説明

仕切護岸の構築法

【課題】 廃棄物を埋め立て処分する区画を、海域を区切って設けるに際して、遮水壁で区切った区画の一部に、作業船が容易に通過できるような開口部を設けておき、壁を構築する最後の段階でケーソンを用いて、簡単に閉じることができるようにする。
【解決手段】 堤防状の構造物を立設して囲むことにより、廃棄物処分場を構築するに際して、ケーソンのような構造物を用いた護岸本体10の一部に、背の低いケーソンのみを海底地盤から立設し、その上部を開けた開口部6を設けておく、そして、区域内部での作業船による工事が終わって、その船を出してから、背の低いケーソン15を開口に設置して、両側のケーソンとの間で遮水処理を施し、一体化した遮水壁を完成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海岸部分または湾内に仕切護岸を構築して、所定の広さを有する海域を区切り、その区画の内部に廃棄物等を投棄して処分場を構築する工法に関し、特に、仕切護岸の内部で最後まで工事を継続する工事用の船を区画外に出してから、仕切護岸の開口部を締切る工事を容易に行い得るような工法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、土木工事現場等から排出されるような瓦礫や土砂等の廃棄物や、燃えないごみ等を埋め立て処理するためには、山間部の所定の場所に廃棄物堆積場を構築して、それ等の廃棄物を埋め立て処分することが行われている。また、山間部に適当な場所が得られないところや、東京湾の沿岸部のような比較的静かな湾に面した都市等では、比較的浅い海域を選んで仕切護岸で囲んだ投棄場所を設けている。そして、前述したようにして、海岸に近い海域等で広い埋立地を構築することで、遠隔地に廃棄物を運んで埋める必要がなくなり、その副次的な効果としては、新たな陸地を造成することができるものとなる。
【0003】
前述したように、海に構築する廃棄物を埋め立てる処分場においては、海底地盤上に構築する捨石基礎の上に、コンクリート製や鋼製、もしくは大型のハイブリッドケーソンのような、既成の構造物を列状に並べて仕切護岸を構築している。そのように仕切護岸で囲んで区画した埋め立て処分場では、基礎と構造物の双方と、各構造物の接続部に遮水処理を施しており、必要に応じて海底地盤の透水性を解消する処理等を行っている。そして、埋立て処分場の内部に廃棄物を堆積させた状態で、処分場の内部で廃棄物に接して汚染された保有水等が、周囲の海域にまで流れ出ないように、その汚染された水を区域内に保持可能とし、無害化処理した後で、水を排出させるような処理を行っている。
【0004】
前記埋立て処分場においては、例えば、特開2003−71401号公報等に示されるように、その仕切護岸を構成することが知られており、海域を締め切るための構造物として、ハイブリッドケーソン等を組み合わせて立設して設けている。前記従来例の工法を用いる場合には、比較的深い海域でも、水深に応じた高さに構築したケーソンを用いることで、締切りの作業を容易に行うことができる。前記仕切護岸においては、埋め立て処分場を囲むように構築する護岸本体に対して、1列状に立設するケーソンの各々の下部と両側面、および、海底地盤の全てに対して、必要とされる箇所に遮水処理を行って、処分場に堆積させた廃棄物を安全に保管できるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−71401号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、前記埋立て処分場を仕切護岸を構築して、区画して構築するに際しては、その仕切護岸を構築する作業が海で行われるものであるから、各種の作業船を組み合わせて用いることで、効率良く作業を行うことが求められる。また、海底地盤の上に所定の高さの捨石基礎を構築し、その上にケーソンを並べて設置することで、仕切護岸の区画を設けているが、区画を仕切護岸により囲んだ後でも、その仕切護岸による囲みの内側では、作業船を使った工事を続行することが必要となる。そこで、効率良く作業を継続するためには、前記仕切護岸を構築した後でも、比較的大型の作業船を用いて、仕切りの内部での工事を行い得るようにすることが求められる。
【0006】
そのために、ケーソンを立設して仕切護岸を構築することにより、囲い込み作業が一応終わった状態でも、その区画の内側での遮水層の構築やその他の補助作業を、囲みの内側で続行することを可能にする。前記護岸で囲まれた内部での作業が終了した後に、作業船を区画の外に出すためには、小型の作業船を用いた場合には、クレーンで吊り上げて仕切護岸の区画外に持ち出す等の、余分な作業を行うことが必要となる。したがって、仕切護岸を構築した後で、区画内で作業をしようとする場合にも、大型の作業船に頼ることができなくて、能率の良くない作業を行わざるを得ないこともあった。
【0007】
本発明は、廃棄物海面処分場等の仕切護岸を構築するに際して、作業船が最後に通り抜け得る大きさの開口を設けておき、その開口を塞ぐ際には、開口を塞ぐ形状のケーソン等の構造体を載置して位置決めするのみで、容易に仕切護岸を完成させ得るようにする、新工法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、海域を所定の範囲を囲むように仕切護岸を構築して、前記仕切護岸に囲まれた内部に廃棄物を堆積させる廃棄物処分場に関する。
