説明

会計管理システム、会計管理方法及び会計管理プログラム

【課題】複数の会計基準に応じて、的確な計算書を作成するための会計管理システム、会計管理方法及び会計管理プログラムを提供する。
【解決手段】会計管理サーバ20の制御部21は、クライアント端末10から取得した検索条件に基づいて、修正対象の元帳情報を検索し、検索結果画面を出力する。そして、検索結果画面において、修正対象として既に確定している元帳情報が選択された場合、制御部21は、クライアント端末10に遡及・組替伝票登録画面を出力する。そして、制御部21は、元帳情報のコピーの登録処理や元帳情報の逆仕訳の登録処理を実行する。計算書作成処理においては、制御部21は、クライアント端末10に計算書出力条件設定画面を出力する。そして、制御部21は、選択された会計基準に基づいて、遡及適用日が遡及基準日以前の第1会計基準の修正情報や組替情報を修正データ記憶部23から抽出し、計算書を作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の会計基準に応じて、的確な計算書を作成するための会計管理システム、会計管理方法及び会計管理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
企業においては、企業活動の成果として会計数値を、所定の期毎に集計し、財務諸表や決算書を作成している。このような財務諸表は、企業状況を的確に判断するための資料であり、各国で定められている会計基準により作成される。このため、企業によっては、複数の会計基準に応じた会計管理を行なわなければならない場合もある。そこで、複数の会計基準に対応して会計管理を行なうシステムも検討されている。
【0003】
例えば、複数の会計処理基準毎に定められた提出資料の作成を要する公益法人において、一系統の勘定科目による仕訳データに基づいて会計処理及び提出資料を作成するための技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。この文献に記載されている公益法人会計処理システムにおいては、統合勘定科目を用いて仕訳され、入力された仕訳データの勘定科目を、統合勘定科目テーブルを基にチェックし、保存メモリに記憶する。次に、総勘定元帳ファイルのほか各種マスターファイル更新等の会計処理を行なう。そして、「会計基準」又は「指導指針」のいずれかに基づく帳表出力指示により指示された会計処理基準に基づく帳表出力用変換テーブルに基づいて保存メモリに保存記憶されている仕訳データ等を集計する。集計が終わると提出書類を印刷出力する。
【0004】
また、複数の会計基準の勘定科目体系が異なる場合でも、1つの会計情報から複数の異なる会計基準ごとの財務書類を作成するための技術が開示されている(例えば、特許文献2を参照。)。この文献に記載されている財務書類作成システムにおいては、財務書類作成のための規則情報として、少なくとも勘定科目コード、仕訳のパターン、総勘定元帳、総勘定元帳集計結果、帳票レイアウトを格納する複数のマスタテーブルと、財務処理の作成処理を行なうアプリケーション管理手段とを備える。各マスタテーブルは、それぞれ会計基準を区別する会計基準区分の項目、および会計基準区分の項目に基づいた1つ以上の会計基準に対応付けられた規則情報を有する。そして、アプリケーション管理手段は、各マスタテーブルの情報に基づいて、財務会計情報を用いて会計基準ごとに仕訳して総勘定元帳マスタに格納する。
【0005】
また、国際会計基準を考慮した計算書を作成する技術も開示されている(例えば、特許文献3を参照。)。この文献に記載されている技術においては、国際会計基準に準拠した直接法キャッシュフロー計算書と、発生主義に基づく損益計算、書貸借対照表等の財務諸表と、消費税計算書とを同時に作成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−342547号公報(第1頁、図1)
【特許文献2】特開2009−15421号公報(第1頁、図1)
【特許文献3】特開2002−175395号公報(第1頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
企業活動や経済の国際化により、改正基準においても国際的統一が望まれている。そして、近年においては、国際会計基準(IFRS:International Financial Reporting St
andards )に合わせて、日本の会計基準も改定が進められている。このため、各企業においても、この国際会計基準に対応した会計管理を行なう必要がある。この場合、従来の会計基準に基づいて仕訳けられていた元帳情報を、新たな会計基準に基づいて組替え直す必要がある。組替対象が多い場合、組替え作業が大きな負担となる。
【0008】
更に、新しい基準を導入する場合においても、例えば、税務処理では各国の国内基準が利用されており、複数の基準に対応して仕訳を行なう必要がある。
【0009】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、複数の会計基準に応じて、的確な計算書を効率的に作成するための会計管理システム、会計管理方法及び会計管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、第1会計基準に基づいて入力された元帳情報を記憶する元帳情報記憶手段と、第2会計基準に対応するための組替情報を記憶する修正情報記憶手段と、入出力手段に接続される制御手段とを備えた会計管理システムであって、前記制御手段が、前記入出力手段から取得した伝票情報に基づいて生成した元帳情報を前記元帳情報記憶手段に登録する手段と、前記入出力手段において指定された元帳情報について、第2会計基準に対応させるための伝票情報に基づいて組替情報を生成し、前記修正情報記憶手段に登録する手段と、前記入出力手段から、第1会計基準に基づく計算書の出力指示を取得した場合には、前記元帳情報記憶手段から取得した元帳情報を用いて計算書を生成し、第2会計基準に基づく計算書の出力指示を取得した場合には、前記元帳情報記憶手段から取得した元帳情報と、前記修正情報記憶手段から取得した組替情報とを合算して計算書を生成し、前記入出力手段に出力する手段とを備えたことを要旨とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の会計管理システムにおいて、前記修正情報記憶手段の組替情報には遡及適用日が記憶されており、前記制御手段が、前記入出力手段から遡及基準日を取得した場合には、前記修正情報記憶手段から、前記遡及基準日以前の遡及適用日が記録された組替情報を抽出して、計算書の生成に用いることを要旨とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