交通状況判定システム、及び交通状況判定方法
【課題】既存の携帯電話システムを利用し、処理負荷を軽減して交通状況を判定する交通状況判定システムを提供できる。
【解決手段】無線通信装置と、自身と無線通信可能な範囲に位置する無線通信装置の数を計数する基地局と、基地局によって計数された無線通信装置の数に基づいて基地局の無線通信可能な範囲の道路の交通状況を判定する計算機と、を備える交通状況判定システムにおいて、無線通信装置数情報を受信した場合、メモリから無線通信装置数情報に含まれる時刻を含む時間帯の平常時無線通信装置数を取得し、受信した無線通信装置数情報に含まれる無線通信装置の数と、取得した平常時無線通信装置数とを比較し、無線通信装置の数が平常時無線通信装置数よりも多いか否かを判定することによって、無線通信装置数情報に含まれる時刻の当該無線通信可能な範囲の道路の交通状況が渋滞しているか否かを判定する。
【解決手段】無線通信装置と、自身と無線通信可能な範囲に位置する無線通信装置の数を計数する基地局と、基地局によって計数された無線通信装置の数に基づいて基地局の無線通信可能な範囲の道路の交通状況を判定する計算機と、を備える交通状況判定システムにおいて、無線通信装置数情報を受信した場合、メモリから無線通信装置数情報に含まれる時刻を含む時間帯の平常時無線通信装置数を取得し、受信した無線通信装置数情報に含まれる無線通信装置の数と、取得した平常時無線通信装置数とを比較し、無線通信装置の数が平常時無線通信装置数よりも多いか否かを判定することによって、無線通信装置数情報に含まれる時刻の当該無線通信可能な範囲の道路の交通状況が渋滞しているか否かを判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局によって収集された無線通信装置に関する情報に基づいて、交通状況を判定するシステムに関し、特に、渋滞しているか否かを判定するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
VICS(登録商標)等の交通情報システムによって提供される交通情報から渋滞情報を算出する方法が知られている。また、GPS受信機を搭載したプローブカーから集約したプローブ情報から渋滞情報を算出する方法も知られている。
【0003】
VICS(登録商標)等の交通情報システムによる渋滞情報の算出には、道路にセンサを多数設置する必要があり、コストが高くなってしまうという課題がある。また、GPS受信機を搭載したプローブカーによる渋滞情報の算出には、実際に道路上を走行させるプローブカーの台数を確保しなければならず、これらのプローブカーからセンタへ位置情報を連絡する通信コストが必要であるという課題がある。
【0004】
これらの渋滞情報の算出方法では、コストの観点から、全国的に緻密な渋滞情報を算出することは困難であった。
【0005】
そこで、携帯電話システムによって提供される情報から交通状況を推定するデータ処理システムが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0006】
特許文献1には、携帯電話の基地局との通話及び非通話の情報に基づいて携帯電話の位置を推定し、その位置情報をプローブデータに用い、道路地図データとマッチングし、携帯電話の位置情報から携帯電話の移動速度を算出することによって道路の交通渋滞情報を生成するデータ処理システムが開示されている。
【0007】
また、特許文献2には、携帯電話が通信を行っている基地局のエリア情報を監視し、基地局のエリア情報が変化したときに、その変化の前後における位置情報を特定し、その位置情報から移動距離を取得し、その移動距離から携帯電話の移動速度を算出し、その算出された移動速度と、位置情報に相当する道路の法定速度情報との差に基づき交通情報を生成し、出力する交通情報生成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−285567号公報
【特許文献2】特開2007−133828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
まず、特許文献1に開示されたシステムの課題について説明する。
【0010】
第一の課題は、携帯電話の位置情報は基地局単位でしか取得できず、基地局内での携帯電話の正確な位置を取得するためには、システムの処理が複雑となり、コストが高くなる。
【0011】
第二の課題は、各携帯電話の移動速度を算出するためには、基地局は携帯電話のIDを位置情報に含めて交通状況を判定するサーバに送信しなければならず、サーバは携帯電話のIDに基づいて移動速度を算出するので、処理が複雑化し、コストが高くなる。
【0012】
また、特許文献2に開示されたシステムは、第1及び第2の課題に加えて、携帯電話の移動距離及び移動速度を算出するための処理を実行するため、さらにシステムが複雑化するので、コストが高くなる。
【0013】
本発明は、既存の携帯電話システムを利用し、処理負荷を軽減して交通状況を判定する交通状況判定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の代表的な一例を示せば、ユーザが携帯する無線通信装置と、前記無線通信装置と無線通信を行い、無線通信可能な範囲に位置する前記無線通信装置の数を計数する基地局と、前記基地局と通信可能であって、前記基地局によって計数された前記無線通信装置の数に基づいて前記基地局が無線通信可能な範囲の道路の交通状況を判定する計算機と、を備える交通状況判定システムにおいて、前記基地局は、前記範囲に位置する前記無線通信装置の数を所定のタイミングで計数し、前記計数された前記無線通信装置の数及び前記無線通信装置の数を計数した時刻を含む無線通信装置数情報を前記計算機に送信し、前記計算機は、プロセッサと、前記プロセッサに接続された記憶装置と、を備え、前記記憶装置には、前記無線通信可能な範囲の道路が渋滞していない場合に当該範囲に位置する前記無線通信装置の数の時間帯ごとの平均数が平常時無線通信装置数として予め記憶され、前記プロセッサは、前記無線通信装置数情報を受信した場合、前記記憶装置から前記無線通信装置数情報に含まれる時刻を含む時間帯の前記平常時無線通信装置数を取得し、前記受信した無線通信装置数情報に含まれる前記無線通信装置の数と、前記取得した平常時無線通信装置数とを比較し、前記無線通信装置の数が前記平常時無線通信装置数よりも多いか否かを判定することによって、前記無線通信装置数情報に含まれる時刻の当該無線通信可能な範囲の道路の交通状況が渋滞しているか否かを判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、既存の携帯電話システムを利用し、処理負荷を軽減して交通状況を判定する交通状況判定システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態の交通状況判定システムの構成の説明図である。
【図2A】本発明の実施形態の平常時のエリアの車両数の説明図である。
【図2B】本発明の実施形態の渋滞時のエリアの車両数の説明図である。
【図3A】本発明の実施形態の平常時のエリア内に位置する車内の携帯電話数の説明図である。
【図3B】本発明の渋滞時の実施形態のエリア内に位置する車内の携帯電話数の説明図である。
【図4】本発明の実施形態のエリアに位置する車両数及び車内携帯電話数の時間変化グラフである。
【図5A】本発明の実施形態の建物内携帯電話数の説明図である。
【図5B】本発明の実施形態の歩行者携帯電話数の説明図である。
【図6A】本発明の実施形態のエリアに位置する車両数の説明図である。
【図6B】本発明の実施形態のエリアの携帯電話数の説明図である。
【図6C】本発明の実施形態の平常時のエリアの時間ごとの携帯電話数の統計情報を示す平常時携帯電話数の説明図である。
【図7A】本発明の実施形態の実施フェーズ処理の説明図である。
【図7B】本発明の実施形態の事前フェーズ処理の説明図である。
【図8】本発明の実施形態のエリアマッチング部の処理の説明図である。
【図9A】本発明の実施形態のエリアの携帯電話数の説明図である。
【図9B】本発明の実施形態の平常時のエリアの時間ごとの携帯電話数の統計情報を示す平常時携帯電話数の説明図である。
【図9C】本発明の実施形態の現在の携帯電話数から平常時携帯電話を減算した差分の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図1〜図9を用いて説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態の交通状況判定システムの構成の説明図である。
【0019】
交通状況判定システムは、携帯電話(携帯無線通信装置)2、基地局3、携帯電話事業者サーバ4、及び交通状況判定サーバ5を備える。
【0020】
基地局3と携帯電話事業者サーバ4とはネットワークを介して接続され、携帯電話事業者サーバ4と交通状況判定サーバ5とはネットワークを介して接続される。
【0021】
基地局3は、自身が無線通信可能な範囲であるエリア1に位置する携帯電話2と無線通信を行う。また、基地局3は、自身のエリア1に位置する携帯電話の数を周期的に収集し、収集した携帯電話の数を含む携帯電話数情報を携帯電話事業者サーバ4に周期的に送信する。
【0022】
携帯電話事業者サーバ4は、図示しないプロセッサ、プロセッサに接続された図示しないメモリ、及びプロセッサに接続された図示しないネットワークインタフェースを備える。携帯電話事業者サーバ4は、自身が管理する基地局3によって送信された携帯電話数情報を受信し、受信した携帯電話数情報を交通状況判定サーバ5へ送信する。
