説明

付属回転体を備えた装飾物品

【課題】動くことによる面白みを有して飽きにくく装飾性に優れるとともに、小型且つ軽量に形成することができ、製造コストも抑えることができる装飾物品を提供すること。
【解決手段】物品本体と、前記物品本体に対して回転可能に取り付けられた回転体と、前記回転体を前記物品本体に対して回転可能に取り付けるための線材とからなり、前記物品本体及び前記回転体は、表面から内部に向けて穿設された孔を有しており、前記線材は、上方縦材と下方縦材とこれら上下の縦材を繋ぐ横材とからなるクランク形状であって、前記上方縦材が前記回転体の孔に挿入固定され、前記下方縦材が前記物品本体の孔に回転可能に挿入されていることを特徴とする付属回転体を備えた装飾物品とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一部分を回転させることができて面白みがあり装飾性に優れた付属回転体を備えた装飾物品に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話のストラップ等の装飾物品は、多種多様なデザインのものが販売されており、消費者は自分の好みに合ったものを選択して購入している。
装飾物品の中でも、視覚的に面白みがあるデザインのものは、見て楽しむことができるために多くの消費者に好まれるが、単に面白みがあるデザインというだけではすぐに飽きられてしまう。
【0003】
例えば下記特許文献1には、内部に動物のキャラクター品等からなる物品が入った透明な合成樹脂成型体からなる装飾物品が開示されている。
この特許文献1に開示された装飾物品は、内部の動物等がきらきらと光る美しい美観を生じるため、非常にデザイン性に優れている。
しかしながら、この装飾物品は、デザイン性には優れていても動きが無いために面白みという点では充分なものとは言えなかった。
【0004】
一方、モータ等の駆動源により部分的に動くことができる玩具状の装飾物品も存在している。
このような装飾物品は動きを有するために面白みがあって飽きにくいが、構造が複雑化するために、大型化・重量化し、製造コストも高くなることから、携帯電話のストラップ等として使用することは困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4261614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、動くことによる面白みを有して飽きにくく装飾性に優れるとともに、小型且つ軽量に形成することができ、製造コストも抑えることができる装飾物品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、物品本体と、前記物品本体に対して回転可能に取り付けられた回転体と、前記回転体を前記物品本体に対して回転可能に取り付けるための線材とからなり、前記物品本体及び前記回転体は、表面から内部に向けて穿設された孔を有しており、前記線材は、上方縦材と下方縦材とこれら上下の縦材を繋ぐ横材とからなるクランク形状であって、前記上方縦材が前記回転体の孔に挿入固定され、前記下方縦材が前記物品本体の孔に回転可能に挿入されていることを特徴とする付属回転体を備えた装飾物品に関する。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記線材が金属製であって、前記上方縦材の端部及び前記下方縦材の端部に夫々レの字状に折り曲げられた折曲部を有し、前記回転体の孔径は、前記折曲部の幅よりも僅かに小さく形成され、前記物品本体の孔は、前記折曲部の幅よりも僅かに小さい小径部と、前記折曲部の幅よりも大きい大径部とを有していることを特徴とする請求項1記載の付属回転体を備えた装飾物品に関する。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記小径部の長さは、前記下方縦材の前記折曲部を除く部分の長さよりも僅かに短く形成されていることを特徴とする請求項2記載の付属回転体を備えた装飾物品に関する。
【0010】
