説明

仕掛け付き包装箱

【課題】ギフト箱等として使用される包装箱において、大胆な形状変化及び商品露出により、優れた訴求効果を得られるようにする。
【解決手段】底壁11の周囲に側板12を立設した箱本体1と、箱本体1の外周に上下方向にスライド自在に嵌められるスリーブ2とから成り、箱本体1の側板12の下部を固定部13とし、上部を可動部14として、固定部13と可動部14の境界に谷折線15を入れ、隣り合う可動部14同士を蛇腹状に折り込まれる折込片16を介して繋ぎ、スリーブ2が可動部14の外周を包囲する上昇位置にあるとき、可動部14が直立して折込片16がコーナー部分に折り込まれた状態に保持され、スリーブ2を固定部13の外周を包囲する位置まで下降させると、可動部14を谷折線15に沿って外側へ開き、折込片16を広げることができるようにし、箱本体1からスリーブ2を抜け止めする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、商品の訴求効果を考慮した仕掛け付きの包装箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1には、図8に示すような仕掛け付き包装箱が記載されている。この包装箱は、前壁51、一対の側壁52、後壁53を連設して周壁を形成し、底壁54で底面を閉止し、後壁53の上縁に連設した蓋55で天面を開閉するものである。
【0003】
この包装箱において、蓋55は、後壁53から順次繋がる表面板56と裏面板57とを貼り合わせて形成され、蓋55の基端となる裏面板57の角部にコーナー片58を連設して、その外側縁から延びる脚片59によりコーナー片58が支持されている。
【0004】
そして、裏面板57とコーナー片58に跨って、中央の山折線60aに向かうV字状の谷折線60bに挟まれた折込部分60cが設けられ、蓋55を開くと、折込部分60cのコーナー片58側から延びた表示板60が立ち上がるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−161316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような仕掛け付き包装箱では、開蓋時の形状の変化が少なく、開口部からの商品の露出も少ないため、同種の商品が競合するギフト商品のPRに用いる場合、消費者への訴求効果が十分得られないこともある。
【0007】
そこで、この発明は、ギフト箱等として使用される包装箱において、大胆な形状変化及び商品露出により、優れた訴求効果を得られるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、この発明は、底壁の周囲に側板を立設した箱本体と、箱本体の外側に上下方向にスライド自在に嵌められるスリーブとから成り、箱本体の側板の下部を固定部とし、上部を可動部として、固定部と可動部の境界に谷折線を入れ、隣り合う可動部同士を蛇腹状に折り込まれる折込片を介して繋ぎ、スリーブが可動部の外周を包囲する上昇位置にあるとき、可動部が直立して折込片がコーナー部分に折り込まれた状態に保持され、スリーブを固定部の外周を包囲する位置まで下降させると、可動部を谷折線に沿って外側へ開き、折込片を広げることができるようにし、箱本体に対するスリーブの移動範囲を規制することにより、箱本体からスリーブを抜け止めしたのである。
【発明の効果】
【0009】
この包装箱では、商品の包装時にスリーブを上昇させておき、商品の展示等に際し、箱本体に対しスリーブを下降させると、外側へ開いた側板の可動部及び広げた折込片により大きな告知面を形成でき、これに伴い、側板が下方の固定部のみの高さとなって、商品が大きく露出するので、告知面に囲まれた商品が目立ち、優れた訴求効果を得られる。
【0010】
また、このとき、箱本体からスリーブが抜けてしまうことがなく、商品の包装や展示作業を容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態に係る仕掛け付き包装箱の組立包装状態を示す斜視図
【図2】同上の箱本体とスリーブのブランクを示す図
【図3】同上の組立過程を示す分解斜視図
【図4】同上のスリーブが上昇した開蓋状態を示す斜視図
【図5】同上のスリーブが下降した状態を示す斜視図
【図6】同上の告知面展開状態を示す斜視図
【図7】第2実施形態に係る仕掛け付き包装箱の告知面展開状態を示す斜視図
【図8】従来の仕掛け付き包装箱の開蓋状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、この発明の第1実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。図1に示すように、この包装箱は、板紙を材料とする箱本体1及びスリーブ2から形成される。
【0013】
図2に示すように、箱本体1のブランクでは、略正方形の底壁11の周囲各辺にそれぞれ側板12が連設されている。側板12の組立状態における下部は固定部13、上部は可動部14とされ、固定部13と可動部14の境界には谷折線15が入れられている。両側一対の側板12の固定部13には、両側縁に重合片13aが連設されている。
【0014】
隣り合う側板12の可動部14同士は、折込片16を介して繋がれ、折込片16には、底壁11の各角に対し放射状に、中央に位置する山折線16aと、その両側方に位置する谷折線16bとが入れられている。
【0015】
組立状態で後方となる側板12には、固定部13及び可動部14に亘って上下方向に延びるスリット17が入れられ、前方となる側板12の可動部14には、上端縁に指入切欠14aが形成されている。