の会計管理システムにおいて、前記制御手段が、前記元帳情報について逆仕訳の指示を取得した場合、前記元帳情報の逆仕訳情報を生成して前記修正情報記憶手段に登録するとともに、第2会計基準に基づく組替情報を前記修正情報記憶手段に記録することを要旨とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一つに記載の会計管理システムにおいて、前記制御手段が、前記入出力手段において複数の元帳情報が指定された場合には、前記指定された元帳情報をまとめた組替情報を生成することを要旨とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の会計管理システムにおいて、第1会計基準から第2会計基準への組替が必要な項目についての組替パターンを登録したパターン情報記憶手段を更に備え、前記制御手段が、前記組替パターンを用いて、前記元帳情報記憶手段に記憶された元帳情報を検索し、抽出した元帳情報についての組替提案を、前記入出力手段に出力することを要旨とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の会計管理システムにおいて、前記制御手段が、前記修正情報記憶手段に記憶された組替情報を用いて組替パターンを生成し、前記パターン情報記憶手段に記録することを要旨とする。
【0016】
請求項7に記載の発明は、第1会計基準に基づいて入力された元帳情報を記憶する元帳情報記憶手段と、第2会計基準に対応するための組替情報を記憶する修正情報記憶手段と、入出力手段に接続される制御手段とを備えた会計管理システムを用いて、会計を管理する方法であって、前記制御手段が、前記入出力手段から取得した伝票情報に基づいて生成した元帳情報を前記元帳情報記憶手段に登録する段階と、前記入出力手段において指定された元帳情報について、第2会計基準に対応させるための伝票情報に基づいて組替情報を生成し、前記修正情報記憶手段に登録する段階と、前記入出力手段から、第1会計基準に基づく計算書の出力指示を取得した場合には、前記元帳情報記憶手段から取得した元帳情報を用いて計算書を生成し、第2会計基準に基づく計算書の出力指示を取得した場合には、前記元帳情報記憶手段から取得した元帳情報と、前記修正情報記憶手段から取得した組替情報とを合算して計算書を生成し、前記入出力手段に出力する段階とを実行することを要旨とする。
【0017】
請求項8に記載の発明は、第1会計基準に基づいて入力された元帳情報を記憶する元帳情報記憶手段と、第2会計基準に対応するための組替情報を記憶する修正情報記憶手段と、入出力手段に接続される制御手段とを備えた会計管理システムを用いて、会計を管理するためのプログラムであって、前記制御手段を、前記入出力手段から取得した伝票情報に基づいて生成した元帳情報を元帳情報記憶手段に登録する手段、前記入出力手段において指定された元帳情報について、第2会計基準に対応させるための伝票情報に基づいて組替情報を生成し、前記修正情報記憶手段に登録する手段、前記入出力手段から、第1会計基準に基づく計算書の出力指示を取得した場合には、前記元帳情報記憶手段から取得した元帳情報を用いて計算書を生成し、第2会計基準に基づく計算書の出力指示を取得した場合には、前記元帳情報記憶手段から取得した元帳情報と、前記修正情報記憶手段から取得した組替情報とを合算して計算書を生成し、前記入出力手段に出力する手段として機能させることを要旨とする。
【0018】
(作用)
請求項1、7又は8に記載の発明によれば、制御手段が、入出力手段から取得した伝票情報に基づいて生成した元帳情報を元帳情報記憶手段に登録する。次に、入出力手段において指定された元帳情報について、第2会計基準に対応させるための伝票情報に基づいて組替情報を生成し、修正情報記憶手段に登録する。そして、入出力手段から、第1会計基準に基づく計算書の出力指示を取得した場合には、元帳情報記憶手段から取得した元帳情報を用いて計算書を生成する。一方、第2会計基準に基づく計算書の出力指示を取得した場合には、元帳情報記憶手段から取得した元帳情報と、修正情報記憶手段から取得した組替情報とを合算して計算書を生成し、入出力手段に出力する。これにより、元帳情報と組替情報とを用いて、複数の会計基準に応じた計算書を効率的に作成することができる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、制御手段が、入出力手段から遡及基準日を取得した場合には、修正情報記憶手段から、遡及基準日以前の遡及適用日が記録された組替情報を抽出して、計算書の生成に用いる。この遡及適用日を用いることにより、組替情報の取り込みを調整することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、制御手段が、元帳情報について逆仕訳の指示を取得した場合、元帳情報の逆仕訳情報を生成して修正情報記憶手段に登録するとともに、第2会計基準に基づく組替情報を修正情報記憶手段に記録する。逆仕訳により、第1会計基準で生成された元帳情報を考慮せずに、第2会計基準に基づく組替情報を登録することができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、制御手段が、入出力手段において複数の元帳情報が指定された場合には、指定された元帳情報をまとめた組替情報を生成する。これにより、複
数の元帳情報に対して、一括して組替情報を登録することができる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、制御手段が、組替パターンを用いて、元帳情報記憶手段に記憶された元帳情報を検索し、抽出した元帳情報についての組替提案を、入出力手段に出力する。これにより、会計基準に応じて組替を行なう必要がある元帳情報を効率的に特定することができる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、制御手段が、修正情報記憶手段に記憶された組替情報を用いて組替パターンを生成し、パターン情報記憶手段に記録する。これにより、組替実績に応じて、組替パターンを効率的に生成することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、複数の会計基準に応じて、的確な計算書を効率的に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態のシステム概略図。
【図2】各データ記憶部に記録されたデータの説明図であって、(a)は元帳データ記憶部、(b)は修正データ記憶部に記録されたデータの説明図。
【図3】本実施形態の処理手順の説明図。
【図4】本実施形態の処理手順の説明図。
【図5】本実施形態の処理手順の説明図。
