代替エネルギー源を使用する身体組織に対する望ましい温度効果の誘発
身体組織に対して望ましい温度効果を誘発するシステムであって、身体組織が、管腔の周囲に配置される。システムには、エネルギー伝送のためのエネルギー送達部を有する、近位端と遠位端を有しそれらの間に軸を持つ細長いカテーテルが含まれる。エネルギー送達部に近接した管腔内の身体組織を特徴付けるように構成された組織分析器、組織処置エネルギーを伝送するエネルギー送達部に結合された、非RFエネルギーであるたエネルギー源。組織分析器及びエネルギー源に結合されたプロセッサであって、切除せずにエネルギー送達部により身体組織を軽度に加熱するように、特徴付けされた身体組織のために適した処置エネルギーを決定するように構成されたプロセッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2008年9月22日に出願された米国仮出願第61/099,155号の35 USC 119(e)の下での利益を主張し、その全開示は参照により本明細書に全体として組み込まれる。
【0002】
本出願は、2007年10月18日に出願され、「Inducing Desirable Temperature Effects on Body Tissue」と題した米国特許出願第11/975,474号、2007年10月18日に出願され、「System For Inducing Desirable Temperature Effects On Body Tissue」と題した米国特許出願第11/975,383号、及び2005年5月3日に出願され、「Imaging and Eccentric Atherosclerotic Material Laser remodeling and/or Ablation Catheter」と題した米国特許出願第11/122,263号に関連し、それらの全開示が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
(連邦支援の研究及び開発でなされた発明の権利に関する供述)
該当なし
【0004】
(技術分野)
本発明は一般的に、医療装置、システム及び方法に関する。例示的な実施態様において、本発明は、管腔疾患のための、特に、アテローム硬化性プラーク、不安定又はホット(hot)プラーク等のための処置を提供する。本発明の構造は、切除なしに、穏やかな熱を使用して動脈組織をリモデリングすることを可能にする。
【背景技術】
【0005】
バルーン血管形成及び他のカテーテルは、アテローム硬化性疾患によって狭窄した動脈を開放するために、多くの場合使用される。バルーン拡張に伴う外傷は、重大な損傷を与えることがあり、その結果バルーン拡張の利益は、時間的に限定されることがある。ステントは、血管の有益な開放を延長させるために一般に使用される。ステント移植後の身体管腔の再狭窄又は事後狭窄が、相当な数の場合に起こった。
【0006】
最近では、(Johnson and JohnsonのCypher(商標)ステント、Sirolimus(商標)を含む関連薬剤のような)薬剤コーティングステントが、再狭窄率の著しい減少を実証しており、他のステントは、開発及び商品化中の代替の薬剤溶出ステントである。その上、手技上の血管形成の成功率も改善し得る、(静脈内又は経口の)全身薬剤送達に関する作業も開始された。
【0007】
薬剤溶出ステントは、多くの患者のアテローム硬化症の処置に大幅な展望を与えるように見えるが、ステントが使用できないか又は重大な欠点を呈する多くの場合が依然として存在する。一般的にステント移植は、体内にインプラントを残す。かかるインプラントは、特にインプラントの除去が難しく、かつ侵襲的手術を伴う時に、機械的疲労、腐食等を含む危険を呈し得る。ステント移植は、広汎性動脈疾患を処置する場合、分岐部を処置する場合、押し潰れ易い身体部位を処置する場合、並びにねじれ、伸長及び短縮を受ける動脈を処置する場合、さらなる欠点を有することがある。
【0008】
多くの場合、バルーン血管形成及び/又はステント移植と組み合わせた、血管内放射、低温処置、超音波エネルギー等を含む、種々の修正された再狭窄処置又は再狭窄阻害処置モダリティも提案された。これらの、及び異なるアプローチが、血管形成及びステント移植に続く血流の事後劣化を低減するための種々の程度の展望を示すが、血管形成によって組織に当初与えられる外傷は、依然として問題のある状態に留まっている。
【0009】
狭窄した動脈を開放するような、ステント移植及びバルーン血管形成に対する多数の代替案も提案された。例えば、多種多様なアテローム切除装置及び技術が開示され、試みられた。血管形成及びステント移植の欠点及び制限にもかかわらず、アテローム切除は、拡張ベースのアプローチの幅広い使用及び成功率を獲得しなかった。最近では、拡張のなおも更なる欠点が明らかになった。それには、心筋梗塞又は心臓発作を引き起こすことのある物質を断裂及び放出し得る不安定プラークの存在を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上に照らして、動脈組織における血管拡張を誘発し、身体管腔をリモデリングする方法及びシステムを提供することが好適であろう。極端な拡張の外傷を被る必要なしに、身体管腔をリモデリングできる構造を提供しながら、大幅なコスト又は複雑さを回避すること、及びステント移植に適さない血管及び他の身体管腔の開放を可能にすることが更に望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、一般的に非RFエネルギーを使用して身体組織に対して望ましい温度効果を誘発する改善された装置、システム、及び方法を提供する。望ましい温度効果には、アテローム硬化性病変及び他の病状を処置するために組織を軽度に加熱することを含む。本発明の技術は、閉塞性疾患の処置にも良く適しているが、不安定プラークを有する(又は有する危険のある)患者の処置に、これらの不安定プラークが関連した血管腔の重大な閉塞を引き起こすか否かにかかわらず、特に好適である。本発明のカテーテルシステムは、罹患組織の構造及び位置を特徴付けられるようにする光コヒーレンストモグラフィー及び他の撮像技術を組み込むことができる。
【0012】
第1の形態において、本発明は、身体組織に対して望ましい温度効果を誘発するシステムを含み、身体組織は、管腔の周囲に配置される。システムには、エネルギー伝送のためのエネルギー送達部を有する、近位端と遠位端を有しそれらの間に軸を持つ細長いカテーテルが含まれる。エネルギー送達部に近接した管腔内の身体組織を特徴付けるように構成された組織分析器、組織処置エネルギーを伝送するエネルギー送達部に結合された、非RFエネルギーであるたエネルギー源。組織分析器及びエネルギー源に結合されたプロセッサであって、切除せずにエネルギー送達部により身体組織を軽度に加熱するように、特徴付けされた身体組織のために適した処置エネルギーを決定するように構成されたプロセッサ。
【0013】
もう1つの形態において、本発明は、身体管腔内の身体組織に対して望ましい温度効果を誘発する方法を含む。方法には、カテーテルのエネルギー送達部を、加熱する組織に隣接した管腔内に位置決めすること、組織分析器を使用して、エネルギー送達部に近接した管腔内の組織を特徴付けることが含まれる。次に組織分析器に結合されたプロセッサを使用して、特徴付けされた組織のために適した処置エネルギーを決定すること、プロセッサに結合されたエネルギー源からの適切な処置エネルギーによりエネルギー送達部にエネルギーを与えること。長期閉塞性応答を誘発するような、組織に過度の熱損傷を引き起こすことなく、適切な処置エネルギーにより、切除せずに組織を軽度に加熱すること。
【0014】
多くの実施態様において、エネルギー装置は、レーザエネルギー源を含む。
【0015】
多くの実施態様において、エネルギー送達部は、カテーテルの近位端と、レーザエネルギー源から身体組織にレーザエネルギーを伝送するための少なくとも1つの半径方向に配向した窓との間に伸長する少なくとも1つの光学導管に結合された少なくとも1つの半径方向に配向した窓を含むことができる。
【0016】
多くの実施態様において、エネルギー装置は、超音波エネルギー源である。
【0017】
多くの実施態様において、エネルギー送達部は、身体組織に超音波エネルギーを送達するように構成された少なくとも1つの超音波トランスデューサを含む。エネルギーの周波数は、150kHz〜5MHzである。
【0018】
多くの実施態様において、エネルギー源は、マイクロ波エネルギー源である。
【0019】
多くの実施態様において、エネルギー送達部は、身体組織にマイクロ波エネルギーを送達するように構成された少なくとも1つのマイクロ波アンテナを含む。
【0020】
多くの実施態様において、プロセッサは、異なる特徴付けされた物質を軽度に加熱するために適した所定の処置エネルギー特性を有する。
【0021】
多くの実施態様において、プロセッサは、身体組織の加熱中に組織分析器からのフィードバックに応答して処置エネルギーを調整するように構成される。
【0022】
多くの実施態様において、組織分析器は、カテーテルの近位端と、少なくとも1つの半径方向に配向した窓との間に伸長する少なくとも1つの光学導管に結合された光コヒーレンストモグラファを含み、トモグラファは、身体組織を特徴付けるように身体組織からの撮像光から画像信号を発生させ、撮像光は、少なくとも1つの窓を通って伝送される。
【0023】
もう1つの形態において、本発明は、身体管腔内の組織処置領域で組織に対して望ましい温度効果を非侵襲的に誘発するシステムを含む。システムは、集束超音波エネルギーを組織処置領域に送達するように構成された集束超音波エネルギー装置と、組織処置領域の組織を特徴付けるように構成された組織分析器と、組織分析器及び集束超音波エネルギー装置に結合されたプロセッサであって、長期閉塞性応答を誘発するような、組織に過度の熱損傷を引き起こすことなく、適切な集束超音波エネルギーにより、切除せずに組織を軽度に加熱するように、特徴付けされた組織に適切な集束超音波パラメータを決定するように構成されたプロセッサとを含む。
【0024】
もう1つの形態において、本発明は、身体管腔内の組織処置領域で組織に対して望ましい温度効果を非侵襲的に誘発する方法を含む。方法は、集束超音波エネルギーを組織処置領域に送達するように構成された、集束超音波エネルギー装置を位置決めすることと、組織分析器を使用して、エネルギー送達部に近接した管腔内の組織を特徴付けることと、組織分析器及び集束超音波エネルギー装置に結合されたプロセッサを使用して、特徴付けされた組織のために適した処置エネルギーを決定することとを含む。集束超音波エネルギー装置は、適切な処置エネルギーによりエネルギーを与えられ、長期閉塞性応答を誘発するような、組織に過度の熱損傷を引き起こすことなく、適切な処置エネルギーにより、切除せずに組織を軽度に加熱する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】動脈組織を穏やかに加熱するためのバルーンカテーテルシステムの一実施態様を概略的に示す。
【図2】カテーテルシステム内で使用するためにバルーン表面に取り付けられた複数の超音波トランスデューサ又はマイクロ波アンテナを示す。
【図3】カテーテルシステムにより使用するためのステント状ケージに取り付けられた複数のトランスデューサ又はアンテナの一実施態様を示す。
【図4】プラーク又は病変及びカルシウム沈着を有する動脈内で膨張させたバルーン及びトランスデューサの断面図を示す。
【図5】集束トランスデューサが使用される時の超音波エネルギーの重複波パターンの一実施態様を示す。
【図6】超音波カテーテルによって処置された2つの異なるプラークを有する動脈内で膨張させたバルーン及びトランスデューサの断面図を示す。
【図7】穏やかな加熱のために深度/組織特異的である超音波カテーテルを使用してプラーク又は病変を有する動脈内で熱を誘発する代替的な方法を示す。
【図8】非集束単一トランスデューサから放出された波パターンを示す。
【図9】穏やかな加熱のためにプラーク又は病変に非集束超音波エネルギーを放出する、動脈内で膨張させた単一の非集束トランスデューサを有するバルーンの断面図を示す。
【図10A】一連のトランスデューサ、一対のトランスデューサ、又は単一のトランスデューサを使用して、プラーク又は病変に向かって超音波エネルギーを伝送する動脈内で膨張させたバルーンの断面図を示す。
【図10B】一連のトランスデューサ、一対のトランスデューサ、又は単一のトランスデューサを使用して、プラーク又は病変に向かって超音波エネルギーを伝送する動脈内で膨張させたバルーンの断面図を示す。
【図10C】一連のトランスデューサ、一対のトランスデューサ、又は単一のトランスデューサを使用して、プラーク又は病変に向かって超音波エネルギーを伝送する動脈内で膨張させたバルーンの断面図を示す。
【図11】バルーンの内面に取り付けられたトランスデューサを有するカテーテルの一実施態様を示す。
【図12A】体内の動脈の罹患又はプラーク部分を処置するための外部超音波を使用する非侵襲的処置の一実施態様を示す。
【図12B】体内の動脈の罹患又はプラーク部分を処置するための外部超音波を使用する非侵襲的処置の一実施態様を示す。
【図13A】「s」未満の波長を有する距離「s」によって分離された2つの点源の近似を示す。
【図13B】表面の下で加熱するために「s」よりも大きい波長を有する距離「s」によって分離された2つの点源の近似を示す。
【図14A】最小周波数の計算に使用される、0.2mmの間隔Smin及び0.1mmの深度dminを有する最小形状の例を示す。
【図14B】最大周波数の計算に使用される、2.0mmの間隔Smax及び5.0mmの深度dmaxを有する最大形状の例を示す。
【図15】レーザエネルギーを使用する、身体組織を穏やかに加熱するように設計されたレーザベースのカテーテルシステムの一実施態様を示す。
【図16】図15のレーザカテーテルの遠位端の一実施態様の断面図を示す。
【図17A】身体管腔を穏やかに加熱するためのレーザカテーテルの一実施態様を示す。
【図17B】身体管腔を穏やかに加熱するためのレーザカテーテルの一実施態様を示す。
【図17C】身体管腔を穏やかに加熱するためのレーザカテーテルの一実施態様を示す。
【図17D】身体管腔を穏やかに加熱するためのレーザカテーテルの一実施態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