【0023】
交通状況判定サーバ5は、図示しないプロセッサ、プロセッサに接続された図示しないメモリ、及びプロセッサに接続された図示しないネットワークインタフェースを備える。交通状況判定サーバ5は、受信した携帯電話数情報に基づいて、各基地局3のエリア1の道路の交通状況を判定する。
【0024】
なお、携帯電話事業者サーバ4が、交通状況判定サーバ5の機能を備え、携帯電話数情報に基づいて、各基地局3のエリア1の道路の交通状況を判定してもよい。この場合、交通状況判定サーバ5は不要となる。
【0025】
図2Aは、本発明の実施形態の平常時のエリア1の車両数の説明図である。図2Bは、本発明の実施形態の渋滞時のエリア1の車両数の説明図である。
【0026】
エリア1で渋滞が発生した場合には、以下の三つの現象が発生する:
(1)エリア1内の車両数が増加する。
【0027】
(2)エリア1内の車両の速度が減少する。
【0028】
(3)エリア1内の車両の移動距離が減少する。
【0029】
上記特許文献1及び2に開示された交通状況判定方法は、(2)及び(3)に着目して、エリア1の交通状況を判定するものである。この方法では、車両の移動速度の計算及び移動距離の計算が必要になるので、複雑な処理が必要となり、全国規模の交通状況を判定するには、莫大な設備投資が必要となる。
【0030】
本実施形態では、(1)に着目して、エリア1の交通状況を判定する。所定の長さの道路に収容可能な車両数は有限であるので、車両数が増加すると、渋滞が発生する可能性が高くなる。
【0031】
図2Aでは、エリア1には6台の車両が位置し、エリア1の交通状況は平常であると判断される。図2Bでは、エリア1には39台の車両が位置し、エリア1の交通状況は渋滞であると判断される。
【0032】
図3Aは、本発明の実施形態の平常時のエリア1内に位置する車内の携帯電話数の説明図である。図3Bは、本発明の渋滞時の実施形態のエリア1内に位置する車内の携帯電話数の説明図である。
【0033】
渋滞時の車両には、車両の速度が平常時に比べて遅いため、車間距離が平常時により短くなる。このため、渋滞時の100メートルの距離の道路に位置する車両数は、平常時の100メートルの距離の道路に位置する車両数よりも多くなる。
【0034】
例えば、平常時のあるエリア1の100メートルの距離の道路には2、3台の車両が位置するが、渋滞時の当該道路には10台以上の車両が位置する。
【0035】
また、一台の車両の乗客数にばらつきがあるが、統計的には一台の車両の平均乗客数は一定の値になる。
【0036】
このため、車両数と交通状況との関係と同じ関係が、車内の携帯電話数と交通状況との間にもあるものと考えられる。つまり、車内の携帯電話数と交通状況との間には、車内の携帯電話数が増加すると、交通状況が渋滞となる可能性が高いとの関係がある。
【0037】
なお、この車内の携帯電話数と交通状況との関係は、エリア1の特徴、又は日時によって異なるので、各エリア1の携帯電話数の遷移規則を予め設定する必要がある。ここで、エリア1の特徴とは、例えば、エリア1内に高速道路があること、エリア1が駅周辺であること、エリア1にショッピングセンタがあること、又はエリア1が郊外であることである。また、日時とは、平日、土日、休日、連休等の期日、及び、深夜、朝、午前、午後、夕方等の時間帯である。
【0038】
図3Aは、図2Aの各車両に位置する携帯電話数を示し、図3Bは、図2Bの各車両に位置する携帯電話数を示すものである。
【0039】
図3Aでは、平常時のエリア1に位置する車両の携帯電話の総数は11台であり、図3Bでは、渋滞時のエリア1に位置する車両の携帯電話の総数は77台であることを示す。
【0040】
つまり、渋滞時のエリア1に位置する車両の携帯電話の総数は、平常時のエリア1に位置する車両の携帯電話の総数よりも多くなる。
【0041】
図4は、本発明の実施形態のエリア1に位置する車両数8及び車内携帯電話数9の時間変化グラフである。
【0042】
図4の符号8はエリア1に位置する車両数を示し、図4の符号9はエリア1に位置する車内携帯電話数を示す。
【0043】
図4では、16時から20時までの間で、車両数8が増加して、所定値を超えた状態を符号10で示す。所定値は、エリア1内の道路に収容可能な車両容量限界に基づいて設定される。符号10ではエリア1に車両数8が所定値を超えているので、エリア1は渋滞であると判断される。
【0044】
また、図4では、車内携帯電話数9も、16時から20時までの間で車両数8が所定値を超えている間に増加し、所定値を超えた状態(11)となる。これは、車両数が増加することによって車内携帯電話数も増加するためである。
【0045】
このため、車両数が増加すれば車内携帯電話数も増加するため、エリア1に位置する車内携帯電話数が把握できれば、エリア1に位置する車両数を把握できなくても、エリア1に位置する車内携帯電話数に基づいてエリア1で渋滞が発生するか否かを判定できる。
【0046】
しかしながら、エリア1に位置する携帯電話は車内携帯電話だけではなく、車内携帯電話以外の携帯電話も位置し、基地局3はこれらを区別できない。
【0047】
車内携帯電話以外の携帯電話としては、建物に位置する建物内携帯電話、及び道路に位置する歩行者等の携帯電話がある。
【0048】
図5Aは、本発明の実施形態の建物内携帯電話数の説明図である。図5Bは、本発明の実施形態の歩行者携帯電話数の説明図である。
【0049】
基地局3が収集するエリア1に位置する携帯電話数は、車内携帯電話数、建物内携帯電話数、及び歩行者携帯電話数を含む。基地局3が収集した携帯電話数では、車内携帯電話数、建物内携帯電話数、及び歩行者携帯電話数を区別することができない。
【0050】
しかし、当該エリア1内の交通状況を正確に判定するためには、車内携帯電話数以外の携帯電話数(建物内携帯電話数、及び歩行者携帯電話数)を考慮しなければならない。
【0051】
図6A〜図6Cを用いて、車内携帯電話数以外の携帯電話数を考慮した交通状況判定方法を説明する。
【0052】
図6Aは、本発明の実施形態のエリア1に位置する車両数の説明図である。
【0053】
図6Aに示す車両数8は、本システムとは別の手段(例えば、VICS(登録商標)又は人手による交通量調査等)によって計測されたものであり、図4と同じ図である。
【0054】
図6Bは、本発明の実施形態のエリア1の携帯電話数の説明図である。
【0055】
図6Bに示す携帯電話数16は、図6Aに示す車両数が計測されたエリア1の基地局3によって、図6Aに示す車両数が計測された日と同じ日に収集されたものである。
【0056】
携帯電話数16は、車内携帯電話数9、建物内携帯電話数14、及び歩行者携帯電話数15を含み、基地局3は、これらの携帯電話数を区別できないが、図6Bでは、説明の都合上、携帯電話数16を、車内携帯電話数9、建物内携帯電話数14、及び歩行者携帯電話数15に分けている。
【0057】
図6Cは、本発明の実施形態の平常時のエリア1の時間ごとの携帯電話数の統計情報を示す平常時携帯電話数の説明図である。
【0058】
エリア1に位置する携帯電話数は計数日ごとに変動するので、図6Cでは、時間ごとの携帯電話数は、符号17に示す帯のように、時間ごとの携帯電話数の平均値及び分散に基づいて算出された統計分布域で表される。平常時携帯電話数は、図7Bに示す事前フェーズで生成される。
【0059】
なお、平常時携帯電話数も、車内携帯電話数、建物内携帯電話数、及び歩行者携帯電話数を含むが、上述したようにこれらの携帯電話数は区別できない。
【0060】
エリア1の交通状況は、車内携帯電話数9に基づいて判定するので、携帯電話数16から建物内携帯電話数14及び歩行者携帯電話数15携帯電話数除外しなければならない。
【0061】
本実施形態では、基地局3によって収集されたエリア1の携帯電話数16から、当該携帯電話数16と同じ時間の平常時携帯電話数を減算することによって、基地局によって収集された携帯電話数から建物内携帯電話数14及び歩行者携帯電話数を除外している。
【0062】
以下に、この理由について説明する。
【0063】
建物内携帯電話数14は、道路以外の場所、すなわち建物の中にいる人が携帯する携帯電話の数である。建物内の中にいる人とは、当該建物で業務を行う会社員、及び、当該建物の住民等である。建物内の人数は一日を通して規則的に推移する傾向がある。例えば、ある建物が会社であるとした場合、建物内の人数は、朝の始業時間に一定の値まで増加し、就業時間中は一定の値が維持され、終業時間に減少する傾向があり、当該建物内の人数の時間遷移は、日によって大幅に変化することはない。
【0064】
歩行者携帯電話数15は、エリア1内で道路を歩いている人(歩行者)が携帯する携帯電話数である。歩行者は、会社へ出勤中の会社員、及び自宅に帰る途中の住民等を含むが、これらの人の目的地は、会社、自宅、及び駅等のようにパターン化している。そして、歩行者の人数は建物内の人数と同じように、一日を通して規則的に推移する傾向がある。
【0065】
つまり、建物内携帯電話数14及び歩行者携帯電話数15には、一日を通して統計的な規則がある。なお、建物内携帯電話数14及び歩行者携帯電話数15は、エリア1の特徴、又は日時によって異なるので、予め各エリア1の携帯電話数の遷移規則を予め設定する必要がある。
【0066】