【図6】他の実施形態の処理手順の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を具体化した一実施形態を、図1〜図5に従って説明する。本実施形態では、企業活動において生じた取引伝票について、第1会計基準(日本基準)に基づいて元帳情報を登録するとともに、第2会計基準(国際会計基準)に対応させるための遡及組替情報を登録する場合を想定する。
【0027】
本実施形態では、図1に示すように、クライアント端末10と会計管理サーバ20とがネットワークを介して接続されている。
各クライアント端末10は、企業の担当者が元帳情報や修正情報を登録する場合に、会計管理サーバ20にアクセスするために用いるコンピュータ端末(入出力手段)である。クライアント端末10は、ネットワークを介してデータを送信する機能や、受信したデータを表示する機能等を有する。このため、このクライアント端末10は、図示しないCPU、RAM、ROMの他、キーボード、マウス等の入力手段、ディスプレイ等の出力手段、通信手段等を有する。
【0028】
会計管理サーバ20は、所定の会計基準に基づいて、会計管理を行なうコンピュータシステムである。この会計管理サーバ20は、図1に示すように、制御部21、元帳データ記憶部22、修正データ記憶部23、会計基準データ記憶部24を備えている。
【0029】
制御部21は、会計管理に用いるデータの管理処理等を行なう。そして、制御部21は、制御手段(図示しないCPU、メモリ等)を有し、後述する処理(サービス管理段階、元帳登録段階、新規組替登録段階、修正対象検索段階、修正登録段階、計算書作成段階等を含む処理)を行なう。このための会計管理プログラムを実行することにより、制御部21は、サービス管理手段211、元帳登録手段212、新規組替登録手段213、修正対象検索手段214、修正登録手段215、計算書作成手段216として機能する。
【0030】
サービス管理手段211は、クライアント端末10からのアクセスに応じて、会計管理のためのメニュー画面を出力する処理を実行する。このメニュー画面には、元帳情報を登録するための「元帳登録」ボタン、修正情報を登録するための「修正登録」ボタン、計算書を作成するための「計算書作成」ボタンが含まれている。
【0031】
元帳登録手段212は、クライアント端末10において入力された元帳情報について、第1会計基準に基づいて生成された元帳情報を元帳データ記憶部22に登録する処理を実行する。
【0032】
新規組替登録手段213は、クライアント端末10において、第2会計基準に対応させるために入力された組替情報を修正データ記憶部23に登録する処理を実行する。
修正対象検索手段214は、元帳データ記憶部22において、クライアント端末10において指定された条件に基づいて組替対象の元帳情報を検索する。そして修正対象検索手段214は、検索結果をクライアント端末10のディスプレイに出力する処理を実行する。
【0033】
修正登録手段215は、クライアント端末10において選択された元帳情報について、誤謬訂正のための修正情報や、第2会計基準に対応させるための組替情報を修正データ記憶部23に登録する処理を実行する。更に、修正登録手段215は、決算期を判定するための決算日付情報を保持している。
【0034】
計算書作成手段216は、クライアント端末10において指定された条件に基づいて計算書(例えば、財政状態計算書等)を出力する処理を実行する。このため、計算書作成手段216は、帳票形式や帳票種類に対応させた帳票テンプレートを保持している。
【0035】
元帳データ記憶部22は元帳情報記憶手段として機能する。この元帳データ記憶部22には、図2(a)に示すように、取引において生じた取引伝票についての元帳レコード220が記録されている。元帳レコード220は、クライアント端末10において、取引伝票の仕訳のために新規登録の入力が行なわれた場合に記録される。元帳レコード220には、伝票番号、伝票日付、会計区分、摘要、納品日、検収日、借方部門、借方勘定、借方金額、借方補助、貸方部門、貸方勘定、貸方補助、貸方金額、付箋種別、組替フラグに関するデータが記録される。
【0036】
伝票番号データ領域には、取引伝票を特定するための識別子に関するデータが記録される。
伝票日付データ領域には、この取引伝票が起票された年月日に関するデータが記録される。
【0037】
会計区分データ領域には、この取引伝票の仕訳において用いる会計基準を特定するための識別子に関するデータが記録される。この会計区分データ領域には、この企業がベースとしている会計基準(第1会計基準)を特定するための識別子が記録される。
【0038】
摘要データ領域には、この取引伝票の対象を明確にするための概要に関するデータが記録される。
納品日データ領域、検収日データ領域には、この取引伝票の取引対象となっている製品が納品された年月日(納品日)、この製品の検収が行なわれた年月日(検収日)に関するデータが記録される。
【0039】
借方部門データ領域には、この取引伝票について借方(資産の増加、負債の減少、資本の減少、費用の発生)の対象となる部署を特定するための識別子に関するデータが記録さ
れる。
【0040】
借方勘定データ領域、借方金額データ領域には、第1会計基準において、この取引伝票についての借方の勘定科目を特定するための識別子や金額に関するデータが記録される。
借方補助データ領域には、借方の勘定科目の細分類を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0041】
貸方部門データ領域には、この取引伝票について貸方(資産の減少、負債の増加、資本の増加、収益の発生)の対象となる部署を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0042】
貸方勘定データ領域、貸方金額データ領域には、第1会計基準において、この取引伝票についての貸方の勘定科目を特定するための識別子や金額に関するデータが記録される。
貸方補助データ領域には、貸方の勘定科目の細分類を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0043】
付箋種別データ領域には、この取引伝票について、会計処理上の注意を喚起するための付箋種別が記録される。この付箋種別データ領域においては、付箋を設定する部署や担当者によって、複数の種類の付箋種別を記録することができる。
【0044】
組替フラグデータ領域には、第2会計基準に組替状況を判定するためのフラグが記録される。この取引伝票について、既に第2会計基準への組替えが行なわれている場合には、「組替済」フラグが記録される。
【0045】