請求項4に係る発明は、前記物品本体が動物を模した形態に形成されており、前記回転体が球状であることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の付属回転体を備えた装飾物品に関する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、手で持って振る或いは機械的に振動させることにより、回転体を物品本体に対して所定の回転半径にて回転させることができるため、動くことによる面白みを有して飽きにくく装飾性に優れた装飾物品となる。また、駆動源を有さずに簡単に動かすことができ、部品点数が少なくて簡易な構造であるため、製造が容易であり、小型、軽量、安価に製造することができる装飾物品となる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、折曲部を弾性変形させることにより、線材を回転体の孔及び物品本体の孔(小径部)に挿入することができるため、組み立てが非常に簡単であり、製造工程を簡素化することができる。また、折曲部が物品本体の孔の大径部にて復元することにより、折曲部を抜け止めとして機能させることができる。従って、抜け止め用の部材を別途必要とせず、部品点数を削減することができる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、小径部の長さが下方縦材の折曲部を除く部分の長さよりも僅かに短く形成されていることから、線材及び回転体を物品本体に対して僅かに上下させることができる遊びが形成される。そのため、回転体を物品本体に対して円滑に回転させることが可能となる。
【0014】
請求項4に係る発明は、物品本体が動物を模した形態に形成されており、回転体が球状であることから、恰も動物が玉遊びをしているかのような可愛らしい外観と動きが得られ、子供等の興味を惹きつけ易いデザイン性に優れた装飾物品となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る装飾物品の正面図である。
【図2】本発明に係る装飾物品の断面図である。
【図3】線材の外観図である。
【図4】本発明に係る装飾物品を組み立てている様子を示す図である。
【図5】本発明に係る装飾物品において生じる遊びを説明する図である。
【図6】回転体を物品本体に対して回転させている状態を示す図である。
【図7】本発明に係る装飾物品の第二実施形態を示す正面図である。
【図8】本発明に係る装飾物品の第二実施形態を示す断面図である。
【図9】本発明に係る装飾物品の第三実施形態を示す断面図である。
【図10】本発明に係る装飾物品に係止部を設けた例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る付属回転体を備えた装飾物品(以下、単に装飾物品という)の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明に係る装飾物品の正面図であり、図2は本発明に係る装飾物品の断面図である。
本発明に係る装飾物品は、物品本体(1)と、物品本体(1)に対して回転可能に取り付けられた回転体(2)と、回転体(2)を物品本体(1)に対して回転可能に取り付けるための線材(3)とからなる。
【0017】
物品本体(1)は動物を模した形態に形成されている。図示例では動物が象である場合が示されているが、他の動物、例えばアシカ、キリン、イルカ、猿等であってもよい。
但し、本発明において、物品本体(1)の形態は動物を模した形態には限定されず、人物を模した形態、漫画や映画のキャラクターを模した形態、植物を模した形態等の様々な形態を採用することができる。
【0018】
物品本体(1)の材料は特に限定されず、合成樹脂、金属、ゴム等の任意の材料を使用することができるが、製造の容易さ、製造コスト、外観、軽さ等の観点から合成樹脂を使用することが好ましく、具体的にはアクリル樹脂やナイロン樹脂等が好適に使用される。
合成樹脂を使用する場合、物品本体(1)は一体成型により形成することが好ましいが、2つの部材に分けて成型してから両部材を接着等により一体化することにより形成してもよい。
【0019】
物品本体(1)は、表面から内部に向けて穿設された孔(4)を有している。
孔(4)は、小径部(41)と大径部(42)とからなる二段階の内径を有している。
小径部(41)及び大径部(42)の内径は、後述する線材(3)の形状・寸法に応じて設定される。具体的には、例えば小径部(41)の内径はφ1.0〜1.5mm程度、大径部(42)の内径はφ2.0〜5.0mm程度に設定される。
【0020】
孔(4)は、図2に示すような物品本体(1)を貫通する貫通孔であってもよいし、物品本体(1)を貫通しない非貫通孔(図9参照)であってもよい。
孔(4)の長さは、後述する線材(3)の形状・寸法に応じて設定されるが、小径部(41)は大径部(42)よりも長く形成される(図2、図9参照)。その理由は、小径部(41)が長い方が線材(3)を安定して保持することが可能であり、回転体(2)を回転させたときのぶれを少なくすることができるためである。
【0021】
回転体(2)は、線材(3)を介して物品本体(1)に対して回転可能に取り付けられている。回転体(2)は線材(3)を回転軸として回転する。