請求項1の発明は、前記仕切護岸を構築するに際して、最後に締め切る部分のみを残して、前記護岸の本体として設置する構造物の間に、遮水性を持たせた仕切護岸を構築し、 前記最後に締め切るように設けた開口部では、前記護岸で囲まれた区域の内部で作業を行う作業船が通過可能な深さの部分、もしくは、締め切った内外の海域での潮流の条件を満足させる位置に、締切り用の構造体に対応させた捨石基礎の上に下部構造体を構築しておき、前記護岸で締切った区画の中での作業に対応させて、
前記仕切護岸の開口部が不要となった時に、前記開口を塞ぐために、前記開口の下部の下部構造体と、新たに設置する上部構造体とを一体化して、仕切護岸としての機能を持たせることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、前記仕切護岸の構築に際して、最後に締め切るように設けた開口部では、作業のための船の通行を可能とするとともに、
前記開口部に対応させた部分では、捨石基礎および下部構造体は干潮時の水深又は潮流の速度等のいずれかの条件と、前記作業ための船舶の通行を考慮して、前記開口部を設定することを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、前記仕切護岸において、最後に締切り処理を行う開口部には、後で設置して締切りに用いる構造体の接合面に対して、
前記開口部の両側に位置されている護岸本体の構造体との間に、遮水性を発揮する遮水材を配置して、
前記追加の構造体を設置して前記遮水材を圧接して遮水処理し、仕切護岸の内外を水密に維持させることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、前記開口部での締切りのために、開口部に後で設置するケーソンのような構造物を、前記開口部の捨石基礎の上に予め構築している下部構造体の上に積み重ねるに際して、
前記締切り処理のために設置する上部構造体の下面と、開口部の捨石基礎の上に予め構築している下部構造体の上面との間に、遮水材を挟むように配置して、前記最後に載置する上部構造体の重さを利用して前記遮水材を押圧・挟持させ、前記開口部に位置させる上下の構造体との間で、水密な接続部とすることを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、前記開口部に位置させる上下の構造体との間で、水密な接続部を形成するために、
重ねて組み合わせる上下の構造体の接続部の内側面には、所定の高さの遮水層を構築して、前記遮水層を構造体の内面部に固定保持させ、前記開口部に位置させる上下の構造体との間で、水密な接続部とすることを特徴とする。
請求項6の発明は、前記上下に重ねて配置する構造体の接続部に対して、その内側面に設ける遮水層に対応させた型枠部材を設け、前記型枠の中に遮水材を注入して、型枠とともに一体化させた遮水層として構成することを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、前記開口部での締切りに用いる上下の構造体として、前記開口部の下部に設けておく下部構造体に比較して、上部に設置する上部構造体を厚さの小さいもので構成し、前記上下の構造体の接続部には遮水材により封止する手段を用いることを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明は、前記開口部で捨石基礎の上に設置する構造物は、その構造物の両側面をその両側の護岸の本体構造物と同様な断面のものとし、
前記構造物の中央部に開口部を設けておき、後でその開口部の締切りに対応させることを特徴とする。
【0015】
請求項9の発明は、前記開口部での締切りに用いる上部の構造体と、前記開口部の両側に予め構築している本体構造物との間、もしくは上部の構造体の間の縦の接続部では、接続部の内側面に設ける遮水層に対応させた型枠部材を設け、前記型枠の中に遮水材を注入して、型枠とともに一体化させた遮水層として構成することを特徴とする。
請求項10の発明は、前記接続部では、縦に形成する凸条と凹溝とを、対向させて設けた接続手段を用い、前記縦の接続部の凹凸部に遮水材を挟持させる遮水構造を用いることを特徴とする。
【0016】
請求項11の発明は、前記構造物の接続部に設ける遮水材として、アスファルト系遮水材、コンクリート系遮水材、セメント系遮水材、ケミカル系遮水材、土質系遮水材のいずれかを単独で、もしくはそれ等の遮水材を適宜複合させて用いることを特徴とする。
【0017】
前述したように、埋め立て処分場を区画する護岸に、作業船を通過させる開口を設けておき、区画内で作業船による仕事がなくなったときに、その作業船を外に出してから開口を容易に封止することができる。そして、前記遮水護岸を構築する際の作業工程の大部分を、開口を通過し得る大きさの作業船を用いて行うことができ、護岸構築の作業能率を良好に維持できる。さらに、前記工事中に使用する開口は、その作業船の吃水線の深さと、満潮時の水位や波高のデータを用いて、容易に対応させて準備しておくことができ、最後の締切りの作業を簡素化することができる。なお、前記護岸本体に設けておく開口部は、満潮時と干潮時の潮位差により、仕切りの内外に流れる早い潮流を、安全にガイドできる性能を持たせることが必要であることから、開口部の下部に配置する構造体は、潮流の邪魔をしないようなものとして構成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
