説明

人の居場所を確認する方法、システム、およびこの方法のための記録媒体

【課題】固定された電気機器に対する人の接近を測定することにより、周囲における人の居場所を確認する。
【解決手段】固定された電気機器が備え付けられた周囲における人の居場所を確認する方法において、居場所が確認される人によって運ばれる磁力計により、1つ以上の固定された電気機器から放射される磁場を測定するステップ150と、測定された磁場を、周囲に存在する各電気機器に関連して、予め記録された磁気特性図と比較することにより、磁力計の近傍で動作する固定された電気機器を識別するステップ154と、磁気特性図により識別された固定された電気機器の周囲で、予め記録された局在性についての情報項目から、人の居場所を確認するステップ170とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定された電気機器が備え付けられた環境、または周囲における人の居場所を確認する方法およびシステムに関する。また、本発明は、この方法を実施するための情報記録媒体にも関する。
【背景技術】
【0002】
人の環境または周囲とは、その人が動く空間であり、一般的には、家またはアパートメントのような建物である。
【0003】
人の居場所の確認は、多くの用途で必要である。例えば、家に一人でいる老人の行動を、監視および識別するために特に有用である。また、救助を必要とする人の居場所を、迅速に確認することが必要な救急隊員にとっても有用である。さらに、建物で消費されるエネルギを管理するようなホームオートメーションの用途にも有用である。
【0004】
従来、人の居場所を確認するための次のような方法が知られている。
− カメラや、人によって運ばれる送信器の位置を検出する複数の受信アンテナのような監視センサを人の周りに設け、三角法で場所を確認する。
− 屋外の用途として、GPS(Global Positioning System)センサのような位置センサを、人に備え付ける。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】エイチ.ボウマラフ(H. Boumaraf)、論文「畳込み混合源のブラインド分離」、2005年10月26日、http://www-ljk.imag.frまたはhttp://tel.archives-ouvertes.fr/tel-00011643/fr/にてアクセス可能。
【非特許文献2】エイ.コーニジオル(A. Cornuegiols)、エル.ミクレ(L. Miclet)、ワイ.コドラトフ(Y. Kodratoff)、ティー.ミッチェル(T. Mitchel)、「人工学習:概念とアルゴリズム」、アイロール出版(edition Eyrolles)、第2版。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
人の居場所を確認するこれらの先行技術のシステムおよび方法は、実施が複雑である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、人の居場所を確認する従来の方法の欠点を克服することを目的とし、
− 居場所が確認されようとする人によって運ばれる磁力計により、1つ以上の固定された電気機器から放射される磁場を測定するステップと、
− 測定された前記磁場を、周囲に存在する前記各電気機器に関連して予め記録されている磁気特性図と比較することにより、前記磁力計の近傍で動作する固定された前記電気機器を識別するステップと、
− 前記磁気特性図により識別された固定された前記電気機器の周囲で、予め記録された局在性についての情報項目から、人の場所を確認するステップ
とを備えている。
【0008】
上述した方法によると、固定された電気機器に対する人の接近を測定することにより、人の居場所が確認される。人の周囲には、例えば、オーブン、洗濯機、テレビセットといった、非常に多くの固定された電気機器が存在している。従って、人の居場所を確認するために、専用の固定された電気機器を、特別に人の周囲に備え付ける必要はない。そのため、本発明の方法の実施は簡単である。
【0009】
この方法では、各電気機器が元来有している固有の磁気特性図を利用する。従って、固定された各電気機器は、確認できる磁気特性図を有しているため、人の周囲にある固定された電気機器を、新たに設計したり、変更したりする必要はない。人の周囲に導入される追加の器具は、究極的には、人が運ぶ磁力計だけであるため、この方法の実施は簡単である。
【0010】
この方法の実施形態は、次の特徴の1つ以上を備えている。
・電気機器による識別は、
− 2つの異なる周波数において測定された前記磁場の2つのスペクトル成分の絶対値間の少なくとも1つの比率を計算するステップと、
− この計算された比率を、予め記録された前記磁気特性図を構成する基準比率と比較するステップとを備えている。
・本発明の方法は、10Hzよりも高い測定された前記磁場のスペクトル成分から識別のステップを単独で実施するために、測定された前記磁場をフィルタリングするステップを備える。
・さらに、地球磁場に局所的な擾乱を生じさせることのできる固定磁気擾乱素子を、周囲に備えている。この方法は、
− 人によって運ばれる前記磁力計により、擾乱された前記地球磁場を測定するステップと、
− 周囲において、測定された擾乱地球磁場を、予め記録された測定可能な前記地球磁場の局所的擾乱を含む前記磁気特性図と比較することにより、前記磁力計が配置される場所の前記局所的擾乱を識別するステップと、
− 前記磁気特性図によって識別された前記局所的擾乱の周囲における予め記録された場所の前記情報項目から、人の場所を確認するステップ
