説明

伝送変換中継器

【課題】旧火災報知設備における1系統あたりの端末機器の接続数と、新火災報知設備における1系統あたりの端末機器の接続数とが、互いに異なる場合に、上記旧火災報知設備を上記新火災報知設備にリニューアルする際、旧火災受信機と新火災受信機とを併設する必要がない伝送変換中継器を提供することを目的とする。
【解決手段】旧火災受信機に接続される旧端末機器のアドレスと、新火災受信機に接続される新端末機器のアドレスとの間でアドレスを変換し、また、上記新端末機器が接続される系統と上記旧端末機器が接続される系統との間で系統を変換する変換手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旧火災報知設備を新火災報知設備にリニューアルする場合に、火災受信機と端末機器との間に接続する伝送変換中継器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、旧火災報知設備を新火災報知設備にリニューアルする場合であって、設備全体の一部分のみが新設備に置き換わった場合でも、火災監視を実行することができるようにする必要がある。
【0003】
このように、設備全体の一部分のみが新設備に置き換わった場合に火災監視を実行することができるようにするために、旧火災報知設備と新火災報知設備との境界の信号線に伝送変換中継器を挿入し、旧火災報知設備の信号と新火災報知設備の信号とを互いに変換する機能を備える伝送変換中継器が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−102787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
最近では、旧火災報知設備における1系統(伝送線)あたりに接続する感知器や中継器等の端末機器の接続数と、新火災報知設備における1系統あたりに接続する感知器や中継器等の端末機器の接続数とが、互いに異なる場合がある。
【0006】
例えば、旧火災報知設備では、端末機器の火災、故障、正常の3状態の情報を通信で収集していたが、新火災報知設備では、それに加えて煙濃度や温度情報を通信で収集し、情報量が増えた場合に、旧火災報知設備の1系統あたりの端末機器の接続台数が510台であったが、新火災報知設備では1系統あたり255台にして2系統に端末機器を接続する。このようにすることによって、端末機器から情報を収集する時間(通信時間)が長くならないようにし、火災の検出が遅くならないようにしている。
【0007】
上記のように、旧火災報知設備では、1系統あたり510台の端末機器が接続され、新火災設備では、1系統あたり255台の端末機器が接続され、一方、旧火災報知設備では、端末機器からの情報として、火災検出、故障、正常の3状態をコード化した信号を扱っているが、新火災報知設備では、煙濃度や温度情報を取り扱うので、端末機器からの情報が増えている。
【0008】
このように、旧火災報知設備における1系統あたりに接続する端末機器の接続数と、新火災報知設備における1系統あたりに接続する端末機器の接続数とが、互いに異なる場合、上記旧火災報知設備を上記新火災報知設備にリニューアルする際、旧火災報知設備をそのまま設置した状態で、新火災報知設備を設置する必要がある。
【0009】
したがって、旧火災報知設備と新火災報知設備とが併設されるので、旧火災受信機と新火災受信機とを併設する必要があり、2つの火災受信機を設置するためのスペースを多く確保する必要があるという問題がある。また、端末機器についても、上記と同様に、新旧それぞれの端末機器を設置するためのスペースを確保する必要があるという問題がある。
【0010】
また、上記リニューアルにおいて、設備全体の一部分のみが新設備に置き換わった場合に、火災受信機が認識している端末機器のアドレスと、端末機器に付与されているアドレスとが異なるので、火災監視を実行することができないという問題がある。
【0011】
本発明は、旧火災報知設備における1系統あたりの端末機器の接続数と、新火災報知設備における1系統あたりの端末機器の接続数とが、互いに異なる場合に、上記旧火災報知設備を上記新火災報知設備にリニューアルする際、旧火災受信機と新火災受信機とを併設する必要がない伝送変換中継器を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、上記リニューアルにおいて、設備全体の一部分のみが新設備に置き換わった場合でも、火災監視を実行することができる伝送変換中継器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、旧火災受信機と上記旧火災受信機に接続されている旧端末機器とを