説明

仏具

【課題】
様々な大きさやデザインの慰霊空間に調和させることが可能な仏具を提供する。
【解決手段】
仏具本体1と、仏具本体1を支持する仏具台座2とからなる仏具であって、仏具本体1と仏具台座2とを着脱可能とする着脱手段を備える。また、仏具は、仏具の高さを調整する高さ調整手段をさらに備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、慰霊空間に備えられる仏具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
仏教の儀式においては、仏壇や祭壇等の慰霊空間に仏具が供えられる。慰霊空間に備えられる仏具としては、香炉、燭台および花立からなる三具足、または香炉、一対の燭台および一対の花立からなる五具足が一般的に用いられ、必要に応じて、りん、仏飯器および茶湯器などもこれらに併せて用いられる。
【0003】
従来の一般的な家庭には、居住空間に余裕があったため、比較的に大きな仏壇が供えられ、そのデザインは、厳粛で荘厳な雰囲気を醸し出す伝統的な形態のものが一般的であった。そして、このような仏壇に供えられる仏具も、比較的に大きくて伝統的な形態のものが用いられていた。
ところが、近年の住宅事情の変化により、限られた居住空間に供えることが可能な小型の仏壇や、居住空間のデザインまたは人々の趣向に応じた仏壇が求められるようになってきた。また、このような仏壇の多様化に併せて、仏壇の大きさやデザインに見合った仏具が必要とされるようになってきている。
【0004】
しかしながら、様々な大きさの仏壇ごとに、それに見合った大きさの仏具を提供しようとすると、仏具の金型等を多数製造しなければならず、仏具の製造コストが増大するという問題があった。また、従来の仏具は、そのデザインが固定されているので、調和させることのできる仏壇の範囲は非常に限定され、一つの仏具で様々なデザインの仏壇に対応させることはできなかった。
【0005】
なお、従来の仏具のうち、香炉などの火気を使用する仏具については、主に金属で形成されているため、仏具が加熱すると、仏具に触れることができないといったことや、仏具を配置している仏壇等を傷めてしまうという問題もあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、様々な大きさやデザインの慰霊空間に調和させることが可能な仏具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための請求項1記載の発明は、仏具本体と、仏具本体を支持する仏具台座とからなる仏具であって、仏具本体と仏具台座とを着脱可能とする着脱手段を備えていることを特徴とする。
これによると、本発明に係る仏具は、仏具本体と仏具台座が着脱可能であるので、仏壇などの慰霊空間または仏具の用途に応じて、仏具本体または仏具台座を取り替えて使用することができる。例えば、慰霊空間に仏具を調和させる場合には、仏具本体や仏具台座を慰霊空間の大きさやデザインに見合ったものに取り替えて仏具を使用することができる。また、仏具を、香炉として使用する場合には、仏具本体を香炉に取り替えたり、仏具を蝋台として使用する場合には、仏具本体を蝋台に取り替えたりして使用することができる。さらに、仏具の安定性を向上させる場合には、安定性の高い仏具台座に取り替えたりして使用することができる。
【0008】
また、本発明に係る仏具は、請求項2記載の発明のように、仏具の高さを調整する高さ調整手段をさらに備えることもできる。
これによると、仏具本体または仏具台座を取り替えることなく、仏具の高さを調整することができる。
【0009】
高さ調整手段は、特に限定されるものではないが、請求項3記載の発明のように、仏具本体と仏具台座との間に着脱可能な調整体とすることができる。
ここで、調整体の数は、一つであってもよいし、複数であってもよい。
これによると、調整体を介在させることにより、仏具の高さを調整することができる。また、調整体に特徴的なデザインを施した場合には、調整体を仏具のデザインにおける特徴的部分とすることもできる。さらに、様々なデザインの調整体を準備すれば、デザインの異なる調整体に取り替えて使用することもできる。
【0010】
一方、仏具本体と仏具台座の着脱手段および調整体の着脱についても特に限定されるものではないが、請求項4記載の発明のように、着脱手段が、仏具本体および仏具台座の一方に設けられた雄ネジと、前記雄ネジに対応する他方に設けられた雌ネジにより構成され、調整体が、雄ネジを通す貫通孔を備える構成とすることができる。
これによると、仏具本体と仏具台座とをネジで締結することができる。さらに、仏具本体または仏具台座に備えられた雄ネジを調整体の貫通孔に通して雌ネジと締結することにより、仏具本体および仏具台座との間に調整体を介在させることもできる。
【0011】
調整体の素材も特に限定されるものではないが、請求項5記載の発明のように、調整体が断熱材からなれば、仏具本体と仏具台座の間に調整体を介在させることで、仏具本体から仏具台座への熱の伝導又はその逆の熱の伝導を抑えることができる。また、調整体は、仏具本体および仏具台座が仏具本体における火気の使用により加熱している場合や、冷気により冷却している場合には、仏具を持つ際に把持部とすることもできる。
【0012】
また、請求項6記載の発明のように、調整体が、宝玉もしくはその原石または宝玉の模造品からなるものであれば、見た目に美しく、商品価値の高い仏具を提供することができる。