図6Cの平常時携帯電話のエリア1内に位置する携帯電話数17に含まれる建物内携帯電話数及び歩行者携帯電話数も同様に規則的に変化していると考えられる。
【0067】
このため、基地局3によって収集されたエリア1内の携帯電話数16から図6Cに示す平常時携帯電話数を減算することによって、建物内携帯電話数及び歩行者携帯電話数は相殺され、実施日の車内携帯電話数と平常時の統計的な車内携帯電話数との差分を取得できる。この差分が大きければ、平常時より車両数が多く、渋滞していると予測できる。このため、本実施形態では、車内携帯電話数ではなく、この差分を用いて交通状況を判定する。
【0068】
次に、図7A及び図7Bを用いて、本システムによる処理を説明する。
【0069】
本システムによる処理は実施フェーズ処理と事前フェーズ処理とを含む。実施フェーズ処理は、交通状況判定サーバ5によって実行され、基地局3によって収集されたエリア1内の携帯電話数に基づいて現在のエリア1内の交通状況を判定する処理であり、図7Aで説明する。また、事前フェーズ処理は、交通状況判定サーバ5によって実行され、エリア1内の交通状況が渋滞しているか否かの判定結果を他のシステムから取得し、当該判定結果別にエリア1内の携帯電話数の統計データを作成する処理であり、図7Bで詳細を説明する。
【0070】
図7Aは、本発明の実施形態の実施フェーズ処理の説明図である。
【0071】
交通状況判定サーバ5は、携帯電話数情報入力部701、エリアマッチング部702、情報処理部703、データベースインタフェース711、道路地図データベース721、基地局位置データベース722、及び、過去の携帯電話数データベース723を備える。
【0072】
まず、各データベース721〜723について説明する。
【0073】
各データベース721〜723は、交通状況判定サーバ5の図示しない不揮発性の記憶領域(例えば、HDD)に記憶されているデータベースであり、必要に応じてデータベース711を介して図示しないメモリにロードされる。
【0074】
道路地図データベース721は、道路と当該道路の緯度経度情報とを管理するデータベースである。基地局位置データベース722は、基地局3が設置された位置の緯度経度情報と基地局3のIDとを管理するデータベースである。
【0075】
過去の携帯電話数データベース723は、平常時携帯電話数723A及び渋滞時携帯電話数723Bを含み、図7Bに示す事前フェーズ処理で生成される。平常時携帯電話数723Aは、エリア1の交通状況が渋滞していないと判定された時間ごとの携帯電話数の平均値であり、渋滞時携帯電話数723Bは、エリア1の交通状況が渋滞していると判定された時間ごとの携帯電話数の平均値である。
【0076】
データベースインタフェース711は、各データベース721〜723とのインタフェースである。
【0077】
次に、携帯電話数情報入力部701〜情報処理部703の処理について説明する。携帯電話数情報入力部701〜情報処理部703は、交通状況判定サーバ5の図示しないプロセッサが図示しないメモリに記憶されたプログラムを実行することによって実現される機能部である。
【0078】
まず、携帯電話数情報について説明する。
【0079】
基地局3は、自身のエリア1の携帯電話数を所定周期で収集し、収集した携帯電話数を携帯電話数情報として携帯電話事業者サーバ4に送信する。携帯電話数情報は、携帯電話数の他に、基地局3が携帯電話数を収集した時間を含む。
【0080】
携帯電話事業者サーバ4は、受信した携帯電話数情報を交通状況判定サーバ5に送信する。
【0081】
携帯電話数情報入力部701では、交通状況判定サーバ5は、携帯電話事業者サーバ4から携帯電話数情報を受信する処理である。
【0082】
エリアマッチング部702では、交通状況判定サーバ5は、道路地図データベース721及び基地局位置データベース722を参照し、受信した携帯電話数情報の送信元の基地局3と当該基地局3付近の道路地図とを対応付ける。具体的には、図8で詳細を説明する。
【0083】
情報処理部703では、交通状況判定サーバ5は、過去の携帯電話数データベース723を参照し、受信した携帯電話数情報の送信元の基地局3のエリア1(対象エリア)の交通状況を判定する。
【0084】
具体的には、交通状況判定サーバ5は、過去の携帯電話数データベース723の平常時携帯電話数723Aから、受信した携帯電話数情報に含まれる収集時間(つまり、当該携帯電話数情報が示す携帯電話数が基地局3によって収集された時間)と同じ時間の携帯電話数を平常時携帯電話数として取得する。そして、交通状況判定サーバ5は、受信した携帯電話数情報の携帯電話数から取得した平常時携帯電話数を減算した減算値を算出する(703A)。
【0085】
次に、交通状況判定サーバ5は、ステップ703Aの処理で算出された減算値が、第1所定値よりも大きいか否かを判定することによって、対象エリアの交通状況が渋滞しているか否かを判定する(703B)。
【0086】
また、ステップ703Bの処理では、交通状況判定サーバ5は、減算値が第1所定値以下であると判定された場合、減算値が第1所定値よりも小さい第2所定値よりも大きいか否かを判定し、減算値が第2所定値よりも大きい場合、対象エリアの交通状況が渋滞するとの予報を行う。
【0087】
なお、ステップ703Bの処理の詳細については、図9A〜図9Cで詳細を説明する。
【0088】
図7Bは、本発明の実施形態の事前フェーズ処理の説明図である。なお、図7Bの構成のうち、図7Aと同じ符号を付与し、説明を省略する。
【0089】
事前フェーズ処理では、交通状況判定サーバ5は、携帯電話数情報入力部701が受信した携帯電話数情報が示す携帯電話数を基地局3が収集した時間に対象エリアが渋滞していたか否かの判定結果を他のシステム(例えば、VICS等)から取得し、取得した判定結果に基づいて、受信した携帯電話数情報が示す携帯電話数を過去の携帯電話数データベースに登録する(731)。
【0090】
具体的には、他のシステムによる判定結果が、対象エリアが渋滞しているとの結果である場合、交通状況判定サーバ5は、受信した携帯電話数情報が示す携帯電話数を、過去の携帯電話数データベース723の渋滞時携帯電話数723Bに登録し、受信した携帯電話数情報が示す携帯電話数が収集された時間の渋滞時平均値を算出し、算出した渋滞時平均値を渋滞時携帯電話数723Bに登録する。
【0091】
また、他のシステムによる判定結果が、対象エリアが渋滞していないとの結果である場合、交通状況判定サーバ5は、受信した携帯電話数情報が示す携帯電話数を、過去の携帯電話数データベース723の平常時携帯電話数723Aに登録し、受信した携帯電話数情報が示す携帯電話数が収集された時間の平常時時平均値を算出し、算出した平常時平均値を平常時携帯電話数723Aに登録する。
【0092】
図8は、本発明の実施形態のエリアマッチング部702の処理の説明図である。
【0093】
エリアマッチング部702の処理について説明する。
【0094】
まず、交通状況サーバ5は、受信した携帯電話数情報に含まれる基地局3のIDを取得する。そして、交通状況サーバ5は、基地局位置データベース722を参照し、取得した基地局3のIDと対応する緯度経度情報19を取得する。
【0095】
次に、交通状況サーバ5は、取得した緯度経度情報19から所定範囲の道路情報20を取得する。なお、所定範囲20は、基地局3のエリア1と同じ範囲に設定されるものとする。
【0096】
これによって、交通状況サーバ5は、携帯電話数を収集した基地局3の緯度経度情報19をキーに当該基地局3のエリア1の道路情報20を取得できる。
【0097】
次に、情報処理部703の交通状況の判定処理を、図9A〜図9Cを用いて説明する。
【0098】
図9Aは、本発明の実施形態のエリア1の携帯電話数の説明図である。図9Aは、図6Bと同じ図であり、ある一日に交通状況判定サーバ5が受信した携帯電話数情報が示す携帯電話数をプロットしたものである。
【0099】
図9Bは、本発明の実施形態の平常時のエリア1の時間ごとの携帯電話数の統計情報を示す平常時携帯電話数の説明図である。
【0100】
図9Bは、図6Cと同じ図であり、図7Bに示す事前フェーズ処理で生成される。
【0101】
図9Cは、本発明の実施形態の現在の携帯電話数から平常時携帯電話を減算した差分の説明図である。
【0102】
交通状況判定サーバ5は、携帯電話数情報を受信するごとに、図7Aに示すステップ703Aの処理で、受信した携帯電話数情報が示す携帯電話数から当該携帯電話数情報に含まれる収集時間と同じ時間の平常時携帯電話数を減算する。図9Cは、ステップ703Aの処理で算出された減算値を時間ごとにプロットしたものである。
【0103】
ステップ703Aの処理では、交通状況判定サーバ5は、受信した携帯電話数情報が示す携帯電話数から収集時間の平常時携帯電話数の統計分布域の最大値を減算した第1減算値を算出し、また、受信した携帯電話数情報が示す携帯電話数から収集時間の平常時携帯電話数の統計分布域の最小値を減算した第2減算値を算出する。図9Cでは、第1減算値と第2減算値との幅を減算値20としている。
【0104】
次に、交通状況判定サーバ5は、第1減算値が第1所定値よりも大きいか否かを判定することによって、減算値20が渋滞区間22にあるか否かを判定する。
【0105】
第1減算値が第1所定値よりも大きい場合、交通状況判定サーバ5は、受信した携帯電話数情報に含まれる収集時間のエリア1の交通状況は渋滞していると判定する。
【0106】
一方、第1減算値が第1所定値以下である場合、交通状況判定サーバ5は、第1減算値が第1所定値よりも小さい第2所定値よりも大きいか否かを判定することによって、減算値20がアラーム区間21にあるか否かを判定する。
