人の基本的な動作を数えるシステムおよび方法
人の基本的な移動を計数すべく、容器および前記容器を前記人の体の一部に堅牢に取り付ける固定手段を含むシステムであって、
− 少なくとも1個の測定軸を有する磁力計と、
− 個々の測定軸について、少なくとも1個の時間的マスクと前記マスクの期間にわたる前記測定軸に沿った信号の成分とのスカラー積を求めるべく適合された計算手段と
を含むシステム。
− 少なくとも1個の測定軸を有する磁力計と、
− 個々の測定軸について、少なくとも1個の時間的マスクと前記マスクの期間にわたる前記測定軸に沿った信号の成分とのスカラー積を求めるべく適合された計算手段と
を含むシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の基本的な移動、例えばプール内のスイマーの往復移動または反転、あるいは所与のコースで競走するサイクリストまたはランナーの往復移動を数えるシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人の基本的な移動は、人の方向または目標の変更、あるいはランナーまたはサイクリストによるスタジアム内でのラップ等の反復周期的コースの周回走行、あるいはスイマーによるプール内での往復移動に対応させることができる。検出される信号は基本的な移動を反映していなければならない。
【発明の概要】
【0003】
例示的なアプリケーションにおいて、多くのランナーは、スタジアムのトラックまたはコースの周回を連続的に反復する1回のレースの間に自分が足で、または自転車で走行した距離を正確に評価できるようになりたいと望んでいる。一般に、走行した周回数は関係者が把握しており、選手にその距離を伝えている。走行した周回数を頭の中で数えながら選手がスポーツ運動を実行するのは必ずしも容易ではない。従って走行した周回数を自動的に数えることで全走行距離を求めることが可能になる。同様に、プールで一連の距離を泳いでいるスイマーにとって基本的な移動は、折り返すまでの距離と逆方向の距離に該当する。
【0004】
例えば足の運動解析システムに関する文献である米国特許第6513381B2号明細書、または物体の反復動作の期間または頻度の測定方法に関する文献である仏国特許出願公開第2912813A1号明細書に記述されているように、この種の移動距離の評価を可能にするシステムが存在し、移動体に装着または搭載された磁力計の軸への地球磁場の射影の少なくとも1個の可変要素が測定され、測定値に対応する信号の期間または周波数が検出される。
【0005】
例示的な別のアプリケーションにおいて、多くのスイマーは水泳競技において自分が泳いだ距離を正確に評価できるようになりたいと望んでいる。泳いだ距離または往復移動の回数を数えなければならないのは厄介であり、間違うリスクが削減できず、且つ上級スイマーにとって妨げとなって成績を制限する恐れがある。
【0006】
例えば米国特許出願公開第2007/0293374A1号明細書に記述される、プール内でのスイマーの往路方向または復路方向の関数として変化する信号を与えるコンパスセンサを含み、容器内に収納され固定手段によってスイマーに取り付けられるプール往復移動のカウンタに関係するような、泳いだ距離を自動的に計数可能にするシステムが存在している。スイマーの往復移動の当該カウンタは、容器と、当該容器をスイマーに取り付ける手段と、容器内に収納されていてプール内でのスイマーの往路または復路方向の関数として変化する出力信号を与えるコンパスセンサと、コンパスセンサの出力信号においてスイマーの方向転換を識別してスイマーの往復移動を計数すべくプログラムされたプロセッサとを含んでいる。このカウンタはまた、当該カウンタを使用しているスイマーの泳ぎの動作を計数できる。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このようなカウンタの精度には限界がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、人の基本的な移動、例えばプール内でのスイマーの往復移動を数える、コストが抑制され且つ精度が向上したシステムを提案することである。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、人の基本的な移動を計数すべく、容器および前記容器を前記人の体の一部に堅牢に取り付ける固定手段を含むシステムを提案する。当該システムは、
− 少なくとも1個の測定軸を有する磁力計と、
− 少なくとも1個の測定軸について、少なくとも1個の時間的マスクと前記マスクの期間にわたる測定軸に沿った信号の成分とのスカラー積を求めるべく適合された計算手段と
を含んでいる。
【0010】
従って、本発明の一態様によるシステムを装備した人の基本的な移動の発生を、向上した精度をもって数えることが可能である。
【0011】
一実施形態において、本システムは更に、前記基本的な移動の間に前記磁力計が与える測定値に基づいて、各測定軸について前記時間的マスクを決定する手段を含んでいる。
【0012】
従って、基本的な移動の間に、磁力計により実行された測定の記録に基づいて、時間的マスクをユーザーが判断してもよい。
【0013】
一実施形態によれば、前記基本的な移動は、例えば競走しているサイクリストまたはランナーのトラックラップ等、周期的移動の周回である。
【0014】
従って、本システムは、ユーザーに対し、セッションの間に当人が走行したラップの数または実際に走行した距離を自動的に知らせることができる。
【0015】
一実施形態において、各測定軸について、前記時間的マスクが予め決定されている。
【0016】
従って、基本的な移動に対応する信号を記録することによりシステムを較正する必要がない。
【0017】
例えば、本システムは、直線コースを折り返して逆向きに再び走行する人の反転を検出すべく適合されていて、各測定軸について、当該マスクは、第1の定数値Nである第1の期間T1の第1のフェーズと、これに続く、値が0である第2の期間T2の遷移の第2のフェーズと、これに続く、第1の定数値Nの逆符号に等しい定数値−Nである、第1の期間T1の第3のフェーズと、前記マスクの期間2T1+T2にわたる測定軸に沿った信号の成分とを含んでいる。
【0018】
前記第1の定数値Nは1に等しくてよいため、計算回数が抑制される。
【0019】
マスクの前記第2の期間T2は固定されてもよく、且つ
【数1】
であり、Tminは前記直線コースを走行するための最小期間以下である閾値時間を表す。
【0020】
従って、当該マスクは、時間的スカラー積の計算中および当該スカラー積を正規化する間において、方向が変化する時点にスパイクを出現させる。遷移フェーズT2により、方向転換の過渡的なフェーズに対応する信号のマスキングが可能になる。水泳の場合、プール内でのスイマーの反転を考慮してマスクのサイズが適合されている。
【0021】
例えば、マスクの前記第2の期間T2は0〜Tmin/2の範囲にある。
【0022】
一実施形態において、当該マスクの前記第2の期間T2は時間の関数として増大していて、前記計算手段は、考慮対象である各測定軸上の前記スカラー積を成分とするベクトルの第1のノルムを計算すると共に前記第1のノルムが閾値に関して相対位置を変えた場合に反転を検出すべく適合されている。
【0023】
従って、マスクの開始に関連付けられた信号に対応する特定の方向がメモリに保存される。
【0024】
例えば、水泳に適合されたシステムの場合、スイマーの可能な移動が往路と復路の2種類だけであり、体の面をうつ伏せから仰向けに切り替えない場合に検出がより強化される。
【0025】
一実施形態によれば、前記計算手段は、T2が固定されている場合、前記スカラー積を成分とするベクトルの第2のノルムを計算すると共に前記第2のノルムが閾値を超えた場合に人の反転を検出すべく適合されている。
【0026】
この検出は、第1のスライディングウインドウにわたりベクトルの前記第2のノルムの極大値を検出する条件を追加することにより精度が向上できる。
【0027】
従って、人の反転を容易に検出することが可能である。
【0028】
例えば、前記計算手段は、
− 前記第2のノルムが前記閾値を超えたことが検出されたならば前記第1のスライディングウインドウを生成し、
− 前記スライディングウインドウにわたる前記第2のノルムの当該極大値の最大値および反転に対応する前記最大極大値に関連付けられた時点を決定し、
− ある時間幅にわたり前記第1のスライディングウインドウを無効化し、
− 前記期間の後で前記第2のノルムが閾値を下回った場合に前記スライディングウインドウを再有効化すべく
適合されている。
【0029】
従って、検出誤差が極めて最小限に抑えられ、検出精度が向上する。
【0030】
好都合なことに、当該計算手段は、前記第2のノルムが前記閾値を超えた瞬間において、前記スカラー積の前記最大成分の符号が先の反転の間における同一成分の符号と異なる場合に人の反転を検出すべく適合されている。
【0031】
実際に、この検出は、前記スカラー積の最大成分の符号に対する制約を追加することにより更に精度が向上する。時点tにおける最大成分は、この時点での最大振幅の絶対値を示す成分である。人の反転は従って、前記第2のノルムが前記閾値を超えた時点において、前記最大成分の符号が先の反転の間における同一成分の符号と異なる場合に検出される。
【0032】
このようなノルムを用いることで、少なくとも2個の測定軸が用いられる場合、2また3項目の情報を単に1項目にすることにより処理すべき情報の量を減少させることができる。従って計算負荷が軽減される。
【0033】
一実施形態によれば、前記閾値は、当該閾値が関係するセンサの測定範囲、および/または基本的な移動シーケンスに対するセンサまたはセンサ群の信号の記録のデータベースに依存し、および/または自動的に。
