人体洗浄装置
【課題】人体洗浄装置を使用する被洗浄者の使用感を向上させる。
【解決手段】洗浄水を加熱する熱交換器と、洗浄水を吐水する吐水口と、前記吐水口に洗浄水を導く主流路と、を有するハンドノズルと、前記熱交換器と前記ハンドノズルとの間に接続され、前記熱交換器からの洗浄水を前記主流路に導く導水路と、前記導水路の少なくとも一部に残留していた洗浄水を外部に排出する還流路と、を有するホースと、を備え、前記導水路の少なくとも一部に残留していた洗浄水を前記還流路を介して外部に排出する第１の動作と、前記導水路から供給された洗浄水を前記主流路を介して前記吐水口から吐水させる第２の動作と、が実行可能とされたことを特徴とする人体洗浄装置が提供される。
【解決手段】洗浄水を加熱する熱交換器と、洗浄水を吐水する吐水口と、前記吐水口に洗浄水を導く主流路と、を有するハンドノズルと、前記熱交換器と前記ハンドノズルとの間に接続され、前記熱交換器からの洗浄水を前記主流路に導く導水路と、前記導水路の少なくとも一部に残留していた洗浄水を外部に排出する還流路と、を有するホースと、を備え、前記導水路の少なくとも一部に残留していた洗浄水を前記還流路を介して外部に排出する第１の動作と、前記導水路から供給された洗浄水を前記主流路を介して前記吐水口から吐水させる第２の動作と、が実行可能とされたことを特徴とする人体洗浄装置が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、人体洗浄装置に関し、被洗浄者の人体を洗浄する人体洗浄装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
洋式腰掛便器に腰掛けた被洗浄者（例えば、被介護者）の「おしり」などを水で洗浄する場合には、温水洗浄便座装置の吐水ノズルを便器内に進出させ、便座に座った被洗浄者の「おしり」などに向けて水を噴射させる。そうすると、被洗浄者の局部を洗浄することができる。
【０００３】
しかしながら、排泄の際に、汚物が広い範囲に亘って付着すると、人体局部の洗浄を主な目的とした温水洗浄便座装置の吐水ノズルでは、十分に汚れを落とすことができない場合がある。これは、例えば、臀部（肛門周辺）の筋肉が弱く、その部分の肉が垂れ下がっている高齢者などが排泄を行った場合、あるいは被洗浄者が、失禁などのように、おむつを含む衣類を着衣した状態で排泄行為を行った場合などが挙げられる。あるいは、被洗浄者の着座位置がずれている場合にも、温水洗浄便座装置の吐水ノズルでは、十分に汚れを落とすことができない場合がある。
【０００４】
そこで、臀部や陰部の広い範囲を洗浄するために、例えば使用者などが容器を押すことにより洗浄水を任意の位置に吐水できるボトル式の洗浄容器がある。また、臀部や陰部の広い範囲を洗浄可能な局部洗浄装置が提案されている（例えば、特許文献１参照）。
【０００５】
しかしながら、便座に着座した状態で被洗浄者の臀部や陰部を洗える、手持ち式の洗浄ノズルは、一定長さ以上のホース（配管）を有するため、使い始めの際にはホース内などに溜まった冷水や不衛生な水が放出されることがある。この冷水等が被洗浄者にあたると、使用感を損ねてしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
【特許文献１】特開昭５８−１８１９３４号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
本発明の課題は、上記問題点を解決することであり、被洗浄者の使用感を向上させる人体洗浄装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明の一態様によれば、洗浄水を加熱する熱交換器と、洗浄水を吐水する吐水口と、前記吐水口に洗浄水を導く主流路と、を有するハンドノズルと、前記熱交換器と前記ハンドノズルとの間に接続され、前記熱交換器からの洗浄水を前記主流路に導く導水路と、前記導水路の少なくとも一部に残留していた洗浄水を外部に排出する還流路と、を有するホースと、を備え、前記導水路の少なくとも一部に残留していた洗浄水を前記還流路を介して外部に排出する第１の動作と、前記導水路から供給された洗浄水を前記主流路を介して前記吐水口から吐水させる第２の動作と、が実行可能とされたことを特徴とする人体洗浄装置が提供される。
【発明の効果】
【０００９】
本発明によれば、人体洗浄装置を使用した被洗浄者の使用感が向上する。
【図面の簡単な説明】
【００１０】
【図１】本実施の形態にかかる人体洗浄装置を備えたトイレ装置を例示する斜視模式図である。
【図２】トイレ装置に取り付けられたハンドノズルを表す斜視模式図である。
【図３】ハンドノズルの内部構成図である（その１）。
【図４】本実施の形態にかかる人体洗浄装置の構成を例示するブロック図である。
【図５】人体洗浄装置の操作を説明するためのフローチャートである（その１）。
【図６】人体洗浄装置の操作を説明するためのフローチャートである（その２）。
【図７】ハンドノズルの内部構成図である（その２）。
【図８】本実施の形態にかかる人体洗浄装置の変形例の構成を例示するブロック図である。
【図９】人体洗浄装置の操作を説明するためのフローチャートである（その３）。
【図１０】人体洗浄装置の操作を説明するためのフローチャートである（その４）。
【発明を実施するための形態】
【００１１】
第１の発明として、洗浄水を加熱する熱交換器と、洗浄水を吐水する吐水口と、前記吐水口に洗浄水を導く主流路と、を有するハンドノズルと、前記熱交換器と前記ハンドノズルとの間に接続され、前記熱交換器からの洗浄水を前記主流路に導く導水路と、前記導水路の少なくとも一部に残留していた洗浄水を外部に排出する還流路と、を有するホースと、を備え、前記導水路の少なくとも一部に残留していた洗浄水を前記還流路を介して外部に排出する第１の動作と、前記導水路から供給された洗浄水を前記主流路を介して前記吐水口から吐水させる第２の動作と、が実行可能とされたことを特徴とする人体洗浄装置が提供される。
これにより、導水路の少なくとも一部に残存する洗浄水を導水路外へ導水することができると共に、導水路から供給された洗浄水を主流路を介して吐水口から吐水させることができる。
【００１２】
また、第２の発明として、第１の発明において、前記主流路と前記導水路と前記還流路との間に三方式開閉弁が設けられ、前記第１の動作において、前記三方式開閉弁により、前記導水路と前記還流路とが連通され、前記主流路と前記導水路とは遮断され、前記第２の動作において、前記三方式開閉弁により、前記導水路と前記還流路とが遮断され、前記主流路と前記導水路とは連通される。
これにより、導水路と還流路との間に設けられた三方式の開閉弁により、第１の動作と第２の動作を切り替えることができる。
【００１３】
また、第３の発明として、第１の発明において、前記還流路の出口または前記還流路に第１の開閉弁が設けられ、前記第１の動作において、前記第１の開閉弁は開いた状態とされ、前記第２の動作において、前記第１の開閉弁は閉じた状態とされる。
これにより、還流路の出口または還流路に介設された開閉弁により、第１の動作と第２の動作を切り替えることができる。
【００１４】
また、第４の発明として、第１〜第３の発明のいずれかにおいて、前記主流路に第２の開閉弁が設けられ、前記第１の動作において、前記第２の開閉弁は閉じた状態とされ、前記第２の状態においておいて、前記第２の開閉弁は開いた状態とされる。
これにより、ハンドノズル内の第２の開閉弁を開閉することにより、洗浄水を吐水口から吐水させたり止水させたりすることができる。
【００１５】
また、第５の発明として、第１〜第４の発明のいずれかにおいて、前記還流路を介して排出された洗浄水は、便器内へ排水される。
これにより、還流路を介して排出された洗浄水を便器内へ排水することができる。
【００１６】
また、第６の発明として、第１〜第５の発明のいずれかにおいて、便座への人体の着座を検知する着座センサと、前記着座センサからの信号を検知する制御部と、を備え、前記制御部は、前記着座センサが人体の着座を検知すると、前記第１の動作を実行する。
これにより、制御部が着座センサにより人体の着座を検知すると、洗浄水を導水路から排出することができる。
【００１７】
また、第７の発明として、第１〜第６の発明のいずれかにおいて、トイレ室への人体の入室を検知する入室検知センサと、前記入室検知センサからの検知信号を検知する制御部と、を備え、前記制御部は、前記入室検知センサが人体の入室を検知すると、前記第１の動作を実行する。
これにより、制御部が入室検知センサにより人体の入室を検知すると、洗浄水を導水路から排出することができる。
【００１８】
また、第８の発明として、第１〜第７の発明のいずれかにおいて、前記制御部は、使用者の前記ハンドノズルの操作を検知すると、前記第１の動作を実行する。
これにより、制御部が使用者のハンドノズルの操作を検知すると、洗浄水を導水路から排出することができる。
【００１９】
また、第９の発明として、第６〜第８の発明のいずれかにおいて、前記制御部は、前記第１の動作を実行してから、所定時間経過後に前記洗浄水の排水を閉止する。
これにより、制御部は、洗浄水を導水路から排出してから所定時間経過後に洗浄水の排水を閉止することができる。
【００２０】
また、第１０の発明として、第６〜第８の発明のいずれかにおいて、前記導水路及び前記還流路の少なくともいずれかに、前記洗浄水の温度を検知する温度センサが設けられ、前記温度センサの検知結果が所定温度以上となった場合には、前記制御部は、前記洗浄水の排水を閉止させる。
これにより、主流路及び還流路の少なくともいずれかに設けられた温度センサが設けられ、主流路及び還流路の少なくともいずれかの温度センサの検知結果が所定温度以上となった場合には、制御部は、洗浄水の排水を閉止させることができる。
【００２１】
また、第１１の発明として、第８の発明において、前記制御部が前記洗浄水の排水を閉止させるのとほぼ同時に、前記第２の動作を実行可能とする。
これにより、制御部が使用者のハンドノズルの操作を検知し、洗浄水が導水路から排出されるのが閉止されるのとほぼ同時に、第２の動作が実行可能となる。
【００２２】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図１は、本実施の形態にかかる人体洗浄装置を備えたトイレ装置を例示する斜視模式図である。また、図２は、トイレ装置に取り付けられたハンドノズルを表す斜視模式図である。
【００２３】
図１に表したトイレ装置は、洋式腰掛け便器（以下、説明の便宜上、単に「便器」と称する）５００と、その上に設けられた人体洗浄装置１００Ａと、便蓋３００と、便座４００と、を備える。便蓋３００および便座４００は、例えば人体洗浄装置１００Ａに対して開閉自在に軸支されている。また、便器５００の洗浄機構としては、いわゆる「ロータンク式」でもよく、あるいはロータンクを用いない「水道直圧式」であってもよく、その他の各種の洗浄機構を採用することができる。なお、便座４００としては、所謂Ｏ型のものを例示しているが、Ｕ型であってもよい。
【００２４】
