説明

人数の分布算出方法、人数の分布算出システム、無線通信装置及びサーバ

【課題】タグリーダの検出エリア外に位置する無線タグの存在を把握して人数の分布を推定する。
【解決手段】タグ11、12はタグリーダ1、2、3内の各検出エリアA1、A2、A3内に移動してエリアコードID1、ID2、ID3を受信すると、エリアコードID1、ID2、ID3を記憶してタグ識別コードNode IDと合成して一時的に使用するテンポラリ・タグ識別コードtmpIDを生成してタグリーダ1、2、3に送信する。タグ11、12は検出エリアA1、A2、A3外でテンポラリ・タグ識別コードtmpIDを交換し、検出エリアA1、A2、A3内に移動すると、交換したテンポラリ・タグ識別コードtmpID(rcvID)をタグリーダ1、2、3に送信する。推定ノード101はテンポラリ・タグ識別コードtmpID及び受信時刻と交換したテンポラリ・タグ識別コードrcvID及び交換時刻に基づいて特定のエリア及びその近傍の特定の時刻における人数を推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人が保持する無線通信装置を用いた人数の分布算出方法、人数の分布算出システムに関する。
また本発明は、上記の人数の分布算出システムにおける無線通信装置及びサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として例えば下記特許文献1に示されるように、人が保持するカード内に無線通信装置として無線タグを設けるとともに、人の分布を算出する対象のエリアに、無線タグと通信する無線通信装置として複数のタグリーダを分散して配置し、タグリーダがその無線エリア(ゾーン)内に位置する無線タグと通信してタグIDを収集することにより、対象エリア内の人数の分布を算出するシステムが知られている。なお、特許文献1には、個人のプライバシを保護することを目的として、収集されたタグIDをそのまま表示するのではなく、集団の大きさや特定の人の肩書などを視覚化する手法が開示されている。
【特許文献1】特開2006−155431号公報(要約書)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、無線タグと通信する複数のタグリーダを離間して配置して、複数のタグリーダの各検出エリア(無線エリア)が離間したシステムでは、タグリーダの検出エリア外に位置する無線タグの存在を把握することができず、人数の分布を推定することができないという問題点がある。特に、災害時などにおいてタグリーダを非難場所などの特定の位置のみに配置して、特定のエリアに位置する人数を大まかにでも把握したいという要求に対応することができない。
【0004】
本発明は上記従来例の問題点に鑑み、複数のタグリーダの各検出エリアが離間したシステムにおいて、タグリーダの検出エリア外に位置する無線タグの存在を把握して人数の分布を推定することができる人数の分布算出方法及び人数の分布算出システムを提供することを目的とする。
また本発明は、上記の人数の分布算出システムにおける無線通信装置及びサーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記目的を達成するために、複数の人がそれぞれ保持する複数の第1の無線通信装置と、それぞれの検出エリアが離間して配置された複数の第2の無線通信装置との間で無線通信を行うことにより、人数の分布を算出する人数の分布算出方法であって、
前記複数の第2の無線通信装置がそれぞれ、自身の検出エリアを識別するためのエリア識別情報を前記複数の第1の無線通信装置に広告するステップと、
前記複数の第1の無線通信装置がそれぞれ、前記第2の無線通信装置と通信可能な場合に、前記エリア識別情報を受信して自装置の識別情報と合成した第1のテンポラリ識別情報を生成して前記第2の無線通信装置に送信するステップと、
前記複数の第2の無線通信装置がそれぞれ、前記第1の無線通信装置と通信可能な場合に前記第1のテンポラリ識別情報を受信してサーバに送信するステップと、
前記複数の第1の無線通信装置がそれぞれ、お互いに通信可能な場合であって前記第2の無線通信装置と通信可能でない場合に前記第1のテンポラリ識別情報を交換し、前記第2の無線通信装置と通信可能となった場合に前記交換した第1のテンポラリ識別情報を第2のテンポラリ識別情報としてその交換時刻と共に前記第2の無線通信装置に送信するステップと、
前記複数の第2の無線通信装置がそれぞれ、前記第1の無線通信装置と通信可能な場合に前記第2のテンポラリ識別情報を受信してサーバに送信するステップと、
前記サーバが前記第1のテンポラリ識別情報を受信してその受信時刻と共にデータベースに記録するとともに、前記第2のテンポラリ識別情報及び交換時刻を受信して前記データベースに記録し、前記データベースに記録された前記第1のテンポラリ識別情報及び受信時刻と前記第2のテンポラリ装置識別情報及び交換時刻に基づいて特定のエリア及びその近傍の特定の時刻における人数を推定するステップとを、
有する構成とした。
【0006】
また本発明は上記目的を達成するために、複数の人がそれぞれ保持する複数の第1の無線通信装置と、それぞれの検出エリアが離間して配置された複数の第2の無線通信装置との間で無線通信を行うことにより、人数の分布を算出する人数の分布算出システムであって、
前記複数の第2の無線通信装置がそれぞれ、自身の検出エリアを識別するためのエリア識別情報を前記複数の第1の無線通信装置に広告する手段と、
前記複数の第1の無線通信装置がそれぞれ、前記第2の無線通信装置と通信可能な場合に、前記エリア識別情報を受信して自装置の識別情報と合成した第1のテンポラリ識別情報を生成して前記第2の無線通信装置に送信する手段と、
前記複数の第2の無線通信装置がそれぞれ、前記第1の無線通信装置と通信可能な場合に前記第1のテンポラリ識別情報を受信してサーバに送信する手段と、
前記複数の第1の無線通信装置がそれぞれ、お互いに通信可能な場合であって前記第2の無線通信装置と通信可能でない場合に前記第1のテンポラリ識別情報を交換し、前記第2の無線通信装置と通信可能となった場合に前記交換した第1のテンポラリ識別情報を第2のテンポラリ識別情報としてその交換時刻と共に前記第2の無線通信装置に送信する手段と、
前記複数の第2の無線通信装置がそれぞれ、前記第1の無線通信装置と通信可能な場合に前記第2のテンポラリ識別情報を受信してサーバに送信する手段と、
前記サーバが前記第1のテンポラリ識別情報を受信してその受信時刻と共にデータベースに記録するとともに、前記第2のテンポラリ識別情報及び交換時刻を受信して前記データベースに記録し、前記データベースに記録された前記第1のテンポラリ識別情報及び受信時刻と前記第2のテンポラリ装置識別情報及び交換時刻に基づいて特定のエリア及びその近傍の特定の時刻における人数を推定する手段とを、
有する構成とした。
【0007】