【0034】
好適には、前記ノルムは、スカラー積成分の絶対値の加重和で代替される。加重した重みのベクトルは正規化されて、測定軸に沿って前記スカラー積のエネルギーを分布させることができる。これらの各軸について、前記スカラー積のエネルギーは、サイズが基本的な移動が実現するための最短期間より小さい第2のスライディングウインドウにわたり計算される。
【0035】
更に、前記第2のスライディングウインドウの期間は、前記直線コースを走行するための最短期間に依存する。
【0036】
一実施形態において、前記方向の変更は、直線コースを折り返して逆向きに再び走行する際の反転であって、前記第1の期間T1は、前記直線コースを走行するための最短期間に依存する。この最短期間はまた、前記直線の長さに依存する場合がある。
【0037】
従って、特に水泳動作、加速および磁気かく乱に起因する阻害要因は、重要な事象、すなわち反転を消去することなく最小化される。
【0038】
一実施形態によれば、前記計算手段は、前記磁力計が実行した測定よりも低い周波数で前記スカラー積を計算すべく適合されている。
【0039】
従って実行される計算の回数が抑制される。
【0040】
一実施形態によれば、本システムは更に加速度計を含み、前記計算手段は、前記加速度計の各測定軸について、第3のスライディングウインドウにわたり前記測定軸について計量された値の標準偏差を計算すべく適合されている。
【0041】
第3のスライディングウインドウの期間は、基本的な運動(陸上レースの場合はストライド、水泳の場合は頭部の動き)に要する時間と反転の期間の間にある。例えば、水泳の場合、この値は1秒〜5秒の範囲にある。
【0042】
従って、本システムの信頼性は、後者がユーザーの動きの第2のインジケータを含むため、精度が向上する。
【0043】
例えば、前記計算手段は更に、前記標準偏差の少なくとも1個の値が時間的に変化した場合に行動の変化を検出すべく適合されている。
【0044】
実際に、特定の数の連続的な評価を行なう間に、計算された標準偏差の少なくとも1個の値が変化したならば、当該人は例えば反転を行なった等、行動を変えている。
【0045】
従って、本システムは、水泳に適合されたシステムの場合には、泳法の変更または反転等の行動の変化をより良好に検出することができる。
【0046】
一実施形態において、前記計算手段は、考慮対象である各測定軸における前記標準偏差を成分とするベクトルの第3のノルムを計算すべく適合されている。
【0047】
従って、処理すべき情報の項目数が抑制されるため計算負荷が軽減される。
【0048】
例えば、前記計算手段は、前記第3のノルムの変動の絶対値が閾値を超え、且つ前記第3のノルムの変動の絶対値は極大値である場合に行動の変化を検出すべく適合されている。
【0049】
従って、変形例として、ユーザーの行動の変化、例えば直線から反転への切り替えもまた検出される。
【0050】
一実施形態によれば、前記計算手段は、基本的な移動の検出結果を比較することにより、基本的な移動を検出すべく適合されており、これらは複数の前記マスクに基づいて並列に実行される。
【0051】
従って、多様な検出方法を並列化することにより検出効果を向上させ、結果を統合することが可能である。
【0052】
一実施形態によれば、本システムは、プール内でのスイマーの往復移動を計数すべく適合されていて、前記容器は防水性を有し、前記基本的な移動はプールの長さ分の移動、続いて反転、更に続いて逆方向の前記長さ分の移動である。
【0053】
本システムは特にそのような使用に適している。移動回数は従って、検出された反転回数に1を加えた値である。
【0054】
前記第1の期間T1は、25メートル長のプールの場合は2秒〜10秒の範囲にあり、50メートル長のプールの場合は2秒〜20秒の範囲にある。
【0055】
従って、反転を除外せずに、約1秒間にわたる水泳動作が消去される(50mの世界記録は20秒台である)。
【0056】
第1のマスクの前記第2の期間T2は0〜5秒の範囲にあってよい。
【0057】
従って、プール内での逆方向の移動と移動の間の反転の期間を考慮している。
【0058】
加重係数が3成分に従うエネルギー分布を表すように、前記第2のスライディングウインドウの期間の選択を前記第1の期間T1の選択により促すことが可能である。
【0059】
例えば、前記第2のスライディングウインドウの期間は、25メートル長のプールの場合2秒〜10秒の範囲にあって50メートル長のプールの場合2秒〜20秒の範囲にある。
【0060】
前記第3のスライディングウインドウの期間は1〜5秒の範囲にあってよい。
【0061】
例えば、本システムが配置される前記体部分は頭部である。
【0062】
従って、センサはスイマーのゴーグルに組み込むことができる。
【0063】
一実施形態によれば、前記閾値は、当該閾値が関係するセンサの測定範囲、および/または水泳シーケンスを測定するセンサまたはセンサ群の信号を記録するデータベース、および/または当該水泳シーケンスの間にスイマーのうつ伏せ/仰向けの位置の変化が無ければ自動的に依存する。
【0064】
本発明は、完全に非限定的な例により記述され、且つ添付の図面に示すいくつかの実施形態を調べることにより理解が深まろう。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一態様によるシステムの実施形態に模式的に示す。
【図2】自転車による建築の第1ラップを記録することにより測定される例示的なマスクを示す。
【図3】例示的な所定のマスクを示す。
【図4】水泳の場合における、本発明の一態様による例示的な実施形態を示す。
【図5】水泳の場合における、本発明の一態様による例示的な実施形態を示す。
【図6】水泳の場合における、本発明の一態様による例示的な実施形態を示す。
【図7】水泳の場合における、本発明の一態様による例示的な実施形態を示す。
【図8】水泳の場合における、本発明の一態様による例示的な実施形態を示す。
【図9】水泳の場合における、本発明の一態様による例示的な実施形態を示す。
【図10】水泳の場合における、本発明の一態様による例示的な実施形態を示す。
【0066】
全ての図面を通じて同一参照符号を有する要素は類似している。
【発明を実施するための形態】
【0067】
図1に示すように、人の基本的な移動を数えるシステムは、少なくとも1個の測定軸を有する磁力計、この場合は3軸磁力計3Mを含む容器BTを含んでいる。容器BTは、この場合では弾性固定ストラップCEFにより、前記人の体の一部に固定すべく適合されている。変型例として、他の任意の固定手段も適している。
【0068】
容器BTは更に、少なくとも1個の測定軸を有する任意の加速度計、この場合3軸加速度計3Aを含んでいる。3軸磁力計3Mの各測定軸について、計算モジュールCALCが、少なくとも1個のマスクと前記マスクの期間にわたる測定軸に沿った信号の成分とのスカラー積を求める。
【0069】
オプションの判定モジュールにより、各測定軸について、基本的な移動の間に磁力計3Mが与える測定値に基づいてマスクを決定することが可能になる。特に一組の制御ボタンEBCが、ユーザーがマスクの記録の開始および終了を決定するのを支援する。変型例として、マスクは予め決定されていてよい。
【0070】
例えば容器に取り付けられた表示手段AFFにより、結果を表示することが可能になる。変型例として、本システムが水泳に適合されていてスイマーのゴーグルに固定されている場合、表示をイヤホンの音声メッセージで代替することができる。
【0071】
計算モジュールCALCは、0.5Hz以上のサンプリング周波数でセンサから受信された信号をシャノンの条件に準拠しながらサンプリングすべく適合されている。
【0072】
図2に、矩形の建物の周囲を自転車でラップする間に、磁力計3Mの各測定軸により送信された信号の記録に対応するマスクの記録を示し、これに自転車による建築周囲の3回の連続的なラップに対応する信号が続いている。マスクに対応する第1のラップの側に出現している振動または衝撃(磁力計3Mの信号の大きい変動を伴う)により、マスク記録シーケンス(開始および終了)を区切ることが可能になる。この振動はまた、自転車のラップ(シーケンスの開始および終了)を数えるために用いる記録シーケンスを区切るようにその側に出現している。この振動は、小幅なジャンプまたは押しボタンの押下で代替することができる。これに続いてマスクを認識することにより3個の連続的なラップ、すなわち第2のラップ、第3のラップおよび第4のラップが検出される。
【0073】
図3に、各軸に対するスカラー積の計算に適用された所定のマスクを示し、当該マスクは、時点0からt1の間における第1の定数値Nの第1の期間T1の第1のフェーズと、これに続く時点t1からt2までの値ゼロの第2の期間T2の遷移の第2のフェーズと、これに続く第1の時点t2とt3の間における第1の定数値Nの逆符号に等しい定数値−Nの期間T1の第3のフェーズを含んでいる。Nは、例えば1に等しくてよい。
【0074】
以下の記述において、例えば、本システムはプール内でのスイマーの往復移動を計数すべく適合されていて、防水容器BTを備え、基本的な移動がプール内での反転である。計算モジュールの動作方法を特に記述している。
【0075】
Bc(tk)=Bc(kTe)(cは測定軸を表す添え字)と表記された磁力計3Mの信号は、時点tkにおけるサンプリング間隔Teをもって定期的にサンプリングされる。
【0076】
図4に、磁力計3Mの3測定軸により送信された3個の生信号のシステムの例を、プール内を泳ぐ際に往路から復路への切り替えを示す矩形の基準信号Refと共に示す。
【0077】
