説明

仕切り装置

【課題】排気ガスなどの浄化作用を備えさせながら、外観をよくできるようにする。
【解決手段】空間を前後に仕切る仕切り装置1であって、床又は地面に設置可能な設置底部6を備え、活性炭層15を内部に形成する通気可能な多孔パネル7を固定した大気浄化壁部8を設けると共に、大気浄化壁部8の前後少なくとも一方側で、複数本の植物を大気浄化壁部8の表面に沿わせて並べる植栽部9を設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間を前後に仕切る仕切り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前記仕切り装置として、活性炭層を内部に形成する通気可能な多孔パネルを、道路の中央分離帯などに、その表面を道路に向けて露出した状態で、多数枚を道路に沿って並べて固定するものがあった(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−101348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の仕切り装置は、多数枚並んだ多孔パネル夫々の内部に形成される活性炭層が、道路に廃棄される排気ガスを浄化する機能を備えているものであるが、外観が無機的で悪いものであった。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、排気ガスなどの浄化作用を備えさせながら、外観をよくできるようにするところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴構成は、空間を前後に仕切る仕切り装置であって、床又は地面に設置可能な設置底部を備え、活性炭層を内部に形成する通気可能な多孔パネルを固定した大気浄化壁部を設けると共に、前記大気浄化壁部の前後少なくとも一方側で、複数本の植物を前記大気浄化壁部の表面に沿わせて並べる植栽部を設けてあるところにある。
【0007】
本発明の第1の特徴構成によれば、活性炭層を内部に形成した多孔パネルを固定した大気浄化壁部により、自動車の排気ガスなどを吸着して大気を浄化できながら、その大気浄化壁部の前後一方側に、複数本の植物を大気浄化壁部の表面に沿わせて並べる植栽部を設けてあるために、その植栽部が無機的な外観の多孔パネルを隠して癒し効果を期待でき、自然の風景に溶け込む。
また、植栽部は、排気ガスなどに含まれる炭酸ガスを吸収して酸素を放出する作用も発揮して、大気浄化壁部と共に環境浄化に役立てられる。
しかも、本発明の仕切り装置の設置底部を床又は地面に設置することにより、複数の空間に簡単に仕切ることができ、臨時に仕切り装置で仕切られた空間を短時間で造ることもできる。
【0008】
本発明の第2の特徴構成は、前記活性炭層が活性炭素繊維から成るものであるところにある。
【0009】
本発明の第2の特徴構成によれば、活性炭素繊維により形成される活性炭層は、大気中の有害ガスを吸着して大気浄化を可能とするだけでなく、吸音効果も発揮して大気浄化壁部が防音壁にもなる。
【0010】
本発明の第3の特徴構成は、前記植栽部には、複数の植木鉢を並設して収容可能な収容凹部を形成してあるところにある。
【0011】
本発明の第3の特徴構成によれば、植栽部に形成した収容凹部に植木鉢を並べることで、簡単に大気浄化壁部の目隠しができると共に、例えば、収容する植木鉢を季節に応じて他の種類の植木鉢と交換することで、仕切り装置としての外観に変化を与えることが簡単にできる。
【0012】
本発明の第4の特徴構成は、前記設置底部には、キャスターを取付けて移動可能に構成してあるところにある。
【0013】
本発明の第4の特徴構成によれば、設置底部に取付けたキャスターにより、仕切り装置を簡単に移設でき、間仕切り空間を短時間で必要に応じていつでも簡単に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】仕切り装置の設置例を示す斜視図である。
【図2】装置全体斜視図で、(a)分解状態、(b)組み立て状態を示す。
【図3】多孔パネルの斜視図及び要部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に、空間を前後に仕切る仕切り装置1の使用例として、建物敷地3内で歩道2と敷地3内との境界に仕切り装置1を置き、その仕切り装置1の内側に室外テーブル4や椅子5等をおいて、オープンカフェやガーデンレストランとして開放感あふれる空間を形成する場合を示す。
【0016】
