仕分け装置
【課題】無端スラットコンベヤにおける折り返し端部で発生する不具合を防止することが可能な仕分け装置を提供する。
【解決手段】仕分け装置は、物品を搬送方向の側方に押し出すための移動シュー20を備えている。各移動シュー20は、9つのスラット14から画定されるゾーン毎に設けられており、9つのパーツ21a,21b,・・・,21iから構成されている。そして、搬送方向に隣接する9つのパーツ21a,21b,・・・,21iは、搬送方向に平行な鉛直面に沿って互いに屈曲可能に、かつ、水平面内では互いに屈曲不能となっている。
【解決手段】仕分け装置は、物品を搬送方向の側方に押し出すための移動シュー20を備えている。各移動シュー20は、9つのスラット14から画定されるゾーン毎に設けられており、9つのパーツ21a,21b,・・・,21iから構成されている。そして、搬送方向に隣接する9つのパーツ21a,21b,・・・,21iは、搬送方向に平行な鉛直面に沿って互いに屈曲可能に、かつ、水平面内では互いに屈曲不能となっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラット上の物品を移動シューにより搬送方向の側方に押動して仕分けを行うスラット型仕分け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来一般のスラット型仕分け装置としては、例えば下記の特許文献1に開示されているものが知られている。この特許文献1に記載の仕分け装置は、無端状に配列された多数のスラットと、スラットに取り付けられた移動シューと、プッシュプレートとから構成されている。移動シューは、スラットの長手方向(搬送方向に対して直角方向)に摺動可能に取り付けられている。プッシュプレートは、移動シューに取り付けられている。仕分け位置は、斜めに延びる分岐レールが設けられており、移動シューをこの分岐レールにより案内させることで一方の側から他方の側に移動させることができる。
【0003】
このような仕分け装置においては、多数のスラットを循環駆動することにより、その上に載置された物品を搬送するとともに、移動シューを、分岐スイッチにより順次分岐レールに案内することで、プッシュプレートが物品を搬送方向の側方に押し出して仕分けを行うことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−327816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されているようなスラット型仕分け装置においては、プッシュプレートの搬送方向長さがスラットに比べて長いので、無端スラットコンベヤの折り返し端部においては、プッシュプレートの端部がコンベヤから離れてしまう。このため、仕分け装置周辺にある物と干渉したり、がたつきを発生させたりする等の不具合が発生するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、無端スラットコンベヤにおける折り返し端部で発生する不具合を防止することが可能な仕分け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の仕分け装置は、互いに平行に配列され且つ無端状に配列された多数のスラットにより搬送される物品を、搬送方向に対して直交方向に移動する移動シューによって押動して仕分ける仕分け装置において、所定の数のスラットから画定されるゾーン毎に移動シューを設け、移動シューが、搬送方向に沿って複数のパーツから構成され、隣り合うパーツ同士が、搬送方向に平行な鉛直面に沿って互いに屈曲可能に、かつ、水平面内では互いに屈曲不能となっていることを特徴とする。
【0008】
このような仕分け装置によれば、搬送方向に隣り合うパーツ同士が、搬送方向に平行な鉛直面に沿って互いに屈曲自在となるので、移動シューは、無端スラットコンベヤの折り返し端部において、スラットコンベヤの動きに追随してチェーンのように湾曲する。この結果、折り返し端部において発生する干渉やがたつきといった不具合を防止することができる。
【0009】
また、本発明の仕分け装置では、パーツは、搬送方向に凹凸する凹凸部を有し、搬送方向に隣接するパーツ同士は、凹凸部によって互いに嵌合可能に形成されていることが好ましい。これにより、搬送方向と直交する方向において、複数のパーツを一体的に移動させることが可能となる。
【0010】
また、本発明の仕分け装置では、パーツを搬送方向に対して直交方向に誘導する分岐レールをさらに備えており、分岐レールは、移動シューを構成する複数のパーツの中の1つに形成されたガイドローラを誘導することが好ましい。ここで、パーツ同士は互いに嵌合しているので、一つのパーツを搬送方向に対して直交方向に移動させれば、他のパーツも一体的に移動する。これにより、各ゾーンに一つのガイドローラを設ければよく、そのガイドローラを設けるピッチを広くすることができるので、分岐スイッチの切り替えに時間的余裕が生じ、精密な制御やセンサが不要となる。
【0011】
また、本発明の仕分け装置では、主レールと、分岐レールと、磁性体と、を備えることが好ましい。主レールは、物品の搬送方向両側に設けられ、移動シューのガイドローラを物品の搬送方向に案内する。分岐レールは、搬送方向一方の側の主レールから分岐して、他方の側の主レールに合流するように設けられ、ガイドローラを所定の仕分け方向に案内する。磁性体は、分岐レールと主レールとが交差する箇所に回転自在に設けられ、移動シューに設けられたガイドピンを磁気作用により吸着した状態で、移動シューの移動に合わせて回転することにより、ガイドローラを分岐レールに係合して回転させつつ、主レールから分岐レールまたは分岐レールから主レールまで案内する。これにより、主レールから分岐レールへの分岐時、または、分岐レールから主レールへの合流時、移動シューは、ガイドピンが磁気作用により磁性体に吸着され、ガイドローラを分岐レールに係合して回転されつつ、分岐レール、または、主レールまで案内される。この結果、ガイドローラの分岐レール及び主レールへの衝突と、衝突に伴うガイドローラの磨耗及び破損、騒音及び振動等が防止される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、移動シューを構成するパーツ同士が搬送方向に平行な鉛直面に沿って互いに屈曲可能となるので、スラットコンベアにおける折り返し端部においても、移動シューは、スラットの動きに追随して湾曲し、スラットコンベヤから大きく離れることがなくなる。これにより、仕分け装置周辺にある物と干渉したり、がたつきを発生させたりする等の不具合を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の好適な一実施形態にかかる仕分け装置を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1の移動シューの構成を示す平面図である。
