説明

任意な種類の繊維からなる略均一層の流体力学的固定方法および該方法を実施する装置

【課題】
周囲が完全に固定され、しかし中央部分がふっくらとしている有限の製品をフェルトから得ることにある。
【解決手段】
この目的は、結合剤を用いない流体力学的固定方法、すなわち、梳毛機のようなフェルト敷詰装置から送り出されてくるフェルトを少なくとも表面にまず固定し、この仮固定済みの取り扱い可能なフェルトを、間隔を持った縦方向ストライプおよびこれと重なって同様に間隔を持った横方向ストライプのみをそれぞれ複数列のウォータージェットによって完全に厚さ方向全体にわたって、連続した二段階の流体力学的固定工程により固定する方法により達成される。なお処理後フェルトを完全に固定されている部分で切断すれば、目的の製品が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、任意な種類の繊維からなる略均一層の流体力学的固定方法および該方法を実施する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
国際特許出願公開第 02/052083号明細書(特許文献1)により、原産物や中間産物など三次元的な有限な産物を2枚の不織布の間に保管する方法、すなわち流体力学的ニードリングによって重ね合わされている不織布を、繊維をフェルティングすることにより結合し、固定することにより産物を梱包する方法が知られている。梱包は、各々断続的に制御されるノズルによってもノズルバーから噴射される連続的な、しかし周囲を回転するステンシルによって部分的にしか作用しないウォーター・カーテンよっても実施できる。また、ノズルバーに部分的にのみ開口しているノズルストライプを取り付け、不織布にパターンを与えることも可能である。
【特許文献1】国際特許出願公開第 02/052083号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、場合によっては多種類の繊維の混合物からなるあるいは、木綿など単一繊維からなる均一な不織布(フェルト)において、中央部分に体積を持たせたまま(ふっくらとさせたまま)周囲を完全に固定できる固定方法を見つけることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
任意な種類の、特に天然繊維及び合成繊維或いはそのいずれか一方の繊維から成る有限の或いは無限の略均一な層、すなわちベルト状フェルトの、少なくとも2つのノズルバーから連続的に噴出される液体流により流体力学的に固定する方法であって、その時に2つのノズルバーに作業幅にわたって延長された少なくとも2つのノズルストライプの列状に設けられた微細なノズル開口部から液体がノズルバーの前を移動して行くフェルトに向かって高圧で噴出される方法から出発して、この提供された課題は、梳毛機のようなフェルト敷詰装置から送り出されてくるフェルトがまず最初に全面的に少なくとも表面に固定され、この固定済みの、それにより新たに設置できる状態になったフェルトが連続した2段階式流体力学的固定工程にて、間隔を置いた縦方向ストライプおよびこれと重なって同様に間隔を置いた横方向ストライプに沿ってのみ、複数列の噴射水によって完全に且つ通過して固定されることによって解決される。
【発明の効果】
【0005】
ニードリングや水噴射式ニードリングなどによる全面に渡る仮固定は、続く、ここで運搬可能な状態に加工済みの、フェルトの巻き取り作業を含め、他の工場でも行うことができるが、完成品まで連続して各機器のスピードを同調した1つの装置で加工する方が有利である。
【0006】
ここでは、フェルトの完全な固定は、特定の部位にのみ行われる。これらの部位は、縦ならびに横方向の間隔を置いたストライプに沿っている。後にフェルトをこのストライプに沿って、切断・分離すると、連続的に、加工可能な、有限の周囲全体が圧縮され、しかし中央部は、仮固定で達成された程度のふくらみを持ったフェルト製品が得られる。よって、ふっくらとした有限なフェルトパーツを更に加工する際のほつれを防止できる。
【0007】
フェルト敷詰装置は、完全固定手段として、内部にノズルバーを備えた、横方向用のスリットが間隔を置いて該ステンシルドラム或いは該ステンシルエンドレスバンドの縦方向に沿って設けられた、ステンシルドラム或いはステンシルエンドレスバンド、並びにフェルトに対面するように縦方向用の間隔を持って配置されている穿孔列を有するノズルストライプを装備した更なるノズルバーを備えている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面に基づいて本発明の一例を説明する。