【0107】
第1減算値が第2所定値よりも大きい場合、交通状況判定サーバ5は、受信した携帯電話数情報に含まれる収集時間のエリア1の交通状況は渋滞する可能性が高いと判定し、渋滞予報を行う。
【0108】
一方、第1減算値が第2所定値以下である場合、交通状況判定サーバ5は、受信した携帯電話数情報に含まれる収集時間のエリア1の交通状況は渋滞していないと判定する。
【0109】
なお、交通状況の判定には、第1減算値を用いたが第2減算値を用いてもよいし、第1減算値と第2減算値との平均値を用いてもよい。
【0110】
また、第1減算値又は第2減算値が負の値になる可能性もあるが、第1減算値又は第2減算値が負の値である場合、当該エリア1の交通状況は、平常時よりもさらに空いている状態であると判断される。
【0111】
次に、第1所定値及び第2所定値の設定方法について説明する。
【0112】
第1所定値及び第2所定値は、図7Bに示す事前フェーズ処理で設定される。第1所定値及び第2所定値の設定処理は、ステップ731の処理で所定の時間幅の平常時携帯電話数が登録されてから実行される。
【0113】
まず、交通状況判定サーバ5は、過去の携帯電話数データベース723から一つの渋滞時携帯電話数を取得し、取得した渋滞時携帯電話数から当該渋滞時携帯電話数の収集時間と同じ平常時携帯電話数を減算する。この減算処理は、過去の携帯電話数データベース723に登録されたすべての渋滞時携帯電話数に対して実行されるまで繰り返される。
【0114】
そして、交通状況判定サーバ5は、すべての渋滞時携帯電話数に対応する減算値から最も小さい減算値を第1所定値に設定する。
【0115】
また、交通状況判定サーバ5は、設定した第1所定値に所定の割合を乗算した値を第2所定値として設定する。所定の割合は、例えば、80%及び40%である。
【0116】
ここで、第2所定値を算出する場合に第1所定値に乗じる割合が大きければ、渋滞が発生する正確性は高いが、渋滞予報がなされる時間は遅くなり、一方、第1所定値に情じる割合が小さければ、渋滞が発生する正確性は低いが、渋滞予報がなされる時間は速くなる。
【0117】
以上のように、交通状況判定サーバ5は、基地局3によって収集された携帯電話数に基づいて交通状況を判定するため、処理負荷を軽減でき、全国的な交通状況を判定できる。
【0118】
また、交通状況判定サーバ5は、過去の渋滞していない場合の携帯電話数(平常時携帯電話数)を時間ごとに保持しており、現在基地局3によって収集された携帯電話数から、当該携帯電話数が収集された時間と同じ時間の平常時携帯電話数を減算した減算値を用いて、交通状況を判定する。これによって、規則的に変化する車内携帯電話数以外の建物内携帯電話数及び歩行者携帯電話数を相殺することができるため、交通状況を正確に判定できる。
【0119】
また、交通状況判定サーバ5は、減算値を用いて交通状況を判定する場合の渋滞か否かの基準値(第1所定値)を、過去の渋滞時携帯電話数から当該渋滞時に対応する時間の平常時携帯電話数を減算した値に基づいて設定する。これによって、過去の渋滞状況に基づいた交通状況の判定を行うことができる。
【0120】
さらに、交通状況判定サーバ5は、減算値が上記所定値よりも小さい第2所定値であれば、渋滞する可能性があると判定するため、渋滞を予報できる。
【符号の説明】
【0121】
1 エリア
2 携帯電話
3 基地局
4 携帯電話事業者サーバ
5 交通状況判定サーバ
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局によって収集された無線通信装置に関する情報に基づいて、交通状況を判定するシステムに関し、特に、渋滞しているか否かを判定するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
VICS(登録商標)等の交通情報システムによって提供される交通情報から渋滞情報を算出する方法が知られている。また、GPS受信機を搭載したプローブカーから集約したプローブ情報から渋滞情報を算出する方法も知られている。
【0003】
VICS(登録商標)等の交通情報システムによる渋滞情報の算出には、道路にセンサを多数設置する必要があり、コストが高くなってしまうという課題がある。また、GPS受信機を搭載したプローブカーによる渋滞情報の算出には、実際に道路上を走行させるプローブカーの台数を確保しなければならず、これらのプローブカーからセンタへ位置情報を連絡する通信コストが必要であるという課題がある。
【0004】
これらの渋滞情報の算出方法では、コストの観点から、全国的に緻密な渋滞情報を算出することは困難であった。
【0005】
そこで、携帯電話システムによって提供される情報から交通状況を推定するデータ処理システムが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0006】
特許文献1には、携帯電話の基地局との通話及び非通話の情報に基づいて携帯電話の位置を推定し、その位置情報をプローブデータに用い、道路地図データとマッチングし、携帯電話の位置情報から携帯電話の移動速度を算出することによって道路の交通渋滞情報を生成するデータ処理システムが開示されている。
【0007】
また、特許文献2には、携帯電話が通信を行っている基地局のエリア情報を監視し、基地局のエリア情報が変化したときに、その変化の前後における位置情報を特定し、その位置情報から移動距離を取得し、その移動距離から携帯電話の移動速度を算出し、その算出された移動速度と、位置情報に相当する道路の法定速度情報との差に基づき交通情報を生成し、出力する交通情報生成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−285567号公報
【特許文献2】特開2007−133828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
まず、特許文献1に開示されたシステムの課題について説明する。
【0010】
第一の課題は、携帯電話の位置情報は基地局単位でしか取得できず、基地局内での携帯電話の正確な位置を取得するためには、システムの処理が複雑となり、コストが高くなる。
【0011】
第二の課題は、各携帯電話の移動速度を算出するためには、基地局は携帯電話のIDを位置情報に含めて交通状況を判定するサーバに送信しなければならず、サーバは携帯電話のIDに基づいて移動速度を算出するので、処理が複雑化し、コストが高くなる。
【0012】
また、特許文献2に開示されたシステムは、第1及び第2の課題に加えて、携帯電話の移動距離及び移動速度を算出するための処理を実行するため、さらにシステムが複雑化するので、コストが高くなる。
【0013】
本発明は、既存の携帯電話システムを利用し、処理負荷を軽減して交通状況を判定する交通状況判定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の代表的な一例を示せば、ユーザが携帯する無線通信装置と、前記無線通信装置と無線通信を行い、無線通信可能な範囲に位置する前記無線通信装置の数を計数する基地局と、前記基地局と通信可能であって、前記基地局によって計数された前記無線通信装置の数に基づいて前記基地局が無線通信可能な範囲の道路の交通状況を判定する計算機と、を備える交通状況判定システムにおいて、前記基地局は、前記範囲に位置する前記無線通信装置の数を所定のタイミングで計数し、前記計数された前記無線通信装置の数及び前記無線通信装置の数を計数した時刻を含む無線通信装置数情報を前記計算機に送信し、前記計算機は、プロセッサと、前記プロセッサに接続された記憶装置と、を備え、前記記憶装置には、前記無線通信可能な範囲の道路が渋滞していない場合に当該範囲に位置する前記無線通信装置の数の時間帯ごとの平均数が平常時無線通信装置数として予め記憶され、前記プロセッサは、前記無線通信装置数情報を受信した場合、前記記憶装置から前記無線通信装置数情報に含まれる時刻を含む時間帯の前記平常時無線通信装置数を取得し、前記受信した無線通信装置数情報に含まれる前記無線通信装置の数と、前記取得した平常時無線通信装置数とを比較し、前記無線通信装置の数が前記平常時無線通信装置数よりも多いか否かを判定することによって、前記無線通信装置数情報に含まれる時刻の当該無線通信可能な範囲の道路の交通状況が渋滞しているか否かを判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、既存の携帯電話システムを利用し、処理負荷を軽減して交通状況を判定する交通状況判定システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態の交通状況判定システムの構成の説明図である。
【図2A】本発明の実施形態の平常時のエリアの車両数の説明図である。
【図2B】本発明の実施形態の渋滞時のエリアの車両数の説明図である。
【図3A】本発明の実施形態の平常時のエリア内に位置する車内の携帯電話数の説明図である。
【図3B】本発明の渋滞時の実施形態のエリア内に位置する車内の携帯電話数の説明図である。
【図4】本発明の実施形態のエリアに位置する車両数及び車内携帯電話数の時間変化グラフである。
【図5A】本発明の実施形態の建物内携帯電話数の説明図である。
【図5B】本発明の実施形態の歩行者携帯電話数の説明図である。
【図6A】本発明の実施形態のエリアに位置する車両数の説明図である。