また本発明は上記目的を達成するために、複数の人がそれぞれ保持する複数の第1の無線通信装置と、それぞれの検出エリアが離間して配置された複数の第2の無線通信装置との間で無線通信を行うことにより、人数の分布を算出する人数の分布算出システムにおける前記第1の無線通信装置であって、
前記第2の無線通信装置と通信可能な場合に、前記複数の第2の無線通信装置がそれぞれ、自身の検出エリアを識別するために前記第1の無線通信装置に広告するエリア識別情報を受信して自装置の識別情報と合成した第1のテンポラリ識別情報を生成して前記第2の無線通信装置に送信する手段と、
他の前記第1の無線通信装置とお互いに通信可能な場合であって前記第2の無線通信装置と通信可能でない場合に前記第1のテンポラリ識別情報を交換し、前記第2の無線通信装置と通信可能となった場合に前記交換した第1のテンポラリ識別情報を第2のテンポラリ識別情報としてその交換時刻と共に前記第2の無線通信装置に送信する手段とを、
備えた構成とした。
【0008】
また本発明は上記目的を達成するために、複数の人がそれぞれ保持する複数の第1の無線通信装置と、それぞれの検出エリアが離間して配置された複数の第2の無線通信装置との間で無線通信を行うことにより、人数の分布を算出する人数の分布算出システムにおける前記第2の無線通信装置であって、
自身の検出エリアを識別するためのエリア識別情報を前記複数の第1の無線通信装置に広告する手段と、
前記複数の第1の無線通信装置がそれぞれ前記エリア識別情報を受信して自装置の識別情報と合成して送信した第1のテンポラリ識別情報を受信してサーバに送信する手段と、
前記複数の第1の無線通信装置がそれぞれお互いに交換した第1のテンポラリ識別情報を第2のテンポラリ識別情報としてその交換時刻と共に送信した前記第2のテンポラリ識別情報及びその交換時刻を受信してサーバに送信する手段とを、
備えた構成とした。
【0009】
また本発明は上記目的を達成するために、複数の人がそれぞれ保持する複数の第1の無線通信装置と、それぞれの検出エリアが離間して配置された複数の第2の無線通信装置との間で無線通信を行うことにより、人数の分布を算出する人数の分布算出システムにおけるサーバであって、
前記複数の第1の無線通信装置からそれぞれ送信された、前記複数の第2の無線通信装置のそれぞれの検出エリアを識別するためのエリア識別情報と前記第1の無線通信装置の識別情報を含む第1のテンポラリ識別情報を前記第2の無線通信装置を介して前記第2の無線通信装置の受信時刻と共に受信してデータベースに記録する手段と、
前記複数の第1の無線通信装置のそれぞれによりお互いに前記第2の無線通信装置のエリア外で交換された第2のテンポラリ識別情報及びその交換時刻を受信して前記データベースに記録する手段と、
前記データベースに記録された前記第1のテンポラリ識別情報及び受信時刻と前記第2のテンポラリ装置識別情報及び交換時刻に基づいて特定のエリア及びその近傍の特定の時刻における人数を推定する手段とを、
有する構成とした。
また本発明は、複数の人がそれぞれ保持する複数の第1の無線通信装置と、それぞれの検出エリアが離間して配置された複数の第2の無線通信装置との間で無線通信を行うことにより、特定のエリア近傍の特定の時刻における人数を推定する場合、
前記複数の第2の無線通信装置がそれぞれ、自身の検出エリアを識別するためのエリア識別情報を前記複数の第1の無線通信装置に広告し、
前記複数の第1の無線通信装置がそれぞれ、前記第2の無線通信装置と通信可能な場合に、前記エリア識別情報を受信して自装置の識別情報と合成した第1のテンポラリ識別情報を生成し、
前記複数の第1の無線通信装置がそれぞれ、お互いに通信可能な場合であって前記第2の無線通信装置と通信可能でない場合に前記第1のテンポラリ識別情報を交換し、前記第2の無線通信装置と通信可能となった場合に前記交換した第1のテンポラリ識別情報を第2のテンポラリ識別情報としてその交換時刻と共に前記第2の無線通信装置に送信し、
前記複数の第2の無線通信装置がそれぞれ、前記第1の無線通信装置と通信可能な場合に前記第2のテンポラリ識別情報を受信してサーバに送信し、
前記サーバが前記第2のテンポラリ識別情報及び交換時刻を受信してデータベースに記録し、前記データベースに記録された前記第2のテンポラリ装置識別情報及び交換時刻に基づいて特定のエリア近傍の特定の時刻における人数を推定する、
構成とした。
【0010】
この構成により、タグリーダである第2の無線通信装置がエリア識別情報を無線タグである第1の無線通信装置に広告して、第1の無線通信装置がエリア識別情報と自装置の識別情報と合成した第1のテンポラリ識別情報を生成して第2の無線通信装置に送信するとともに、第1の無線通信装置がエリア外でお互いに第1のテンポラリ識別情報を交換して交換した第2のテンポラリ識別情報及びその交換時刻を第2の無線通信装置に送信するので、複数のタグリーダの各検出エリアが離間したシステムにおいて、タグリーダの検出エリア外に位置する無線タグの存在を把握して人数の分布を推定することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数のタグリーダの各検出エリアが離間したシステムにおいて、タグリーダの検出エリア外に位置する無線タグの存在を把握して人数の分布を推定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
<第1の実施形態>
図1は本発明に係る人数の分布算出システムの第1の実施形態を示すシステム構成図である。このシステムは、ノードとして、人数分布の推定要求を送信するクライアント100と、クライアント100から要求を受けて人数の分布を推定し、推定結果をクライアント100に提供する推定ノード(サーバ)101と、各検出エリア(無線エリア)A1、A2、A3が離間して配置された複数のタグリーダ1、2、3と、人が保持するカード内に設けられるとともにお互いに通信可能な複数の無線タグ(tag)11、12を各リンクを介して接続することにより構成される。
【0013】
ここで、図1に示す位置のタグ11は、タグリーダ1の検出エリアA1内から検出エリアA1外に移動し、次いでタグリーダ2の検出エリアA2内に移動し、次いでタグリーダ2の検出エリアA2内から検出エリアA3外に移動し、次いでタグリーダ3の検出エリアA3内に移動したことを示す。また、図1に示す位置のタグ12は、タグリーダ1、2、3のいずれの検出エリアA1、A2、A3内に位置していないが、エリアA2内に位置しているタグ11と交信することを示す。
【0014】