本実施の形態にかかる人体洗浄装置１００Ａは、水の温度を調節する熱交換器（温度調節器）１１０と、熱交換器１１０からの水を導水するホース１２０と、ホース１２０の一端に取り付けられたハンドノズル１３０と、ハンドノズル１３０を収納する収納部１６０と、を有する。熱交換器１１０は、人体洗浄装置１００Ａのケーシング１０１内に設けられたタンクと、その中に貯留された水を加熱する図示しないヒータと、を有する。そして、熱交換器１１０により加熱された洗浄水は、ホース１２０を介してハンドノズル１３０に供給される。
【００２５】
なお、本発明は、タンクに貯留された水をヒータで加熱する、いわゆる「貯湯式」の熱交換器１１０を有するものには限定されない。例えば、供給された水を瞬間的に温めて送出する、いわゆる「瞬間式」の熱交換器１１０を有するものも、本発明の範囲に包含される。また、本実施の形態において「水」という場合には、加熱されたお湯も含むものとする。
【００２６】
また、本実施の形態にかかる人体洗浄装置１００Ａは、便座４００への被洗浄者の着座を検知する着座センサ１７０と、トイレ室への被洗浄者の入室を検知する入室検知センサ１８０と、制御部１５０と、をさらに有する。着座センサ１７０および入室検知センサ１８０としては、例えば、焦電センサや、測距センサなどの赤外線投光式のセンサ、超音波センサ、またはドップラーセンサなどのマイクロ波センサなどを用いることができる。なお、焦電センサは、被洗浄者の接近を迅速に検知できる点で入室検知センサ１８０により適している。そして、着座センサ１７０は、便座４００への被洗浄者の着座を検知すると、制御部１５０に検知信号を送信できる。これと同様に、入室検知センサ１８０は、トイレ室への被洗浄者の入室を検知すると、制御部１５０に検知信号を送信できる。
【００２７】
そして、この人体洗浄装置１００Ａでは、ホース１２０内で冷めたり、あるいは不衛生である洗浄水（以下、単に冷めた洗浄水とする）を便器５００内に排水可能な機能を備えている。
【００２８】
まず、ホース１２０内には、加熱された洗浄水をハンドノズル１３０にまで導く導水路と、冷めた洗浄水を便器５００内に排水する還流路と、が設けられている。すなわち、ホース１２０は、複数の流路を備えている。
【００２９】
図２に示すハンドノズル１３０は、把持部１３７と、把持部１３７に太幅部１３４を介して接続されたノズル先端部２００を含む構成をしている。そして、操作レバー１３１を操作することにより、ノズル先端部２００の吐水口１３５から洗浄水を吐水させることができる。
【００３０】
具体的には、ハンドノズル１３０の内部に開閉弁（第２の開閉弁：図２では不図示）を内蔵し、当該開閉弁により、洗浄水の吐水および止水が切り替えられる。さらに、ハンドノズル１３０は、ハンドノズル１３０内に設けられた開閉弁を開閉させる操作レバー１３１と、ハンドノズル１３０の先端部に設けられた吐水部１３６と、を有する。操作レバー１３１は、ハンドノズル１３０の把持部１３７に設けられている。そして、把持部１３７に太幅部（支持部）１３４を連結して、太幅部１３４からノズル先端部２００を延出している。
【００３１】
また、ノズル先端部２００の吐水部１３６には、洗浄水を吐水可能にする吐水口１３５が設けられている。そして、吐水口１３５と前記開閉弁とは、ハンドノズル１３０の内部に設けた主流路により連通している。
【００３２】
また、操作レバー１３１は、軸１３２において回動自在に軸支されており、その裏面側には開閉スイッチ１３３が設けられている。開閉スイッチ１３３は、図示しないばね等により矢印Ａとは反対方向に付勢されている。これと同様に、操作レバー１３１は開閉スイッチ１３３により矢印Ａとは反対方向に付勢されている。
【００３３】
例えば、使用者（例えば、介護者）などが操作レバー１３１を矢印Ａの方向に押すと、開閉スイッチ１３３は操作レバー１３１により矢印Ａの方向に押される。そうすると、例えばハンドノズル１３０内に設けられた開閉弁が開放され、洗浄水が上記主流路を通じて、吐水口１３５から噴射される。あるいは、操作レバー１３１を操作すると、電気的な信号が制御部１５０に送信されるようにしてもよい。
一方、使用者などが操作レバー１３１から手を離すと、操作レバー１３１および開閉スイッチ１３３は、矢印Ａとは反対方向に付勢されているため、矢印Ａとは反対方向に押し上げられる。そうすると、上記開閉弁は閉止され、吐水口１３５からの洗浄水の噴射は停止される。
【００３４】
このように、ハンドノズル１３０の把持部１３７には、吐水口１３５からの吐水または止水を切り替える切替手段が設けられている。
また、上記開閉弁は、制御部１５０からの制御信号により適宜開閉することも可能である。
【００３５】
次に、本実施の形態にかかる人体洗浄装置１００Ａの構成の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図３は、ハンドノズルの内部構成図である。
上述したように、ハンドノズル１３０は、把持部１３７と、把持部１３７に太幅部１３４を介して接続されたノズル先端部２００を含む構成をしている。
【００３６】
そして、把持部１３７内部からノズル先端部２００の先端方向にかけては、吐水口１３５に連通する主流路２００ａが設けられている。さらに、主流路２００ａには、吐止水機能を備えた操作部（切替弁）１３１ａが介設されている。
【００３７】
また、吐水口１３５とは反対側の主流路２００ａの端には、三方式の開閉弁（三方式開閉弁）１３９ａが取り付けられている。さらに、この開放弁（切替弁）１３９ａには、導水路１２０ａと還流路１２０ｂとが接続されている。
【００３８】
ここで、導水路１２０ａは、ハンドノズル１３０本体に洗浄水を導水する経路となり、開閉弁１３９ａの手前まで配設されている。また、還流路１２０ｂは、人体洗浄装置に設けられた熱交換器（後述）から、ハンドノズル１３０本体の導水路１２０ａ及びホース（後述）内の導水路１２０ａの内部の少なくとも一部に残存する、冷めた洗浄水を、ハンドノズル１３０の外部に排出する経路となる。また、ハンドノズル１３０外の導水路１２０ａ及び還流路１２０ｂは、ホース内に収納されている。
【００３９】
また、三方式の開閉弁１３９ａは、導水路１２０ａより導入された洗浄水を、主流路２００ａあるいは還流路１２０ｂのいずれかに流出させることができる切替弁である。すなわち、開閉弁１３９ａを主流路２００ａと導水路１２０ａと還流路１２０ｂとの間に設けることにより、導水路１２０ａと還流路１２０ｂとを連通し、主流路２００ａと導水路１２０ａとを遮断することができ、あるいは、導水路１２０ａと還流路１２０ｂとを遮断し、主流路２００ａと導水路１２０ａとを連通させることもできる。
【００４０】
また、操作部１３１ａは、主流路２００ａに導水された洗浄水の吐水もしくは止水を操作する機能部である。なお、操作部１３１ａは、手動によって操作されてもよく、自動的に操作されてもよい。
例えば、手動の場合には、使用者がレバー状の操作レバー１３１を操作することにより、把持部１３７の内部に設けられた操作部１３１ａが作動して、ノズル先端部２００の吐水口１３５から洗浄水を吐水させることができる。なお、この操作の前には予め、導水路１２０ａの内部に残存する洗浄水がハンドノズル１３０の外部に排出されて、導水路１２０ａ内が温かい、清潔な洗浄水に置換されている（後述）。
【００４１】
図４は、本実施の形態にかかる人体洗浄装置の構成を例示するブロック図である。なお、便蓋３００、便座４００については表示していない。
【００４２】
人体洗浄装置１００Ａでは、給水源としての水道水（以下、水）が継ぎ手１０３を通じて、給水弁１９０に供給される。給水弁１９０は、ハンドノズル１３０及び熱交換器１１０よりも上流側に設けられ、制御部１５０からの制御信号に応じて開閉できる。給水弁１９０が開放されている場合には、熱交換器のタンクに水が供給され、給水弁１９０が閉止されている場合には、熱交換器のタンクへの水の供給は停止される。
【００４３】
続いて、水が給水弁１９０を介して熱交換器１１０に供給されると、熱交換器１１０に貯留され加熱されていた洗浄水は、継ぎ手１０５を通じてホース１２０内の導水路１２０ａに押し出されて供給される。熱交換器１１０は、制御部１５０により制御されている。そして、導水路１２０ａに供給された水は、ハンドノズル１３０内の三方式の開閉弁１３９ａまで供給される。
なお、継ぎ手１０３、給水弁１９０、熱交換器１１０及び継ぎ手１０５は、人体洗浄装置１００Ａに内設したパイプを通じて直列状に連結している。
【００４４】
そして、開閉弁１３９ａが制御部１５０により制御されて、主流路２００ａと導水路１２０ａとが連通状態になると、ハンドノズル１３０の吐水口１３５から洗浄水が吐水可能となる。すなわち、この状態で操作部１３１ａを開状態にすると、吐水口１３５から洗浄水が吐水される。
【００４５】
一方、開閉弁１３９ａが制御部１５０により制御されて、導水路１２０ａと還流路１２０ｂとが連通状態になると、導水路１２０ａ内に残存する洗浄水が還流路１２０ｂを通じて便器５００内に排出される。また逆に、開閉弁１３９ａが制御部１５０により制御されて、導水路１２０ａと還流路１２０ｂとが不通状態になると、前述した洗浄水の排出が停止する。
洗浄水を吐水口１３５から吐水させる前に、前述した排水を実施しておけば、導水路１２０ａ内は、新たな洗浄水で置換されてることから、導水路１２０ａ内は、常時、温かく、清潔な洗浄水で充填されていることになる。
【００４６】
このように、人体洗浄装置１００Ａは、導水路１２０ａの少なくとも一部に残留していた洗浄水を還流路１２０ｂを介して外部に排出する第１の動作と、導水路１２０ａから供給された洗浄水を主流路２００ａを介して吐水口１３５から吐水させる第２の動作と、が実行可能となっている。
【００４７】
なお、還流路１２０ｂの何れかの箇所には、一方弁（逆流防止弁）を介設してもよい。これにより、残水の主流路への逆流を確実に防止できる。
【００４８】
また、ハンドノズル１３０を収納部１６０に収納した状態で、吐水口１３５から洗浄水が吐水されると、その洗浄水は、収納孔１６３（図１参照）に一時貯留される。このとき、ハンドノズル１３０の先端１３８は、収納孔１６３の底面には当接しておらず、離間しているため、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水は、滞留することなく排水路１６５から便器５００内に排出される。そのため、ハンドノズル１３０の清潔な状態を確保することができる。
【００４９】
また、本具体例では、水道の圧力を利用して熱交換器１１０に水を供給する場合を例に挙げて説明したが、これだけに限定されず、給水ポンプを設けてもよい。これによれば、水道の圧力だけではなく、給水ポンプによって与えられた圧力を利用して熱交換器１１０に水を供給することができる。
【００５０】
次に、人体洗浄装置１００Ａの操作の具体例について説明する。
最初に、人体洗浄装置１００Ａの第１の操作方法の具体例について説明する。
図５は、人体洗浄装置の操作を説明するためのフローチャートである。
【００５１】
まず、人体洗浄装置１００Ａは待機（スタンドバイ）状態にあるとする（ステップＳ１０１）。この段階では、ホース１２０内の導水路１２０ａに残存する洗浄水は、熱交換器１１０により加熱された温度よりも、冷めているとする。
【００５２】
続いて、被洗浄者が人体洗浄装置１００Ａが配置されている部屋に入室したり、人体洗浄装置１００Ａの便座４００に着座したりすると、着座センサ１７０または入室検知センサ１８０が被洗浄者を検知する（ステップＳ１０３）。すなわち、人体検知がなされる。