【図6B】本発明の実施形態のエリアの携帯電話数の説明図である。
【図6C】本発明の実施形態の平常時のエリアの時間ごとの携帯電話数の統計情報を示す平常時携帯電話数の説明図である。
【図7A】本発明の実施形態の実施フェーズ処理の説明図である。
【図7B】本発明の実施形態の事前フェーズ処理の説明図である。
【図8】本発明の実施形態のエリアマッチング部の処理の説明図である。
【図9A】本発明の実施形態のエリアの携帯電話数の説明図である。
【図9B】本発明の実施形態の平常時のエリアの時間ごとの携帯電話数の統計情報を示す平常時携帯電話数の説明図である。
【図9C】本発明の実施形態の現在の携帯電話数から平常時携帯電話を減算した差分の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図1〜図9を用いて説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態の交通状況判定システムの構成の説明図である。
【0019】
交通状況判定システムは、携帯電話(携帯無線通信装置)2、基地局3、携帯電話事業者サーバ4、及び交通状況判定サーバ5を備える。
【0020】
基地局3と携帯電話事業者サーバ4とはネットワークを介して接続され、携帯電話事業者サーバ4と交通状況判定サーバ5とはネットワークを介して接続される。
【0021】
基地局3は、自身が無線通信可能な範囲であるエリア1に位置する携帯電話2と無線通信を行う。また、基地局3は、自身のエリア1に位置する携帯電話の数を周期的に収集し、収集した携帯電話の数を含む携帯電話数情報を携帯電話事業者サーバ4に周期的に送信する。
【0022】
携帯電話事業者サーバ4は、図示しないプロセッサ、プロセッサに接続された図示しないメモリ、及びプロセッサに接続された図示しないネットワークインタフェースを備える。携帯電話事業者サーバ4は、自身が管理する基地局3によって送信された携帯電話数情報を受信し、受信した携帯電話数情報を交通状況判定サーバ5へ送信する。
【0023】
交通状況判定サーバ5は、図示しないプロセッサ、プロセッサに接続された図示しないメモリ、及びプロセッサに接続された図示しないネットワークインタフェースを備える。交通状況判定サーバ5は、受信した携帯電話数情報に基づいて、各基地局3のエリア1の道路の交通状況を判定する。
【0024】
なお、携帯電話事業者サーバ4が、交通状況判定サーバ5の機能を備え、携帯電話数情報に基づいて、各基地局3のエリア1の道路の交通状況を判定してもよい。この場合、交通状況判定サーバ5は不要となる。
【0025】
図2Aは、本発明の実施形態の平常時のエリア1の車両数の説明図である。図2Bは、本発明の実施形態の渋滞時のエリア1の車両数の説明図である。
【0026】
エリア1で渋滞が発生した場合には、以下の三つの現象が発生する:
(1)エリア1内の車両数が増加する。
【0027】
(2)エリア1内の車両の速度が減少する。
【0028】
(3)エリア1内の車両の移動距離が減少する。
【0029】
上記特許文献1及び2に開示された交通状況判定方法は、(2)及び(3)に着目して、エリア1の交通状況を判定するものである。この方法では、車両の移動速度の計算及び移動距離の計算が必要になるので、複雑な処理が必要となり、全国規模の交通状況を判定するには、莫大な設備投資が必要となる。
【0030】
本実施形態では、(1)に着目して、エリア1の交通状況を判定する。所定の長さの道路に収容可能な車両数は有限であるので、車両数が増加すると、渋滞が発生する可能性が高くなる。
【0031】
図2Aでは、エリア1には6台の車両が位置し、エリア1の交通状況は平常であると判断される。図2Bでは、エリア1には39台の車両が位置し、エリア1の交通状況は渋滞であると判断される。
【0032】
図3Aは、本発明の実施形態の平常時のエリア1内に位置する車内の携帯電話数の説明図である。図3Bは、本発明の渋滞時の実施形態のエリア1内に位置する車内の携帯電話数の説明図である。
【0033】
渋滞時の車両には、車両の速度が平常時に比べて遅いため、車間距離が平常時により短くなる。このため、渋滞時の100メートルの距離の道路に位置する車両数は、平常時の100メートルの距離の道路に位置する車両数よりも多くなる。
【0034】
例えば、平常時のあるエリア1の100メートルの距離の道路には2、3台の車両が位置するが、渋滞時の当該道路には10台以上の車両が位置する。
【0035】
また、一台の車両の乗客数にばらつきがあるが、統計的には一台の車両の平均乗客数は一定の値になる。
【0036】
このため、車両数と交通状況との関係と同じ関係が、車内の携帯電話数と交通状況との間にもあるものと考えられる。つまり、車内の携帯電話数と交通状況との間には、車内の携帯電話数が増加すると、交通状況が渋滞となる可能性が高いとの関係がある。
【0037】
なお、この車内の携帯電話数と交通状況との関係は、エリア1の特徴、又は日時によって異なるので、各エリア1の携帯電話数の遷移規則を予め設定する必要がある。ここで、エリア1の特徴とは、例えば、エリア1内に高速道路があること、エリア1が駅周辺であること、エリア1にショッピングセンタがあること、又はエリア1が郊外であることである。また、日時とは、平日、土日、休日、連休等の期日、及び、深夜、朝、午前、午後、夕方等の時間帯である。
【0038】
図3Aは、図2Aの各車両に位置する携帯電話数を示し、図3Bは、図2Bの各車両に位置する携帯電話数を示すものである。
【0039】
図3Aでは、平常時のエリア1に位置する車両の携帯電話の総数は11台であり、図3Bでは、渋滞時のエリア1に位置する車両の携帯電話の総数は77台であることを示す。
【0040】
つまり、渋滞時のエリア1に位置する車両の携帯電話の総数は、平常時のエリア1に位置する車両の携帯電話の総数よりも多くなる。
【0041】
図4は、本発明の実施形態のエリア1に位置する車両数8及び車内携帯電話数9の時間変化グラフである。
【0042】
図4の符号8はエリア1に位置する車両数を示し、図4の符号9はエリア1に位置する車内携帯電話数を示す。
【0043】
図4では、16時から20時までの間で、車両数8が増加して、所定値を超えた状態を符号10で示す。所定値は、エリア1内の道路に収容可能な車両容量限界に基づいて設定される。符号10ではエリア1に車両数8が所定値を超えているので、エリア1は渋滞であると判断される。
【0044】
また、図4では、車内携帯電話数9も、16時から20時までの間で車両数8が所定値を超えている間に増加し、所定値を超えた状態(11)となる。これは、車両数が増加することによって車内携帯電話数も増加するためである。
【0045】
このため、車両数が増加すれば車内携帯電話数も増加するため、エリア1に位置する車内携帯電話数が把握できれば、エリア1に位置する車両数を把握できなくても、エリア1に位置する車内携帯電話数に基づいてエリア1で渋滞が発生するか否かを判定できる。
【0046】
しかしながら、エリア1に位置する携帯電話は車内携帯電話だけではなく、車内携帯電話以外の携帯電話も位置し、基地局3はこれらを区別できない。
【0047】
車内携帯電話以外の携帯電話としては、建物に位置する建物内携帯電話、及び道路に位置する歩行者等の携帯電話がある。
【0048】
図5Aは、本発明の実施形態の建物内携帯電話数の説明図である。図5Bは、本発明の実施形態の歩行者携帯電話数の説明図である。
【0049】
基地局3が収集するエリア1に位置する携帯電話数は、車内携帯電話数、建物内携帯電話数、及び歩行者携帯電話数を含む。基地局3が収集した携帯電話数では、車内携帯電話数、建物内携帯電話数、及び歩行者携帯電話数を区別することができない。
【0050】
しかし、当該エリア1内の交通状況を正確に判定するためには、車内携帯電話数以外の携帯電話数(建物内携帯電話数、及び歩行者携帯電話数)を考慮しなければならない。
【0051】
図6A〜図6Cを用いて、車内携帯電話数以外の携帯電話数を考慮した交通状況判定方法を説明する。
【0052】
図6Aは、本発明の実施形態のエリア1に位置する車両数の説明図である。
【0053】
図6Aに示す車両数8は、本システムとは別の手段(例えば、VICS(登録商標)又は人手による交通量調査等)によって計測されたものであり、図4と同じ図である。
【0054】
図6Bは、本発明の実施形態のエリア1の携帯電話数の説明図である。
【0055】
図6Bに示す携帯電話数16は、図6Aに示す車両数が計測されたエリア1の基地局3によって、図6Aに示す車両数が計測された日と同じ日に収集されたものである。
【0056】
携帯電話数16は、車内携帯電話数9、建物内携帯電話数14、及び歩行者携帯電話数15を含み、基地局3は、これらの携帯電話数を区別できないが、図6Bでは、説明の都合上、携帯電話数16を、車内携帯電話数9、建物内携帯電話数14、及び歩行者携帯電話数15に分けている。
【0057】
図6Cは、本発明の実施形態の平常時のエリア1の時間ごとの携帯電話数の統計情報を示す平常時携帯電話数の説明図である。
【0058】
エリア1に位置する携帯電話数は計数日ごとに変動するので、図6Cでは、時間ごとの携帯電話数は、符号17に示す帯のように、時間ごとの携帯電話数の平均値及び分散に基づいて算出された統計分布域で表される。平常時携帯電話数は、図7Bに示す事前フェーズで生成される。
【0059】
なお、平常時携帯電話数も、車内携帯電話数、建物内携帯電話数、及び歩行者携帯電話数を含むが、上述したようにこれらの携帯電話数は区別できない。