寸法(2T1+T2)/Teおよび期間2T1+T2を有し、次式で定義されるマスクと呼ぶベクトルMを考える。
0≦i<T1/Teの場合M(i)=N
T1/Te≦i<(T1+T2)/Teの場合M(i)=0
(T1+T2)/Te/Te≦i<(2T1+T2)/Teの場合M(i)=−N
【0078】
c軸上のスカラー積は次式で定義される。
【数2】
【0079】
時間T1は、特に、本システムがスイマーの頭部に固定されている場合に、水泳の周期的な移動をフィルタリングするように選択されている。従って、2または3回の頭部の運動より大きくなければならない。
【0080】
例えば、長さ25mのプールの場合はT1=8秒であり、25mプールを泳ぐ世界記録は10秒である。
【0081】
この値は、より良いフィルタリングを得るためにより長い距離に増やされる。
【0082】
時間T2は、当該期間中マスク値がゼロに等しいため、無視フェーズに対応する。この無視により、特に個人個人または泳法を変更する間、一般に運動が再現不可能である反転の間の過渡的期間を無視することが可能になる。
【0083】
一実施形態において、T2は可変的であってよく、各時間間隔で1個のサンプルだけ増加する。従って、スイマーが泳ぎ始めたときの信号の開始時点で取られた基準時点での磁場の値と常に比較される。基準が正しく選択されていれば、検出の安定性が向上する。スカラー積は、うつ伏せと仰向けの切り替えが無ければ、2値を有するノッチ形状を有する。計算モジュールCALCは次いで、考慮対象である各測定軸上の前記スカラー積を成分とするベクトルの第1のノルムを計算すると共に前記第1のノルムが閾値に関して相対位置を変えた場合に反転を検出すべく適合される。
【0084】
別の実施形態において、マスクの前記第2の期間T2は固定されてもよく、
【数3】
であり、Tminは閾値時間を表す。マスクの第2の期間T2は例えば0〜Tmin/2の範囲にある。
【0085】
計算のコストを抑制すべく、磁力計の軸上のスカラー積をD個のサンプル毎に計算してもよい。1秒間の時間間隔での計算は水泳の場合、先験的に充分である。例えば、100Hzのサンプリング周波数の場合、25mのプールに対してD=100(毎秒1ポイント)とすることが可能である。
【0086】
この値は、より大きいプール(またはより遅いスイマー)の場合は増やし、小さいプール(またはより速いスイマー)の場合は減らすことができる。これにより、長さに関らず、長さ毎に等しい数のサンプルを得ることが可能になる。
【0087】
計算モジュールは、T2が可変であるかまたはT2が固定されている場合の各々について、考慮対象である各測定軸上のスカラー積を成分とするベクトルの第1のノルムおよび第2のノルムを計算することができる。
【0088】
第1のノルムおよび第2のノルムは、例えば、各々次式のうち1個により定義することができる。
【数4】
【0089】
加重係数αcもまた、3測定軸に沿ったスカラー積のエネルギーの分布の記述を可能にすべく定義することができる。この場合、各成分の加重係数は、スカラー積の全エネルギーにより正規化された当該成分のエネルギーに対応する。これら各種のエネルギーは、期間がT1に等しくなるように選ばれた第2のスライディングウインドウにわたり計算される。
【0090】
図5に、図4の測定信号に対応する3測定軸に関して、T2変数について、3個の時間的スカラー積の例示的な計算を示す。
【0091】
T2が可変的な場合、第1のノルムが閾値に対する相対位置を、より大きくまたは低く変えたときにスイマーの反転を検出することができる。実際に、計算モジュールCALCは、第1のノルムが閾値より低い場合にスイマーは第1の方向にプール内を移動し、第1のノルムが閾値より大きい場合にスイマーはプール内を逆方向に移動する両方の場合における閾値のいずれの側でも遷移を判定することができる。
【0092】
図6に、T2が可変である図5の場合におけるノルム2の例示的な適用を示す。この例で選択された閾値は約250(システムへの入力として単位は用いておらず、アナログ/デジタル変換器によりデジタル化された信号の整数値が利用できるため、センサの較正をせずに済む)。閾値のいずれかの側でのノルム2を表す曲線による遷移は反転検出に対応しており、長さの移動回数は反転回数に1を加えた値に等しい。従って、2回の連続的な反転の間に、各々の長さの移動を実行するのに要した時間を計算することも可能である。
【0093】
T2が固定されている場合、第2のノルムが閾値を超えたとき、および更に精度が向上した方法では、スライディングウインドウにわたる極大値であるときに、スイマーの反転を検出することができる。
【0094】
計算モジュールCALCはまた、
− 第2のノルムが第1の閾値を超えたことを検出し、
− 第2のノルムが閾値を超えたことが検出されたならば第1のスライディングウインドウを生成し、
− 反転に対応する、スライディングウインドウにわたる第2のノルムの極大値の最大値、および前記最大極大値に関連付けられた時点を決定し、
− ある時間幅にわたり第1のスライディングウインドウを無効化し、
− 前記期間の後、第2のノルムが恐らくは他の閾値とは異なるかまたは等しい閾値を下回った場合に第1のスライディングウインドウを再有効化すべく適合させることができる。
【0095】
誤報の数を減らするため、計算モジュールCALCはまた、スカラー積の最大成分の符号に制約を含めるべく適合されていてよい。従って、スイマーの反転が検出されるのは、第2のノルムが第1の閾値を超えた瞬間における最大成分の符号が先の反転の間における同一成分の符号と異なる場合だけである。
【0096】
図7に、T2が固定されている場合に、図4による信号に対して、磁力計3Mの3測定軸に関する3個の時間的スカラー積の計算を示す。
【0097】
図8において、T2が固定されている場合における、図7の時間的スカラー積に対するノルム1の適用を示し、スパイクはプール内での移動の方向転換を表す。この場合に選択された閾値は約30に等しい。
【0098】
そのような閾値の選択は、反転の検出を可能にするように行なわなければならない。
【0099】
これらは、以下の各種方法で決定することができる。
− 先験的に、センサの測定範囲の関数として。
− アプリケーションの変動要素、すなわちプールの向き、スイマーの頭部に装着されたセンサの向き、泳法、スイマー、地理位置情報などの変動性を考慮に入れた各種の水泳シーケンスの間におけるセンサ信号のデータベースに関して最適化された方法で。これらのシーケンスの場合、反転は手動で注記される。この最適化は、他のステップと合わせて行なわれる。検出の確率と誤報の確率の間の最適な妥協点を許す閾値が選択される。
− シーケンスの間にうつ伏せと仰向けの変化が無ければ各水泳シーケンスに対して自動的に。実際に、この場合、ノッチ(T2が可変な場合)およびスパイク(T2が固定されている場合)の値は、当該値が基本的にプールおよびセンサの向きに依存するためシーケンス全体を通じて定数に近い。従って、例えば最初の100秒にわたり、第1のノルムの最大値を3で除算したものを選択することが可能である。T2が可変の場合、最初の100秒にわたる平均値を取ることも可能である。
【0100】
T2が可変の場合、閾値の逆側の点の数が所定の数、例えば10毎に間引いて数える点の数を超えない限り、計算モジュールCALCはスイマーが依然としてプール内で同じ方向に移動していて、未だ反転を実行していないと見なす。例えば、D=100且つサンプリング周波数がFe=100Hzならば、この点の数は10に等しい。
【0101】
本システムが加速度計3Aのような加速度計を含んでいる場合、計算モジュールCALCは、前記加速度計の各測定軸について、期間Tのスライディングウインドウにわたり前記測定軸上で測定された値の標準偏差を計算することができる。従って、計算モジュールCALCは、前記標準偏差のうち1個の値が時間的に変化したならば、基本的な移動、この場合はスイマーの反転を検出することができる。
【0102】
図9に、図4の3軸磁力計3Mにより送信された信号と同一の移動について3軸加速度計3Aが送信した3軸測定値の例を示し、図10に計算された標準偏差を示す。
【0103】
計算モジュールCALCは、考慮に入れた各測定軸上の標準偏差を成分とするベクトルの第3のノルムを計算することができる。
【0104】
第3のノルムは、例えば、先に第1および第2のノルムを定義可能であったものと同一の式の1個により定義することができる。
【0105】
図11に、各測定軸上の標準偏差を成分とするベクトルの第3のノルムの計算を示す。
【0106】
従って、計算モジュールCALCは、第3のノルムの変動の絶対値が閾値を超え、且つ第3のノルムの変動の絶対値が極大値である場合に行動の変化を検出することができる。
【0107】
計算モジュールはまた、いくつかのマスクに基づいて並列に実行される基本的な移動の検出を比較することにより、基本的な移動を検出すべく適合することができる。
【0108】
この融合原理は、時間的近傍とも呼ばれるスライディングウインドウを選択することであり、全てのスキームにより検出された反転をカタログ化することが可能である。その後で、情報のこれらの項目を融合して、数値を有する単一の時点が得られる。選択戦略は、以下の通りであってよい。
− 最大値を有する反転の時点
− 時点の平均
− 時点の中央値
− 重みとしての数値を有する時点の重心。
【0109】