とを備えている。
・この方法は、人に装着された前記磁力計の基準方向と磁北との間の角度を、磁力計により測定するステップを含んでいる。
・この方法は、前記磁力計により測定された前記磁場の特性を所定の閾値と比較し、この特性が所定の閾値を越えれば、前記電気機器の識別を抑止し、閾値を通過しなければ、前記電気機器の識別を継続するステップを含んでいる。
【0011】
さらに、本発明の方法の実施形態は、次の利点を有する。
− 測定された磁場の2つの周波数スペクトル成分の絶対値間の比率を用いることにより、磁力計と識別された電気機器との間の距離の関数として、変化しない磁気特性図が得られる。
− 測定された磁場の高周波成分だけを用いることにより、地球磁場から独立となるため、地球上の実施場所に依存することはない。
− 地球磁場の局所的な擾乱を用いることにより、人の場所の確認が向上する。
− 磁力計の基準方向と与えられた磁北との間の角度を測定することにより、周囲に対する人の方位を示すことができる。
− 測定された電磁場の特性が所定の閾値を通過するとき、電気機器の識別を抑止することにより、無用な処理を行うことを防ぐことができる。
【0012】
また、本発明の対象は、コンピュータにより実行される場合に、上記の方法を実施するための命令を備える情報記録媒体である。
【0013】
さらに、本発明の対象は、人の居場所を確認するためのシステムであり、このシステムは、
− 居場所が確認されようとする人によって運ばれる磁力計と、
− 周囲にある複数の固定された電気機器の間にある固定された電気機器を識別することのできる予め記録された磁気特性図を含むデータベースと、
− コンピュータとを備え、前記コンピュータは、
・前記磁力計により測定された磁場を、前記データベースにある予め記録された前記磁気特性図と比較することにより、前記磁力計の近傍で動作する固定された前記電気機器を識別し、
・前記磁気特性図により識別された固定された前記電気機器の周囲で、予め記録された局在性についての情報項目から、人の場所を確認するようになっている。
【0014】
前記システムの実施形態では、次の特徴を備えることができる。
・前記システムは、前記磁気特性図が前記データベースに含まれ、周囲に固定された電気機器を備え、この電気機器は、家電器具、照明器具、電気対流装置、マルチメディア機器を含むグループから選択される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の非限定的な例に関する説明を、添付図面を参照して、読むことにより、本発明を明確に理解することができると思う。
【図1】人の居場所を確認し、その人の周囲における人の行動を確定するシステムを示す概略図である。
【図2】図1のシステムにより監視される人によって運ばれる監視装置の概略図である。
【図3】図1のシステムにおいて用いられるデータベースの概略図である。
【図4】図1のシステムにおいて用いられるデータベースの概略図である。
【図5】図1のシステムにおいて用いられるデータベースの概略図である。
【図6】図1のシステムにおいて用いられるデータベースの概略図である。
【図7】図1のシステムにより人の場所を特定し、その人の行動を確定するフローチャートである。
【図8】電気機器の周波数スペクトルの説明図である。
【図9】他の電気機器の周波数スペクトルの説明図である。
【0016】
各図において、同一の要素には、同一の符号を付してある。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の説明において、当業者に周知の特徴および機能については、詳細に記載しない。
【0018】
図1は、人4の場所を確定し、その人4の環境6内における行動を確認するシステム2を示す。ここで、環境6は、家である。
【0019】
システム2の環境6内には、多数の電気機器が存在する。
【0020】
電気機器は、電源電流により駆動される機器である。電源は、一般的には、主電流である。従って、電源電流は、基本的には、基本周波数が100Hz未満の交流である。例えば、アメリカでは60Hzであるのに対して、ヨーロッパでは、基本周波数は50Hzである。電気機器は、作動させられると、時間とともに高速に変化する電磁場を近傍に放射する。ここで、基本的には拡散現象である伝播現象は無視できるため、電磁場の磁気成分のみを考慮する。従って、この放射された電磁場の周波数スペクトルは、電源電流の基本周波数の整数倍である「高周波」成分を有する。ここで、「高周波」の用語は、直流磁場に関して定義される。その周波数は、例えば、10Hzよりも高い周波数である。これらの高周波成分の絶対値は、位置が電気機器に接近している限り、背景のノイズよりも数倍大きい。放射された電磁場のエネルギは、電気機器からの距離に応じて、非常に速く減衰することが想定できる。例えば、考慮される電気機器により、放射される電磁場の絶対値は、1/Rまたは1/R3に比例して減衰する。ここで、Rは、電気機器と磁力計との間の距離である。
【0021】
電気機器の周波数スペクトルは、一般的には、電源電流の基本周波数で、1つのピークを示し、電源電流の高調波周波数で、他のピークを示す。50Hzの電源電流の場合、電気機器の周波数スペクトルは、50Hzの周波数でピークを示し、50Hzの整数倍で他のピークを示す。また、他の電気機器として、電源電流の基本周波数の高調波周波数以外の周波数でピークを示すことがある。例えば、電気機器が、主電流とは異なる周波数で電源電流を生成する場合である。このように、50Hzの電源電流から、60Hzの電源電流を生成できる電気機器があり、また、その逆の場合もある。