【図3】移動シューの構成を示す、図2のIII−III線に沿っての断面図である。
【図4】移動シューの構成を示す、折り返し端部における断面図である。
【図5】移動シューの構成を示す、図2のV−V線に沿っての断面図である。
【図6】図1の移動シューの動きを説明する図である。
【図7】本発明の好適な他の実施形態にかかる移動シューの構成を示す平面図である。
【図8】移動シューの構成を示す、図7のVIII−VIII線に沿っての断面図である。
【図9】図7の移動シューの構成を示す、折り返し端部における断面図である。
【図10】本発明の好適な他の実施形態にかかる移動シューの構成を示す平面図である。
【図11】移動シューの構成を示す、図10のXI−XI線に沿っての断面図である。
【図12】図10の移動シューの構成を示す、折り返し端部における断面図である。
【図13】本発明の好適な他の実施形態にかかる分岐方式を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。図1は、本発明によるスラット型仕分け装置10の斜視図、図2は、移動シュー20の構成を示す平面図、図3は、移動シューの構成を示す、図2のIII−III線に沿っての断面図、図4は、移動シューの構成を示す、折り返し端部における断面図である。図5は、移動シューの構成を示す、図2のV−V線に沿っての断面図である。図示の仕分け装置10は、無端状に張られた1対のチェーン12と、これらのチェーン12間に横架され互いに平行に配置されて無端状に配列された多数のスラット14からなる、いわゆるスラットコンベヤを基本構成としている。各チェーン12は、前後1対のスプロケット(図1に後側のスプロケット16のみ示す)間に巻き掛けられており、前側のスプロケットに設けられた駆動モータ(図示せず)を駆動することで、チェーン12、ひいてはスラット14を循環駆動させることができるようになっている。なお、本明細書において、「左」及び「右」なる語は搬送方向を基準としており、「上」及び「下」なる語はスラット14が搬送面側に位置している際の上下に基づいている。
【0015】
また、この仕分け装置10は、物品Pを搬送方向の側方(図示実施形態では左方)に押し出すための移動シュー20を備えている。各移動シュー20は、所定の数のスラット14から画定されるゾーンZ毎に設けられている。本実施形態では、一つのゾーンZが9本分のスラット14からなるものとしているが、一つのゾーンZの搬送方向長さはこれに限定されるものではない。
【0016】
移動シュー20の搬送方向長さ(ここでは、パーツ21a,21b,・・・,21iを構成するキャップ30の搬送方向における合計の長さ)は、ゾーンZの搬送方向長さに相当する大きさ、好ましくはゾーンZの搬送方向長さよりも若干小さなものとされている。
【0017】
移動シュー20は、図示実施形態においては、9つのパーツ21a,21b,・・・,21iから構成されている。搬送方向に隣接する9つのパーツ21a,21b,・・・,21iは、搬送方向に平行な鉛直面に沿って互いに屈曲可能に、かつ、水平面内では互いに屈曲不能となっている。また、各パーツ21a,21b,・・・,21iは、それぞれのスラット14に摺動可能に嵌挿されるスライダ22と、スライダ22の上部に締結されたキャップ30を有している。
【0018】
スライダ22は、図5に示すように、剛性を有する金属材料または合成樹脂材料等から形成されており、上板部分23、下板部分24、及び、上板部分23と下板部分24とを連結する連結部分25からなる筒状の部材であり、対応のスラット14が摺動可能に挿嵌される。上板部分23の下面には、複数の凸部26が形成されており、スラット14上面に形成されている溝14aに沿って摺動可能に嵌合される。これにより、スライダ22は、がたつくことなく、スラット14に沿って摺動する。
【0019】
キャップ30は、スラット14上面を搬送される物品Pに接触する部材であって、ボルト38によってスライダ22に締結されている。また、キャップ30は、図2に示すように、搬送方向に凹凸する凹凸部31,32を有しており、搬送方向に隣接するキャップ30同士が互いに嵌合する形状に形成されている。例えば、図2に示すように、パーツ21aを構成するキャップ30の凸部31は、パーツ21bを構成するキャップ30の凹部32及びパーツ21fを構成する凹部32と互いに嵌合する形状に形成されている。また、パーツ21bを構成するキャップ30の凸部31は、パーツ21cを構成する凹部32と互いに嵌合する形状に形成されている。また、パーツ21cとパーツ21d、パーツ21dとパーツ21e、パーツ21fとパーツ21g、パーツ21gとパーツ21h、パーツ21hとパーツ21iについても、同様に、互いに凹凸部31,32が嵌合する形状に形成されている。これにより、移動シュー20を構成する9つのパーツ21a,21b,・・・,21iは、左右方向に互いに屈曲せずに一体的に移動する。
【0020】
また、キャップ30は、図4に示すように、スプロケット16によってスラット14が折り返される端部において、搬送方向に隣接するキャップ30同士が互いに干渉しないように形成されている。具体的には、図4に示すように、互いに屈曲自在となった隣り合うパーツを構成するキャップ30同士が干渉しないように、平面的あるいは断面的に重ならないように形成されている。
【0021】
移動シュー20を構成する9つのパーツ21a,21b,・・・,21iの一つであるパーツ21aは、ガイドピン35とガイドローラ36とをさらに有している。ガイドピン35は、スライダ22の下板部分24から下方に延びるように形成されている。ガイドローラ36は、ガイドピン35に回転自在に取り付けられている。そして、ガイドローラ36は、後述する分岐レール50によって案内されるようになっている。
【0022】
分岐レール50は、仕分け位置毎に設けられており、搬送面側となるスラット14の直下に設けられている。図示実施形態では、分岐レール50は、搬送方向に沿って右側から左側へと斜めに延びている。分岐レール50の左右の各端部は、それぞれ左右のチェーン12から所定の距離だけ離隔されている。これによって、移動シュー20を仕分け装置10の右縁部又は左縁部に寄せた状態では、パーツ21aのガイドローラ36が分岐レール50に接することはない。