宝玉もしくはその原石または宝玉の模造品としては、例えば、エメラルド、黄玉石、かんらん石、貴金属製糸、玉髄、サファイア、さんご、真珠、人造宝玉、水晶、ダイヤモンド、たんぱく石、ひすい、へき玉、めのう及びルビーなどが挙げられる。
【0013】
仏具本体は、請求項7記載の発明のように、香炉、花立、蝋台、りん、仏飯器または茶湯器とすることができる。
これによると、祭事などで使用される仏具一式を提供することができる。また、本発明に係る仏具により「三具足」、「五具足」を提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によると、本発明に係る仏具は、慰霊空間の大きさやデザインに応じて仏具本体および仏具台座を取り替えて使用することができるので、様々な大きさやデザインの慰霊空間に調和させることができる。また、仏具の用途に応じて仏具本体を取り替えることにより、用途に応じた仏具を提供することができる。
【0015】
請求項2記載の発明によると、高さ調整手段により慰霊空間の大きさに合わせて仏具の高さを調整することができるので、仏具本体または仏具台座を取り替えることなく、仏具を慰霊空間に調和させることができる。また、従来のように様々な大きさの仏具を製造するために多数の金型を製造する必要が無いので、様々な大きさの仏具を製造するにあたり、仏具の製造コストを全体的に抑えることができる。
【0016】
請求項3記載の発明によると、仏具本体と仏具台座との間に着脱可能な調整体を備えることにより、簡易な構成で、容易に仏具の高さを調整することができる。また、調整体に特徴のあるデザインを施すことにより、調整体を仏具のデザインの特徴的部分とすることもできる。さらに、様々なデザインの調整体を準備すれば、調整体を取り替えることにより、仏具のデザインや雰囲気を変えることもできる。
【0017】
請求項4記載の発明によると、直接、仏具本体と仏具台座をネジで締結することができ、また、仏具本体または仏具台座に備えられた雄ネジを調整体の貫通孔に通し、調整体を介して仏具本体または仏具台座をネジで締結することができるので、仏具の各構成を確実に締結することができ、着脱も容易に行うことができる。
【0018】
請求項5記載の発明によると、調整体を断熱材で構成することで、仏具本体と仏具台座の間に調整体を介在させることにより、仏具本体から仏具台座への熱の伝導又はその逆の熱の伝導を抑えられるので、仏具本体で火気を扱う場合、仏具台座に触れても火傷をする恐れは無く、仏壇等を熱で傷めることも無い。
また、調整体は、仏具を持つ際の把持部とすることができ、調整体を把持することで、仏具本体や仏具台座が加熱している場合であっても火傷をすることがなく、また、仏具本体や仏具台座が冷気で冷却している場合であっても冷たさなどの不快感を感じることなく、仏具を把持することができる。
【0019】
また、請求項6記載の発明のように、調整体を、宝玉もしくはその原石または宝玉の模造品で構成すると、見た目に美しく、商品価値の高い仏具を提供することができる。
【0020】
請求項7記載の発明によると、仏具本体を、花立、香炉、蝋台、仏飯器または茶湯器とすると、本発明により、祭事などで使用される主要な仏具一式を提供することができる。また、本発明により「三具足」、「五具足」を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第一の実施形態による仏具を示す斜視図。
【図2】第一の実施形態による仏具を示す正面図。
【図3】第一の実施形態による仏具を示す断面分解図。
【図4】第一の実施形態による仏具を示す断面図(その1)。
【図5】第一の実施形態による仏具を示す断面図(その2)。
【図6】第一の実施形態による別の仏具を示す斜視図。
【図7】第一の実施形態による別の仏具を示す斜視図。
【図8】第二の実施形態による仏具を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1、図2、図3および図4は、それぞれ第一の実施形態による仏具を示す斜視図、正面図、断面分解図および断面図である。
第一の実施形態による仏具は、主に、仏具本体1と、仏具本体1を支持する仏具台座2と、仏具本体1と仏具台座2との間に介在可能な調整体3とによって構成されている。
【0023】
仏具本体1は、特に限定されるものではないが、例えば、香炉、蝋台、花立、りん、仏飯器または茶湯器とすることが可能である。以下の説明においては、特別に断らない限り、仏具本体1は香炉であるものとして説明を行う。なお、仏具本体1を蝋台とする場合、仏具本体1は、図6に示すように、蝋燭の燃焼時に垂れる蝋を受ける器と、器内の中央部に設けられ蝋燭が刺される芯11とにより構成することができる。また、仏具本体1を花立とする場合、仏具本体1は、図7に示すように、水を収容し花を立てることが可能な器で構成することができる。また、仏具本体1は、火気や液体を扱うものなので、金属で形成することが望ましい。
仏具本体1の底面の中央部には、仏具本体1と仏具台座2を締結するための雄ネジ4が設けられている。雄ネジ4の長さは、仏具本体1と仏具台座2とを調整体3を介して締結できる程度の長さとなっている。
【0024】