このようなシステムにおいて、タグリーダ1、2、3はそれぞれ、図2に示すようなフォーマットで自身の固有のエリアを識別するためのエリアコード(後述するID1、ID2、ID3)をビーコンなどで送信(広告)している。また、タグ11、12は自身の固有及び不変のタグ識別コードNode IDが予め記憶され、タグリーダ1、2、3内の各検出エリアA1、A2、A3内に移動してエリアコードID1、ID2、ID3を受信すると、エリアコードID1、ID2、ID3を記憶して図3に示すようなフォーマットでタグ識別コードNode IDと合成して一時的に使用するテンポラリ・タグ識別コードtmpIDを生成する。なお、テンポラリ・タグ識別コードtmpIDの合成方法は、図3に示すようにエリア識別コードID1、ID2、ID3を上位ビット側、タグ識別コードNode IDを下位ビット側とする構成か、又はその逆の構成でよい。
【0015】
そして、タグ11(及び12)はタグリーダ1、2、3に対し、図4に示すようにそれぞれ自身のテンポラリ・タグ識別コードtmpIDとタグ識別コードNode IDを含むID通知メッセージを送信する。したがって、タグ11は、図1に示すようにタグリーダ1→2→3のように移動すると、エリアコードID1、ID2、ID3の部分が異なるテンポラリ・タグ識別コードtmpIDをタグリーダ1、2、3に通知する。タグリーダ1、2、3はタグ11、12からID通知メッセージを受信すると、図5に示すようにID通知メッセージ内のテンポラリ・タグ識別コードtmpID及びタグ識別コードNode IDと、ID通知メッセージの受信時刻を含む通過報告メッセージを推定ノード101に送信する。推定ノード101は受信した通過報告メッセージの内容をデータベースDB−1(後述)に記録する。
【0016】
また、図1に示す位置のタグ11、12は、お互いに無線通信可能な領域に接近すると、お互いに記憶しているテンポラリ・タグ識別コードtmpIDを交換し、相手先から受信したテンポラリ・タグ識別コードtmpIDとその受信時刻を交換時刻とした履歴データとして記憶し、また、タグリーダ1、2、3の検出エリアA1、A2、A3内に移動した場合に、相手先から受信・記憶したテンポラリ・タグ識別コードtmpIDをタグリーダ1、2、3に通知する。
【0017】
図6は、タグ11が相手先タグ12から受信・記憶したテンポラリ・タグ識別コードtmpIDをタグリーダ1、2、3に通知するための履歴レコード通知メッセージのフォーマットを示す。このメッセージは、送信元タグ11のtmpID及びNode IDと、履歴レコード数と、1以上の履歴レコードにより構成される。各履歴レコードは、相手先タグ12から各tmpIDを受信した受信時刻(交換時刻)、及びtmpIDである各rcvIDにより構成される。そして、タグリーダ1、2、3はタグ11から履歴レコード通知メッセージを受信すると、同じ内容の履歴データ報告メッセージを推定ノード101に送信する。推定ノード101は受信した履歴データ報告メッセージの内容をデータベースDB−2(後述)に記録し、クライアント100から要求を受けると、後述するようにデータベースDB−1、DB−2に基づいて人数の分布を推定する。
【0018】
以下に、具体例を詳しく説明する。図7は初期状態(時刻t=t0)の例を示す。図7に示す例では、タグリーダ1の検出エリアA1(エリアコード=ID1)内には、Node ID=aのタグAとNode ID=bのタグBが位置している。このとき、タグA、Bのテンポラリ・タグ識別コードtmpIDは、図3のtmpIDのフォーマット例にしたがって、それぞれID1a、ID1bと記載することができる。同様に、タグリーダ2の検出エリアA2(エリアコード=ID2)内には、Node ID=cのタグCとNode ID=dのタグDが位置し、したがって、タグC、Dのテンポラリ・タグ識別コードtmpIDは、それぞれID2c、ID2dである。また、タグリーダ3の検出エリアA3(エリアコード=ID3)内には、Node ID=eのタグEとNode ID=xのタグXが位置し、したがって、タグE、Xのテンポラリ・タグ識別コードtmpIDは、それぞれID3e、ID3xである。これらのテンポラリ・タグ識別コードtmpIDは、タグリーダ1、2、3を経由して推定ノード101にアップロードされ、推定ノード101内のデータベース(後述するDB−1)に時刻t=t0と共に記憶される。
【0019】
図8は図7に示す初期状態(時刻t=t0)から時刻t=t1、t2、t3のときの各タグA〜E、Xの位置変化を示す。まず、タグA、D、Eは、図6に示す初期状態から移動していないので、それぞれのtmpIDが変化しない。タグB、C、Xは、以下のように移動してそれぞれのtmpIDが変化する。なお、いずれのタグもタグリーダ1、2、3の検出エリアA1、A2、A3内に位置するときには自身のtmpIDをタグリーダ1、2、3に送信し、したがって、各tmpIDは、図9(a)に示すように推定ノード101内のデータベースDB−1に時刻t=t1、t2、t3と共に記憶される。
【0020】
<タグB>
t=t1:初期のタグリーダ1の検出エリアA1内に位置している(tmpID=ID1b)。
t=t2:タグリーダ1の検出エリアA1外に移動したが、タグリーダ2、3のいずれの検出エリアA2、A3内に移動していないので、tmpIDは変化しない(tmpID=ID1b)。ただし、タグC、Xとお互いに無線通信可能な領域に接近してお互いのtmpIDを交換した(後述)。
t=t3:タグリーダ2の検出エリアA2内に移動した(tmpID=ID1b→ID2b)。
【0021】
<タグC>
t=t1:初期のタグリーダ2の検出エリア内A2に位置している(tmpID=ID2c)。
t=t2:タグリーダ2の検出エリアA2外に移動したが、タグリーダ1、3のいずれの検出エリアA1、A2内に移動していないので、tmpIDは変化しない(tmpID=ID2c)。ただし、タグB、Xとお互いに無線通信可能な領域に接近してお互いのtmpIDを交換した(後述)。
t=t3:タグリーダ1の検出エリアA1内に移動した(tmpID=ID2c→ID1c)。
【0022】
<タグX>
t=t1:タグリーダ2の検出エリアA2内に移動した(tmpID=ID3x→ID2x)。
t=t2:タグリーダ2の検出エリアA2外に移動したが、タグリーダ1、3のいずれの検出エリアA1、A3内に移動していないので、tmpIDは変化しない(tmpID=ID2x)。ただし、タグC、Xとお互いに無線通信可能な領域に接近してお互いのtmpIDを交換した(後述)。
t=t3:タグXは、t=t2以降は移動をせず、エリアA1、A2、A3のどこにも入っていない。そのため、タグC、Xは、それぞれがエリアA1もしくはA2に入り、t=t3でそれぞれタグリーダ1もしくはタグリーダ2と通信しているが、タグXはどのタグリーダ1、2、3とも通信を行っていない状態にある。
【0023】
<t=t2におけるエリア外のtmpIDの交換>
<<タグB>>