【0023】
また、分岐レール50の右側端部の隣接位置には、分岐スイッチ52が配置されている。分岐スイッチ52は周知の構造であり、揺動プレート(図示せず)を有している。分岐スイッチ52が初期状態にある場合には、揺動プレートは、仕分け装置10の右縁部に沿って移動している移動シュー20を構成するパーツ21aのガイドローラ36と係合することはなく、移動シュー20はそのまま直進することができる。また、分岐スイッチ52を切り替えて揺動プレートを揺動させると、揺動プレートは、右側を移動している移動シュー20を構成するパーツ21aのガイドローラ36と係合し、これを隣接の分岐レール50に導き入れることが可能となっている。
【0024】
なお、図2には、分岐レール50と同様な形態のレール54が示されている。このレール54は、仕分け装置10の左縁部に移動した移動シュー20を構成するパーツ21aを、リターン側から搬送面側に戻る際に、右縁部に戻すためのものである。
【0025】
次に、以上のような構成において、本発明の作用について説明する。
【0026】
まず、仕分け装置10の駆動モータを起動し、スラット14を循環駆動させる。このとき、スラット14に嵌挿された移動シュー20は、スラット14の循環と共に搬送方向に循環する。移動シュー20を構成するパーツ21a,21b,・・・,21iは、チェーン12に取り付けられたスラット14に嵌挿されている。このため、図4に示すように、スプロケット16によってスラット14が折り返される端部では、移動シュー20を構成するパーツ21a,21b,・・・,21i同士が互いに屈曲自在となる。また、パーツ21a,21b,・・・,21iを構成するキャップ30は、搬送方向におけるスラット14の長さに相当する短い部材で構成されているので、スプロケット16によってスラット14が折り返される端部において、スラット14の動きに追随して湾曲する。このとき、互いに屈曲自在となった隣り合うパーツ21a,21b,・・・,21iを構成するキャップ30同士が干渉しないように、平面的あるいは断面的に重ならないように形成されている。これにより、スプロケット16によってスラット14が折り返される端部において、従来の移動シューに取り付けられたプッシュプレートの端部のように、スラットコンベヤからキャップ30の端部が大きく離れることがなくなるので、仕分け装置10周辺にある物と干渉したり、がたつきを発生させたりする等の不具合を防止することができる。
【0027】
次に、図2に示すように、各物品Pが上述のゾーンZ、すなわち右側に寄せられた移動シュー20に隣接する領域に置かれるよう、物品Pの仕分け装置10への送込みのタイミングが制御される。
【0028】
続いて、その物品Pが所定の仕分け位置に達したならば、分岐スイッチ52を制御して揺動プレートを初期位置から揺動させる。これにより、上述したように、物品Pに隣接している移動シュー20が右側から左側に移動し、物品Pは移動シュー20により押され、仕分け位置の側部に配置された仕分けシュート56に送り出される。具体的には、揺動された揺動プレートは、右側を移動している移動シュー20を構成する1つのパーツ21aから下方に延びるガイドローラ36と係合し、これを隣接の分岐レール50に導き入れる。そして、ガイドローラ36が分岐レール50に導き入れられた後は、スラット14の循環駆動に伴ってパーツ21aが右側から左側に移動される。このとき、移動シュー20を構成するパーツ21a,21b,・・・,21iを構成するキャップ30同士は、上述したように平面的に互いに嵌合するような形状に形成されているので、パーツ21aに移動に伴って、他のパーツ21b、・・・、21iも一体的に移動する。
【0029】
この際、移動シュー20の搬送方向長さ(ここでは、キャップ30の搬送方向長さ)がゾーンZの全長とほぼ等しいため、物品Pはキャップ30により安定して押される。これにより、物品Pは、搬送方向に沿った面の一部のみを押されることによって回転させられることがなくなり、側方に平行移動させられるようになる。従って、物品Pが回転することによる不具合、すなわち物品Pが前方に移動するか或いは後方に移動するかという不確定な状態が解消され、物品Pを確実に仕分けシュート56に送り出すことができる。加えて、前後の物品Pとの干渉を考慮する必要もないので、ゾーンZの長さを必要最小限とすることが可能となる。
【0030】
一つの物品Pの仕分けが終了した後、後続の物品Pを仕分けず直進させる場合には、分岐スイッチ52を切り替えて初期状態に戻す必要がある。本実施形態においては、移動シュー20を構成するパーツ21a,21b,・・・,21iの中でガイドローラ36が設けられたパーツ21aが、分岐スイッチ52に達するまでに行えばよい。そして、移動シュー20間のピッチはスラット14複数本分、本実施形態ではスラット9本分であるため、分岐スイッチ52の切替えまでには十分な時間的余裕がある。これは、直進する物品Pに続く物品Pを仕分ける場合も同様である。このため、精密な制御やセンサを使用しなくとも、分岐スイッチ52の切替えが可能となり、コストダウンにもつながる。また、分岐スイッチ52の機械的動作が減るため、分岐スイッチ52自体の故障も少なく、仕分け装置10の信頼性も向上する。特に、複数の物品Pが続けて同じ仕分けシュート56に送り込まれる場合には、分岐スイッチ52を初期状態に戻すことはなく、そのままの状態に維持することができるので、その効果は大きい。
【0031】
さらに、分岐スイッチ52の切替えに時間的余裕ができることから、仕分け装置10の搬送速度を上げることが可能となり、これにより仕分け能力が向上する。
【0032】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限られないことは言うまでもない。
【0033】
上記実施形態の移動シュー20を構成するキャップ30は、図2〜図4等で示される形状の部材について説明したがこれに限定されるものではない。例えば、図7〜図9に示されるように、平面的に見てH型形状のキャップ130と平面的に見て十字型形状のキャップ130とを有するパーツ121a,121b,・・・,121iによって移動シュー120を構成してもよい。この場合であっても、図9に示すように、スプロケット16によってスラット14が折り返される端部では、移動シュー120を構成するパーツ121a,121b,・・・,121i同士が互いに屈曲自在となる。また、キャップ130は、図7に示すように、搬送方向に凹凸する凹凸部131,132を有しており、隣接するキャップ130同士が互いに嵌合する形状に形成されている。