【００５３】
続いて、上記検知に基づき、制御部１５０により給水弁１９０が開放される（ステップＳ１０５）。あるいは、人体洗浄装置１００Ａに、上記給水ポンプが設けられている場合には、制御部１５０は給水ポンプを駆動させる（ステップＳ１０５）。
【００５４】
続いて、制御部１５０により、開閉弁１３９ａが制御されて、ホース１２０内の導水路１２０ａと還流路１２０ｂとが連通状態になる（ステップＳ１０７）。これにより、導水路１２０ａ内に残存する洗浄水（冷めた洗浄水）が還流路１２０ｂを通じて便器５００内に排出される。すなわち、導水路１２０ａ内に残存する冷めた洗浄水が熱交換器１１０により加熱された洗浄水（温かい洗浄水）により置換され始める。
【００５５】
続いて、洗浄水を便器５００内に排出してからタイマ制御により所定の時間を経過後（ステップＳ１０９）、あるいは、実際に洗浄水が置換されることにより還流路１２０ｂ内の水温が所定の温度以上に到達後（ステップＳ１０９）、開閉弁１３９ａが制御部１５０により制御されて、導水路１２０ａと還流路１２０ｂとが不通状態になる（ステップＳ１１１）。さらに、給水弁１９０が閉止されて（ステップＳ１１３）、導水路１２０ａへの洗浄水の導水が停止される。
これにより、導水路１２０ａ内は、温かい洗浄水に置換される。
【００５６】
そして、再び、人体洗浄装置１００Ａは待機状態になる（ステップＳ１１５）。この後、使用者がハンドノズル１３０の操作レバー１３１を操作することにより、その信号が制御部１５０に送信され、ハンドノズル１３０内の主流路２００ａと導水路１２０ａとが連通状態になる。そして、使用者の操作により、操作部１３１ａが開状態となり、吐水口１３５から温かい温水を直ちに噴射させ、被洗浄者の身体を洗浄することができる。本具体例によれば、使用者の人体を検知して、自動的に導水路１２０ａ内を温かい洗浄水に置換することができる。
なお、以上説明した具体例において、センサによる検知（ステップＳ１０３）の代わりに、例えば、使用者が所定のスイッチなどを操作することにより、ステップＳ１０５に進むようにしてもよい。つまり、捨て水動作のトリガとして、センサによる人体の検知の代わりに、使用者のスイッチ入力を採用することもできる。
【００５７】
またさらに、開閉弁１３９ａを例えばハンドノズル１３０に設けられた切替スイッチ（図示せず）等より操作できるようにしてもよい。この場合には、使用者が切替スイッチ等を操作することにより、導水路１２０ａと還流路１２０ｂとを連通させて、随時、冷水を温水に置換することができる。その後、使用者が操作レバー１３１を操作して、導水路１２０ａと主流路２００ａとを連通させることにより、吐水口１３５から温かい洗浄水を吐水させることができる。
【００５８】
次に、人体洗浄装置１００Ａの第２の操作方法の具体例について説明する。
図６は、人体洗浄装置の操作を説明するためのフローチャートである。
まず、人体洗浄装置１００Ａは待機状態にあるとする（ステップＳ１０１）。この段階では、ホース１２０内の導水路１２０ａに残存する洗浄水は、熱交換器１１０により加熱された温度よりも、冷めているとする。
【００５９】
この状態において、使用者がハンドノズル１３０の操作レバー１３１（図２参照）を操作する（ステップＳ１０３）。すなわち、使用者が操作レバー１３１を操作して開閉スイッチ１３３（図２参照）を押す。
【００６０】
上記操作に基づき、制御部１５０に信号が送信される。すると、制御部１５０により給水弁１９０が開放される（ステップＳ１０５）。あるいは、人体洗浄装置１００Ａに、上記給水ポンプが設けられている場合には、制御部１５０は給水ポンプを駆動させる（ステップＳ１０５）。
【００６１】
続いて、制御部１５０により、開閉弁１３９ａが制御されて、ホース１２０内の導水路１２０ａと還流路１２０ｂとが連通状態になる（ステップＳ１０７）。これにより、導水路１２０ａ内に残存する洗浄水（冷めた洗浄水）が還流路１２０ｂを通じて便器５００内に排出される。すなわち、導水路１２０ａ内に残存する冷めた洗浄水が熱交換器１１０により加熱された洗浄水（温かい洗浄水）により置換され始める。
【００６２】
続いて、洗浄水を便器５００内に排出開始してからタイマ制御により所定の時間を経過後（ステップＳ１０９）、あるいは、実際に洗浄水が置換されることにより還流路１２０ｂ内の水温が所定の温度以上に到達後（ステップＳ１０９）、開閉弁１３９ａが制御部１５０により制御されて、導水路１２０ａと還流路１２０ｂとの間が不通状態になり（ステップＳ１１１ａ）、それとほぼ同時に、操作部１３１ａが開状態となって（ステップＳ１１１ｂ）、吐水口１３５から温かい洗浄水を吐水開始させることができる（ステップＳ１１１ｃ）。
【００６３】
そして、使用者による洗浄作業が完了して、操作レバー１３１を再び操作すると、その信号が制御部１５０に送信され、給水弁１９０が閉止されて（ステップＳ１１３）、導水路１２０ａへの洗浄水の導水が停止される。さらに、人体洗浄装置１００Ａは、再び待機状態になる（ステップＳ１１５）。
本具体例によれば、使用者が操作レバー１３１を操作して洗浄を開始するたびに、導水路１２０ａが自動的に温かな洗浄水により置換される。
【００６４】
なお、図５及び図６に関して前述した具体例において、第１及び第２の操作方法における所定の時間は、導水路１２０ａ内に残存する冷めた洗浄水を熱交換器１１０からの温かい洗浄水に置換するために必要な排出量を事前に把握しておき、その置換量から適当な時間が決定される。
【００６５】
あるいは、所定時間経過後に主流路２００ａへの導水と還流路１２０ｂへの導水が切り替わるのではなく、還流路１２０ｂ内の水温が還流路１２０ｂ内の任意の箇所に設けられた温度センサによって検知されることにより決定され、検知された温度が所定の温度以上となったときに、主流路２００ａへの導水と還流路１２０ｂへの導水が切り替わることとしてもよい。
【００６６】
このように、人体洗浄装置１００Ａは、洗浄水の温度調節を行う温度調節器と、吐水口１３５並びに吐水口１３５からの洗浄水の吐水もしくは止水を切り替える操作手段と、を有するハンドノズル１３０と、を備えている。
【００６７】
そして、温度調節器により温度が調節された洗浄水は、ハンドノズル１３０の吐水口１３５にまで主流路を通じて導水される。また、導水路の少なくとも一部に残存する洗浄水が導水路外へ還流路を通じて導水される。
【００６８】
すなわち、人体洗浄装置１００Ａは、主流路への導水と還流路への導水とを切り替える切替手段と、を備えている。そして、この切替は、三方式の開閉弁により行われる。
【００６９】
また、人体洗浄装置１００Ａは、便座への被介護者の着座を検知する着座センサ１７０と、着座センサ１７０からの検知信号に基づいて給水弁１９０の開閉を制御する制御部と、を備えている。そして、着座センサ１７０が被介護者の着座を検知すると、制御部は、給水弁１９０を開放して主流路に洗浄水を導水すると共に、還流路への導水をする。
【００７０】
また、人体洗浄装置１００Ａは、トイレ室への被介護者の入室を検知する入室検知センサ１８０と、入室検知センサ１８０からの検知信号に基づいて給水弁１９０の開閉を制御する制御部と、を備えている。そして、入室検知センサ１８０が被介護者の入室を検知すると、制御部は、給水弁１９０を開放して導水路に洗浄水を導水すると共に、還流路への導水を行い、冷めた洗浄水を置換することができる。
【００７１】
また、人体洗浄装置１００Ａは、制御部によって給水弁１９０を開放させてから所定時間経過後、または所定温度到達後に給水弁１９０を閉止させることができる。
また、人体洗浄装置１００Ａは、制御部によって給水弁１９０が開放させてから所定時間経過後、または所定温度到達後に、主流路への導水と還流路への導水とが切り替えられる。
【００７２】
このような人体洗浄装置１００Ａによれば、被洗浄者は、冷めた洗浄水を人体に受けることがなく、常時温かい洗浄水により人体が洗浄される。従って、被洗浄者の使用感が向上する。
【００７３】
次に、本実施の形態にかかる人体洗浄装置の変形例について説明する。なお、以下の説明では、図１〜図４と同一の部材には同一の符号を付し、その詳細の説明については省略する。
図７は、ハンドノズルの内部構成図である。
ハンドノズル１３０は、把持部１３７と、把持部１３７に太幅部１３４を介して接続されたノズル先端部２００を含む構成をしている。
【００７４】
そして、把持部１３７内部からノズル先端部２００の先端方向にかけては、吐水口１３５に連通する主流路２００ａが設けられている。さらに、主流路２００ａには、操作部１３１ａが介設されている。
【００７５】
また、操作部１３１ａの手前の主流路２００ａには分岐部１４０が設けられ、この分岐部１４０に導水路１２０ａが接続されている。すなわち、主流路２００ａと導水路１２０ａとにより、Ｔ字路を形成している。また、吐水口１３５とは反対側の主流路２００ａの端には、還流路１２０ｂが接続されている。そして、この還流路１２０ａの出口側には、別の開放弁が設けられている（後述）。
【００７６】
図８は、本実施の形態にかかる人体洗浄装置の変形例の構成を例示するブロック図である。なお、便蓋３００、便座４００については表示していない。
人体洗浄装置１００Ｂでは、還流路１２０ｂの出口側に開閉弁（第１の開閉弁）１３９ｃを備え、当該開閉弁１３９ｃを開状態にすることにより、導水路１２０ａに残存する冷めた洗浄水を便器５００内に排出することができる。なお、開閉弁１３９ｃについては、還流路１２０ｂの中途に介設してもよい。
【００７７】
例えば、人体洗浄装置１００Ｂでは、水が給水弁１９０を介して熱交換器１１０に供給されると、熱交換器１１０に貯留され加熱されていた洗浄水が継ぎ手１０５を通じてホース１２０内の導水路１２０ａに供給される。そして、導水路１２０ａに導水された洗浄水は、ハンドノズル１３０内の操作部１３１ａまで供給される。
【００７８】
そして、使用者の操作により、操作部１３１ａが開状態になると、主流路２００ａと導水路１２０ａとが通水可能状態になり、ハンドノズル１３０の吐水口１３５から洗浄水が吐水される。
【００７９】
一方、操作部１３１ａを閉状態とし、開閉弁１３９ｃが制御部１５０により制御されて開状態となると、導水路１２０ａと還流路１２０ｂとが通水可能になって、導水路１２０ａ内に残存する洗浄水が還流路１２０ｂを通じて便器５００内に排出される。逆に、開閉弁１３９ｃが閉状態になると、導水路１２０ａと還流路１２０ｂとが通水不能になり、前述した洗浄水の排出が停止する。
洗浄水を吐水口１３５から吐水させる前に、前述した排水を実施しておけば、導水路１２０ａ内は、新たな洗浄水で常時、置換されてることになる。
なお、還流路１２０ｂの何れかの箇所には、一方弁（逆流防止弁）を介設してもよい。これにより、残水の主流路への逆流を確実に防止できる。
【００８０】
次に、人体洗浄装置１００Ｂの操作の具体例について説明する。
最初に、人体洗浄装置１００Ｂの第１の操作方法の具体例について説明する。
図９は、人体洗浄装置の操作を説明するためのフローチャートである。
【００８１】
まず、人体洗浄装置１００Ｂは待機状態にあるとする（ステップＳ１０１）。この段階では、ホース１２０内の導水路１２０ａに残存する洗浄水は、熱交換器１１０により加熱された温度よりも、冷めているとする。