【0060】
エリア1の交通状況は、車内携帯電話数9に基づいて判定するので、携帯電話数16から建物内携帯電話数14及び歩行者携帯電話数15携帯電話数除外しなければならない。
【0061】
本実施形態では、基地局3によって収集されたエリア1の携帯電話数16から、当該携帯電話数16と同じ時間の平常時携帯電話数を減算することによって、基地局によって収集された携帯電話数から建物内携帯電話数14及び歩行者携帯電話数を除外している。
【0062】
以下に、この理由について説明する。
【0063】
建物内携帯電話数14は、道路以外の場所、すなわち建物の中にいる人が携帯する携帯電話の数である。建物内の中にいる人とは、当該建物で業務を行う会社員、及び、当該建物の住民等である。建物内の人数は一日を通して規則的に推移する傾向がある。例えば、ある建物が会社であるとした場合、建物内の人数は、朝の始業時間に一定の値まで増加し、就業時間中は一定の値が維持され、終業時間に減少する傾向があり、当該建物内の人数の時間遷移は、日によって大幅に変化することはない。
【0064】
歩行者携帯電話数15は、エリア1内で道路を歩いている人(歩行者)が携帯する携帯電話数である。歩行者は、会社へ出勤中の会社員、及び自宅に帰る途中の住民等を含むが、これらの人の目的地は、会社、自宅、及び駅等のようにパターン化している。そして、歩行者の人数は建物内の人数と同じように、一日を通して規則的に推移する傾向がある。
【0065】
つまり、建物内携帯電話数14及び歩行者携帯電話数15には、一日を通して統計的な規則がある。なお、建物内携帯電話数14及び歩行者携帯電話数15は、エリア1の特徴、又は日時によって異なるので、予め各エリア1の携帯電話数の遷移規則を予め設定する必要がある。
【0066】
図6Cの平常時携帯電話のエリア1内に位置する携帯電話数17に含まれる建物内携帯電話数及び歩行者携帯電話数も同様に規則的に変化していると考えられる。
【0067】
このため、基地局3によって収集されたエリア1内の携帯電話数16から図6Cに示す平常時携帯電話数を減算することによって、建物内携帯電話数及び歩行者携帯電話数は相殺され、実施日の車内携帯電話数と平常時の統計的な車内携帯電話数との差分を取得できる。この差分が大きければ、平常時より車両数が多く、渋滞していると予測できる。このため、本実施形態では、車内携帯電話数ではなく、この差分を用いて交通状況を判定する。
【0068】
次に、図7A及び図7Bを用いて、本システムによる処理を説明する。
【0069】
本システムによる処理は実施フェーズ処理と事前フェーズ処理とを含む。実施フェーズ処理は、交通状況判定サーバ5によって実行され、基地局3によって収集されたエリア1内の携帯電話数に基づいて現在のエリア1内の交通状況を判定する処理であり、図7Aで説明する。また、事前フェーズ処理は、交通状況判定サーバ5によって実行され、エリア1内の交通状況が渋滞しているか否かの判定結果を他のシステムから取得し、当該判定結果別にエリア1内の携帯電話数の統計データを作成する処理であり、図7Bで詳細を説明する。
【0070】
図7Aは、本発明の実施形態の実施フェーズ処理の説明図である。
【0071】
交通状況判定サーバ5は、携帯電話数情報入力部701、エリアマッチング部702、情報処理部703、データベースインタフェース711、道路地図データベース721、基地局位置データベース722、及び、過去の携帯電話数データベース723を備える。
【0072】
まず、各データベース721〜723について説明する。
【0073】
各データベース721〜723は、交通状況判定サーバ5の図示しない不揮発性の記憶領域(例えば、HDD)に記憶されているデータベースであり、必要に応じてデータベース711を介して図示しないメモリにロードされる。
【0074】
道路地図データベース721は、道路と当該道路の緯度経度情報とを管理するデータベースである。基地局位置データベース722は、基地局3が設置された位置の緯度経度情報と基地局3のIDとを管理するデータベースである。
【0075】
過去の携帯電話数データベース723は、平常時携帯電話数723A及び渋滞時携帯電話数723Bを含み、図7Bに示す事前フェーズ処理で生成される。平常時携帯電話数723Aは、エリア1の交通状況が渋滞していないと判定された時間ごとの携帯電話数の平均値であり、渋滞時携帯電話数723Bは、エリア1の交通状況が渋滞していると判定された時間ごとの携帯電話数の平均値である。
【0076】
データベースインタフェース711は、各データベース721〜723とのインタフェースである。
【0077】
次に、携帯電話数情報入力部701〜情報処理部703の処理について説明する。携帯電話数情報入力部701〜情報処理部703は、交通状況判定サーバ5の図示しないプロセッサが図示しないメモリに記憶されたプログラムを実行することによって実現される機能部である。
【0078】
まず、携帯電話数情報について説明する。
【0079】
基地局3は、自身のエリア1の携帯電話数を所定周期で収集し、収集した携帯電話数を携帯電話数情報として携帯電話事業者サーバ4に送信する。携帯電話数情報は、携帯電話数の他に、基地局3が携帯電話数を収集した時間を含む。
【0080】
携帯電話事業者サーバ4は、受信した携帯電話数情報を交通状況判定サーバ5に送信する。
【0081】
携帯電話数情報入力部701では、交通状況判定サーバ5は、携帯電話事業者サーバ4から携帯電話数情報を受信する処理である。
【0082】
エリアマッチング部702では、交通状況判定サーバ5は、道路地図データベース721及び基地局位置データベース722を参照し、受信した携帯電話数情報の送信元の基地局3と当該基地局3付近の道路地図とを対応付ける。具体的には、図8で詳細を説明する。
【0083】
情報処理部703では、交通状況判定サーバ5は、過去の携帯電話数データベース723を参照し、受信した携帯電話数情報の送信元の基地局3のエリア1(対象エリア)の交通状況を判定する。
【0084】
具体的には、交通状況判定サーバ5は、過去の携帯電話数データベース723の平常時携帯電話数723Aから、受信した携帯電話数情報に含まれる収集時間(つまり、当該携帯電話数情報が示す携帯電話数が基地局3によって収集された時間)と同じ時間の携帯電話数を平常時携帯電話数として取得する。そして、交通状況判定サーバ5は、受信した携帯電話数情報の携帯電話数から取得した平常時携帯電話数を減算した減算値を算出する(703A)。
【0085】
次に、交通状況判定サーバ5は、ステップ703Aの処理で算出された減算値が、第1所定値よりも大きいか否かを判定することによって、対象エリアの交通状況が渋滞しているか否かを判定する(703B)。
【0086】
また、ステップ703Bの処理では、交通状況判定サーバ5は、減算値が第1所定値以下であると判定された場合、減算値が第1所定値よりも小さい第2所定値よりも大きいか否かを判定し、減算値が第2所定値よりも大きい場合、対象エリアの交通状況が渋滞するとの予報を行う。
【0087】
なお、ステップ703Bの処理の詳細については、図9A〜図9Cで詳細を説明する。
【0088】
図7Bは、本発明の実施形態の事前フェーズ処理の説明図である。なお、図7Bの構成のうち、図7Aと同じ符号を付与し、説明を省略する。
【0089】
事前フェーズ処理では、交通状況判定サーバ5は、携帯電話数情報入力部701が受信した携帯電話数情報が示す携帯電話数を基地局3が収集した時間に対象エリアが渋滞していたか否かの判定結果を他のシステム(例えば、VICS等)から取得し、取得した判定結果に基づいて、受信した携帯電話数情報が示す携帯電話数を過去の携帯電話数データベースに登録する(731)。
【0090】
具体的には、他のシステムによる判定結果が、対象エリアが渋滞しているとの結果である場合、交通状況判定サーバ5は、受信した携帯電話数情報が示す携帯電話数を、過去の携帯電話数データベース723の渋滞時携帯電話数723Bに登録し、受信した携帯電話数情報が示す携帯電話数が収集された時間の渋滞時平均値を算出し、算出した渋滞時平均値を渋滞時携帯電話数723Bに登録する。
【0091】
また、他のシステムによる判定結果が、対象エリアが渋滞していないとの結果である場合、交通状況判定サーバ5は、受信した携帯電話数情報が示す携帯電話数を、過去の携帯電話数データベース723の平常時携帯電話数723Aに登録し、受信した携帯電話数情報が示す携帯電話数が収集された時間の平常時時平均値を算出し、算出した平常時平均値を平常時携帯電話数723Aに登録する。
【0092】
図8は、本発明の実施形態のエリアマッチング部702の処理の説明図である。
【0093】
エリアマッチング部702の処理について説明する。
【0094】
まず、交通状況サーバ5は、受信した携帯電話数情報に含まれる基地局3のIDを取得する。そして、交通状況サーバ5は、基地局位置データベース722を参照し、取得した基地局3のIDと対応する緯度経度情報19を取得する。
【0095】
次に、交通状況サーバ5は、取得した緯度経度情報19から所定範囲の道路情報20を取得する。なお、所定範囲20は、基地局3のエリア1と同じ範囲に設定されるものとする。
【0096】
これによって、交通状況サーバ5は、携帯電話数を収集した基地局3の緯度経度情報19をキーに当該基地局3のエリア1の道路情報20を取得できる。
【0097】
次に、情報処理部703の交通状況の判定処理を、図9A〜図9Cを用いて説明する。
【0098】