【0034】
また、例えば、図10〜図12に示されるように、平面的に見てV型形状のキャップ130を有するパーツ221a,221b,・・・,221iによって移動シュー220を構成してもよい。この場合であっても、図12に示すように、スプロケット16によってスラット14が折り返される端部では、移動シュー220を構成するパーツ221a,221b,・・・,221i同士が互いに屈曲自在となる。また、キャップ230は、図10に示すように、搬送方向に凹凸する凹凸部231,232を有しており、隣接するキャップ230同士が互いに嵌合する形状に形成されている。
【0035】
また、上記実施形態においては、ガイドピン35とガイドローラ36とが、9つのパーツ21a,21b,・・・,21iのうち、パーツ21aに形成されている例を挙げて説明したが、これに限られるものではなく、例えば、パーツ21bやパーツ21i等、他のパーツに形成されてもよい。
【0036】
また、上記実施形態においては、9つのパーツ21a,21b,・・・,21iにより移動シュー20が形成されている例を挙げて説明したがこれに限られるものではない。例えば、5つや6つ等、2つ以上のパーツにより構成されていればよく、搬送する物品P、または、各ゾーンの長さにあわせて適宜設定することが望ましい。また、各パーツは、スラット14に嵌挿することで容易に取り外しすることができるので、移動シュー20の長さを柔軟に変更することが可能である。
【0037】
また、移動シュー20の分岐方式は、分岐スイッチ52を使用する上記実施形態に限られるものではなく、例えば、特開平9−290920号公報(特許2822318号公報)に開示されているように、磁気作用を利用して移動シュー20に駆動力を与える構造であってもよい。すなわち、図13に示すように、主レール51は、物品の搬送方向両側に設けられ(図13では、一方の主レール51のみを示す)、移動シュー20のガイドローラ36を物品Pの搬送方向に案内する。分岐レール50は、搬送方向一方の側の主レール51から分岐して、他方の側の主レール51に合流するように設けられ、ガイドローラ36を仕分け方向に案内する。磁性体40は、分岐レール50と主レール51とが交差する箇所に回転自在に設けられ、ガイドピン35を磁気作用により吸着した状態で、移動シュー20の移動に合わせて回転することにより、ガイドローラ36を分岐レール50に係合させて回転させつつ、主レール51から分岐レール50、または、分岐レール50から主レール51まで案内する。
【0038】
これにより、分岐レール50が主レール51に合流する箇所において、磁性体40は、移動シュー20のガイドピン35を磁気作用により吸着した状態で、移動シュー20の移動に合わせて回転軸41を中心に回転することにより、ガイドローラ36を分岐レール50に係合して回転させつつ、主レール51まで案内する。すなわち、主レール51から分岐レール50への分岐時、または、分岐レール50から主レール51への合流時、移動シュー20は、ガイドピン35が磁気作用により磁性体40に吸着され、ガイドローラ36を分岐レール50に係合して回転されつつ、分岐レール50、または、主レール51まで案内される。したがって、ガイドローラ36の分岐レール50及び主レール51への衝突と、衝突に伴うガイドローラ36の磨耗及び破損、騒音及び振動等が防止される。
【符号の説明】
【0039】
10…仕分け装置、12…チェーン、14…スラット、14a…溝、16…スプロケット、20…移動シュー、21a,21b,…,21i…パーツ、22…スライダ、23…上板部分、24…下板部分、25…連結部分、26…凸部、30…キャップ、31…凸部、32…凹部、35…ガイドピン、36…ガイドローラ、38…ボルト、40…磁性体、41…回転軸、50…分岐レール、51…主レール、52…分岐スイッチ、54…レール、56…シュート、120…移動シュー、121a,121b,…,121i…パーツ、130…キャップ、131…凸部、132…凹部、220…移動シュー、221a,221b,…,21i…パーツ、230…キャップ、231…凸部,232…凹部、P…物品、Z…ゾーン。
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラット上の物品を移動シューにより搬送方向の側方に押動して仕分けを行うスラット型仕分け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来一般のスラット型仕分け装置としては、例えば下記の特許文献1に開示されているものが知られている。この特許文献1に記載の仕分け装置は、無端状に配列された多数のスラットと、スラットに取り付けられた移動シューと、プッシュプレートとから構成されている。移動シューは、スラットの長手方向(搬送方向に対して直角方向)に摺動可能に取り付けられている。プッシュプレートは、移動シューに取り付けられている。仕分け位置は、斜めに延びる分岐レールが設けられており、移動シューをこの分岐レールにより案内させることで一方の側から他方の側に移動させることができる。
【0003】
このような仕分け装置においては、多数のスラットを循環駆動することにより、その上に載置された物品を搬送するとともに、移動シューを、分岐スイッチにより順次分岐レールに案内することで、プッシュプレートが物品を搬送方向の側方に押し出して仕分けを行うことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−327816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されているようなスラット型仕分け装置においては、プッシュプレートの搬送方向長さがスラットに比べて長いので、無端スラットコンベヤの折り返し端部においては、プッシュプレートの端部がコンベヤから離れてしまう。このため、仕分け装置周辺にある物と干渉したり、がたつきを発生させたりする等の不具合が発生するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、無端スラットコンベヤにおける折り返し端部で発生する不具合を防止することが可能な仕分け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の仕分け装置は、互いに平行に配列され且つ無端状に配列された多数のスラットにより搬送される物品を、搬送方向に対して直交方向に移動する移動シューによって押動して仕分ける仕分け装置において、所定の数のスラットから画定されるゾーン毎に移動シューを設け、移動シューが、搬送方向に沿って複数のパーツから構成され、隣り合うパーツ同士が、搬送方向に平行な鉛直面に沿って互いに屈曲可能に、かつ、水平面内では互いに屈曲不能となっていることを特徴とする。