【0022】
固定された電気機器、および、より一般的には、いかなる固定された対象も、人の周囲で位置が変化しない物体である。例えば、前記物体は、
− 壁や天井のような動かない支持体にしっかりと固定されるか、または、
− 非常に重く、移動が困難であるために固定されることになる。
【0023】
重量は、5kgを超えていることが望ましい。
【0024】
これらの電気機器は、ここでは、「電源をオフにできる」機器と言われる電気機器を含む。これらの電源をオフにできる電気機器は、オフ状態とオン状態との間で、人の指示に応じて切り替えることのできる電気機器である。オン状態において、電源をオフにできる電気機器は、この電気機器の磁気特性図の特性に応じた電磁場を放射する。オフ状態において、電源をオフにできる電気機器は、いかなる電磁場をも放射しないか、または、オン状態の同じ電気機器の特性とは異なる磁気特性図に応じた電磁場を放射する。
【0025】
電気機器の磁気特性図、および磁場のいかなる発生源のより一般的な磁気特性図は、複数の磁場発生源の中から識別されることのできる発生源によって放射される磁場特性を弁別する弁別手段のセットである。
【0026】
図1に、簡略化した電気機器のいくつかの例を示す。
【0027】
ここで、システム2は、以下の電源をオフにできる機器を有する。
− 台所12に設けられたオーブン10。
− 台所12に設けられた湯沸かし器14。
− 居間18に設けられたテレビセット16。
− 洗濯室22に設けられた洗濯機20。
【0028】
これらの電気機器(オーブン10、湯沸かし器14、テレビセット16および洗濯機20)は、全く電気エネルギを消費しないか、または、ほんの僅か電気エネルギを消費するオフ状態と、電気エネルギを消費するオン状態とを、人4が直接切り替えることができるという共通の機能を有する。例えば、人4は、ボタンを押すことにより、これらの電気機器をオフ状態とオン状態との間で切り替える。
【0029】
オフ状態での電力消費は、非常に少なく、または、ゼロであるため、電磁場を殆ど放射しない。従って、背景雑音中に検出される磁気特性図はない。反対に、オン状態では、これらの電気機器は、システム2によって検出可能な磁気特性図を有する。
【0030】
また、システム2は、人4が直接に操作できない電気機器を有する。例えば、電気機器は、家の床や壁を通る電線24である。また、電気機器を、オフ状態とオン状態との間の切り替えが、家に導入されている温度センサによって自動制御される対流式電気暖房器26とすることができる。
【0031】
これらの電気機器の中、いくつかは固定され、他のものは人4によって容易に移動することができる。固定された電気機器は、オーブン10、テレビセット16、洗濯機20、電線24および対流式電気暖房器26である。一方、湯沸かし器14は、移動可能な電気機器である。
【0032】
また、システム2は、電流により駆動されることなく、地球磁場の磁力線を局所的に擾乱する固定磁気擾乱素子を有する。固定磁気擾乱素子は、地球磁場を除去できるのであれば、それ自身がなんら磁場を生じさせない強磁性体材料とすることができる。また、固定磁気擾乱素子は、地球磁場または他の磁場発生源とは別に、直流磁場を発生させる磁石のような残留磁場の発生源とすることができる。
【0033】
環境6には、いくつかの磁気擾乱素子だけが示されている。例えば、システム2は、コンクリート壁のための補強材30を有する。また、洗濯機20の金属構造は、地球磁場に検出可能な局所的擾乱を生じさせることのできる磁気擾乱素子を構成する。
【0034】
システム2は、コンピュータ36に接続された監視機器34を備えている。ここで、監視機器34は、コンピュータ36と接続されている。監視機器34と家の中の受信器40とは、無線接続38によって接続され、受信器40とコンピュータ36とは、直接接続されるか、または、情報伝送ネットワーク42を介して接続される。情報伝送ネットワーク42は、例えば、電話網やインターネットの長距離情報伝送のための情報伝送ネットワークである。一方、無線接続38は、範囲が100〜300mよりも小さい短距離接続である。
【0035】
コンピュータ36は、図7の方法を実施する一時的でない有形の情報記録媒体に記録された命令を実行することのできるプログラム可能なコンピュータである。この目的を達成するために、コンピュータ36には、図7の方法を実行するために必要なデータ、および命令を含むメモリ44が接続される。
【0036】
監視機器34は、人4によって運ばれる。例えば、この監視機器34は、人4の胸部に固定される。ここで、監視機器34は、監視機器34の軸が、人4の胸部の方位を示すように、人4にしっかりと固定される。図1には、監視機器34に連結された基準方向、または軸46だけが示されている。磁北の方向に対する軸46の方位は、図1において角度θで示される。この情報は、「ヘッディング(heading)」と言われる。
【0037】
図2は、監視機器34のより詳細な図である。この実施形態において、監視機器34は、基本的には、
− 3つの互いに直交する測定軸に沿った監視機器34の加速度を測定可能な加速度計48と、
− 磁力計の基本システムを構成し、3つの直交する測定軸に対する磁場の射影を測定可能な磁力計50とを備えている。
【0038】
加速度計48および磁力計50の測定軸は、計算を簡単にするため、同一直線上としてある。
【0039】
加速度計48および磁力計50は、測定して取得したデータを、無線接続38によりコンピュータ36に送信する送信器52に接続されている。
【0040】
