説明

介護用マット

【課題】 臭気の拡散を防止するとともに、寝具内部で空気の淀みがなく、患者と介護者の双方にとって快適になる介護用マットを提供する。
【解決手段】 マット本体1の内部に、上側面に多数の吸排気口3を有し、先端部が封止された通気パイプ2を複数本配設し、該複数本の通気パイプ2を二つのグループに分け、一方のグループ、例えば、内側の2本の通気パイプ2と、他方のグループである外側2本の通気パイプ2の基端部に、それぞれ、脱臭装置5を介して、吸排ブロアー6の吸込口と吹出口を接続する。そして、前記吸排ブロアー6の回転方向を所定の時間間隔で反転させることにより、吸排気方向を交互に切り換えながら運転する。さらに、脱臭装置5の中に除湿装置,抗菌又は除菌装置,芳香発散装置等を付加することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長期入院患者や自宅での寝たきり患者等、長期療養患者のベッド用マットとして好適な介護用マットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
長期入院患者や自宅での寝たきり患者は、長期間寝たきりになるため、床ずれが生じたり、不快な臭いが発生したりして、患者及びその看護者に過大な負担となっている。そこで、従来、例えば、特許文献1に示されるように、患者がベッドとして使用するマットの中に空気噴出口を多数有する空気室を設け、前記空気噴出口から乾燥した空気を噴出させることにより床ずれを防止するようにした介護用マットが提案されている。
【0003】
また、特許文献2に示されるように、マットの表面に吸気口を設け、内部に空気通路を設けて、前記吸気口から常時空気を吸い込んで外部に排出する際に、脱臭器を通して排出することにより臭気の拡散を防止するようにした介護用マットが示されている。
【0004】
さらに、特許文献2には、図3に示すように、マット外枠9とマット本体10との間に吸気スリット11を設けるとともに、マット本体10の内部に多数の排気口13を有する送気パイプ12を設けて、それら吸気スリット11と送気パイプ12に、連結ホース15,16を介して空気循環装置14を接続した介護用マットも示されている。この介護用マットでは、空気循環装置14の内部に脱臭剤が設けられており、空気を、空気循環装置14−連結ホース15−送気パイプ12−排気口13−吸気スリット11−連結ホース16−空気循環装置14の経路で循環させることにより、患者の周囲を適度の湿度に保つとともに、臭気を抑制するようにしている。
【特許文献1】実開昭60−171426号公報
【特許文献2】特開2001−258688号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の介護用マットの内、特許文献1に示されるような、空気噴出口から乾燥した空気を噴出させるものでは、臭気が室内に拡散してしまうという問題点があった。また、特許文献2に示されるような、吸気口から常時空気を吸い込み、脱臭器を通して排出させるだけのものでは、脱臭器を通した空気をそのまま室内に排出させてしまうため、臭気を十分に抑えることができないという問題点があった。その点、脱臭剤を通しながら循環させるものでは、寝具から室内に洩れ出す空気は少なくなるため臭気を抑える効果は高くなるが、空気の流れる方向が、マット本体10の中央部に配設された送気パイプ12の排気口13から、マット本体10の周辺部に設けられた吸気スリット11への一方向だけになるため、患者の横たわる位置が偏ったり、吸気スリット11の上に毛布や掛け布団が偏って掛かったりして、空気の流れが部分的に淀んで、その部分の湿気が高くなったり、臭気がこもったりするという問題点があった。
【0006】
本発明は、そのような問題点に鑑み、臭気の拡散を防止するとともに、寝具内部で空気の淀みがなく、患者と介護者の双方にとって快適になる介護用マットを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、請求項1に記載の介護用マットは、マット本体の内部に、上側面に多数の吸排気口を有し、先端部が封止された通気パイプを複数本配設し、該複数本の通気パイプを二つのグループに分け、一方のグループの通気パイプの基端部には、吸排ブロアーの吸込口又は吹出口の一方を、脱臭装置を介して接続し、他方のグループの通気パイプの基端部には、前記吸排ブロアーの吸込口又は吹出口の他方を接続し、前記吸排ブロアーの吸排気方向を交互に切り換えながら運転可能にしたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の介護用マットは、請求項1に記載の介護用マットにおいて、前記脱臭装置に除湿装置を付加したことを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載の介護用マットは、請求項1又は2に記載の介護用マットにおいて、前記脱臭装置に抗菌又は除菌装置を付加したことを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に記載の介護用マットは、請求項1,2又は3に記載の介護用マットにおいて、前記脱臭装置に芳香発散装置を付加したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の介護用マットは、次のような効果を奏する。
すなわち、請求項1に記載の介護用マットは、マット本体の内部に、上側面に多数の吸排気口を有し、先端部が封止された通気パイプを複数本配設し、該複数本の通気パイプを二つのグループに分け、一方のグループの通気パイプの基端部には、吸排ブロアーの吸込口又は吹出口の一方を、脱臭装置を介して接続し、他方のグループの通気パイプの基端部には、前記吸排ブロアーの吸込口又は吹出口の他方を接続し、前記吸排ブロアーの吸排気方向を交互に切り換えながら運転可能にした。その結果、臭気の拡散を防止するとともに、寝具内部で空気の淀みがなく、患者と介護者の双方にとって快適になる。
【0012】
また、請求項2に記載の介護用マットは、請求項1に記載の介護用マットにおける脱臭装置に除湿装置を付加したので、患者周囲の空気の湿り気を除去して適度の湿度に保つことができる。
【0013】
また、請求項3に記載の介護用マットは、請求項1又は2に記載の介護用マットにおける脱臭装置に抗菌又は除菌装置を付加したので、患者周囲の空気の衛生状態を良好に保つことができる。
【0014】
また、請求項4に記載の介護用マットは、請求項1,2又は3に記載の介護用マットにおける脱臭装置に芳香発散装置を付加したので、患者周囲の香りが良くなって、患者と介護者の双方にとってより一層快適になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の一実施例を示す図であり、図2は、図1のA−A断面図である。図1,2において、1はマット本体、2は通気パイプ、3は吸排気口、4は空気循環装置、5は脱臭装置、6は吸排ブロアー、7,8は連結管である。
【0017】
マット本体1の内部に、上側面に多数の吸排気口3を有し、先端部が封止された通気パイプ2を4本配設し、それら通気パイプ2を、内側2本と外側2本の二つのグループに分ける。そして、内側2本の通気パイプ2の基端部には、それぞれ脱臭装置5及び連結管7を介して、吸排ブロアー6の吸込口又は吹出口の一方に接続する。また、外側2本の通気パイプ2の基端部には、それぞれ脱臭装置5及び連結管8を介して、吸排ブロアー6の吸込口又は吹出口の他方に接続する。
【0018】
吸排ブロアー6は、電源をタイマーで制御して回転方向を所定の間隔(例えば、5分間隔)で交互に切り換える。その結果、ある期間は、内側2本の通気パイプ2の吸排気口3から空気を吹き出させ、外側2本の通気パイプ2の吸排気口3から空気を吸い込む。そして、次の期間は、吸排ブロアー6の回転を反転させて、外側2本の通気パイプ2の吸排気口3から空気を吹き出させ、内側2本の通気パイプ2の吸排気口3から空気を吸い込む。そのような切換を交互に繰り返すことにより、吸排ブロアー6の吸排気方向を交互に切り換えながら運転する。
【0019】
このように、患者が寝ている寝具内の空気を、脱臭装置5で脱臭しながら循環させるので、臭気の拡散を防止することができる。そして、吸排ブロアー6の吸排気方向を交互に切り換えので、寝具内部で空気の淀みがなくなって、部分的に湿気が高くなったり、臭気がこもったりすることがなくなり、患者と介護者の双方にとって快適になる。
【0020】
さらに、脱臭装置5の中に除湿装置,抗菌又は除菌装置,芳香発散装置等を付加することもできる。除湿装置は、例えば、除湿剤を用いて実現でき、そのような除湿装置を付加すれば、患者周囲の空気の湿り気を除去して適度の湿度に保つことができる。また、抗菌又は除菌装置は、例えば、抗菌,除菌又は殺菌剤等を用いて実現でき、そのような抗菌又は除菌装置を付加すれば、患者周囲の空気の衛生状態を良好に保つことができる。そしてまた、芳香発散装置は、例えば、芳香剤を用いて実現でき、そのような芳香発散装置を付加すれば、患者周囲の香りが良くなって、患者と介護者の双方にとってより一層快適になる。
【0021】
なお、上記実施例では、マット本体1の内部に通気パイプ2を4本配設したが、それに限定されずそれ以外の本数を配設しても良い。また、上記実施例では、脱臭装置5を全ての通気パイプ2に接続したが、二つに分けた内の一方のグループの通気パイプ2、例えば、図1の場合では、内側の2本の通気パイプ2にだけに接続しても、空気は必ず脱臭装置5を通って循環されるので脱臭効果は、ある程度得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施例を示す図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】従来の介護用マットを示す図である。
【符号の説明】
【0023】
1…マット本体
2…通気パイプ
3…吸排気口
4…空気循環装置
5…脱臭装置
6…吸排ブロアー
7,8…連結管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マット本体の内部に、上側面に多数の吸排気口を有し、先端部が封止された通気パイプを複数本配設し、該複数本の通気パイプを二つのグループに分け、一方のグループの通気パイプの基端部には、吸排ブロアーの吸込口又は吹出口の一方を、脱臭装置を介して接続し、他方のグループの通気パイプの基端部には、前記吸排ブロアーの吸込口又は吹出口の他方を接続し、前記吸排ブロアーの吸排気方向を交互に切り換えながら運転可能にしたことを特徴とする介護用マット。
【請求項2】
前記脱臭装置に除湿装置を付加したことを特徴とする請求項1記載の介護用マット。
【請求項3】
前記脱臭装置に抗菌又は除菌装置を付加したことを特徴とする請求項1又は2記載の介護用マット。
【請求項4】
前記脱臭装置に芳香発散装置を付加したことを特徴とする請求項1,2又は3記載の介護用マット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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