【0008】
このような仕分け装置によれば、搬送方向に隣り合うパーツ同士が、搬送方向に平行な鉛直面に沿って互いに屈曲自在となるので、移動シューは、無端スラットコンベヤの折り返し端部において、スラットコンベヤの動きに追随してチェーンのように湾曲する。この結果、折り返し端部において発生する干渉やがたつきといった不具合を防止することができる。
【0009】
また、本発明の仕分け装置では、パーツは、搬送方向に凹凸する凹凸部を有し、搬送方向に隣接するパーツ同士は、凹凸部によって互いに嵌合可能に形成されていることが好ましい。これにより、搬送方向と直交する方向において、複数のパーツを一体的に移動させることが可能となる。
【0010】
また、本発明の仕分け装置では、パーツを搬送方向に対して直交方向に誘導する分岐レールをさらに備えており、分岐レールは、移動シューを構成する複数のパーツの中の1つに形成されたガイドローラを誘導することが好ましい。ここで、パーツ同士は互いに嵌合しているので、一つのパーツを搬送方向に対して直交方向に移動させれば、他のパーツも一体的に移動する。これにより、各ゾーンに一つのガイドローラを設ければよく、そのガイドローラを設けるピッチを広くすることができるので、分岐スイッチの切り替えに時間的余裕が生じ、精密な制御やセンサが不要となる。
【0011】
また、本発明の仕分け装置では、主レールと、分岐レールと、磁性体と、を備えることが好ましい。主レールは、物品の搬送方向両側に設けられ、移動シューのガイドローラを物品の搬送方向に案内する。分岐レールは、搬送方向一方の側の主レールから分岐して、他方の側の主レールに合流するように設けられ、ガイドローラを所定の仕分け方向に案内する。磁性体は、分岐レールと主レールとが交差する箇所に回転自在に設けられ、移動シューに設けられたガイドピンを磁気作用により吸着した状態で、移動シューの移動に合わせて回転することにより、ガイドローラを分岐レールに係合して回転させつつ、主レールから分岐レールまたは分岐レールから主レールまで案内する。これにより、主レールから分岐レールへの分岐時、または、分岐レールから主レールへの合流時、移動シューは、ガイドピンが磁気作用により磁性体に吸着され、ガイドローラを分岐レールに係合して回転されつつ、分岐レール、または、主レールまで案内される。この結果、ガイドローラの分岐レール及び主レールへの衝突と、衝突に伴うガイドローラの磨耗及び破損、騒音及び振動等が防止される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、移動シューを構成するパーツ同士が搬送方向に平行な鉛直面に沿って互いに屈曲可能となるので、スラットコンベアにおける折り返し端部においても、移動シューは、スラットの動きに追随して湾曲し、スラットコンベヤから大きく離れることがなくなる。これにより、仕分け装置周辺にある物と干渉したり、がたつきを発生させたりする等の不具合を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の好適な一実施形態にかかる仕分け装置を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1の移動シューの構成を示す平面図である。
【図3】移動シューの構成を示す、図2のIII−III線に沿っての断面図である。
【図4】移動シューの構成を示す、折り返し端部における断面図である。
【図5】移動シューの構成を示す、図2のV−V線に沿っての断面図である。
【図6】図1の移動シューの動きを説明する図である。
【図7】本発明の好適な他の実施形態にかかる移動シューの構成を示す平面図である。
【図8】移動シューの構成を示す、図7のVIII−VIII線に沿っての断面図である。
【図9】図7の移動シューの構成を示す、折り返し端部における断面図である。
【図10】本発明の好適な他の実施形態にかかる移動シューの構成を示す平面図である。
【図11】移動シューの構成を示す、図10のXI−XI線に沿っての断面図である。
【図12】図10の移動シューの構成を示す、折り返し端部における断面図である。
【図13】本発明の好適な他の実施形態にかかる分岐方式を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。図1は、本発明によるスラット型仕分け装置10の斜視図、図2は、移動シュー20の構成を示す平面図、図3は、移動シューの構成を示す、図2のIII−III線に沿っての断面図、図4は、移動シューの構成を示す、折り返し端部における断面図である。図5は、移動シューの構成を示す、図2のV−V線に沿っての断面図である。図示の仕分け装置10は、無端状に張られた1対のチェーン12と、これらのチェーン12間に横架され互いに平行に配置されて無端状に配列された多数のスラット14からなる、いわゆるスラットコンベヤを基本構成としている。各チェーン12は、前後1対のスプロケット(図1に後側のスプロケット16のみ示す)間に巻き掛けられており、前側のスプロケットに設けられた駆動モータ(図示せず)を駆動することで、チェーン12、ひいてはスラット14を循環駆動させることができるようになっている。なお、本明細書において、「左」及び「右」なる語は搬送方向を基準としており、「上」及び「下」なる語はスラット14が搬送面側に位置している際の上下に基づいている。
【0015】
また、この仕分け装置10は、物品Pを搬送方向の側方(図示実施形態では左方)に押し出すための移動シュー20を備えている。各移動シュー20は、所定の数のスラット14から画定されるゾーンZ毎に設けられている。本実施形態では、一つのゾーンZが9本分のスラット14からなるものとしているが、一つのゾーンZの搬送方向長さはこれに限定されるものではない。
【0016】
移動シュー20の搬送方向長さ(ここでは、パーツ21a,21b,・・・,21iを構成するキャップ30の搬送方向における合計の長さ)は、ゾーンZの搬送方向長さに相当する大きさ、好ましくはゾーンZの搬送方向長さよりも若干小さなものとされている。
【0017】