修正データ記憶部23は修正情報記憶手段として機能する。この修正データ記憶部23には、図2(b)に示すように、元帳データ記憶部22に記録された元帳情報を修正するための修正レコード230が記録されている。修正レコード230は、クライアント端末10において、修正登録の入力が行なわれた場合に記録される。修正レコード230には、伝票番号、伝票日付、会計区分、登録種別、遡及適用日、摘要、借方部門、借方勘定、借方金額、借方補助、貸方部門、貸方勘定、貸方補助、貸方金額、元伝票番号に関するデータが記録される。
【0046】
伝票番号データ領域には、元帳情報を修正するための修正伝票を特定するための識別子に関するデータが記録される。
伝票日付データ領域には、この修正伝票が起票された年月日に関するデータが記録される。
【0047】
会計区分データ領域には、この修正伝票の仕訳において用いる会計基準を特定するための識別子に関するデータが記録される。例えば、元帳レコード220が第1会計基準により登録されている場合において、元帳情報の誤謬修正の場合には、第1会計基準を特定するための識別子が設定される。一方、第2会計基準に対応させるための組替情報の場合には、第2会計基準を特定するための識別子が記録される。
【0048】
登録種別データ領域には、修正伝票の目的を特定するための識別子に関するデータが記録される。この登録種別には、例えば、「誤謬の修正」や「会計基準の組替」を特定するための識別子が記録される。
【0049】
遡及適用日データ領域には、この修正を適用する年月日に関するデータが記録される。この遡及適用日は、計算書を算出する場合に、この修正レコード230を含めるかどうかを判定するために用いられる。
【0050】
摘要データ領域には、この修正伝票の対象を明確にするための概要に関するデータが記録される。
借方部門データ領域には、この修正伝票について借方(資産の増加、負債の減少、資本の減少、費用の発生)の対象となる部署を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0051】
借方勘定データ領域、借方金額データ領域には、第1会計基準において、この修正伝票についての借方の勘定科目を特定するための識別子や金額に関するデータが記録される。
借方補助データ領域には、借方の勘定科目の細分類を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0052】
貸方部門データ領域には、この修正伝票について貸方(資産の減少、負債の増加、資本の増加、収益の発生)の対象となる部署を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0053】
貸方勘定データ領域、貸方金額データ領域には、第1会計基準において、この修正伝票についての貸方の勘定科目を特定するための識別子や金額に関するデータが記録される。
貸方補助データ領域には、貸方の勘定科目の細分類を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0054】
元伝票番号データ領域には、修正伝票において修正の対象となる取引伝票を特定するための識別子に関するデータが記録される。一つの修正伝票において複数の取引伝票をまとめて修正した場合、この元伝票番号データ領域には、複数の取引伝票の伝票番号が記録される。
【0055】
会計基準データ記憶部24には、この企業において用いられる会計基準を特定するための識別子に関するデータが記録される。本実施形態では、第1及び第2会計基準を特定するための識別子が記録される。更に、これらの会計基準の中でベースとなる会計基準(ここでは、第1会計基準)については、ベース基準を特定するためのベース基準フラグが記録されている。これらの会計基準は、この企業において用いられる会計基準やベース基準が登録された場合に記録される。
【0056】
上記のように構成されたシステムを用いて行なわれる処理を、図3〜図5を用いて説明する。ここでは、元帳の登録処理(図3)、修正処理(図4)、計算書作成処理(図5)の順番に説明する。
【0057】
(元帳の登録処理)
まず、元帳の登録処理を、図3を用いて説明する。元帳の登録を行なう場合、クライアント端末10を用いて、会計管理サーバ20にアクセスする。
【0058】
この場合、会計管理サーバ20の制御部21は、元帳登録画面の出力処理を実行する(ステップS1−1)。具体的には、制御部21のサービス管理手段211は、クライアント端末10のディスプレイに、会計管理のためのメニュー画面を出力する。そして、サービス管理手段211が、このメニュー画面において「元帳登録」ボタンの選択を検知した場合、元帳情報を入力するための元帳登録画面を出力する。この元帳登録画面には、会計区分、摘要、納品日、検収日、借方部門、借方勘定、借方金額、借方補助、貸方部門、貸方勘定、貸方補助、貸方金額、付箋種別選択の各入力欄及び入力完了ボタンが設けられている。
【0059】
次に、会計管理サーバ20の制御部21は、ベース基準設定処理を実行する(ステップS1−2)。具体的には、制御部21の元帳登録手段212は、会計基準データ記憶部24に記録されているベース基準を取得する。そして、元帳登録画面の会計区分入力欄に、ベース基準(ここでは、第1会計基準)を特定する識別子をデフォルト値として設定する。
【0060】
次に、クライアント端末10は、仕訳入力処理を実行する(ステップS1−3)。具体的には、取引伝票に基づいて、元帳登録画面の各入力欄への設定を行なう。また、会計基準に応じて組替えが必要と判断した場合には、付箋種別入力欄において所望の付箋種別を選択する。この場合、クライアント端末10は、元帳登録画面の各入力欄に入力された各伝票情報をメモリに仮記憶する。
【0061】
次に、会計管理サーバ20の制御部21は、元帳情報の登録処理を実行する(ステップS1−4)。具体的には、各入力欄への入力を終了した場合、元帳登録画面において入力完了ボタンを選択する。入力完了ボタンの選択を検知した場合、制御部21の元帳登録手段212は、クライアント端末10において入力された伝票情報に対して伝票番号を付与する。更に、システムタイマから現在日付を伝票日付として取得する。そして、元帳登録手段212は、伝票番号、伝票日付及び元帳登録画面に入力された伝票情報を設定した元帳レコード220を生成し、元帳データ記憶部22に記録する。
【0062】
(修正処理)
次に、図4を用いて、修正処理を説明する。
ここでは、まず、会計管理サーバ20の制御部21は、修正登録画面の出力処理を実行する(ステップS2−1)。具体的には、制御部21のサービス管理手段211が、クライアント端末10のディスプレイに出力されたメニュー画面において「修正登録」ボタンの選択を検知した場合、修正登録画面を出力する。この修正登録画面には、第2会計基準に対応させるために、新たな組替情報を入力するための「新規登録」ボタンと、既に登録された元帳情報を修正するための「修正入力」ボタンとが含まれる。