融合後に反転の時点を選択した後で、必要に応じてその値は、例えば融和された反転の値の和として決定される。別の可能な選択は、最大値を保持することである。この値は、融合の後で起こり得る反転の閾値設定を再び行なうことが可能なため、有用である。融合後の閾値設定により、全体的な検出の堅牢性を向上させることが可能になる。この閾値設定により、たいていは誤検出である低い値の反転を除外することが可能になる。各経路で誤報に余り煩わされないために、高過ぎない閾値を各測定経路に配置し、且つその後で融合後に別の閾値設定を最適化のために実行することも推奨される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の基本的な移動、例えばプール内のスイマーの往復移動または反転、あるいは所与のコースで競走するサイクリストまたはランナーの往復移動を数えるシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人の基本的な移動は、人の方向または目標の変更、あるいはランナーまたはサイクリストによるスタジアム内でのラップ等の反復周期的コースの周回走行、あるいはスイマーによるプール内での往復移動に対応させることができる。検出される信号は基本的な移動を反映していなければならない。
【発明の概要】
【0003】
例示的なアプリケーションにおいて、多くのランナーは、スタジアムのトラックまたはコースの周回を連続的に反復する1回のレースの間に自分が足で、または自転車で走行した距離を正確に評価できるようになりたいと望んでいる。一般に、走行した周回数は関係者が把握しており、選手にその距離を伝えている。走行した周回数を頭の中で数えながら選手がスポーツ運動を実行するのは必ずしも容易ではない。従って走行した周回数を自動的に数えることで全走行距離を求めることが可能になる。同様に、プールで一連の距離を泳いでいるスイマーにとって基本的な移動は、折り返すまでの距離と逆方向の距離に該当する。
【0004】
例えば足の運動解析システムに関する文献である米国特許第6513381B2号明細書、または物体の反復動作の期間または頻度の測定方法に関する文献である仏国特許出願公開第2912813A1号明細書に記述されているように、この種の移動距離の評価を可能にするシステムが存在し、移動体に装着または搭載された磁力計の軸への地球磁場の射影の少なくとも1個の可変要素が測定され、測定値に対応する信号の期間または周波数が検出される。
【0005】
例示的な別のアプリケーションにおいて、多くのスイマーは水泳競技において自分が泳いだ距離を正確に評価できるようになりたいと望んでいる。泳いだ距離または往復移動の回数を数えなければならないのは厄介であり、間違うリスクが削減できず、且つ上級スイマーにとって妨げとなって成績を制限する恐れがある。
【0006】
例えば米国特許出願公開第2007/0293374A1号明細書に記述される、プール内でのスイマーの往路方向または復路方向の関数として変化する信号を与えるコンパスセンサを含み、容器内に収納され固定手段によってスイマーに取り付けられるプール往復移動のカウンタに関係するような、泳いだ距離を自動的に計数可能にするシステムが存在している。スイマーの往復移動の当該カウンタは、容器と、当該容器をスイマーに取り付ける手段と、容器内に収納されていてプール内でのスイマーの往路または復路方向の関数として変化する出力信号を与えるコンパスセンサと、コンパスセンサの出力信号においてスイマーの方向転換を識別してスイマーの往復移動を計数すべくプログラムされたプロセッサとを含んでいる。このカウンタはまた、当該カウンタを使用しているスイマーの泳ぎの動作を計数できる。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このようなカウンタの精度には限界がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、人の基本的な移動、例えばプール内でのスイマーの往復移動を数える、コストが抑制され且つ精度が向上したシステムを提案することである。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、人の基本的な移動を計数すべく、容器および前記容器を前記人の体の一部に堅牢に取り付ける固定手段を含むシステムを提案する。当該システムは、
− 少なくとも1個の測定軸を有する磁力計と、
− 少なくとも1個の測定軸について、少なくとも1個の時間的マスクと前記マスクの期間にわたる測定軸に沿った信号の成分とのスカラー積を求めるべく適合された計算手段と
を含んでいる。
【0010】
従って、本発明の一態様によるシステムを装備した人の基本的な移動の発生を、向上した精度をもって数えることが可能である。
【0011】
一実施形態において、本システムは更に、前記基本的な移動の間に前記磁力計が与える測定値に基づいて、各測定軸について前記時間的マスクを決定する手段を含んでいる。
【0012】
従って、基本的な移動の間に、磁力計により実行された測定の記録に基づいて、時間的マスクをユーザーが判断してもよい。
【0013】
一実施形態によれば、前記基本的な移動は、例えば競走しているサイクリストまたはランナーのトラックラップ等、周期的移動の周回である。
【0014】
従って、本システムは、ユーザーに対し、セッションの間に当人が走行したラップの数または実際に走行した距離を自動的に知らせることができる。
【0015】
一実施形態において、各測定軸について、前記時間的マスクが予め決定されている。
【0016】
従って、基本的な移動に対応する信号を記録することによりシステムを較正する必要がない。
【0017】
例えば、本システムは、直線コースを折り返して逆向きに再び走行する人の反転を検出すべく適合されていて、各測定軸について、当該マスクは、第1の定数値Nである第1の期間T1の第1のフェーズと、これに続く、値が0である第2の期間T2の遷移の第2のフェーズと、これに続く、第1の定数値Nの逆符号に等しい定数値−Nである、第1の期間T1の第3のフェーズと、前記マスクの期間2T1+T2にわたる測定軸に沿った信号の成分とを含んでいる。
【0018】
前記第1の定数値Nは1に等しくてよいため、計算回数が抑制される。
【0019】
マスクの前記第2の期間T2は固定されてもよく、且つ
【数1】
であり、Tminは前記直線コースを走行するための最小期間以下である閾値時間を表す。
【0020】
従って、当該マスクは、時間的スカラー積の計算中および当該スカラー積を正規化する間において、方向が変化する時点にスパイクを出現させる。遷移フェーズT2により、方向転換の過渡的なフェーズに対応する信号のマスキングが可能になる。水泳の場合、プール内でのスイマーの反転を考慮してマスクのサイズが適合されている。
【0021】
例えば、マスクの前記第2の期間T2は0〜Tmin/2の範囲にある。
【0022】
一実施形態において、当該マスクの前記第2の期間T2は時間の関数として増大していて、前記計算手段は、考慮対象である各測定軸上の前記スカラー積を成分とするベクトルの第1のノルムを計算すると共に前記第1のノルムが閾値に関して相対位置を変えた場合に反転を検出すべく適合されている。
【0023】
従って、マスクの開始に関連付けられた信号に対応する特定の方向がメモリに保存される。
【0024】
例えば、水泳に適合されたシステムの場合、スイマーの可能な移動が往路と復路の2種類だけであり、体の面をうつ伏せから仰向けに切り替えない場合に検出がより強化される。
【0025】
一実施形態によれば、前記計算手段は、T2が固定されている場合、前記スカラー積を成分とするベクトルの第2のノルムを計算すると共に前記第2のノルムが閾値を超えた場合に人の反転を検出すべく適合されている。
【0026】
この検出は、第1のスライディングウインドウにわたりベクトルの前記第2のノルムの極大値を検出する条件を追加することにより精度が向上できる。
【0027】
従って、人の反転を容易に検出することが可能である。
【0028】
例えば、前記計算手段は、
− 前記第2のノルムが前記閾値を超えたことが検出されたならば前記第1のスライディングウインドウを生成し、
− 前記スライディングウインドウにわたる前記第2のノルムの当該極大値の最大値および反転に対応する前記最大極大値に関連付けられた時点を決定し、
− ある時間幅にわたり前記第1のスライディングウインドウを無効化し、
− 前記期間の後で前記第2のノルムが閾値を下回った場合に前記スライディングウインドウを再有効化すべく
適合されている。
【0029】
従って、検出誤差が極めて最小限に抑えられ、検出精度が向上する。
【0030】
好都合なことに、当該計算手段は、前記第2のノルムが前記閾値を超えた瞬間において、前記スカラー積の前記最大成分の符号が先の反転の間における同一成分の符号と異なる場合に人の反転を検出すべく適合されている。
【0031】
実際に、この検出は、前記スカラー積の最大成分の符号に対する制約を追加することにより更に精度が向上する。時点tにおける最大成分は、この時点での最大振幅の絶対値を示す成分である。人の反転は従って、前記第2のノルムが前記閾値を超えた時点において、前記最大成分の符号が先の反転の間における同一成分の符号と異なる場合に検出される。
【0032】
このようなノルムを用いることで、少なくとも2個の測定軸が用いられる場合、2また3項目の情報を単に1項目にすることにより処理すべき情報の量を減少させることができる。従って計算負荷が軽減される。
【0033】
一実施形態によれば、前記閾値は、当該閾値が関係するセンサの測定範囲、および/または基本的な移動シーケンスに対するセンサまたはセンサ群の信号の記録のデータベースに依存し、および/または自動的に。
【0034】
好適には、前記ノルムは、スカラー積成分の絶対値の加重和で代替される。加重した重みのベクトルは正規化されて、測定軸に沿って前記スカラー積のエネルギーを分布させることができる。これらの各軸について、前記スカラー積のエネルギーは、サイズが基本的な移動が実現するための最短期間より小さい第2のスライディングウインドウにわたり計算される。
