説明

人工肩関節のための関節窩コンポーネントのセット

【課題】埋め込まれた関節窩コンポーネントと手術を受けている患者の関節窩との間の機械的協調の持続性を改善できる、関節窩インプラントのセットを提供する。
【解決手段】関節窩インプラントのセットJにおいて、関節窩コンポーネントは、関節窩コンポーネントの本体の関節表面の寸法によってそれぞれ規定された、複数の異なるサイズ(S、M、L)として提供される。少なくとも2つの関節窩コンポーネント(S1及びS2、M1及びM2、L1及びL2)であって、これら関節窩コンポーネントのそれぞれの前記本体の支持表面(S1.3、S2.3、M1.3、M2.3、L1.3、L2.3)はそれぞれ異なる形状寸法を有している、少なくとも2つの関節窩コンポーネントが設けられ、これにより外科医は、埋め込まれたコンポーネントと手術された関節窩との間の機械的協働の耐久性を改善できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工肩関節のためのセットの関節窩コンポーネントセットに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、この種のコンポーネントの本体はあまり厚くなく、前記本体の対向する2つの主要面それぞれは、生体又は人工の上腕頭とヒンジ状に協調し、且つ肩甲骨の関節窩に向かって押し当てられて、これにより関節窩に固定されるように、適合されている。そのために、上述の第一の面が、通常は球面状である関節表面を含み、一方第二の面は支持表面を含み、この支持表面は同様に球面状又は平面状であり、その中央部には、少なくとも1つの骨固定要素が、キール(keel)又はピンのように関節窩内に突出していることが多い。
【0003】
コンポーネントの本体のヒンジ表面の寸法によってそれぞれ規定された数種類のサイズの、このような関節窩コンポーネントを提供することが知られているが、一方で支持表面は、それぞれのサイズの中では互いに全て同一であった。特許文献1は、異なるサイズのこのような関節窩コンポーネントのセットの例が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】仏国特許出願FR−A−2,848,099号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って外科医は、とりわけ患者の形態に応じて、手術を受けている患者に最も適すると思われるサイズの関節窩コンポーネントを選択する可能性を有する。結果として、患者の人工肩の関節の性能が満たされることは非常に多い。しかしながら同時に、埋め込まれた関節窩コンポーネントは、使用中に、本体と関節窩との間の界面の摩耗又は機械的変化を通じて、次第に関節窩と固着しなくなる傾向にあることが認められた。
【0006】
本発明の目的は、関節窩インプラントのセットを提案する事であり、この関節窩インプラントのセットによって、外科医は、埋め込まれた関節窩コンポーネントと手術を受けている患者の関節窩との間の機械的協調の持続性を改善できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために本発明は、人工又は生体の上腕頭とヒンジ状に協働することを意図された関節表面と、肩甲骨の関節窩に当接する支持表面と、を対向する2つの面それぞれに画定している本体をそれぞれ含む関節窩コンポーネントを備えている、人工肩関節の関節窩コンポーネントのセットに関し、このセットにおいては、関節窩コンポーネントは、この関節窩コンポーネントの本体の関節表面の寸法によってそれぞれ規定された、複数の異なるサイズで提供され、このセットは、それぞれのサイズにおいて少なくとも2つの関節窩コンポーネントが与えられ、これら関節窩コンポーネントの、それぞれの本体の支持表面はそれぞれ異なる形状寸法(dimensional geometry)を有していることを特徴とする。
【0008】