伝統的なバルーン血管形成及びステントに代わる、又は改善する多くの治療が開発された。本発明の背景技術に記載された代替的装置は、動脈内の罹患組織を切断、切除又は蒸発させる。例えば、レーザ装置は、プラークを蒸発させ、かつそれを下流に洗い流す。アテローム切除装置は、プラークを摘出し、かつそれを体外に吸い出す。バルーンの切断は、動脈壁を切開し、組織を損傷させる。
【0027】
切断、切除又は蒸発させないシステム及び装置を提供することは、好適であろう。3つの処置モダリティが、これらの欠点を回避し、かつ組織の冷却と、非切除形状の直接分子変性と、非切除加熱とを含む。冷却は、Boston ScientificのCryo−cathのような装置を使用して実行された。直接分子変性は、放射線、例えばガンマ線によって達成できる。
【0028】
本発明は、残りのモダリティである、非RFエネルギーを使用する非切除加熱を対象にする。本明細書に開示された実施態様は、特定の処置モダリティ又は技術的実施にかかわらず、動脈内の罹患組織の「穏やかな加熱(gentle heating)」の概念を中心に展開する。幾つかの実施態様では、罹患動脈の処置は、切除なしに動脈内部の装置を使用して達成され、他の実施態様は、外部装置を使用して、身体外側からの非侵襲的処置を開示している。
【0029】
本明細書には血管系を参照して一般的に記載されるが、本明細書に記載されたカテーテル装置、システム及び方法の実施態様は、人体解剖学の他の血管腔にも応用できる。カテーテルが設置される解剖学的構造は、例えば食道、口腔、鼻咽頭腔、耳管及び鼓室、脳洞、喉頭、気管、気管支、胃、十二指腸、回腸、結腸、直腸、膀胱、尿管、射精管、輸精管、尿道、子宮腔、膣管、及び頸管、並びに動脈系、静脈系及び/又は心臓であっても良い。
【0030】
リモデリングには、超音波エネルギー、マイクロ波エネルギー、レーザエネルギー等の適用を伴うことがある。このエネルギーは、例えば不安定プラークの線維性被膜又は動脈構造の内膜層の加熱を制限する、標的及び/又は側副組織の温度を制限するように制御できる。幾つかの実施態様において、穏やかな加熱の表面温度範囲は、約45℃から約99℃である。軽度の穏やかな加熱のために、表面温度は、約45℃から約65℃に及んでも良く、他方で更に積極的な、穏やかな加熱のために、表面温度は、約65℃から約99℃に及んでも良い。バルク組織温度が主に50℃未満〜55℃に留まるように、約50℃から約65℃の範囲で表面温度未満への(内膜層又は線維性被膜のような)他の組織の加熱を阻害しながら脂質プールの融解を誘発するために十分な不安定プラークの脂質に富むプールの加熱を制限することは、そうしない場合再狭窄等をもたらせ得る免疫応答を阻害することがある。50℃〜65℃の比較的温和な温度は、大きな血管腔及び改善された血流を提供するように、処置に対する組織の治癒応答を通して、処置中、処置直後、及び/又は処置後1時間以上、1日以上、1週間以上、若しくは1ヶ月以上にも、タンパク質結合を変性又は破壊するために十分なことがある。
【0031】
身体組織を穏やかに加熱するためのエネルギー送達の時間の長さ及び平均速度も、変動し得る。例えば、幾つかの実施態様において、組織へのエネルギー送達の平均速度は、組織によるエネルギー散逸速度と同じ規模にある。他の実施態様において、送達されるエネルギーが十分に低いので、熱が、罹患組織に蓄積されることを可能にしながら、熱伝導、熱容量、生得的血液灌流、及び十分に灌流された組織からの距離を含む組織性質の相違によって、健常組織への重大な熱損傷を回避する速度で、健常組織から奪われることになる。
【0032】
本明細書に記載された装置、システム及び方法は、血管の組織処置において選択的でなく、かつ同心性及び偏心性両方のアテローム硬化症の処置に使用できる。アテローム硬化症は、50%を超える確率で、場合により75%もの(又はそれ以上の)場合に、血管の軸に対して偏心性であり得るので、このことは、特別な利点である。
【0033】
それ故に、アテローム硬化性物質のリモデリングは、アテローム硬化性及び他のプラークの収縮、融解等を含むことができる。動脈層内のアテローム硬化性物質は変性し、融解することがあり、かつ/又は処置は、血流を改善するように動脈層内でのアテローム硬化性物質の収縮を伴うことがある。本発明はまた、偏心性病変を含むことがある、不安定プラーク又は不安定プラークが問題となる血管の処置にとって特別な利点を提供し得る。本発明は、(キャップの強化を誘発し、かつプラークが、破裂を受けにくくするために)キャップ構造の軽度の加熱及び/又は(脂質に富むプールをリモデリング、変性、融解、収縮及び/又は再分配するように)不安定プラークの脂質に富むプールの加熱にも応用されるであろう。
【0034】
カテーテルベースの処置
【0035】
本発明の幾つかの実施態様は、穏やかな又は標準的な拡張と組み合わせた穏やかな加熱により動脈組織、特にアテローム硬化性罹患組織に対して望ましい温度効果を誘発する装置、システム、及び方法を一般的に提供する。多くの実施態様において、開示されたシステムは、少なくとも2つの要素、エネルギー発生器と、カテーテルとからなる。カテーテルは、超音波トランスデューサ又はマイクロ波アンテナの付加を除き、今日動脈疾患を処置するために一般に使用されるバルーンカテーテルに類似しても良い。システムは、動脈拡張と組み合わせて穏やかに加熱することによって罹患組織を処置することができる。動脈プラークにおける石灰化の場合に、罹患動脈をリモデリング及び開放することは、更に困難なことがあり、従ってカテーテルは、カルシウムを壊し、かつ管腔をリモデリング及び開放するために、超音波エネルギーと組み合わせて標準的血管形成バルーンを使用できる。
【0036】
一実施態様において、上部に配置されたトランスデューサを有する血管形成バルーンカテーテル構造は、血管壁に超音波加熱を適用できる。もう1つの実施態様において、上部に配置されたマイクロ波アンテナを有する血管形成バルーンカテーテル構造は、血管壁にマイクロ波加熱を適用できる。血管壁の加熱は、標準的な、非加熱血管形成拡張圧にあるか、又はそれよりも著しく低い拡張圧と任意に組み合わせて、拡張前、拡張中、及び/又は拡張後になされ得る。例えば、10〜16気圧のバルーン膨張圧が、特定病変の標準的な血管形成拡張に関して適切であり得る場合、本明細書に記載された穏やかな加熱と組み合わせた修正拡張処置は、10〜16気圧を用いても良いか、又は6気圧以下、場合により1〜2気圧のように低い圧力で実行されても良い。
【0037】
血管の拡張前、拡張中、及び/又は拡張後に付加される穏やかな加熱エネルギーは、合併症を低下させながら、拡張の有効性を増加させることがある。幾つかの実施態様において、バルーン拡張によるかかる制御された加熱は、リコイルの減少を示し、インプラントの欠点のないステント状の拡大の利益の少なくとも幾つかを提供できる。外膜層の加熱を有害な応答閾値未満に制限することによって、穏やかに加熱する利益が高められ得る(かつ/又は、合併症が阻害され得る)。
【0038】
本発明は、ステント移植と組み合わせて使用できるが、ステント移植が実行可能な選択肢でない血管の開放直径の増大に特に適している。潜在的用途には、アテローム硬化症が一領域に局在化するよりもむしろ動脈の相当の長さに沿って広がった、広汎性疾患の処置を含む。本発明は、ステントが多くの血管の鋭い屈曲内を前進又は拡大する必要がないので、蛇行した、鋭く曲がった血管の処置にも好適には使用できる。なおも更に好適な用途には、(側枝閉塞が問題であり得る)分岐部に沿った、かつ(押し潰し、及び/又はステント破砕の故障が問題であり得る)脚、足及び腕のような末梢末端における処置を含む。
【0039】
図1は、動脈組織に対して望ましい温度作用を誘発するバルーンカテーテルシステム10の一実施態様を示す。カテーテルシステム10は、軸15をその間に有する、近位端16と、遠位端18とを有するカテーテル本体14を有するバルーンカテーテル12を含む。カテーテル本体14は、可撓性であり、かつガイドワイヤ管腔及び膨張管腔のような1つ以上の管腔を含むことができる。なおも更なる管腔が、灌流、流体送達、撮像、導体管腔等のような他の処置又は用途に関して所望される場合に提供できる。カテーテル12は、遠位端18に隣接した膨張可能なバルーン20と、近位端16に隣接したハウジング29とを含む。ハウジング29は、ガイドワイヤ管腔に連通する第1コネクタ26と、膨張管腔に流体連通する第2コネクタ28とを含む。膨張管腔は、バルーン20と第2コネクタ28との間に伸長する。第1及び第2の両方のコネクタ26、28は、任意にLuer−Loc(商標)コネクタのような標準的なコネクタを含むことができる。遠位先端は、ガイドワイヤ等の通過を可能にする一体先端弁を含むことができる。
【0040】
超音波トランスデューサ又はマイクロ波アンテナ34は、バルーン20の表面に取り付けられ、トランスデューサ又はアンテナから近位に伸長する関連した導体によってバルーンを一部又は全部被覆する。幾つかの実施態様において、トランスデューサ又はアンテナ34は、バルーン20内部に位置決めできる。トランスデューサ又はアンテナ34は、バルーン20上に多くの様々なパターン又は配列で配設できる。幾つかの実施態様において、隣接トランスデューサ又はアンテナは、軸方向にオフセットされる。他の実施態様において、トランスデューサ又はアンテナは、バルーンの周囲でバンド状に配設できる。トランスデューサは、集束トランスデューサであっても良い。
【0041】
ハウジング29はまた、電気コネクタ38を収容する。コネクタ38は、複数の電気接続を有し、各々が図2に示される、導体を介してバルーン表面でトランスデューサ又はアンテナ34に電気結合される。このことにより、トランスデューサ又はアンテナ34が、コントローラ40及び超音波エネルギー、マイクロ波エネルギー又は他の適切なエネルギー源のような電源42によって容易にエネルギーを与えられるようになる。
【0042】
幾つかの実施態様において、バルーンは、比較的高い誘電率及び比較的高い音響インピーダンスを有する圧電物質を含む伝送層を有する超音波トランスデューサとして作られることがある。膨張すると、実際には超音波トランスデューサであるバルーンは、プラークに向けて超音波エネルギーを放出する。このシステムは、穏やかな又は標準的な拡張による穏やかな加熱によってアテローム硬化症を処置できる。
【0043】
超音波トランスデューサバルーンは、以下のような様々な形状で構築できる:
1. バルーン全体が、圧電プラスチックでできている。
2. バルーンの一部のみが、圧電プラスチックでできており、かつ従って膨張前、かつ収縮後に回転によって罹患組織を特異的に処置できる。
3. (送信及び受信)層が、薄層状に相互接続される、圧電物質又はいずれかの他の適切な材料を含む受信層を使用することによって、カテーテル、例えばIVUSカテーテルは、診断することもできる。このことにより、1つのカテーテルのみを使用して、処置中にプラーク深度及び組織タイプの検出が可能になる。
4. バルーン表面材料の離散サブセットが、超音波トランスデューサ要素により埋設される。次に離散要素が、所望であれば、独立して、かつ独立した電力、周波数等で要素を起動できる外部発電機に独立して接続される。この独立した起動は、管腔内の選択的投与、並びに処置エネルギーの離散化を可能にし、そのことは、他の利益を有する。例えば、エネルギーは、非選択的、非集束エネルギーが当てはまるように、組織組成及び性質が指示する場所に流れるよりもむしろ有向で、かつ均一に送達される。
【0044】
他の実施態様において、上述のトランスデューサ34は、ケージ36の形状でも構築できる。例えば図3は、ステント状ケージ36に取り付けられたトランスデューサ34から構築された拡大可能なケージを示す。このことは、管腔壁により付加を作るいずれの方法によっても可能である。このように構築されたカテーテルの利点は、処置中に、管腔を通る流体の流れが停止しないことである。トランスデューサを上に有するステント状のケージは、処置終了時に動脈から引き出される。
【0045】
大部分の実施態様において、動脈管腔内の閉塞又は病変の交差を支援するために、カテーテル先端にトランスデューサ/アンテナを付加する選択肢もある。
【0046】
バルーン20は、一般的に膨張管腔に結合された近位部と、ガイドワイヤ管腔に結合された遠位部とを含む。バルーン20は、流体又はガスによって膨張した時、半径方向に拡大する。幾つかの実施態様において、流体又はガスは、非導電性であり、かつ/又は冷却されても良い。幾つかの実施態様において、バルーン20は、動脈組織に接触するために加圧される低圧バルーンであっても良い。他の実施態様において、バルーン20は、穏やかな加熱が適用されながら、動脈管腔を拡大するために高圧が可能な血管形成バルーンである。バルーン20は、特に使用後の除去のため、半径方向に拡大した膨張形状から薄型形状へのバルーンの再構成を容易にするために、螺旋状の折り目を有する従属又は非従属バルーンを含むことができる。
【0047】
幾つかの実施態様において、コントローラ40は、処置を制御又は記録するために、プロセッサを含むか、又はプロセッサに結合されても良い。プロセッサは、本明細書に記載した1つ以上の方法の幾つか又は全部を実施するための機械読取り可能プログラム命令又はコードを実行する1つ以上のプログラム可能プロセッサユニットを多くの場合に含む、コンピュータハードウェア及び/又はソフトウェアを概して含む。コードは、多くの場合メモリ(任意に、読出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、不揮発性メモリ等)及び/又は(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードドライブ、CD、DVD、不揮発性固体メモリカード等のような)記録媒体のような有形媒体に具体化される。コード及び/又は関連するデータ並びに信号はまた、(無線ネットワーク、イーサネット(登録商標)、インターネット、イントラネット等のような)ネットワーク接続を介してプロセッサへ、又はプロセッサから伝送でき、かつコードの幾つか又は全部はまた、1つ以上のバスを介して、カテーテルシステム10のコンポーネント間で、かつプロセッサ内で伝送でき、かつ適切な標準的又は専用の通信カード、コネクタ、ケーブル等が、多くの場合プロセッサ内に含まれる。プロセッサは、多くの場合単一プログラム、一連の別個のサブルーチン又は関連プログラム等として書かれ得るソフトウェアコードにより少なくとも部分的にプロセッサをプログラムすることによって、本明細書に記載される計算及び信号伝送ステップを実行するよう構成される。プロセッサは、標準的又は専用のデジタル及び/又はアナログ信号処理ハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェアを含むことができ、かつ患者の処置中に本明細書に記載した計算を実行するために十分な処理能力を概して有し、プロセッサは、任意にパーソナルコンピュータ、ノートブックコンピュータ、タブレットコンピュータ、専用処理ユニット又はその組合せを含む。最新のコンピュータ・システムに関連する、(マウス、キーボード、タッチスクリーン、ジョイスティック等のような)標準的又は専用の入力装置及び(プリンタ、スピーカ、ディスプレイ等のような)出力装置が含まれいても良く、かつ複数の処理ユニット(又は、更に別個のコンピュータ)を有するプロセッサが、広範囲の集中又は分散データ処理アーキテクチャにおいて用いられ得る。