【0035】
更に、前記第2のスライディングウインドウの期間は、前記直線コースを走行するための最短期間に依存する。
【0036】
一実施形態において、前記方向の変更は、直線コースを折り返して逆向きに再び走行する際の反転であって、前記第1の期間T1は、前記直線コースを走行するための最短期間に依存する。この最短期間はまた、前記直線の長さに依存する場合がある。
【0037】
従って、特に水泳動作、加速および磁気かく乱に起因する阻害要因は、重要な事象、すなわち反転を消去することなく最小化される。
【0038】
一実施形態によれば、前記計算手段は、前記磁力計が実行した測定よりも低い周波数で前記スカラー積を計算すべく適合されている。
【0039】
従って実行される計算の回数が抑制される。
【0040】
一実施形態によれば、本システムは更に加速度計を含み、前記計算手段は、前記加速度計の各測定軸について、第3のスライディングウインドウにわたり前記測定軸について計量された値の標準偏差を計算すべく適合されている。
【0041】
第3のスライディングウインドウの期間は、基本的な運動(陸上レースの場合はストライド、水泳の場合は頭部の動き)に要する時間と反転の期間の間にある。例えば、水泳の場合、この値は1秒〜5秒の範囲にある。
【0042】
従って、本システムの信頼性は、後者がユーザーの動きの第2のインジケータを含むため、精度が向上する。
【0043】
例えば、前記計算手段は更に、前記標準偏差の少なくとも1個の値が時間的に変化した場合に行動の変化を検出すべく適合されている。
【0044】
実際に、特定の数の連続的な評価を行なう間に、計算された標準偏差の少なくとも1個の値が変化したならば、当該人は例えば反転を行なった等、行動を変えている。
【0045】
従って、本システムは、水泳に適合されたシステムの場合には、泳法の変更または反転等の行動の変化をより良好に検出することができる。
【0046】
一実施形態において、前記計算手段は、考慮対象である各測定軸における前記標準偏差を成分とするベクトルの第3のノルムを計算すべく適合されている。
【0047】
従って、処理すべき情報の項目数が抑制されるため計算負荷が軽減される。
【0048】
例えば、前記計算手段は、前記第3のノルムの変動の絶対値が閾値を超え、且つ前記第3のノルムの変動の絶対値は極大値である場合に行動の変化を検出すべく適合されている。
【0049】
従って、変形例として、ユーザーの行動の変化、例えば直線から反転への切り替えもまた検出される。
【0050】
一実施形態によれば、前記計算手段は、基本的な移動の検出結果を比較することにより、基本的な移動を検出すべく適合されており、これらは複数の前記マスクに基づいて並列に実行される。
【0051】
従って、多様な検出方法を並列化することにより検出効果を向上させ、結果を統合することが可能である。
【0052】
一実施形態によれば、本システムは、プール内でのスイマーの往復移動を計数すべく適合されていて、前記容器は防水性を有し、前記基本的な移動はプールの長さ分の移動、続いて反転、更に続いて逆方向の前記長さ分の移動である。
【0053】
本システムは特にそのような使用に適している。移動回数は従って、検出された反転回数に1を加えた値である。
【0054】
前記第1の期間T1は、25メートル長のプールの場合は2秒〜10秒の範囲にあり、50メートル長のプールの場合は2秒〜20秒の範囲にある。
【0055】
従って、反転を除外せずに、約1秒間にわたる水泳動作が消去される(50mの世界記録は20秒台である)。
【0056】
第1のマスクの前記第2の期間T2は0〜5秒の範囲にあってよい。
【0057】
従って、プール内での逆方向の移動と移動の間の反転の期間を考慮している。
【0058】
加重係数が3成分に従うエネルギー分布を表すように、前記第2のスライディングウインドウの期間の選択を前記第1の期間T1の選択により促すことが可能である。
【0059】
例えば、前記第2のスライディングウインドウの期間は、25メートル長のプールの場合2秒〜10秒の範囲にあって50メートル長のプールの場合2秒〜20秒の範囲にある。
【0060】
前記第3のスライディングウインドウの期間は1〜5秒の範囲にあってよい。
【0061】
例えば、本システムが配置される前記体部分は頭部である。
【0062】
従って、センサはスイマーのゴーグルに組み込むことができる。
【0063】
一実施形態によれば、前記閾値は、当該閾値が関係するセンサの測定範囲、および/または水泳シーケンスを測定するセンサまたはセンサ群の信号を記録するデータベース、および/または当該水泳シーケンスの間にスイマーのうつ伏せ/仰向けの位置の変化が無ければ自動的に依存する。
【0064】
本発明は、完全に非限定的な例により記述され、且つ添付の図面に示すいくつかの実施形態を調べることにより理解が深まろう。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一態様によるシステムの実施形態に模式的に示す。
【図2】自転車による建築の第1ラップを記録することにより測定される例示的なマスクを示す。
【図3】例示的な所定のマスクを示す。
【図4】水泳の場合における、本発明の一態様による例示的な実施形態を示す。
【図5】水泳の場合における、本発明の一態様による例示的な実施形態を示す。
【図6】水泳の場合における、本発明の一態様による例示的な実施形態を示す。
【図7】水泳の場合における、本発明の一態様による例示的な実施形態を示す。
【図8】水泳の場合における、本発明の一態様による例示的な実施形態を示す。
【図9】水泳の場合における、本発明の一態様による例示的な実施形態を示す。
【図10】水泳の場合における、本発明の一態様による例示的な実施形態を示す。
【0066】
全ての図面を通じて同一参照符号を有する要素は類似している。
【発明を実施するための形態】
【0067】
図1に示すように、人の基本的な移動を数えるシステムは、少なくとも1個の測定軸を有する磁力計、この場合は3軸磁力計3Mを含む容器BTを含んでいる。容器BTは、この場合では弾性固定ストラップCEFにより、前記人の体の一部に固定すべく適合されている。変型例として、他の任意の固定手段も適している。
【0068】
容器BTは更に、少なくとも1個の測定軸を有する任意の加速度計、この場合3軸加速度計3Aを含んでいる。3軸磁力計3Mの各測定軸について、計算モジュールCALCが、少なくとも1個のマスクと前記マスクの期間にわたる測定軸に沿った信号の成分とのスカラー積を求める。
【0069】
オプションの判定モジュールにより、各測定軸について、基本的な移動の間に磁力計3Mが与える測定値に基づいてマスクを決定することが可能になる。特に一組の制御ボタンEBCが、ユーザーがマスクの記録の開始および終了を決定するのを支援する。変型例として、マスクは予め決定されていてよい。
【0070】
例えば容器に取り付けられた表示手段AFFにより、結果を表示することが可能になる。変型例として、本システムが水泳に適合されていてスイマーのゴーグルに固定されている場合、表示をイヤホンの音声メッセージで代替することができる。
【0071】
計算モジュールCALCは、0.5Hz以上のサンプリング周波数でセンサから受信された信号をシャノンの条件に準拠しながらサンプリングすべく適合されている。
【0072】
図2に、矩形の建物の周囲を自転車でラップする間に、磁力計3Mの各測定軸により送信された信号の記録に対応するマスクの記録を示し、これに自転車による建築周囲の3回の連続的なラップに対応する信号が続いている。マスクに対応する第1のラップの側に出現している振動または衝撃(磁力計3Mの信号の大きい変動を伴う)により、マスク記録シーケンス(開始および終了)を区切ることが可能になる。この振動はまた、自転車のラップ(シーケンスの開始および終了)を数えるために用いる記録シーケンスを区切るようにその側に出現している。この振動は、小幅なジャンプまたは押しボタンの押下で代替することができる。これに続いてマスクを認識することにより3個の連続的なラップ、すなわち第2のラップ、第3のラップおよび第4のラップが検出される。
【0073】
図3に、各軸に対するスカラー積の計算に適用された所定のマスクを示し、当該マスクは、時点0からt1の間における第1の定数値Nの第1の期間T1の第1のフェーズと、これに続く時点t1からt2までの値ゼロの第2の期間T2の遷移の第2のフェーズと、これに続く第1の時点t2とt3の間における第1の定数値Nの逆符号に等しい定数値−Nの期間T1の第3のフェーズを含んでいる。Nは、例えば1に等しくてよい。
【0074】
以下の記述において、例えば、本システムはプール内でのスイマーの往復移動を計数すべく適合されていて、防水容器BTを備え、基本的な移動がプール内での反転である。計算モジュールの動作方法を特に記述している。
【0075】
Bc(tk)=Bc(kTe)(cは測定軸を表す添え字)と表記された磁力計3Mの信号は、時点tkにおけるサンプリング間隔Teをもって定期的にサンプリングされる。
【0076】
図4に、磁力計3Mの3測定軸により送信された3個の生信号のシステムの例を、プール内を泳ぐ際に往路から復路への切り替えを示す矩形の基準信号Refと共に示す。
【0077】
寸法(2T1+T2)/Teおよび期間2T1+T2を有し、次式で定義されるマスクと呼ぶベクトルMを考える。
0≦i<T1/Teの場合M(i)=N
T1/Te≦i<(T1+T2)/Teの場合M(i)=0
(T1+T2)/Te/Te≦i<(2T1+T2)/Teの場合M(i)=−N
【0078】
c軸上のスカラー積は次式で定義される。
【数2】
【0079】
