説明

交通流シミュレーション装置、方法及びプログラム

【課題】 ドライバのヒューマンエラーを考慮して移動体の交通流をシミュレーションする。
【解決手段】 走行環境把握部21は、ドライバが一時停止交差点の存在を認知しているか否か、例えば、ドライバの「一時停止認知度」及び「交差点認知度」を用いて次の式(1)を満たすか否かを判定する。
(交差点認知度)・α+(一時停止認知度)・β>閾値P ・・・(1)走行環境把握部21は、式(1)を満たすときは交差点の存在を認知していると判定し、式(1)を満たしていないときはそれを認知していないと判定する。判断部22は、走行環境把握部21で把握された走行環境に基づいて次にどのような行動をとるかを判断する。操作部23は、判断部22の判断に従って、シミュレーション上の車両のアクセル、ブレーキ、ハンドルを操作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通流シミュレーション装置、方法及びプログラムに係り、特に、移動体を操作する人間のヒューマンエラーを考慮して移動体の行動をシミュレーションする交通流シミュレーション装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
道路交通システムを計画する場合、どこに何を整備すれば交通渋滞が発生しないか等の効果を事前に評価することが必要である。そこで、車両一台一台の挙動をコンピュータ上で再現し、交通の流れや渋滞の様子をシミュレーションする技術が提案されている(特許文献1。非特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1の道路交通シミュレーション装置は、複数の移動体と道路交通環境とをコンピュータ上で表現し前記移動体により発生する交通状況を模擬する。具体的には、移動体の各々は、仮想的な運転者による運転操作をモデル化した運転者モデルと、各移動体の物理的な挙動をモデル化した車両運動モデルとの組合せである移動体モデルで表現されている。そして、移動体モデルは、各々独立にコンピュータ上で表現された道路交通環境内を通行する。また、種々の道路交通環境に反応して運転者モデルの出力値が車両運動モデルに与えられることによって、各移動体モデルは、詳細な車両挙動を表現する。
【0004】
非特許文献1に記載された技術は、従来のミクロ交通流シミュレータであり、走行環境とドライバの挙動を1対1に対応づけて、例えば、一時交差点では停止し、先行車両との相対速度及び距離に応じた追従方程式に基づき加減速度を決定する。
【特許文献1】特開2004−199287号公報
【非特許文献1】交通工学ハンドブック2005、交通工学研究会
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された運転者モデルは、特許文献1の図6に示すように、交通環境データベース20から得られる通行可能領域等のデータに基づいて、移動体が設定経路に追従するための経路を計算し、通行困難領域や他の移動体の通行困難度を移動体からの視界に変換した見かけの通行困難度分布を生成し、これらの計算結果に基づいて移動体が実際に通行する方位及び速度を求める。つまり、運転者モデルは前方の状況を交通困難度分布で一元化して車両の挙動を決定している。このため、この運転者モデルを用いた道路交通シミュレーション装置は、走行場面及びドライバの状況に応じた詳細な認知や判断(認知ミス、判断エラー、交通違反)を再現できない。また、主に道路や建物などの静的な障害物を対象としているので、自車両や他車両の先の状況を予測して、ドライバの挙動を判断できない。
【0006】
非特許文献1に記載されたミクロ交通流シミュレータは、ドライバの模範的な運転挙動のみ再現し、ドライバが環境を把握(認知)する過程を全く考慮していない。このため、ドライバの認知ミス、判断エラー、交通違反等のヒューマンエラーを再現することができなかった。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するために提案されたものであり、ドライバのヒューマンエラーを考慮して移動体の交通流をシミュレーションする交通流シミュレーション装置、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る交通流シミュレーション装置は、道路を走行する移動体の動きをシミュレーションする交通流シミュレーション装置であって、道路環境を作成する道路環境作成手段と、前記道路環境作成手段により作成された道路環境で移動体を走行させる移動体走行手段と、前記移動体の走行状況に応じた道路環境を作成できるように前記道路環境作成手段を管理する管理手段と、を備え、前記移動体走行手段は、ドライバの個人特性、交通要所の特徴の少なくとも1つに基づいて、ドライバの交通要所の認知の有無、交通要所に対する次の行動、交通違反をするか否かの少なくとも1つを判定し、判定結果に基づいて前記移動体を走行させるものである。
【0009】
道路環境作成手段は、道路を走行する移動体の道路環境を作成する。移動体走行手段は、作成された道路環境で移動体を走行させる。管理手段は、移動体の走行状況に応じた道路環境を作成できるように道路環境作成手段を管理する。
【0010】