一般の廃棄物海面処分場を構築するに際しては、港湾内の海域を仕切護岸により区画して、その仕切られた内部を廃棄物処分場とし、建築廃棄物や不燃ごみや焼却灰等を投棄する場所を設定している。そして、その廃棄物を堆積させた処分場の表面には、その堆積させた層を覆うように土の層を所定の厚さで設け、木や草を植栽して緑地化する処理を行う等の処理を行って、公園等としての利用に供することが一般的である。前記廃棄物処分場を構築するに際しては、最初に港湾の防波堤を構築するときと同様に、上部の仕切護岸のような構造物の重量に耐え得るように地盤を強化する処理を行って、その上に所定の高さで捨石基礎を構築してから、その基礎の上にケーソン等の構造物を立設して、廃棄物処分場を区画する仕切護岸として構築するのである。
【実施例】
【0019】
図示される例にしたがって本発明を説明すると、図1に示すように、廃棄物処分場2は予定している海域1の一部を囲むように仕切護岸5を構築して、前記仕切護岸5で囲まれた内部を廃棄物処分場2として利用している。前記仕切護岸5は、矢板を打設した矢板壁を構築して区画する場合も多くあるが、以下に説明する例では、ケーソンを1列状に構築して、比較的巾の広い(厚さが大きい)擁壁として構成する場合で説明している。前記仕切護岸5においては、廃棄物処分場2を区画するために、多数のケーソンを列状に立設して、そのケーソンで構築した壁に対して、水が内外に流通しない遮水性を持たせる処理を行うことが求められる。そのために、各ケーソンの接続部には遮水材を充填する等の処理を施して、遮水性を発揮する壁として構築し、そのケーソンの壁を支持する海底地盤と捨石基礎の表面にも、水を通さないようにする処理を行っている。
【0020】
前記図1に説明する廃棄物処分場2の例では、ケーソン等を列設して区画を構築する最終段階で、その区画内で作業船の役目が終了するまでの間は、廃棄物処分場2の一部に開口部6を残して、船の通行を許容する状態としている。前記開口部6の巾等の大きさは、例えば、その護岸を構築する標準的な1個のケーソンの巾に対応させるか、前記開口部6の巾に対応させて、特別にまたは別体に構成した締切り用のケーソンを準備しておくと、後で締切り作業を実施し易いことになる。または、前記開口部の大きさを、作業船の通過を許容する巾と深さに対応させて構成し、その開口の大きさに対応させて締切り用のケーソンまたはブロックを準備しておくことで対応できる。
【0021】
そして、前記護岸で囲まれた囲いの内部での作業が終了して、その開口部を用いる必要がなくなった時点で、前記開口部にケーソンを設置して塞ぐ手法を用いることで、護岸に囲まれた区域内部を外海と区画し、水が流通しないように封止する作用を容易に行い得るようにする。また、本発明の後述する実施例においては、護岸本体を構成する大型のケーソンに対して、開口部では高さの低いケーソンを2つの重ねて、その開口部の両側の本体ケーソンと、同じ高さものとして構成することを想定して説明しており、前記重ねて構築する2つのケーソンを、下部構造体、上部構造体と呼んで説明している。
【0022】
つまり、廃棄物埋め立て処分場を連接する場合に、区画する護岸を構築した後でも、その区画の内部で遮水層を構築するため等に、比較的大型のクレーン船や、資材を運ぶ運搬船等を多数種類用いる必要がある。そのために、処分場を区画するように構築する仕切護岸5には、区画の中で最後まで作業を継続するための船舶を、その作業の終了後に通過を許容するため開口部を残しておいている。そして、作業の終了後に、最後に仕切部材を構築して、前記開口部を塞ぐ余地を残しておく等の、後での作業に対処させることが求められている。
【0023】
前記廃棄物処分場に設けておく開口部は、図2〜4にそれぞれ説明するように構成できるもので、仕切護岸5の列の1か所、又は任意の箇所に開口部6を設けている。前記開口部は、図2の平面図と図3の正面図に示しているように、追加のケーソンとしての上部構造体15を、別に構成して準備しておき、そのケーソン等を開口部に挿入させるように、所定の巾と高さを有する開口部を残しておくのである。
前記追加のケーソンを、以下の説明では、上部構造体と呼んで説明するが、前記開口を塞ぐためには、例えば、開口部の下部で、仕切護岸本体10と一体に、あらかじめ設けている下部構造体12に対して、その上に上部の構造体を組み合わせて設置することができる。前記開口部6では、下部構造体の上面から満潮時の海面までの間隔を、クレーン船等が容易に出入り可能なように、高さH1の余裕を持たせて構成すれば、仕切護岸で区画された内部での作業に対処できる。
【0024】
前記仕切護岸の護岸本体10では、図4に示すように、ケーソンの高さHは満潮時の海面レベル(HWL)よりも高い位置から、海底面もしくは捨石基礎7の上面の高さになるように設定される。これに対して、開口部6を後で塞ぐための上部構造体15は、前記護岸本体10の高さに一致するような大きさ(高さ)のものとして構成される。そして、例えば、前記追加施工する上部構造体を、護岸本体を構成する1個のケーソンの巾に対応させて、もしくは、作業船が通過可能な大きさに構築しておくことで、最後に開口を塞ぐために、1個の小型のケーソンを上部構造体15として設置すれば良いことになる。