移動シュー20は、図示実施形態においては、9つのパーツ21a,21b,・・・,21iから構成されている。搬送方向に隣接する9つのパーツ21a,21b,・・・,21iは、搬送方向に平行な鉛直面に沿って互いに屈曲可能に、かつ、水平面内では互いに屈曲不能となっている。また、各パーツ21a,21b,・・・,21iは、それぞれのスラット14に摺動可能に嵌挿されるスライダ22と、スライダ22の上部に締結されたキャップ30を有している。
【0018】
スライダ22は、図5に示すように、剛性を有する金属材料または合成樹脂材料等から形成されており、上板部分23、下板部分24、及び、上板部分23と下板部分24とを連結する連結部分25からなる筒状の部材であり、対応のスラット14が摺動可能に挿嵌される。上板部分23の下面には、複数の凸部26が形成されており、スラット14上面に形成されている溝14aに沿って摺動可能に嵌合される。これにより、スライダ22は、がたつくことなく、スラット14に沿って摺動する。
【0019】
キャップ30は、スラット14上面を搬送される物品Pに接触する部材であって、ボルト38によってスライダ22に締結されている。また、キャップ30は、図2に示すように、搬送方向に凹凸する凹凸部31,32を有しており、搬送方向に隣接するキャップ30同士が互いに嵌合する形状に形成されている。例えば、図2に示すように、パーツ21aを構成するキャップ30の凸部31は、パーツ21bを構成するキャップ30の凹部32及びパーツ21fを構成する凹部32と互いに嵌合する形状に形成されている。また、パーツ21bを構成するキャップ30の凸部31は、パーツ21cを構成する凹部32と互いに嵌合する形状に形成されている。また、パーツ21cとパーツ21d、パーツ21dとパーツ21e、パーツ21fとパーツ21g、パーツ21gとパーツ21h、パーツ21hとパーツ21iについても、同様に、互いに凹凸部31,32が嵌合する形状に形成されている。これにより、移動シュー20を構成する9つのパーツ21a,21b,・・・,21iは、左右方向に互いに屈曲せずに一体的に移動する。
【0020】
また、キャップ30は、図4に示すように、スプロケット16によってスラット14が折り返される端部において、搬送方向に隣接するキャップ30同士が互いに干渉しないように形成されている。具体的には、図4に示すように、互いに屈曲自在となった隣り合うパーツを構成するキャップ30同士が干渉しないように、平面的あるいは断面的に重ならないように形成されている。
【0021】
移動シュー20を構成する9つのパーツ21a,21b,・・・,21iの一つであるパーツ21aは、ガイドピン35とガイドローラ36とをさらに有している。ガイドピン35は、スライダ22の下板部分24から下方に延びるように形成されている。ガイドローラ36は、ガイドピン35に回転自在に取り付けられている。そして、ガイドローラ36は、後述する分岐レール50によって案内されるようになっている。
【0022】
分岐レール50は、仕分け位置毎に設けられており、搬送面側となるスラット14の直下に設けられている。図示実施形態では、分岐レール50は、搬送方向に沿って右側から左側へと斜めに延びている。分岐レール50の左右の各端部は、それぞれ左右のチェーン12から所定の距離だけ離隔されている。これによって、移動シュー20を仕分け装置10の右縁部又は左縁部に寄せた状態では、パーツ21aのガイドローラ36が分岐レール50に接することはない。
【0023】
また、分岐レール50の右側端部の隣接位置には、分岐スイッチ52が配置されている。分岐スイッチ52は周知の構造であり、揺動プレート(図示せず)を有している。分岐スイッチ52が初期状態にある場合には、揺動プレートは、仕分け装置10の右縁部に沿って移動している移動シュー20を構成するパーツ21aのガイドローラ36と係合することはなく、移動シュー20はそのまま直進することができる。また、分岐スイッチ52を切り替えて揺動プレートを揺動させると、揺動プレートは、右側を移動している移動シュー20を構成するパーツ21aのガイドローラ36と係合し、これを隣接の分岐レール50に導き入れることが可能となっている。
【0024】
なお、図2には、分岐レール50と同様な形態のレール54が示されている。このレール54は、仕分け装置10の左縁部に移動した移動シュー20を構成するパーツ21aを、リターン側から搬送面側に戻る際に、右縁部に戻すためのものである。
【0025】
次に、以上のような構成において、本発明の作用について説明する。
【0026】
まず、仕分け装置10の駆動モータを起動し、スラット14を循環駆動させる。このとき、スラット14に嵌挿された移動シュー20は、スラット14の循環と共に搬送方向に循環する。移動シュー20を構成するパーツ21a,21b,・・・,21iは、チェーン12に取り付けられたスラット14に嵌挿されている。このため、図4に示すように、スプロケット16によってスラット14が折り返される端部では、移動シュー20を構成するパーツ21a,21b,・・・,21i同士が互いに屈曲自在となる。また、パーツ21a,21b,・・・,21iを構成するキャップ30は、搬送方向におけるスラット14の長さに相当する短い部材で構成されているので、スプロケット16によってスラット14が折り返される端部において、スラット14の動きに追随して湾曲する。このとき、互いに屈曲自在となった隣り合うパーツ21a,21b,・・・,21iを構成するキャップ30同士が干渉しないように、平面的あるいは断面的に重ならないように形成されている。これにより、スプロケット16によってスラット14が折り返される端部において、従来の移動シューに取り付けられたプッシュプレートの端部のように、スラットコンベヤからキャップ30の端部が大きく離れることがなくなるので、仕分け装置10周辺にある物と干渉したり、がたつきを発生させたりする等の不具合を防止することができる。
【0027】
次に、図2に示すように、各物品Pが上述のゾーンZ、すなわち右側に寄せられた移動シュー20に隣接する領域に置かれるよう、物品Pの仕分け装置10への送込みのタイミングが制御される。
【0028】
続いて、その物品Pが所定の仕分け位置に達したならば、分岐スイッチ52を制御して揺動プレートを初期位置から揺動させる。これにより、上述したように、物品Pに隣接している移動シュー20が右側から左側に移動し、物品Pは移動シュー20により押され、仕分け位置の側部に配置された仕分けシュート56に送り出される。具体的には、揺動された揺動プレートは、右側を移動している移動シュー20を構成する1つのパーツ21aから下方に延びるガイドローラ36と係合し、これを隣接の分岐レール50に導き入れる。そして、ガイドローラ36が分岐レール50に導き入れられた後は、スラット14の循環駆動に伴ってパーツ21aが右側から左側に移動される。このとき、移動シュー20を構成するパーツ21a,21b,・・・,21iを構成するキャップ30同士は、上述したように平面的に互いに嵌合するような形状に形成されているので、パーツ21aに移動に伴って、他のパーツ21b、・・・、21iも一体的に移動する。