ここで、移動体走行手段は、ドライバの個人特性、交通要所の特徴の少なくとも1つに基づいて、ドライバの交通要所の認知の有無、交通要所に対する次の行動、交通違反をするか否かの少なくとも1つを判定する。前記ドライバの個人特性としては、例えば、交通要所の認知の仕方の傾向、交通要所に対する次の判断の傾向、判断の正確さの傾向、車両操作の傾向の少なくとも1つを用いてもよい。前記交通要所の特徴としては、交通要所の認知度、交通要所を表す標識の認知度、交通要所の確認のし易さの少なくとも1つを用いてもよい。
【0011】
したがって、交通流シミュレーション装置は、ドライバの個人特性、交通要所の特徴の少なくとも1つに基づいて、ドライバの交通要所の認知の有無、交通要所に対する次の行動、交通違反をするか否かの少なくとも1つを判定し、判定結果に基づいて前記移動体を走行させることにより、ドライバのヒューマンエラーを考慮しつつ交通流をシミュレーションすることができる。
【0012】
また、本発明は、交通流シミュレーション方法及びプログラムにも適用される。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る交通流シミュレーション装置、方法及びプログラムは、ドライバの個人特性、交通要所の特徴の少なくとも1つに基づいて、ドライバの交通要所の認知の有無、交通要所に対する次の行動、交通違反をするか否かの少なくとも1つを判定し、判定結果に基づいて前記移動体を走行させることにより、ドライバのヒューマンエラーを考慮しつつ交通流をシミュレーションすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
[全体構成]
図1は、本発明の実施の形態に係る交通流シミュレーション装置の構成を示すブロック図である。交通流シミュレーション装置は、車両の交通流をシミュレーションしながら、その結果を例えば図示しない表示装置に表示させることができる。交通流シミュレーション装置は、表示装置に表示すべき走行環境を作成する走行環境作成部10と、走行環境上に配置された車両を移動させる車両移動部20と、各車両の交通状況を管理する交通状況管理部30と、を備えている。
【0016】
走行環境作成部10は、車両データ及び道路環境データに基づいて、道路環境に車両を配置し、その状況を車両移動部20に入力する。車両データ及び道路環境データは、データベースに予め記憶されていたものでもよいし、ネットワークを介してリアルタイムで伝送されるものでもよい。
【0017】
車両データは、例えば、車両の特性(車種、サイズ)、ドライバの個人特性(例えば、一時停止認知度、一時停止通過度、判断の正確さ、希望速度、アクセル開度、停止線に対する停止位置)、現時刻の車両状態(位置、移動距離、移動速度)などを含んでいる。なお、「判断」には、「速度を上げれば交差点を通過できる」等の判断エラーの他、「一時停止線を無視しても交差点を通過できる」という故意の交通違反も含まれる。
【0018】
図2は、ドライバの認知及び判断に関する傾向を表したドライバの個人特性を示す図である。ここでは、ドライバ毎に、一時停止線に対する認知ミスの度合いを示す「一時停止認知度」(認知ミスが、1:多い←→5:ない)、一時停止線の通過度合いを示す「一時停止通過度」(通過違反が、1:多い←→5:ない)、一時停止線を通過するときの判断の正確さを示す「判断の正確さ」(判断エラーが、1:多い←→5:ない)が5段階で定義されている。
【0019】
図3は、ドライバの操作性に関する傾向を表したドライバの個人特性を示す図である。ここでは、ドライバ毎に、ドライバが規制速度に対して希望する速度を示す「希望速度」(規制速度に対して、1:速い←→5:遅い)、基準値に対するドライバのアクセル開度を示す「アクセル開度」(基準値に対して、1:大←→5:小)、一時停止線に対する停止位置を示す「停止位置」が5段階で定義されている。
【0020】
道路環境データは、例えば、道路ネットワーク(道路長、幅員、車線数、接続関係、停止線位置、横断歩道位置など)、交差点の特徴(例えば一時停止交差点の場合は、交差点認知度、標識認知度、見通しなど)、横断歩道、歩行者などを含んでいる。
【0021】
図4は、道路データに含まれる一時停止交差点の特徴を示す図である。リンクa、b、c、・・・とは、道路ネットワークを構成する最小単位である。すなわち、リンクとリンクを接続することによって、道路ネットワークが構成される。図4では、一時停止交差点の存在認知の度合いを示す「交差点認知度」(認知され易さ、1:難←→5:易)、一時停止標識の認知度合いを示す「標識認知度」(優先道路/非優先道路の認知度、1:難←→5:易)、一時停止線のある非優先道路から優先道路の見通しの度合いを示す「見通し」(一時停止線からの距離[m])が5段階で定義されている。
【0022】
また、走行環境作成部10は、交通状況管理部30で更新された各車両のデータに基づいて、各車両の走行状況に応じた新たな走行環境を作成する。走行環境作成部10は、このような処理をタイムステップ毎に繰り返し実行し、車両毎に各時刻の交通状況を表す走行環境を作成する。
【0023】
車両移動部20は、シミュレーション上の各車両に対してそれぞれ設けられており、走行環境を把握する走行環境把握部21と、把握した走行環境に応じて次の行動を判断する判断部22と、判断内容に従って車両を操作する操作部23と、車両の挙動を更新する車両更新部24と、を備えている。
【0024】