【0048】
図4は、プラーク又は病変52及びカルシウム沈着54を有する動脈50内で膨張させたバルーン20及びトランスデューサ34の断面図を示す。トランスデューサ34は、超音波エネルギー60をプラーク又は病変52に放出する。超音波エネルギー60は、プラーク又は病変52を軽度に加熱する熱を作り出す。超音波エネルギー60は、潜在的にカルシウム沈着54を破壊できる。熱は、コラーゲン収縮及びデバルキングを含む多数の潜在的利点を有する。カルシウムの破壊も、既存の製品に対して好適である。天然の血管又は動脈50が、トランスデューサ34との接触を保つためにプラーク又は病変52に対する圧力を維持する助けになることにも注意せよ。
【0049】
図5は、集束トランスデューサ34が使用される時の超音波エネルギーの重複波パターン60の一実施態様を示す。矢印62は、様々なトランスデューサからの波が結合して高温を有する点を引き起こす位置であるホットスポットの位置を表す。矢印62の方向は、プラークの深度を表す。このシステムは、建設的干渉を与えることを可能にする。様々な周波数を使用することにより、システムが、波長を変調することを可能にし、従ってプラークの様々な深度に集束させる。プラークが均質でないことを考慮すると、このシステムは、トランスデューサ間の波長の相違を調節することによって「疾患領域/位置特異的」であることを可能にする。
【0050】
図6は、超音波カテーテル10によって処置された2つの異なるプラーク56、58を有する動脈50内で膨張させたバルーン20及びトランスデューサ34の断面図を示す。バルーン20は、トランスデューサ34によって一部又は全部が被覆されている。小さなプラーク56が、その浅さにより短い波によって処置される。深いプラーク58は、その深さのために長い波によって処置される。超音波出力が増加するほど、プラーク内部の温度が高くなる。
【0051】
図7は、穏やかな加熱のために深度/組織特異的である超音波カテーテルを使用してプラーク又は病変52を有する動脈50内で熱を誘発する代替的な方法を示す。この場合に、バルーン20は、集束トランスデューサ34によって部分的にのみ被覆されるが、バルーンは、動脈内で回転すること60が、なおも可能であり、従ってプラークの深度及び組織のタイプに応じて、特定の処置領域に同時に異なる波長62を適用する。この方法は、疾患のない健常組織を処置することも回避している。このシステムは、非集束単一トランスデューサによっても構築できる。
【0052】
図8は、非集束単一トランスデューサ34から放出された波64のパターンを示す。図9は、穏やかな加熱のためにプラーク又は病変52に非集束超音波エネルギー64を放出する、動脈50内で膨張させた単一の非集束トランスデューサ34を有するバルーン20の断面図を示す。この実施態様においても、電力レベルは、プラーク深度及び組織タイプに応じて異なり得る。
【0053】
上記実施態様は、バルーン表面上のトランスデューサを開示しているが、他の実施態様において、トランスデューサの位置はバルーン内部に位置決めできる。例えば、トランスデューサワイヤ/コアは、好ましくは疾患又は他の望まれない成分、例えばカルシウム若しくは血栓を標的にして、バルーンの中心付近に位置決めでき、かつ食塩水を通過しかつ組織に移行するように調整できる。
【0054】
図10A〜図10Cは、プラーク又は病変52に向かって超音波エネルギー66を伝送する動脈50内で膨張させたバルーン20の断面図を示す。図10Aに示す実施態様において、集束トランスデューサ34の配列全体は、バルーン20内の内部コア上にある。図10Aに示す実施態様において、一対の集束トランスデューサ34は、回転60できるバルーン20内に位置する内部コア68上にある。図10Aに示す実施態様において、非集束単一トランスデューサ34は、回転60できるバルーン20内の内部コア68上に位置決めされる。
【0055】
図11は、バルーン20の内面に取り付けられたトランスデューサ34を有するカテーテルの一実施態様を示す。幾つかの実施態様において、バルーンは、レンズ又は隔膜の役目を果たせる。この場合のエネルギー66は、食塩水を通過する必要がなく、かつトランスデューサが剥離する危険は低い。この種類のカテーテルは、収縮後、回転できるバルーンの内面に集束トランスデューサの一面によっても構築できる。それは、回転できるバルーンの内面に非集束単一トランスデューサによっても構築できる。
【0056】
以上に開示されたカテーテルは、実施態様の組み合わせを使用して、構築でき、カテーテルが、バルーンの外面に、かつバルーン内部にも、バルーンの中心又は内面であろうと、トランスデューサによって構築しても良いことを意味している。
【0057】
外部超音波
【0058】
本発明のもう1つの実施態様は、ヒト又は動物の体内の罹患又は望まれない組織又は物質を非侵襲的に処置するシステム及び方法に関する。特に、この実施態様は、アテローム硬化症を処置するために使用される撮像情報によって誘導される外部の集束超音波の使用に関する。
【0059】
この実施態様の基本原理(basic principal)は、次の通りである:プラーク又は罹患組織がどこに位置するかを知っており、かつ(おそらくは、MRI又はIVUS、VH又はその他のある種の撮像装置から)その局所解剖学を知っているならば、プラーク又は罹患組織は、身体の外側にある集束超音波処置を使用して、標的とすることができる。
【0060】
図12A及び図12Bは、身体、例えば筋肉72及び骨70を有する脚74内部の動脈50の罹患又はプラーク部分52を処置するための外部超音波を使用する一実施態様を示す。複数の超音波トランスデューサ76が、プラーク又は病変52に向かって超音波エネルギー78を伝送する脚74の周囲に位置決めされる。超音波エネルギー78は、カルシウム沈着を破壊する可能性がある。異なるトランスデューサからの超音波エネルギー波78が結合するので、高い温度を有する点が、プラーク又は病変52を軽度に加熱するために作られる。
【0061】
プラーク又は疾患の位置が撮像装置を使用して知られているならば、制御システム(プロセッサ)が、罹患組織を必要に応じて標的とするために、独立して特定された周波数、位相、電力等によって超音波トランスデューサを離散的かつ選択的に起動するために使用できる。この方法は、完全に非侵襲的であり、かつ伝統的な血管形成よりも潜在的に大いに速いという利点を有する。
【0062】
超音波の計算例
【0063】
処置の最小の望ましい表面深度及び貫通深度に関する計算、及び周波数に対する関係を、以下に論じる。超音波トランスデューサが、いかにして処置カテーテルの周囲に、例えばバルーン上に配置できるかに関する、ある種の推測をすると、適切な波長、及びそれ故に集束波によって超音波カテーテルを実施する際に有用な周波数を推定することが可能である。
【0064】
波は、最大に有効である(ホットスポットを作る)ためには、建設的に干渉せねばならない。超音波音は、異なる媒体を通して異なる速度で進む。これらの計算のために、我々は、おおよそ1500m/sの、塩水を通してほぼ同じ速度で組織を通る音の進行を推測する。
【0065】
図13Aは、「s」未満の波長を有する距離「s」によって分離された2つの点源の近似を示す。波が交差する源Pの間の表面にエネルギー及び最大加熱の焦点があるので、これは、特に有用な実施ではない。トランスデューサが並置されるいかなる器官又は身体管腔でも、その表面下に建設的干渉を作ることを可能にする波長を選択することは、更に有用である。図13Bは、0.2mmの最小間隔から2.0mmの最大間隔まで源間の間隔による、管腔壁への0.1mmの最小深度dmin及び5mmの最大深度dmaxで加熱するための所望の処置を示す。一組の波長範囲は、式
【0066】
【数1】
【0067】
を使用して計算できる。
【0068】
図14Aは、0.2mmの間隔Smin及び0.1mmの深度dminを有する最小形状を示し、波長λminは、次のように計算できる。
【0069】
【数2】
【0070】
図14Bは、2.0mmの間隔Smax及び5.0mmの深度dmaxを有する最大形状を示し、波長λmaxは、次のように計算できる。
【0071】
【数3】
【0072】
計算は、動脈内でバルーンに取り付けられたトランスデューサから動脈疾患を処置するこの例に有用な適切な周波数範囲が、ほぼ150kHz〜5MHzであることを示唆している。集束超音波アプローチ、かつ更に具体的にはバイポーラの、2つのトランスデューサ実装を使用するこの周波数範囲は、適切である。浅い深度又は深い深度で標的組織を有する他の実施態様において、周波数は、1kHzから20MHzに及び得る。
【0073】
レーザベースの処置
【0074】
図15は、レーザエネルギーを使用して、身体組織を穏やかに加熱するように設計されたレーザベースのカテーテルシステム100の一実施態様を示す。適切なシステムは、全開示が参照によって本明細書に組み込まれる、2005年5月3日に出願され、「Imaging And Eccentric Atherosclerotic Material Laser Remodeling And/Or Ablation Catheter」と題した米国特許出願第2005/0251116号に開示される。
【0075】
カテーテルシステム100は、近位端114と遠位端116とを有しそれらの間に軸15を持つカテーテル112を含む。近位端114に隣接するハウジング120は、カテーテルを加熱レーザ122及び分析器124に結合し、分析器は、多くの場合光コヒーレンストモグラフィーシステムを含む。任意にディスプレイ126は、血管内光コヒーレンストモグラフィー(又はその他の)画像を示すことができ、かつ画像誘導手法において外科医が使用できる。駆動装置130は、周囲のカテーテルスリーブに関して少なくとも1つの撮像部品の走査を実行でき、走査は、任意に回転走査、ヘリカル走査、軸方向走査等を含む。
【0076】
処置用のディスプレイ上の組織を識別する入力装置及びカテーテル112からの撮像光信号を解釈するプロセッサのような追加のシステム部品は、多くの場合レーザ又は撮像システムに組み込まれるか、又は独立型部品として与えられることができる。分析器124は、任意にレーザ122、駆動装置130、ディスプレイ126等を制御するハードウェア及び/又はソフトウェアを含む。広範囲のデータ処理及び制御アーキテクチャを実装でき、ハウジング120、駆動装置130、レーザ122、分析器124及び/又はディスプレイ126が、任意に1つ以上の構造に統合されるか、多数の種々のハウジング内に分離される等である。本明細書に記載された方法のステップの幾つか又は全部を実施するプログラム命令を有する機械読み取り可能コードは、磁気記録媒体、光記録媒体、ランダムアクセスメモリ、読出し専用メモリ、又は不揮発性メモリのようなメモリ等を含むことができる有形媒体128に具体化できる。あるいは、かかるコードは、イーサネット、インターネット、無線ネットワーク等のような通信リンクを通して伝送できる。
【0077】
カテーテル112は、多くの場合紫外線から赤外線に及ぶ種々の波長のいずれかのレーザエネルギーを使用して、身体組織を穏やかに加熱する。このエネルギーは、カテーテル112の光ファイバー光学導管によってレーザ122からプラーク又は病変に送達できる。レーザ122は、紫外線光を使用するエキシマレーザを含むことができるか、又は任意に電気的に励起されたキセノン及び塩化物ガスを使用できる。レーザ122は、連続波、又はパルスレーザであり得る。連続波レーザは、多くの場合深い熱的貫通をもたらし、かつエネルギー次第で、可能な炭化及び浅いクレータをもたらすことがある。パルスレーザは、パルス間の熱緩和を可能にする十分な時間を提供することによって、周囲組織への不慮の熱伝導を減少させることができる。
【0078】
図16及び図17A〜図17Dを参照すると、カテーテル112は、光エネルギーを動脈壁に所与の角度で向けるために、(時に「光プローブ」と称される)1つ以上の回転可能な光学導管の1つ以上の束を一般的に使用する。光学導管は、1つ以上の単一モード光ファイバを含むことができ、かつスリーブカテーテル又はガイドワイヤ内部に収容できる。光学導管は、少なくとも部分的に光路を画定でき、かつ各光路はまた、レンズ132及び折り畳み鏡134によって画定され得る。光学導管は、光エネルギーを伝達するために使用できる。同じ光学導管又は光学導管の束136が、撮像用光エネルギー、例えば撮像光138、及びアテローム硬化性プラークを加熱する光エネルギー、例えばリモデリング光140を伝達するために使用できる。光学導管136は、スリーブカテーテル又はガイドワイヤ142内部に収容できる。
【0079】
光学導管136は、スリーブカテーテル142内部で回転する。撮像光138は、光学導管を通り、かつ例えばOCTによる身体管腔の血管内画像を提供するために、透明な円筒形窓142を通して半径方向に通過する。画像は、アテローム硬化性プラークを識別し、かつ局在化するコンピュータによって処理される。撮像からの情報に基づき、コンピュータは、次に光がプラーク146を穏やかに加熱して動脈の健常領域148に損傷を与えないように、加熱光140をいつ点火するかを決定する。このことは、回転可能な光学導管がプラークを向く時のプラークに対するパルス光140によって行うことができる。撮像及び加熱光は、その後に使用できる。
【0080】