この状態において、被洗浄者が人体洗浄装置１００Ｂが配置されている部屋に入室したり、人体洗浄装置１００Ｂの便座４００に着座したりすると、着座センサ１７０または入室検知センサ１８０が被洗浄者を検知する（ステップＳ１０３）。すなわち、人体検知がなされる。
【００８２】
続いて、上記検知に基づき、制御部１５０により給水弁１９０が開放される（ステップＳ１０５）。あるいは、人体洗浄装置１００Ｂに、上記給水ポンプが設けられている場合には、制御部１５０は給水ポンプを駆動させる（ステップＳ１０５）。
【００８３】
続いて、制御部１５０により、操作部１３１ａが閉状態、開閉弁１３９ｃが開状態に制御されて、洗浄水が導水路１２０ａと還流路１２０ｂとを介して流通可能になる（ステップＳ１０７）。これにより、導水路１２０ａ内に残存する冷めた洗浄水が還流路１２０ｂを通じて便器５００内に排出される。すなわち、導水路１２０ａ内に残存する冷めた洗浄水が熱交換器１１０により加熱された温かい洗浄水により置換され始める。
【００８４】
続いて、洗浄水を便器５００内に排出してからタイマ制御により所定の時間を経過後（ステップＳ１０９）、あるいは、実際に洗浄水が置換されることにより還流路１２０ｂ内の水温が所定の温度以上に到達後（ステップＳ１０９）、開閉弁１３９ｃが制御部１５０により制御されて閉状態になり（ステップＳ１１１）、洗浄水の上記流通が不通になる。これにより、導水路１２０ａ内は、温かい洗浄水に置換される。
【００８５】
この状態で、使用者がハンドノズル１３０の操作レバー１３１を操作すると、操作部１３１ａが開状態となり、吐水口１３５から温かい洗浄水を吐水させることができる。
【００８６】
そして、使用者による洗浄作業が完了して、操作レバー１３１を再び操作すると、その信号が制御部１５０に送信され、給水弁１９０が閉止されて（ステップＳ１１３）、導水路１２０ａへの洗浄水の導水が停止される。さらに、人体洗浄装置１００Ａは、再び待機状態になる（ステップＳ１１５）。
【００８７】
次に、人体洗浄装置１００Ｂの第２の操作方法の具体例について説明する。
図１０は、人体洗浄装置の操作を説明するためのフローチャートである。
まず、人体洗浄装置１００Ｂは待機状態にあるとする（ステップＳ１０１）。この段階では、ホース１２０内の導水路１２０ａに残存する洗浄水は、熱交換器１１０により加熱された温度よりも、冷めているとする。
【００８８】
この状態において、使用者がハンドノズル１３０の操作レバー１３１を操作する（ステップＳ１０３）。すなわち、使用者が操作レバー１３１を操作して、開閉スイッチ１３３を押す。
【００８９】
この操作により、制御部１５０に信号が送信される。すると制御部１５０により給水弁１９０が開放される（ステップＳ１０５）。あるいは、人体洗浄装置１００Ｂに、上記給水ポンプが設けられている場合には、制御部１５０は給水ポンプを駆動させる（ステップＳ１０５）。
【００９０】
続いて、制御部１５０により、操作部１３１ａが閉状態、開閉弁１３９ｃが開状態に制御されて、洗浄水が導水路１２０ａと還流路１２０ｂとを介して流通可能になる（ステップＳ１０７）。これにより、導水路１２０ａ内に残存する冷めた洗浄水が還流路１２０ｂを通じて便器５００内に排出される。すなわち、導水路１２０ａ内に残存する冷めた洗浄水が熱交換器１１０により加熱された温かい洗浄水により置換され始める。
【００９１】
続いて、洗浄水を便器５００内に排出してからタイマ制御により所定の時間を経過後（ステップＳ１０９）、あるいは、実際に洗浄水が置換されることにより還流路１２０ｂ内の水温が所定の温度以上に到達後（ステップＳ１０９）、制御部１５０により開閉弁１３９ｃが閉状態となり（ステップＳ１１１ａ）、それとほぼ同時に、操作部１３１ａが開状態となって（ステップＳ１１１ｂ）、吐水口１３５から温かい洗浄水を吐水開始させることができる（ステップＳ１１１ｃ）。
【００９２】
そして、使用者による洗浄作業が完了して、操作レバー１３１を再び操作すると、その信号が制御部１５０に送信され、給水弁１９０が閉止されて（ステップＳ１１３）、導水路１２０ａへの洗浄水の導水が停止される。さらに、人体洗浄装置１００Ａは、再び待機状態になる（ステップＳ１１５）。
【００９３】
このような人体洗浄装置１００Ｂによれば、被洗浄者は、冷めた洗浄水を人体に受けることがなく、常時温かい洗浄水により人体が洗浄される。従って、被洗浄者の使用感が向上する。
【００９４】
次に、人体洗浄装置１００Ａ（または、人体洗浄装置１００Ｂ）に設けられている他の部材について補説する。
図１に示す収納部１６０は、その上面に設けられた開口部１６１と、その内部に設けられた収納孔１６３と、ハンドノズル１３０の吐水口１３５からの水を外部へ排出する排水路１６５と、を有する。ハンドノズル１３０は、使用されていないときには、その収納部１６０に収納されている。より具体的には、ハンドノズル１３０の少なくとも一部は、開口部１６１から挿入され、収納部１６０の内部、すなわち収納孔１６３に収納されている。なお、収納部１６０は、便器５００に付設されていてもよいし、あるいは便器５００に付設されていなくともよい。
【００９５】
ホース１２０は、その一端においてハンドノズル１３０に接続され、その他端においてケーシング１０１に接続されている。また、ホース１２０は、図１に表したように、所定の長さを有するため、介護者などはハンドノズル１３０の把持部１３７を手で持ちつつ、少なくとも吐水口１３５の部分を便座４００に座った被介護者の臀部や陰部近傍に移動させることができる。そして、介護者などは、ハンドノズル１３０の把持部１３７を手で持ち、操作レバー１３１を矢印Ａの方向に押しつつ、便座４００に座った被介護者の臀部や陰部の任意の位置にハンドノズル１３０を移動させて吐水させることにより、臀部や陰部の広い範囲を洗浄できる。また、前述したように、熱交換器１１０はヒータを有するため、本実施の形態にかかる人体洗浄装置１００Ａは、加熱された洗浄水を吐水できる。
【００９６】
ここで、ハンドノズル１３０の吐水口１３５は、便器５００の内部に挿入された状態で局部に洗浄水を噴射するため、吐水部１３６あるいはその近傍には汚水や汚物が付着するおそれがある。ハンドノズル１３０に汚水や汚物が付着したまま収納部１６０に収納され放置されると、汚水や汚物が固着するため衛生上好ましくない。
【００９７】
これに対して、本実施の形態にかかる人体洗浄装置１００Ａは、収納部１６０に収納された状態のハンドノズル１３０の少なくとも吐水部１３６を洗浄できる。ハンドノズル１３０の使用後には、そのハンドノズル１３０は、ほぼ必ず収納部１６０に収納される。そのため、本実施の形態にかかる人体洗浄装置１００Ａは、収納部１６０においてハンドノズル１３０を洗浄することにより、そのハンドノズル１３０を清潔な状態に確保することができる。
【００９８】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、ハンドノズル１３０などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや収納部１６０の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせ、複合させることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【００９９】
１００Ａ，１００Ｂ 人体洗浄装置、１０１ ケーシング、１０３，１０５ 継ぎ手、１１０ 熱交換器、１２０ ホース、１２０ａ 導水路、１２０ｂ 還流路、１３０ ハンドノズル、１３１ 操作レバー、１３１ａ 操作部、１３２ 軸、１３３ 開閉スイッチ、１３４ 太幅部、１３５ 吐水口、１３６ 吐水部、１３７ 把持部、１３８ 先端、１３９ａ，１３９ｃ 開閉弁、１４０ 分岐部、１５０ 制御部、１６０ 収納部、１６１ 開口部、１６３ 収納孔、１６５ 排水路、１７０ 着座センサ、１８０ 入室検知センサ、１９０ 給水弁、２００ ノズル先端部、２００ａ 主流路、３００ 便蓋、４００ 便座、５００ 便器
【技術分野】
【０００１】
本発明は、人体洗浄装置に関し、被洗浄者の人体を洗浄する人体洗浄装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
洋式腰掛便器に腰掛けた被洗浄者（例えば、被介護者）の「おしり」などを水で洗浄する場合には、温水洗浄便座装置の吐水ノズルを便器内に進出させ、便座に座った被洗浄者の「おしり」などに向けて水を噴射させる。そうすると、被洗浄者の局部を洗浄することができる。
【０００３】
しかしながら、排泄の際に、汚物が広い範囲に亘って付着すると、人体局部の洗浄を主な目的とした温水洗浄便座装置の吐水ノズルでは、十分に汚れを落とすことができない場合がある。これは、例えば、臀部（肛門周辺）の筋肉が弱く、その部分の肉が垂れ下がっている高齢者などが排泄を行った場合、あるいは被洗浄者が、失禁などのように、おむつを含む衣類を着衣した状態で排泄行為を行った場合などが挙げられる。あるいは、被洗浄者の着座位置がずれている場合にも、温水洗浄便座装置の吐水ノズルでは、十分に汚れを落とすことができない場合がある。
【０００４】
そこで、臀部や陰部の広い範囲を洗浄するために、例えば使用者などが容器を押すことにより洗浄水を任意の位置に吐水できるボトル式の洗浄容器がある。また、臀部や陰部の広い範囲を洗浄可能な局部洗浄装置が提案されている（例えば、特許文献１参照）。
【０００５】
しかしながら、便座に着座した状態で被洗浄者の臀部や陰部を洗える、手持ち式の洗浄ノズルは、一定長さ以上のホース（配管）を有するため、使い始めの際にはホース内などに溜まった冷水や不衛生な水が放出されることがある。この冷水等が被洗浄者にあたると、使用感を損ねてしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
【特許文献１】特開昭５８−１８１９３４号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
本発明の課題は、上記問題点を解決することであり、被洗浄者の使用感を向上させる人体洗浄装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明の一態様によれば、洗浄水を加熱する熱交換器と、洗浄水を吐水する吐水口と、前記吐水口に洗浄水を導く主流路と、を有するハンドノズルと、前記熱交換器と前記ハンドノズルとの間に接続され、前記熱交換器からの洗浄水を前記主流路に導く導水路と、前記導水路の少なくとも一部に残留していた洗浄水を外部に排出する還流路と、を有するホースと、を備え、前記導水路の少なくとも一部に残留していた洗浄水を前記還流路を介して外部に排出する第１の動作と、前記導水路から供給された洗浄水を前記主流路を介して前記吐水口から吐水させる第２の動作と、が実行可能とされたことを特徴とする人体洗浄装置が提供される。
【発明の効果】
【０００９】
本発明によれば、人体洗浄装置を使用した被洗浄者の使用感が向上する。
【図面の簡単な説明】
【００１０】
【図１】本実施の形態にかかる人体洗浄装置を備えたトイレ装置を例示する斜視模式図である。
【図２】トイレ装置に取り付けられたハンドノズルを表す斜視模式図である。