【0025】
なお、前記開口部を構成する下部構造体の高さは、例えば、干満潮時の潮位差が生じたことにより、開口部を流れる海流を、安定した状態で案内できるように構成することが求められる。そして、前記防波堤で囲まれた区間の内部で作業する船が、満潮時に容易に通過できるようにすれば良いことにもなる。前記防波堤の開口部を締切るに際しては、前記上部構造体の下面と両側面とのそれぞれに、アスファルトマスチックやその他の遮水材を挟み込んで、遮水層17、18を構築することで、仕切護岸全体の遮水性を保証できることにもなる。また、前記上部構造体15の上には、その両側のケーソン11、11aと同様に、上部構造物21を設けるもので、上部構造体と一体に設けたものを用いるか、または、後で取付けることもできる。
【0026】
前記仕切護岸5を説明する図4では、下部構造体12の上部に上部構造体15を載置して組み合わせた状態で、その両側に位置されるケーソン1個と、その断面形状が同じものとなるようにしている。また、前記仕切護岸5においては、海底地盤3上に捨石基礎7を所定の高さで構築し、その捨石基礎7の上にケーソンを載置して構築する。前記護岸においては、海底地盤3と基礎の表面および、ケーソンの側面の所定の範囲に亘って遮水層8を設けて、廃棄物処分場本体と海底地盤等の全てを遮水層として一体化している。
なお、前記図4に示す例においては、最初に仕切護岸5を構築して廃棄物処分場の周囲を囲む際に、前記開口部6に対応する部分には、背の低いケーソンを下部構造体12として設けている。そして、前記下部構造体12の上に上部構造体15を位置決めして載せた状態で、その両側のケーソンと同一の形状のものとなるようにしている。つまり、前記下部構造体12と上部構造体15とを、一体化した形状のケーソンまたは他の構造体を用いて、仕切護岸の本体を構成することにして説明しているものである。
【0027】
前記仕切護岸を構成する本体ケーソン11……は、コンクリート製のケーソンや、鋼製の躯体の表面にコンクリート層を設けた、いわゆるハイブリッドケーソンと呼ばれる種類のケーソンの他に、従来公知の任意の構造体としてのケーソン等を用いることが可能であるが、本発明においては、そのケーソンの種類や構造等は、特に限定しているものではない。そして、前記図4に示される例では、開口部を閉鎖する際には、下部構造体の上面に遮水材を所定の厚さと巾になるように配置してから、上部構造体15を位置決めしながら載置して、上部構造体15の重量を利用し、隙間が残らないように、遮水材を押圧・挟持した状態で、遮水処理層17を挟み込んで遮水層を構築できるようにする。
【0028】
図5、6に示す例は、前記遮水処理層17を設ける場合の例を示しているもので、図5に示した例では、下部構造体が上面に開口を設けた中空な箱体である場合に、その箱体の内部に瓦礫や石等を充満させてから、上部に余裕部を残した状態となるようにコンクリート13を打設し、蓋を設置して塞ぐ。そして、護岸の開口部を閉じる際には、下部構造体12の上面の凹部に、アスファルトマスチック等の遮水材の層を設けて、上部構造体15をその上に載せた時に、遮水材の層を上下の構造体の間に押圧・挟持して、水が通る隙間が形成されないように変形させて、遮水層17として一体化させている。
【0029】
図6に示す例は、下部構造体12の上面に、凹凸の模様を形成しておき、その凹部に遮水材を充満させた状態で、上部構造体15を載置することで、遮水材を挟み込んで一体化した接続部を構築する。前記開口を閉じる際に、その接続面に形成する遮水層の模様は、任意の形状に構成することができるものであり、前記模様の中に、係合部として凹部12aと突部15a等を設けておくことで、上下の構造体を位置決めする作業を容易に行い得て、遮水層をより有効なものとすることも可能になる。
そして、前記アスファルトマスチックのような遮水材で作ったマットや、所定の厚さに形成したアスファルトマット等を、下部構造体12の上に位置決めしてセットしてから、上部構造体15を載置して押圧させるようにセットすることで、一体化された遮水性を有する護岸を、容易に構築できるようにしている。
【0030】
なお、図7、8に示す例のように、遮水材の層のパターンを形成して設けることで、上下の構造体の接続部での遮水層を容易に構築できるようにすれば良い。例えば、開口部の両側のケーソン11、11aの形状を適宜設定することで、遮水材の量を少なくしても、止水作用を良好に維持できるようにすることが可能となる。また、上下の構造体の接合面積が広い時であっても、その広い面積全体を封止しなくても、遮水性が確保できる条件となるパターンを選択して、必要とされる狭い部分にのみ遮水材を設けて、遮水層として構築することもできる。
【0031】
図9には、前記各実施例と異なる構造のケーソンの例を示しているもので、この例において、ケーソンとしては、壁で囲まれた部分の内部を中空に構成したものを用いている。 そして、図示するように、基部のケーソンを護岸の構築位置に沈めてから、その中空部に瓦礫やコンクリート片を充満させて設置し、あらかじめ下部構造体12として構築しておき、その上部に開口部を位置させている。その後に、仕切護岸の構築作業の最終段階で、同様な断面構成の上部構造体15を設置して開口部を塞ぐ際に、先に設置している下部構造体12の上面の開口を塞ぐようにコンクリートの蓋を構築し、その蓋の上面に遮水材のマット等を配置し、その上に上部構造体15を載置し、2つの構造体12、15の間に、前記遮水材のマットを押圧した状態で遮水層17を構築する。さらに、前記上部構造体15の上には、必要に応じて上部構造をコンクリートを打設する等の手段を用いて構築し、上面板部材21を任意の構造体として構築する。