【0063】
次に、会計管理サーバ20の制御部21は、修正対象伝票があるかどうかについての判定処理を実行する(ステップS2−2)。具体的には、制御部21のサービス管理手段211は、修正登録画面において「修正入力」ボタンが選択された場合には、修正対象伝票があると判定する。一方、「新規登録」ボタンが選択された場合には、修正対象伝票がないと判定する。
【0064】
ここで、修正対象伝票がないと判定した場合(ステップS2−2において「NO」の場合)、会計管理サーバ20の制御部21は、新規登録画面の出力処理を実行する(ステップS2−3)。具体的には、制御部21のサービス管理手段211は、新規組替登録手段213に処理を引き継ぐ。この場合、新規組替登録手段213は、クライアント端末10のディスプレイに新規登録画面を出力する。この新規登録画面には、前述した元帳登録画面と同様に、会計区分〜貸方金額の各入力欄及び完了入力ボタンが設けられている。
【0065】
更に、新規組替登録手段213は、会計基準データ記憶部24に記録されているベース基準を取得する。そして、新規登録画面の会計区分入力欄に、ベース基準とは異なる会計基準(ここでは、第2会計基準)を特定する識別子をデフォルト値として設定する。
【0066】
そして、クライアント端末10において、新規登録画面の各入力欄への設定が行なわれる。この場合、クライアント端末10は、新規登録画面の各入力欄に入力された各伝票情報をメモリに仮記憶する。
【0067】
次に、会計管理サーバ20の制御部21は、新規情報の登録処理を実行する(ステップS2−4)。具体的には、各入力欄への入力を終了した場合、新規登録画面において入力完了ボタンを選択する。この場合、制御部21の新規組替登録手段213は、クライアント端末10において入力された伝票情報に対して伝票番号を付与する。更に、システムタイマから現在日付を伝票日付として取得する。そして、新規組替登録手段213は、伝票番号、伝票日付及び新規登録画面に入力された伝票情報を設定した修正レコード230を生成し、修正データ記憶部23に記録する。
【0068】
一方、修正対象伝票があると判定した場合(ステップS2−2において「YES」の場合)、会計管理サーバ20の制御部21は、修正対象の元帳情報の検索処理を実行する(ステップS2−5)。具体的には、制御部21のサービス管理手段211は、修正対象検索手段214に処理を引き継ぐ。この場合、修正対象検索手段214は、クライアント端末10のディスプレイに検索画面を出力する。この検索画面には、修正対象の元帳レコード220を検索するための検索条件入力欄及び検索実行ボタンが設けられている。検索条件として、借方勘定科目、貸方勘定科目、借方補助科目、貸方補助科目、借方部門、貸方部門、伝票日付、検収日、摘要、付箋種別を選択することができる。
【0069】
検索画面の検索条件入力欄に所望の条件を設定した場合、検索実行ボタンを選択する。検索実行ボタンの選択を検知した場合、修正対象検索手段214は、元帳データ記憶部22において、検索条件入力欄に設定された検索条件に基づいて、条件が一致する元帳レコード220を検索する。
【0070】
次に、会計管理サーバ20の制御部21は、検索結果画面の出力処理を実行する(ステップS2−6)。具体的には、制御部21の修正対象検索手段214は、元帳データ記憶部22から抽出した元帳レコード220を一覧表示させた検索結果画面を生成する。この検索結果画面には、抽出した元帳レコード220の伝票番号〜貸方金額に関する情報を含める。
【0071】
次に、会計管理サーバ20の制御部21は、修正対象の元帳情報の選択処理を実行する(ステップS2−7)。具体的には、検索結果画面において、修正対象の伝票を特定する。この場合、制御部21の修正登録手段215は、検索結果画面において選択された伝票番号を、クライアント端末10から取得する。ここでは、複数の伝票を一括して選択することもできる。
【0072】
次に、会計管理サーバ20の制御部21は、元帳情報が確定前かどうかについての判定処理を実行する(ステップS2−8)。具体的には、制御部21の修正登録手段215は、システムタイマから現在日付を取得し、この現在日付に基づいて前期決算の決算日付を特定する。更に、修正登録手段215は、検索結果画面において選択された伝票番号の元帳レコード220において伝票日付を特定する。そして、修正登録手段215は、この伝票日付と前期決算の決算日付とを比較することにより、この元帳情報が確定前かどうかを判定する。
【0073】
伝票日付が前期決算の決算日付より後であり、元帳情報が未だ確定していない場合(ステップS2−8において「確定前」の場合)には、会計管理サーバ20の制御部21は、元帳情報の修正処理を実行する(ステップS2−9)。具体的には、制御部21の修正登録手段215は、修正対象の元帳レコード220を元帳データ記憶部22から読み出す。次に、修正登録手段215は、修正対象の元帳レコード220の各値を修正欄に表示した修正画面を生成し、クライアント端末10のディスプレイに出力する。そして、この修正画面において修正入力を終了した場合、修正完了ボタンを選択する。修正完了ボタンの選択を検知した場合には、修正登録手段215は、クライアント端末10から修正画面に入
力された修正内容を取得する。そして、修正登録手段215は、元帳データ記憶部22に記録された元帳レコード220において修正内容を更新記録する。
【0074】
一方、伝票日付が前期決算の決算日付より前であり、元帳情報が既に確定している場合(ステップS2−8において「確定後」の場合)には、会計管理サーバ20の制御部21は、遡及・組替伝票登録画面の出力処理を実行する(ステップS2−10)。具体的には、制御部21の修正登録手段215は、クライアント端末10のディスプレイに遡及・組替伝票登録画面を出力する。この遡及・組替伝票登録画面には、伝票番号、伝票日付、会計区分、登録種別、遡及適用日、摘要、借方部門、借方勘定、借方金額、借方補助、貸方部門、貸方勘定、貸方補助、貸方金額の各入力欄が設けられている。ここで、第1会計基準の元帳を第2会計基準に対応させるための組替情報を登録する場合には、会計区分として第2会計基準を選択する。
【0075】
更に、この遡及・組替伝票登録画面には、「コピー逆仕訳」、「コピー」のいずれかを選択するためのラジオボタンが設けられている。ここで、元帳情報を相殺して、元帳情報に対応する修正情報を登録する場合には「コピー逆仕訳」ボタンを選択する。一方、元帳情報を相殺せずに、元帳情報との差分による修正を行なう場合には「コピー」ボタンを選択する。
【0076】
次に、会計管理サーバ20の制御部21は、コピー又はコピー逆仕訳かどうかについての判定処理を実行する(ステップS2−11)。具体的には、制御部21の修正登録手段215は、遡及・組替伝票登録画面において選択されたラジオボタンにより判定する。