【実施例】
【0009】
梳毛機のようなフェルト敷詰装置から送り出されてくる、様々な繊維から成ってもよい、ただし好ましくは、木綿製であるフェルト1は、エンドレスベルト2にしかれ、該フェルトは、図1に概念的に示した固定装置上を運搬されて行く。まず、固定されていない、このままでは加工不可能な状態のフェルトの全面が、体積が、減るものの最大限維持される程度に仮固定処理される。このために、例えば符号3で示されているユニットにより、縫い作用技術を使用すべきである。これには、全面に渡る水噴射式ニードリングも採用することができるが、この場合ニードリング後のふくらみ(体積)は、最良とは言えない。機械の処理速度によっては、加工可能となったフェルト1'を一度巻き取って、改めて次の工程に具す方が有利な場合もある。
【0010】
完全固定は、水噴射式ニードリングによって行われるが、この処理は、フェルト1'の一部分にのみ施される。この際例えば、内部にウォーターバー(ノズルバー)5をドラム縦方向に備えたステンシルドラム4が使用できる。ウォーターバー5からステンシルに向かって噴射される水噴射(ウォータージェット)6は、所定のスリット7部分からのみ外部に至り、フェルト1'にあたるため、所定のスリット7の領域のみが完全に固定される。ステンシルドラム4の縦方向にはスリット7が並んでいるため、全体としてフェルト1に横ストライプ9ができる。なおスリット状の開口部7は、狭いウエブ8でのみ分離されている。例えば、スリットの幅Aを95mm、スリット間7のウエブ8の幅Bを5mmとすることができる。
【0011】
ドラム4の代わりにエンドレスベルトであってもよいステンシルによるニードリングで横ストライプ9を作った後、この例では、縦ストライプを作る。ここでは、通常のウォーターバー10が使用される。ただし、ウォータージェット6'を噴射するノズルストライプは、その長さ方向全体にではなく、図2に示す如く、フェルト面に縦ストライプ11ができるように、部分的にのみ穿孔を有している。縦ストライプ11は、ステンシル4のウエブ8部分にあたる横ストライプ9の途切れ目に合うようにフェルト面上に配置されている。フェルト1の縦ストライプ11をステンシルによる加工時に固定されなかった部分に作ることは理にかなっている。縦ストライプの幅Cは、ウエブ8を原因とする途切れ目の幅Bよりも幅広くてよい。よって、上記例におけるステンシルの構成を考慮した場合、ウエブの幅B=5mmに対し、縦ストライプの幅Cは10mmとすることができる。結果として、ウォーターバー10による第2ニードリング後、ウォータージェットがあたらなかった領域12の周りに碁盤模様の固定部が出来上がる。
【0012】
これでフェルトを寸法に合わせて縦横に、すなわち完全に固定されているストライプ9および11に沿った部分で切断することが可能になる。その結果、図4に示すような、周囲が完全に固定され、しかし中央部分12がふっくらとしている四角形のフェルト製品が出来上がる。このような製品は、例えば保健衛生の工業分野で必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】フェルトの部分的固定に用いる装置の側面図を示す。
【図2】双方の完全固定用水噴射式ニードリング装置を示す。
【図3】水噴射式ニードリング加工によりストライプが施されたフェルトの平面図を示す。
【図4】フェルトを切断して得られた固定された周囲を有するふっくらとしたフェルト製品の平面図を示す。
【符号の説明】
【0014】
1.....フェルト
2.....エンドレスベルト
3.....ユニット
4.....ステンシルドラム
5.....ウォーターバー(ノズルバー)
6.....水噴射
7.....スリット
8.....狭いウエブ
9.....横ストライプ
10.....ウォーターバー
11.....縦ストライプ
12.....中央部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意な種類の、特に天然繊維及び合成繊維或いはそのいずれか一方の繊維から成る有限の或いは無限の略均一な層、すなわちベルト状フェルト(1)の、少なくとも2つのノズルバー(5, 10)から連続的に噴出される液体流により流体力学的に固定する方法であって、その時に2つのノズルバー(5, 10)に作業幅にわたって配置された少なくとも2つのノズルストライプの列状に設けられた微細なノズル開口部から液体がノズルバー(5, 10)の前を移動して行くフェルト(1)に向かって高圧で噴出される方法において、