【0032】
さらに、前記開口部6を塞ぐように構築する上部構造体15に対しては、図10に説明するように、その両側に隣接する通常のケーソンであるところの側ケーソン11、11aとの間に、遮水材を挟むように介在させて、隙間を塞ぐように押圧して、縦の遮水層18a、18aとして構築し、遮水処理層17と一体化する。前記縦の遮水層18……としては、所定の厚さと巾を有するのマット等を挟み込んで設ける他に、従来公知のケーソン間での遮水処理手段を用いる場合と同様な、任意の遮水手段を用いて構成できる。例えば、ケーソン接続部の隙間に対して、接続部の海側と内部側の両端部に、ゴムのチューブ状の部材を挟み込むように配置して仕切を設け、その仕切の間に溶融させたアスファルトマスチックを注入して、隙間が生じないように封止する処理を施し、遮水層として一体化させる手段を用いることができる。
【0033】
(開口部を塞ぐ別の構造例)
図11には、下部構造体12の上に上部構造体を載置することで、開口部を塞ぐ構造に関して、前記図5、9等に説明している例とは異なる構造のケーソンと、ケーソン間の接続構造を用いる例を説明している。この例において、下部構造体12は、前記各実施例と同様に、捨石基礎7および海底地盤と下部構造体12との間では、遮水性を確保させる遮水処理を行っている。また、前記下部構造体12の上に立設される上部構造体15は、上下面が解放された形状のものを用い、下部構造体12の上に設置した後で、その部に遮水材を充満させる処理を施すようにしている。そして、上下の構造体12、15の間に形成される遮水層17、17aの上部に、遮水層を保護するための砂の層等を設けてから、その上に石等を中詰め材として充填し、上部構造体としての中空なケーソン12の上面に、蓋20を設置して閉止する処理を行う。
【0034】
そして、前記下部構造体12の上に載置した時に、上下のケーソンの嵌合部14で、上下の側壁の接続部に隙間があっても、その隙間に遮水材が侵入して固化するので、前記遮水層17、17aにより、遮水性は維持される。なお、この図11に説明する遮水壁の例において、接続部の空間に充満させた遮水材17aの一部が、上下の側壁の接続部に体の突部の中側に、下部構造体15の下部の側壁が入り込むような状態で組み合わされて、一体化されるような形状にすれば良い。また、前記下部構造体12の上に載置する上部構造体15は、その前後左右の縦の4面の側壁のみを有し、上下に開放した形状のものを用いる例で示しているものであるが、前記上部構造体15の側壁の下端部は、下部構造体12の側壁の上に重ねられるように構成している。
【0035】
前記上下のケーソンの組み合わせを行った後で、その嵌合部14での隙間を埋めるために、遮水処理層17を構築するが、そのためには、アスファルトマスチックを上部構造体の開口から中に注入して固化させるようにして処理できる。そして、前述したように、上下のケーソンの間に隙間が残らないように、遮水層17を構築する処理を行ってから、上部構造体15の内部の中空部に瓦礫等を充満させて、護岸としての安定性を補助させ、その上を覆うように蓋21を載置する。
なお、前記遮水層17を構築するために、例えば、アスファルトマットを下部構造体12の蓋20の上に位置決めして設置してから、上部構造体15を組み合わせるような簡便な手段を用いることも、現場の状況に応じて採用することも可能である。さらに、この例では、上下の構造体12、15の内部空間22、23には、遮水層17aに対する保護の処理を行ってから、その遮水層の上下の空間には、それぞれ石や瓦礫等を詰め込んで、内部を空間のままで残すことがないように処理する。
【0036】
図12に示す例は、下部構造体12の上に組み合わせる上部構造体15が、巾の狭いものとして構成されていることで、嵌合部14aでは両者の間に大きな隙間が生じている。そこで、この隙間にアスファルトマスチック等を充満させて、遮水層17を形成する処理を行うことで、仕切護岸としての遮水性を発揮させ得るようにする。
この図12に示す例において、下部構造体12は、それを設置する位置の条件に応じた高さを有し、ケーソンの中空部の内部には石や瓦礫の中詰め石23を充満させて、波浪の圧力や衝撃等の影響に対して、護岸が安定した性能を発揮し得るように処理する。
そして、前記中詰め石の層の上部は、別体に構成した蓋20を設置するか、または、アスファルトマスチック等の遮水材を所定の厚さで施工することで、蓋を設置した場合と同様な封止作用を発揮させるようにする。
【0037】
前記下部構造体12の上に設置する上部構造体15は、巾が狭く構成されたものを用いているので、下部構造体12の上に設置した時に、その護岸の内外部に隙間が形成される状態とされる。そこで、前記上下のケーソンの嵌合部14aに対して、そのすき間にアスファルトマスチックのような遮水材を充満させて、遮水層17aを構築する。この遮水層17aは、下部構造体12の蓋20と一体化されて、ケーソンの接続部での遮水性を発揮させ得るようにする。また、前記上下のケーソンの嵌合部14aに対しては、予め所定の厚さを有するアスファルトマットを敷き込んでおき、上部構造体の重量でマットを押圧して隙間が生じないように処理し、その後で、嵌合部の隙間に遮水材を充満させるような処理を行っても良い。