図1、図2に示すように、前記仕切り装置1は、建物の床や地面に設置可能な設置底部6を備え、活性炭層を内部に形成する通気可能な多孔パネル7を、一つ又は複数並べて固定した大気浄化壁部8を設けると共に、大気浄化壁部8の前後一方側で、複数本の植物を大気浄化壁部8の表面に沿わせて並べる植栽部9を設けてある。
【0017】
前記設置底部6には、4箇所にキャスター10を取付けて移動可能に構成してあり、植栽部9には、多孔パネル7を外観上隠せるように、複数の植木鉢12を並設して収容可能な収容凹部11を形成してある。
尚、収容凹部11には、土や人口培土等の培養土を充填して、複数本の植物を直接植え込んでも良い。
【0018】
図3に示すように、前記多孔パネル7は、直径10〜20μmの繊維表面に1〜2nmのミクロポアを無数に形成する活性炭素繊維を、シート状に形成して、その活性炭素繊維シート13を立て姿勢にした状態で、波型の金網から成るセパレーター14を交互に挟んで横方向に多数枚積層し、各セパレーター14により自然通風可能にする約8mm幅のスリットが夫々形成される活性炭層15を設けてある。
この多孔パネル7には、前記各スリットに自然通風することで、通風する大気中に含まれる有害物質や臭気成分等が、活性炭素繊維シート13を形成する各繊維表面のミクロポアに吸着される。
そして、吸着された物質は、例えば、吸着されたNOxが大気中の酸素と結合して硝酸基に酸化させられる。
次に酸化した硝酸基は、雨などの水によって洗い流され、活性炭素繊維表面は再生する。
従って、多孔パネル7を固定した大気浄化壁部8が、設置底部6によって地面に置いてあるだけで、特に動力なしに大気の浄化がなされる。
【0019】
前記活性炭層15を形成する活性炭素繊維は、セルロース系活性炭素繊維、ピッチ系活性炭素繊維、ポリアクリロニトリル系活性炭素繊維、フェノール系活性炭素繊維の少なくとも1種からなるものであり、それらの活性炭素繊維の表面には、必要に応じて、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、V、Mo、W等の金属元素を担持させても良い。
【0020】
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
【0021】
〈1〉 前記活性炭層15は、活性炭素繊維から成るものであれば、大気浄化機能の他に、吸音効果も期待できるが、大気浄化機能を主に期待するのであれば、その形状は特に問わず、粒状や板状の物でも良い。
〈2〉 前記植栽部9は、大気浄化壁部8の前後一方側のみならず、前後夫々に設けてあっても良い。
〈3〉 本発明の仕切り装置1を、長期に設置する場合は、設置底部6に必ずしもキャスター10を設けてなくとも良い。
〈4〉 前記植栽部9には、複数の植木鉢12を並設するために、収容凹部11に代えて、植木鉢12の載置台を設けてあるだけのものでも良い。また、植木鉢12やプランターの掛止固定部を設けてあっても良い。
〈5〉 この仕切り装置1には、仕切り空間を照明する照明具を付設してあっても良い。
〈6〉 仕切り装置1は、室外に設置する以外に、建物の室内の床上に設置してもよい。
【0022】
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0023】
6 設置底部
7 多孔パネル
8 大気浄化壁部
9 植栽部
10 キャスター
11 収容凹部
15 活性炭層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を前後に仕切る仕切り装置であって、
床又は地面に設置可能な設置底部を備え、
活性炭層を内部に形成する通気可能な多孔パネルを固定した大気浄化壁部を設けると共に、
前記大気浄化壁部の前後少なくとも一方側で、複数本の植物を前記大気浄化壁部の表面に沿わせて並べる植栽部を設けてある
仕切り装置。
【請求項2】
前記活性炭層が活性炭素繊維から成るものである請求項1に記載の仕切り装置。
【請求項3】
前記植栽部には、複数の植木鉢を並設して収容可能な収容凹部を形成してある請求項1又は2に記載の仕切り装置。
【請求項4】
前記設置底部には、キャスターを取付けて移動可能に構成してある請求項1〜3のいずれかに記載の仕切り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−120505(P2011−120505A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279549(P2009−279549)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(591027444)大阪ガスエンジニアリング株式会社 (18)
【Fターム(参考)】