続される第2ダイオードと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のLED調光装置。
【請求項3】
前記LED調光装置は、
前記交流電圧の印加を受けて、前記交流電源と電気的に絶縁された前記パルス幅変調信号を生成するパルス幅変調信号生成手段をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のLED調光装置。
【請求項4】
前記パルス幅変調信号生成手段は、
前記交流電源からの前記交流電圧の印加を受けて所定レベルの第1電源を生成する整流部と、
前記第1電源の印加を受けて駆動され、前記印加された第1電源を用いて前記交流電源と電気的に絶縁された所定のデューティ比を有するパルスイネーブル信号及び第2電源を生成して出力する電圧変換部と、
前記第2電源によって駆動され、前記パルスイネーブル信号の前記デューティ比を制御し、前記パルス幅変調信号を生成して前記スイッチ部に出力する制御部と、
を含むことを特徴とする請求項3に記載のLED調光装置。
【請求項5】
前記電圧変換部は、前記交流電源と前記パルスイネーブル信号及び前記第2電源を電気的に絶縁する絶縁型変圧器を含むことを特徴とする請求項4に記載のLED調光装置。
【請求項6】
前記交流電源と前記スイッチ部との間に接続され、前記交流電圧に含まれる電磁気干渉を除去する電磁気干渉フィルタ部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のLED調光装置。
【請求項7】
前記電磁気干渉フィルタ部は、フィルタキャパシタ及びインダクタを含むラインフィルタであることを特徴とする請求項6に記載のLED調光装置。
【請求項8】
前記インダクタは、2段以上で直列接続されることを特徴とする請求項7に記載のLED調光装置。
【請求項9】
前記整流部は、
前記交流電圧を分圧する分圧回路と、
前記分圧回路により分圧された電圧を全波整流する第1全波整流回路と、
前記第1全波整流回路により全波整流された電圧を安定化させ、前記第1電源を生成する第1電圧安定化回路と、
を含むことを特徴とする請求項4に記載のLED調光装置。
【請求項10】
前記分圧回路は、
前記交流電源に接続された分圧用キャパシタと、
前記分圧用キャパシタに直列接続された抵抗素子と、
を含み、
前記第1全波整流回路は、前記分圧回路と前記第1電圧安定化回路との間に接続されることを特徴とする請求項9に記載のLED調光装置。
【請求項11】
前記分圧回路は、
前記第1全波整流回路の入力段に並列接続され、所定のツェナー電圧を提供する一対のツェナーダイオードをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載のLED調光装置。
【請求項12】
前記電圧変換部は、
前記整流部からの前記第1電源の印加を受けてパルス信号を生成するパルス生成回路と、
前記パルス信号の印加を受けて矩形波信号を生成する第1増幅回路と、
1次側で前記矩形波信号の印加を受けて2次側に昇圧された電圧を誘導する絶縁型変圧器と、
前記絶縁型変圧器の2次側に誘導される電圧を全波整流し、前記パルスイネーブル信号を出力する第2全波整流回路と、
前記第2全波整流回路により全波整流された前記パルスイネーブル信号を安定化させ、前記第2電源を生成する第2電圧安定化回路と、
を含むことを特徴とする請求項4に記載のLED調光装置。
【請求項13】
前記絶縁型変圧器の1次側接地端と前記電圧変換部の出力段の接地端との間には、ノイズフィルタがさらに含まれることを特徴とする請求項12に記載のLED調光装置。
【請求項14】
前記第1増幅回路の出力段と前記変圧器の1次側との間には、直流遮断キャパシタがさらに直列接続されることを特徴とする請求項12に記載のLED調光装置。
【請求項15】
前記制御部は、
矩形波パルスのデューティ比を制御するデューティ比制御回路と、
前記第2電源の印加を受けて駆動され、前記パルスイネーブル信号の印加を受けて前記矩形波パルスを第1レベルに遷移させ、前記デューティ比制御回路の制御により前記矩形波パルスを第2レベルに遷移させる矩形波パルス生成部と、
前記矩形波パルス生成部の出力の印加を受けて前記パルス幅変調信号を出力する第2増幅回路と、
を含むことを特徴とする請求項4に記載のLED調光装置。
【請求項16】
前記スイッチ部は、
前記パルス幅変調信号が第1レベルの場合、前記交流電圧の正の半周期の間は第1動作モードを有し、前記交流電圧の負の半周期の間は第2動作モードを有することを特徴とする請求項1に記載のLED調光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【公開番号】特開2012−142305(P2012−142305A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−99533(P2012−99533)
【出願日】平成24年4月25日(2012.4.25)
【分割の表示】特願2009−204338(P2009−204338)の分割
【原出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(507194969)ソウル セミコンダクター カンパニー リミテッド (66)
【住所又は居所原語表記】148−29,Gasan−dong,Geumcheon−gu,Seoul,Republic of Korea
【Fターム(参考)】