本明細書に記載された装置、システム及び方法の実施態様は、アテローム硬化性物質を穏やかに加熱するために、エネルギーを調整又は調節できる。周波数、電力、規模、送達時間、送達位置及び/若しくはパターン、又はその組み合わせを含むエネルギー特性は、特定の患者の診断又は処置の前に予め決定でき、エネルギー特性は、例えば開ループ線量測定技術を用いてフィードバックなしに伝送される。かかる所定の特性調節は、アテローム硬化性物質の事前の処置、事前の臨床試験、及び/又は他の開発作業に基づくことができる。幾つかの実施態様は、原位置フィードバックに基づき、特定の患者に向けられたエネルギーを調節でき、かつ多くの実施態様は、幾つかの所定の特性を、フィードバック制御される他のものと共に用いることができる。
【0081】
代表的な実施態様が、少々詳しく、例として、かつ理解を明確にするために記載されたが、当業者は、種々の修正、適合及び変更が用いられることを認識するであろう。それ故に、本発明の範囲は、専ら請求項によって制限されるべきである。
【符号の説明】
【0082】
10…カテーテルシステム、12…バルーンカテーテル、14…カテーテル本体、15…軸、16…近位端、18…遠位端、20…バルーン、34…トランスデューサ又はアンテナ、42…電源、76…超音波トランスデューサ、100…カテーテルシステム、112…カテーテル、114…近位端、116…遠位端、122…レーザ、124…分析器、142…窓。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2008年9月22日に出願された米国仮出願第61/099,155号の35 USC 119(e)の下での利益を主張し、その全開示は参照により本明細書に全体として組み込まれる。
【0002】
本出願は、2007年10月18日に出願され、「Inducing Desirable Temperature Effects on Body Tissue」と題した米国特許出願第11/975,474号、2007年10月18日に出願され、「System For Inducing Desirable Temperature Effects On Body Tissue」と題した米国特許出願第11/975,383号、及び2005年5月3日に出願され、「Imaging and Eccentric Atherosclerotic Material Laser remodeling and/or Ablation Catheter」と題した米国特許出願第11/122,263号に関連し、それらの全開示が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
(連邦支援の研究及び開発でなされた発明の権利に関する供述)
該当なし
【0004】
(技術分野)
本発明は一般的に、医療装置、システム及び方法に関する。例示的な実施態様において、本発明は、管腔疾患のための、特に、アテローム硬化性プラーク、不安定又はホット(hot)プラーク等のための処置を提供する。本発明の構造は、切除なしに、穏やかな熱を使用して動脈組織をリモデリングすることを可能にする。
【背景技術】
【0005】
バルーン血管形成及び他のカテーテルは、アテローム硬化性疾患によって狭窄した動脈を開放するために、多くの場合使用される。バルーン拡張に伴う外傷は、重大な損傷を与えることがあり、その結果バルーン拡張の利益は、時間的に限定されることがある。ステントは、血管の有益な開放を延長させるために一般に使用される。ステント移植後の身体管腔の再狭窄又は事後狭窄が、相当な数の場合に起こった。
【0006】
最近では、(Johnson and JohnsonのCypher(商標)ステント、Sirolimus(商標)を含む関連薬剤のような)薬剤コーティングステントが、再狭窄率の著しい減少を実証しており、他のステントは、開発及び商品化中の代替の薬剤溶出ステントである。その上、手技上の血管形成の成功率も改善し得る、(静脈内又は経口の)全身薬剤送達に関する作業も開始された。
【0007】
薬剤溶出ステントは、多くの患者のアテローム硬化症の処置に大幅な展望を与えるように見えるが、ステントが使用できないか又は重大な欠点を呈する多くの場合が依然として存在する。一般的にステント移植は、体内にインプラントを残す。かかるインプラントは、特にインプラントの除去が難しく、かつ侵襲的手術を伴う時に、機械的疲労、腐食等を含む危険を呈し得る。ステント移植は、広汎性動脈疾患を処置する場合、分岐部を処置する場合、押し潰れ易い身体部位を処置する場合、並びにねじれ、伸長及び短縮を受ける動脈を処置する場合、さらなる欠点を有することがある。
【0008】
多くの場合、バルーン血管形成及び/又はステント移植と組み合わせた、血管内放射、低温処置、超音波エネルギー等を含む、種々の修正された再狭窄処置又は再狭窄阻害処置モダリティも提案された。これらの、及び異なるアプローチが、血管形成及びステント移植に続く血流の事後劣化を低減するための種々の程度の展望を示すが、血管形成によって組織に当初与えられる外傷は、依然として問題のある状態に留まっている。
【0009】
狭窄した動脈を開放するような、ステント移植及びバルーン血管形成に対する多数の代替案も提案された。例えば、多種多様なアテローム切除装置及び技術が開示され、試みられた。血管形成及びステント移植の欠点及び制限にもかかわらず、アテローム切除は、拡張ベースのアプローチの幅広い使用及び成功率を獲得しなかった。最近では、拡張のなおも更なる欠点が明らかになった。それには、心筋梗塞又は心臓発作を引き起こすことのある物質を断裂及び放出し得る不安定プラークの存在を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上に照らして、動脈組織における血管拡張を誘発し、身体管腔をリモデリングする方法及びシステムを提供することが好適であろう。極端な拡張の外傷を被る必要なしに、身体管腔をリモデリングできる構造を提供しながら、大幅なコスト又は複雑さを回避すること、及びステント移植に適さない血管及び他の身体管腔の開放を可能にすることが更に望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、一般的に非RFエネルギーを使用して身体組織に対して望ましい温度効果を誘発する改善された装置、システム、及び方法を提供する。望ましい温度効果には、アテローム硬化性病変及び他の病状を処置するために組織を軽度に加熱することを含む。本発明の技術は、閉塞性疾患の処置にも良く適しているが、不安定プラークを有する(又は有する危険のある)患者の処置に、これらの不安定プラークが関連した血管腔の重大な閉塞を引き起こすか否かにかかわらず、特に好適である。本発明のカテーテルシステムは、罹患組織の構造及び位置を特徴付けられるようにする光コヒーレンストモグラフィー及び他の撮像技術を組み込むことができる。
【0012】
第1の形態において、本発明は、身体組織に対して望ましい温度効果を誘発するシステムを含み、身体組織は、管腔の周囲に配置される。システムには、エネルギー伝送のためのエネルギー送達部を有する、近位端と遠位端を有しそれらの間に軸を持つ細長いカテーテルが含まれる。エネルギー送達部に近接した管腔内の身体組織を特徴付けるように構成された組織分析器、組織処置エネルギーを伝送するエネルギー送達部に結合された、非RFエネルギーであるたエネルギー源。組織分析器及びエネルギー源に結合されたプロセッサであって、切除せずにエネルギー送達部により身体組織を軽度に加熱するように、特徴付けされた身体組織のために適した処置エネルギーを決定するように構成されたプロセッサ。
【0013】
もう1つの形態において、本発明は、身体管腔内の身体組織に対して望ましい温度効果を誘発する方法を含む。方法には、カテーテルのエネルギー送達部を、加熱する組織に隣接した管腔内に位置決めすること、組織分析器を使用して、エネルギー送達部に近接した管腔内の組織を特徴付けることが含まれる。次に組織分析器に結合されたプロセッサを使用して、特徴付けされた組織のために適した処置エネルギーを決定すること、プロセッサに結合されたエネルギー源からの適切な処置エネルギーによりエネルギー送達部にエネルギーを与えること。長期閉塞性応答を誘発するような、組織に過度の熱損傷を引き起こすことなく、適切な処置エネルギーにより、切除せずに組織を軽度に加熱すること。
【0014】
多くの実施態様において、エネルギー装置は、レーザエネルギー源を含む。
【0015】
多くの実施態様において、エネルギー送達部は、カテーテルの近位端と、レーザエネルギー源から身体組織にレーザエネルギーを伝送するための少なくとも1つの半径方向に配向した窓との間に伸長する少なくとも1つの光学導管に結合された少なくとも1つの半径方向に配向した窓を含むことができる。
【0016】
多くの実施態様において、エネルギー装置は、超音波エネルギー源である。
【0017】
多くの実施態様において、エネルギー送達部は、身体組織に超音波エネルギーを送達するように構成された少なくとも1つの超音波トランスデューサを含む。エネルギーの周波数は、150kHz〜5MHzである。
【0018】
多くの実施態様において、エネルギー源は、マイクロ波エネルギー源である。
【0019】
多くの実施態様において、エネルギー送達部は、身体組織にマイクロ波エネルギーを送達するように構成された少なくとも1つのマイクロ波アンテナを含む。
【0020】
多くの実施態様において、プロセッサは、異なる特徴付けされた物質を軽度に加熱するために適した所定の処置エネルギー特性を有する。
【0021】
多くの実施態様において、プロセッサは、身体組織の加熱中に組織分析器からのフィードバックに応答して処置エネルギーを調整するように構成される。
【0022】
多くの実施態様において、組織分析器は、カテーテルの近位端と、少なくとも1つの半径方向に配向した窓との間に伸長する少なくとも1つの光学導管に結合された光コヒーレンストモグラファを含み、トモグラファは、身体組織を特徴付けるように身体組織からの撮像光から画像信号を発生させ、撮像光は、少なくとも1つの窓を通って伝送される。
【0023】
もう1つの形態において、本発明は、身体管腔内の組織処置領域で組織に対して望ましい温度効果を非侵襲的に誘発するシステムを含む。システムは、集束超音波エネルギーを組織処置領域に送達するように構成された集束超音波エネルギー装置と、組織処置領域の組織を特徴付けるように構成された組織分析器と、組織分析器及び集束超音波エネルギー装置に結合されたプロセッサであって、長期閉塞性応答を誘発するような、組織に過度の熱損傷を引き起こすことなく、適切な集束超音波エネルギーにより、切除せずに組織を軽度に加熱するように、特徴付けされた組織に適切な集束超音波パラメータを決定するように構成されたプロセッサとを含む。
【0024】
もう1つの形態において、本発明は、身体管腔内の組織処置領域で組織に対して望ましい温度効果を非侵襲的に誘発する方法を含む。方法は、集束超音波エネルギーを組織処置領域に送達するように構成された、集束超音波エネルギー装置を位置決めすることと、組織分析器を使用して、エネルギー送達部に近接した管腔内の組織を特徴付けることと、組織分析器及び集束超音波エネルギー装置に結合されたプロセッサを使用して、特徴付けされた組織のために適した処置エネルギーを決定することとを含む。集束超音波エネルギー装置は、適切な処置エネルギーによりエネルギーを与えられ、長期閉塞性応答を誘発するような、組織に過度の熱損傷を引き起こすことなく、適切な処置エネルギーにより、切除せずに組織を軽度に加熱する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】動脈組織を穏やかに加熱するためのバルーンカテーテルシステムの一実施態様を概略的に示す。
【図2】カテーテルシステム内で使用するためにバルーン表面に取り付けられた複数の超音波トランスデューサ又はマイクロ波アンテナを示す。
【図3】カテーテルシステムにより使用するためのステント状ケージに取り付けられた複数のトランスデューサ又はアンテナの一実施態様を示す。
【図4】プラーク又は病変及びカルシウム沈着を有する動脈内で膨張させたバルーン及びトランスデューサの断面図を示す。
【図5】集束トランスデューサが使用される時の超音波エネルギーの重複波パターンの一実施態様を示す。
【図6】超音波カテーテルによって処置された2つの異なるプラークを有する動脈内で膨張させたバルーン及びトランスデューサの断面図を示す。
【図7】穏やかな加熱のために深度/組織特異的である超音波カテーテルを使用してプラーク又は病変を有する動脈内で熱を誘発する代替的な方法を示す。
【図8】非集束単一トランスデューサから放出された波パターンを示す。
【図9】穏やかな加熱のためにプラーク又は病変に非集束超音波エネルギーを放出する、動脈内で膨張させた単一の非集束トランスデューサを有するバルーンの断面図を示す。
【図10A】一連のトランスデューサ、一対のトランスデューサ、又は単一のトランスデューサを使用して、プラーク又は病変に向かって超音波エネルギーを伝送する動脈内で膨張させたバルーンの断面図を示す。
【図10B】一連のトランスデューサ、一対のトランスデューサ、又は単一のトランスデューサを使用して、プラーク又は病変に向かって超音波エネルギーを伝送する動脈内で膨張させたバルーンの断面図を示す。
【図10C】一連のトランスデューサ、一対のトランスデューサ、又は単一のトランスデューサを使用して、プラーク又は病変に向かって超音波エネルギーを伝送する動脈内で膨張させたバルーンの断面図を示す。
【図11】バルーンの内面に取り付けられたトランスデューサを有するカテーテルの一実施態様を示す。
【図12A】体内の動脈の罹患又はプラーク部分を処置するための外部超音波を使用する非侵襲的処置の一実施態様を示す。
【図12B】体内の動脈の罹患又はプラーク部分を処置するための外部超音波を使用する非侵襲的処置の一実施態様を示す。
【図13A】「s」未満の波長を有する距離「s」によって分離された2つの点源の近似を示す。
【図13B】表面の下で加熱するために「s」よりも大きい波長を有する距離「s」によって分離された2つの点源の近似を示す。
【図14A】最小周波数の計算に使用される、0.2mmの間隔Smin及び0.1mmの深度dminを有する最小形状の例を示す。
【図14B】最大周波数の計算に使用される、2.0mmの間隔Smax及び5.0mmの深度dmaxを有する最大形状の例を示す。