図3〜図6は、図7の方法を実施するために使用されるデータベース54、56、58および60を示す。例えば、これらのデータベース54、56、58および60は、メモリ44に記録される。
【0041】
データベース54は、電気機器の磁気特性図のデータベースである。このデータベース54は、電気機器の識別子Aiを含む第1列と、これらの各識別子Aiに関係する基準磁気特性図SAirefの第2列とを備えている。
【0042】
データベース56は、動作識別子Actiを、電源をオフにできる電気機器の各識別子Aiに関連づけている。動作識別子Actiは、識別子Aiに対応する電気機器の使用に伴う人4の1つ以上の動作を識別する。例えば、電気機器が電気髭剃りまたは電動歯ブラシであれば、これらの電気機器に関連する動作は、体の上部を洗う動作である。電気機器が調理器、湯沸かし器、トースタまたはミキサであれば、関連する動作は、食事の準備である。電気機器が掃除機であれば、関連する動作は、家事である。電気機器がテレビセットであれば、関連する動作は、テレビの視聴である。これらの例は、限定的なものではなく、電源をオフにできる電気機器の使用に関連する多くの他の可能な動作がある。
【0043】
データベース58は、固定された電気機器の各識別子Aiを有し、周囲6における人の場所を確認する情報項目Liに関連づける。情報項目Liは、周囲6に固定されたXYZで表現される座標、または、単に、「台所」、「居間」、「洗濯室」等のような場所の識別子とすることができる。従って、このデータベース58は、周囲6における固定された電気機器をマッピングしたものである。
【0044】
データベース60は、固定磁気擾乱素子により生成された地球磁場の局所的擾乱である磁気特性図SPirefを有し、周囲6の擾乱の位置における情報項目Liに関係する。上述したように、情報項目Liは、XYZで表現される座標、または、場所の識別子とすることができる。このデータベース60は、周囲6における地球磁場の局所的擾乱をマッピングしたものである。
【0045】
システム2の動作を、図7に示す方法に関連させて、より詳細に説明する。
【0046】
この方法は、基本的には、システム2の学習段階70と、それに続くシステム2の使用段階72との2段階で実行される。
【0047】
学習段階70は、異なるデータベース54、56、58および60に情報を入力するための段階である。
【0048】
この目的を達成するために、学習段階70は、データベース60に情報を入力する工程74を備える。
【0049】
工程74を開始する前に、存在する電源をオフにすることのできる電気機器を全てオフの状態にする。
【0050】
次いで、操作80では、磁力計50を周囲6の磁気擾乱素子の近傍に配置し、その場所に固定する。
【0051】
操作82では、磁力計50で磁場を測定し、取得した測定結果は、例えば、コンピュータ36に送信される。
【0052】
操作84では、取得した測定結果が、地球磁場Htを示す測定結果のみとなるようにフィルタを掛ける。この目的を達成するために、測定された磁場の高周波成分が除去される。例えば、コンピュータ36は、−3dBにおけるカットオフ周波数が0.1Hz以下のローパスフィルタでフィルタリングする。
【0053】
操作82および84の操作と同時に、操作86では、周囲6における磁力計50の現在位置の情報項目Liが読み取られる。
【0054】
また、操作86と同時に、操作88では、加速度計48がセンサに連結された基準システムにおける地球重力Gの方向を測定する。
【0055】
次いで、これらの異なる測定結果を用いて、操作90において、コンピュータ36は、磁力計50の現在位置における地球磁場Htの局所的擾乱の磁気特性図SPirefを作成する。例えば、操作90では、絶対値Mpiと擾乱された地球磁場Htの方向とが、磁力計50の3つの測定軸に沿った測定結果から計算される。さらに、重力Gの方向と地球磁場Htの方向との間の角度αiが計算される。磁気擾乱素子がない場合、角度αiは、フランスの条件では、30°に実質的に等しい。磁力計50の近傍に磁気擾乱素子がある場合、地球磁場の磁力線の方向を角度αiに変更する。同様に、変更された磁気擾乱素子が磁力計50の近傍にある場合、地球磁場の絶対値を変更する。従って、絶対値Mpiおよび角度αiは、地球磁場の局所的擾乱を識別することができ、この局所的擾乱の磁気特性図を構成することができる。
【0056】
操作92では、操作90で作成された磁気特性図SPirefが、磁気擾乱素子のない場合に得られる特性と十分に異なる場合、この特性は、操作86で読み込まれた情報項目Liと関連づけられて、データベース60に記録される。
【0057】
これらの操作80〜92は、周囲6の主な固定磁気擾乱素子の近傍で繰り返され、データベース60に情報が供給される。ある磁気擾乱素子が目に見えない場合(例えば、配管系、コンクリートに埋め込まれた金属梁等)、予め設定された格子パターンに従い、1つのノードから他のノードにセンサを組織的に移動させることで、この目的を達成することができる。例えば、この格子パターンの網の目は、正方形であり、各網の目の辺の長さは、1mである。また、学習段階70は、周囲6の高周波磁気背景雑音を特徴付けるための工程100と、それに続くデータベース54、56および58に情報を供給するための工程101とを備えている。
【0058】
工程100に先立ち、全ての電源をオフにできる電気機器は、オフ状態に切り替えられる。
【0059】
工程100を開始する際、操作102では、磁力計50が、周囲6にある磁気背景雑音の存在を示すと考えられる場所に配置される。次いで、操作102では、再び磁力計50で磁場を測定し、取得した測定結果が、例えば、コンピュータ36に送信される。また、測定結果が継続する所定の時間間隔ΔTで取得される。この時間間隔ΔTは、例えば1秒である。