梳毛機のようなフェルト敷詰装置から送り出されてくるフェルト(1)が全面的に少なくとも表面にまず固定されて、この固定された、それにより新たに設置できるフェルト(1')が連続した2段階式流体力学的固定工程にて、間隔を置いた縦方向ストライプ(11)およびこれと重なって同様に間隔を置いた横方向ストライプ(9)に沿ってのみ、複数列の噴射水によって完全に且つ通過して固定されことを特徴とする流体力学的固定方法。
【請求項2】
横方向ストライプ(9)と縦方向ストライプ(11)が流体力学的にニードリングされることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
ます縦方向ストライプ(11)が、続いて横方向ストライプ(9)が流体力学的にニードリングされることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
全面的仮固定も同様に流体力学的ニードリングよって実施されることを特徴とする請求項2あるいは3に記載の方法。
【請求項5】
全面的仮固定が、ニードリング(3)よって実施されることを特徴とする請求項2あるいは3に記載の方法。
【請求項6】
フェルトの仮固定する全面的処理が、ストライプ状のニードリングと共にほぼ連続的に直接に相前後して実施されることを特徴とする請求項4あるいは5に記載の方法。
【請求項7】
縦方向ストライプ(11)は、送られてくるフェルト(1')に沿って連続的に、一方、横方向ストライプ(9)は、断続的にニードリングされることを特徴とする先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
少なくともフェルト敷詰装置から送り出されてくるフェルト(1)を運搬するエンドレスベルト(2)およびこれに或いはこれに備えられたドラムに取付けられフェルト幅にわたり延長してフェルト(1')に水噴射するノズルバー(5, 10)を装備し、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法を実施する装置において、この固定化装置が、内部にノズルバー(5)を備えた横方向ストライプ(9)用のドラム(4)或いはベルトに沿って間隔を置いたスリット(7)を備えるステンシルドラム(4)或いはステンシルエンドレスバンドと、ノズルストライプが縦方向ストライプ(11)用の間隔を置いて互いに配置された列の穿孔(6')を有して直接にフェルト(1')に付属した別のノズルバー(10)とから成ることを特徴とする装置。
【請求項9】
縦方向ストライプ(11)用ノズルストライプの穿孔が、横方向ストライプ(9)用スリット(7)間のウエブ(8)の位置に合うように配置されていることを特徴とする請求項8記載の装置。
【請求項10】
縦方向ストライプ固定が、少なくとも横方向ストライプ(9)がスリット(7)間のウエブ(8)のため途切れている箇所で実施されることを特徴とする請求項9記載の装置。
【請求項11】
縦方向ストライプ(11)の幅(C)が、ノズル穴用穿孔部の幅(B)に基づいてスリット(7)間のウエブ(8)の幅よりも広いことを特徴とする請求項9或いは10に記載の装置。
【請求項12】
縦方向ストライプ(11)の間隔が例えば90mmでその幅(C)が10mm、一方、スリットの幅(A)が95mm、スリット間のフレームの幅(B)が5mmであることを特徴とする請求項11記載の装置。
【請求項13】
固定されたフェルトから得られる、中央部(12)は、ふっくらと柔らかで、周囲は完全に固定されている四角形の製品であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法で製造されたフェルト製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−506870(P2007−506870A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527390(P2006−527390)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【国際出願番号】PCT/EP2004/052040
【国際公開番号】WO2005/031056
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(505196727)フライスナー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (19)
【Fターム(参考)】