【図15】レーザエネルギーを使用する、身体組織を穏やかに加熱するように設計されたレーザベースのカテーテルシステムの一実施態様を示す。
【図16】図15のレーザカテーテルの遠位端の一実施態様の断面図を示す。
【図17A】身体管腔を穏やかに加熱するためのレーザカテーテルの一実施態様を示す。
【図17B】身体管腔を穏やかに加熱するためのレーザカテーテルの一実施態様を示す。
【図17C】身体管腔を穏やかに加熱するためのレーザカテーテルの一実施態様を示す。
【図17D】身体管腔を穏やかに加熱するためのレーザカテーテルの一実施態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
伝統的なバルーン血管形成及びステントに代わる、又は改善する多くの治療が開発された。本発明の背景技術に記載された代替的装置は、動脈内の罹患組織を切断、切除又は蒸発させる。例えば、レーザ装置は、プラークを蒸発させ、かつそれを下流に洗い流す。アテローム切除装置は、プラークを摘出し、かつそれを体外に吸い出す。バルーンの切断は、動脈壁を切開し、組織を損傷させる。
【0027】
切断、切除又は蒸発させないシステム及び装置を提供することは、好適であろう。3つの処置モダリティが、これらの欠点を回避し、かつ組織の冷却と、非切除形状の直接分子変性と、非切除加熱とを含む。冷却は、Boston ScientificのCryo−cathのような装置を使用して実行された。直接分子変性は、放射線、例えばガンマ線によって達成できる。
【0028】
本発明は、残りのモダリティである、非RFエネルギーを使用する非切除加熱を対象にする。本明細書に開示された実施態様は、特定の処置モダリティ又は技術的実施にかかわらず、動脈内の罹患組織の「穏やかな加熱(gentle heating)」の概念を中心に展開する。幾つかの実施態様では、罹患動脈の処置は、切除なしに動脈内部の装置を使用して達成され、他の実施態様は、外部装置を使用して、身体外側からの非侵襲的処置を開示している。
【0029】
本明細書には血管系を参照して一般的に記載されるが、本明細書に記載されたカテーテル装置、システム及び方法の実施態様は、人体解剖学の他の血管腔にも応用できる。カテーテルが設置される解剖学的構造は、例えば食道、口腔、鼻咽頭腔、耳管及び鼓室、脳洞、喉頭、気管、気管支、胃、十二指腸、回腸、結腸、直腸、膀胱、尿管、射精管、輸精管、尿道、子宮腔、膣管、及び頸管、並びに動脈系、静脈系及び/又は心臓であっても良い。
【0030】
リモデリングには、超音波エネルギー、マイクロ波エネルギー、レーザエネルギー等の適用を伴うことがある。このエネルギーは、例えば不安定プラークの線維性被膜又は動脈構造の内膜層の加熱を制限する、標的及び/又は側副組織の温度を制限するように制御できる。幾つかの実施態様において、穏やかな加熱の表面温度範囲は、約45℃から約99℃である。軽度の穏やかな加熱のために、表面温度は、約45℃から約65℃に及んでも良く、他方で更に積極的な、穏やかな加熱のために、表面温度は、約65℃から約99℃に及んでも良い。バルク組織温度が主に50℃未満〜55℃に留まるように、約50℃から約65℃の範囲で表面温度未満への(内膜層又は線維性被膜のような)他の組織の加熱を阻害しながら脂質プールの融解を誘発するために十分な不安定プラークの脂質に富むプールの加熱を制限することは、そうしない場合再狭窄等をもたらせ得る免疫応答を阻害することがある。50℃〜65℃の比較的温和な温度は、大きな血管腔及び改善された血流を提供するように、処置に対する組織の治癒応答を通して、処置中、処置直後、及び/又は処置後1時間以上、1日以上、1週間以上、若しくは1ヶ月以上にも、タンパク質結合を変性又は破壊するために十分なことがある。
【0031】
身体組織を穏やかに加熱するためのエネルギー送達の時間の長さ及び平均速度も、変動し得る。例えば、幾つかの実施態様において、組織へのエネルギー送達の平均速度は、組織によるエネルギー散逸速度と同じ規模にある。他の実施態様において、送達されるエネルギーが十分に低いので、熱が、罹患組織に蓄積されることを可能にしながら、熱伝導、熱容量、生得的血液灌流、及び十分に灌流された組織からの距離を含む組織性質の相違によって、健常組織への重大な熱損傷を回避する速度で、健常組織から奪われることになる。
【0032】
本明細書に記載された装置、システム及び方法は、血管の組織処置において選択的でなく、かつ同心性及び偏心性両方のアテローム硬化症の処置に使用できる。アテローム硬化症は、50%を超える確率で、場合により75%もの(又はそれ以上の)場合に、血管の軸に対して偏心性であり得るので、このことは、特別な利点である。
【0033】
それ故に、アテローム硬化性物質のリモデリングは、アテローム硬化性及び他のプラークの収縮、融解等を含むことができる。動脈層内のアテローム硬化性物質は変性し、融解することがあり、かつ/又は処置は、血流を改善するように動脈層内でのアテローム硬化性物質の収縮を伴うことがある。本発明はまた、偏心性病変を含むことがある、不安定プラーク又は不安定プラークが問題となる血管の処置にとって特別な利点を提供し得る。本発明は、(キャップの強化を誘発し、かつプラークが、破裂を受けにくくするために)キャップ構造の軽度の加熱及び/又は(脂質に富むプールをリモデリング、変性、融解、収縮及び/又は再分配するように)不安定プラークの脂質に富むプールの加熱にも応用されるであろう。
【0034】
カテーテルベースの処置
【0035】
本発明の幾つかの実施態様は、穏やかな又は標準的な拡張と組み合わせた穏やかな加熱により動脈組織、特にアテローム硬化性罹患組織に対して望ましい温度効果を誘発する装置、システム、及び方法を一般的に提供する。多くの実施態様において、開示されたシステムは、少なくとも2つの要素、エネルギー発生器と、カテーテルとからなる。カテーテルは、超音波トランスデューサ又はマイクロ波アンテナの付加を除き、今日動脈疾患を処置するために一般に使用されるバルーンカテーテルに類似しても良い。システムは、動脈拡張と組み合わせて穏やかに加熱することによって罹患組織を処置することができる。動脈プラークにおける石灰化の場合に、罹患動脈をリモデリング及び開放することは、更に困難なことがあり、従ってカテーテルは、カルシウムを壊し、かつ管腔をリモデリング及び開放するために、超音波エネルギーと組み合わせて標準的血管形成バルーンを使用できる。
【0036】
一実施態様において、上部に配置されたトランスデューサを有する血管形成バルーンカテーテル構造は、血管壁に超音波加熱を適用できる。もう1つの実施態様において、上部に配置されたマイクロ波アンテナを有する血管形成バルーンカテーテル構造は、血管壁にマイクロ波加熱を適用できる。血管壁の加熱は、標準的な、非加熱血管形成拡張圧にあるか、又はそれよりも著しく低い拡張圧と任意に組み合わせて、拡張前、拡張中、及び/又は拡張後になされ得る。例えば、10〜16気圧のバルーン膨張圧が、特定病変の標準的な血管形成拡張に関して適切であり得る場合、本明細書に記載された穏やかな加熱と組み合わせた修正拡張処置は、10〜16気圧を用いても良いか、又は6気圧以下、場合により1〜2気圧のように低い圧力で実行されても良い。
【0037】
血管の拡張前、拡張中、及び/又は拡張後に付加される穏やかな加熱エネルギーは、合併症を低下させながら、拡張の有効性を増加させることがある。幾つかの実施態様において、バルーン拡張によるかかる制御された加熱は、リコイルの減少を示し、インプラントの欠点のないステント状の拡大の利益の少なくとも幾つかを提供できる。外膜層の加熱を有害な応答閾値未満に制限することによって、穏やかに加熱する利益が高められ得る(かつ/又は、合併症が阻害され得る)。
【0038】
本発明は、ステント移植と組み合わせて使用できるが、ステント移植が実行可能な選択肢でない血管の開放直径の増大に特に適している。潜在的用途には、アテローム硬化症が一領域に局在化するよりもむしろ動脈の相当の長さに沿って広がった、広汎性疾患の処置を含む。本発明は、ステントが多くの血管の鋭い屈曲内を前進又は拡大する必要がないので、蛇行した、鋭く曲がった血管の処置にも好適には使用できる。なおも更に好適な用途には、(側枝閉塞が問題であり得る)分岐部に沿った、かつ(押し潰し、及び/又はステント破砕の故障が問題であり得る)脚、足及び腕のような末梢末端における処置を含む。
【0039】
図1は、動脈組織に対して望ましい温度作用を誘発するバルーンカテーテルシステム10の一実施態様を示す。カテーテルシステム10は、軸15をその間に有する、近位端16と、遠位端18とを有するカテーテル本体14を有するバルーンカテーテル12を含む。カテーテル本体14は、可撓性であり、かつガイドワイヤ管腔及び膨張管腔のような1つ以上の管腔を含むことができる。なおも更なる管腔が、灌流、流体送達、撮像、導体管腔等のような他の処置又は用途に関して所望される場合に提供できる。カテーテル12は、遠位端18に隣接した膨張可能なバルーン20と、近位端16に隣接したハウジング29とを含む。ハウジング29は、ガイドワイヤ管腔に連通する第1コネクタ26と、膨張管腔に流体連通する第2コネクタ28とを含む。膨張管腔は、バルーン20と第2コネクタ28との間に伸長する。第1及び第2の両方のコネクタ26、28は、任意にLuer−Loc(商標)コネクタのような標準的なコネクタを含むことができる。遠位先端は、ガイドワイヤ等の通過を可能にする一体先端弁を含むことができる。
【0040】
超音波トランスデューサ又はマイクロ波アンテナ34は、バルーン20の表面に取り付けられ、トランスデューサ又はアンテナから近位に伸長する関連した導体によってバルーンを一部又は全部被覆する。幾つかの実施態様において、トランスデューサ又はアンテナ34は、バルーン20内部に位置決めできる。トランスデューサ又はアンテナ34は、バルーン20上に多くの様々なパターン又は配列で配設できる。幾つかの実施態様において、隣接トランスデューサ又はアンテナは、軸方向にオフセットされる。他の実施態様において、トランスデューサ又はアンテナは、バルーンの周囲でバンド状に配設できる。トランスデューサは、集束トランスデューサであっても良い。
【0041】
ハウジング29はまた、電気コネクタ38を収容する。コネクタ38は、複数の電気接続を有し、各々が図2に示される、導体を介してバルーン表面でトランスデューサ又はアンテナ34に電気結合される。このことにより、トランスデューサ又はアンテナ34が、コントローラ40及び超音波エネルギー、マイクロ波エネルギー又は他の適切なエネルギー源のような電源42によって容易にエネルギーを与えられるようになる。
【0042】
幾つかの実施態様において、バルーンは、比較的高い誘電率及び比較的高い音響インピーダンスを有する圧電物質を含む伝送層を有する超音波トランスデューサとして作られることがある。膨張すると、実際には超音波トランスデューサであるバルーンは、プラークに向けて超音波エネルギーを放出する。このシステムは、穏やかな又は標準的な拡張による穏やかな加熱によってアテローム硬化症を処置できる。
【0043】
超音波トランスデューサバルーンは、以下のような様々な形状で構築できる:
1. バルーン全体が、圧電プラスチックでできている。
2. バルーンの一部のみが、圧電プラスチックでできており、かつ従って膨張前、かつ収縮後に回転によって罹患組織を特異的に処置できる。
3. (送信及び受信)層が、薄層状に相互接続される、圧電物質又はいずれかの他の適切な材料を含む受信層を使用することによって、カテーテル、例えばIVUSカテーテルは、診断することもできる。このことにより、1つのカテーテルのみを使用して、処置中にプラーク深度及び組織タイプの検出が可能になる。
4. バルーン表面材料の離散サブセットが、超音波トランスデューサ要素により埋設される。次に離散要素が、所望であれば、独立して、かつ独立した電力、周波数等で要素を起動できる外部発電機に独立して接続される。この独立した起動は、管腔内の選択的投与、並びに処置エネルギーの離散化を可能にし、そのことは、他の利益を有する。例えば、エネルギーは、非選択的、非集束エネルギーが当てはまるように、組織組成及び性質が指示する場所に流れるよりもむしろ有向で、かつ均一に送達される。
【0044】
他の実施態様において、上述のトランスデューサ34は、ケージ36の形状でも構築できる。例えば図3は、ステント状ケージ36に取り付けられたトランスデューサ34から構築された拡大可能なケージを示す。このことは、管腔壁により付加を作るいずれの方法によっても可能である。このように構築されたカテーテルの利点は、処置中に、管腔を通る流体の流れが停止しないことである。トランスデューサを上に有するステント状のケージは、処置終了時に動脈から引き出される。
【0045】
大部分の実施態様において、動脈管腔内の閉塞又は病変の交差を支援するために、カテーテル先端にトランスデューサ/アンテナを付加する選択肢もある。
【0046】
バルーン20は、一般的に膨張管腔に結合された近位部と、ガイドワイヤ管腔に結合された遠位部とを含む。バルーン20は、流体又はガスによって膨張した時、半径方向に拡大する。幾つかの実施態様において、流体又はガスは、非導電性であり、かつ/又は冷却されても良い。幾つかの実施態様において、バルーン20は、動脈組織に接触するために加圧される低圧バルーンであっても良い。他の実施態様において、バルーン20は、穏やかな加熱が適用されながら、動脈管腔を拡大するために高圧が可能な血管形成バルーンである。バルーン20は、特に使用後の除去のため、半径方向に拡大した膨張形状から薄型形状へのバルーンの再構成を容易にするために、螺旋状の折り目を有する従属又は非従属バルーンを含むことができる。
【0047】