【0060】
操作104では、取得した測定結果に、磁場の高周波成分だけを保持するためのフィルタが掛けられる。例えば、測定結果には、−3dBでの除去周波数が10Hzであるハイパスフィルタによるフィルタが掛けられる。
【0061】
操作106において、時間間隔ΔTで各軸に沿って測定された測定結果である磁場の周波数スペクトルが計算される。例えば、操作106では、高速フーリエ変換(FFT)を用いて、測定結果の各軸に対する周波数スペクトルが計算される。
【0062】
次いで、操作108において、測定された磁場の50Hz成分の絶対値Ma0envが計算される。例えば、絶対値Ma0envは、異なる軸の測定結果の周波数スペクトルのノルムから計算される。
【0063】
操作110では、計算された絶対値Ma0envがメモリ44に記録される。
【0064】
工程101は、データベース54、56および58に情報を入力するための工程である。この目的を達成するために、操作120では、磁力計50が電気機器の近傍に配置され、必要に応じて、前記電気機器はオン状態に切り替えられる。
【0065】
次いで、操作122において、前記電気機器により放射された磁場が、磁力計50により測定され、取得した測定結果がコンピュータ36に送信される。同時に、周囲6における前記電気機器の位置の情報項目Liが読み込まれる。
【0066】
上述したように、磁場の測定結果は、例えば、継続する1秒の時間間隔ΔTで取得される。
【0067】
次いで、操作124において、取得した測定結果に対して、−3dBにおける除去周波数が10Hz以上のハイパスフィルタにより、フィルタが掛けられる。例えば、この操作124は、操作104と同じである。
【0068】
次に、操作126において、磁場のスペクトル成分の絶対値Majirefが、フィルタの掛けられた測定結果から計算される。添え字jおよびiは、それぞれ、周波数成分および電気機器の識別子である。ここで、50Hz、100Hz、150Hz、200Hz、250Hzおよび300Hzにおける磁場のスペクトル成分の各絶対値Ma0iref〜Ma5irefが計算される。絶対値Ma0irefは、電源電流の基本周波数の成分であり、他の絶対値Ma1iref〜Ma5irefは、基本周波数の高調波周波数の成分である。例えば、各絶対値Majirefは、絶対値Ma0envに対して説明したようにして計算される。
【0069】
次いで、操作130において、絶対値Ma0irefが背景雑音の絶対値Ma0envと比較される。絶対値Ma0irefが絶対値Ma0envに近く、または、絶対値Ma0envよりも小さければ、コンピュータ36は、オン状態の電気機器が存在しないものと推定し、操作120の手順に戻る。この新たな操作120において、まだ処理されていないのであれば、磁力計50を電気機器の近傍に移動させて配置を変えるか、電気機器をオン状態に切り替える必要がある。
【0070】
そうでない場合(操作130における+の場合)には、操作132を続ける。操作132では、ここで使用されている各スペクトル成分に対する平均絶対値Mamjirefを得るため、複数の継続する時間間隔ΔTで計算された絶対値Majirefが平均される。
【0071】
次いで、操作134において、複数の基準比率Pjirefが計算される。例えば、基準比率Pjirefは、以下の式により計算される。
Pjiref=Mamjiref/Mam0iref (j∈{1,…,5})
【0072】
基準比率Pjirefは、近傍に配置されている電気機器の特性である。また、基準比率Pjirefは、磁力計50と電気機器との間の距離の関数として変化しない、という利点がある。
【0073】
例えば、ハイパスフィルタによりフィルタリングされ、各識別子A1およびA2に対応する扇風機や湯沸かし器の周波数スペクトルが、図8および図9にそれぞれ示されている。絶対値Mamjirefは、一方の電気機器と、他方の電気機器とで非常に異なっており、この事実がそれらを識別するのに利用される。
【0074】
識別子Aiに対応する電気機器に対して計算された異なる基準比率Pjirefは、この電気機器の磁気特性図SAirefを構成する。
【0075】
最後に、操作136では、電気機器に対応する識別子Aiと関連づけて、磁気特性図SAirefがデータベース54に記録される。
【0076】
この操作136において、磁気特性図の作成された電気機器が固定された電気機器である場合、データベース58には、操作122で読み込まれたこの電気機器の位置の情報項目Liが補完される。
【0077】
最後に、磁気特性図の作成された電気機器が電源をオフにできる電気機器である場合、データベース56にも、識別子Aiに対応する動作識別子Actiが結合して補完される。
【0078】
操作120〜136は、周囲6に存在する主な電気機器に対して繰り返される。主な電気機器には、オーブン10、湯沸かし器14、テレビセット16、洗濯機20、電線24および対流式電気暖房器26が含まれる。
【0079】
学習段階70が完了すると、使用段階72に進むことができる。
【0080】
使用段階72では、例えば、人4に対して監視機器34が取り外せないように装着される。
【0081】
操作150において、磁力計50は、磁場を常時測定する。同時に、操作152において、加速度計48は、監視機器34が受ける加速度を常時測定する。
【0082】
これらの測定結果は、無線接続38、受信器40、および情報伝送ネットワーク42によってコンピュータ36に送信される。
【0083】
これらの測定結果に基づき、工程154において、コンピュータ36は、人4の近傍の電気機器を識別する。