具備する旧火災報知設備を、新火災受信機と上記新火災受信機に接続される新端末機器とを具備する新火災報知設備にリニューアルする際に使用する伝送変換中継器であって、上記旧端末機器に接続され、上記旧端末機器との間で送受信する旧系統用送受信部と、上記新火災受信機の送受信部に接続され、上記新火災受信機の送受信部との間で送受信する新系統用送受信部と、上記旧火災受信機に接続される旧端末機器のアドレスと、上記新火災受信機に接続される新端末機器のアドレスとの間でアドレスを変換し、また、上記新端末機器が接続される系統と上記旧端末機器が接続される系統との間で系統を変換する変換手段とを有する伝送変換中継器である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、旧火災報知設備における1系統あたりに接続する感知器や中継器等の端末機器の接続数と、新火災報知設備における1系統あたりに接続する端末機器の接続数とが、互いに異なる場合における火災報知設備のリニューアルにおいて、旧火災受信機と新火災受信機および旧端末機器と新端末機器を併設する必要がないという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例1である伝送変換中継器30を使用して、図2に示す旧火災報知設備100を、図3に示す新火災報知設備200にリニューアルしている途中の状態であるリニューアル中の火災報知設備110を示すブロック図である。
【図2】旧火災報知設備100を示すブロック図である。
【図3】旧火災報知設備100をリニューアルした後における新火災報知設備200を示すブロック図である。
【図4】ROM34が記憶しているアドレス対応テーブルTB1の内容を説明する図である。
【図5−1】旧火災報知設備100において、旧火災受信機10の代わりに新火災受信機20を設置し、旧端末機器をそのままにして、伝送変換中継器30を使用して、新火災受信機20に旧端末機器To1、To2、……が接続されている状態を示す図である。
【図5−2】図5−1に示す状態において、新系統aに接続されるべき新端末機器Ta1、Ta2、……、Ta255を、新火災受信機20の新送受信部21aに接続した状態であるリニューアル中の火災報知設備120を示す図である。
【図5−3】図5−2に示す状態において、新系統bに接続されるべき新端末機器Tb1、Tb2、……、Tb255を、新火災受信機20の新送受信部21bに接続した状態であるリニューアル中の火災報知設備130を示す図である。
【図5−4】図5−3に示す状態において、不要になった伝送変換中継器30を新火災受信機20から取り外した状態であるリニューアル中の火災報知設備140を示す図である。
【図6】アドレス対応テーブルTB2の内容を説明する図である。
【図7】本発明の実施例3である伝送変換中継器40を使用して、旧火災報知設備100を、新火災報知設備200にリニューアルしている途中の状態であるリニューアル中の火災報知設備300を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明を実施するための形態は、以下の実施例である。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の実施例1である伝送変換中継器30を使用して、図2に示す旧火災報知設備100を、図3に示す新火災報知設備200にリニューアルしている途中の状態であるリニューアル中の火災報知設備110を示すブロック図である。
【0018】
図2は、旧火災報知設備100を示すブロック図である。
【0019】
図3は、旧火災報知設備100をリニューアルした後における新火災報知設備200を示すブロック図である。
【0020】
図2に示す旧火災報知設備100は、旧火災受信機10に、1つの系統(伝送線)である旧系統が接続され、この1つの系統にたとえば510個の旧端末機器To1、To2、To3、To4、……、To510が接続されている。つまり、旧火災受信機10の旧送受信部11を介して、510個の旧端末機器To1、To2、To3、To4、……、To510が接続されている。そして、旧火災報知設備100に接続される端末機器のそれぞれに、アドレスAо1、Aо2、……、Aо510が順番に付与されている。
【0021】
旧端末機器は、煙や熱等によって火災を検出する火災感知器やベルを鳴動して火災を報知する地区音響装置や防火扉等の火災の拡大を防ぐ防排煙機器である。
【0022】
旧火災受信機10は、旧送受信部11によって旧端末機器と信号伝送を行っており、旧送受信部11からアドレス信号とともに命令信号を送信して、旧端末機器は、送信されたアドレス信号が自己のアドレスである場合には、自己のアドレスを指定するアドレス信号とともに個別情報信号(火災信号等)を旧送受信部11に返送する。このようにして、旧送受信部11は、全てのアドレスの旧端末機器から、個別情報を収集している。