幾つかの実施態様において、コントローラ40は、処置を制御又は記録するために、プロセッサを含むか、又はプロセッサに結合されても良い。プロセッサは、本明細書に記載した1つ以上の方法の幾つか又は全部を実施するための機械読取り可能プログラム命令又はコードを実行する1つ以上のプログラム可能プロセッサユニットを多くの場合に含む、コンピュータハードウェア及び/又はソフトウェアを概して含む。コードは、多くの場合メモリ(任意に、読出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、不揮発性メモリ等)及び/又は(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードドライブ、CD、DVD、不揮発性固体メモリカード等のような)記録媒体のような有形媒体に具体化される。コード及び/又は関連するデータ並びに信号はまた、(無線ネットワーク、イーサネット(登録商標)、インターネット、イントラネット等のような)ネットワーク接続を介してプロセッサへ、又はプロセッサから伝送でき、かつコードの幾つか又は全部はまた、1つ以上のバスを介して、カテーテルシステム10のコンポーネント間で、かつプロセッサ内で伝送でき、かつ適切な標準的又は専用の通信カード、コネクタ、ケーブル等が、多くの場合プロセッサ内に含まれる。プロセッサは、多くの場合単一プログラム、一連の別個のサブルーチン又は関連プログラム等として書かれ得るソフトウェアコードにより少なくとも部分的にプロセッサをプログラムすることによって、本明細書に記載される計算及び信号伝送ステップを実行するよう構成される。プロセッサは、標準的又は専用のデジタル及び/又はアナログ信号処理ハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェアを含むことができ、かつ患者の処置中に本明細書に記載した計算を実行するために十分な処理能力を概して有し、プロセッサは、任意にパーソナルコンピュータ、ノートブックコンピュータ、タブレットコンピュータ、専用処理ユニット又はその組合せを含む。最新のコンピュータ・システムに関連する、(マウス、キーボード、タッチスクリーン、ジョイスティック等のような)標準的又は専用の入力装置及び(プリンタ、スピーカ、ディスプレイ等のような)出力装置が含まれいても良く、かつ複数の処理ユニット(又は、更に別個のコンピュータ)を有するプロセッサが、広範囲の集中又は分散データ処理アーキテクチャにおいて用いられ得る。
【0048】
図4は、プラーク又は病変52及びカルシウム沈着54を有する動脈50内で膨張させたバルーン20及びトランスデューサ34の断面図を示す。トランスデューサ34は、超音波エネルギー60をプラーク又は病変52に放出する。超音波エネルギー60は、プラーク又は病変52を軽度に加熱する熱を作り出す。超音波エネルギー60は、潜在的にカルシウム沈着54を破壊できる。熱は、コラーゲン収縮及びデバルキングを含む多数の潜在的利点を有する。カルシウムの破壊も、既存の製品に対して好適である。天然の血管又は動脈50が、トランスデューサ34との接触を保つためにプラーク又は病変52に対する圧力を維持する助けになることにも注意せよ。
【0049】
図5は、集束トランスデューサ34が使用される時の超音波エネルギーの重複波パターン60の一実施態様を示す。矢印62は、様々なトランスデューサからの波が結合して高温を有する点を引き起こす位置であるホットスポットの位置を表す。矢印62の方向は、プラークの深度を表す。このシステムは、建設的干渉を与えることを可能にする。様々な周波数を使用することにより、システムが、波長を変調することを可能にし、従ってプラークの様々な深度に集束させる。プラークが均質でないことを考慮すると、このシステムは、トランスデューサ間の波長の相違を調節することによって「疾患領域/位置特異的」であることを可能にする。
【0050】
図6は、超音波カテーテル10によって処置された2つの異なるプラーク56、58を有する動脈50内で膨張させたバルーン20及びトランスデューサ34の断面図を示す。バルーン20は、トランスデューサ34によって一部又は全部が被覆されている。小さなプラーク56が、その浅さにより短い波によって処置される。深いプラーク58は、その深さのために長い波によって処置される。超音波出力が増加するほど、プラーク内部の温度が高くなる。
【0051】
図7は、穏やかな加熱のために深度/組織特異的である超音波カテーテルを使用してプラーク又は病変52を有する動脈50内で熱を誘発する代替的な方法を示す。この場合に、バルーン20は、集束トランスデューサ34によって部分的にのみ被覆されるが、バルーンは、動脈内で回転すること60が、なおも可能であり、従ってプラークの深度及び組織のタイプに応じて、特定の処置領域に同時に異なる波長62を適用する。この方法は、疾患のない健常組織を処置することも回避している。このシステムは、非集束単一トランスデューサによっても構築できる。
【0052】
図8は、非集束単一トランスデューサ34から放出された波64のパターンを示す。図9は、穏やかな加熱のためにプラーク又は病変52に非集束超音波エネルギー64を放出する、動脈50内で膨張させた単一の非集束トランスデューサ34を有するバルーン20の断面図を示す。この実施態様においても、電力レベルは、プラーク深度及び組織タイプに応じて異なり得る。
【0053】
上記実施態様は、バルーン表面上のトランスデューサを開示しているが、他の実施態様において、トランスデューサの位置はバルーン内部に位置決めできる。例えば、トランスデューサワイヤ/コアは、好ましくは疾患又は他の望まれない成分、例えばカルシウム若しくは血栓を標的にして、バルーンの中心付近に位置決めでき、かつ食塩水を通過しかつ組織に移行するように調整できる。
【0054】
図10A〜図10Cは、プラーク又は病変52に向かって超音波エネルギー66を伝送する動脈50内で膨張させたバルーン20の断面図を示す。図10Aに示す実施態様において、集束トランスデューサ34の配列全体は、バルーン20内の内部コア上にある。図10Aに示す実施態様において、一対の集束トランスデューサ34は、回転60できるバルーン20内に位置する内部コア68上にある。図10Aに示す実施態様において、非集束単一トランスデューサ34は、回転60できるバルーン20内の内部コア68上に位置決めされる。
【0055】
図11は、バルーン20の内面に取り付けられたトランスデューサ34を有するカテーテルの一実施態様を示す。幾つかの実施態様において、バルーンは、レンズ又は隔膜の役目を果たせる。この場合のエネルギー66は、食塩水を通過する必要がなく、かつトランスデューサが剥離する危険は低い。この種類のカテーテルは、収縮後、回転できるバルーンの内面に集束トランスデューサの一面によっても構築できる。それは、回転できるバルーンの内面に非集束単一トランスデューサによっても構築できる。
【0056】
以上に開示されたカテーテルは、実施態様の組み合わせを使用して、構築でき、カテーテルが、バルーンの外面に、かつバルーン内部にも、バルーンの中心又は内面であろうと、トランスデューサによって構築しても良いことを意味している。
【0057】
外部超音波
【0058】
本発明のもう1つの実施態様は、ヒト又は動物の体内の罹患又は望まれない組織又は物質を非侵襲的に処置するシステム及び方法に関する。特に、この実施態様は、アテローム硬化症を処置するために使用される撮像情報によって誘導される外部の集束超音波の使用に関する。
【0059】
この実施態様の基本原理(basic principal)は、次の通りである:プラーク又は罹患組織がどこに位置するかを知っており、かつ(おそらくは、MRI又はIVUS、VH又はその他のある種の撮像装置から)その局所解剖学を知っているならば、プラーク又は罹患組織は、身体の外側にある集束超音波処置を使用して、標的とすることができる。
【0060】
図12A及び図12Bは、身体、例えば筋肉72及び骨70を有する脚74内部の動脈50の罹患又はプラーク部分52を処置するための外部超音波を使用する一実施態様を示す。複数の超音波トランスデューサ76が、プラーク又は病変52に向かって超音波エネルギー78を伝送する脚74の周囲に位置決めされる。超音波エネルギー78は、カルシウム沈着を破壊する可能性がある。異なるトランスデューサからの超音波エネルギー波78が結合するので、高い温度を有する点が、プラーク又は病変52を軽度に加熱するために作られる。
【0061】
プラーク又は疾患の位置が撮像装置を使用して知られているならば、制御システム(プロセッサ)が、罹患組織を必要に応じて標的とするために、独立して特定された周波数、位相、電力等によって超音波トランスデューサを離散的かつ選択的に起動するために使用できる。この方法は、完全に非侵襲的であり、かつ伝統的な血管形成よりも潜在的に大いに速いという利点を有する。
【0062】
超音波の計算例
【0063】
処置の最小の望ましい表面深度及び貫通深度に関する計算、及び周波数に対する関係を、以下に論じる。超音波トランスデューサが、いかにして処置カテーテルの周囲に、例えばバルーン上に配置できるかに関する、ある種の推測をすると、適切な波長、及びそれ故に集束波によって超音波カテーテルを実施する際に有用な周波数を推定することが可能である。
【0064】
波は、最大に有効である(ホットスポットを作る)ためには、建設的に干渉せねばならない。超音波音は、異なる媒体を通して異なる速度で進む。これらの計算のために、我々は、おおよそ1500m/sの、塩水を通してほぼ同じ速度で組織を通る音の進行を推測する。
【0065】
図13Aは、「s」未満の波長を有する距離「s」によって分離された2つの点源の近似を示す。波が交差する源Pの間の表面にエネルギー及び最大加熱の焦点があるので、これは、特に有用な実施ではない。トランスデューサが並置されるいかなる器官又は身体管腔でも、その表面下に建設的干渉を作ることを可能にする波長を選択することは、更に有用である。図13Bは、0.2mmの最小間隔から2.0mmの最大間隔まで源間の間隔による、管腔壁への0.1mmの最小深度dmin及び5mmの最大深度dmaxで加熱するための所望の処置を示す。一組の波長範囲は、式
【0066】
【数1】
【0067】
を使用して計算できる。
【0068】
図14Aは、0.2mmの間隔Smin及び0.1mmの深度dminを有する最小形状を示し、波長λminは、次のように計算できる。
【0069】
【数2】
【0070】
図14Bは、2.0mmの間隔Smax及び5.0mmの深度dmaxを有する最大形状を示し、波長λmaxは、次のように計算できる。
【0071】
【数3】
【0072】
計算は、動脈内でバルーンに取り付けられたトランスデューサから動脈疾患を処置するこの例に有用な適切な周波数範囲が、ほぼ150kHz〜5MHzであることを示唆している。集束超音波アプローチ、かつ更に具体的にはバイポーラの、2つのトランスデューサ実装を使用するこの周波数範囲は、適切である。浅い深度又は深い深度で標的組織を有する他の実施態様において、周波数は、1kHzから20MHzに及び得る。
【0073】
レーザベースの処置
【0074】
図15は、レーザエネルギーを使用して、身体組織を穏やかに加熱するように設計されたレーザベースのカテーテルシステム100の一実施態様を示す。適切なシステムは、全開示が参照によって本明細書に組み込まれる、2005年5月3日に出願され、「Imaging And Eccentric Atherosclerotic Material Laser Remodeling And/Or Ablation Catheter」と題した米国特許出願第2005/0251116号に開示される。
【0075】
カテーテルシステム100は、近位端114と遠位端116とを有しそれらの間に軸15を持つカテーテル112を含む。近位端114に隣接するハウジング120は、カテーテルを加熱レーザ122及び分析器124に結合し、分析器は、多くの場合光コヒーレンストモグラフィーシステムを含む。任意にディスプレイ126は、血管内光コヒーレンストモグラフィー(又はその他の)画像を示すことができ、かつ画像誘導手法において外科医が使用できる。駆動装置130は、周囲のカテーテルスリーブに関して少なくとも1つの撮像部品の走査を実行でき、走査は、任意に回転走査、ヘリカル走査、軸方向走査等を含む。
【0076】
処置用のディスプレイ上の組織を識別する入力装置及びカテーテル112からの撮像光信号を解釈するプロセッサのような追加のシステム部品は、多くの場合レーザ又は撮像システムに組み込まれるか、又は独立型部品として与えられることができる。分析器124は、任意にレーザ122、駆動装置130、ディスプレイ126等を制御するハードウェア及び/又はソフトウェアを含む。広範囲のデータ処理及び制御アーキテクチャを実装でき、ハウジング120、駆動装置130、レーザ122、分析器124及び/又はディスプレイ126が、任意に1つ以上の構造に統合されるか、多数の種々のハウジング内に分離される等である。本明細書に記載された方法のステップの幾つか又は全部を実施するプログラム命令を有する機械読み取り可能コードは、磁気記録媒体、光記録媒体、ランダムアクセスメモリ、読出し専用メモリ、又は不揮発性メモリのようなメモリ等を含むことができる有形媒体128に具体化できる。あるいは、かかるコードは、イーサネット、インターネット、無線ネットワーク等のような通信リンクを通して伝送できる。
【0077】
カテーテル112は、多くの場合紫外線から赤外線に及ぶ種々の波長のいずれかのレーザエネルギーを使用して、身体組織を穏やかに加熱する。このエネルギーは、カテーテル112の光ファイバー光学導管によってレーザ122からプラーク又は病変に送達できる。レーザ122は、紫外線光を使用するエキシマレーザを含むことができるか、又は任意に電気的に励起されたキセノン及び塩化物ガスを使用できる。レーザ122は、連続波、又はパルスレーザであり得る。連続波レーザは、多くの場合深い熱的貫通をもたらし、かつエネルギー次第で、可能な炭化及び浅いクレータをもたらすことがある。パルスレーザは、パルス間の熱緩和を可能にする十分な時間を提供することによって、周囲組織への不慮の熱伝導を減少させることができる。
【0078】
図16及び図17A〜図17Dを参照すると、カテーテル112は、光エネルギーを動脈壁に所与の角度で向けるために、(時に「光プローブ」と称される)1つ以上の回転可能な光学導管の1つ以上の束を一般的に使用する。光学導管は、1つ以上の単一モード光ファイバを含むことができ、かつスリーブカテーテル又はガイドワイヤ内部に収容できる。光学導管は、少なくとも部分的に光路を画定でき、かつ各光路はまた、レンズ132及び折り畳み鏡134によって画定され得る。光学導管は、光エネルギーを伝達するために使用できる。同じ光学導管又は光学導管の束136が、撮像用光エネルギー、例えば撮像光138、及びアテローム硬化性プラークを加熱する光エネルギー、例えばリモデリング光140を伝達するために使用できる。光学導管136は、スリーブカテーテル又はガイドワイヤ142内部に収容できる。
【0079】