【0077】
「コピー」ボタンが選択された場合(ステップS2−11において「コピー」の場合)には、会計管理サーバ20の制御部21は、元帳情報のコピーの登録処理を実行する(ステップS2−12)。具体的には、制御部21の修正登録手段215は、修正対象の元帳レコード220の内容をコピーした修正画面を出力する。この場合、この修正画面を用いて、各内容の修正を行なう。修正画面において修正完了ボタンの選択を検知した場合、修正登録手段215は、修正内容に基づいて修正レコード230を生成し、修正データ記憶部23に記録する。この場合、修正レコード230の元伝票番号データ領域には、修正対象の元帳レコード220の伝票番号を記録する。更に、修正画面の会計区分において、ベース基準とは異なる第2会計基準が設定されていた場合には、修正登録手段215は、修正対象の元帳レコード220の組替フラグデータ領域に「組替済」フラグを記録する。
【0078】
なお、検索結果画面において、複数の伝票番号が選択されている場合には、修正対象の元帳レコード220に共通する内容をコピーした修正画面を出力する。そして、この修正画面を用いることにより、共通した内容が修正された場合、この修正内容に基づいた修正レコード230を一括して生成して修正データ記憶部23に記録する。この場合、元帳レコード220に記録された借方金額、貸方金額がそれぞれ合算した金額を、修正レコード230の借方金額、貸方金額として記録する。また、元伝票番号データ領域には、複数の伝票番号を記録する。
【0079】
一方、「コピー逆仕訳」ボタンが選択された場合(ステップS2−11において「コピー逆仕訳」の場合)には、会計管理サーバ20の制御部21は、元帳情報の逆仕訳及びコピーの登録処理を実行する(ステップS2−13)。具体的には、制御部21の修正登録手段215は、修正対象の元帳レコード220の内容をコピーした修正画面を出力する。この場合、この修正画面を用いて、各内容の修正を行なう。修正画面において修正完了ボタンの選択を検知した場合、修正登録手段215は、修正内容に基づいて修正レコード230を生成し、修正データ記憶部23に記録する。この場合も、修正登録手段215は、修正レコード230に、新たに付与した伝票番号、伝票日付、元伝票番号(修正対象の元
帳レコード220の伝票番号)を記録する。ここでも、修正画面の会計区分において、ベース基準とは異なる第2会計基準が設定されていた場合には、修正登録手段215は、修正対象の元帳レコード220の組替フラグデータ領域に「組替済」フラグを記録する。
【0080】
更に、修正登録手段215は、修正対象の元帳レコード220を相殺する逆仕訳のための修正レコード230を生成し、修正データ記憶部23に記録する。
なお、検索結果画面において、複数の伝票番号が選択されている場合には、ステップS2−12と同様に、共通した内容の修正に基づいた修正レコード230を一括して生成して修正データ記憶部23に記録する。更に、選択された複数の伝票番号の元帳レコード220を相殺する逆仕訳のための修正レコード230を一括して生成して修正データ記憶部23に記録する。
【0081】
(計算書作成処理)
次に、図5を用いて、計算書作成処理を説明する。
ここでは、まず、会計管理サーバ20の制御部21は、計算書出力条件設定画面の出力処理を実行する(ステップS3−1)。具体的には、制御部21のサービス管理手段211は、クライアント端末10のディスプレイに出力されたメニュー画面において「計算書作成」ボタンの選択を検知した場合、計算書出力条件設定画面を出力する。この計算書出力条件設定画面においては、帳票形式、帳票種類、会計区分、対象期間、遡及基準日、対象部門の各入力欄が設けられている。帳票形式、帳票種類入力欄においては、出力を希望する帳票の形式や計算書の種別を選択することができる。会計区分入力欄においては、「第1会計基準のみの出力」又は「第2会計基準を含めた出力」を選択することができる。対象期間入力欄においては、対象期間に含まれる伝票日付の元帳レコード220を抽出する期間を設定することができる。遡及基準日入力欄においては、修正レコード230の適用を調整するための遡及適用日を設定することができる。対象部門入力欄においては、元帳レコード220の抽出対象の部署を設定することができる。
【0082】
次に、会計管理サーバ20の制御部21は、出力条件の取得処理を実行する(ステップS3−2)。具体的には、制御部21の計算書作成手段216は、入力完了ボタンの選択を検知した場合、クライアント端末10から計算書出力条件設定画面において入力された出力条件を取得する。
【0083】
次に、会計管理サーバ20の制御部21は、ベース基準の特定処理を実行する(ステップS3−3)。具体的には、制御部21の計算書作成手段216は、会計基準データ記憶部24に記録されているベース区分を取得する。
【0084】
次に、会計管理サーバ20の制御部21は、計算書出力条件設定画面において指定された出力条件がベース基準又は第2基準かどうかについての判定処理を実行する(ステップS3−4)。具体的には、制御部21の計算書作成手段216は、計算書出力条件の設定画面において指定された会計区分と、会計基準データ記憶部24に記録されているベース区分とを比較する。
【0085】
出力条件としてベース区分が選択されている場合(ステップS3−4において「ベース基準」の場合)には、会計管理サーバ20の制御部21は、遡及適用日が遡及基準日以前の第1会計基準の修正情報の抽出処理を実行する(ステップS3−5)。具体的には、制御部21の計算書作成手段216は、修正データ記憶部23から、遡及基準日以前の遡及適用日が設定されている修正レコード230であって、会計区分として第1会計基準が設定されているレコードを抽出する。
【0086】
一方、出力条件として第2会計基準が選択されている場合(ステップS3−4において
「第2基準」の場合)には、会計管理サーバ20の制御部21は、遡及適用日が遡及基準日以前の第1会計基準の修正情報及び組替情報の抽出処理を実行する(ステップS3−6)。具体的には、制御部21の計算書作成手段216は、修正データ記憶部23から、遡及基準日以前の遡及適用日が設定されている修正レコード230であって、会計区分として第1会計基準又は第2会計基準が設定されているレコードを抽出する。
【0087】
次に、会計管理サーバ20の制御部21は、対象期間に基づいて元帳情報の取得処理を実行する(ステップS3−7)。具体的には、制御部21の計算書作成手段216は、計算書出力条件設定画面において指定された対象期間の伝票日付が記録されている元帳レコード220を元帳データ記憶部22から抽出する。そして、計算書作成手段216は、ステップS3−5、S3−6で抽出した修正レコード230の中から、元帳レコード220の伝票番号が元伝票番号データ領域に記録されている修正レコード230を抽出する。