【0038】
前記下部構造体12の上に組み合わせて設置する上部構造体15が、その内部が中空なものとして構成されている場合には、前記中空部に石などの中詰め材を充満させる処理を行う。前記上部構造体の上には、一般の防波堤の場合と同様に、コンクリートの蓋を構築する等の封止処理を行い、作業員または作業車両が通行出来るような処理と、波浪が護岸を飛び越えないような手段を講じる。なお、前記各実施例において、遮水層を構築するための遮水材としては、アスファルトマスチックに限定されるものではなく、他の従来より用いられている任意の遮水材料であっても良く、また、前記マットの代わりに他の遮水シートを用いることも可能である。
【0039】
前記図2、3等に基づいた説明では、開口部を塞ぐための上部構造体は、その開口部の両側に位置されるケーソンとの間で、略縦の平らな接続部を設けて、遮水層を挟んだ状態で遮水処理が行われている。これに対して、前記追加のケーソンとしての上部構造体を設置する際に、両側の既設のケーソンとの間での位置決めを容易に行い得て、各ケーソン間に設ける遮水層の作用を良好に発揮させるためには、図13に説明するように、開口部の両側のケーソンには縦の溝状の被挿入部を設けている。また、後で設置して開口を塞ぐための上部構造体の側面には、前記被挿入部の凹凸に対応させた縦の突条を設けておくことにより、組み立てを容易に行い得るように構成できる。
【0040】
前記図13に説明しているように、ケーソン開口部に挿入する上部構造体には、本体に既に配置しているケーソンの対向面に対して、凹凸が組み合わせられるように、水平な断面で見てクランク状の組み合わせ部(段部)を設けている。そして、前記上部構造体15に対して、その両側のケーソン11、11aとの間に設ける遮水層18、18は、波浪の圧力を受けて揺動させる力が作用したとしても、接続部での遮水の性能に支障が発生することはないものとなる。
前述したように、仕切護岸の一部に開口部を設けて、その区画の内部での作業に対処させ、その作業が終了して作業船を区画の外に出してから、前記開口部を塞ぐ処理を行うのである。前記開口部を封止するためには、前記各実施例に説明したように、下部構造体の上に上部構造体を位置決めして設置し、ケーソンの重ね部を遮水材で遮水する処理を行っている。ところで、前記各実施例での説明では、開口部を塞ぐための上部構造体は、図3に説明したように、1個のケーソンを用いて開口を塞ぎ得るようにしている。
【0041】
前記図3および他の図面で説明した例とは別に、図14、15に示す例では、開口部の下部構造体を複数のケーソンを並べて構成すること、もしくは、上部構造体を1つまたは2つのケーソンを並べて構成するもので説明している。図14に示す例では、護岸本体10の開口部6では、上部構造体をとして2つのケーソン12A、12Bを並べて構成し、その上部に後で設置する上部構造体15A、15Bを、それぞれ組み合わせて、護岸を構成できるようにしている。この図15に示す例では、開口部6の下部構造体を、2つのケーソン12A、12Bを並べて構成し、その上に1個の上部構造体15Cを載置する例で説明している。
【0042】
前記図14、15に説明するように、開口部を閉じるためのケーソンの配置は、区画の内部での作業に用いる作業船の大きさや、作業工程等の条件により異なるものである。その他に、干潮時と満潮時とに開口部を流れる潮流の速度や、護岸を構築する地盤の条件等によっても影響される。また、前記上部構造体では、その両側の側面に凹凸を形成しておいて、その凹凸を組み合わせるようにケーソンのような構造体を立設することで、遮水性を良好に発揮させるように設けることができる。前述したように、開口部を構成する上部構造体と、その上部構造体の上に配置する上部のケーソンとは、その護岸の構造や出入りする船舶の大きさ等の条件によって、任意に対応が可能であり、開口の上下に配置するケーソンの数等は、特に限定したりする必要はない。
【0043】
前記仕切護岸の開口部の例とは別に、図16に示す例は、開口部に配置する下部構造体を、大型のケーソンとして構成したものを用いており、そのケーソン12Cの中央部に設けている開口部には、複数個の上部構造体25、25a……を並べて、閉じることができるように構成している。前記大型の下部構造体12Cでは、両側に位置される護岸本体構造物のケーソンと同様に構成されており、護岸本体を構築するに際しては、前記開口部を有する大型の下部構造体12Cを、任意の位置に組み合わせて構築する。前記開口部を閉じる際には、その開口部に対して小型の上部構造体25を所定の数並べて立設し、並べて配置する各ケーソンの間と、前記小型のケーソンと大型ケーソンとが接する部分の各々には、それぞれ縦横の遮水層17、18を設けて遮水処理することができる。
【0044】