時間T1は、特に、本システムがスイマーの頭部に固定されている場合に、水泳の周期的な移動をフィルタリングするように選択されている。従って、2または3回の頭部の運動より大きくなければならない。
【0080】
例えば、長さ25mのプールの場合はT1=8秒であり、25mプールを泳ぐ世界記録は10秒である。
【0081】
この値は、より良いフィルタリングを得るためにより長い距離に増やされる。
【0082】
時間T2は、当該期間中マスク値がゼロに等しいため、無視フェーズに対応する。この無視により、特に個人個人または泳法を変更する間、一般に運動が再現不可能である反転の間の過渡的期間を無視することが可能になる。
【0083】
一実施形態において、T2は可変的であってよく、各時間間隔で1個のサンプルだけ増加する。従って、スイマーが泳ぎ始めたときの信号の開始時点で取られた基準時点での磁場の値と常に比較される。基準が正しく選択されていれば、検出の安定性が向上する。スカラー積は、うつ伏せと仰向けの切り替えが無ければ、2値を有するノッチ形状を有する。計算モジュールCALCは次いで、考慮対象である各測定軸上の前記スカラー積を成分とするベクトルの第1のノルムを計算すると共に前記第1のノルムが閾値に関して相対位置を変えた場合に反転を検出すべく適合される。
【0084】
別の実施形態において、マスクの前記第2の期間T2は固定されてもよく、
【数3】
であり、Tminは閾値時間を表す。マスクの第2の期間T2は例えば0〜Tmin/2の範囲にある。
【0085】
計算のコストを抑制すべく、磁力計の軸上のスカラー積をD個のサンプル毎に計算してもよい。1秒間の時間間隔での計算は水泳の場合、先験的に充分である。例えば、100Hzのサンプリング周波数の場合、25mのプールに対してD=100(毎秒1ポイント)とすることが可能である。
【0086】
この値は、より大きいプール(またはより遅いスイマー)の場合は増やし、小さいプール(またはより速いスイマー)の場合は減らすことができる。これにより、長さに関らず、長さ毎に等しい数のサンプルを得ることが可能になる。
【0087】
計算モジュールは、T2が可変であるかまたはT2が固定されている場合の各々について、考慮対象である各測定軸上のスカラー積を成分とするベクトルの第1のノルムおよび第2のノルムを計算することができる。
【0088】
第1のノルムおよび第2のノルムは、例えば、各々次式のうち1個により定義することができる。
【数4】
【0089】
加重係数αcもまた、3測定軸に沿ったスカラー積のエネルギーの分布の記述を可能にすべく定義することができる。この場合、各成分の加重係数は、スカラー積の全エネルギーにより正規化された当該成分のエネルギーに対応する。これら各種のエネルギーは、期間がT1に等しくなるように選ばれた第2のスライディングウインドウにわたり計算される。
【0090】
図5に、図4の測定信号に対応する3測定軸に関して、T2変数について、3個の時間的スカラー積の例示的な計算を示す。
【0091】
T2が可変的な場合、第1のノルムが閾値に対する相対位置を、より大きくまたは低く変えたときにスイマーの反転を検出することができる。実際に、計算モジュールCALCは、第1のノルムが閾値より低い場合にスイマーは第1の方向にプール内を移動し、第1のノルムが閾値より大きい場合にスイマーはプール内を逆方向に移動する両方の場合における閾値のいずれの側でも遷移を判定することができる。
【0092】
図6に、T2が可変である図5の場合におけるノルム2の例示的な適用を示す。この例で選択された閾値は約250(システムへの入力として単位は用いておらず、アナログ/デジタル変換器によりデジタル化された信号の整数値が利用できるため、センサの較正をせずに済む)。閾値のいずれかの側でのノルム2を表す曲線による遷移は反転検出に対応しており、長さの移動回数は反転回数に1を加えた値に等しい。従って、2回の連続的な反転の間に、各々の長さの移動を実行するのに要した時間を計算することも可能である。
【0093】
T2が固定されている場合、第2のノルムが閾値を超えたとき、および更に精度が向上した方法では、スライディングウインドウにわたる極大値であるときに、スイマーの反転を検出することができる。
【0094】
計算モジュールCALCはまた、
− 第2のノルムが第1の閾値を超えたことを検出し、
− 第2のノルムが閾値を超えたことが検出されたならば第1のスライディングウインドウを生成し、
− 反転に対応する、スライディングウインドウにわたる第2のノルムの極大値の最大値、および前記最大極大値に関連付けられた時点を決定し、
− ある時間幅にわたり第1のスライディングウインドウを無効化し、
− 前記期間の後、第2のノルムが恐らくは他の閾値とは異なるかまたは等しい閾値を下回った場合に第1のスライディングウインドウを再有効化すべく適合させることができる。
【0095】
誤報の数を減らするため、計算モジュールCALCはまた、スカラー積の最大成分の符号に制約を含めるべく適合されていてよい。従って、スイマーの反転が検出されるのは、第2のノルムが第1の閾値を超えた瞬間における最大成分の符号が先の反転の間における同一成分の符号と異なる場合だけである。
【0096】
図7に、T2が固定されている場合に、図4による信号に対して、磁力計3Mの3測定軸に関する3個の時間的スカラー積の計算を示す。
【0097】
図8において、T2が固定されている場合における、図7の時間的スカラー積に対するノルム1の適用を示し、スパイクはプール内での移動の方向転換を表す。この場合に選択された閾値は約30に等しい。
【0098】
そのような閾値の選択は、反転の検出を可能にするように行なわなければならない。
【0099】
これらは、以下の各種方法で決定することができる。
− 先験的に、センサの測定範囲の関数として。
− アプリケーションの変動要素、すなわちプールの向き、スイマーの頭部に装着されたセンサの向き、泳法、スイマー、地理位置情報などの変動性を考慮に入れた各種の水泳シーケンスの間におけるセンサ信号のデータベースに関して最適化された方法で。これらのシーケンスの場合、反転は手動で注記される。この最適化は、他のステップと合わせて行なわれる。検出の確率と誤報の確率の間の最適な妥協点を許す閾値が選択される。
− シーケンスの間にうつ伏せと仰向けの変化が無ければ各水泳シーケンスに対して自動的に。実際に、この場合、ノッチ(T2が可変な場合)およびスパイク(T2が固定されている場合)の値は、当該値が基本的にプールおよびセンサの向きに依存するためシーケンス全体を通じて定数に近い。従って、例えば最初の100秒にわたり、第1のノルムの最大値を3で除算したものを選択することが可能である。T2が可変の場合、最初の100秒にわたる平均値を取ることも可能である。
【0100】
T2が可変の場合、閾値の逆側の点の数が所定の数、例えば10毎に間引いて数える点の数を超えない限り、計算モジュールCALCはスイマーが依然としてプール内で同じ方向に移動していて、未だ反転を実行していないと見なす。例えば、D=100且つサンプリング周波数がFe=100Hzならば、この点の数は10に等しい。
【0101】
本システムが加速度計3Aのような加速度計を含んでいる場合、計算モジュールCALCは、前記加速度計の各測定軸について、期間Tのスライディングウインドウにわたり前記測定軸上で測定された値の標準偏差を計算することができる。従って、計算モジュールCALCは、前記標準偏差のうち1個の値が時間的に変化したならば、基本的な移動、この場合はスイマーの反転を検出することができる。
【0102】
図9に、図4の3軸磁力計3Mにより送信された信号と同一の移動について3軸加速度計3Aが送信した3軸測定値の例を示し、図10に計算された標準偏差を示す。
【0103】
計算モジュールCALCは、考慮に入れた各測定軸上の標準偏差を成分とするベクトルの第3のノルムを計算することができる。
【0104】
第3のノルムは、例えば、先に第1および第2のノルムを定義可能であったものと同一の式の1個により定義することができる。
【0105】
図11に、各測定軸上の標準偏差を成分とするベクトルの第3のノルムの計算を示す。
【0106】
従って、計算モジュールCALCは、第3のノルムの変動の絶対値が閾値を超え、且つ第3のノルムの変動の絶対値が極大値である場合に行動の変化を検出することができる。
【0107】
計算モジュールはまた、いくつかのマスクに基づいて並列に実行される基本的な移動の検出を比較することにより、基本的な移動を検出すべく適合することができる。
【0108】
この融合原理は、時間的近傍とも呼ばれるスライディングウインドウを選択することであり、全てのスキームにより検出された反転をカタログ化することが可能である。その後で、情報のこれらの項目を融合して、数値を有する単一の時点が得られる。選択戦略は、以下の通りであってよい。
− 最大値を有する反転の時点
− 時点の平均
− 時点の中央値
− 重みとしての数値を有する時点の重心。
【0109】
融合後に反転の時点を選択した後で、必要に応じてその値は、例えば融和された反転の値の和として決定される。別の可能な選択は、最大値を保持することである。この値は、融合の後で起こり得る反転の閾値設定を再び行なうことが可能なため、有用である。融合後の閾値設定により、全体的な検出の堅牢性を向上させることが可能になる。この閾値設定により、たいていは誤検出である低い値の反転を除外することが可能になる。各経路で誤報に余り煩わされないために、高過ぎない閾値を各測定経路に配置し、且つその後で融合後に別の閾値設定を最適化のために実行することも推奨される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の基本的な移動を計数すべく、容器および前記容器を前記人の体の一部に堅牢に取り付ける固定手段を含むシステムであって、