【0023】
図3に示す新火災報知設備200において、1つの新火災受信機20に、新系統a、bの2つの系統が接続され、つまり、新送受信部21a、21bのそれぞれを介して、互いに異なる新系統a、bが接続され、新送受信部21aには、255個の新端末機器Ta1、Ta2、Ta3、Ta4、……、Ta255が接続されている。新送受信部21bには、255個の新端末機器Tb1、Tb2、Tb3、Tb4、……、Tb255が接続されている。そして、新系統aに接続されている255個の端末機器のそれぞれに、アドレスAa1、Aa2、……、Aa255が付与され、新系統bに接続されている255個の端末機器のそれぞれに、アドレスAb1、Ab2、……、Ab255が付与される。
【0024】
新端末機器は、旧端末機器と同様に、煙や熱等によって火災を検出する火災感知器やベルを鳴動して火災を報知する地区音響装置や防火扉等の火災の拡大を防ぐ防排煙機器である。
【0025】
新火災受信機20は、新送受信部21aおよび21bによって新端末機器と信号伝送を行っており、新送受信部21aおよび21bのそれぞれからアドレス信号とともに命令信号を送信して、新端末機器は、送信されたアドレス信号が自己のアドレスである場合には、自己のアドレスを指定するアドレス信号とともに個別情報信号(火災信号等)を、接続されている新送受信部21aまたは21bに返送する。新送受信部21aおよび21bは、このようにして、全てのアドレスの新端末機器から、個別情報を収集している。
【0026】
次に、伝送変換中継器30について説明する。
【0027】
伝送変換中継器30は、新系統a用送受信部31aと、新系統b用送受信部31bと、旧系統用送受信部32と、CPU33と、ROM34と、RAM35とを有する。
【0028】
伝送変換中継器30は、旧火災受信機10とこの旧火災受信機10に接続されている旧端末機器とを具備する旧火災報知設備100を、新火災受信機20とこの新火災受信機20に接続される新端末機器とを具備する新火災報知設備200にリニューアルする際に使用する伝送変換中継器である。
【0029】
CPU33は、伝送変換中継器30の全体を制御するとともに、新火災受信機20に接続される新端末機器のアドレスを、旧火災受信機10に接続される旧端末機器のアドレスに変換し、また、旧火災受信機10に接続される旧端末機器のアドレスを新火災受信機20に接続される新端末機器のアドレスに変換する変換手段である。また、CPU33は、新端末機器が接続される系統と旧端末機器が接続される系統との間で系統を変換する手段でもある。
【0030】
ROM34は、新火災受信機20に接続される新端末機器のアドレスと、旧火災受信機10に接続される旧端末機器のアドレスとが対応し、また、新端末機器が接続される系統と旧端末機器が接続される系統とが対応しているアドレス対応テーブルを記憶している手段である。
【0031】
新系統a用送受信部31a、新系統b用送受信部31bは、それぞれ、新火災受信機20の新送受信部21a、21bに接続される送受信部である。
【0032】
旧系統用送受信部32は、旧端末機器のそれぞれに接続される。RAM35は、CPU33による処理中のデータを一時的に記憶する。
【0033】
図4は、ROM34が記憶しているアドレス対応テーブルTB1の内容を説明する図である。
【0034】
アドレス対応テーブルTB1は、新火災報知設備200を構成する新火災受信機20に接続される端末機器のアドレスと、旧火災報知設備100を構成する旧火災受信機10に接続される端末機器のアドレスとを対応させているテーブルである。また、アドレス対応テーブルTB1は、新火災報知設備200に接続される系統と旧火災報知設備100に接続される系統とを、端末機器ごとに対応させているテーブルである。
【0035】
次に、旧火災報知設備100から新火災報知設備200に、リニューアルする動作について説明する。
【0036】
図5−1は、旧火災報知設備100において、旧火災受信機10の代わりに新火災受信機20を設置し、旧端末機器をそのままにして、伝送変換中継器30を使用して、新火災受信機20に旧端末機器To1、To2、……が接続されている状態を示す図である。
【0037】
旧火災報知設備100において、まず、旧火災受信機10を撤去し、その代わりに、新火災受信機20を設置し、伝送変換中継器30の新系統a用送受信部31a、31bのそれぞれに、新火災受信機20の新送受信部21a、21bを接続する。そして、伝送変換中継器30の旧系統用送受信部32に、旧端末機器を接続する。