走行環境把握部21は、ドライバが走行環境をどの程度把握しているかをシミュレーションするものであり、走行環境作成部10で作成された走行環境から、信号や交差点等の道路環境や周辺車両との関係を把握する。ここでは、道路環境やドライバの状況の組み合わせによっては、“見落とし”等のドライバが把握できなかった認知ミスも表現される。
【0025】
判断部22は、ドライバが次にどのように行動するかをシミュレーションするものであり、走行環境把握部21で把握された走行環境に基づいて、“どのように行動するか”を決定する。判断部22は、周辺車両の位置及び速度の見積もり誤差等によって、判断エラーや交通違反を行うこともある。
【0026】
操作部23は、ドライバの車両操作をシミュレーションするものであり、判断部22で判断された内容に基づいてアクセル操作、ブレーキ操作、ハンドル操作等の少なくとも1つを行う。
【0027】
車両更新部24は、ドライバの操作に基づく車両の挙動状態をシミュレーションするものであり、操作部23の操作内容及び経過時間にしたがって、車両の位置、移動距離、移動速度を計算し、車両データを更新する。
【0028】
交通状況管理部30は、車両移動部20の車両更新部24で更新された各車両の車両データを入力し、各車両の関係付けを行って、交通状況として管理する。
【0029】
[一時停止交差点の通過]
以上のように構成された交通流シミュレーション装置は、次のようにして各車両の動きをシミュレーションする。ここでは、自車両が一時停止線を有する非優先道路から優先道路に進入する場合を例に挙げて説明する。
【0030】
図5は、車両が非優先道路から優先道路に進入する場合を示す図である。図6乃至図8は、自車両が非優先道路から優先道路に進入する場合の車両移動部20の制御ルーチンを示すフローチャートである。ここでは、図5に示す非優先道路をリンクaとする。
【0031】
ステップS1では、走行環境把握部21は、一時停止交差点の存在を把握しているか否かを判定する。具体的には、走行環境把握部21は、図2に示した当該ドライバの「一時停止認知度」及び図4に示した「交差点認知度」を用いて、次の式(1)を満たすか否かを判定する。
【0032】
(交差点認知度)・α+(一時停止認知度)・β>閾値P ・・・(1) ここで、係数α、β、閾値Pをそれぞれ1、1、3とし、図5に示す非優先道路のリンクをaとすると、ドライバAの場合は次のようになる。なお、α、β、Pの値はこれに限定されるものではない。
【0033】
3・1+1・1=4>3
よって、走行環境把握部21は、ドライバAの場合は式(1)を満たすので、ドライバAがリンクaの交差点を把握していると判定する。そして、走行環境把握部21は、肯定判定のときはステップS3に移行し、否定判定(認知ミス)のときはステップS2に移行する。
【0034】
ステップS2では、操作部23は、判断部22で何ら次の行動が決定されていないので、これまでの操作を継続する。そして、本制御ルーチンが終了する。
【0035】
ステップS3では、走行環境把握部21は、車両が停止の状態であるか否かを判定し、肯定判定のときはステップS4に移行し、否定判定のときはステップS7に移行する。
【0036】
ステップS4では、走行環境把握部21は、優先道路に自車両と交差する交差車両があるか否かを判定し、肯定判定のときはステップS5に移行し、否定判定(認知ミス)のときはステップS6に移行する。
【0037】
ステップS5では、判断部22は、1台以上の交差車両が交差点に到着するまでの各々の時間と、自車両が交差点に到着するまでの時間とを比較し、交差点到着までの最も小さい時間差が閾値より大きいか否かを判定する。この閾値は、現状で2台の車両が危険を伴うことなく上記一時停止交差点に進入可能な時間差をいう。そして、判断部22は、肯定判定のときはステップS6に移行し、否定判定(認知ミス)のときはステップS7に移行する。
【0038】
なお、本実施形態では、自車両及び交差車両がそれぞれ交差点に到着するまでの時間を用いたが、これと等価なパラメータ、例えば、自車両及び交差車両がそれぞれ交差点に到着するまでの距離と用いてもよいし、自車両及び交差車両の速度を用いてもよい。
【0039】
ステップS6では、操作部23は、アクセル操作を行って、自車両を発進させる。車両更新部24は、操作部23の操作内容及び経過時間にしたがって、車両の位置、移動距離、移動速度を計算し、車両データを更新する。そして、本制御ルーチンが終了する。
【0040】
ステップS7では、操作部23は、ブレーキ操作を行って自車両を停止させる。車両更新部24は、操作部23の操作内容及び経過時間にしたがって、車両の位置、移動距離、移動速度を計算し、車両データを更新する。そして、本制御ルーチンが終了する。
【0041】
一方、ステップS8では、走行環境把握部21は、一時停止標識があると認知しているか否かを判定する。具体的には、走行環境把握部21は、図2に示した当該ドライバの「一時停止認知度」及び図4に示した「標識認知度」を用いて、次の式(2)を満たすか否かを判定する。
【0042】
(交差点認知度)・γ+(一時停止認知度)・δ>閾値Q ・・・(2)
ここで、係数γ、δ、閾値Qをそれぞれ1、1、3とすると、ドライバAの場合は次のようになる。なお、γ、δ、Qの値はこれに限定されるものではない。
【0043】
1・1+1・1=2<3
よって、走行環境把握部21は、ドライバAの場合は式(2)を満たしていないので、ドライバAは一時停止標識があると認知していないと判定する。そして、走行環境把握部21は、肯定判定のときはステップS8に移行し、否定判定(認知ミス)のときはステップS11に移行する。
【0044】
ステップS9では、走行環境把握部21は、見通しがよいか否かを判定する。具体的には、判断部22は、図4に示す「見通し」の数値と、自車両の位置から停止線までの距離(停止線距離)と、を比較し、停止線距離が上記数値より小さいときは見通しがよい、超えていないときは見通しがよくないと判定する。
【0045】
ここで、「見通し」の数値は、あるリンク(非優先道路)を走行する車両が優先道路を走行するすべての交差車両を見ることができるときの停止線から車両までの距離である。リンクaの場合、「見通し」の数値は、10[m]である。そして、走行環境把握部21は、肯定判定のときはステップS10に移行し、否定判定のときはステップS11に移行する。
【0046】
なお、「見通し」の数値は、次のようにして求められる。最初は、リンク(優先道路)に予め対応づけられた自由走行速度から、ドライバの希望減速度により交差点で停止できる位置に、交差車両をそれぞれ配置する。次に、自車両がすべての交差車両を見通せる位置を決定する。最後に、自車両の位置について一時停止線からの距離を算出する。そして、この算出した距離をリンクa(図5の非優先道路)の「見通し」と定義すればよい。なお、この例は「見通し」を1道路1交差点に対して1つ定義しているが、交差道路毎や交差車両の速度等の状態に応じて、個々に見えるか否かを定義してもよい。またドライバの視点等を考慮してもよい。
【0047】
ステップS10では、判断部22は、一時停止標識に対して次にどのような行動をとるかを判定する。具体的には判断部22は、次の行動は停止、徐行、停止も徐行もしない、のいずれであるかを判定し、停止のときはステップS11に移行し、徐行のときは図8に示すステップS31に移行し、停止も徐行もしないことを選択したときは図7に示すステップS21に移行する。
【0048】
なお、判断部22は、一時停止するか否かについては、図2に示す「通過度」を用いて次の判定式を満たすか否か判定してもよい。
【0049】
(ドライバの一時通過度)・η>閾値R
ここで、係数η、閾値Rをそれぞれ1、3とすると、例えば、ドライバBの場合は上記判定式を満たすが、ドライバCの場合は上記判定式を満たさない。そして、判断部22は、上記判定式を満たすときはステップS11に移行し、満たさないときは「徐行する」又は「徐行も停止もしない」のいずれかの判断を行えばよい。
【0050】
なお、「徐行する」、「徐行も停止もしない」については、判断部22は、上記判定式の右辺の値をそのまま用いて判定してもよい。判断部22は、例えば判定式の右辺が閾値S(<R)より大きいか否かを判定し、肯定判定のときは「徐行する」、否定判定のときは「徐行も停止もしない」と判定すればよい。
【0051】
ステップS11では、操作部23及び車両更新部24は、自車両を停止させるべく、ステップS7と同様に処理を実行する。そして、本制御ルーチンが終了する。
【0052】
ステップS12では、走行環境把握部21は、ステップS9と同様にして見通しが良いか否かを判定し、肯定判定のときは図6に示すステップS21に移行し、否定判定のときはステップS13に移行する。
【0053】
ステップS13では、操作部23は、ブレーキを操作して車両を徐行させる。車両更新部24は、車両更新部24は、操作部23の操作内容及び経過時間にしたがって、車両の位置、移動距離、移動速度を計算し、車両データを更新する。そして、本制御ルーチンが終了する。
【0054】
図6に示すステップS21では、走行環境把握部21は、ステップS4と同様に、優先道路に交差車両があるか否かを判定し、肯定判定のときはステップS22に移行し、否定判定(認知ミス)のときはステップS23に移行する。
【0055】
ステップS22では、判断部22は、ステップS5と同様に、1台以上の交差車両が交差点に到着するまでの各々の時間と、自車両が交差点に到着するまでの時間とを比較し、交差点到着までの最も小さい時間差が閾値より大きいか否かを判定する。そして、肯定判定のときはステップS23に移行し、否定判定(判断エラー)のときはステップS24に移行する。
【0056】
ステップS23では、操作部23は、ドライバの希望速度を推定し、ドライバの希望速度で車両が走行するように、現在(時刻tc時点)の位置から目標位置までの距離を用いて加減速度aを決定し(式(3))、アクセル又はブレーキを操作する。
【0057】
【数1】

【0058】
ここで、aは加減速度[m2/s]、vcは時刻tc時点の速度[m/s]、voptは目標地点での希望速度[m/s]、liは時刻tc時点の位置から目標位置までの距離[m]である。ただし、加減速度aは、車種やドライバによって設定された上限値以上の値にはならないものとする。
【0059】
希望速度voptは、自車両と周辺車両との関係、例えば、自車両の速度及び交差点までの距離、交差道路上の車両の速度及び交差点までの距離等に基づいて決定される。この希望速度voptは、例えば、“一時停止交差点に接近中の自車両が、交差点近くを速い速度で走行し、かつ交差点の到着時刻が交差車両より自車両が早い場合は、速度を上げて通過する”場合のように、交差点を等速で通過しないようなドライバの細かい判断も表現できる。さらに、ドライバの個人差や判断ミス、走行道路による車両挙動の違い等も表現できる。この希望速度voptは、ファジイ制御、ルールベース、学習を用いると、次のように算出される。