回転体(2)の形状は特に限定されないが、図示例では球状に形成されている。
但し、回転体(2)の大きさ及び重さは、物品本体(1)よりも小さいことが好ましい。その理由は、回転体(2)の大きさや重さが物品本体(1)よりも大きいと、装飾物品を載置したときに不安定となって倒れやすく、また回転体(2)を安定した動きで回転させにくくなるためである。
【0022】
回転体(2)の材料は特に限定されず、合成樹脂、金属、ゴム等の任意の材料を使用することができるが、製造の容易さ、製造コスト、外観、軽さ等の観点から合成樹脂を使用することが好ましく、具体的にはアクリル樹脂やナイロン樹脂等が好適に使用される。
合成樹脂を使用する場合、回転体(2)は一体成型により形成することが好ましいが、2つの部材に分けて成型してから両部材を接着等により一体化することにより形成してもよい。
【0023】
回転体(2)は、表面から内部に向けて穿設された孔(5)を有している。
孔(5)は非貫通孔とされている。
孔(5)の内径は、後述する線材(3)の形状・寸法に応じて設定される。具体的には、例えばφ1.0〜1.5mm程度に設定される。
孔(5)の長さも後述する線材(3)の形状・寸法に応じて設定されるが、孔(4)の長さよりも短いことが好ましい。その理由は、孔(5)の長さが孔(4)の長さよりも長いと、回転体(2)が大きくなり、装飾物品を載置したときに不安定となって倒れやすく、また回転体(2)を安定した動きで回転させにくくなるためである。
【0024】
図3は線材(3)の外観図である。
線材(3)は、ステンレスや鉄等の金属製であって、例えば針金から形成される。
線材(3)の直径は、小径部(41)の内径よりも小さく、例えばφ0.6mm程度に設定される。
線材(3)は、上方縦材(31)と、下方縦材(32)と、これら上下の縦材(31)(32)を略直角方向に繋ぐ横材(33)とからなるクランク形状を有している。
線材(3)の両端部、即ち上方縦材(31)の端部及び下方縦材(32)の端部には、夫々レの字状に折り曲げられた折曲部(31a)(32a)が形成されている。折曲部(31a)(32a)の折り曲げ方向は、図示のように互いに反対方向外向きとすることが好ましい。
折曲部(31a)(32a)は、図3に矢印で示すように、線材の弾性を利用して内方に曲げる(弾性変形させる)ことができ、曲げた後は自然に元の形状に復元される。
【0025】
物品本体(1)の孔(4)の小径部(41)の内径と、回転体(2)の孔(5)の内径は、折曲部(31a)(32a)の自然状態(内方に弾性変形させていない状態)の幅(D)よりも僅かに小さく形成されている。具体的には、折曲部(31a)(32a)の自然状態の幅よりも小さく且つ弾性変形後の幅以上に形成されている。
これにより、図4に示すように、線材(3)の上方縦材(31)を回転体(2)の孔(5)に挿入するとき、及び下方縦材(32)を物品本体(1)の孔(4)の小径部(41)に挿入するときに、折曲部(31a)(32a)を内方向に弾性変形させながら挿入することができる。
【0026】
物品本体(1)の孔(4)の大径部(42)の内径は、折曲部(32a)の自然状態の幅(D)よりも大きく形成されている。
これにより、折曲部(32a)が小径部(41)を通過して大径部(42)に達したときに自然状態に復元し(図2参照)、復元した折曲部(32a)が抜け止め部として機能することとなる。そのため、抜け止め用の部材を別に取り付ける必要がない。
【0027】
図3に示す線材(3)は、下方縦材(32)が上方縦材(31)よりも長く形成されている。
上方縦材(31)の長さは回転体(2)の孔(5)の長さと略同じであり、下方縦材(32)の長さは物品本体(1)の孔(4)の全体長さより短く且つ小径部(41)の長さより長い。
物品本体(1)の孔(4)の小径部(41)の長さは、下方縦材(32)の折曲部(32a)を除く部分の長さ(L)よりも僅かに短く形成されている。
これにより、下方縦材(32)を孔(4)に挿入した状態で、線材(3)を物品本体(1)に対して僅かに上下させることができる遊びが形成される。具体的には、線材(3)が物品本体(1)に対して下方にあるときには下方に遊び(L)が形成され(図2参照)、線材(3)が物品本体(1)に対して上方にあるときには上方に遊び(L)が形成される(図5参照)。
遊び(L)(L)の長さは、例えば1〜3mm程度に設定される。
このような遊び(L)(L)が形成されることにより、回転体(2)を物品本体(1)に対して円滑に回転させることが可能となる。
【0028】
回転体(2)の孔(5)は大径部を有していないため、上方縦材(31)が回転体(2)の孔(5)に挿入された状態では、折曲部(31a)の弾性復元力により回転体(2)と線材(3)とが固定される。従って、別途の固定手段を必要とせず、部品点数を削減することができる。尚、必要に応じて孔(5)に接着剤を注入してもよい。