【0038】
この場合、伝送変換中継器30によって、新端末機器のアドレスが旧端末機器のアドレスに変換されるとともに、端末機器ごとに系統が変換される。
【0039】
図5−1に示す状態で、新系統aに接続される端末機器のアドレスと、新系統bに接続される端末機器のアドレスとを、旧系統に接続されている端末機器のアドレスに変換する場合、アドレス対応テーブルTB1が使用される。
【0040】
すなわち、新系統aに接続される新端末機器Ta1のアドレスAa1が、旧火災報知設備100に接続されている旧系統の旧端末機器To1のアドレスAo1に変換される。新系統bに接続される新端末機器Tb1のアドレスAb1が、旧火災報知設備100に接続されている旧系統の旧端末機器To2のアドレスAo2に変換される。新系統aに接続される新端末機器Ta2のアドレスAa2が、旧火災報知設備100に接続されている旧系統の旧端末機器To3のアドレスAo3に変換される。新系統bに接続される新端末機器Tb2のアドレスAb2が、旧火災報知設備100に接続されている旧系統の旧端末機器To4のアドレスAo4に変換される。
【0041】
このようにして、新系統aに接続される新端末機器Ta255のアドレスAa255が、旧火災報知設備100に接続されている旧系統の旧端末機器To509のアドレスAo509に変換され、新系統bに接続される新端末機器Tb255のアドレスAb255が、旧火災報知設備100に接続されている旧系統の旧端末機器To510のアドレスAo510に変換される。
【0042】
次に、図5−1に示す状態における信号伝送について、リニューアル中に新端末機器Tb1の代わりとなる旧端末機器To2の個別情報を収集する場合の例について説明する。
【0043】
新火災受信機20は、新送受信部21bにより、新端末機器Tb1の個別情報を収集するためにアドレスAb1を指定するアドレス信号Ab1とともに命令信号を送信する。その送信を、新系統b用送受信部31bで受信すると、伝送変換中継器30のCPU33は、ROM34が記憶しているアドレス対応テーブルTB1に基づき、アドレス信号Ab1を、旧系統の旧端末機器To2に対応するアドレスAo2を指定するアドレス信号Ao2に変換し、旧系統用送受信部32により、アドレス信号Ao2とともに命令信号を送信する。これらの信号を受信すると、アドレスAo2である旧端末機器To2は、アドレス信号Ao2とともに個別情報を、旧系統用送受信部32に返送する。
【0044】
CPU33は、旧系統用送受信部32で旧系統の旧端末機器To2からの返送を受けると、新火災受信機20の新送受信部21bに対して、新系統b用送受信部31bにより、アドレス信号Ab1とともに旧端末機器To2の個別情報信号を返送する。
【0045】
このようにして、伝送変換中継器30を介して新火災受信機20は、新系統に接続される新端末機器の代わりとして、旧系統に接続される旧端末機器から個別情報を収集することによって、火災監視を行う。
【0046】
図5−2は、図5−1に示す状態において、新系統aに接続されるべき新端末機器Ta1、Ta2、……、Ta255を、新火災受信機20の新送受信部21aに接続した状態であるリニューアル中の火災報知設備120を示す図である。
【0047】
つまり、図5−1に示す状態において、新系統aに接続されるべき新端末機器Ta1、Ta2、……、Ta255に対応する旧端末機器To1、To3、……、To510を、伝送変換中継器30から切り離し、これらの代わりに、新端末機器Ta1、Ta2、……、Ta255を、新火災受信機20の新送受信部21aに接続する。
【0048】
図5−2に示す状態は、新端末機器Ta1〜Ta255が新火災受信機20に本来の姿で接続されている状態であるので、新端末機器Ta1〜Ta255が正常に火災監視することができる。
【0049】
図5−3は、図5−2に示す状態において、新系統bに接続されるべき新端末機器Tb1、Tb2、……、Tb255を、新火災受信機20の新送受信部21bに接続した状態であるリニューアル中の火災報知設備130を示す図である。
【0050】
つまり、図5−2に示す状態において、新系統bに接続されるべき新端末機器Tb1、Tb2、……、Tb255に対応する旧端末機器To2、To4、……、To510を、伝送変換中継器30から切り離し、これらの代わりに、新端末機器Tb1、Tb2、……、Tb255を新火災受信機20の新送受信部21bに接続する。
【0051】
図5−3に示す状態は、新端末機器Tb1〜Tb255が新火災受信機20に本来の姿で接続されている状態であるので、新端末機器Tb1〜Tb255が正常に火災監視することができる。
【0052】