【0060】
(希望速度voptの算出)
目標地点での希望速度voptは、ファジイ制御モデルを用いて、交差点到着までの自車両と交差車両との時間差、自車両の速度、自車両の交差点到着までの距離に基づいて、算出される。
【0061】
図9(A)から(D)はファジイ制御モデルを構成するメンバーシップ関数を示す図である。(A)は交差点に到着するまでの自車両と交差車両の時間差(自車両の到達時刻−交差車両の到達時刻)、(B)は自車両の速度、(C)は自車両の交差点到着までの距離、(D)は交差点通過時の希望速度のメンバーシップ関数を示している。なお、(A)から(C)は前件部を示し、(D)は後件部を示している。
【0062】
各メンバーシップ関数は、各条件の主観的な適合の度合いを真理値で表している。例えば図9(A)の「交差車両が速い」を表すグラフは、自車両と交差車両の交差点到着までの時間差がグラフの横軸のいずれかの状態のときに、「交差車両が速い」という主観的な条件にどの程度適合しているかを示している。同様に、図9(B)の「自車両の速度が中(程度)」を表すグラフは、自車両の速度がグラフの横軸のいずれかの状態のときに、「自車両の速度が中(程度)」という主観的な条件にどの程度適合しているかを示している。
【0063】
図10は、ファジイ制御モデルを構成するファジイルールを示す図である。このファジイルール(ルール0からルール26)は、“もし(1)かつ(2)かつ(3)であるときは、(4)である。”ことを示している。 例えば、ルール0の場合、(1)交差点到着の時刻が自車両(の方)が速い、かつ(2)自車両の速度が速い、かつ(3)自車両の交差点到着までの距離が遠いときは、(4)交差点通過時の希望速度が速い、ことを示している。また、ルール1の場合、(1)交差点到着の時刻が自車両(の方)が速い、かつ(2)自車両の速度が中(程度)、かつ(3)自車両の交差点到着までの距離が遠いときは、(4)交差点通過時の希望速度が速い、ことを示している。
【0064】
操作部23は、以上のようなメンバーシップ関数、希望速度に関する主観的な感じ方を表すファジイルール、更に、シミュレーション上の現在の自車両及び交差車両の走行状況に基づいて、自車両のドライバの希望速度を推定する。ここでは具体的な数値として、例えば、自車両と交差車両との交差点到着までの時間差が−3秒(交差車両の方が3秒速く交差点に到着する)、自車両の速度が30km/h、自車両から交差点までの距離が40mの場合について説明する。
【0065】
手順1:最初に、上述した時間差、速度、距離をそれぞれ図9(A)から(C)に当てはめて、各条件の適合の度合いを示す真理値を求める。
【0066】
図11(A)は図9(A)から求められた各条件の真理値、(B)は図9(B)から求められた各条件の真理値、(C)は図9(C)から求められた各条件の真理値を示す図である。例えば、図9(A)に−3(sec)を当てはめると、「交差車両が早い」のグラフの真理値は0.2、「同じ」のグラフは真理値が0.4である。「自車両が早い」のグラフの真理値は0である。図11(A)はこの結果を表している。
【0067】
手順2:各ルールの(1)から(3)のそれぞれに上述した真理値を入れる。手順3:各ファジイルールの(1)から(3)の真理値から最小値を求める。手順4:通過時の速度の内容(速い、中、遅い)毎に最大値を求める。
【0068】
図12(A)はファジイルールの前件部、(B)は各ファジイルールの前件部に真理値を入れた図、(C)は各ファジイルールの(1)から(3)の真理値の最小値を示す図、(D)はファジイルールの後件部を示す図、(E)(D)に示す「通過時の速度」の内容(速い、中、遅い)毎の最大値を示す図である。
【0069】
手順5:手順4で求めた最大値をメンバーシップ関数の後件部(図9(D))に当てはめて各条件のファジイ集合を求め、各ファジイ集合を合成して重心を求める。
【0070】
図13は、図9(D)に示す各条件のメンバーシップ関数から求められたファジイ集合を示す図である。合成されたファジイ集合の重心は、式(4)により求められる。
【0071】
【数2】

【0072】
なお、yは横軸、y0は重心、μ(y)は合成したファジイ集合を示す。本実施形態では、y0=18となり、希望速度は18km/hとなる。
【0073】
このように、操作部23は、ドライバの希望速度に関する曖昧な表現を用いたファジイ制御モデル、シミュレーション上の自車両及び交差車両の走行状況に基づいて、ドライバの希望速度を推定する。なお、メンバーシップ関数のグラフ形状やファジイルールは、上述したものに限定されるものではなく、ドライバの特性に応じて変更してもよいし、ドライバの心理状態(例えば急いでいる状態など)、走行道路の違い等を考慮して変更してもよい。これにより、ドライバの特性、心理状態、走行道路の違いの影響を受けて変化する希望速度を求めることができる。また、ファジイ制御の解法として、上述した例ではMin−Max重心法を用いたが、その他の解法、例えばproduct−sum重心法、簡略推論法、関数型推論法等を用いてもよいのは勿論である。
【0074】
そして、操作部23は、上述したようにドライバの希望速度で車両が走行するように、アクセル又はブレーキを操作する。車両更新部24は、操作部23の操作内容及び経過時間にしたがって、車両の位置、移動距離、移動速度を計算し、車両データを更新する。そして、本制御ルーチンが終了する。