本発明の基礎となっている発想の1つは、様々なサイズの関節窩コンポーネントを外科医に提供することであり、これら関節窩コンポーネントそれぞれに対しては、関節窩コンポーネントが互いに異なって設けられている担持面それぞれを有した状態で入手可能である。このように、任意の患者の肩部の中に人工器官を設置するためには、外科医は、患者の生体又は人工の上腕頭と共に再建される関節に関する検討に基づいて、移植する関節窩コンポーネントのサイズを決定し、次いで、外科医によって選択されたこのサイズの中から、加工されていない実寸法の、又は外科的な準備を受けた後の患者の関節窩に最も合う支持表面を有し、好ましくは実際に存在する骨材料量を可能な限り維持する関節窩コンポーネントを選ぶ。従って本発明は、外科医は患者の関節窩に対する骨準備作業を絶対に実施せねばならず、この準備作業においては、外科医は著しい量の骨物質を肩甲骨から除去して、これにより、独特の幾何学形状に適合するとともに、外科医がそのサイズによって、即ちその関節表面の機能として、選択したコンポーネントの関節窩支持表面に押し付けられる関節窩を患者の肩甲骨内に形成することが外科医に必要とされる、という伝統的な「定説」を打破する。逆に、本発明は、移植される関節窩コンポーネントのサイズの選択を外科医に委ねつつ、手術される関節窩の実際の状態をこの外科医が考慮に入れることを可能とする。さらに、一般的な考えとは反対に、患者の関節窩の骨の状態は、無視できない比率内で、人工肩関節を用いて再確立される関節の協働とは無関係に変化する。
【0009】
本発明によると、同じサイズの異なる関節窩コンポーネントの支持表面間の差異は、これら表面の幾何学的サイズ(geometric size)全体の、又は幾何学形状(geometric shape)が与えられている場合は前記幾何学形状の寸法の結果として生じる場合がある。本発明のこの態様は、例を用いて以下に詳細に記載される。
【0010】
当然のことながら、本発明によるセットに存在するサイズの数、及び同じサイズのなかでのそれぞれ異なる支持表面を有する関節窩コンポーネントの数は、できるだけ多くすることができる。
【0011】
単独で、又は技術的に可能なあらゆる組み合わせに従って検討された本発明によるセットのさらなる有利な特徴によると、
・同じサイズを有する関節窩コンポーネントの少なくとも2つに対してそれぞれ異なって与えられている形状寸法は、同じ凸曲面状の表面形状に対応するが、同数の異なる曲面を有する
・この同じ凸曲面状の表面形状は実質的に球面の一部であり、これにより、同じサイズを有する関節窩コンポーネントの少なくとも2つに対してそれぞれ異なって与えられている前記形状寸法は、同数の異なる曲率半径に対応する
・少なくとも幾らかのサイズでは、同じサイズを有している前記少なくとも2つのコンポーネントの支持表面の曲率半径それぞれ間の差は、4mmより大きく、好ましくは8mmより大きい
・同じサイズに対してそれぞれ異なって与えられている曲率半径の少なくとも1つは、サイズ同士の中で、小さいサイズから大きなサイズへ移行する場合に、少なくとも一度は変化することの無い値を有する
・同じサイズに対してそれぞれ異なって提供されている曲率半径の少なくとも1つは、サイズ同士の中で、小さいサイズから大きなサイズへ移行する場合に、少なくとも一度は増加する値を有する、
・同じサイズを有する関節窩コンポーネントの少なくとも2つに対してそれぞれ異なって提供されている形状寸法は、少なくとも平面状表面、凸曲面状表面、凹曲面状表面及び階段状表面の中の、同数の異なる幾何学形状に対応している
・同じサイズを有する関節窩コンポーネントの少なくとも2つに対してそれぞれ異なって提供されている前記形状寸法の少なくとも1つは、異なるサイズの少なくとも2つに同一であると認められる
・セットの関節窩コンポーネントの少なくとも1つには、少なくとも1つの固定要素が肩甲骨の関節窩内に設けられ、この固定要素は前記関節窩コンポーネントの支持表面から突出している
・セットの関節窩コンポーネントそれぞれの支持表面は、存在し得る固定要素の外部に、関節窩コンポーネントの本体の対応する面の大部分又は全てを占めている
【0012】
本発明は、単に一例として提供されるとともに図面を参照して記載されている、以下の記載を読むことで、よりよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明によるセットに属する関節窩コンポーネントの斜視図である。
【図2】図1の平面IIに沿った断面図である。
【図3】本発明による関節窩コンポーネントのセットの、概略的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1及び図2は、人工関節窩コンポーネントS2を示している。
【0015】