タグC、Xの各tmpID=ID2c、ID2xを受信する。次いでt=t3でtmpID=ID2c、ID2x及び受信時刻t=t2を自身のtmpID=ID2bと共に、図6に示す履歴レコード通知メッセージでタグリーダ2に送信する。この場合にタグBが送信する履歴レコード通知メッセージは、タグBのtmpID=ID2bと、タグBのNode ID=bと、履歴レコード数=2と、2つの履歴レコードにより構成される。2つの履歴レコードは、タグC、Xからそれぞれ各tmpID=ID2c、ID2xを受信した受信時刻t=t2と、タグC、Xからそれぞれ受信した各tmpID=ID2c、ID2xであるrcvIDにより構成される。タグリーダ2はタグBから履歴レコード通知メッセージを受信すると、同じ内容の履歴データ報告メッセージを推定ノード101に送信する。推定ノード101は履歴データ報告メッセージ内の履歴データを図9(b)に示すデータベースDB−2に記録する。
【0024】
<<タグC>>
タグB、Xの各tmpID=ID1b、ID2xを受信する。次いで同じくt=t3で図6に示す履歴レコード通知メッセージにより、tmpID=ID1b、ID2x及び受信時刻t=t2を自身のtmpID=ID2cと共にタグリーダ1に送信する。タグリーダ1はタグCから履歴レコード通知メッセージを受信すると、同じ内容の履歴データ報告メッセージを推定ノード101に送信し、推定ノード101は履歴データ報告メッセージ内の履歴データを図9(b)に示すデータベースDB−2に記録する。
【0025】
<<タグX>>
タグB、Cの各tmpID=ID1b、ID2cを受信する。t=t3ではどの検出エリアA1、A2、A3内にも移動していないので、tmpID=ID1b、ID2c及び自身のtmpID=ID2xをタグリーダ1、2、3のどれに対しても送信できない。
【0026】
<推定ノードのデータベース>
図9(a)は、各タグA、B、C、D、E、Xが自身のtmpIDを送信した場合のデータベースDB−1を示す。また、図9(b)は、上記のt=t2において交換されてt=t3でタグリーダ1、2が受信して推定ノード101に報告したtmpID(rcvID)のデータベースDB−2を示す。例えばt1<t<t3における人数及びその位置を算出したい場合、図9(a)の(1)(ここで、図面では丸付き数字で示す)から、タグリーダ1、2、3がそれぞれ受信したtmpIDは、ID1a、ID2d、ID3eであるので、Node ID=a、d、eのタグA、D、Eがそれぞれタグリーダ1、2、3の検出エリアA1、A2、A3内に位置していたことがわかり、また、タグB、C、Xは、いずれの検出エリアA1、A2、A3内にも位置していなかったことがわかる。また、t1<t<t3におけるタグリーダ2の検出エリアA2の人数及びその位置を算出したい場合、図9(a)の(2)から、タグDが位置していたことがわかる。
【0027】
さらに、t1<t<t3においてtmpIDがエリア外で交換されたrcvIDの人数、及び大まかな位置を推定したい場合、図9(b)に示すデータベースDB−2の(3)から、それがわかる。また、移動元のエリア及び人数を算出したい場合、図9(b)の(4)から、それがわかる。特に、タグXに着目すると、t=t2ではタグリーダ2の検出エリアA2外に移動してタグリーダ1、3のいずれの検出エリアA1、A3内に移動していないが、tmpID=ID2xを他のタグB、Cに送信したことがわかる。
【0028】
<タグの構成及び動作>
図10はタグ11、12(タグA、B、C、D、E、Xも含む)の構成を示す。無線受信手段21は図2に示すようなフォーマットでタグリーダ1〜3から送信されるビーコンと、他のタグから送信されるtmpIDなどを受信する。ビーコン解析手段22は無線受信手段21が受信したビーコンを解析してタグ1〜3のエリアコードを取得し、tmpID生成手段23は、ビーコン解析手段22が取得したエリアコードと自身のNode IDを合成したテンポラリ・タグ識別コードtmpIDを図3に示すようなフォーマットで生成する。rcvID記録手段24は他のタグから受信したtmpIDをrcvIDとして、また、タイマ28の現在時刻をrcvIDの受信時刻(交換時刻)として記録する。ID通知メッセージ生成手段25は図4に示すようなフォーマットのID通知メッセージを生成し、履歴レコード通知メッセージ生成手段26は図8に示すようなフォーマットの履歴レコード通知メッセージを生成する。ID送信手段27は他のタグに対し、自身のtmpIDを送信する。無線送信手段29はID通知メッセージと履歴レコード通知メッセージをタグリーダ1〜3に送信し、また、自身のtmpIDを他のタグに送信する。
【0029】
図11はタグがタグリーダからビーコンを受信したときのフローチャートである。まず、ビーコンを受信したか否かをチェックし(ステップS71)、受信した場合にステップS72に進む。ステップS72では新規なエリアコードを受信したか否かをチェックし、受信した場合にステップS73に進み、受信していない場合にはステップS75に進む。ステップS73では、新規に受信したエリアコードと自身のNode IDを合成したテンポラリ・タグ識別コードtmpIDを生成し、次いで、tmpIDとNode IDを含むID通知メッセージをタグリーダに送信する(ステップS74)。続くステップS75では、他のタグから受信したtmpID(rcvID)を含む履歴データが存在するか否かをチェックし、存在する場合に履歴レコード通知メッセージをタグリーダに送信し、次いでステップS71に戻る。ステップS75において他のタグから受信した履歴データが存在しない場合にはステップS71に戻る。
【0030】
図12はタグ同士でtmpIDを交換するときのフローチャートである。まず、自身のtmpIDを送信し(ステップS81)、次いで他のタグからtmpID(rcvID)を受信したか否かをチェックし(ステップS82)、受信した場合にその受信したtmpID(rcvID)と、その受信した時刻(交換時刻)を記録する(ステップS83)。
【0031】
<タグリーダの構成及び動作>
図13はタグリーダ1〜3の構成を示す。無線受信手段31と無線送信手段33はタグ11、12(タグA、B、C、D、E、Xも含む)と無線通信を行い、有線受信手段32と有線送信手段34は推定ノード101と有線通信を行う。ビーコン生成手段35は図2に示すような自身のエリアコードをタグ11、12(タグA、B、C、D、E、Xも含む)に送信(広告)するためのビーコンを生成し、ビーコン送信手段38はビーコン生成手段35により生成されたビーコンを送信する。通過報告メッセージ生成手段36は図5に示すように推定ノード101に送信するための通過報告メッセージを生成する。履歴データ報告メッセージ生成手段37は図8に示すようにタグ11、12(タグA、B、C、D、E、Xも含む)から受信した履歴レコード通知メッセージを推定ノード101に報告するための履歴データ報告メッセージを生成する。タイマ39の現在時刻は、通過報告メッセージ内のID通知メッセージ受信時刻として用いられる。
【0032】