【0084】
この目的を達成するために、操作156において、磁力計50の測定結果にハイパスフィルタによるフィルタが掛けられる。この操作156は、例えば、操作104または124と同じである。
【0085】
次いで、操作158において、周波数50Hz、100Hz、150Hz、200Hz、250Hzおよび300Hzでのスペクトル成分の各絶対値Majが計算される。絶対値Majは、操作126の絶対値Majirefに対して記述されたものとして計算される。
【0086】
操作160では、計算された絶対値Ma0が背景雑音の絶対値M0envと比較される。絶対値Ma0が絶対値Ma0envに近く、または、絶対値Ma0envよりも小さければ、次の時間間隔ΔTで測定結果を得る操作156に戻る。このことは、実際には、磁力計50の近傍に電気機器が存在しないことを意味する。
【0087】
そうでない場合(操作160における+の場合)には、操作162において、コンピュータ36は、磁力計50の近傍に配置された電気機器の磁気特性図SAを作成する。操作162は、例えば、操作150で得られた測定結果に適用される場合を除き、操作132および134を合わせたものと同じである。磁気特性図SAは、絶対値Mamjと絶対値Mam0との間の比率Pjを構成する。
【0088】
次いで、操作164では、磁気特性図SAがデータベース54に含まれる基準磁気特性図SAirefと比較される。磁気特性図SAが基準磁気特性図SAirefの1つに対応する場合、この基準磁気特性図SAirefに関係する電気機器Aiの識別子が検索される。電気機器の識別子Aiが検索されると、この電気機器は、識別されたものと見なされる。そうでない場合には、電気機器が識別されず、次の時間間隔ΔTで測定結果を得る操作156に戻る。
【0089】
ここで、磁気特性図SAは、以下の式を用いて基準磁気特性図SAirefと比較される。
S=Σ(Pj−Pjiref2
【0090】
磁気特性図SAは、この総和Sが所定の閾値よりも小さければ、基準磁気特性図SAirefに対応する。
【0091】
固定された電気機器が識別されると、人4の場所を確認するため、操作170が続けられる。この操作170は、データベース58の識別子Aiに関連する情報項目Liを検索する操作である。実際、工程154に従い、人4が識別された電気機器の近傍にいることが分かる。識別子Aiが周囲6の固定された電気機器のものであれば、その周囲6の人4の位置が分かる。例えば、情報項目Liは、人4がいる家の部屋の場所を十分的確に示す。
【0092】
同時に、識別された電気機器が電源をオフにできる電気機器であれば、操作172において、人4の行動が確定する。この操作172において、コンピュータ36は、検索された識別子Aiに関連する動作識別子Actiのデータベース56を検索する。例えば、人4が湯沸かし器14をオン状態に切り替えた場合、このことは、高い確度で、この人4が食事の準備をしていることを意味する。
【0093】
工程154と同時に、工程180では、磁力計50および加速度計48の測定結果が、地球磁場の局所的擾乱を識別するのに利用される。
【0094】
この目的を達成するために、操作182において、監視機器34が配置された地球磁場の局所的擾乱の磁気特性図SPが作成される。操作182は、操作150および152で得られた測定結果に適用される場合を除き、例えば、操作82、84および90を合わせたものと同じである。
【0095】
次いで、操作184において、磁気特性図SPがデータベース60に含まれる基準磁気特性図SAirefと比較される。例えば、この比較は、操作164で説明したようにして行われる。
【0096】
磁気特性図SPが基準磁気特性図SPirefの1つに対応する場合、局所的な磁気擾乱が識別される。
【0097】
識別された磁気擾乱に基づき、人4の場所を確認するための操作188が継続される。操作188において、磁気特性図SPに対応する磁気特性図SPirefに関連する情報項目Liがデータベース60において検索される。このように、その周囲6における人4の位置について、例えば、人が部屋の中にいることが十分に示される。
【0098】
磁気特性図SPがいずれの磁気特性図SPirefにも対応しておらず、簡単に言えば、磁力計50が磁気擾乱素子の近傍にない場合、操作は、磁北と軸46との間の角度θを読み込む操作190に進む。磁北の方向は、磁力計50による操作150での測定結果から得られる。
【0099】
操作200において、操作170、172、188および190が終了して得られた情報が、異なる目的のために処理される。
【0100】
例えば、操作200において、操作170および188が終了して得られた人4の場所に対する情報項目は、この人の場所を明確にし、または、確認するため、異なった観点から検証される。
【0101】
人4の場所を確認する情報項目と、その時間の同じ地点における人4の行動に対する兆候とが、人の行動を明確にするか、または、確認するため、異なった観点から検証される。
【0102】
操作200において、操作190が終了して得られる人の方位と、操作172で得られる人4の行動に対する兆候とが、人の行動を明確にし、または、確認するため、異なった観点から検証される。例えば、人4がテレビを見ており、操作190が終了して得られる人4の方位がこの行動と矛盾していることが分かった場合、問題になっている行動が確認されず、必要であれば、異常な行動として報告される。同様に、人の位置について得られる情報が、ベッドにいることを示し、また、操作190で測定された方位が、人4がベッドに横になって安静状態であることを示している場合、異常な行動の新しい兆候として認識される。