このコンポーネントS2は主要本体S2.1を有し、この主要本体は、2つの空間次元(spatial dimension)において両側面を有し、これら側面は、この主要本体の3つ目の空間次元における主要本体の側面よりも著しく大きく、従ってこの3つ目の空間次元における側面は、本体の厚さに対応している。従って、この体S2.1は、前述の本体の厚さを具現している周囲面によって接続された、2つの対向する主要面を有している。
【0016】
また本体S2.1は、図1及び図2に示されているように単一片とすることができ、又は幾つかの部品からなる固定された組立体に対応していてもよい。さらに、本体S2.1は、適切な剛性及び強度を有する1つ以上の材料から作られて、以下で詳細に説明されるように、図示されていない上腕頭と蝶番状に協働するとともに、これも図示されていない肩甲骨の骨関節窩に堅固に固定される。
【0017】
本体S2.1の、前述の2つの主要面のうちの1つは、前述の上腕頭の実質的に相補的な表面と蝶着するように形成された関節表面S2.2を画定している。実際は、この上腕頭は、生体、即ち肩甲骨と関連する上腕骨の上部生体骨端に対応するか、又は人工器官、即ち関節窩コンポーネントS2が属する人工肩関節の上腕骨コンポーネントによって確定されるか、のいずれかである。
【0018】
通常、本体S2.1の関節表面S2.2は略球面状である。対応する曲率半径は、Rによって表示されている。図1及び図2において検討されている実施形態においては、この関節表面S2.2は凹面状である。図示されない代替形態として、この関節表面は凸面状とすることができる。
【0019】
実際には、関節表面S2.2は有利なことに、例えば図1及び図2において図示されているように、本体S2.1の対応する面の大半を、又は前記面の全てを占めている。
【0020】
本体S2.1の別の主要面は、前述の関節窩に堅固に固定されるように適合されている。そのため、この面は支持表面S2.3を関節窩に含み、この支持表面の中央部から、関節窩内に固定するための固定キール(anchoring keel)S2.4が延在している。
【0021】
実際には、固定キールS2.4の外側には、支持表面S2.3は有利なことに、例えば図示されているように、本体S2.1の対応する面の大半を、又はこの面の全てを占めている。
【0022】
図示されない代替例として、キールS2.4以外の骨固定要素を設け、これにより前記キールの置き換え又は補完を行うことができる。同様に、このような固定要素を完全に無しにすませることができる。
【0023】
図1及び図2において検討されている実施形態においては、本体S2.1の支持表面S2.3は略球面状であり、この支持表面は曲率半径がrS2によって示されている球面状部位に対応していることを意味する。
【0024】
実際には、表面S2.2及びS2.3は、同心状であっても、同心状でなくてもよい。これら表面が同心状でない場合には、これら表面それぞれの幾何学的中心は、本体S2.1の同じ正中面に位置付けられていても、位置付けられていなくてもよい。
【0025】
本発明によると、図1及び図2を考慮しながらここで詳細に説明された関節窩コンポーネントS2は、図3に示されているような、6つの関節窩コンポーネントからなるセットJに属している。従って、図3の右上隅に示されている関節窩コンポーネントS2に加えて、このセットJは、それぞれS1、M1、M2、L1及びL2によって参照される、5つの別の関節窩コンポーネントを備えている。
【0026】
これらコンポーネントS1、M1、M2、L1及びL2それぞれは、本体S1.1、M1.1、M2.1、L1.1及びL2.1を備え、コンポーネントS2の本体S2.1と機能的に類似している。とりわけ、本体S1.1、M1.1、M2.1、L1.1及びL2.1それぞれは、互いに対向している、コンポーネントS2の関節表面S2.2と機能的に類似した関節表面S1.2、M1.2、M2.2、L1.2及びL2.2と、コンポーネントS2の支持表面S2.3と機能的に類似した支持表面S1.3、M1.3、M2.3、L1.3及びL2.3とを有している。
【0027】
コンポーネントS1は、このコンポーネントS1及びS2それぞれの関節表面S1.2及びS2.2が略同一の寸法を有するという点において、コンポーネントS2と同じサイズであり、とりわけ図3に示されている例に関しては、これら関節表面S1.2及びS2.2は略球面状であるとともに同じ曲率半径Rを有している。このように、コンポーネントS1及びS2は、セットJの中で、サイズSのグループを形成している。