【図３】ハンドノズルの内部構成図である（その１）。
【図４】本実施の形態にかかる人体洗浄装置の構成を例示するブロック図である。
【図５】人体洗浄装置の操作を説明するためのフローチャートである（その１）。
【図６】人体洗浄装置の操作を説明するためのフローチャートである（その２）。
【図７】ハンドノズルの内部構成図である（その２）。
【図８】本実施の形態にかかる人体洗浄装置の変形例の構成を例示するブロック図である。
【図９】人体洗浄装置の操作を説明するためのフローチャートである（その３）。
【図１０】人体洗浄装置の操作を説明するためのフローチャートである（その４）。
【発明を実施するための形態】
【００１１】
第１の発明として、洗浄水を加熱する熱交換器と、洗浄水を吐水する吐水口と、前記吐水口に洗浄水を導く主流路と、を有するハンドノズルと、前記熱交換器と前記ハンドノズルとの間に接続され、前記熱交換器からの洗浄水を前記主流路に導く導水路と、前記導水路の少なくとも一部に残留していた洗浄水を外部に排出する還流路と、を有するホースと、を備え、前記導水路の少なくとも一部に残留していた洗浄水を前記還流路を介して外部に排出する第１の動作と、前記導水路から供給された洗浄水を前記主流路を介して前記吐水口から吐水させる第２の動作と、が実行可能とされたことを特徴とする人体洗浄装置が提供される。
これにより、導水路の少なくとも一部に残存する洗浄水を導水路外へ導水することができると共に、導水路から供給された洗浄水を主流路を介して吐水口から吐水させることができる。
【００１２】
また、第２の発明として、第１の発明において、前記主流路と前記導水路と前記還流路との間に三方式開閉弁が設けられ、前記第１の動作において、前記三方式開閉弁により、前記導水路と前記還流路とが連通され、前記主流路と前記導水路とは遮断され、前記第２の動作において、前記三方式開閉弁により、前記導水路と前記還流路とが遮断され、前記主流路と前記導水路とは連通される。
これにより、導水路と還流路との間に設けられた三方式の開閉弁により、第１の動作と第２の動作を切り替えることができる。
【００１３】
また、第３の発明として、第１の発明において、前記還流路の出口または前記還流路に第１の開閉弁が設けられ、前記第１の動作において、前記第１の開閉弁は開いた状態とされ、前記第２の動作において、前記第１の開閉弁は閉じた状態とされる。
これにより、還流路の出口または還流路に介設された開閉弁により、第１の動作と第２の動作を切り替えることができる。
【００１４】
また、第４の発明として、第１〜第３の発明のいずれかにおいて、前記主流路に第２の開閉弁が設けられ、前記第１の動作において、前記第２の開閉弁は閉じた状態とされ、前記第２の状態においておいて、前記第２の開閉弁は開いた状態とされる。
これにより、ハンドノズル内の第２の開閉弁を開閉することにより、洗浄水を吐水口から吐水させたり止水させたりすることができる。
【００１５】
また、第５の発明として、第１〜第４の発明のいずれかにおいて、前記還流路を介して排出された洗浄水は、便器内へ排水される。
これにより、還流路を介して排出された洗浄水を便器内へ排水することができる。
【００１６】
また、第６の発明として、第１〜第５の発明のいずれかにおいて、便座への人体の着座を検知する着座センサと、前記着座センサからの信号を検知する制御部と、を備え、前記制御部は、前記着座センサが人体の着座を検知すると、前記第１の動作を実行する。
これにより、制御部が着座センサにより人体の着座を検知すると、洗浄水を導水路から排出することができる。
【００１７】
また、第７の発明として、第１〜第６の発明のいずれかにおいて、トイレ室への人体の入室を検知する入室検知センサと、前記入室検知センサからの検知信号を検知する制御部と、を備え、前記制御部は、前記入室検知センサが人体の入室を検知すると、前記第１の動作を実行する。
これにより、制御部が入室検知センサにより人体の入室を検知すると、洗浄水を導水路から排出することができる。
【００１８】
また、第８の発明として、第１〜第７の発明のいずれかにおいて、前記制御部は、使用者の前記ハンドノズルの操作を検知すると、前記第１の動作を実行する。
これにより、制御部が使用者のハンドノズルの操作を検知すると、洗浄水を導水路から排出することができる。
【００１９】
また、第９の発明として、第６〜第８の発明のいずれかにおいて、前記制御部は、前記第１の動作を実行してから、所定時間経過後に前記洗浄水の排水を閉止する。
これにより、制御部は、洗浄水を導水路から排出してから所定時間経過後に洗浄水の排水を閉止することができる。
【００２０】
また、第１０の発明として、第６〜第８の発明のいずれかにおいて、前記導水路及び前記還流路の少なくともいずれかに、前記洗浄水の温度を検知する温度センサが設けられ、前記温度センサの検知結果が所定温度以上となった場合には、前記制御部は、前記洗浄水の排水を閉止させる。
これにより、主流路及び還流路の少なくともいずれかに設けられた温度センサが設けられ、主流路及び還流路の少なくともいずれかの温度センサの検知結果が所定温度以上となった場合には、制御部は、洗浄水の排水を閉止させることができる。
【００２１】
また、第１１の発明として、第８の発明において、前記制御部が前記洗浄水の排水を閉止させるのとほぼ同時に、前記第２の動作を実行可能とする。
これにより、制御部が使用者のハンドノズルの操作を検知し、洗浄水が導水路から排出されるのが閉止されるのとほぼ同時に、第２の動作が実行可能となる。
【００２２】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図１は、本実施の形態にかかる人体洗浄装置を備えたトイレ装置を例示する斜視模式図である。また、図２は、トイレ装置に取り付けられたハンドノズルを表す斜視模式図である。
【００２３】
図１に表したトイレ装置は、洋式腰掛け便器（以下、説明の便宜上、単に「便器」と称する）５００と、その上に設けられた人体洗浄装置１００Ａと、便蓋３００と、便座４００と、を備える。便蓋３００および便座４００は、例えば人体洗浄装置１００Ａに対して開閉自在に軸支されている。また、便器５００の洗浄機構としては、いわゆる「ロータンク式」でもよく、あるいはロータンクを用いない「水道直圧式」であってもよく、その他の各種の洗浄機構を採用することができる。なお、便座４００としては、所謂Ｏ型のものを例示しているが、Ｕ型であってもよい。
【００２４】
本実施の形態にかかる人体洗浄装置１００Ａは、水の温度を調節する熱交換器（温度調節器）１１０と、熱交換器１１０からの水を導水するホース１２０と、ホース１２０の一端に取り付けられたハンドノズル１３０と、ハンドノズル１３０を収納する収納部１６０と、を有する。熱交換器１１０は、人体洗浄装置１００Ａのケーシング１０１内に設けられたタンクと、その中に貯留された水を加熱する図示しないヒータと、を有する。そして、熱交換器１１０により加熱された洗浄水は、ホース１２０を介してハンドノズル１３０に供給される。
【００２５】
なお、本発明は、タンクに貯留された水をヒータで加熱する、いわゆる「貯湯式」の熱交換器１１０を有するものには限定されない。例えば、供給された水を瞬間的に温めて送出する、いわゆる「瞬間式」の熱交換器１１０を有するものも、本発明の範囲に包含される。また、本実施の形態において「水」という場合には、加熱されたお湯も含むものとする。
【００２６】
また、本実施の形態にかかる人体洗浄装置１００Ａは、便座４００への被洗浄者の着座を検知する着座センサ１７０と、トイレ室への被洗浄者の入室を検知する入室検知センサ１８０と、制御部１５０と、をさらに有する。着座センサ１７０および入室検知センサ１８０としては、例えば、焦電センサや、測距センサなどの赤外線投光式のセンサ、超音波センサ、またはドップラーセンサなどのマイクロ波センサなどを用いることができる。なお、焦電センサは、被洗浄者の接近を迅速に検知できる点で入室検知センサ１８０により適している。そして、着座センサ１７０は、便座４００への被洗浄者の着座を検知すると、制御部１５０に検知信号を送信できる。これと同様に、入室検知センサ１８０は、トイレ室への被洗浄者の入室を検知すると、制御部１５０に検知信号を送信できる。
【００２７】
そして、この人体洗浄装置１００Ａでは、ホース１２０内で冷めたり、あるいは不衛生である洗浄水（以下、単に冷めた洗浄水とする）を便器５００内に排水可能な機能を備えている。
【００２８】
まず、ホース１２０内には、加熱された洗浄水をハンドノズル１３０にまで導く導水路と、冷めた洗浄水を便器５００内に排水する還流路と、が設けられている。すなわち、ホース１２０は、複数の流路を備えている。
【００２９】
図２に示すハンドノズル１３０は、把持部１３７と、把持部１３７に太幅部１３４を介して接続されたノズル先端部２００を含む構成をしている。そして、操作レバー１３１を操作することにより、ノズル先端部２００の吐水口１３５から洗浄水を吐水させることができる。
【００３０】
具体的には、ハンドノズル１３０の内部に開閉弁（第２の開閉弁：図２では不図示）を内蔵し、当該開閉弁により、洗浄水の吐水および止水が切り替えられる。さらに、ハンドノズル１３０は、ハンドノズル１３０内に設けられた開閉弁を開閉させる操作レバー１３１と、ハンドノズル１３０の先端部に設けられた吐水部１３６と、を有する。操作レバー１３１は、ハンドノズル１３０の把持部１３７に設けられている。そして、把持部１３７に太幅部（支持部）１３４を連結して、太幅部１３４からノズル先端部２００を延出している。
【００３１】
また、ノズル先端部２００の吐水部１３６には、洗浄水を吐水可能にする吐水口１３５が設けられている。そして、吐水口１３５と前記開閉弁とは、ハンドノズル１３０の内部に設けた主流路により連通している。
【００３２】
また、操作レバー１３１は、軸１３２において回動自在に軸支されており、その裏面側には開閉スイッチ１３３が設けられている。開閉スイッチ１３３は、図示しないばね等により矢印Ａとは反対方向に付勢されている。これと同様に、操作レバー１３１は開閉スイッチ１３３により矢印Ａとは反対方向に付勢されている。
【００３３】
例えば、使用者（例えば、介護者）などが操作レバー１３１を矢印Ａの方向に押すと、開閉スイッチ１３３は操作レバー１３１により矢印Ａの方向に押される。そうすると、例えばハンドノズル１３０内に設けられた開閉弁が開放され、洗浄水が上記主流路を通じて、吐水口１３５から噴射される。あるいは、操作レバー１３１を操作すると、電気的な信号が制御部１５０に送信されるようにしてもよい。
一方、使用者などが操作レバー１３１から手を離すと、操作レバー１３１および開閉スイッチ１３３は、矢印Ａとは反対方向に付勢されているため、矢印Ａとは反対方向に押し上げられる。そうすると、上記開閉弁は閉止され、吐水口１３５からの洗浄水の噴射は停止される。
【００３４】
このように、ハンドノズル１３０の把持部１３７には、吐水口１３５からの吐水または止水を切り替える切替手段が設けられている。
また、上記開閉弁は、制御部１５０からの制御信号により適宜開閉することも可能である。
【００３５】
次に、本実施の形態にかかる人体洗浄装置１００Ａの構成の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図３は、ハンドノズルの内部構成図である。
上述したように、ハンドノズル１３０は、把持部１３７と、把持部１３７に太幅部１３４を介して接続されたノズル先端部２００を含む構成をしている。
【００３６】
そして、把持部１３７内部からノズル先端部２００の先端方向にかけては、吐水口１３５に連通する主流路２００ａが設けられている。さらに、主流路２００ａには、吐止水機能を備えた操作部（切替弁）１３１ａが介設されている。
【００３７】
また、吐水口１３５とは反対側の主流路２００ａの端には、三方式の開閉弁（三方式開閉弁）１３９ａが取り付けられている。さらに、この開放弁（切替弁）１３９ａには、導水路１２０ａと還流路１２０ｂとが接続されている。
【００３８】
ここで、導水路１２０ａは、ハンドノズル１３０本体に洗浄水を導水する経路となり、開閉弁１３９ａの手前まで配設されている。また、還流路１２０ｂは、人体洗浄装置に設けられた熱交換器（後述）から、ハンドノズル１３０本体の導水路１２０ａ及びホース（後述）内の導水路１２０ａの内部の少なくとも一部に残存する、冷めた洗浄水を、ハンドノズル１３０の外部に排出する経路となる。また、ハンドノズル１３０外の導水路１２０ａ及び還流路１２０ｂは、ホース内に収納されている。
【００３９】
また、三方式の開閉弁１３９ａは、導水路１２０ａより導入された洗浄水を、主流路２００ａあるいは還流路１２０ｂのいずれかに流出させることができる切替弁である。すなわち、開閉弁１３９ａを主流路２００ａと導水路１２０ａと還流路１２０ｂとの間に設けることにより、導水路１２０ａと還流路１２０ｂとを連通し、主流路２００ａと導水路１２０ａとを遮断することができ、あるいは、導水路１２０ａと還流路１２０ｂとを遮断し、主流路２００ａと導水路１２０ａとを連通させることもできる。
【００４０】
また、操作部１３１ａは、主流路２００ａに導水された洗浄水の吐水もしくは止水を操作する機能部である。なお、操作部１３１ａは、手動によって操作されてもよく、自動的に操作されてもよい。
例えば、手動の場合には、使用者がレバー状の操作レバー１３１を操作することにより、把持部１３７の内部に設けられた操作部１３１ａが作動して、ノズル先端部２００の吐水口１３５から洗浄水を吐水させることができる。なお、この操作の前には予め、導水路１２０ａの内部に残存する洗浄水がハンドノズル１３０の外部に排出されて、導水路１２０ａ内が温かい、清潔な洗浄水に置換されている（後述）。
【００４１】
図４は、本実施の形態にかかる人体洗浄装置の構成を例示するブロック図である。なお、便蓋３００、便座４００については表示していない。
【００４２】
人体洗浄装置１００Ａでは、給水源としての水道水（以下、水）が継ぎ手１０３を通じて、給水弁１９０に供給される。給水弁１９０は、ハンドノズル１３０及び熱交換器１１０よりも上流側に設けられ、制御部１５０からの制御信号に応じて開閉できる。給水弁１９０が開放されている場合には、熱交換器のタンクに水が供給され、給水弁１９０が閉止されている場合には、熱交換器のタンクへの水の供給は停止される。
【００４３】
続いて、水が給水弁１９０を介して熱交換器１１０に供給されると、熱交換器１１０に貯留され加熱されていた洗浄水は、継ぎ手１０５を通じてホース１２０内の導水路１２０ａに押し出されて供給される。熱交換器１１０は、制御部１５０により制御されている。そして、導水路１２０ａに供給された水は、ハンドノズル１３０内の三方式の開閉弁１３９ａまで供給される。
なお、継ぎ手１０３、給水弁１９０、熱交換器１１０及び継ぎ手１０５は、人体洗浄装置１００Ａに内設したパイプを通じて直列状に連結している。
【００４４】
そして、開閉弁１３９ａが制御部１５０により制御されて、主流路２００ａと導水路１２０ａとが連通状態になると、ハンドノズル１３０の吐水口１３５から洗浄水が吐水可能となる。すなわち、この状態で操作部１３１ａを開状態にすると、吐水口１３５から洗浄水が吐水される。
【００４５】
一方、開閉弁１３９ａが制御部１５０により制御されて、導水路１２０ａと還流路１２０ｂとが連通状態になると、導水路１２０ａ内に残存する洗浄水が還流路１２０ｂを通じて便器５００内に排出される。また逆に、開閉弁１３９ａが制御部１５０により制御されて、導水路１２０ａと還流路１２０ｂとが不通状態になると、前述した洗浄水の排出が停止する。
洗浄水を吐水口１３５から吐水させる前に、前述した排水を実施しておけば、導水路１２０ａ内は、新たな洗浄水で置換されてることから、導水路１２０ａ内は、常時、温かく、清潔な洗浄水で充填されていることになる。
【００４６】
このように、人体洗浄装置１００Ａは、導水路１２０ａの少なくとも一部に残留していた洗浄水を還流路１２０ｂを介して外部に排出する第１の動作と、導水路１２０ａから供給された洗浄水を主流路２００ａを介して吐水口１３５から吐水させる第２の動作と、が実行可能となっている。
【００４７】
なお、還流路１２０ｂの何れかの箇所には、一方弁（逆流防止弁）を介設してもよい。これにより、残水の主流路への逆流を確実に防止できる。
【００４８】
また、ハンドノズル１３０を収納部１６０に収納した状態で、吐水口１３５から洗浄水が吐水されると、その洗浄水は、収納孔１６３（図１参照）に一時貯留される。このとき、ハンドノズル１３０の先端１３８は、収納孔１６３の底面には当接しておらず、離間しているため、収納孔１６３に一時貯留された洗浄水は、滞留することなく排水路１６５から便器５００内に排出される。そのため、ハンドノズル１３０の清潔な状態を確保することができる。
【００４９】
また、本具体例では、水道の圧力を利用して熱交換器１１０に水を供給する場合を例に挙げて説明したが、これだけに限定されず、給水ポンプを設けてもよい。これによれば、水道の圧力だけではなく、給水ポンプによって与えられた圧力を利用して熱交換器１１０に水を供給することができる。
【００５０】
次に、人体洗浄装置１００Ａの操作の具体例について説明する。
最初に、人体洗浄装置１００Ａの第１の操作方法の具体例について説明する。
図５は、人体洗浄装置の操作を説明するためのフローチャートである。
【００５１】
まず、人体洗浄装置１００Ａは待機（スタンドバイ）状態にあるとする（ステップＳ１０１）。この段階では、ホース１２０内の導水路１２０ａに残存する洗浄水は、熱交換器１１０により加熱された温度よりも、冷めているとする。
【００５２】
続いて、被洗浄者が人体洗浄装置１００Ａが配置されている部屋に入室したり、人体洗浄装置１００Ａの便座４００に着座したりすると、着座センサ１７０または入室検知センサ１８０が被洗浄者を検知する（ステップＳ１０３）。すなわち、人体検知がなされる。
【００５３】
続いて、上記検知に基づき、制御部１５０により給水弁１９０が開放される（ステップＳ１０５）。あるいは、人体洗浄装置１００Ａに、上記給水ポンプが設けられている場合には、制御部１５０は給水ポンプを駆動させる（ステップＳ１０５）。
【００５４】
続いて、制御部１５０により、開閉弁１３９ａが制御されて、ホース１２０内の導水路１２０ａと還流路１２０ｂとが連通状態になる（ステップＳ１０７）。これにより、導水路１２０ａ内に残存する洗浄水（冷めた洗浄水）が還流路１２０ｂを通じて便器５００内に排出される。すなわち、導水路１２０ａ内に残存する冷めた洗浄水が熱交換器１１０により加熱された洗浄水（温かい洗浄水）により置換され始める。
【００５５】
続いて、洗浄水を便器５００内に排出してからタイマ制御により所定の時間を経過後（ステップＳ１０９）、あるいは、実際に洗浄水が置換されることにより還流路１２０ｂ内の水温が所定の温度以上に到達後（ステップＳ１０９）、開閉弁１３９ａが制御部１５０により制御されて、導水路１２０ａと還流路１２０ｂとが不通状態になる（ステップＳ１１１）。さらに、給水弁１９０が閉止されて（ステップＳ１１３）、導水路１２０ａへの洗浄水の導水が停止される。
これにより、導水路１２０ａ内は、温かい洗浄水に置換される。
【００５６】
そして、再び、人体洗浄装置１００Ａは待機状態になる（ステップＳ１１５）。この後、使用者がハンドノズル１３０の操作レバー１３１を操作することにより、その信号が制御部１５０に送信され、ハンドノズル１３０内の主流路２００ａと導水路１２０ａとが連通状態になる。そして、使用者の操作により、操作部１３１ａが開状態となり、吐水口１３５から温かい温水を直ちに噴射させ、被洗浄者の身体を洗浄することができる。本具体例によれば、使用者の人体を検知して、自動的に導水路１２０ａ内を温かい洗浄水に置換することができる。
なお、以上説明した具体例において、センサによる検知（ステップＳ１０３）の代わりに、例えば、使用者が所定のスイッチなどを操作することにより、ステップＳ１０５に進むようにしてもよい。つまり、捨て水動作のトリガとして、センサによる人体の検知の代わりに、使用者のスイッチ入力を採用することもできる。
【００５７】
またさらに、開閉弁１３９ａを例えばハンドノズル１３０に設けられた切替スイッチ（図示せず）等より操作できるようにしてもよい。この場合には、使用者が切替スイッチ等を操作することにより、導水路１２０ａと還流路１２０ｂとを連通させて、随時、冷水を温水に置換することができる。その後、使用者が操作レバー１３１を操作して、導水路１２０ａと主流路２００ａとを連通させることにより、吐水口１３５から温かい洗浄水を吐水させることができる。
【００５８】
次に、人体洗浄装置１００Ａの第２の操作方法の具体例について説明する。
図６は、人体洗浄装置の操作を説明するためのフローチャートである。
まず、人体洗浄装置１００Ａは待機状態にあるとする（ステップＳ１０１）。この段階では、ホース１２０内の導水路１２０ａに残存する洗浄水は、熱交換器１１０により加熱された温度よりも、冷めているとする。
【００５９】
この状態において、使用者がハンドノズル１３０の操作レバー１３１（図２参照）を操作する（ステップＳ１０３）。すなわち、使用者が操作レバー１３１を操作して開閉スイッチ１３３（図２参照）を押す。
【００６０】
上記操作に基づき、制御部１５０に信号が送信される。すると、制御部１５０により給水弁１９０が開放される（ステップＳ１０５）。あるいは、人体洗浄装置１００Ａに、上記給水ポンプが設けられている場合には、制御部１５０は給水ポンプを駆動させる（ステップＳ１０５）。
【００６１】
続いて、制御部１５０により、開閉弁１３９ａが制御されて、ホース１２０内の導水路１２０ａと還流路１２０ｂとが連通状態になる（ステップＳ１０７）。これにより、導水路１２０ａ内に残存する洗浄水（冷めた洗浄水）が還流路１２０ｂを通じて便器５００内に排出される。すなわち、導水路１２０ａ内に残存する冷めた洗浄水が熱交換器１１０により加熱された洗浄水（温かい洗浄水）により置換され始める。
【００６２】
続いて、洗浄水を便器５００内に排出開始してからタイマ制御により所定の時間を経過後（ステップＳ１０９）、あるいは、実際に洗浄水が置換されることにより還流路１２０ｂ内の水温が所定の温度以上に到達後（ステップＳ１０９）、開閉弁１３９ａが制御部１５０により制御されて、導水路１２０ａと還流路１２０ｂとの間が不通状態になり（ステップＳ１１１ａ）、それとほぼ同時に、操作部１３１ａが開状態となって（ステップＳ１１１ｂ）、吐水口１３５から温かい洗浄水を吐水開始させることができる（ステップＳ１１１ｃ）。