【0103】
操作200において、読み出された情報の異なる部分が、人4の依存度の決定に利用される。この目的を達成するために、例えば、読み出された行動およびその頻度が「標準」の行動と比較される。この標準の行動と比較した人の行動の偏差は、この人の自立性の喪失を示す。
【0104】
多くの他の実施形態が可能である。例えば、磁力計50は、測定結果の複数の軸に対して磁場を射影した振幅を測定可能なベクトル磁気センサ、または、磁場の絶対値を測定するスカラ磁気センサとすることができる。スカラ磁気センサは、等方性のスカラ磁気センサ(等方性スカラ磁力計)、すなわち、測定結果が方位および空間に依存しないスカラ磁気センサとすることが好ましい。スカラ磁気センサは、小型で安価である。
【0105】
電気機器の磁気特性図のデータベース54は、異なる人の異なる周囲に対して共通である。
【0106】
電気機器の識別または地球磁場の局所的擾乱は、リアルタイムで行われ、または、先送りさせることができる。識別がリアルタイムで行われる場合、監視機器34は、識別のために必要とされる全ての計算を行うことのできるコンピュータを備えた機器の側に配置することが好ましい。識別が先送りされる場合には、ここで説明したシステム2の構成で十分である。
【0107】
互いに近接している複数の電気機器が同時に使用される場合、磁力計により測定される磁場に対する各電気機器の寄与を決定するため、磁場の発生源を分離する技術を利用することができる。この目的を達成するために、以下の文献を参照することができる。
エイチ.ボウマラフ(H. Boumaraf)、論文「畳込み混合源のブラインド分離」、2005年10月26日、http://www-ljk.imag.frまたはhttp://tel.archives-ouvertes.fr/tel-00011643/fr/にてアクセス可能
【0108】
磁力計の近傍に電気機器が存在しないことを確定するために利用される背景雑音は、ある時間範囲で測定された回転電磁場の時間平均、測定された電磁場の瞬時の振幅、または、複数の周波数に対して測定された電磁場の絶対値の組み合わせとすることができる。
【0109】
地球磁場の局所的な擾乱を用いる人4の場所の確認は、方法を簡単にするために省略することができる。
【0110】
同様に、磁北に対する人4の方位の測定結果は、省略することができる。
【0111】
磁力計と電気機器との間の距離Rが双極子としてモデル化された電気機器に対して十分な距離である場合、磁力計の測定結果から距離Rを推定することができる。このようにして推定された距離は、人4の場所または行動を明確にするために用いられる。
【0112】
背景雑音を特徴付けるための工程100は、周囲6に主な高周波磁気擾乱が存在しない場合には、省略することができる。
【0113】
作成された磁気特性図とデータベースに含まれる磁気特性図との比較は、多数の異なる方法で行うことができる。例えば、この目的を達成するために、以下の文献を参照することができる。
エイ.コーニジオル(A. Cornu饅ochgiols)、エル.ミクレ(L. Miclet)、ワイ.コドラトフ(Y. Kodratoff)、ティー.ミッチェル(T. Mitchel)、「人工学習:概念とアルゴリズム」、アイロール出版(饅ochdition Eyrolles)、第2版
【0114】
特に、作成された磁気特性図の識別は、以下の学習によって行うことができる。
− ベイジアンネットワークを用いた確率密度の推定、
− ニューラルネットワークまたはバーストマージンセパレータ(VMS)を用いた最適化、
− デシジョンツリーである。
【0115】
上述したもの以外の磁気特性図を用いることができる。例えば、磁気特性図は、電気機器によって放射される電磁場の特性である時間的な回転とすることができる。基本周波数に対する成分の絶対値の比率以外の比率を、電気機器によって放射される磁場を特徴付けるものとして用いることができる。同様に、地球磁場の局所的擾乱を、その絶対値Mpiまたは角度αiだけで特徴付けることができる。
【0116】
ハイパスフィルタによるフィルタリングは、バンドパスフィルタにより置き換えることができる。また、バンドパスフィルタのバンド幅は、5Hz〜1kHzであることが好ましい。
【0117】
操作108では、絶対値Ma0envは、異なる継続する時間間隔ΔTで計算された異なる絶対値Ma0envの平均によって置き換えることができる。
【0118】
絶対値Ma0envは、周囲6の1つの場所または複数の場所において計算することができる。後者の場合、複数の絶対値Ma0envが計算されると、それらは個別にメモリ44に記憶され、または、絶対値Ma0envが、操作の剰余として、異なる絶対値Ma0envの平均で置き換えられる。
【0119】
変形例として、磁力計50は、自己誘導、すなわち、近傍に配置された電気機器から放射される磁場を用いて駆動されるようにしてもよい。
【0120】
ここで、上記の磁力計50は、高周波および低周波の磁場を測定するものと同じである。変形例として、2つの異なる磁力計が使用され、それぞれが各磁場の1つを測定する。
【0121】
周囲6における物体の場所を確認する情報は、例えば、周囲に配置可能な場所を確認することができるGPS場所確認機器のような測定機器により取得することができる。
【0122】
地球磁場の局所的擾乱から人の場所を確認するための方法は、ここに記述された他の方法とは別に実施し、また、固定された電気機器から放射される電磁場から人の場所を確認するための方法とは別に実施することができる。
【符号の説明】
【0123】
2 システム
4 人