なお、前記図16に説明したように、開口部をその内部に設けた特別な構造のケーソンを用いる場合に、多数個のケーソンを横に1列状に並べて護岸本体を構成する際には、その仕切護岸の建設の作業を容易に行わせることが可能となる。前記開口部を複数個の小型のケーソン25、25aを並べて塞ぐ場合に、大型の構造体12Cと小型のケーソン25……との間での水平な接続部(符号17で説明する水平な面)および、符号18で示す縦の接続面のいずれにおいても、前記図11に説明したような遮水材を挟持させた接続構造を用いることができる。また、次に説明するように、接続部の遮水処理は、図17のように構成することが可能であり、前記図16のA−A断面およびB−B断面のいずれをも、次に説明する図17もしくは、前記図11に説明した例の他に、前述したような他の接続部での遮水処理の手段を適用することが可能である。
【0045】
前記図16に説明した例に関して、大型の下部構造体12Cの開口部に組み込む小型の構造体に対しては、図17に説明するような、遮水性を持たせた接続部18を設けることができる。この図17に示す例において、上部構造体25、25a……の内外海側の壁を所定の長さに突出させて設けておき、前記突出させた壁を突き合わせた状態で、その突き合わせ部の内側に型枠26を固定して取付け、その型枠と壁の間に設けた隙間に遮水材を充填して塞ぎ、遮水層27を構築して上部構造体間での遮水層18を形成している。前記型枠26としては、例えば、スチール等を用いて溝状に構成したものを内壁部に固定して設けることの他に、任意の材料を用いて構成することが可能であり、その型枠は取り外すことなしに、そのまま埋めておき、遮水層27と一体のままで役立つようにする。
【0046】
また、前記縦の遮水層18もしくは水平な遮水層17を設けるために、型枠の内部に遮水材を注入したときに、上下の構造体の壁端部、もしくは隣接する縦の壁の突き当て面に隙間があっても、その隙間に遮水材が入り込むことで、隙間が塞がれることになるので、前記遮水層を構築することによって封鎖することができる。これに対して、前記縦壁の突き合わせ部に、図示するような大きな空間が形成されていた時には、その隙間に対して、シートやマット等を挟みこむ等の対策を施してから、型枠で囲まれた内部に遮水材を充満させると良い。そのような処置を施すことにより遮水材を注入したときに、隙間から漏れ出す遮水材を少なくすることが可能となり、遮水材を無駄に消耗することがなくなる。
【0047】
なお、前記両側の壁の間の構造体内部の空間部28に対しては、必要に応じて砂や瓦礫等を投入する他に、アスファルトマスチック等を充満させて、空隙として残さないような処理を行うと良い。また、前記開口部に配置する上部構造体25……を、図示するような側壁を突出させずに、通常の箱型の小型のケーソンを用いた場合では、その小型のケーソンの側壁の突き合わせ部に遮水材を挟み込む等の手段を用いて、遮水層18を構成しても良いことは勿論である。
その他に、前記図17に説明する例において、両側の壁の間に横壁状の接続部29、29a、もしくは梁部材等を設けている場合も考えられる。そのような構成のケーソンを用いる場合には、前記上下の壁の接続部を内側から封止している遮水層27に対して、その内側の空間部に対して砂等を充満させて、遮水層を内側から補強させた状態で保持できるようにすれば、遮水層の信頼性をより向上させることが可能となる。
【0048】
前記開口部を閉鎖するための上部構造体としては、仕切護岸本体を構成するケーソンと同様に、その海上に突出する部分を一体に構成したものを組み合わせて用いることで、護岸全体の見映えにも違和感が持たれることがなくなる。そして、前記各実施例に説明したような遮水層を設けておくことにより、隣接する各構造体との間での遮水性を、容易に発揮させることができる。また、前記追加の構造体としては、その目的等に対応させて、他の任意の構成のブロック状の部材を用いることも可能であり、仕切護岸としての性能を十分に発揮させることが可能となる。
また、前記護岸本体を構築するに際して、開口部をあらかじめ設けておくという処理を行うことで、護岸で仕切った後で埋立地内部での作業を、比較的大型の作業船を用いて行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】廃棄物処分場を区画する仕切護岸の配置状態の平面図である。
【図2】開口部の平面図である。
【図3】開口部の正面図である。
【図4】仕切護岸の断面図である。
【図5】開口を塞ぐ部分に設ける遮水層の説明図である。
【図6】図5のとは異なる例の接続部の構成の説明図である。
【図7】開口を塞いだ部分での遮水層の構成の別の例の説明図である。
【図8】図7に対応する平面図である。
【図9】開口を塞ぐ別の例の説明図である。
【図10】図9の例の平面図である。
【図11】開口部を塞ぐ構造の図9とは異なる例の断面図である。
【図12】図11とは異なる例の断面図である。
【図13】開口を塞ぐ例の平面図である。
【図14】開口を塞ぐ構造の別の例の正面図である。
【図15】図14とはさらに異なる例の正面図である。
【図16】開口部に配置するケーソンの別の例の説明図である。
【図17】図16の上部構造体の接続構造の説明図である。
【符号の説明】
【0050】
2 処分場、 3 基礎、 5 仕切護岸、 6 開口部、
7 捨石基礎、 8 遮水層、
10 護岸本体、 11 本体ケーソン、 12 下部構造体、
15 上部構造体、 16 段部、 17.18 遮水層、
20 コンクリート壁、 21 上部工、 27 遮水層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海域を所定の範囲を囲むように仕切護岸を構築して、前記仕切護岸に囲まれた内部に廃棄物を堆積させる廃棄物処分場であって、