図9Aは、本発明の実施形態のエリア1の携帯電話数の説明図である。図9Aは、図6Bと同じ図であり、ある一日に交通状況判定サーバ5が受信した携帯電話数情報が示す携帯電話数をプロットしたものである。
【0099】
図9Bは、本発明の実施形態の平常時のエリア1の時間ごとの携帯電話数の統計情報を示す平常時携帯電話数の説明図である。
【0100】
図9Bは、図6Cと同じ図であり、図7Bに示す事前フェーズ処理で生成される。
【0101】
図9Cは、本発明の実施形態の現在の携帯電話数から平常時携帯電話を減算した差分の説明図である。
【0102】
交通状況判定サーバ5は、携帯電話数情報を受信するごとに、図7Aに示すステップ703Aの処理で、受信した携帯電話数情報が示す携帯電話数から当該携帯電話数情報に含まれる収集時間と同じ時間の平常時携帯電話数を減算する。図9Cは、ステップ703Aの処理で算出された減算値を時間ごとにプロットしたものである。
【0103】
ステップ703Aの処理では、交通状況判定サーバ5は、受信した携帯電話数情報が示す携帯電話数から収集時間の平常時携帯電話数の統計分布域の最大値を減算した第1減算値を算出し、また、受信した携帯電話数情報が示す携帯電話数から収集時間の平常時携帯電話数の統計分布域の最小値を減算した第2減算値を算出する。図9Cでは、第1減算値と第2減算値との幅を減算値20としている。
【0104】
次に、交通状況判定サーバ5は、第1減算値が第1所定値よりも大きいか否かを判定することによって、減算値20が渋滞区間22にあるか否かを判定する。
【0105】
第1減算値が第1所定値よりも大きい場合、交通状況判定サーバ5は、受信した携帯電話数情報に含まれる収集時間のエリア1の交通状況は渋滞していると判定する。
【0106】
一方、第1減算値が第1所定値以下である場合、交通状況判定サーバ5は、第1減算値が第1所定値よりも小さい第2所定値よりも大きいか否かを判定することによって、減算値20がアラーム区間21にあるか否かを判定する。
【0107】
第1減算値が第2所定値よりも大きい場合、交通状況判定サーバ5は、受信した携帯電話数情報に含まれる収集時間のエリア1の交通状況は渋滞する可能性が高いと判定し、渋滞予報を行う。
【0108】
一方、第1減算値が第2所定値以下である場合、交通状況判定サーバ5は、受信した携帯電話数情報に含まれる収集時間のエリア1の交通状況は渋滞していないと判定する。
【0109】
なお、交通状況の判定には、第1減算値を用いたが第2減算値を用いてもよいし、第1減算値と第2減算値との平均値を用いてもよい。
【0110】
また、第1減算値又は第2減算値が負の値になる可能性もあるが、第1減算値又は第2減算値が負の値である場合、当該エリア1の交通状況は、平常時よりもさらに空いている状態であると判断される。
【0111】
次に、第1所定値及び第2所定値の設定方法について説明する。
【0112】
第1所定値及び第2所定値は、図7Bに示す事前フェーズ処理で設定される。第1所定値及び第2所定値の設定処理は、ステップ731の処理で所定の時間幅の平常時携帯電話数が登録されてから実行される。
【0113】
まず、交通状況判定サーバ5は、過去の携帯電話数データベース723から一つの渋滞時携帯電話数を取得し、取得した渋滞時携帯電話数から当該渋滞時携帯電話数の収集時間と同じ平常時携帯電話数を減算する。この減算処理は、過去の携帯電話数データベース723に登録されたすべての渋滞時携帯電話数に対して実行されるまで繰り返される。
【0114】
そして、交通状況判定サーバ5は、すべての渋滞時携帯電話数に対応する減算値から最も小さい減算値を第1所定値に設定する。
【0115】
また、交通状況判定サーバ5は、設定した第1所定値に所定の割合を乗算した値を第2所定値として設定する。所定の割合は、例えば、80%及び40%である。
【0116】
ここで、第2所定値を算出する場合に第1所定値に乗じる割合が大きければ、渋滞が発生する正確性は高いが、渋滞予報がなされる時間は遅くなり、一方、第1所定値に情じる割合が小さければ、渋滞が発生する正確性は低いが、渋滞予報がなされる時間は速くなる。
【0117】
以上のように、交通状況判定サーバ5は、基地局3によって収集された携帯電話数に基づいて交通状況を判定するため、処理負荷を軽減でき、全国的な交通状況を判定できる。
【0118】
また、交通状況判定サーバ5は、過去の渋滞していない場合の携帯電話数(平常時携帯電話数)を時間ごとに保持しており、現在基地局3によって収集された携帯電話数から、当該携帯電話数が収集された時間と同じ時間の平常時携帯電話数を減算した減算値を用いて、交通状況を判定する。これによって、規則的に変化する車内携帯電話数以外の建物内携帯電話数及び歩行者携帯電話数を相殺することができるため、交通状況を正確に判定できる。
【0119】
また、交通状況判定サーバ5は、減算値を用いて交通状況を判定する場合の渋滞か否かの基準値(第1所定値)を、過去の渋滞時携帯電話数から当該渋滞時に対応する時間の平常時携帯電話数を減算した値に基づいて設定する。これによって、過去の渋滞状況に基づいた交通状況の判定を行うことができる。
【0120】
さらに、交通状況判定サーバ5は、減算値が上記所定値よりも小さい第2所定値であれば、渋滞する可能性があると判定するため、渋滞を予報できる。
【符号の説明】
【0121】
1 エリア
2 携帯電話
3 基地局
4 携帯電話事業者サーバ
5 交通状況判定サーバ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが携帯する無線通信装置と、前記無線通信装置と無線通信を行い、無線通信可能な範囲に位置する前記無線通信装置の数を計数する基地局と、前記基地局と通信可能であって、前記基地局によって計数された前記無線通信装置の数に基づいて前記基地局が無線通信可能な範囲の道路の交通状況を判定する計算機と、を備える交通状況判定システムにおいて、
前記基地局は、前記範囲に位置する前記無線通信装置の数を所定のタイミングで計数し、前記計数された前記無線通信装置の数及び前記無線通信装置の数を計数した時刻を含む無線通信装置数情報を前記計算機に送信し、
前記計算機は、プロセッサと、前記プロセッサに接続された記憶装置と、を備え、
前記記憶装置には、前記無線通信可能な範囲の道路が渋滞していない場合に当該範囲に位置する前記無線通信装置の数の時間帯ごとの平均数が平常時無線通信装置数として予め記憶され、
前記プロセッサは、
前記無線通信装置数情報を受信した場合、前記記憶装置から前記無線通信装置数情報に含まれる時刻を含む時間帯の前記平常時無線通信装置数を取得し、
前記受信した無線通信装置数情報に含まれる前記無線通信装置の数と、前記取得した平常時無線通信装置数とを比較し、前記無線通信装置の数が前記平常時無線通信装置数よりも多いか否かを判定することによって、前記無線通信装置数情報に含まれる時刻の当該無線通信可能な範囲の道路の交通状況が渋滞しているか否かを判定することを特徴とする交通状況判定システム。
【請求項2】
前記計算機は、
前記受信した無線通信装置数情報に含まれる前記無線通信装置の数から前記取得した平常時無線通信装置数を減算し、
前記減算した値が第1所定値よりも大きい場合、前記無線通信装置数情報に含まれる時刻の当該無線通信可能な範囲の道路の交通状況が渋滞していると判定することを特徴とする請求項1に記載の交通状況判定システム。
【請求項3】
前記記憶装置には、前記無線通信可能な範囲の道路が渋滞している場合の前記無線通信可能な範囲に位置する前記無線通信装置の数が渋滞時無線通信装置数として予め記憶され、
前記プロセッサは、
前記渋滞時無線通信装置数の時間帯と同じ時間帯の前記平常時無線通信装置数を前記記憶装置から取得し、
前記渋滞時無線通信装置数から前記取得した前記平常時無線通信装置数を減算した減算値を算出し、
前記記憶装置に記憶されたすべての渋滞時無線通信装置数に対して前記減算値を算出し、
前記算出された減算値のうち最も小さい減算値を前記第1所定値に設定することを特徴とする請求項2に記載の交通状況判定システム。
【請求項4】
前記計算機は、
前記第1所定値よりも小さい値を第2所定値として設定し、
前記受信した無線通信装置数情報に含まれる前記無線通信装置の数から前記取得した平常時無線通信装置数を減算した値が前記第2所定値よりも大きく前記第1所定値よりも小さい場合、当該無線通信可能な範囲の道路の交通状況が渋滞する可能性があると判定することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の交通状況判定システム。
【請求項5】
ユーザが携帯する無線通信装置と、前記無線通信装置と無線通信を行い、無線通信可能な範囲に位置する前記無線通信装置の数を計数する基地局と、前記基地局と通信可能であって、前記基地局によって計数された前記無線通信装置の数に基づいて前記基地局が無線通信可能な範囲の道路の交通状況を判定する計算機と、を備えるシステムにおける交通状況判定方法において、
前記計算機は、プロセッサと、前記プロセッサに接続された記憶装置と、を備え、
前記記憶装置には、前記無線通信可能な範囲の道路が渋滞していない場合に当該範囲に位置する前記無線通信装置の数の時間帯ごとの平均数が平常時無線通信装置数として予め記憶され、
前記方法は、
前記基地局が、前記範囲に位置する前記無線通信装置の数を所定のタイミングで計数し、前記計数された前記無線通信装置の数及び前記無線通信装置の数を計数した時刻を含む無線通信装置数情報を前記計算機に送信する第1のステップと、