【0028】
他方、コンポーネントS1は、コンポーネントS2の支持表面S2.3の形状寸法と比較したこのコンポーネントS1の支持表面S1.3の形状寸法によって、コンポーネントS2とは異なっている。より正確には、支持表面S1.3及びS2.3の両方は、同じ球状部分の形状有しているが、支持表面S1.3及びS2.3それぞれの曲率半径rS1及びrS2は異なっており、rS1は厳密にはrS2よりも小さい。
【0029】
同様に、コンポーネントM1及びM2は同じサイズであり、従ってセットJの中に、図3においてMによって参照される、2つのコンポーネントからなるグループを形成している。コンポーネントS1及びS2として説明されたことと比較すると、コンポーネントM1及びM2の関節表面M1.2及びM2.2は略同一の寸法、とりわけ示される例においては同じ曲率半径Rを有することが理解される。コンポーネントM1及びM2を含むサイズMのグループは、半径Rが半径Rの値よりも厳密には大きい値を有するという点で、コンポーネントS1及びS2を含むグループSとは異なっている。
【0030】
さらに、サイズSのグループにおけるコンポーネントS1及びS2に関しては、サイズMのグループにおけるコンポーネントM1及びM2の支持表面M1.3及びM2.3は、異なる形状寸法を有しており、即ち、これら支持表面は両方とも球面の一部であり、それぞれの半径rM1及びrM2は異なっており、半径rM1の値は半径rM2の値より厳密には小さい。
【0031】
図3に示されている例においては、半径rS1及びrM1は同じ値を有し、半径rS2及びrM2も同じ値を有していることに留意すべきである。つまり、サイズSのグループからサイズMのグループへ移った場合、支持表面S1.3及びM1.3の曲率半径rS1及びrM1は不変の値を有する。支持表面S2.3及びM2.3の場合も同じである。
【0032】
最後に、サイズSのグループのコンポーネントS1及びS2、並びにサイズMのコンポーネントM1及びM2に関する前述の技術的検討の置き換えによって、コンポーネントL1及びL2がサイズLのグループを構成し、
・コンポーネントL1及びL2の関節表面L1.2及びL2.2は略同一の寸法、とりわけ同一の曲率半径Rを有し、この半径Rは半径Rの値よりも厳密には大きい値を有し、
・支持表面L1.3及びL2.3の両方は、それぞれ曲率半径rL1及びrL2を有する球面の一部であり、半径rL1は半径rL2の値を厳密には下回る値を有している、
ということが理解される。
【0033】
図3に示されている実施形態においては、半径rL1は厳密には半径rM1の値よりも大きいが、半径rM2の値よりも小さい値を有することに留意すべきである。そして、半径rL2は、半径rM2の値よりも厳密には大きい値を有する。
【0034】
また図3に示されている実施形態においては、サイズSからM、そしてLへ連続的に移るに従って増加する曲率半径R、R及びRを有することに加えて、同じサイズを有するそれぞれのグループの関節窩コンポーネントの関節表面が、とりわけ図3の切断面における、関節表面の端部間の広がりの増加率に関して異なることに、留意すべきである。しかしながらこの配置は、本発明にとって本質的なものではない。
【0035】
このように、セットJの関節窩コンポーネントは、異なるサイズS、M及びLからなる3つのグループに分類されていることが理解される。外科医が、コンポーネントS1及びS2の中の区別なく選択された1つ、コンポーネントM1及びM2の中の区別なく選択された1つ、又はコンポーネントL1及びL2の中の区別なく選択された1つのいずれを選択するかによって、患者の上腕頭に対する、選択された関節窩コンポーネントの関節挙動が決まることが理解される。しかしながら、サイズS、M及びLのそれぞれに対して、2つの利用可能なコンポーネントのうち1つを外科医が選択することにより、手術を受ける患者の関節窩の実際の状態を、外科医が計算に入れることが可能となり、具体的には、外科医は、2つの利用可能なコンポーネントのうち、支持表面の曲率が関節窩の実際の幾何学構造に対して最適である1つを選択し、とりわけこれにより関節窩に対する事前準備の範囲を限定し、これによって骨質の減少を限定し、一方で、関節窩と関節窩への移植の間に選択されたコンポーネントとの間に生成された支持界面の範囲の最適化をも行う。