【0029】
この際、移動シュー20の搬送方向長さ(ここでは、キャップ30の搬送方向長さ)がゾーンZの全長とほぼ等しいため、物品Pはキャップ30により安定して押される。これにより、物品Pは、搬送方向に沿った面の一部のみを押されることによって回転させられることがなくなり、側方に平行移動させられるようになる。従って、物品Pが回転することによる不具合、すなわち物品Pが前方に移動するか或いは後方に移動するかという不確定な状態が解消され、物品Pを確実に仕分けシュート56に送り出すことができる。加えて、前後の物品Pとの干渉を考慮する必要もないので、ゾーンZの長さを必要最小限とすることが可能となる。
【0030】
一つの物品Pの仕分けが終了した後、後続の物品Pを仕分けず直進させる場合には、分岐スイッチ52を切り替えて初期状態に戻す必要がある。本実施形態においては、移動シュー20を構成するパーツ21a,21b,・・・,21iの中でガイドローラ36が設けられたパーツ21aが、分岐スイッチ52に達するまでに行えばよい。そして、移動シュー20間のピッチはスラット14複数本分、本実施形態ではスラット9本分であるため、分岐スイッチ52の切替えまでには十分な時間的余裕がある。これは、直進する物品Pに続く物品Pを仕分ける場合も同様である。このため、精密な制御やセンサを使用しなくとも、分岐スイッチ52の切替えが可能となり、コストダウンにもつながる。また、分岐スイッチ52の機械的動作が減るため、分岐スイッチ52自体の故障も少なく、仕分け装置10の信頼性も向上する。特に、複数の物品Pが続けて同じ仕分けシュート56に送り込まれる場合には、分岐スイッチ52を初期状態に戻すことはなく、そのままの状態に維持することができるので、その効果は大きい。
【0031】
さらに、分岐スイッチ52の切替えに時間的余裕ができることから、仕分け装置10の搬送速度を上げることが可能となり、これにより仕分け能力が向上する。
【0032】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限られないことは言うまでもない。
【0033】
上記実施形態の移動シュー20を構成するキャップ30は、図2〜図4等で示される形状の部材について説明したがこれに限定されるものではない。例えば、図7〜図9に示されるように、平面的に見てH型形状のキャップ130と平面的に見て十字型形状のキャップ130とを有するパーツ121a,121b,・・・,121iによって移動シュー120を構成してもよい。この場合であっても、図9に示すように、スプロケット16によってスラット14が折り返される端部では、移動シュー120を構成するパーツ121a,121b,・・・,121i同士が互いに屈曲自在となる。また、キャップ130は、図7に示すように、搬送方向に凹凸する凹凸部131,132を有しており、隣接するキャップ130同士が互いに嵌合する形状に形成されている。
【0034】
また、例えば、図10〜図12に示されるように、平面的に見てV型形状のキャップ130を有するパーツ221a,221b,・・・,221iによって移動シュー220を構成してもよい。この場合であっても、図12に示すように、スプロケット16によってスラット14が折り返される端部では、移動シュー220を構成するパーツ221a,221b,・・・,221i同士が互いに屈曲自在となる。また、キャップ230は、図10に示すように、搬送方向に凹凸する凹凸部231,232を有しており、隣接するキャップ230同士が互いに嵌合する形状に形成されている。
【0035】
また、上記実施形態においては、ガイドピン35とガイドローラ36とが、9つのパーツ21a,21b,・・・,21iのうち、パーツ21aに形成されている例を挙げて説明したが、これに限られるものではなく、例えば、パーツ21bやパーツ21i等、他のパーツに形成されてもよい。
【0036】
また、上記実施形態においては、9つのパーツ21a,21b,・・・,21iにより移動シュー20が形成されている例を挙げて説明したがこれに限られるものではない。例えば、5つや6つ等、2つ以上のパーツにより構成されていればよく、搬送する物品P、または、各ゾーンの長さにあわせて適宜設定することが望ましい。また、各パーツは、スラット14に嵌挿することで容易に取り外しすることができるので、移動シュー20の長さを柔軟に変更することが可能である。
【0037】
また、移動シュー20の分岐方式は、分岐スイッチ52を使用する上記実施形態に限られるものではなく、例えば、特開平9−290920号公報(特許2822318号公報)に開示されているように、磁気作用を利用して移動シュー20に駆動力を与える構造であってもよい。すなわち、図13に示すように、主レール51は、物品の搬送方向両側に設けられ(図13では、一方の主レール51のみを示す)、移動シュー20のガイドローラ36を物品Pの搬送方向に案内する。分岐レール50は、搬送方向一方の側の主レール51から分岐して、他方の側の主レール51に合流するように設けられ、ガイドローラ36を仕分け方向に案内する。磁性体40は、分岐レール50と主レール51とが交差する箇所に回転自在に設けられ、ガイドピン35を磁気作用により吸着した状態で、移動シュー20の移動に合わせて回転することにより、ガイドローラ36を分岐レール50に係合させて回転させつつ、主レール51から分岐レール50、または、分岐レール50から主レール51まで案内する。
【0038】
これにより、分岐レール50が主レール51に合流する箇所において、磁性体40は、移動シュー20のガイドピン35を磁気作用により吸着した状態で、移動シュー20の移動に合わせて回転軸41を中心に回転することにより、ガイドローラ36を分岐レール50に係合して回転させつつ、主レール51まで案内する。すなわち、主レール51から分岐レール50への分岐時、または、分岐レール50から主レール51への合流時、移動シュー20は、ガイドピン35が磁気作用により磁性体40に吸着され、ガイドローラ36を分岐レール50に係合して回転されつつ、分岐レール50、または、主レール51まで案内される。したがって、ガイドローラ36の分岐レール50及び主レール51への衝突と、衝突に伴うガイドローラ36の磨耗及び破損、騒音及び振動等が防止される。
【符号の説明】