前記プロセッサが、前記無線通信装置数情報を受信した場合、前記記憶装置から前記無線通信装置数情報に含まれる時刻を含む時間帯の前記平常時無線通信装置数を取得する第2のステップと、
前記プロセッサが、前記受信した無線通信装置数情報に含まれる前記無線通信装置の数と、前記取得した平常時無線通信装置数とを比較し、前記無線通信装置の数が前記平常時無線通信装置数よりも多いか否かを判定することによって、前記無線通信装置数情報に含まれる時刻の当該無線通信可能な範囲の道路の交通状況が渋滞しているか否かを判定する第3のステップと、を含むことを特徴とする交通状況判定方法。
【請求項6】
前記第3のステップは、
前記受信した無線通信装置数情報に含まれる前記無線通信装置の数から前記取得した平常時無線通信装置数を減算するステップと
前記減算した値が第1所定値よりも大きい場合、前記無線通信装置数情報に含まれる時刻の当該無線通信可能な範囲の道路の交通状況が渋滞していると判定するステップと、を含むことを特徴とする請求項5に記載の交通状況判定方法。
【請求項7】
前記記憶装置には、前記無線通信可能な範囲の道路が渋滞している場合の前記無線通信可能な範囲に位置する前記無線通信装置の数が渋滞時無線通信装置数として予め記憶され、
前記方法は、
前記プロセッサが、前記渋滞時無線通信装置数の時間帯と同じ時間帯の前記平常時無線通信装置数を前記記憶装置から取得する第4のステップと、
前記プロセッサが、前記渋滞時無線通信装置数から前記取得した前記平常時無線通信装置数を減算した減算値を算出する第5のステップと、
前記プロセッサが、前記記憶装置に記憶されたすべての渋滞時無線通信装置数に対して前記減算値を算出する第6のステップと、
前記プロセッサが、前記算出された減算値のうち最も小さい減算値を前記第1所定値に設定する第7のステップと、を含むことを特徴とする請求項6に記載の交通状況判定方法。
【請求項8】
前記プロセッサが、前記第1所定値よりも小さい値を第2所定値として設定する第8のステップと、
前記プロセッサが、前記受信した無線通信装置数情報に含まれる前記無線通信装置の数から前記取得した平常時無線通信装置数を減算した値が前記第2所定値よりも大きく前記第1所定値よりも小さい場合、当該無線通信可能な範囲の道路の交通状況が渋滞する可能性があると判定する第9のステップと、を含むことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の交通状況判定方法。
【請求項1】
ユーザが携帯する無線通信装置と、前記無線通信装置と無線通信を行い、無線通信可能な範囲に位置する前記無線通信装置の数を計数する基地局と、前記基地局と通信可能であって、前記基地局によって計数された前記無線通信装置の数に基づいて前記基地局が無線通信可能な範囲の道路の交通状況を判定する計算機と、を備える交通状況判定システムにおいて、
前記基地局は、前記範囲に位置する前記無線通信装置の数を所定のタイミングで計数し、前記計数された前記無線通信装置の数及び前記無線通信装置の数を計数した時刻を含む無線通信装置数情報を前記計算機に送信し、
前記計算機は、プロセッサと、前記プロセッサに接続された記憶装置と、を備え、
前記記憶装置には、前記無線通信可能な範囲の道路が渋滞していない場合に当該範囲に位置する前記無線通信装置の数の時間帯ごとの平均数が平常時無線通信装置数として予め記憶され、
前記プロセッサは、
前記無線通信装置数情報を受信した場合、前記記憶装置から前記無線通信装置数情報に含まれる時刻を含む時間帯の前記平常時無線通信装置数を取得し、
前記受信した無線通信装置数情報に含まれる前記無線通信装置の数と、前記取得した平常時無線通信装置数とを比較し、前記無線通信装置の数が前記平常時無線通信装置数よりも多いか否かを判定することによって、前記無線通信装置数情報に含まれる時刻の当該無線通信可能な範囲の道路の交通状況が渋滞しているか否かを判定することを特徴とする交通状況判定システム。
【請求項2】
前記計算機は、
前記受信した無線通信装置数情報に含まれる前記無線通信装置の数から前記取得した平常時無線通信装置数を減算し、
前記減算した値が第1所定値よりも大きい場合、前記無線通信装置数情報に含まれる時刻の当該無線通信可能な範囲の道路の交通状況が渋滞していると判定することを特徴とする請求項1に記載の交通状況判定システム。
【請求項3】
前記記憶装置には、前記無線通信可能な範囲の道路が渋滞している場合の前記無線通信可能な範囲に位置する前記無線通信装置の数が渋滞時無線通信装置数として予め記憶され、
前記プロセッサは、
前記渋滞時無線通信装置数の時間帯と同じ時間帯の前記平常時無線通信装置数を前記記憶装置から取得し、
前記渋滞時無線通信装置数から前記取得した前記平常時無線通信装置数を減算した減算値を算出し、
前記記憶装置に記憶されたすべての渋滞時無線通信装置数に対して前記減算値を算出し、
前記算出された減算値のうち最も小さい減算値を前記第1所定値に設定することを特徴とする請求項2に記載の交通状況判定システム。
【請求項4】
前記計算機は、
前記第1所定値よりも小さい値を第2所定値として設定し、
前記受信した無線通信装置数情報に含まれる前記無線通信装置の数から前記取得した平常時無線通信装置数を減算した値が前記第2所定値よりも大きく前記第1所定値よりも小さい場合、当該無線通信可能な範囲の道路の交通状況が渋滞する可能性があると判定することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の交通状況判定システム。
【請求項5】
ユーザが携帯する無線通信装置と、前記無線通信装置と無線通信を行い、無線通信可能な範囲に位置する前記無線通信装置の数を計数する基地局と、前記基地局と通信可能であって、前記基地局によって計数された前記無線通信装置の数に基づいて前記基地局が無線通信可能な範囲の道路の交通状況を判定する計算機と、を備えるシステムにおける交通状況判定方法において、
前記計算機は、プロセッサと、前記プロセッサに接続された記憶装置と、を備え、
前記記憶装置には、前記無線通信可能な範囲の道路が渋滞していない場合に当該範囲に位置する前記無線通信装置の数の時間帯ごとの平均数が平常時無線通信装置数として予め記憶され、
前記方法は、
前記基地局が、前記範囲に位置する前記無線通信装置の数を所定のタイミングで計数し、前記計数された前記無線通信装置の数及び前記無線通信装置の数を計数した時刻を含む無線通信装置数情報を前記計算機に送信する第1のステップと、
前記プロセッサが、前記無線通信装置数情報を受信した場合、前記記憶装置から前記無線通信装置数情報に含まれる時刻を含む時間帯の前記平常時無線通信装置数を取得する第2のステップと、
前記プロセッサが、前記受信した無線通信装置数情報に含まれる前記無線通信装置の数と、前記取得した平常時無線通信装置数とを比較し、前記無線通信装置の数が前記平常時無線通信装置数よりも多いか否かを判定することによって、前記無線通信装置数情報に含まれる時刻の当該無線通信可能な範囲の道路の交通状況が渋滞しているか否かを判定する第3のステップと、を含むことを特徴とする交通状況判定方法。
【請求項6】
前記第3のステップは、
前記受信した無線通信装置数情報に含まれる前記無線通信装置の数から前記取得した平常時無線通信装置数を減算するステップと
前記減算した値が第1所定値よりも大きい場合、前記無線通信装置数情報に含まれる時刻の当該無線通信可能な範囲の道路の交通状況が渋滞していると判定するステップと、を含むことを特徴とする請求項5に記載の交通状況判定方法。
【請求項7】
前記記憶装置には、前記無線通信可能な範囲の道路が渋滞している場合の前記無線通信可能な範囲に位置する前記無線通信装置の数が渋滞時無線通信装置数として予め記憶され、
前記方法は、
前記プロセッサが、前記渋滞時無線通信装置数の時間帯と同じ時間帯の前記平常時無線通信装置数を前記記憶装置から取得する第4のステップと、
前記プロセッサが、前記渋滞時無線通信装置数から前記取得した前記平常時無線通信装置数を減算した減算値を算出する第5のステップと、
前記プロセッサが、前記記憶装置に記憶されたすべての渋滞時無線通信装置数に対して前記減算値を算出する第6のステップと、
前記プロセッサが、前記算出された減算値のうち最も小さい減算値を前記第1所定値に設定する第7のステップと、を含むことを特徴とする請求項6に記載の交通状況判定方法。
【請求項8】
前記プロセッサが、前記第1所定値よりも小さい値を第2所定値として設定する第8のステップと、
前記プロセッサが、前記受信した無線通信装置数情報に含まれる前記無線通信装置の数から前記取得した平常時無線通信装置数を減算した値が前記第2所定値よりも大きく前記第1所定値よりも小さい場合、当該無線通信可能な範囲の道路の交通状況が渋滞する可能性があると判定する第9のステップと、を含むことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の交通状況判定方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【公開番号】特開2012−133733(P2012−133733A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287528(P2010−287528)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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