【0036】
実際には、同じサイズのコンポーネントの支持表面の曲率半径の差は、好ましくは4mm以上、又は、さらに8mm以上である。従って、図3に示されているセットJの実施形態に関する数値定量化の一例は、以下の通りである。
・rS1=34mm
・rS2=38mm
・rM1=34mm
・rM2=38mm
・rL1=36mm
・rL2=44mm
【0037】
当然のことながら、関節窩コンポーネントのセットJに対する、様々な配置及び代替を考慮することができる。一例として、異なるサイズS、M及びLからなる3つのグループの少なくとも1つは、2個を上回る関節窩コンポーネントを有することが可能であり、少なくとも3個の関節窩コンポーネントの支持表面それぞれは、異なる形状寸法をそれぞれ有して提供される。同様に、例えばS及びM、S及びL、又はM及びLのような、異なるサイズからなる2つのグループのみを、このセットに備えることが可能である。当然のことながら、このセットも、異なるサイズからなる3つ以上のグループを含むことが可能である。
【0038】
図示されていない、本発明の一代替形態によると、同じサイズの関節窩コンポーネントの支持表面間の形状寸法の差は、セットJの場合のような同じ幾何学形状における寸法差には対応しないが、この差は、同じサイズからなるグループに存在する関節窩コンポーネントと同数の、異なる幾何学形状の存在に基づく。より正確には、同じサイズからなるグループそれぞれの中で、関節窩コンポーネントの1つは例えば平面状の支持表面を有し、一方で別の関節窩コンポーネントは凸曲面を有する支持表面を有している。より一般的には、前述のグループ内に存在する少なくとも2つの関節窩コンポーネントの支持表面は、従って、それぞれ異なる幾何学形状を有し、この幾何学形状は、少なくとも平面状表面、凸曲面状表面、凹曲面状表面及び階段状表面の中から選択される。
【0039】
任意に、図のように厳密に円滑であるよりも、セットJのコンポーネントの支持表面は、粗さ、又は溝、錐体状突起、円錐状の小空洞等のようなマクロ外観を有することが可能であり、これにより関節窩におけるコンポーネントの不動化を強化する。
【0040】
示されていない変形例によると、本発明の技術的教示を、人工肩関節の関節窩コンポーネントとは別の人工関節コンポーネントに適用することが可能である。従って、人工膝コンポーネントのセット、又は人工臀部コンポーネントのセット、又さらには人工足首コンポーネントのセット、又さらには人工肘のコンポーネント、又さらには人工手首のコンポーネントを検討することが可能であり、これらセットそれぞれは、それらの関節表面に対して異なるサイズの人工コンポーネントを含み、これらサイズそれぞれにおいて、少なくとも2つのコンポーネントには、互いに異なる骨支持表面それぞれが設けられる。
【符号の説明】
【0041】
S1、S2、M1、M2、L1、L2 人工関節窩コンポーネント
S1.1、S2.1、M1.1、M2.1、L1.1、L2.1 本体
S1.2、S2.2、M1.2、M2.2、L1.2、L2.2 関節表面
S1.3、S2.3、M1.3、M2.3、L1.3、L2.3 支持表面
S1.4、S2.4、M1.4、M2.4、L1.4、L2.4 固定キール
、R、R 関節表面曲率半径
S1、rS2、rM1、rM2、rL1、rL2 支持表面曲率半径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工又は生体の上腕頭とヒンジ状に協働することを意図された関節表面(S1.2、S2.2、M1.2、M2.2、L1.2、L2.2)と、肩甲骨の関節窩に当接する支持表面(S1.3、S2.3、M1.3、M2.3、L1.3、L2.3)と、を前記本体の対向する2つの面それぞれに画定している本体(S1.1、S2.1、M1.1、M2.1、L1.1、L2.1)をそれぞれ含んでいる、関節窩コンポーネント(S1、S2、M1、M2、L1、L2)を備えている、人工肩関節の関節窩コンポーネントのセット(J)であって、
前記セットにおいては、前記関節窩コンポーネントは、前記関節窩コンポーネントの本体の前記関節表面の寸法によってそれぞれ規定された、複数の異なるサイズ(S、M、L)で提供され、