一方、物品本体(1)の孔(4)は大径部を有しており、下方縦材(32)が物品本体(1)の孔(4)に挿入された状態では、折曲部(32a)は大径部(42)に位置するために固定機能を発揮しない(抜け止め機能のみを発揮する)。そのため、線材(3)は物品本体(1)に対して回転可能となる。
【0029】
図6は、回転体(2)を物品本体(1)に対して回転させている状態を示す図である。
物品本体(1)を手で持って振る或いは機械的に振動を加えることにより、回転体(2)は下方縦材(32)を回転軸として回転する。このとき、回転体(2)の回転半径は横材(33)の長さにより定まるので、横材(32)の長さを変更することにより様々な回転半径のものを製作することができる。
図示例のように、物品本体(1)が象を模した形態に形成され、回転体(2)が球状である場合、恰も象が鼻を使って玉遊びをしているかのような可愛らしい外観と動きが得られるため、子供等の興味を惹きつけ易いデザイン性に優れた装飾物品となる。
【0030】
図7は本発明に係る装飾物品の別の実施形態(以下、第二実施形態といい、上記の実施形態を第一実施形態という)を示す正面図であり、図8はその断面図である。
第二実施形態の装飾物品は、物品本体(1)がアシカを模した形態に形成されている点以外は上記第一実施形態と同じであり、第一実施形態と同じ構成には同じ符号を付して説明を省略する。
第二実施形態の装飾物品によれば、恰もアシカが鼻の上で玉遊びをしているかのような可愛らしい外観と動きが得られるため、子供等の興味を惹きつけ易いデザイン性に優れた装飾物品となる。
【0031】
図9は本発明に係る装飾物品の別の実施形態(以下、第三実施形態という)を示す断面図である。
第三実施形態の装飾物品は、物品本体(1)の孔(4)が非貫通孔とされている点と、線材(3)の下方縦材(32)が折曲部(32a)を有しておらず、代わりに下方縦材(32)よりも大径の球状部(32b)を有している点において、上記第一実施形態のものと異なっているがその他の構成は第一実施形態と同様である。第一実施形態と同じ構成には同じ符号を付して説明は省略する。
第三実施形態の装飾物品も第一実施形態と同様に、図6に示す如く、回転体(2)を物品本体(1)に対して回転させることができる。
【0032】
本発明に係る装飾物品の用途は特に限定されず、置物として使用することもできるし、携帯電話のストラップとしても好適に使用することができる。
携帯電話のストラップとして使用する場合は、図10に示すように、物品本体(1)に紐を取り付けるための係止部(リング状部材)(6)を設けることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明に係る装飾物品は、置物や携帯電話のストラップ等として好適に利用される。
【符号の説明】
【0034】
1 物品本体
2 回転体
3 線材
31 上方縦材
31a 折曲部
32 下方縦材
32a 折曲部
33 横材
4 孔
41 小径部
42 大径部
5 孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品本体と、
前記物品本体に対して回転可能に取り付けられた回転体と、
前記回転体を前記物品本体に対して回転可能に取り付けるための線材とからなり、
前記物品本体及び前記回転体は、表面から内部に向けて穿設された孔を有しており、
前記線材は、上方縦材と下方縦材とこれら上下の縦材を繋ぐ横材とからなるクランク形状であって、前記上方縦材が前記回転体の孔に挿入固定され、前記下方縦材が前記物品本体の孔に回転可能に挿入されている
ことを特徴とする付属回転体を備えた装飾物品。
【請求項2】
前記線材が金属製であって、前記上方縦材の端部及び前記下方縦材の端部に夫々レの字状に折り曲げられた折曲部を有し、
前記回転体の孔径は、前記折曲部の幅よりも僅かに小さく形成され、
前記物品本体の孔は、前記折曲部の幅よりも僅かに小さい小径部と、前記折曲部の幅よりも大きい大径部とを有している
ことを特徴とする請求項1記載の付属回転体を備えた装飾物品。
【請求項3】
前記小径部の長さは、前記下方縦材の前記折曲部を除く部分の長さよりも僅かに短く形成されていることを特徴とする請求項2記載の付属回転体を備えた装飾物品。
【請求項4】
前記物品本体が動物を模した形態に形成されており、
前記回転体が球状であることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の付属回転体を備えた装飾物品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate