説明

人工弁尖

【課題】多様な弁尖の形態に汎用性をもって使用でき、患者の弁尖を出来るだけ切除せずに装着でき、患者の身体に掛かる負担が小さい人工弁尖を提供する。
【解決手段】人工弁尖1は、僧帽弁の前尖或いは後尖に接触して縫着される縫着領域14と、自由縁15周辺の面であり僧帽弁の他方の弁尖と接触・離間して血液の逆流を抑制する接触領域16とを有する膜状の弁尖部10を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工弁尖に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓の左心室と左心房との間にある僧帽弁が閉鎖と開放を繰り返すことによって、血液が左心房から左心室へ流れる。
【0003】
僧帽弁、弁輪、または左心室に病変が生じると、僧帽弁の閉鎖不全が生じる場合があり、血液が左心室から左心房へと逆流する。血液の逆流は、左心房にとって大きな負担となり、肺うっ血や心房細動等の原因となる。
【0004】
僧帽弁の閉鎖不全の治療では、一般的に弁置換術あるいは弁形成術が行われる。弁置換術では、僧帽弁は切除され、切除された僧帽弁の代わりに人工の機械弁あるいは生体弁が装着される。弁尖を温存することもあるが、弁尖は人工弁により周囲に圧排され、機能は失われてしまう。
【0005】
例えば、特許文献1には、人工僧帽弁及び弁葉(弁尖)が開示されている。特許文献1に開示の人工僧帽弁及び弁葉は、患者の僧帽弁を全て切除した後、弁輪に縫着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−148633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の人工弁尖を弁輪に装着する際に、患者の弁尖は切除される。弁輪拡大に伴う閉鎖不全等、弁尖そのものには異常が無い場合でも、弁尖を全て切除する必要がある。
【0008】
一方弁尖の変形が軽度の場合には、一部分だけ切除して縫い寄せたり心膜を用いて補填したり人工腱索を当てる弁形成術が行われるが、多様な手法を要し弁尖のゆがみにより逆流を残し、弁置換術を余儀なくされることもある。
【0009】
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、多様な弁尖の形態に汎用性をもって使用でき、患者の弁尖を出来るだけ切除せずに装着でき、患者の身体に掛かる負担が小さい人工弁尖を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る人工弁尖は、
僧帽弁の前尖或いは後尖に接触して縫着される縫着領域と、自由縁周辺の面であり僧帽弁の他方の弁尖と接触・離間して血液の逆流を抑制する接触領域とを有する膜状の弁尖部を備える、
ことを特徴とする。
【0011】
また、前記自由縁から伸長し、直接或いは間接的に左心室の乳頭筋に接続される腱索部を備えていてもよい。
【0012】
また、前記腱索部に左心室の乳頭筋に接続される人工腱索が設けられていてもよい。
【0013】
また、前記腱索部或いは前記人工腱索に縫合用針が設けられていてもよい。
【0014】
また、前記自由縁の近傍に人工腱索が取り付けられる人工腱索接続部を備えていてもよい。
【0015】
また、前記人工腱索接続部に孔が形成されていてもよい。
【0016】
また、前記人工腱索接続部の機械的強度が前記弁尖部の他の部位の機械的強度よりも高いことが好ましい。
【0017】
前記人工腱索接続部の膜厚が前記弁尖部の他の部位の膜厚よりも厚くてもよい。
【0018】
また、前記人工腱索接続部に人工腱索が接続されていてもよい。
【0019】
また、前記人工腱索に縫合用針が設けられていてもよい。
【0020】
前記接触領域が平滑であることが好ましい。
【0021】
また、前記弁尖部が補強部を備えていてもよい。
【0022】
また、前記補強部がファイバー状であり、前記接触領域の逆側の面に格子状に張り巡らされていてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の人工弁尖によれば、手術の際に、多彩な弁尖の形態にかかわらず良好な形成を行うことができ、人工弁のように異物が多くない。手術時間を短縮でき、患者の弁尖を切除することなく、或いは、切除する部位を最小限に留めることができるので、患者の身体に掛かる負担を小さくすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態1に係る人工弁尖を示す平面図であり、(A)は接触領域を有する面を見た平面図、(B)は縫着領域を有する面を見た平面図である。
【図2】正常な心臓における左心室及び僧帽弁の断面図であり、(A)は僧帽弁の開放時の断面図、(B)は僧帽弁の閉鎖時の断面図である。
【図3】(A)は僧帽弁の展開図、(B)は左心房側から見た僧帽弁の模式図である。
【図4】(A)は弁輪の拡大に起因する僧帽弁閉鎖不全症を発症した心臓における、左心室及び僧帽弁の断面図、(B)は左心房側から見た模式図である。
【図5】(A)は僧帽弁の前尖に縫着した人工弁尖を模式的に示した断面図、(B)は腱索部と乳頭筋との縫着を示す模式図である。
【図6】人工弁尖を前尖に縫着した僧帽弁の展開図である。
【図7】人工弁尖を縫着した僧帽弁を左心房側から見た模式図である。
【図8】人工弁尖を縫着した僧帽弁を左心室側から模式的に示した斜視図である。
【図9】他の形態に係る人工弁尖の平面図である。
【図10】(A)は他の形態に係る人工弁尖の平面図、(B)は前尖に穿孔を有する僧帽弁の展開図、(C)は前尖に人工弁尖を縫着した僧帽弁の展開図である。
【図11】(A)は補強部材を備える人工弁尖の平面図、(B)は(A)のC−C’断面図である。
【図12】実施形態2に係る人工弁尖を示す平面図である。
【図13】人工腱索端部に縫合用針を備える人工弁尖の模式図である。
【図14】実施形態3に係る人工弁尖を示す平面図である。
【図15】(A)、(B)はそれぞれ図14のA−A’断面図である。
【図16】自由縁一帯に人工腱索接続部を有する人工弁尖の平面図である。
【図17】人工腱索接続部に孔を備えた人工弁尖を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(実施形態1)
本実施の形態1に係る人工弁尖について、図面を参照しながら説明する。人工弁尖1は、図1(A)、(B)に示すように弁尖部10と腱索部20とを有する。
【0026】
弁尖部10は、膜状であり、僧帽弁の前尖或いは後尖に接触し縫着される縫着領域14と、自由縁周辺の面であって僧帽弁の他方の弁尖と接触・離間して血液の逆流を抑制する接触領域16とを有する。
【0027】
弁尖部10は、僧帽弁の前尖及び後尖と同様に血液の逆流を防ぐ機能を果たす一枚の膜状部材であり、弁尖部10の外縁は、凸状に湾曲した円弧状の自由縁15と、凹状に湾曲した円弧状の縫着縁13とから構成される。
【0028】
図1(A)、(B)に示すように、縫着領域14は接触領域16を有する面の反対側の面に位置している。縫着領域14は縫着縁13の近傍に位置する領域であり、僧帽弁の前尖または後尖に重ね合わされて接触し、手術糸等で縫着される。自由縁15の近傍の接触領域16は、後述のように僧帽弁の閉鎖時に他方の弁尖と接触する領域である。弁尖部10の自由縁15は、前尖の自由縁とほぼ同じ形状に形成されている。
【0029】
腱索部20は、弁尖部10の自由縁15から伸長する帯状部分である。腱索部20は、腱索端部21が左心室の乳頭筋に縫着され、弁尖部10と左心室の乳頭筋とを繋ぐ部材である。腱索部20は複数有することが望ましい。後述のように、腱索部20には、僧帽弁の閉鎖時に張力がかかる。複数の腱索部20を備えていると、張力が各々の腱索部20に分散し、腱索部20の断裂を防止することができる。また、弁尖部10に作用する張力も分散するので、弁尖部10の破損も防止される。
【0030】
人工弁尖1は、1枚の膜状の素材から形成されている。弁尖部10は、対側の弁尖ときれいに密着し、僧帽弁の前尖及び後尖と同様に左心室の圧を受け止められることが要求される。このため、弁尖部10は、左心室が収縮する際の圧を受け止められ、且つ、前尖或いは後尖との縫合部がちぎれないこと、抗血栓性を有すること(表面に血栓が形成されないこと)、左心室が拡張する際に、弁尖と同様に左心室側になびいて血液を左心室内に通し得る柔軟性を有すること、人体に害を生じさせない生体親和性を有することが要求される。また、腱索部20は、左心室の圧を受け止められ、断裂しないこと、弁尖部10からちぎれてしまわないこと、抗血栓性を有することが要求される。
【0031】
上記の特性を有する素材として、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等が挙げられる。PTFEは、これまで人工血管や人工腱索等に用いられている素材であり、血液に長期間接触しても生体に明らかな害を生じさせない。また、PTFEは時間の経過に伴って表面が内膜様の膜構造で覆われて血栓が形成されにくく、人工弁尖1が装着された患者にワルファリン等の抗凝固剤を投与する必要もない。
【0032】
続いて、人工弁尖1を用いた僧帽弁の閉鎖不全症の治療について説明する。ここでは、閉鎖不全症を発症した心臓について、正常な心臓と比較しながら説明する。閉鎖不全症は多様な原因によって発症するが、ここでは僧帽弁の弁輪の拡大に起因する閉鎖不全の場合について述べる。
【0033】
僧帽弁40は左心室30と左心房(不図示)との間にあり、前尖41と後尖42とからなる(図2)。前尖41及び後尖42の先端はそれぞれ複数の腱索50と接続し、腱索50は乳頭筋60に接続している。弁輪(不図示)は、僧帽弁の周囲一帯の部位である。
【0034】
僧帽弁40の解放時には、前尖41と後尖42とが離間し(図2(A))、左心房から左心室へ血液を流す。また、僧帽弁の閉鎖時には、前尖41と後尖42との先端同士が互いに接触し(図2(B))、血液が左心室から左心房へ逆流しないよう抑止する。僧帽弁40の閉鎖時には、腱索50から前尖41及び後尖42に張力が作用して、弁が左心房側に翻転するのを防止し、これにより血液は左心室から左心房へ流れない。
【0035】
また、図3(A)の僧帽弁の展開図に示すように、前尖41及び後尖42の先端部近傍にはそれぞれ前尖の接触領域43及び後尖の接触領域44がある。僧帽弁40の閉鎖時に接触するのはこれらの領域であり、図3(B)に示すように、各々の接触領域43、44が接触して、僧帽弁が閉鎖する。
【0036】
弁輪拡大を発症している場合、前尖41と後尖42とが接触しなくなるために、僧帽弁が閉鎖不全となる(図4(A))。左心房側から見ても分かるように、前尖41と後尖42との間に隙間が生じる(図4(B))。この隙間を通して、血液が左心室から左心房へ逆流してしまう。
【0037】
このような閉鎖不全を発症している僧帽弁に、人工弁尖1を装着する例について説明する。まず、図5(A)、図6に示すように、弁尖部10の自由縁15周辺が前尖41からせり出すとともに、縫着領域14が僧帽弁の前尖41に重なり合うように、弁尖部10を前尖41に配置する。そして、手術用糸等で縫着領域14を前尖41に縫合し、弁尖部10と前尖41とを一体的にする。
【0038】
また、二つの腱索部20の腱索端部21をそれぞれ乳頭筋60(前外側乳頭筋、後内側乳頭筋)に接触させ、図5(B)に示すように、あて布22等を巻き付けて、手術用糸等で縫合し、腱索端部21と乳頭筋60とを繋ぎとめる。
【0039】
人工弁尖1を縫着した僧帽弁の展開図(図6)に示すように、前尖41に人工弁尖1を装着すると、弁輪に垂直な方向の長さが前尖41単体の場合に比べて長い。このため、図8に示すように、僧帽弁の閉鎖時に、人工弁尖1の接触領域16と後尖の接触領域44とが互いに接触する。同じ状態の僧帽弁を左心房側から見た模式図を図7に示す。弁尖部10の接触領域16(不図示)と後尖の接触領域44(不図示)との接触によって、僧帽弁が閉じている。
【0040】
僧帽弁に人工弁尖1を縫着した場合、心臓の動作は次のようになる。左心室収縮時には、左心室内の血圧が高まり、人工弁尖1が装着された前尖41及び後尖42が左心房側に押される。人工弁尖1の接触領域16と後尖の接触領域44とが接触し、僧帽弁は閉鎖状態となり、左心房への血液の逆流を抑止する。また、このとき、腱索部20によって人工弁尖1の自由縁が左心室側に向かって引かれるので、人工弁尖1が装着された前尖41が左心房に翻転するのを防ぐ。また、左心室拡張時には、左心房に対して左心室が陰圧となり、僧帽弁に左心房側から圧力がかかり、僧帽弁が開き、左心房から左心室へと血液が流れる。このように、人工弁尖1を装着することにより、弁輪拡大による閉鎖不全症の治療を行うことができる。
【0041】
僧帽弁の閉鎖不全には、弁輪拡大のほか、腱索断裂、弁尖穿孔、前尖逸脱、後尖逸脱、左心室拡大による両弁尖の引き込みなど、さまざまな要因があるが、人工弁尖1は、いずれの閉鎖不全の治療にも用いることが可能である。
【0042】
例えば、僧帽弁閉鎖不全症の原因が腱索断裂である場合には、図9に示すように、弁尖部10の幅の狭い人工弁尖2を用いることができる。腱索断裂の場合、弁尖の面積を拡大する必要はなく、腱索を修復するのみでよいため、弁尖部10は縫着可能な面積を有していればよい。
【0043】
また、縫着縁13が凹状に湾曲した円弧形状の弁尖部10について説明したが、縫着縁13は円弧状以外の形状であってもよく、例えば、図10(A)に示す人工弁尖3のように、縫着縁13が凸状に湾曲した形状であってもよい。閉鎖不全の要因に応じ、弁尖部10の縫着縁13側を適宜トリミングして用いることができる。
【0044】
例えば、図10(B)の展開図に示すように、僧帽弁閉鎖不全症の原因が僧帽弁の穿孔90にある場合には、その穿孔90を塞ぐように弁尖部10を前尖41に重ね合わせて縫合し、弁尖部10と前尖41を一体的にすればよい。この場合、図10(C)の展開図に示すように、前尖の穿孔90を塞ぎうる形状に弁尖部10をトリミングして用いてもよい。
【0045】
また、接触領域16は、僧帽弁の閉鎖時に僧帽弁の他の弁尖と接触して、血液の逆流を抑制すること、また、他の弁尖との接触・離間がスムーズに行われることが要求される。このため、接触領域16は平滑であることが望ましい。
【0046】
また、僧帽弁の閉鎖時、すなわち左心室の収縮時には、弁尖部に左心室内の血圧に相当する圧力が掛かるが、この圧力に弁尖部10がより耐え得るよう、弁尖部10は補強部を備えていてもよい。例えば、図11(A)に示すように、ファイバー状の補強部が形成された形態が挙げられる。補強部11の線条は、弁尖部10の縫着縁13及び自由縁15に沿って形成されるとともに、これを横切る方向にも形成され、格子状に張り巡らされている。図11(B)に図11(A)のA−A’断面を示すように、補強部11が弁尖部10から突出した形態である。補強部11は、弁尖部10と一体形成された形態でも、弁尖部10に補強部が張り合わされて一体的に形成された形態でもよい。なお、接触領域16を有する面は、上述のように平滑であることが望ましいため、補強部11は縫着領域14を有する面に配置されているとよい。
【0047】
また、上記では、前尖に弁尖部を縫着する形態について説明したが、後尖に縫着することも可能である。後尖の形状に応じて弁尖部をトリミングして用いればよい。
【0048】
また、上記では、縫着領域14と接触領域16とが異なる面に位置する例について説明したが、左心室側から弁尖に縫着領域14を接触させて縫合させる場合では、縫着領域14と接触領域16は同一面上に存在する。
【0049】
(実施形態2)
実施の形態2に係る人工弁尖5は、図12に示すように、弁尖部10と腱索部20と人工腱索70を有する。人工弁尖5の腱索部20は、実施の形態1に係る人工弁尖1の腱索部20に比して短く、腱索端部21に人工腱索70が接続した形態である。二つの腱索部20には、それぞれ2本の人工腱索70が取り付けられている。
【0050】
人工弁尖5の人工腱索70を乳頭筋に縫着する際には、次のように縫着を行うことができる。2本の人工腱索70のうちの1本を乳頭筋に針を用いて通し、この人工腱索70ともう一方の人工腱索70とを、結び目を作るなどの方法で取り付けることにより、乳頭筋に縫着することができる。
【0051】
人工腱索70として、僧帽弁形成術において一般的に使用されているPTFE製の糸が挙げられる。
【0052】
本実施形態では、人工腱索70が一体的に形成された例について説明したが、人工腱索70を備えない人工弁尖5であってもよい。人工弁尖5を使用する際に、別途準備した人工腱索を腱索端部21に取り付けて用いてもよい。
【0053】
更には、人工腱索と乳頭筋との縫着を容易に行うため、図13に示す人工弁尖6のように、人工腱索70に縫着用針71が設けられていてもよい。
【0054】
その他の構成については、実施の形態1に係る人工弁尖1と同様であるため、説明を省略する。
【0055】
(実施形態3)
実施形態3に係る人工弁尖7は、図14に示すように、弁尖部10が腱索部20を備えず、自由縁15の近傍に人工腱索70を接続可能な人工腱索接続部80を備える。
【0056】
人工腱索接続部80は、人工腱索70を介して加わる力で破損しないよう、補強された部位である。人工腱索接続部80は、図15(A)、(B)の断面図に示すように、弁尖部10の他の部位に比べ、人工腱索接続部80の膜厚が厚い。このため、人工腱索接続部80は、弁尖部10の他の部位よりも引張強度等、機械的強度が高い。
【0057】