光学導管136は、スリーブカテーテル142内部で回転する。撮像光138は、光学導管を通り、かつ例えばOCTによる身体管腔の血管内画像を提供するために、透明な円筒形窓142を通して半径方向に通過する。画像は、アテローム硬化性プラークを識別し、かつ局在化するコンピュータによって処理される。撮像からの情報に基づき、コンピュータは、次に光がプラーク146を穏やかに加熱して動脈の健常領域148に損傷を与えないように、加熱光140をいつ点火するかを決定する。このことは、回転可能な光学導管がプラークを向く時のプラークに対するパルス光140によって行うことができる。撮像及び加熱光は、その後に使用できる。
【0080】
本明細書に記載された装置、システム及び方法の実施態様は、アテローム硬化性物質を穏やかに加熱するために、エネルギーを調整又は調節できる。周波数、電力、規模、送達時間、送達位置及び/若しくはパターン、又はその組み合わせを含むエネルギー特性は、特定の患者の診断又は処置の前に予め決定でき、エネルギー特性は、例えば開ループ線量測定技術を用いてフィードバックなしに伝送される。かかる所定の特性調節は、アテローム硬化性物質の事前の処置、事前の臨床試験、及び/又は他の開発作業に基づくことができる。幾つかの実施態様は、原位置フィードバックに基づき、特定の患者に向けられたエネルギーを調節でき、かつ多くの実施態様は、幾つかの所定の特性を、フィードバック制御される他のものと共に用いることができる。
【0081】
代表的な実施態様が、少々詳しく、例として、かつ理解を明確にするために記載されたが、当業者は、種々の修正、適合及び変更が用いられることを認識するであろう。それ故に、本発明の範囲は、専ら請求項によって制限されるべきである。
【符号の説明】
【0082】
10…カテーテルシステム、12…バルーンカテーテル、14…カテーテル本体、15…軸、16…近位端、18…遠位端、20…バルーン、34…トランスデューサ又はアンテナ、42…電源、76…超音波トランスデューサ、100…カテーテルシステム、112…カテーテル、114…近位端、116…遠位端、122…レーザ、124…分析器、142…窓。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管腔の周囲に位置した身体組織に対して望ましい温度効果を誘発するシステムであって、
近位端と遠位端を有しそれらの間に軸を持つ細長いカテーテルであって、エネルギー伝送のためのエネルギー送達部を有するカテーテルと、
前記エネルギー送達部に近接した前記管腔内の前記身体組織を特徴付けるように構成された組織分析器と、
組織処置エネルギーを伝送する前記エネルギー送達部に結合されたエネルギー源であって、前記エネルギーが、非RFエネルギーであるエネルギー源と、
前記組織分析器及びエネルギー源に結合されたプロセッサであって、切除せずに前記エネルギー送達部により前記身体組織を軽度に加熱するように、前記特徴付けされた身体組織のために適した処置エネルギーを決定するように構成されたプロセッサと
を含むシステム。
【請求項2】
前記エネルギー源が、レーザエネルギー源を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記エネルギー送達部が、前記カテーテルの前記近位端と、前記レーザエネルギー源から前記身体組織にレーザエネルギーを伝送するための少なくとも1つの半径方向に配向した窓との間に伸長する少なくとも1つの光学導管に結合された少なくとも1つの半径方向に配向した窓を含む請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記エネルギー源が、超音波エネルギー源である請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記エネルギー送達部が、前記身体組織に超音波エネルギーを送達するように構成された少なくとも1つの超音波トランスデューサを含む請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記エネルギーの周波数が、1kHz〜20MHzである請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記エネルギー源が、マイクロ波エネルギー源である請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記エネルギー送達部が、前記身体組織にマイクロ波エネルギーを送達するように構成された少なくとも1つのマイクロ波アンテナを含む請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記プロセッサが、異なる特徴付けされた物質を軽度に加熱するために適した所定の処置エネルギー特性を有する請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記プロセッサが、前記身体組織の加熱中に前記組織分析器からのフィードバックに応答して前記処置エネルギーを調整するように構成される請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記組織分析器が、前記カテーテルの前記近位端と、少なくとも1つの半径方向に配向した窓との間に伸長する少なくとも1つの光学導管に結合された光コヒーレンストモグラファを含み、前記トモグラファは、前記身体組織を特徴付けるように前記身体組織からの撮像光から画像信号を発生させ、前記撮像光は、少なくとも1つの前記窓を通って伝送される請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
身体管腔内の身体組織に対して望ましい温度効果を誘発する方法であって、
カテーテルのエネルギー送達部を、加熱する前記組織に隣接した前記管腔内に位置決めすることと、
組織分析器を使用して、前記エネルギー送達部に近接した前記管腔内の組織を特徴付けることと、
前記組織分析器に結合されたプロセッサを使用して、前記特徴付けされた組織のために適した処置エネルギーを決定することと、
前記プロセッサに結合されたエネルギー源からの適切な処置エネルギーにより前記エネルギー送達部にエネルギーを与え、前記エネルギーが、非RFエネルギーであることと、
前記組織への過度の熱損傷によって引き起こされる長期閉塞性応答を誘発せずに、適切な処置エネルギーにより、切除せずに前記組織を穏やかに加熱することとを含む方法。
【請求項13】
前記エネルギー源が、レーザエネルギー源を含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記エネルギー送達部が、前記カテーテルの前記近位端と、前記レーザエネルギー源から前記組織にレーザエネルギーを伝送するための少なくとも1つの半径方向に配向した窓との間に伸長する少なくとも1つの光学導管に結合された少なくとも1つの半径方向に配向した窓を含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記エネルギー源が、超音波エネルギー源を含む請求項12に記載の方法。
【請求項16】
エネルギー送達部が、前記身体組織に超音波エネルギーを送達するように構成された少なくとも1つの超音波トランスデューサを含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記エネルギーの周波数が、1kHz〜20MHzである請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記エネルギー源が、マイクロ波エネルギー源を含む請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記エネルギー送達部が、前記身体組織にマイクロ波エネルギーを送達するように構成された少なくとも1つのマイクロ波アンテナを含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記組織の加熱が、45〜約99℃である請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記組織への平均エネルギー送達速度が、前記組織によるエネルギー散逸速度と同じ規模にある請求項12に記載の方法。
【請求項22】
健常組織と、罹患組織との両方を有する身体組織に対して望ましい温度効果を誘発するシステムであって、前記身体組織が、管腔の周囲に配置され、
エネルギー伝送のためのエネルギー送達部を有する細長いカテーテルと、
組織処置エネルギーを伝送する前記エネルギー送達部に結合されたエネルギー源であって、前記エネルギーが、非RFエネルギーであるエネルギー源と、
前記組織分析器及びエネルギー源に結合されたプロセッサであって、長期閉塞性応答を誘発するような前記健常組織への過度の熱損傷を引き起こすことなく、罹患組織を有効に変えるために十分な温度に、切除せずに前記身体組織を軽度に加熱するように、適切な処置エネルギーを決定するように構成されたプロセッサと
を含むシステム。
【請求項23】
前記エネルギー源が、レーザエネルギー源を含み、かつ前記エネルギー送達部が、前記カテーテルの近位端と、前記レーザエネルギー源から前記組織処置領域にレーザエネルギーを伝送するための少なくとも1つの半径方向に配向した窓との間に伸長する少なくとも1つの光学導管に結合された少なくとも1つの半径方向に配向した窓を含む
請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記エネルギー源が、超音波エネルギー源であり、かつ前記エネルギー送達部が、前記組織処置領域に超音波エネルギーを送達するように構成された少なくとも1つの超音波トランスデューサを含む請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
前記エネルギー源が、マイクロ波エネルギー源であり、かつ前記エネルギー送達部が、前記組織処置領域にマイクロ波エネルギーを送達するように構成された複数のマイクロ波アンテナを含む請求項22に記載のシステム。
【請求項26】
身体管腔内の組織処置領域で組織に対して望ましい温度効果を非侵襲的に誘発するシステムであって、
集束超音波エネルギーを組織処置領域に送達するように構成された集束超音波エネルギー装置と、
前記組織処置領域の組織を特徴付けるように構成された組織分析器と、
前記組織分析器及び集束超音波エネルギー装置に結合されたプロセッサであって、前記組織への過度の熱損傷によって引き起こされる長期閉塞性応答を誘発せずに、切除せずに適切な集束超音波エネルギーにより組織を穏やかに加熱するように、前記特徴付けされた組織に適切な集束超音波パラメータを決定するように構成されたプロセッサと
を含むシステム。
【請求項27】
前記組織処置領域への平均集束超音波エネルギー送達速度が、前記組織処置領域によるエネルギー散逸速度と同じ規模にある請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記組織処置領域が、健常組織と、罹患組織との両方を含み、かつ前記適切な集束超音波エネルギーが、前記健常組織への過度の熱損傷を引き起こすことなく、前記罹患組織を有効に変えるために十分な温度に罹患を加熱する請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
前記組織処置領域が、健常組織と、罹患組織との両方を含み、かつ前記適切な集束超音波エネルギーが、十分に低いので、熱が罹患組織に蓄積されることを可能にしながら、熱伝導、熱容量、生得的血液灌流、及び十分に灌流された組織からの距離を含む組織性質の相違によって、熱が、前記健常組織への重大な熱損傷を回避する速度で、前記健常組織から奪われることになる請求項26に記載のシステム。
【請求項30】
前記組織分析器が、磁気共鳴撮像診断(MRI)装置である請求項26に記載のシステム。
【請求項31】
前記プロセッサが、前記組織の加熱中に前記組織分析器からのフィードバックに応答して前記集束超音波エネルギーを調整するように構成される請求項26に記載のシステム。
【請求項32】
前記プロセッサが、異なる特徴付けされた組織を穏やかに加熱するために適した所定の集束超音波エネルギー特性を有する請求項26に記載のシステム。
【請求項33】
身体管腔内の組織処置領域で組織に対して望ましい温度効果を非侵襲的に誘発する方法であって、
集束超音波エネルギーを組織処置領域に送達するように構成された集束超音波エネルギー装置を位置決めすることと、
組織分析器を使用して、エネルギー送達部に近接した前記管腔内の前記組織を特徴付けることと、
前記組織分析器及び前記集束超音波エネルギー装置に結合されたプロセッサを使用して、前記特徴付けされた組織のために適した処置エネルギーを決定することと、
適切な処置エネルギーにより前記集束超音波エネルギー装置にエネルギーを与えることと、
前記組織への過度の熱損傷によって引き起こされる長期閉塞性応答を誘発せずに、切除せずに前記適切な処置エネルギーにより前記組織を穏やかに加熱することと
を含む方法。
【請求項34】
前記組織処置領域への平均集束超音波エネルギー送達速度が、前記組織処置領域によるエネルギー散逸速度と同じ規模にある請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記組織処置領域が、健常組織と、罹患組織との両方を含み、かつ前記適切な集束超音波エネルギーが、前記健常組織への過度の熱損傷を引き起こすことなく、前記罹患組織を有効に変えるために十分な温度に前記罹患組織を加熱する請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記組織処置領域が、健常組織と、罹患組織との両方を含み、かつ前記適切な集束超音波エネルギーが十分に低いので、熱が、罹患組織に蓄積されることを可能にしながら、熱伝導、熱容量、生得的血液灌流、及び十分に灌流された組織からの距離を含む組織性質の相違によって、前記健常組織への重大な熱損傷を回避する速度で、前記健常組織から奪われることになる請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記組織分析器が、磁気共鳴撮像診断(MRI)装置である請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記プロセッサが、前記組織の加熱中に前記組織分析器からのフィードバックに応答して前記集束超音波エネルギーを調整するように構成される請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記プロセッサが、異なる特徴付けされた組織を軽度に加熱するために適した所定の集束超音波エネルギー特性を有する請求項33に記載の方法。