図14はタグリーダの動作を説明するためのフローチャートである。まず、ビーコン送信を開始すると(ステップS61)、タグ11、12(タグA、B、C、D、E、Xも含む)からID通知メッセージを受信したか否かをチェックする(ステップS62)。そして、受信した場合には、ID通知メッセージと受信時刻tを推定ノード101に送信し(ステップS63)、次いでステップS64に進む。ステップS62においてID通知メッセージを受信していなければステップS64に進む。ステップS64では、タグ11、12(タグA、B、C、D、E、Xも含む)から履歴レコード通知メッセージを受信したか否かをチェックし、受信した場合には同じ内容の履歴データ報告メッセージと受信時刻tを推定ノード101に送信し(ステップS65)、次いでステップS61に戻る。ステップS64において履歴レコード通知メッセージを受信していなければステップS61に戻る。
【0033】
<推定ノードの構成及び動作>
図15は推定ノード101の構成を示す。有線受信手段41と有線送信手段42は、タグリーダ1〜3及びクライアント100と有線通信を行う。通過報告メッセージ記録手段43と履歴データ報告メッセージ記録手段44はそれぞれ、タグリーダ1、2、3から送信された通過報告メッセージと履歴データ報告メッセージを記録する。人数の推定手段45と位置推定手段46はそれぞれ、クライアント100からの推定データ要求を受けて人数と位置を推定する。
【0034】
<人数及び位置の算出>
図16は人数及び位置を算出する場合のクライアント100と、サーバである推定ノード101の通信シーケンスを示す。また、図17は推定ノード101の処理を示すフローチャート、図18は図17のデータベースDB−1の処理を詳しく示すフローチャート、図19は図17のデータベースDB−2の処理を詳しく示すフローチャートである。図16、図17において、クライアント100が推定ノード101に対して、「エリアコード」と「時間範囲」を指定した推定データ要求を送信すると、推定ノード101はこの推定データ要求を受信して(ステップS1)、データベースDB−1より該当する人数の概数を算出する(ステップS2)。ステップS2では図18に詳しく示すように、データベースDB−1における「タグリーダでの受信時刻」が、要求された「時間範囲」内となるデータを抽出し(ステップS11)、次いで抽出データ内の「受信したタグリーダ」が、要求された「エリアコード」と一致するデータを検出し(ステップS12)、次いでこのデータ数から人数の概数を算出する(ステップS13)。
【0035】
次いでデータベースDB−2より該当する人数の概数を算出する(ステップS3)。ステップS3では図19に詳しく示すように、データベースDB−2における「他のタグからtmpID(rcvID)を受信した時刻」が、要求された「時間範囲」内となるデータを抽出し(ステップS21)、次いで抽出データ内の「rcvID」の中で、要求された「エリアコード」と一致するエリアコードを使用しているrcvIDを検出し(ステップS22)、次いでこのデータ数から人数の概数を算出する(ステップS23)。次いで推定ノード101は、データベースDB−1、DB−2より算出した二種の数の和をとって人数の概数を算出し(ステップS4)、次いで「エリアコード」と、「時間範囲」と「人数の概数」を含む推定データ応答をクライアント100に送信する(ステップS5)。
【0036】
<特定の人の位置を推定>
データベースDB−1、DB−2によれば、現在、検出エリアA1、A2、A3内に位置していない特定の人の位置を推定することも可能である。図20は、データベースDB−1、DB−2からタグXの位置を推定する場合を示す。t1<t<t3の時間範囲内にNode ID=xのタグXの位置を推定する要求があった場合、まず、データベースDB−1からは、図20(a)の(1)に示すようにt=t0、t1ではNode ID=xを検出できるが、t1<t<t3では検出できない。ただし、データベースDB−1からタグXの最新(t=t1)のtmpID=ID2xがわかる。そこで、データベースDB−2を参照すると、t=t1より後のt=t2においてtmpID=ID2xと一致するrcvIDが存在するので、タグXはt1<t<t3の時間範囲内では「検出エリアA2の近傍」に位置するものと推定できる。
【0037】
<位置推定動作>
図21は特定の人の位置を推定する場合のクライアント100と、サーバである推定ノード101の通信シーケンスを示す。また、図22は推定ノード101の処理を示すフローチャートである。クライアント100が推定ノード101に対して、「Node ID」及び「時間範囲」を指定した推定データ要求を送信すると、推定ノード101はこの推定データ要求を受信して(ステップS40)、データベースDB−1より、要求された条件に該当する「Node ID」を探索する(ステップS41)。次いで該当する「Node ID」がデータベースDB−1にあるか否かをチェックし(ステップS42)、なければ位置推定データが不可であることをクライアント100に応答し(ステップS51)、次いでこの処理を終了する。
【0038】
他方、ステップS42において該当する「Node ID」がデータベースDB−1にある場合、データベースDB−1から、抽出した「Node ID」の「受信したタグリーダ」を参照し、そのタグが位置していたエリアを位置推定データ1として特定する(ステップS43)。次いで、データベースDB−1から、抽出した「Node ID」と対応するtmpIDをすべて取得し(ステップS44)、次いで、データベースDB−1から取得したtmpIDと一致するrcvIDをデータベースDB−2から抽出する(ステップS45)。次いで、該当するrcvIDがデータベースDB−2にあるか否かをチェックし(ステップS46)、なければ位置推定データ1をクライアント100に応答し(ステップS50)、次いでこの処理を終了する。他方、ステップS46において該当するrcvIDがデータベースDB−2にある場合、抽出したrcvIDのエリアコードにより、近傍にいたと推定されるエリアを位置推定データ2として特定する(ステップS47)。次いで、位置推定データ1、2をクライアント100に応答し(ステップS49)、次いでこの処理を終了する。
【0039】
<システムの変形例>
システムの変形例として、1つのエリアに複数のタグリーダを配置してもよい。図23は変形例として、エリア1にはタグリーダ1−1、1−2、1−3、1−4が配置され、タグリーダ1−1、1−2、1−3、1−4は、エリア1の同じエリアコード(ID1とする)を送信している。また、エリア2にはタグリーダ2−1、2−2、2−3が配置され、タグリーダ2−1、2−2、2−3は、エリア2の同じエリアコード(ID2とする)を送信している。
【0040】
図24は図23に示すシステムにおける通信シーケンスを示す。
(1)タグaはタグリーダ1−1の検出エリア内に移動してエリアコードID1を受信すると、エリアコードID1とNode ID=aを合成したテンポラリ・タグ識別コードtmpID=ID1aを生成し、tmpID=ID1aとNode ID=aを含むID通知メッセージをタグリーダ1−1に送信する。タグリーダ1−1はこのID通知メッセージを受信すると、tmpID=ID1aと、Node ID=aと、受信時刻tを含む通過報告メッセージを推定ノード101に送信する。推定ノード101はこの通過報告メッセージを受信すると、tmpID=ID1aとNode ID=aの対応をデータベースDB−1に記録する。次いでタグaはタグリーダ1−2の検出エリアに移動すると、同じエリアコードID1を受信するので、tmpIDは変更しない。
【0041】
(2)次いでタグaはタグリーダ2−1の検出エリアに移動すると、異なるエリアコードID2を受信するので、エリアコードID2とNode ID=aを合成したテンポラリ・タグ識別コードtmpID=ID2aを生成し、tmpID=ID2aとNode ID=aを含むID通知メッセージをタグリーダ2−1に送信する。タグリーダ2−1はこのID通知メッセージを受信すると、tmpID=ID2aと、Node ID=aと、受信時刻tを含む通過報告メッセージを推定ノード101に送信する。推定ノード101はこの通過報告メッセージを受信すると、tmpID=ID2aとNode ID=aの対応をデータベースDB−1に記録する。
【0042】
図25は図23に示すシステムにおいてタグリーダの検出エリア外のタグの位置を推定する方法を説明する図を示し、図26は通信シーケンスを示す。図25、図26は一例として、タグaがエリア1内からエリア1外に移動してタグbと交信し、次いでタグbがエリア2内に移動した場合を示す。
【0043】
(1)まず、タグaがエリア1内のタグリーダ1−1からエリアコードID1を受信すると、エリアコードID1とNode ID=aを合成したテンポラリ・タグ識別コードtmpID=ID1aを生成し、tmpID=ID1aとNode ID=aを含むID通知メッセージをタグリーダ1−1に送信する。タグリーダ1−1はこのID通知メッセージを受信すると、tmpID=ID1aと、Node ID=aと、受信時刻tを含む通過報告メッセージを推定ノード101に送信する。推定ノード101はこの通過報告メッセージを受信すると、tmpID=ID1aとNode ID=aの対応をデータベースDB−1に記録する。
【0044】
(2)次いでタグaがエリア1外に移動してタグbと交信し、tmpID=ID1aをタグbに送信すると、タグbはtmpID=ID1aを受信時刻tと共に記録する。
(3)次いで、タグbはエリア2内に移動してタグリーダ2−1からエリアコードID2を受信すると、エリアコードID2とNode ID=bを合成したテンポラリ・タグ識別コードtmpID=ID2bを生成し、tmpID=ID2bとNode ID=bを含むID通知メッセージをタグリーダ2−1に送信する。タグリーダ2−1はこのID通知メッセージを受信すると、tmpID=ID2bと、Node ID=bと、受信時刻tを含む通過報告メッセージを推定ノード101に送信する。推定ノード101はこの通過報告メッセージを受信すると、tmpID=ID2bとNode ID=bの対応をデータベースDB−1に記録する。
【0045】
次いで、タグbは、tmpID=ID2bと、Node ID=bと、履歴レコード数nと、その数n分の履歴データ(タグaから受信した時刻及びtmpIDであるrcvID)を含む履歴レコード通知メッセージをタグリーダ2−1に送信する。タグリーダ2−1はこの履歴レコード通知メッセージを受信すると、同じ内容の履歴データ報告メッセージを推定ノード101に送信する。推定ノード101はこの履歴データ報告メッセージを受信すると履歴データをデータベースDB−2に記録し、次いで履歴データ報告メッセージ受信時にはタグaがエリア1近傍に位置するものと推定する。
【0046】
<第2の実施の形態>
なお、上記第1の実施の形態では、テンポラリ・タグ識別コードtmpIDとして、エリアコードID1、ID2、ID3とタグ識別コードNode IDとを合成して生成したが、タグ識別コードNode IDの代わりに、第2の実施の形態としてビーコンの受信時刻や、ランダムに発生した値などの任意の数字でもよい。このように、自装置の識別情報として、タグ識別コードNodeID以外にも、ビーコンの受信時刻、ランダムに発生させた値といったタグが自動的もしくは自律的に決定することが可能な値を用いることも可能である。
【0047】
なお、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又はすべてを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブ ル・プロセッサーを利用してもよい。さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。例えば、バイオ技術の適用などが可能性としてあり得る。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、複数のタグリーダの各検出エリアが離間したシステムにおいて、タグリーダの検出エリア外に位置する無線タグの存在を把握して人数の分布を推定することができるという効果を有し、各種の無線タグシステムに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る人数の分布算出システムの第1の実施形態を示すシステム構成図
【図2】図1のタグリーダが送信するビーコンのフォーマット例を示す構成図
【図3】図1のタグのテンポラリ・タグ識別コードのフォーマット例を示す構成図
【図4】図1のタグがタグリーダに送信するID通知メッセージのフォーマット例を示す構成図
【図5】図1のタグリーダが推定ノードに送信する通過報告メッセージのフォーマット例を示す構成図
【図6】図1のタグがタグリーダに送信する履歴レコード通知メッセージのフォーマット例を示す構成図
【図7】図1のシステムの初期状態の具体例を示す説明図
【図8】図8の初期状態から時間が経過した状態を示す説明図
【図9】図1の推定ノードのデータベースを示す説明図(a)データベースDB−1(b)データベースDB−2
【図10】図1のタグの構成を示すブロック図
【図11】図1のタグのビーコン受信時の処理を示すフローチャート
【図12】図1のタグのテンポラリ・タグ識別コード交換時の処理を示すフローチャート
【図13】図1のタグリーダの構成を示すブロック図
【図14】図1のタグリーダの処理を示すフローチャート
【図15】図1の推定ノードの構成を示すブロック図
【図16】図1のシステムにおいて人数及び位置を推定する場合のクライアントと推定ノードの通信シーケンスを示す説明図
【図17】推定ノードの処理を示すフローチャート
【図18】図17のデータベースDB−1の処理を詳しく示すフローチャート
【図19】図17のデータベースDB−2の処理を詳しく示すフローチャート
【図20】図1のシステムにおいてタグリーダの検出エリア内に位置しないタグの位置を推定する処理を示す説明図
【図21】図1のシステムにおいてタグリーダの検出エリア内に位置しないタグの位置を推定する場合の通信シーケンスを示す説明図
【図22】図1のシステムにおいてタグリーダの検出エリア内に位置しないタグの位置を推定する場合の処理を示すフローチャート
【図23】図1のシステムの変形例を示す構成図
【図24】図23のシステムにおける通信シーケンスを示す説明図
【図25】図23のシステムにおけるテンポラリ・タグ識別コード交換を示す説明図
【図26】図23のシステムにおけるテンポラリ・タグ識別コード交換時の通信シーケンスを示す説明図
【符号の説明】
【0050】
1、2、3 タグリーダ(第2の無線通信装置)
11、12 無線タグ(第1の無線通信装置)
21 無線受信手段
22 ビーコン解析手段
23 tmpID生成手段
24 rcvID記録手段
25 ID通知メッセージ生成手段
26 履歴レコード通知メッセージ生成手段
27 ID送信手段
28 タイマ
29 無線送信手段
31 無線受信手段
32 有線受信手段
33 無線送信手段
34 有線送信手段
35 ビーコン生成手段
36 通過報告メッセージ生成手段
37 履歴データ報告メッセージ生成手段
38 ビーコン送信手段
39 タイマ
41 有線受信手段
42 有線送信手段
43 通過報告メッセージ記録手段
44 履歴データ報告メッセージ記録手段
45 人数の推定手段
46 位置推定手段
100 クライアント
101 推定ノード(サーバ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の人がそれぞれ保持する複数の第1の無線通信装置と、それぞれの検出エリアが離間して配置された複数の第2の無線通信装置との間で無線通信を行うことにより、人数の分布を算出する人数の分布算出方法であって、
前記複数の第2の無線通信装置のそれぞれが、自身の検出エリアを識別するためのエリア識別情報を前記複数の第1の無線通信装置に広告するステップと、
前記複数の第1の無線通信装置がそれぞれ、前記第2の無線通信装置と通信可能な場合に、前記エリア識別情報を受信して自装置の識別情報と合成した第1のテンポラリ識別情報を生成して前記第2の無線通信装置に送信するステップと、
前記複数の第2の無線通信装置がそれぞれ、前記第1の無線通信装置と通信可能な場合に前記第1のテンポラリ識別情報を受信してサーバに送信するステップと、
前記複数の第1の無線通信装置がそれぞれ、お互いに通信可能な場合であって前記第2の無線通信装置と通信可能でない場合に前記第1のテンポラリ識別情報を交換し、前記第2の無線通信装置と通信可能となった場合に前記交換した第1のテンポラリ識別情報を第2のテンポラリ識別情報としてその交換時刻と共に前記第2の無線通信装置に送信するステップと、
前記複数の第2の無線通信装置がそれぞれ、前記第1の無線通信装置と通信可能な場合に前記第2のテンポラリ識別情報を受信してサーバに送信するステップと、
前記サーバが前記第1のテンポラリ識別情報を受信してその受信時刻と共にデータベースに記録するとともに、前記第2のテンポラリ識別情報及び交換時刻を受信して前記データベースに記録し、前記データベースに記録された前記第1のテンポラリ識別情報及び受信時刻と前記第2のテンポラリ装置識別情報及び交換時刻に基づいて特定のエリア及びその近傍の特定の時刻における人数を推定するステップとを、
有する人数の分布算出方法。
【請求項2】
前記データベースに記録された前記第1のテンポラリ識別情報及び受信時刻と前記第2のテンポラリ装置識別情報及び交換時刻に基づいて特定の前記第1無線通信装置の特定の時刻における位置を推定するステップを、
さらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の人数の分布算出方法。
【請求項3】
複数の人がそれぞれ保持する複数の第1の無線通信装置と、それぞれの検出エリアが離間して配置された複数の第2の無線通信装置との間で無線通信を行うことにより、人数の分布を算出する人数の分布算出システムであって、
前記複数の第2の無線通信装置がそれぞれ、自身の検出エリアを識別するためのエリア識別情報を前記複数の第1の無線通信装置に広告する手段と、
前記複数の第1の無線通信装置がそれぞれ、前記第2の無線通信装置と通信可能な場合に、前記エリア識別情報を受信して自装置の識別情報と合成した第1のテンポラリ識別情報を生成して前記第2の無線通信装置に送信する手段と、
前記複数の第2の無線通信装置がそれぞれ、前記第1の無線通信装置と通信可能な場合に前記第1のテンポラリ識別情報を受信してサーバに送信する手段と、
前記複数の第1の無線通信装置の各々がそれぞれ、お互いに通信可能な場合であって前記第2の無線通信装置と通信可能でない場合に前記第1のテンポラリ識別情報を交換し、前記第2の無線通信装置と通信可能となった場合に前記交換した第1のテンポラリ識別情報を第2のテンポラリ識別情報としてその交換時刻と共に前記第2の無線通信装置に送信する手段と、
前記複数の第2の無線通信装置がそれぞれ、前記第1の無線通信装置と通信可能な場合に前記第2のテンポラリ識別情報を受信してサーバに送信する手段と、
前記サーバが前記第1のテンポラリ識別情報を受信してその受信時刻と共にデータベースに記録するとともに、前記第2のテンポラリ識別情報及び交換時刻を受信して前記データベースに記録し、前記データベースに記録された前記第1のテンポラリ識別情報及び受信時刻と前記第2のテンポラリ装置識別情報及び交換時刻に基づいて特定のエリア及びその近傍の特定の時刻における人数を推定する手段とを、
有する人数の分布算出システム。
【請求項4】
前記データベースに記録された前記第1のテンポラリ識別情報及び受信時刻と前記第2のテンポラリ装置識別情報及び交換時刻に基づいて特定の前記第1無線通信装置の特定の時刻における位置を推定する手段を、
さらに備えたことを特徴とする請求項3に記載の人数の分布算出システム。
【請求項5】
複数の人がそれぞれ保持する複数の第1の無線通信装置と、それぞれの検出エリアが離間して配置された複数の第2の無線通信装置との間で無線通信を行うことにより、人数の分布を算出する人数の分布算出システムにおける前記第1の無線通信装置であって、
前記第2の無線通信装置と通信可能な場合に、前記複数の第2の無線通信装置の各々が、それぞれの検出エリアを識別するために前記第1の無線通信装置に広告するエリア識別情報を受信して自装置の識別情報と合成した第1のテンポラリ識別情報を生成して前記第2の無線通信装置に送信する手段と、
他の前記第1の無線通信装置とお互いに通信可能な場合であって前記第2の無線通信装置と通信可能でない場合に前記第1のテンポラリ識別情報を交換し、前記第2の無線通信装置と通信可能となった場合に前記交換した第1のテンポラリ識別情報を第2のテンポラリ識別情報としてその交換時刻と共に前記第2の無線通信装置に送信する手段とを、
備えた無線通信装置。
【請求項6】