【0088】
次に、会計管理サーバ20の制御部21は、元帳情報と修正情報との合算処理を実行する(ステップS3−8)。具体的には、制御部21の計算書作成手段216は、抽出した修正レコード230に記録された金額と、元帳レコード220に記録された金額とを勘定科目毎に合算する。
【0089】
次に、会計管理サーバ20の制御部21は、計算書の表示処理を実行する(ステップS3−9)。具体的には、制御部21の計算書作成手段216は、計算書出力条件設定画面において指定された帳票形式及び帳票種類の帳票テンプレートに、元帳レコード220、修正レコード230により特定した勘定科目や金額を設定する。
【0090】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態においては、元帳データ記憶部22には、取引において生じた取引伝票についての元帳レコード220が記録されている。修正データ記憶部23には、元帳データ記憶部22に記録された元帳レコード220を修正するための修正レコード230が記録されている。そして、計算書作成処理において、会計管理サーバ20の制御部21は、元帳情報と修正情報との合算処理を実行する(ステップS3−8)。これにより、元帳をそのままの状態で維持しながら、他の会計基準に対応させた計算書を作成することができる。
【0091】
(2)本実施形態においては、修正レコード230には、遡及適用日に関するデータが記録される。計算書出力条件設定画面において指定された会計区分においてベース区分が選択されている場合(ステップS3−4において「ベース基準」の場合)には、会計管理サーバ20の制御部21は、遡及適用日が遡及基準日以前の修正情報の抽出処理を実行する(ステップS3−5)。また、第2会計基準が選択されている場合(ステップS3−4において「第2基準」の場合)には、会計管理サーバ20の制御部21は、遡及適用日が遡及基準日以前の修正情報の抽出処理を実行する(ステップS3−6)。この遡及適用日を用いることにより、組替情報の取り込みを調整することができる。新しい基準を導入する場合においても、例えば、税務処理では各国の国内基準が利用されているので、複数の基準に対応させた計算書を作成することができる。
【0092】
(3)「コピー」ボタンが選択された場合(ステップS2−11において「コピー」の場合)には、会計管理サーバ20の制御部21は、元帳情報のコピーの登録処理を実行する(ステップS2−12)。また、「コピー逆仕訳」ボタンが選択された場合(ステップS2−11において「コピー逆仕訳」の場合)には、会計管理サーバ20の制御部21は、元帳情報の逆仕訳データについて登録処理を実行する(ステップS2−13)。これにより、逆仕訳により、第1会計基準で生成された元帳情報を考慮せず、第2会計基準に基づく組替情報を登録することができる。
【0093】
(4)検索結果画面において、複数の伝票番号が選択されている場合には、修正対象の元帳レコード220に共通する内容をコピーした修正画面を出力する。この修正画面を用いることにより、共通した内容が修正された場合、この修正内容に基づいた修正レコード230を一括して生成して修正データ記憶部23に記録する。これにより、一括して効率的に組替情報を登録することができる。
【0094】
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 上記実施形態では、第1会計基準(日本基準)に基づいて元帳情報を登録するとともに、第2会計基準(国際会計基準)に対応させるための遡及組替情報を登録する場合を想定した。会計基準の種類はこれらに限定されるものではない。
【0095】
・ 上記実施形態では、二つの会計基準(第1、第2会計基準)を適用する場合を想定したが、会計管理システムにおいて管理する会計基準の数は二つに限定されるものではない。この場合には、計算書作成処理において、作成対象の会計基準の識別子が記録された組替情報を組替情報記憶手段から取得する。
【0096】
・ 上記実施形態では、会計管理サーバ20の制御部21は、修正対象の元帳情報の選択処理を実行する(ステップS2−7)。ここで、勘定科目、補助科目が異なる複数の伝票を選択できるようにしてもよい。この場合には、選択された元帳情報において、勘定科目及び補助科目が共通する伝票を抽出し、勘定科目、補助科目が共通する伝票をまとめて、元帳情報のコピーの登録処理(ステップS2−12)や元帳情報の逆仕訳及びコピーの登録処理(ステップS2−13)を実行する。
【0097】
・ 上記実施形態では、会計管理サーバ20の制御部21は、修正対象の元帳情報の検索処理(ステップS2−5)、修正対象の元帳情報の選択処理(ステップS2−7)を実行する。これにより、担当者によって入力された検索条件で、組替対象の元帳情報を検索し、指定した元帳情報を組み替えるための修正レコード230を生成する。組替対象の特定方法はこれに限定されるものではない。例えば、過去の組替実績に基づいて生成した組替パターンにより、組替対象を特定するようにしてもよい。組替パターンを利用した検索処理についての具体的な手順を、図6を用いて説明する。この場合、会計管理サーバ20に、組替対象を特定するためのパターンを登録する組替パターンデータ記憶部25(パターン情報記憶手段)を設ける。更に、制御部21に、組替実績に基づいて、組替対象を特定するためのパターンを生成するパターン生成手段を設ける。
【0098】
そして、会計管理サーバ20の制御部21は、組替情報の抽出処理を実行する(ステップS4−1)。具体的には、制御部21のパターン生成手段は、修正データ記憶部23において、第1会計基準から第2会計基準に組み替えるために登録された修正レコード230を抽出する。具体的には、修正レコード230の会計区分データ領域に第2会計基準が登録されているレコードを特定する。
【0099】
次に、会計管理サーバ20の制御部21は、組替情報のパターン化処理を実行する(ステップS4−2)。具体的には、制御部21のパターン生成手段は、抽出した修正レコード230の元伝票番号データ領域に記録されている伝票番号を取得する。次に、パターン生成手段は、この伝票番号が記録されている元帳レコード220を元帳データ記憶部22から取得する。次に、パターン生成手段は、修正レコード230と元帳レコード220とを比較し、修正箇所を特定する。そして、パターン生成手段は、修正箇所について、元帳レコード220に記録されている内容と修正レコード230に記録されている内容とを関連付けたパターンレコードを生成し、組替パターンデータ記憶部25に記録する。
【0100】
次に、会計管理サーバ20の制御部21は、未組替の元帳情報の抽出処理を実行する(ステップS4−3)。具体的には、制御部21の修正対象検索手段214は、元帳データ記憶部22において、組替済フラグデータ領域に「組替済」フラグが設定されていない元帳レコード220を抽出する。