【００６３】
そして、使用者による洗浄作業が完了して、操作レバー１３１を再び操作すると、その信号が制御部１５０に送信され、給水弁１９０が閉止されて（ステップＳ１１３）、導水路１２０ａへの洗浄水の導水が停止される。さらに、人体洗浄装置１００Ａは、再び待機状態になる（ステップＳ１１５）。
本具体例によれば、使用者が操作レバー１３１を操作して洗浄を開始するたびに、導水路１２０ａが自動的に温かな洗浄水により置換される。
【００６４】
なお、図５及び図６に関して前述した具体例において、第１及び第２の操作方法における所定の時間は、導水路１２０ａ内に残存する冷めた洗浄水を熱交換器１１０からの温かい洗浄水に置換するために必要な排出量を事前に把握しておき、その置換量から適当な時間が決定される。
【００６５】
あるいは、所定時間経過後に主流路２００ａへの導水と還流路１２０ｂへの導水が切り替わるのではなく、還流路１２０ｂ内の水温が還流路１２０ｂ内の任意の箇所に設けられた温度センサによって検知されることにより決定され、検知された温度が所定の温度以上となったときに、主流路２００ａへの導水と還流路１２０ｂへの導水が切り替わることとしてもよい。
【００６６】
このように、人体洗浄装置１００Ａは、洗浄水の温度調節を行う温度調節器と、吐水口１３５並びに吐水口１３５からの洗浄水の吐水もしくは止水を切り替える操作手段と、を有するハンドノズル１３０と、を備えている。
【００６７】
そして、温度調節器により温度が調節された洗浄水は、ハンドノズル１３０の吐水口１３５にまで主流路を通じて導水される。また、導水路の少なくとも一部に残存する洗浄水が導水路外へ還流路を通じて導水される。
【００６８】
すなわち、人体洗浄装置１００Ａは、主流路への導水と還流路への導水とを切り替える切替手段と、を備えている。そして、この切替は、三方式の開閉弁により行われる。
【００６９】
また、人体洗浄装置１００Ａは、便座への被介護者の着座を検知する着座センサ１７０と、着座センサ１７０からの検知信号に基づいて給水弁１９０の開閉を制御する制御部と、を備えている。そして、着座センサ１７０が被介護者の着座を検知すると、制御部は、給水弁１９０を開放して主流路に洗浄水を導水すると共に、還流路への導水をする。
【００７０】
また、人体洗浄装置１００Ａは、トイレ室への被介護者の入室を検知する入室検知センサ１８０と、入室検知センサ１８０からの検知信号に基づいて給水弁１９０の開閉を制御する制御部と、を備えている。そして、入室検知センサ１８０が被介護者の入室を検知すると、制御部は、給水弁１９０を開放して導水路に洗浄水を導水すると共に、還流路への導水を行い、冷めた洗浄水を置換することができる。
【００７１】
また、人体洗浄装置１００Ａは、制御部によって給水弁１９０を開放させてから所定時間経過後、または所定温度到達後に給水弁１９０を閉止させることができる。
また、人体洗浄装置１００Ａは、制御部によって給水弁１９０が開放させてから所定時間経過後、または所定温度到達後に、主流路への導水と還流路への導水とが切り替えられる。
【００７２】
このような人体洗浄装置１００Ａによれば、被洗浄者は、冷めた洗浄水を人体に受けることがなく、常時温かい洗浄水により人体が洗浄される。従って、被洗浄者の使用感が向上する。
【００７３】
次に、本実施の形態にかかる人体洗浄装置の変形例について説明する。なお、以下の説明では、図１〜図４と同一の部材には同一の符号を付し、その詳細の説明については省略する。
図７は、ハンドノズルの内部構成図である。
ハンドノズル１３０は、把持部１３７と、把持部１３７に太幅部１３４を介して接続されたノズル先端部２００を含む構成をしている。
【００７４】
そして、把持部１３７内部からノズル先端部２００の先端方向にかけては、吐水口１３５に連通する主流路２００ａが設けられている。さらに、主流路２００ａには、操作部１３１ａが介設されている。
【００７５】
また、操作部１３１ａの手前の主流路２００ａには分岐部１４０が設けられ、この分岐部１４０に導水路１２０ａが接続されている。すなわち、主流路２００ａと導水路１２０ａとにより、Ｔ字路を形成している。また、吐水口１３５とは反対側の主流路２００ａの端には、還流路１２０ｂが接続されている。そして、この還流路１２０ａの出口側には、別の開放弁が設けられている（後述）。
【００７６】
図８は、本実施の形態にかかる人体洗浄装置の変形例の構成を例示するブロック図である。なお、便蓋３００、便座４００については表示していない。
人体洗浄装置１００Ｂでは、還流路１２０ｂの出口側に開閉弁（第１の開閉弁）１３９ｃを備え、当該開閉弁１３９ｃを開状態にすることにより、導水路１２０ａに残存する冷めた洗浄水を便器５００内に排出することができる。なお、開閉弁１３９ｃについては、還流路１２０ｂの中途に介設してもよい。
【００７７】
例えば、人体洗浄装置１００Ｂでは、水が給水弁１９０を介して熱交換器１１０に供給されると、熱交換器１１０に貯留され加熱されていた洗浄水が継ぎ手１０５を通じてホース１２０内の導水路１２０ａに供給される。そして、導水路１２０ａに導水された洗浄水は、ハンドノズル１３０内の操作部１３１ａまで供給される。
【００７８】
そして、使用者の操作により、操作部１３１ａが開状態になると、主流路２００ａと導水路１２０ａとが通水可能状態になり、ハンドノズル１３０の吐水口１３５から洗浄水が吐水される。
【００７９】
一方、操作部１３１ａを閉状態とし、開閉弁１３９ｃが制御部１５０により制御されて開状態となると、導水路１２０ａと還流路１２０ｂとが通水可能になって、導水路１２０ａ内に残存する洗浄水が還流路１２０ｂを通じて便器５００内に排出される。逆に、開閉弁１３９ｃが閉状態になると、導水路１２０ａと還流路１２０ｂとが通水不能になり、前述した洗浄水の排出が停止する。
洗浄水を吐水口１３５から吐水させる前に、前述した排水を実施しておけば、導水路１２０ａ内は、新たな洗浄水で常時、置換されてることになる。
なお、還流路１２０ｂの何れかの箇所には、一方弁（逆流防止弁）を介設してもよい。これにより、残水の主流路への逆流を確実に防止できる。
【００８０】
次に、人体洗浄装置１００Ｂの操作の具体例について説明する。
最初に、人体洗浄装置１００Ｂの第１の操作方法の具体例について説明する。
図９は、人体洗浄装置の操作を説明するためのフローチャートである。
【００８１】
まず、人体洗浄装置１００Ｂは待機状態にあるとする（ステップＳ１０１）。この段階では、ホース１２０内の導水路１２０ａに残存する洗浄水は、熱交換器１１０により加熱された温度よりも、冷めているとする。
この状態において、被洗浄者が人体洗浄装置１００Ｂが配置されている部屋に入室したり、人体洗浄装置１００Ｂの便座４００に着座したりすると、着座センサ１７０または入室検知センサ１８０が被洗浄者を検知する（ステップＳ１０３）。すなわち、人体検知がなされる。
【００８２】
続いて、上記検知に基づき、制御部１５０により給水弁１９０が開放される（ステップＳ１０５）。あるいは、人体洗浄装置１００Ｂに、上記給水ポンプが設けられている場合には、制御部１５０は給水ポンプを駆動させる（ステップＳ１０５）。
【００８３】
続いて、制御部１５０により、操作部１３１ａが閉状態、開閉弁１３９ｃが開状態に制御されて、洗浄水が導水路１２０ａと還流路１２０ｂとを介して流通可能になる（ステップＳ１０７）。これにより、導水路１２０ａ内に残存する冷めた洗浄水が還流路１２０ｂを通じて便器５００内に排出される。すなわち、導水路１２０ａ内に残存する冷めた洗浄水が熱交換器１１０により加熱された温かい洗浄水により置換され始める。
【００８４】
続いて、洗浄水を便器５００内に排出してからタイマ制御により所定の時間を経過後（ステップＳ１０９）、あるいは、実際に洗浄水が置換されることにより還流路１２０ｂ内の水温が所定の温度以上に到達後（ステップＳ１０９）、開閉弁１３９ｃが制御部１５０により制御されて閉状態になり（ステップＳ１１１）、洗浄水の上記流通が不通になる。これにより、導水路１２０ａ内は、温かい洗浄水に置換される。
【００８５】
この状態で、使用者がハンドノズル１３０の操作レバー１３１を操作すると、操作部１３１ａが開状態となり、吐水口１３５から温かい洗浄水を吐水させることができる。
【００８６】
そして、使用者による洗浄作業が完了して、操作レバー１３１を再び操作すると、その信号が制御部１５０に送信され、給水弁１９０が閉止されて（ステップＳ１１３）、導水路１２０ａへの洗浄水の導水が停止される。さらに、人体洗浄装置１００Ａは、再び待機状態になる（ステップＳ１１５）。
【００８７】
次に、人体洗浄装置１００Ｂの第２の操作方法の具体例について説明する。
図１０は、人体洗浄装置の操作を説明するためのフローチャートである。
まず、人体洗浄装置１００Ｂは待機状態にあるとする（ステップＳ１０１）。この段階では、ホース１２０内の導水路１２０ａに残存する洗浄水は、熱交換器１１０により加熱された温度よりも、冷めているとする。
【００８８】
この状態において、使用者がハンドノズル１３０の操作レバー１３１を操作する（ステップＳ１０３）。すなわち、使用者が操作レバー１３１を操作して、開閉スイッチ１３３を押す。
【００８９】
この操作により、制御部１５０に信号が送信される。すると制御部１５０により給水弁１９０が開放される（ステップＳ１０５）。あるいは、人体洗浄装置１００Ｂに、上記給水ポンプが設けられている場合には、制御部１５０は給水ポンプを駆動させる（ステップＳ１０５）。
【００９０】
続いて、制御部１５０により、操作部１３１ａが閉状態、開閉弁１３９ｃが開状態に制御されて、洗浄水が導水路１２０ａと還流路１２０ｂとを介して流通可能になる（ステップＳ１０７）。これにより、導水路１２０ａ内に残存する冷めた洗浄水が還流路１２０ｂを通じて便器５００内に排出される。すなわち、導水路１２０ａ内に残存する冷めた洗浄水が熱交換器１１０により加熱された温かい洗浄水により置換され始める。
【００９１】
続いて、洗浄水を便器５００内に排出してからタイマ制御により所定の時間を経過後（ステップＳ１０９）、あるいは、実際に洗浄水が置換されることにより還流路１２０ｂ内の水温が所定の温度以上に到達後（ステップＳ１０９）、制御部１５０により開閉弁１３９ｃが閉状態となり（ステップＳ１１１ａ）、それとほぼ同時に、操作部１３１ａが開状態となって（ステップＳ１１１ｂ）、吐水口１３５から温かい洗浄水を吐水開始させることができる（ステップＳ１１１ｃ）。
【００９２】
そして、使用者による洗浄作業が完了して、操作レバー１３１を再び操作すると、その信号が制御部１５０に送信され、給水弁１９０が閉止されて（ステップＳ１１３）、導水路１２０ａへの洗浄水の導水が停止される。さらに、人体洗浄装置１００Ａは、再び待機状態になる（ステップＳ１１５）。
【００９３】
このような人体洗浄装置１００Ｂによれば、被洗浄者は、冷めた洗浄水を人体に受けることがなく、常時温かい洗浄水により人体が洗浄される。従って、被洗浄者の使用感が向上する。
【００９４】
次に、人体洗浄装置１００Ａ（または、人体洗浄装置１００Ｂ）に設けられている他の部材について補説する。