【0075】
一方、ステップS24では、判断部22は、走行環境把握部21で把握された走行環境に基づいて、優先道路を走行する交差車両より非優先道路を走行する自車両が先に交差点を通過するか否かを判定し、肯定判定のときはステップS25に移行し、否定判定(判断エラー)のときはステップS26に移行する。
【0076】
ステップS25では、操作部23は、希望速度で走行するように式(3)を演算した後、アクセルを操作して、自車両を加速させる。車両更新部24は、操作部23の操作内容及び経過時間にしたがって、車両の位置、移動距離、移動速度を計算し、車両データを更新する。そして、本制御ルーチンが終了する。
【0077】
ステップS26では、操作部23及び車両更新部24は、自車両を徐行させるべく、ステップS13と同様に処理する。そして、本制御ルーチンが終了する。
【0078】
一方、図8に示すステップS31では、走行環境把握部21は、ステップS4と同様に、優先道路に交差車両があるか否かを判定し、肯定判定のときはステップS32に移行し、否定判定(認知ミス)のときはステップS33に移行する。
【0079】
ステップS32では、判断部22は、ステップS5と同様に、1台以上の交差車両が交差点に到着するまでの各々の時間と、自車両が交差点に到着するまでの時間とを比較し、交差点到着までの最も小さい時間差が閾値より大きいか否かを判定する。そして、肯定判定のときはステップS33に移行し、否定判定(判断エラー)のときはステップS34に移行する。
【0080】
ステップS33では、操作部23及び車両更新部24は、自車両を徐行させるべく、ステップS13と同様に処理する。そして、本制御ルーチンが終了する。
【0081】
ステップS34では、操作部23及び車両更新部24は、自車両を停止させるべく、ステップS7と同様に処理を実行する。そして、本制御ルーチンが終了する。
【0082】
[信号交差点の通過]
また、交通流シミュレーション装置は、次のようにして各車両の動きをシミュレーションすることもできる。ここでは、自車両が信号交差点に進入する場合を例に挙げて説明する。
【0083】
図14及び図15は、自車両が信号交差点に進入する場合の車両移動部20の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【0084】
ステップS41では、走行環境把握部21は、ステップS1と同様に信号交差点の存在を把握しているか否かを判定し、肯定判定のときはステップS43に移行し、否定判定(認知ミス)のときはステップS42に移行する。
【0085】
ステップS42では、操作部23は、判断部22で何ら次の行動が決定されていないので、これまでの操作を継続する。そして、本制御ルーチンが終了する。
【0086】
ステップS43では、走行環境把握部21は、ステップS3と同様に車両が停止の状態であるか否かを判定し、肯定判定のときはステップS44に移行し、否定判定のときは図15に示すステップS51に移行する。
【0087】
ステップS44では、走行環境把握部21は、本車両が走行している方向上にある信号交差点の信号が緑であるかを判定し、肯定判定のときはステップS45に移行し、否定判定(認知ミス)のときはステップS48に移行する。
【0088】
ステップS45では、判断部22は、次に右折するかを判定し、肯定判定のときはステップS46に移行し、否定判定のときはステップS47に移行する。
【0089】
ステップS46では、判断部22は、対向する1台以上の直進車両が交差点に到着するまでの各々の時間と、自車両が交差点に到着するまでの時間とを比較し、交差点到着までの最も小さい時間差(ギャップ)が閾値より大きいか否かを判定する。この閾値は、現状で2台の車両が危険を伴うことなく自車両が右折可能な時間差をいう。そして、判断部22は、肯定判定のときはステップS48に移行し、否定判定(判断エラー)のときはステップS47に移行する。
【0090】
ステップS47では、操作部23は、アクセル操作を行って、自車両を発進させる。車両更新部24は、操作部23の操作内容及び経過時間にしたがって、車両の位置、移動距離、移動速度を計算し、車両データを更新する。そして、本制御ルーチンが終了する。
【0091】
ステップS48では、操作部23及び車両更新部24は、自車両を停止させるべく、ステップS7と同様に処理を実行する。そして、本制御ルーチンが終了する。
【0092】
一方、図15に示すステップS51では、判断部22は、信号交差点における自車両の次の進行方向(折方向)を判定する。具体的には、判断部22は、信号交差点で自車両が直進、左折、右折のいずれを行うかを判定し、直進のときはステップS52に移行し、左折のときはステップS54に移行し、右折のときはステップS56に移行する。
【0093】
ステップS52では、走行環境把握部21は、ステップS44と同様に、本車両が走行している方向上にある信号交差点の信号が緑であるかを判定し、肯定判定のときはステップS53に移行し、否定判定(認知ミス)のときはステップS59に移行する。
【0094】
ステップS53では、ステップS23と同様に、操作部23及び車両更新部24は、ドライバの希望速度で車両を走行させる。そして、本制御ルーチンが終了する。
【0095】