それぞれのサイズ(S、M、L)においては、少なくとも2つの関節窩コンポーネント(S1及びS2、M1及びM2、L1及びL2)が設けられ、前記関節窩コンポーネントの、それぞれの本体(S1.1、S2.1、M1.1、M2.1、L1.1、L2.1)の前記支持表面(S1.3、S2.3、M1.3、M2.3、L1.3、L2.3)はそれぞれ異なる形状寸法を有していることを特徴とするセット。
【請求項2】
同じサイズ(S、M、L)を有する前記関節窩コンポーネントの少なくとも2つ(S1及びS2、M1及びM2、L1及びL2)に対してそれぞれ異なって与えられている前記形状寸法は、同じ凸曲面状の表面形状に対応するが、同数の異なる曲面を有していることを特徴とする請求項1に記載のセット。
【請求項3】
前記同じ凸曲面状の表面形状は実質的に球面の一部であり、これにより、同じサイズ(S、M、L)を有する前記関節窩コンポーネントの少なくとも2つ(S1及びS2、M1及びM2、L1及びL2)に対してそれぞれ異なって与えられている前記形状寸法は、同数の異なる曲率半径(rS1及びrS2、rM1及びrM2、rL1及びrL2)に対応していることを特徴とする請求項2に記載のセット。
【請求項4】
少なくとも幾らかのサイズ(S、M、L)では、同じサイズ(S、M、L)を有している前記少なくとも2つのコンポーネント(S1及びS2、M1及びM2、L1及びL2)の前記支持表面(S1.3及びS2.3、M1.3及びM2.3、L1.3及びL2.3)の前記曲率半径(rS1及びrS2、rM1及びrM2、rL1及びrL2)それぞれ間の差は、4mmより大きく、好ましくは8mmより大きいことを特徴とする請求項3に記載のセット。
【請求項5】
同じサイズ(S、M)に対してそれぞれ異なって与えられている前記曲率半径(rS1及びrS2、rM1及びrM2、rL1及びrL2)の少なくとも1つは、前記サイズ同士の中で、小さいサイズから大きなサイズへ移行する場合に、少なくとも一度は変化することの無い値を有することを特徴とする請求項3又は4に記載のセット。
【請求項6】
同じサイズ(M、L)に対してそれぞれ異なって提供されている前記曲率半径(rS1及びrS2、rM1及びrM2、rL1及びrL2)の少なくとも1つは、前記サイズ同士の中で、小さいサイズから大きなサイズへ移行する場合に、少なくとも1度は増加する値を有することを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載のセット。
【請求項7】
同じサイズを有する前記関節窩コンポーネントの少なくとも2つに対してそれぞれ異なって提供されている前記形状寸法は、少なくとも平面状表面、凸曲面状表面、凹曲面状表面及び階段状表面の中の、同数の異なる幾何学形状に対応していることを特徴とする請求項1に記載のセット。
【請求項8】
同じサイズを有する前記関節窩コンポーネント(S1及びS2、M1及びM2、L1及びL2)の少なくとも2つに対してそれぞれ異なって提供されている前記形状寸法の少なくとも1つは、前記異なるサイズ(S、L、M)の少なくとも2つ(S、M)に同一であると認められることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のセット。
【請求項9】
前記セット(J)の前記関節窩コンポーネント(S1、S2、M1、M2、L1、L2)の少なくとも1つには、少なくとも1つの固定要素(S2.4)が前記肩甲骨の関節窩内に設けられ、前記固定要素は前記関節窩コンポーネントの前記支持表面(S2.3)から突出していることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のセット。
【請求項10】
前記セット(J)の前記関節窩コンポーネント(S1、S2、M1、M2、L1、L2)それぞれの前記支持表面(S1.3、S2.3、M1.3、M2.3、L1.3、L2.3)は、存在し得る前記固定要素(S2.4)の外部に、前記関節窩コンポーネントの前記本体(S1.1、S2.1、M1.1、M2.1、L1.1、L2.1)の対応する面の大部分又は全てを占めていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−101052(P2012−101052A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−231760(P2011−231760)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(503243922)
【Fターム(参考)】