図１に示す収納部１６０は、その上面に設けられた開口部１６１と、その内部に設けられた収納孔１６３と、ハンドノズル１３０の吐水口１３５からの水を外部へ排出する排水路１６５と、を有する。ハンドノズル１３０は、使用されていないときには、その収納部１６０に収納されている。より具体的には、ハンドノズル１３０の少なくとも一部は、開口部１６１から挿入され、収納部１６０の内部、すなわち収納孔１６３に収納されている。なお、収納部１６０は、便器５００に付設されていてもよいし、あるいは便器５００に付設されていなくともよい。
【００９５】
ホース１２０は、その一端においてハンドノズル１３０に接続され、その他端においてケーシング１０１に接続されている。また、ホース１２０は、図１に表したように、所定の長さを有するため、介護者などはハンドノズル１３０の把持部１３７を手で持ちつつ、少なくとも吐水口１３５の部分を便座４００に座った被介護者の臀部や陰部近傍に移動させることができる。そして、介護者などは、ハンドノズル１３０の把持部１３７を手で持ち、操作レバー１３１を矢印Ａの方向に押しつつ、便座４００に座った被介護者の臀部や陰部の任意の位置にハンドノズル１３０を移動させて吐水させることにより、臀部や陰部の広い範囲を洗浄できる。また、前述したように、熱交換器１１０はヒータを有するため、本実施の形態にかかる人体洗浄装置１００Ａは、加熱された洗浄水を吐水できる。
【００９６】
ここで、ハンドノズル１３０の吐水口１３５は、便器５００の内部に挿入された状態で局部に洗浄水を噴射するため、吐水部１３６あるいはその近傍には汚水や汚物が付着するおそれがある。ハンドノズル１３０に汚水や汚物が付着したまま収納部１６０に収納され放置されると、汚水や汚物が固着するため衛生上好ましくない。
【００９７】
これに対して、本実施の形態にかかる人体洗浄装置１００Ａは、収納部１６０に収納された状態のハンドノズル１３０の少なくとも吐水部１３６を洗浄できる。ハンドノズル１３０の使用後には、そのハンドノズル１３０は、ほぼ必ず収納部１６０に収納される。そのため、本実施の形態にかかる人体洗浄装置１００Ａは、収納部１６０においてハンドノズル１３０を洗浄することにより、そのハンドノズル１３０を清潔な状態に確保することができる。
【００９８】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、ハンドノズル１３０などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや収納部１６０の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせ、複合させることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【００９９】
１００Ａ，１００Ｂ 人体洗浄装置、１０１ ケーシング、１０３，１０５ 継ぎ手、１１０ 熱交換器、１２０ ホース、１２０ａ 導水路、１２０ｂ 還流路、１３０ ハンドノズル、１３１ 操作レバー、１３１ａ 操作部、１３２ 軸、１３３ 開閉スイッチ、１３４ 太幅部、１３５ 吐水口、１３６ 吐水部、１３７ 把持部、１３８ 先端、１３９ａ，１３９ｃ 開閉弁、１４０ 分岐部、１５０ 制御部、１６０ 収納部、１６１ 開口部、１６３ 収納孔、１６５ 排水路、１７０ 着座センサ、１８０ 入室検知センサ、１９０ 給水弁、２００ ノズル先端部、２００ａ 主流路、３００ 便蓋、４００ 便座、５００ 便器
【特許請求の範囲】
【請求項１】
洗浄水を加熱する熱交換器と、
洗浄水を吐水する吐水口と、前記吐水口に洗浄水を導く主流路と、を有するハンドノズルと、
前記熱交換器と前記ハンドノズルとの間に接続され、前記熱交換器からの洗浄水を前記主流路に導く導水路と、前記導水路の少なくとも一部に残留していた洗浄水を外部に排出する還流路と、を有するホースと、
を備え、
前記導水路の少なくとも一部に残留していた洗浄水を前記還流路を介して外部に排出する第１の動作と、
前記導水路から供給された洗浄水を前記主流路を介して前記吐水口から吐水させる第２の動作と、
が実行可能とされたことを特徴とする人体洗浄装置。
【請求項２】
前記主流路と前記導水路と前記還流路との間に三方式開閉弁が設けられ、
前記第１の動作において、前記三方式開閉弁により、前記導水路と前記還流路とが連通され、前記主流路と前記導水路とは遮断され、
前記第２の動作において、前記三方式開閉弁により、前記導水路と前記還流路とが遮断され、前記主流路と前記導水路とは連通されることを特徴とする請求項１記載の人体洗浄装置。
【請求項３】
前記還流路の出口または前記還流路に第１の開閉弁が設けられ、
前記第１の動作において、前記第１の開閉弁は開いた状態とされ、
前記第２の動作において、前記第１の開閉弁は閉じた状態とされることを特徴とする請求項１記載の人体洗浄装置。
【請求項４】
前記主流路に第２の開閉弁が設けられ、
前記第１の動作において、前記第２の開閉弁は閉じた状態とされ、
前記第２の動作において、前記第２の開閉弁は開いた状態とされることを特徴とする請求項１〜３のいずれか１つに記載の人体洗浄装置。
【請求項５】
前記還流路を介して排出された洗浄水は、便器内へ排水されることを特徴とする請求項１〜４のいずれか１つに記載の人体洗浄装置。
【請求項６】
便座への人体の着座を検知する着座センサと、
前記着座センサからの検知信号を検知する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記着座センサが人体の着座を検知すると、前記第１の動作を実行することを特徴とする請求項１〜５のいずれか１つに記載の人体洗浄装置。
【請求項７】
トイレ室への人体の入室を検知する入室検知センサと、
前記入室検知センサからの検知信号を検知する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記入室検知センサが人体の入室を検知すると、前記第１の動作を実行することを特徴とする請求項１〜６のいずれか１つに記載の人体洗浄装置。
【請求項８】
前記制御部は、使用者の前記ハンドノズルの操作を検知すると、前記第１の動作を実行することを特徴とする請求項１〜７のいずれか１つに記載の人体洗浄装置。
【請求項９】
前記制御部は、前記第１の動作を実行してから所定時間経過後に前記洗浄水の排水を閉止することを特徴とする請求項６〜８のいずれか一つに記載の人体洗浄装置。
【請求項１０】
前記導水路及び前記還流路の少なくともいずれかに、前記洗浄水の温度を検知する温度センサが設けられ、
前記温度センサの検知結果が所定温度以上となった場合には、前記制御部は、前記洗浄水の排水を閉止させることを特徴とする請求項６〜８のいずれか一つに記載の人体洗浄装置。
【請求項１１】
前記制御部が前記洗浄水の排水を閉止させるのとほぼ同時に、前記第２の動作を実行可能とすることを特徴とする請求項８に記載の人体洗浄装置。
【請求項１】
洗浄水を加熱する熱交換器と、
洗浄水を吐水する吐水口と、前記吐水口に洗浄水を導く主流路と、を有するハンドノズルと、
前記熱交換器と前記ハンドノズルとの間に接続され、前記熱交換器からの洗浄水を前記主流路に導く導水路と、前記導水路の少なくとも一部に残留していた洗浄水を外部に排出する還流路と、を有するホースと、
を備え、
前記導水路の少なくとも一部に残留していた洗浄水を前記還流路を介して外部に排出する第１の動作と、
前記導水路から供給された洗浄水を前記主流路を介して前記吐水口から吐水させる第２の動作と、
が実行可能とされたことを特徴とする人体洗浄装置。
【請求項２】
前記主流路と前記導水路と前記還流路との間に三方式開閉弁が設けられ、
前記第１の動作において、前記三方式開閉弁により、前記導水路と前記還流路とが連通され、前記主流路と前記導水路とは遮断され、
前記第２の動作において、前記三方式開閉弁により、前記導水路と前記還流路とが遮断され、前記主流路と前記導水路とは連通されることを特徴とする請求項１記載の人体洗浄装置。
【請求項３】
前記還流路の出口または前記還流路に第１の開閉弁が設けられ、
前記第１の動作において、前記第１の開閉弁は開いた状態とされ、
前記第２の動作において、前記第１の開閉弁は閉じた状態とされることを特徴とする請求項１記載の人体洗浄装置。
【請求項４】
前記主流路に第２の開閉弁が設けられ、
前記第１の動作において、前記第２の開閉弁は閉じた状態とされ、
前記第２の動作において、前記第２の開閉弁は開いた状態とされることを特徴とする請求項１〜３のいずれか１つに記載の人体洗浄装置。
【請求項５】
前記還流路を介して排出された洗浄水は、便器内へ排水されることを特徴とする請求項１〜４のいずれか１つに記載の人体洗浄装置。
【請求項６】
便座への人体の着座を検知する着座センサと、
前記着座センサからの検知信号を検知する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記着座センサが人体の着座を検知すると、前記第１の動作を実行することを特徴とする請求項１〜５のいずれか１つに記載の人体洗浄装置。
【請求項７】
トイレ室への人体の入室を検知する入室検知センサと、
前記入室検知センサからの検知信号を検知する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記入室検知センサが人体の入室を検知すると、前記第１の動作を実行することを特徴とする請求項１〜６のいずれか１つに記載の人体洗浄装置。
【請求項８】
前記制御部は、使用者の前記ハンドノズルの操作を検知すると、前記第１の動作を実行することを特徴とする請求項１〜７のいずれか１つに記載の人体洗浄装置。
【請求項９】
前記制御部は、前記第１の動作を実行してから所定時間経過後に前記洗浄水の排水を閉止することを特徴とする請求項６〜８のいずれか一つに記載の人体洗浄装置。
【請求項１０】
前記導水路及び前記還流路の少なくともいずれかに、前記洗浄水の温度を検知する温度センサが設けられ、
前記温度センサの検知結果が所定温度以上となった場合には、前記制御部は、前記洗浄水の排水を閉止させることを特徴とする請求項６〜８のいずれか一つに記載の人体洗浄装置。
【請求項１１】
前記制御部が前記洗浄水の排水を閉止させるのとほぼ同時に、前記第２の動作を実行可能とすることを特徴とする請求項８に記載の人体洗浄装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【公開番号】特開２０１０−２０３１０８（Ｐ２０１０−２０３１０８Ａ）
【公開日】平成２２年９月１６日（２０１０．９．１６）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−４８４２２（Ｐ２００９−４８４２２）
【出願日】平成２１年３月２日（２００９．３．２）
【出願人】（００００１００８７）ＴＯＴＯ株式会社 (3,889)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年９月１６日（２０１０．９．１６）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年３月２日（２００９．３．２）
【出願人】（００００１００８７）ＴＯＴＯ株式会社 (3,889)
【Ｆターム（参考）】
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