ステップS54では、走行環境把握部21は、ステップS52と同様に、信号交差点の信号が緑であるかを判定し、肯定判定のときはステップS55に移行し、否定判定(認知ミス)のときはステップS59に移行する。
【0096】
ステップS55では、ステップS13と同様に、操作部23は、ブレーキを操作して車両を徐行させる。車両更新部24は、車両更新部24は、操作部23の操作内容及び経過時間にしたがって、車両の位置、移動距離、移動速度を計算し、車両データを更新する。そして、本制御ルーチンが終了する。
【0097】
ステップS56では、走行環境把握部21は、ステップS52と同様に、信号交差点の信号が緑であるかを判定し、肯定判定のときはステップS57に移行し、否定判定(認知ミス)のときはステップS59に移行する。
【0098】
ステップS57では、判断部22は、ステップS46と同様に、対向する1台以上の直進車両が交差点に到着するまでの各々の時間と、自車両が交差点に到着するまでの時間とを比較し、交差点到着までの最も小さい時間差(ギャップ)が閾値より大きいか否かを判定する。肯定判定のときはステップS58に移行し、否定判定(判断エラー)のときは上述したステップS55に移行する。
【0099】
ステップS58では、操作部23及び車両更新部24は、自車両を停止させるべく、ステップS48と同様に処理を実行する。そして、本制御ルーチンが終了する。
【0100】
ステップS59では、判断部22は、現在(時刻tc時点)の位置から停止位置まで距離l0が希望減速度a0で停止する場合の距離より小さいか否かを判定する。具体的には、判断部22は、式(5)を満たすか否かを判定する。
【0101】
【数3】

【0102】
ここで、vは現在の速度[m/s]、voptは停止位置での希望速度[m/s]であり本実施形態ではゼロである。そして、判断部22は、式(5)を満たすとき、すなわち肯定判定のときは上述したステップS53に移行し、式(5)を満たさないとき、すなわち否定判定のときは上述したステップS58に移行する。
【0103】
以上のように、本発明の実施形態に係る交通流シミュレーション装置は、各ドライバの個人特性及び交差点の特徴を用いることによって、走行環境を正確に認知したか、判断に誤りがないか、交通違反をしないか、をそれぞれ判定して、その判定結果に基づいて、各々の車両をシミュレーションする。この結果、従来再現できなかったヒューマンエラーである、走行環境の認知ミス、判断エラー、ドライバが故意に起こす交通違反を考慮して、交通流を正確にシミュレーションすることができる。
【0104】
特に、認知ミス、判断エラー、交通違反は、交通要所やドライバの個人特性によって大きく傾向が異なるが、これらの傾向をドライバ毎に又は交通要所毎に予め用意しておくことによって、ヒューマンエラーの可能性を考慮して交通流をシミュレーションすることができる。
【0105】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内で設計上の変更をされたものにも適用可能であるのは勿論である。
【0106】
例えば、図2及び図3ではドライバの特性を5段階のレベルで示したが、平均値を中心とした分布図を用いて表してもよい。これにより、ドライバが全く同じ走行環境の場合でも異なる行動をすることになる。
【0107】
また、上述した各々の判定式では、各パラメータを重み付けしてそれらを加算した加法演算を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、他の式やファジィモデル等を用いてもよい。さらに、上述した実施形態では交通要所として一時停止交差点、信号交差点を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではないのは勿論である。
【0108】
さらに、交通流シミュレーション装置は、ハードウェアで構成されたものに限らず、コンピュータに交通流シミュレーションプログラムをインストールしたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の実施の形態に係る交通流シミュレーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】ドライバの認知及び判断に関する傾向を表したドライバの個人特性を示す図である。
【図3】ドライバの操作性に関する傾向を表したドライバの個人特性を示す図である。
【図4】一時停止交差点の特徴を示す図である。
【図5】車両が非優先道路から優先道路に進入する場合を示す図である。
【図6】自車両が非優先道路から優先道路に進入する場合の車両移動部の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図7】自車両が非優先道路から優先道路に進入する場合の車両移動部の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図8】自車両が非優先道路から優先道路に進入する場合の車両移動部の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図9】ファジイ制御モデルを構成するメンバーシップ関数を示す図であり、(A)は交差点に到着するまでの自車両と交差車両の時間差、(B)は自車両の速度、(C)は自車両の交差点到着までの距離、(D)は交差点通過時の希望速度を示す図である。