【0016】
一方、スリーブ2のブランクでは、外周4面をなす枠側板21が横方向に一列に連設され、その一側に継代片22が連設されている。各枠側板21は、箱本体1の側板12より少し幅が広く、固定部13及び可動部14の高さに略対応する高さとなっている。
【0017】
組立状態で後方となる枠側板21には、上端に蓋板23及び差込片24が順次連設されると共に、中央部に切込によるガイド片25が設けられている。両側となる枠側板21には、上端に蓋受片26が連設され、前方となる枠側板21には、上端に指入切欠21aが形成されている。
【0018】
いま、この包装箱を組み立てて商品を包装するには、図3に示すように、箱本体1において、底壁11から各側板12を起立させ、重合片13aを隣り合う側板12の固定部13の内面に沿わせる。このとき、折込片16を山折線16aと谷折線16bに沿って蛇腹状に内側へ折り込む。
【0019】
また、スリーブ2において、枠側板21を四角筒状に折り曲げ、継代片22を反対側の枠側板21に貼り付ける。
【0020】
次に、図4に示すように、スリーブ2を箱本体1の外周に嵌め、ガイド片25をスリット17に差し込み、箱内に商品を収納した後、スリーブ2を、可動部14の外周を包囲する位置まで上昇させる。
【0021】
このとき、スリーブ2により、可動部14が直立して、折込片16が箱本体1のコーナー部分に折り込まれた状態に保持される。
【0022】
また、スリーブ2は、箱本体1に対して上下方向にスライド自在となるが、スリット17の長さ方向におけるガイド片25の移動範囲が規制されるので、箱本体1からスリーブ2が抜け止めされる。
【0023】
そして、この状態で、図1に示すように、蓋受片26を内側へ折り曲げ、蓋板23を閉じ、差込片24を前方となる側板12の可動部14の内側に沿って箱内に差し込む。
【0024】
一方、店頭で商品を陳列する際には、指入切欠14a,21aを介し差込片24に指を掛け、図4に示すように、差込片24を箱内から引き抜いて、蓋板23を開き、蓋受片26も外側へ開く。
【0025】
そして、図5に示すように、スリーブ2を、固定部13の外周を包囲する位置まで下降させると、図6に示すように、可動部14を谷折線15に沿って外側へ開き、折込片16を広げることができる。
【0026】
このように、上記包装箱では、箱本体1に対しスリーブ2を下降させると、外側へ開いた可動部14及び広げた折込片16により大きな告知面を形成でき、これに伴い、側板12が下方の固定部13のみの高さとなって、商品が大きく露出するので、告知面に囲まれた商品が目立ち、優れた訴求効果を得ることができる。
【0027】
次に、この発明の第2実施形態を図7に基づいて説明する。
【0028】
この包装箱は、上記第1実施形態の構成に加え、両側板12と折込片16に跨って、中央の谷折線18aへ向かうV字状の山折線18bに挟まれた折込部分18cを設け、折込部分18cの折込片16側から表示板18を延出したものとされている。
【0029】
これにより、折込片16を広げると、折込部分18cが伸びて表示板18が立ち上がるので、より優れた訴求効果を得ることができる。
【0030】
なお、上記各実施形態では、箱本体1にスリット17を入れ、スリーブ2にガイド片25を設けたが、スリーブ2が上下方向に長い場合には、これとは逆に、スリーブ2にスリットを入れ、箱本体1にガイド片を設けて、箱本体1からスリーブ2を抜け止めするようにしてもよい。
【0031】
また、スリーブ2の蓋板23で天面を閉止するものを例示したが、スリーブ2とは別体の蓋を被せて、天面を閉止するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 箱本体
2 スリーブ
11 底壁
12 側板
13 固定部
13a 重合片
14 可動部
14a 指入切欠
15 谷折線
16 折込片
16a 山折線
16b 谷折線
17 スリット
18 表示板
18a 谷折線
18b 山折線
18c 折込部分
21 枠側板
21a 指入切欠
22 継代片
23 蓋板
24 差込片
25 ガイド片
26 蓋受片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁(11)の周囲に側板(12)を立設した箱本体(1)と、箱本体(1)の外周に上下方向にスライド自在に嵌められるスリーブ(2)とから成り、箱本体(1)の側板(12)の下部を固定部(13)とし、上部を可動部(14)として、固定部(13)と可動部(14)の境界に谷折線(15)を入れ、隣り合う可動部(14)同士を蛇腹状に折り込まれる折込片(16)を介して繋ぎ、スリーブ(2)が可動部(14)の外周を包囲する上昇位置にあるとき、可動部(14)が直立して折込片(16)がコーナー部分に折り込まれた状態に保持され、スリーブ(2)を固定部(13)の外周を包囲する位置まで下降させると、可動部(14)を谷折線(15)に沿って外側へ開き、折込片(16)を広げることができるようにし、箱本体(1)に対するスリーブ(2)の移動範囲を規制することにより、箱本体(1)からスリーブ(2)を抜け止めした仕掛け付き包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−105313(P2011−105313A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258766(P2009−258766)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】