− 少なくとも1個の測定軸を有する磁力計と、
− 少なくとも1個の測定軸について、少なくとも1個の時間的マスクと前記マスクの期間にわたる前記測定軸に沿った信号の成分とのスカラー積を求めるべく適合された計算手段と
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記基本的な移動の間に前記磁力計が与える測定値に基づいて、各測定軸について前記時間的マスクを決定する手段を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
各測定軸について、前記時間的マスクが予め決定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記基本的な移動が周期的移動の周回である、請求項2または3に記載のシステム。
【請求項5】
前記基本的な移動がトラックラップである、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
直線コースを折り返して逆向きに再び走行する間における人の反転を検出すべく適合されていて、各測定軸について、前記マスクが、第1の定数値Nである第1の期間T1の第1のフェーズと、これに続く、値が0である第2の期間T2の遷移の第2のフェーズと、これに続く、第1の定数値Nの逆符号に等しい定数値−Nである、第1の期間T1の第3のフェーズと、前記マスクの期間2T1+T2にわたる測定軸に沿った信号の成分とを含んでいる、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の定数値Nが1に等しい、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記マスクの前記第2の期間T2が固定されていて、且つ
【数1】
であり、Tminが前記直線コースを走行するための最小期間以下である閾値時間を表す、請求項6または7に記載のシステム。
【請求項9】
前記マスクの前記第2の期間T2が0〜Tmin/2の間にある、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記マスクの前記第2の期間T2が時間の関数として増大していて、前記計算手段が、考慮対象である各測定軸上の前記スカラー積を成分とするベクトルの第1のノルムを計算すると共に前記第1のノルムが閾値に関して相対位置を変えた場合に反転を検出すべく適合されている、請求項6または7に記載のシステム。
【請求項11】
前記計算手段が、前記スカラー積を成分とするベクトルの第2のノルムを計算すると共に前記第2のノルムが閾値を超えた場合に前記人の反転を検出すべく適合されている、請求項6〜8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記計算手段が、前記第2のノルムが更に第1のスライディングウインドウ上の極大値である場合に前記人の反転を検出すべく適合されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記計算手段が、
− 前記第2のノルムが前記閾値を超えたことが検出されたならば前記第1のスライディングウインドウを生成し、
− 前記スライディングウインドウにわたる前記第2のノルムの当該極大値の最大値および反転に対応する前記最大極大値に関連付けられた時点を決定し、
− ある期間にわたり自己無効化を行ない、
− 前記期間の後で前記第2のノルムが閾値を下回った場合に前記第1のスライディングウインドウを再有効化すべく
適合されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記計算手段が、前記第2のノルムが前記閾値を超えた瞬間において、前記スカラー積の前記最大成分の符号が先の反転の間における同一成分の符号と異なる場合に前記人の反転を検出すべく適合されている、請求項11〜13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記閾値が、前記閾値が関係する前記センサの測定範囲、および/または基本的な移動シーケンスに対する前記センサまたはセンサ群の信号の記録のデータベースに依存し、および/または自動的に、請求項10〜14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記ノルムが、前記スカラー積成分の絶対値の加重和で代替され、各成分に関連付けられた前記加重係数が当該成分のエネルギーを前記スカラー積の全エネルギーで除算した値に等しく、前記エネルギーが第2のスライディングウインドウ上で定義されている、請求項10〜14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記第2のスライディングウインドウの期間が、前記直線コースを走行するための最短期間に依存する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1の期間T1が、前記直線コースを走行するための最短期間に依存する、請求項6〜17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記計算手段が、前記磁力計が実行した測定よりも低い周波数で前記スカラー積を計算すべく適合されている、請求項1〜18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
更に加速度計を含んでいて、前記計算手段が、前記加速度計の各測定軸について、第3のスライディングウインドウにわたり前記測定軸について計量された値の標準偏差を計算すべく適合されている、請求項1〜19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記第3のスライディングウインドウの期間が、基本的な運動の期間と反転の期間の間にある、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記計算手段が、更に、前記標準偏差の少なくとも1個の値が時間的に変化した場合に行動の変化を検出すべく適合されている、請求項20または21に記載のシステム。
【請求項23】
前記計算手段が、考慮対象である各測定軸における前記標準偏差を成分とするベクトルの第3のノルムを計算すべく適合されている、請求項20〜22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記計算手段が、前記第3のノルムの変動の絶対値が閾値を超え、且つ前記第3のノルムの変動の絶対値は極大値である場合に行動の変化を検出すべく適合されている、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記計算手段が、基本的な移動の検出結果を比較することにより、基本的な移動を検出すべく適合されており、これらは複数の前記マスクに基づいて並列に実行される、請求項1〜24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
プール内でのスイマーの往復移動を計数すべく適合されていて、前記容器が防水性を有し、前記基本的な移動がプールの長さ分の移動、続いて反転、更に続いて逆方向の前記長さ分の移動である、請求項1〜25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
前記第1の期間T1が、25メートル長のプールの場合は2秒〜10秒の範囲にあり、50メートル長のプールの場合は2秒〜20秒の範囲にある、請求項25または26に記載のシステム。
【請求項28】
前記第1のマスクの前記第2の期間T2が0〜5秒の範囲にある、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記第2のスライディングウインドウの期間が、25メートル長のプールの場合2秒〜10秒の範囲にあって、50メートル長のプールの場合2秒〜20秒の範囲にある、請求項25〜28のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項30】
前記第3のスライディングウインドウの期間が1〜5秒の範囲にある、請求項24〜29のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
前記体の前記部分が頭部である、請求項24〜30のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項32】
前記閾値が、前記閾値が関係する前記センサの測定範囲、および/または水泳シーケンスを測定する前記センサまたはセンサ群の信号を記録するデータベース、および/または前記水泳シーケンスの間にスイマーのうつ伏せ/仰向けの位置の変化が無ければ自動的に依存する、請求項24〜31のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項1】
人の基本的な移動を計数すべく、容器および前記容器を前記人の体の一部に堅牢に取り付ける固定手段を含むシステムであって、
− 少なくとも1個の測定軸を有する磁力計と、
− 少なくとも1個の測定軸について、少なくとも1個の時間的マスクと前記マスクの期間にわたる前記測定軸に沿った信号の成分とのスカラー積を求めるべく適合された計算手段と
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記基本的な移動の間に前記磁力計が与える測定値に基づいて、各測定軸について前記時間的マスクを決定する手段を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