【図10】ファジイ制御モデルを構成するファジイルールを示す図である。
【図11】図9(A)から求められた各条件の真理値、(B)は図9(B)から求められた各条件の真理値、(C)は図9(C)から求められた各条件の真理値を示す図である。
【図12】(A)はファジイルールの前件部、(B)は各ファジイルールの前件部に真理値を入れた図、(C)は各ファジイルールの(1)から(3)の真理値の最小値を示す図、(D)はファジイルールの後件部を示す図、(E)(D)に示す「通過時の速度」の内容(速い、中、遅い)毎の最大値を示す図である。
【図13】図9(D)に示す各条件のメンバーシップ関数から求められたファジイ集合を示す図である。
【図14】自車両が信号交差点に進入する場合の車両移動部の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図15】自車両が信号交差点に進入する場合の車両移動部の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0110】
10 走行環境作成部
20 車両移動部
21 走行環境把握部
22 判断部
23 操作部
24 車両更新部
30 交通状況管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路を走行する移動体の動きをシミュレーションする交通流シミュレーション装置であって、
道路環境を作成する道路環境作成手段と、
前記道路環境作成手段により作成された道路環境で移動体を走行させる移動体走行手段と、
前記移動体の走行状況に応じた道路環境を作成できるように前記道路環境作成手段を管理する管理手段と、を備え、
前記移動体走行手段は、ドライバの個人特性、交通要所の特徴の少なくとも1つに基づいて、ドライバの交通要所の認知の有無、交通要所に対する次の行動、交通違反をするか否かの少なくとも1つを判定し、判定結果に基づいて前記移動体を走行させる
交通流シミュレーション装置。
【請求項2】
前記移動体走行手段は、前記ドライバの個人特性として、交通要所の認知の仕方の傾向、交通要所に対する次の判断の傾向、判断の正確さの傾向、車両操作の傾向の少なくとも1つを用いる
請求項1に記載の交通流シミュレーション装置。
【請求項3】
前記移動体走行手段は、前記交通要所の特徴として、交通要所の認知度、交通要所を表す標識の認知度、交通要所の確認のし易さの少なくとも1つを用いる
請求項1または請求項2に記載の交通流シミュレーション装置。
【請求項4】
前記移動体走行手段は、前記交通要所としての交差点を自車両が通過する場合において、自車両及び交差車両の走行状況に基づく自車両の希望速度を表すファジイルールに基づいて、自車両の希望速度を推定し、前記希望速度に基づいて前記次の行動を判定する
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の交通流シミュレーション装置。
【請求項5】
道路を走行する移動体の動きをシミュレーションする交通流シミュレーション方法であって、
道路環境を作成し、
作成された道路環境で、ドライバの個人特性、交通要所の特徴の少なくとも1つに基づいて、ドライバの交通要所の認知の有無、交通要所に対する次の行動、交通違反をするか否かの少なくとも1つを判定し、判定結果に基づいて前記移動体を走行し、
移動体の走行状況に応じた道路環境を作成できるように前記道路環境を管理する
交通流シミュレーション方法。
【請求項6】
前記ドライバの個人特性として、交通要所の認知の仕方の傾向、交通要所に対する次の判断の傾向、判断の正確さの傾向、車両操作の傾向の少なくとも1つを用いる
請求項5に記載の交通流シミュレーション方法。
【請求項7】
前記交通要所の特徴として、交通要所の認知度、交通要所を表す標識の認知度、交通要所の確認のし易さの少なくとも1つを用いる
請求項5または請求項6に記載の交通流シミュレーション方法。
【請求項8】
前記移動体の走行では、前記交通要所としての交差点を自車両が通過する場合において、自車両及び交差車両の走行状況に基づく自車両の希望速度を表すファジイルールに基づいて、自車両の希望速度を推定し、前記希望速度に基づいて前記次の行動を判定する
請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の交通流シミュレーション方法。
【請求項9】
コンピュータに道路を走行する移動体の動きをシミュレートさせる交通流シミュレーションプログラムであって、
前記コンピュータに、
道路環境を作成させ、
作成された道路環境で、ドライバの個人特性、交通要所の特徴の少なくとも1つに基づいて、ドライバの交通要所の認知の有無、交通要所に対する次の行動、交通違反をするか否かの少なくとも1つを判定し、判定結果に基づいて前記移動体を走行させ、
移動体の走行状況に応じた道路環境を作成できるように前記道路環境を管理させる
交通流シミュレーションプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−80216(P2007−80216A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−270932(P2005−270932)
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】