この人工腱索接続部80を有する弁尖部10は、図15(A)に示すように、射出成形等により人工腱索接続部80が一体成形された形態でもよく、図15(B)に示すように、弁尖部10の自由縁15近傍の面に所定の形状の部材が貼り合わされて一体的に形成された形態でもよい。
【0058】
また、人工腱索接続部80は、自由縁の近傍に部分的に設けられていても、図16に示す人工弁尖8のように、自由縁の近傍一帯に連続的に設けられていてもよい。
【0059】
また、図17に示す人工弁尖9のように、人工腱索接続部80に接続用の孔81を備えてもよい。人工腱索接続部80への人工腱索70の取り付けを容易に行うことができる。
【0060】
その他の構成については、実施の形態1に係る人工弁尖1及び実施形態2に係る人工弁尖2と同様であるため、説明を省略する。
【符号の説明】
【0061】
1 人工弁尖
2 人工弁尖
3 人工弁尖
4 人工弁尖
5 人工弁尖
6 人工弁尖
7 人工弁尖
8 人工弁尖
9 人工弁尖
10 弁尖部
11 補強部
13 縫着縁
14 縫着領域
15 自由縁
16 接触領域
20 腱索部
21 腱索端部
22 あて布
30 左心室
40 僧帽弁
41 前尖
42 後尖
43 前尖の接触領域
44 後尖の接触領域
45 弁輪
50 腱索
60 乳頭筋
70 人工腱索
71 針
80 人工腱索接続部
81 孔
90 穿孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
僧帽弁の前尖或いは後尖に接触して縫着される縫着領域と、自由縁周辺の面であり僧帽弁の他方の弁尖と接触・離間して血液の逆流を抑制する接触領域とを有する膜状の弁尖部を備える、
ことを特徴とする人工弁尖。
【請求項2】
前記自由縁から伸長し、直接或いは間接的に左心室の乳頭筋に接続される腱索部を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の人工弁尖。
【請求項3】
前記腱索部に左心室の乳頭筋に接続される人工腱索が設けられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の人工弁尖。
【請求項4】
前記腱索部或いは前記人工腱索に縫合用針が設けられている、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の人工弁尖。
【請求項5】
前記自由縁の近傍に人工腱索が取り付けられる人工腱索接続部を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の人工弁尖。
【請求項6】
前記人工腱索接続部に孔が形成されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の人工弁尖。
【請求項7】
前記人工腱索接続部の機械的強度が前記弁尖部の他の部位の機械的強度よりも高い、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の人工弁尖。
【請求項8】
前記人工腱索接続部の膜厚が前記弁尖部の他の部位の膜厚よりも厚い、
ことを特徴とする請求項7に記載の人工弁尖。
【請求項9】
前記人工腱索接続部に人工腱索が接続されている、
ことを特徴とする請求項5乃至8のいずれか一項に記載の人工弁尖。
【請求項10】
前記人工腱索に縫合用針が設けられている、
ことを特徴とする請求項9に記載の人工弁尖。
【請求項11】
前記接触領域が平滑である、
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の人工弁尖。
【請求項12】
前記弁尖部が補強部を備える、
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の人工弁尖。
【請求項13】
前記補強部がファイバー状であり、前記接触領域の逆側の面に格子状に張り巡らされている、
ことを特徴とする請求項12に記載の人工弁尖。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図14】
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【図16】
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【図17】
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