【請求項1】
管腔の周囲に位置した身体組織に対して望ましい温度効果を誘発するシステムであって、
近位端と遠位端を有しそれらの間に軸を持つ細長いカテーテルであって、エネルギー伝送のためのエネルギー送達部を有するカテーテルと、
前記エネルギー送達部に近接した前記管腔内の前記身体組織を特徴付けるように構成された組織分析器と、
組織処置エネルギーを伝送する前記エネルギー送達部に結合されたエネルギー源であって、前記エネルギーが、非RFエネルギーであるエネルギー源と、
前記組織分析器及びエネルギー源に結合されたプロセッサであって、切除せずに前記エネルギー送達部により前記身体組織を軽度に加熱するように、前記特徴付けされた身体組織のために適した処置エネルギーを決定するように構成されたプロセッサと
を含むシステム。
【請求項2】
前記エネルギー源が、レーザエネルギー源を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記エネルギー送達部が、前記カテーテルの前記近位端と、前記レーザエネルギー源から前記身体組織にレーザエネルギーを伝送するための少なくとも1つの半径方向に配向した窓との間に伸長する少なくとも1つの光学導管に結合された少なくとも1つの半径方向に配向した窓を含む請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記エネルギー源が、超音波エネルギー源である請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記エネルギー送達部が、前記身体組織に超音波エネルギーを送達するように構成された少なくとも1つの超音波トランスデューサを含む請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記エネルギーの周波数が、1kHz〜20MHzである請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記エネルギー源が、マイクロ波エネルギー源である請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記エネルギー送達部が、前記身体組織にマイクロ波エネルギーを送達するように構成された少なくとも1つのマイクロ波アンテナを含む請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記プロセッサが、異なる特徴付けされた物質を軽度に加熱するために適した所定の処置エネルギー特性を有する請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記プロセッサが、前記身体組織の加熱中に前記組織分析器からのフィードバックに応答して前記処置エネルギーを調整するように構成される請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記組織分析器が、前記カテーテルの前記近位端と、少なくとも1つの半径方向に配向した窓との間に伸長する少なくとも1つの光学導管に結合された光コヒーレンストモグラファを含み、前記トモグラファは、前記身体組織を特徴付けるように前記身体組織からの撮像光から画像信号を発生させ、前記撮像光は、少なくとも1つの前記窓を通って伝送される請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
身体管腔内の身体組織に対して望ましい温度効果を誘発する方法であって、
カテーテルのエネルギー送達部を、加熱する前記組織に隣接した前記管腔内に位置決めすることと、
組織分析器を使用して、前記エネルギー送達部に近接した前記管腔内の組織を特徴付けることと、
前記組織分析器に結合されたプロセッサを使用して、前記特徴付けされた組織のために適した処置エネルギーを決定することと、
前記プロセッサに結合されたエネルギー源からの適切な処置エネルギーにより前記エネルギー送達部にエネルギーを与え、前記エネルギーが、非RFエネルギーであることと、
前記組織への過度の熱損傷によって引き起こされる長期閉塞性応答を誘発せずに、適切な処置エネルギーにより、切除せずに前記組織を穏やかに加熱することとを含む方法。
【請求項13】
前記エネルギー源が、レーザエネルギー源を含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記エネルギー送達部が、前記カテーテルの前記近位端と、前記レーザエネルギー源から前記組織にレーザエネルギーを伝送するための少なくとも1つの半径方向に配向した窓との間に伸長する少なくとも1つの光学導管に結合された少なくとも1つの半径方向に配向した窓を含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記エネルギー源が、超音波エネルギー源を含む請求項12に記載の方法。
【請求項16】
エネルギー送達部が、前記身体組織に超音波エネルギーを送達するように構成された少なくとも1つの超音波トランスデューサを含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記エネルギーの周波数が、1kHz〜20MHzである請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記エネルギー源が、マイクロ波エネルギー源を含む請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記エネルギー送達部が、前記身体組織にマイクロ波エネルギーを送達するように構成された少なくとも1つのマイクロ波アンテナを含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記組織の加熱が、45〜約99℃である請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記組織への平均エネルギー送達速度が、前記組織によるエネルギー散逸速度と同じ規模にある請求項12に記載の方法。
【請求項22】
健常組織と、罹患組織との両方を有する身体組織に対して望ましい温度効果を誘発するシステムであって、前記身体組織が、管腔の周囲に配置され、
エネルギー伝送のためのエネルギー送達部を有する細長いカテーテルと、
組織処置エネルギーを伝送する前記エネルギー送達部に結合されたエネルギー源であって、前記エネルギーが、非RFエネルギーであるエネルギー源と、
前記組織分析器及びエネルギー源に結合されたプロセッサであって、長期閉塞性応答を誘発するような前記健常組織への過度の熱損傷を引き起こすことなく、罹患組織を有効に変えるために十分な温度に、切除せずに前記身体組織を軽度に加熱するように、適切な処置エネルギーを決定するように構成されたプロセッサと
を含むシステム。
【請求項23】
前記エネルギー源が、レーザエネルギー源を含み、かつ前記エネルギー送達部が、前記カテーテルの近位端と、前記レーザエネルギー源から前記組織処置領域にレーザエネルギーを伝送するための少なくとも1つの半径方向に配向した窓との間に伸長する少なくとも1つの光学導管に結合された少なくとも1つの半径方向に配向した窓を含む
請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記エネルギー源が、超音波エネルギー源であり、かつ前記エネルギー送達部が、前記組織処置領域に超音波エネルギーを送達するように構成された少なくとも1つの超音波トランスデューサを含む請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
前記エネルギー源が、マイクロ波エネルギー源であり、かつ前記エネルギー送達部が、前記組織処置領域にマイクロ波エネルギーを送達するように構成された複数のマイクロ波アンテナを含む請求項22に記載のシステム。
【請求項26】
身体管腔内の組織処置領域で組織に対して望ましい温度効果を非侵襲的に誘発するシステムであって、
集束超音波エネルギーを組織処置領域に送達するように構成された集束超音波エネルギー装置と、
前記組織処置領域の組織を特徴付けるように構成された組織分析器と、
前記組織分析器及び集束超音波エネルギー装置に結合されたプロセッサであって、前記組織への過度の熱損傷によって引き起こされる長期閉塞性応答を誘発せずに、切除せずに適切な集束超音波エネルギーにより組織を穏やかに加熱するように、前記特徴付けされた組織に適切な集束超音波パラメータを決定するように構成されたプロセッサと
を含むシステム。
【請求項27】
前記組織処置領域への平均集束超音波エネルギー送達速度が、前記組織処置領域によるエネルギー散逸速度と同じ規模にある請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記組織処置領域が、健常組織と、罹患組織との両方を含み、かつ前記適切な集束超音波エネルギーが、前記健常組織への過度の熱損傷を引き起こすことなく、前記罹患組織を有効に変えるために十分な温度に罹患を加熱する請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
前記組織処置領域が、健常組織と、罹患組織との両方を含み、かつ前記適切な集束超音波エネルギーが、十分に低いので、熱が罹患組織に蓄積されることを可能にしながら、熱伝導、熱容量、生得的血液灌流、及び十分に灌流された組織からの距離を含む組織性質の相違によって、熱が、前記健常組織への重大な熱損傷を回避する速度で、前記健常組織から奪われることになる請求項26に記載のシステム。
【請求項30】
前記組織分析器が、磁気共鳴撮像診断(MRI)装置である請求項26に記載のシステム。
【請求項31】
前記プロセッサが、前記組織の加熱中に前記組織分析器からのフィードバックに応答して前記集束超音波エネルギーを調整するように構成される請求項26に記載のシステム。
【請求項32】
前記プロセッサが、異なる特徴付けされた組織を穏やかに加熱するために適した所定の集束超音波エネルギー特性を有する請求項26に記載のシステム。
【請求項33】
身体管腔内の組織処置領域で組織に対して望ましい温度効果を非侵襲的に誘発する方法であって、
集束超音波エネルギーを組織処置領域に送達するように構成された集束超音波エネルギー装置を位置決めすることと、
組織分析器を使用して、エネルギー送達部に近接した前記管腔内の前記組織を特徴付けることと、
前記組織分析器及び前記集束超音波エネルギー装置に結合されたプロセッサを使用して、前記特徴付けされた組織のために適した処置エネルギーを決定することと、
適切な処置エネルギーにより前記集束超音波エネルギー装置にエネルギーを与えることと、
前記組織への過度の熱損傷によって引き起こされる長期閉塞性応答を誘発せずに、切除せずに前記適切な処置エネルギーにより前記組織を穏やかに加熱することと
を含む方法。
【請求項34】
前記組織処置領域への平均集束超音波エネルギー送達速度が、前記組織処置領域によるエネルギー散逸速度と同じ規模にある請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記組織処置領域が、健常組織と、罹患組織との両方を含み、かつ前記適切な集束超音波エネルギーが、前記健常組織への過度の熱損傷を引き起こすことなく、前記罹患組織を有効に変えるために十分な温度に前記罹患組織を加熱する請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記組織処置領域が、健常組織と、罹患組織との両方を含み、かつ前記適切な集束超音波エネルギーが十分に低いので、熱が、罹患組織に蓄積されることを可能にしながら、熱伝導、熱容量、生得的血液灌流、及び十分に灌流された組織からの距離を含む組織性質の相違によって、前記健常組織への重大な熱損傷を回避する速度で、前記健常組織から奪われることになる請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記組織分析器が、磁気共鳴撮像診断(MRI)装置である請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記プロセッサが、前記組織の加熱中に前記組織分析器からのフィードバックに応答して前記集束超音波エネルギーを調整するように構成される請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記プロセッサが、異なる特徴付けされた組織を軽度に加熱するために適した所定の集束超音波エネルギー特性を有する請求項33に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図17D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図17D】
【公表番号】特表2012−502772(P2012−502772A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−528045(P2011−528045)
【出願日】平成21年9月21日(2009.9.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/057728
【国際公開番号】WO2010/033940
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(506085228)ミノウ・メディカル・インコーポレーテッド (7)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月21日(2009.9.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/057728
【国際公開番号】WO2010/033940
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(506085228)ミノウ・メディカル・インコーポレーテッド (7)
【Fターム(参考)】
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