【0039】
10…仕分け装置、12…チェーン、14…スラット、14a…溝、16…スプロケット、20…移動シュー、21a,21b,…,21i…パーツ、22…スライダ、23…上板部分、24…下板部分、25…連結部分、26…凸部、30…キャップ、31…凸部、32…凹部、35…ガイドピン、36…ガイドローラ、38…ボルト、40…磁性体、41…回転軸、50…分岐レール、51…主レール、52…分岐スイッチ、54…レール、56…シュート、120…移動シュー、121a,121b,…,121i…パーツ、130…キャップ、131…凸部、132…凹部、220…移動シュー、221a,221b,…,21i…パーツ、230…キャップ、231…凸部,232…凹部、P…物品、Z…ゾーン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行に配列され且つ無端状に配列された多数のスラット(14)により搬送される物品(P)を、搬送方向に対して直交方向に移動する移動シュー(20)によって押動して仕分ける仕分け装置(10)において、
所定の数の前記スラット(14)から画定されるゾーン(Z)毎に前記移動シュー(20)を設け、
前記移動シュー(20)が、前記搬送方向に沿って複数のパーツ(21a,21b,・・・,21i)から構成され、隣り合う前記パーツ(21a,21b,・・・,21i)同士が、前記搬送方向に平行な鉛直面に沿って互いに屈曲可能に、かつ、水平面内では互いに屈曲不能となっていることを特徴とする仕分け装置。
【請求項2】
前記パーツ(21a,21b,・・・,21i)は、前記搬送方向に凹凸する凹凸部(31,32)を有しており、前記搬送方向に隣接する前記パーツ(21a,21b,・・・,21i)同士は、前記凹凸部(31,32)によって互いに嵌合可能に形成されることを特徴とする請求項1に記載の仕分け装置。
【請求項3】
前記パーツ(21a,21b,・・・,21i)を前記搬送方向に対して直交方向に誘導する分岐レール(50)をさらに備えており、
前記分岐レール(50)は、前記移動シュー(20)を構成する複数のパーツ(21a,21b,・・・,21i)の中の1つに形成されたガイドローラ(36)を誘導することを特徴とする請求項1または2に記載の仕分け装置。
【請求項4】
前記物品の搬送方向両側に設けられ、前記移動シュー(20)の前記ガイドローラ(36)を物品(P)の搬送方向に案内する主レール(51)と、
前記搬送方向一方の側の前記主レール(51)から分岐して、他方の側の前記主レール(51)に合流するように設けられ、前記ガイドローラ(36)を所定の仕分け方向に案内する分岐レール(50)と、
前記分岐レール(50)と前記主レール(51)とが交差する箇所に回転自在に設けられ、前記移動シュー(20)に設けられたガイドピン(35)を磁気作用により吸着した状態で、前記移動シュー(20)の移動に合わせて回転することにより、前記ガイドローラ(36)を前記分岐レール(50)に係合して回転させつつ、前記主レール(51)から前記分岐レール(50)、または、前記分岐レール(50)から前記主レール(51)まで案内する磁性体(40)と、をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の仕分け装置。
【請求項1】
互いに平行に配列され且つ無端状に配列された多数のスラット(14)により搬送される物品(P)を、搬送方向に対して直交方向に移動する移動シュー(20)によって押動して仕分ける仕分け装置(10)において、
所定の数の前記スラット(14)から画定されるゾーン(Z)毎に前記移動シュー(20)を設け、
前記移動シュー(20)が、前記搬送方向に沿って複数のパーツ(21a,21b,・・・,21i)から構成され、隣り合う前記パーツ(21a,21b,・・・,21i)同士が、前記搬送方向に平行な鉛直面に沿って互いに屈曲可能に、かつ、水平面内では互いに屈曲不能となっていることを特徴とする仕分け装置。
【請求項2】
前記パーツ(21a,21b,・・・,21i)は、前記搬送方向に凹凸する凹凸部(31,32)を有しており、前記搬送方向に隣接する前記パーツ(21a,21b,・・・,21i)同士は、前記凹凸部(31,32)によって互いに嵌合可能に形成されることを特徴とする請求項1に記載の仕分け装置。
【請求項3】
前記パーツ(21a,21b,・・・,21i)を前記搬送方向に対して直交方向に誘導する分岐レール(50)をさらに備えており、
前記分岐レール(50)は、前記移動シュー(20)を構成する複数のパーツ(21a,21b,・・・,21i)の中の1つに形成されたガイドローラ(36)を誘導することを特徴とする請求項1または2に記載の仕分け装置。
【請求項4】
前記物品の搬送方向両側に設けられ、前記移動シュー(20)の前記ガイドローラ(36)を物品(P)の搬送方向に案内する主レール(51)と、
前記搬送方向一方の側の前記主レール(51)から分岐して、他方の側の前記主レール(51)に合流するように設けられ、前記ガイドローラ(36)を所定の仕分け方向に案内する分岐レール(50)と、
前記分岐レール(50)と前記主レール(51)とが交差する箇所に回転自在に設けられ、前記移動シュー(20)に設けられたガイドピン(35)を磁気作用により吸着した状態で、前記移動シュー(20)の移動に合わせて回転することにより、前記ガイドローラ(36)を前記分岐レール(50)に係合して回転させつつ、前記主レール(51)から前記分岐レール(50)、または、前記分岐レール(50)から前記主レール(51)まで案内する磁性体(40)と、をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の仕分け装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−1135(P2011−1135A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143343(P2009−143343)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(502380361)トーヨーカネツソリューションズ株式会社 (50)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(502380361)トーヨーカネツソリューションズ株式会社 (50)
【Fターム(参考)】
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