各測定軸について、前記時間的マスクが予め決定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記基本的な移動が周期的移動の周回である、請求項2または3に記載のシステム。
【請求項5】
前記基本的な移動がトラックラップである、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
直線コースを折り返して逆向きに再び走行する間における人の反転を検出すべく適合されていて、各測定軸について、前記マスクが、第1の定数値Nである第1の期間T1の第1のフェーズと、これに続く、値が0である第2の期間T2の遷移の第2のフェーズと、これに続く、第1の定数値Nの逆符号に等しい定数値−Nである、第1の期間T1の第3のフェーズと、前記マスクの期間2T1+T2にわたる測定軸に沿った信号の成分とを含んでいる、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の定数値Nが1に等しい、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記マスクの前記第2の期間T2が固定されていて、且つ
【数1】
であり、Tminが前記直線コースを走行するための最小期間以下である閾値時間を表す、請求項6または7に記載のシステム。
【請求項9】
前記マスクの前記第2の期間T2が0〜Tmin/2の間にある、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記マスクの前記第2の期間T2が時間の関数として増大していて、前記計算手段が、考慮対象である各測定軸上の前記スカラー積を成分とするベクトルの第1のノルムを計算すると共に前記第1のノルムが閾値に関して相対位置を変えた場合に反転を検出すべく適合されている、請求項6または7に記載のシステム。
【請求項11】
前記計算手段が、前記スカラー積を成分とするベクトルの第2のノルムを計算すると共に前記第2のノルムが閾値を超えた場合に前記人の反転を検出すべく適合されている、請求項6〜8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記計算手段が、前記第2のノルムが更に第1のスライディングウインドウ上の極大値である場合に前記人の反転を検出すべく適合されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記計算手段が、
− 前記第2のノルムが前記閾値を超えたことが検出されたならば前記第1のスライディングウインドウを生成し、
− 前記スライディングウインドウにわたる前記第2のノルムの当該極大値の最大値および反転に対応する前記最大極大値に関連付けられた時点を決定し、
− ある期間にわたり自己無効化を行ない、
− 前記期間の後で前記第2のノルムが閾値を下回った場合に前記第1のスライディングウインドウを再有効化すべく
適合されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記計算手段が、前記第2のノルムが前記閾値を超えた瞬間において、前記スカラー積の前記最大成分の符号が先の反転の間における同一成分の符号と異なる場合に前記人の反転を検出すべく適合されている、請求項11〜13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記閾値が、前記閾値が関係する前記センサの測定範囲、および/または基本的な移動シーケンスに対する前記センサまたはセンサ群の信号の記録のデータベースに依存し、および/または自動的に、請求項10〜14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記ノルムが、前記スカラー積成分の絶対値の加重和で代替され、各成分に関連付けられた前記加重係数が当該成分のエネルギーを前記スカラー積の全エネルギーで除算した値に等しく、前記エネルギーが第2のスライディングウインドウ上で定義されている、請求項10〜14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記第2のスライディングウインドウの期間が、前記直線コースを走行するための最短期間に依存する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1の期間T1が、前記直線コースを走行するための最短期間に依存する、請求項6〜17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記計算手段が、前記磁力計が実行した測定よりも低い周波数で前記スカラー積を計算すべく適合されている、請求項1〜18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
更に加速度計を含んでいて、前記計算手段が、前記加速度計の各測定軸について、第3のスライディングウインドウにわたり前記測定軸について計量された値の標準偏差を計算すべく適合されている、請求項1〜19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記第3のスライディングウインドウの期間が、基本的な運動の期間と反転の期間の間にある、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記計算手段が、更に、前記標準偏差の少なくとも1個の値が時間的に変化した場合に行動の変化を検出すべく適合されている、請求項20または21に記載のシステム。
【請求項23】
前記計算手段が、考慮対象である各測定軸における前記標準偏差を成分とするベクトルの第3のノルムを計算すべく適合されている、請求項20〜22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記計算手段が、前記第3のノルムの変動の絶対値が閾値を超え、且つ前記第3のノルムの変動の絶対値は極大値である場合に行動の変化を検出すべく適合されている、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記計算手段が、基本的な移動の検出結果を比較することにより、基本的な移動を検出すべく適合されており、これらは複数の前記マスクに基づいて並列に実行される、請求項1〜24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
プール内でのスイマーの往復移動を計数すべく適合されていて、前記容器が防水性を有し、前記基本的な移動がプールの長さ分の移動、続いて反転、更に続いて逆方向の前記長さ分の移動である、請求項1〜25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
前記第1の期間T1が、25メートル長のプールの場合は2秒〜10秒の範囲にあり、50メートル長のプールの場合は2秒〜20秒の範囲にある、請求項25または26に記載のシステム。
【請求項28】
前記第1のマスクの前記第2の期間T2が0〜5秒の範囲にある、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記第2のスライディングウインドウの期間が、25メートル長のプールの場合2秒〜10秒の範囲にあって、50メートル長のプールの場合2秒〜20秒の範囲にある、請求項25〜28のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項30】
前記第3のスライディングウインドウの期間が1〜5秒の範囲にある、請求項24〜29のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
前記体の前記部分が頭部である、請求項24〜30のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項32】
前記閾値が、前記閾値が関係する前記センサの測定範囲、および/または水泳シーケンスを測定する前記センサまたはセンサ群の信号を記録するデータベース、および/または前記水泳シーケンスの間にスイマーのうつ伏せ/仰向けの位置の変化が無ければ自動的に依存する、請求項24〜31のいずれか一項に記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2013−500102(P2013−500102A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522169(P2012−522169)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060995
【国際公開番号】WO2011/012666
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(511098415)
【出願人】(510163846)コミシリア ア レネルジ アトミック エ オ エナジーズ オルタネティヴズ (47)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060995
【国際公開番号】WO2011/012666
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(511098415)
【出願人】(510163846)コミシリア ア レネルジ アトミック エ オ エナジーズ オルタネティヴズ (47)
【Fターム(参考)】
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