【0101】
次に、会計管理サーバ20の制御部21は、修正対象の元帳情報の検索処理を実行する(ステップS4−4)。具体的には、制御部21の修正対象検索手段214は、組替パターンデータ記憶部25に記録されているパターンレコードにおいて元帳内容と一致する元帳レコード220を抽出する。そして、修正対象検索手段214は、クライアント端末10のディスプレイに、組替提案を出力する。この組替提案には、抽出した元帳レコード220を組替候補として含める。この場合、修正対象検索手段214は、パターンレコードに記録されている修正内容を、修正候補として出力する。担当者は内容を確認して、必要に応じて修正レコード230の登録処理を行なう。
【0102】
これにより、会計基準に応じて組み替えを行なう必要がある元帳情報を、漏れなく、効率的に特定することができる。更に、組替実績に応じて、組替パターンを生成するので、複数の担当者により組替対象を特定する場合にも、属人性を排除して統一的に行なうことができる。
【符号の説明】
【0103】
10…クライアント端末、20…会計管理サーバ、21…制御部、211…サービス管理手段、212…元帳登録手段、213…新規組替登録手段、214…修正対象検索手段、215…修正登録手段、216…計算書作成手段、22…元帳データ記憶部、23…修正データ記憶部、24…会計基準データ記憶部、25…組替パターンデータ記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1会計基準に基づいて入力された元帳情報を記憶する元帳情報記憶手段と、
第2会計基準に対応するための組替情報を記憶する修正情報記憶手段と、
入出力手段に接続される制御手段とを備えた会計管理システムであって、
前記制御手段が、
前記入出力手段から取得した伝票情報に基づいて生成した元帳情報を前記元帳情報記憶手段に登録する手段と、
前記入出力手段において指定された元帳情報について、第2会計基準に対応させるための伝票情報に基づいて組替情報を生成し、前記修正情報記憶手段に登録する手段と、
前記入出力手段から、第1会計基準に基づく計算書の出力指示を取得した場合には、前記元帳情報記憶手段から取得した元帳情報を用いて計算書を生成し、
第2会計基準に基づく計算書の出力指示を取得した場合には、前記元帳情報記憶手段から取得した元帳情報と、前記修正情報記憶手段から取得した組替情報とを合算して計算書を生成し、前記入出力手段に出力する手段と
を備えたことを特徴とする会計管理システム。
【請求項2】
前記修正情報記憶手段の組替情報には遡及適用日が記憶されており、
前記制御手段が、前記入出力手段から遡及基準日を取得した場合には、前記修正情報記憶手段から、前記遡及基準日以前の遡及適用日が記録された組替情報を抽出して、計算書の生成に用いることを特徴とする請求項1に記載の会計管理システム。
【請求項3】
前記制御手段が、前記元帳情報について逆仕訳の指示を取得した場合、前記元帳情報の逆仕訳情報を生成して前記修正情報記憶手段に登録するとともに、第2会計基準に基づく組替情報を前記修正情報記憶手段に記録することを特徴とする請求項1又は2に記載の会計管理システム。
【請求項4】
前記制御手段が、前記入出力手段において複数の元帳情報が指定された場合には、前記指定された元帳情報をまとめた組替情報を生成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の会計管理システム。
【請求項5】
第1会計基準から第2会計基準への組替が必要な項目についての組替パターンを登録したパターン情報記憶手段を更に備え、
前記制御手段が、前記組替パターンを用いて、前記元帳情報記憶手段に記憶された元帳情報を検索し、
抽出した元帳情報についての組替提案を、前記入出力手段に出力することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の会計管理システム。
【請求項6】
前記制御手段が、前記修正情報記憶手段に記憶された組替情報を用いて組替パターンを生成し、前記パターン情報記憶手段に記録することを特徴とする請求項5に記載の会計管理システム。
【請求項7】
第1会計基準に基づいて入力された元帳情報を記憶する元帳情報記憶手段と、
第2会計基準に対応するための組替情報を記憶する修正情報記憶手段と、
入出力手段に接続される制御手段とを備えた会計管理システムを用いて、会計を管理する方法であって、
前記制御手段が、
前記入出力手段から取得した伝票情報に基づいて生成した元帳情報を前記元帳情報記憶手段に登録する段階と、
前記入出力手段において指定された元帳情報について、第2会計基準に対応させるため
の伝票情報に基づいて組替情報を生成し、前記修正情報記憶手段に登録する段階と、
前記入出力手段から、第1会計基準に基づく計算書の出力指示を取得した場合には、前記元帳情報記憶手段から取得した元帳情報を用いて計算書を生成し、
第2会計基準に基づく計算書の出力指示を取得した場合には、前記元帳情報記憶手段から取得した元帳情報と、前記修正情報記憶手段から取得した組替情報とを合算して計算書を生成し、前記入出力手段に出力する段階と
を実行することを特徴とする会計管理方法。
【請求項8】
第1会計基準に基づいて入力された元帳情報を記憶する元帳情報記憶手段と、
第2会計基準に対応するための組替情報を記憶する修正情報記憶手段と、
入出力手段に接続される制御手段とを備えた会計管理システムを用いて、会計を管理するためのプログラムであって、
前記制御手段を、
前記入出力手段から取得した伝票情報に基づいて生成した元帳情報を元帳情報記憶手段に登録する手段、
前記入出力手段において指定された元帳情報について、第2会計基準に対応させるための伝票情報に基づいて組替情報を生成し、前記修正情報記憶手段に登録する手段、
前記入出力手段から、第1会計基準に基づく計算書の出力指示を取得した場合には、前記元帳情報記憶手段から取得した元帳情報を用いて計算書を生成し、
第2会計基準に基づく計算書の出力指示を取得した場合には、前記元帳情報記憶手段から取得した元帳情報と、前記修正情報記憶手段から取得した組替情報とを合算して計算書を生成し、前記入出力手段に出力する手段
として機能させることを特徴とする会計管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−173849(P2012−173849A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33233(P2011−33233)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(592131906)みずほ情報総研株式会社 (187)
【Fターム(参考)】