仏具台座2は、慰霊空間に当接する基部21と、仏具本体1を支持する支持部22とにより構成されている。支持部22の先端面側には、仏具本体1の雄ネジ4に対応する雌ネジ5が設けられており、仏具本体1と仏具台座2とを着脱自在に締結することが可能となっている。仏具本体1の大きさや慰霊空間の大きさやデザインに応じた仏具台座2を用いることにより、仏具を安定的に配置したり、仏具を慰霊空間に調和させたりすることができる。
【0025】
調整体3は、上記雄ネジ4を通すことが可能な貫通孔6を備えており、仏具本体1の雄ネジ4を調整体3の貫通孔6に通して仏具台座2の雌ネジ5と締結させると、仏具本体1と仏具台座2との間に調整体3を介在させることができる。これにより、調整体3の高さ分だけ仏具の高さを調整することができる。なお、本発明に係る仏具は、調整体3を複数介在させるものであってもよい。また、仏具本体1と仏具台座2の着脱手段は、上記ネジ4,5に代えて、ラッチなどであってもよい。
調整体3の構成は、特に限定されるものではないが、調整体3をセラミックまたは木材などの断熱材で形成すると、仏具本体1と仏具台座2との間に調整体3を介在させた場合には、仏具本体1および仏具台座2における一方から他方への熱の伝導が抑えられると共に、調整体3を、仏具を把持する際の把持部とすることもできる。
また、調整体3を、宝玉もしくはその原石または宝玉の模造品からなるものとすると、見た目が美しく、商品価値の高い仏具を提供することができる。
調整体3のデザインは、どのようなものであってもかまわないが、調整体3に特徴的なデザインを施すことにより、調整体3を仏具のデザインの特徴的部分とすることもできる。
また、デザインの異なる調整体3を複数備えておくと、使用状況などに応じて、調整体3を取り替えて使用することができる。
【0026】
以上に示した第一の実施形態による仏具の使用方法について説明する。仏具の使用にあたり、仏具の用途、仏具の安定性および慰霊空間の大きさやデザインに合わせて、仏具本体1および仏具台座2を選択しておく。そして、図5に示すように、仏具本体1と仏具台座2のネジ4,5を締結すると、仏具を使用する準備が整う。仏具の高さを高くする場合や仏具の雰囲気を変更したい場合には、仏具本体1と仏具台座2との間に、調整体3を介在させる。
仏具の使用は、基本的には、従来の仏具と同様であり、祭事などにおいて、本発明に係る仏具を祭壇や仏壇などの慰霊空間に備えて使用する。例えば、仏具本体1が香炉である場合には、仏具本体1で香を焚いて使用する。
また、仏具本体1を香炉、蝋台および花立とするからなる三つの仏具を揃えれば、三具足として、また、これらの仏具のうち、蝋台および花立を一対とすれば、五具足として使用することができる。
さらに、仏具本体1、仏具台座2および調整体3は、着脱可能であるため、仏具を各構成ごとに分解して収納したり移動したりすることができる。
【0027】
本発明に係る第二の実施形態は、図8に示すように、調整体3において、上部には仏具本体1の雄ネジ4に対応する雌ネジ5を、下部には仏具台座2の雌ネジ5に対応する雄ネジ4を設けたものであり、仏具本体1、調整体3および仏具台座2が直接ネジで締結される構成としたものである。
【0028】
以上、本発明による実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されるものではなく、本発明の主旨の範囲内で、上記実施の形態における構成を適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 仏具本体
2 仏具台座
3 調整体
4 雄ネジ
5 雌ネジ
6 貫通孔
11 芯
21 基部
22 支持部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
仏具本体(1)と、仏具本体(1)を支持する仏具台座(2)とからなる仏具であって、仏具本体(1)と仏具台座(2)とを着脱可能とする着脱手段を備えていることを特徴とする仏具。
【請求項2】
仏具の高さを調整する高さ調整手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の仏具。
【請求項3】
高さ調整手段は、仏具本体(1)と仏具台座(2)との間に着脱可能な調整体(3)であることを特徴とする請求項2記載の仏具。
【請求項4】
着脱手段は、仏具本体(1)および仏具台座(2)の一方に設けられた雄ネジ(4)と、前記雄ネジ(4)に対応する他方に設けられた雌ネジ(5)により構成され、調整体(3)は、雄ネジ(4)を通す貫通孔(6)を備えていることを特徴とする請求項3記載の仏具。
【請求項5】
調整体(3)は、断熱材からなることを特徴とする請求項3または4記載の仏具。
【請求項6】
調整体(3)は、宝玉もしくはその原石または宝玉の模造品からなることを特徴とする請求項3、4または5記載の仏具。
【請求項7】
仏具本体(1)は、香炉、花立、蝋台、りん、仏飯器または茶湯器であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の仏具。











【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−189108(P2011−189108A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146596(P2010−146596)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(392031790)株式会社小泉製作所 (49)