6 環境
10 オーブン
12 台所
14 湯沸かし器
16 テレビセット
18 居間
20 洗濯機
22 洗濯室
24 導電体
26 対流式電気暖房器
30 補強材
34 監視機器
36 コンピュータ
38 無線接続
40 受信器
42 情報伝送ネットワーク
44 メモリ
46 軸
48 加速度計
50 磁力計
52 送信器
54、56、58、60 データベース
70 学習段階
72 使用段階

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定された電気機器が備え付けられた場所における人の居場所を確認する方法において、
− 居場所が確認される人によって運ばれる磁力計により、1つ以上の固定された前記電気機器から放射される電磁場を測定するステップ(150)と、
− 測定された磁場を、周囲に存在する前記電気機器ごとに関連して予め記録された磁気シグネチャと比較することにより、前記磁力計の近傍で動作する固定された前記電気機器を識別するステップ(154)と、
− 前記磁気シグネチャにより識別された固定された前記電気機器の周囲で、予め記録された局在性についての情報項目から、人の居場所を確認するステップ(170)とを備えることを特徴とする人の居場所を確認する方法。
【請求項2】
前記電気機器の識別は、
− 2つの異なる周波数において測定された前記磁場の2つのスペクトル成分のモジュラス間の少なくとも1つの比率を計算するステップ(162)と、
− この計算された比率を、予め記録された前記磁気シグネチャを構成する基準比率と比較するステップ(164)とを備えることを特徴とする請求項1に記載の人の居場所を確認する方法。
【請求項3】
前記方法は、10Hzよりも高い測定された前記磁場のスペクトル成分から識別のステップを単独で実施するために、測定された前記磁場をフィルタリングするステップ(156)を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の人の居場所を確認する方法。
【請求項4】
さらに、地球磁場に局所的な擾乱を生じさせることのできる固定磁気擾乱素子を周囲に備え、
− 人によって運ばれる前記磁力計により、擾乱された前記地球磁場を測定する前記ステップ(150)と、
− 測定された擾乱地球磁場を、予め記録された測定可能な前記地球磁場の局所的擾乱を含む前記磁気シグネチャと比較することにより、前記磁力計が位置する場所の前記局所的擾乱を識別するステップ(180)と、
− 前記磁気シグネチャによって識別された前記局所的擾乱の周囲における予め記録された場所の前記情報項目から、人の場所を確認するステップとを備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の人の居場所を確認する方法。
【請求項5】
前記方法は、人に装着された前記磁力計の基準方向と磁北との間の角度を、磁力計により測定するステップ(152)を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の人の居場所を確認する方法。
【請求項6】
前記方法は、前記磁力計により測定された前記磁場のシグネチャを所定の閾値と比較し、このシグネチャが所定の閾値を通過すれば、前記電気機器の識別を抑止し、閾値を通過しなければ、前記電気機器の識別を継続するステップ(160)を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の人の居場所を確認する方法。
【請求項7】
情報記録媒体(44)において、
コンピュータにより実行される場合に、請求項1〜6のいずれか1項に記載の人の居場所を確認する方法を実施するための命令を備えることを特徴とする情報記録媒体。
【請求項8】
人の居場所を確認するためのシステムにおいて、
− 場所の確認される人によって運ばれる磁力計(50)と、
− 周囲にある複数の固定された前記電気機器の中から1つの固定された前記電気機器を識別することのできる予め記録された磁気シグネチャを含むデータベース(54)と、
− コンピュータ(36)と、
を備え、前記コンピュータは、
・前記磁力計により測定された磁場を、前記データベースにある予め記録された前記磁気シグネチャと比較することにより、前記磁力計の近傍で動作する固定された前記電気機器を識別し、
・前記磁気シグネチャにより識別された固定された前記電気機器の周囲で、予め記録された局在性についての情報項目から、人の場所を確認することを特徴とする人の居場所を確認するためのシステム。
【請求項9】
前記システムは、前記磁気シグネチャが前記データベース(54)に含まれ、周囲に存在する固定された前記電気機器(10、16、20、24、26)を備え、前記電気機器は、家電機器、照明機器、電気対流装置、マルチメディア機器を含むグループから選択されることを特徴とする請求項8記載の人の居場所を確認するためのシステム。
【請求項10】
前記磁力計は、等方性スカラ磁力計であることを特徴とする請求項8または9記載の人の居場所を確認するためのシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−65647(P2011−65647A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−205007(P2010−205007)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(510132347)コミサリア ア レネルジ アトミク エ オウ エネルジ アルタナティヴ (51)
【Fターム(参考)】