前記仕切護岸を構築するに際して、最後に締め切る部分のみを残して、前記護岸の本体として設置する構造物の間に遮水性を持たせた仕切護岸を構築し、
前記最後に締め切るように設けた開口部では、前記護岸で囲まれた区域の内部で作業を行う作業船が通過可能な深さの部分、もしくは、締め切った内外の海域での潮流の条件を満足させる位置に、締切り用の構造体に対応させた捨石基礎の上に下部構造体を構築しておき、前記護岸で締切った区画の中での作業に対応させて、
前記仕切護岸の開口部が不要となった時に、前記開口を塞ぐために、前記開口の下部の下部構造体と、新たに設置する上部構造体とを一体化して、仕切護岸としての機能を持たせることを特徴とする仕切護岸の構築工法。
【請求項2】
前記仕切護岸の構築に際して、最後に締め切るように設けた開口部では、作業のための船の通行を可能とするとともに、
前記開口部に対応させた部分では、捨石基礎および下部構造体は干潮時の水深又は潮流の速度等のいずれかの条件と、前記作業ための船舶の通行を考慮して、前記開口部を設定することを特徴とする請求項1に記載の仕切護岸の構築工法。
【請求項3】
前記仕切護岸において、最後に締切り処理を行う開口部には、後で設置して締切りに用いる構造体の接合面に対して、
前記開口部の両側に位置されている護岸本体と追加の構造体との間に、遮水性を発揮する遮水材を配置して、
前記追加の構造体を設置して前記遮水材を圧接して遮水処理し、仕切護岸の内外を水密に維持させることを特徴とする請求項1に記載の仕切護岸の構築法。
【請求項4】
前記開口部での締切りのために、開口部に後で設置するケーソンのような構造物を、前記開口部の捨石基礎の上に予め構築している下部構造体の上に積み重ねるに際して、
前記締切り処理のために設置する上部構造体の下面と、開口部の捨石基礎の上に予め構築している下部構造体の上面との間に、遮水材を挟むように配置して、前記最後に載置する上部構造体の重さを利用して前記遮水材を押圧・挟持させ、
前記開口部に位置させる上下の構造体との間で、水密な接続部とすることを特徴とする請求項3または4に記載の仕切護岸の構築法。
【請求項5】
前記開口部に位置させる上下の構造体との間で、水密な接続部を形成するために、
重ねて組み合わせる上下の構造体の接続部の内側面には、所定の高さの遮水層を構築して、前記遮水層を構造体の内面部に固定保持させ、
前記開口部に位置させる上下の構造体との間で、水密な接続部とすることを特徴とする請求項3または4に記載の仕切護岸の構築法。
【請求項6】
前記上下に重ねて配置する構造体の接続部に対して、その内側面に設ける遮水層に対応させた型枠部材を設け、前記型枠の中に遮水材を注入して、型枠とともに一体化させた遮水層として構成することを特徴とする請求項4または5に記載の仕切護岸の構築法。
【請求項7】
前記開口部での締切りに用いる上下の構造体として、前記開口部の下部に設けておく下部構造体に比較して、上部に設置する上部構造体を厚さの小さいもので構成し、
前記上下の構造体の接続部には遮水材により封止する手段を用いることを特徴とする請求項4に記載の仕切護岸の構築法。
【請求項8】
前記開口部で捨石基礎の上に設置する構造物は、その構造物の両側面をその両側の護岸の本体構造物と同様な断面のものとし、
前記構造物の中央部に開口部を設けておき、後でその開口部の締切りに対応させることを特徴とする請求項4または7に記載の仕切護岸の構築法。
【請求項9】
前記開口部での締切りに用いる上部の構造体と、前記開口部の両側に予め構築している本体構造物との間、もしくは上部の構造体の間の縦の接続部では、
接続部の内側面に設ける遮水層に対応させた型枠部材を設け、前記型枠の中に遮水材を注入して、型枠とともに一体化させた遮水層として構成することを特徴とする請求項8に記載の仕切護岸の構築法。
【請求項10】
前記開口部での締切りに用いる上部の構造体と、前記開口部の両側に予め構築している本体構造物との間、もしくは上部の構造体の間の縦の接続部では、
縦に形成する凸条と凹溝とを、対向させて設けた接続手段を用い、前記縦の接続部の凹凸部に遮水材を挟持させる遮水構造を用いることを特徴とする請求項4ないし8のいずれかに記載の仕切護岸の構築法。
【請求項11】
前記構造物の接続部に設ける遮水材として、アスファルト系遮水材、コンクリート系遮水材、セメント系遮水材、ケミカル系遮水材、土質系遮水材のいずれかを単独で、もしくはそれ等の遮水材を適宜複合させて用いることを特徴とする請求項1ないし9に記載の仕切護岸の構築法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−307433(P2008−307433A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−155042(P2007−155042)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(594067368)ワールドエンジニアリング株式会社 (21)
【出願人】(000232508)日本道路株式会社 (48)
【出願人】(390002185)大成ロテック株式会社 (90)
【出願人】(000230711)日本海上工事株式会社 (25)
【Fターム(参考)】