複数の人がそれぞれ保持する複数の第1の無線通信装置と、それぞれの検出エリアが離間して配置された複数の第2の無線通信装置との間で無線通信を行うことにより、人数の分布を算出する人数の分布算出システムにおける前記第2の無線通信装置であって、
自身の検出エリアを識別するためのエリア識別情報を前記複数の第1の無線通信装置に広告する手段と、
前記複数の第1の無線通信装置がそれぞれ前記エリア識別情報を受信して自装置の識別情報と合成して送信した第1のテンポラリ識別情報を受信してサーバに送信する手段と、
前記複数の第1の無線通信装置がそれぞれお互いに交換した第1のテンポラリ識別情報を第2のテンポラリ識別情報としてその交換時刻と共に送信した前記第2のテンポラリ識別情報及びその交換時刻を受信してサーバに送信する手段とを、
備えた無線通信装置。
【請求項7】
複数の人がそれぞれ保持する複数の第1の無線通信装置と、それぞれの検出エリアが離間して配置された複数の第2の無線通信装置との間で無線通信を行うことにより、人数の分布を算出する人数の分布算出システムにおけるサーバであって、
前記複数の第1の無線通信装置からそれぞれ送信された、前記複数の第2の無線通信装置の各検出エリアを識別するためのエリア識別情報と前記第1の無線通信装置の識別情報を含む第1のテンポラリ識別情報を前記第2の無線通信装置を介して前記第2の無線通信装置の受信時刻と共に受信してデータベースに記録する手段と、
前記複数の第1の無線通信装置のそれぞれにより前記第1のテンポラリ識別情報がお互いに前記第2の無線通信装置のエリア外で交換された第2のテンポラリ識別情報及びその交換時刻を受信して前記データベースに記録する手段と、
前記第1のテンポラリ識別情報を受信してその受信時刻と共にデータベースに記録するとともに、前記第2のテンポラリ識別情報及び交換時刻を受信して前記データベースに記録し、前記データベースに記録された前記第1のテンポラリ識別情報及び受信時刻と前記第2のテンポラリ装置識別情報及び交換時刻に基づいて特定のエリア及びその近傍の特定の時刻における人数を推定する手段とを、
有するサーバ。
【請求項8】
前記データベースに記録された前記第1のテンポラリ識別情報及び受信時刻と前記第2のテンポラリ装置識別情報及び交換時刻に基づいて特定の前記第1無線通信装置の特定の時刻における位置を推定する手段を、
さらに備えたことを特徴とする請求項7に記載のサーバ。
【請求項9】
複数の人がそれぞれ保持する複数の第1の無線通信装置と、それぞれの検出エリアが離間して配置された複数の第2の無線通信装置との間で無線通信を行うことにより、人数の分布を算出する人数の分布算出方法であって、
前記複数の第2の無線通信装置がそれぞれ、自身の検出エリアを識別するためのエリア識別情報を前記複数の第1の無線通信装置に広告するステップと、
前記複数の第1の無線通信装置がそれぞれ、前記第2の無線通信装置と通信可能な場合に、前記エリア識別情報を受信して自装置の識別情報と合成した第1のテンポラリ識別情報を生成するステップと、
前記複数の第1の無線通信装置がそれぞれ、お互いに通信可能な場合であって前記第2の無線通信装置と通信可能でない場合に前記第1のテンポラリ識別情報を交換し、前記第2の無線通信装置と通信可能となった場合に前記交換した第1のテンポラリ識別情報を第2のテンポラリ識別情報としてその交換時刻と共に前記第2の無線通信装置に送信するステップと、
前記複数の第2の無線通信装置がそれぞれ、前記第1の無線通信装置と通信可能な場合に前記第2のテンポラリ識別情報を受信してサーバに送信するステップと、
前記サーバが前記第2のテンポラリ識別情報及び交換時刻を受信してデータベースに記録し、前記データベースに記録された前記第2のテンポラリ装置識別情報及び交換時刻に基づいて特定のエリア近傍の特定の時刻における人数を推定するステップとを、
有する人数の分布算出方法。
【請求項10】
複数の人がそれぞれ保持する複数の第1の無線通信装置と、それぞれの検出エリアが離間して配置された複数の第2の無線通信装置との間で無線通信を行うことにより、人数の分布を算出する人数の分布算出システムであって、
前記複数の第2の無線通信装置がそれぞれ、自身の検出エリアを識別するためのエリア識別情報を前記複数の第1の無線通信装置に広告する手段と、
前記複数の第1の無線通信装置がそれぞれ、前記第2の無線通信装置と通信可能な場合に、前記エリア識別情報を受信して自装置の識別情報と合成した第1のテンポラリ識別情報を生成する手段と、
前記複数の第1の無線通信装置がそれぞれ、お互いに通信可能な場合であって前記第2の無線通信装置と通信可能でない場合に前記第1のテンポラリ識別情報を交換し、前記第2の無線通信装置と通信可能となった場合に前記交換した第1のテンポラリ識別情報を第2のテンポラリ識別情報としてその交換時刻と共に前記第2の無線通信装置に送信する手段と、
前記複数の第2の無線通信装置がそれぞれ、前記第1の無線通信装置と通信可能な場合に前記第2のテンポラリ識別情報を受信してサーバに送信する手段と、
前記サーバが前記第2のテンポラリ識別情報及び交換時刻を受信してデータベースに記録し、前記データベースに記録された前記第2のテンポラリ装置識別情報及び交換時刻に基づいて特定のエリア近傍の特定の時刻における人数を推定する手段とを、
有する人数の分布算出システム。
【請求項11】
複数の人がそれぞれ保持する複数の第1の無線通信装置と、それぞれの検出エリアが離間して配置された複数の第2の無線通信装置との間で無線通信を行うことにより、人数の分布を算出する人数の分布算出システムにおけるサーバであって、
前記複数の第1の無線通信装置のそれぞれが、前記複数の第2の無線通信装置のそれぞれが自身の検出エリアを識別するために前記第1の無線通信装置に広告するエリア識別情報を受信して自装置の識別情報と合成して第1のテンポラリ識別情報を生成し、お互いに通信可能な場合であって前記第2の無線通信装置と通信可能でない場合に前記第1のテンポラリ識別情報を交換し、前記第2の無線通信装置と通信可能となった場合に前記交換した第1のテンポラリ識別情報を第2のテンポラリ識別情報としてその交換時刻と共に送信した前記第2のテンポラリ識別情報及びその交換時刻を前記第2の無線通信装置から受信する手段と、
前記受信した前記第2のテンポラリ識別情報及びその交換時刻をデータベースに記録する手段と、
前記データベースに記録された前記第2のテンポラリ識別情報及び交換時刻に基づいて特定のエリア近傍の特定の時刻における人数を推定する手段とを、
有するサーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2009−245286(P2009−245286A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−92680(P2008−92680)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】