図5−4は、図5−3に示す状態において、不要になった伝送変換中継器30を新火災受信機20から取り外した状態であるリニューアル中の火災報知設備140を示す図である。
【0053】
このリニューアル中の火災報知設備140は、回路的には新火災報知設備200と同じである。
【0054】
実施例1によれば、リニューアルにおいて、一時的に旧端末機器をそのまま使用し、旧火災受信機10を取り外した後に、新火災受信機20を設置し、新火災受信機20と旧端末機器との間に伝送変換中継器30を設置すれば、伝送変換中継器30により、旧端末機器のアドレスと新端末機器のアドレスとの間でアドレスを変換し、また、新端末機器が接続される系統と旧端末機器が接続される系統との間で、系統が変換されるので、伝送動作が正常に実行される。つまり、旧火災報知設備における1系統あたりの端末機器の接続数と、新火災報知設備における1系統あたりの端末機器の接続数とが、互いに異なる場合に、旧火災報知設備を新火災報知設備にリニューアルする際、旧火災受信機と新火災受信機とを併設する必要がなく、2つの火災受信機を設置するためのスペースを多く確保する必要がない。
【0055】
なお、本実施例において、伝送変換中継器30は、新火災受信機20からの信号を受信してから旧端末機器の個別情報を収集するようにしているが、伝送変換中継器30が、旧端末機器の個別情報を自律して収集し、RAM35に蓄積しておき、新火災受信機20からの信号中のアドレス信号に対応する旧端末機器のアドレスの個別情報を、RAM35から読み出し、新火災受信機20の対応する新系統に返送するようにしてもよい。
【実施例2】
【0056】
本発明の実施例2は、伝送変換中継器30において、アドレス対応テーブルTB1の代わりに、アドレス対応テーブルTB2を使用した実施例である。
【0057】
図6は、アドレス対応テーブルTB2の内容を説明する図である。
【0058】
アドレス対応テーブルTB2は、伝送変換中継器30によって、旧火災報知設備100を構成する旧火災受信機10に接続される1番目〜255番目の旧端末機器To1〜To255を、新火災報知設備200を構成する新火災受信機20の新系統aに新端末機器Ta1〜Ta255の代わりに接続し、256番目〜510番目の旧端末機器To256〜To510を、新系統bに新端末機器Tb1〜Tb255の代わりに接続させるために、新設備における系統とアドレスとを、旧設備における系統とアドレスとに変換するためのアドレス対応テーブルである。
【0059】
なお、実施例1のように旧端末機器のうちで奇数番目の旧端末機器を新系統aに接続させ、旧端末機器のうちで偶数番目の旧端末機器を新系統bに接続させる方法や、実施例2のように接続する方法以外の方法で、旧端末機器を新系統a、bに、任意に振り分けるようにしてもよい。旧端末機器を新系統a、bに振り分ける方法に応じて、アドレス対応テーブルの内容を変えればよい。
【0060】
このように、アドレス対応テーブルの内容を変えることによって、たとえば、建物の3階および4階に敷設されていた旧火災受信機10の旧系統を、3階に敷設する新系統aと4階に敷設する新系統bとにリニューアルする際に、3階に設置されていた旧端末機器と4階に設置されていた旧端末機器とを、新火災受信機20の2つの系統である新系統aや新系統bへ柔軟に振り分けて新端末機器にリニューアルすることができる。
【0061】
また、実施例1、2では、1つの系統に接続されている複数の端末機器を2つの系統に振り分けて監視するが、このように振り分ける以外の振り分け方を採用するようにしてもよい。たとえば、伝送変換中継器30の旧系統用送受信部および新系統用の送受信を増やし、1つの系統に接続されている複数の端末機器を3つ以上の系統に振り分けて監視するようにしてもよく、2つ以上の系統に接続されている複数の端末機器を3つ以上の系統(振り分ける前の系統数とは異なる系統数)に振り分けて監視するようにしてもよい。
【実施例3】
【0062】
図7は、本発明の実施例3である伝送変換中継器40を使用して、旧火災報知設備100を、新火災報知設備200にリニューアルしている途中の状態であるリニューアル中の火災報知設備300を示すブロック図である。
【0063】
伝送変換中継器40は、伝送変換中継器30の変形例であり、端末機器よりも火災受信機を先にリニューアルするのではなく、旧火災受信機10をリニューアルせずに、旧端末機器を新端末機器に先にリニューアルするための中継器である。
【0064】
伝送変換中継器40は、新系統a用送受信部41aと、新系統b用送受信部41bと、旧系統用送受信部42と、CPU43と、ROM44と、RAM45とを有する。
【0065】
新系統a用送受信部41aには、新端末機器Ta1〜Ta255が接続され、新系統b用送受信部41bには、新端末機器Tb1〜Tb255が接続される。旧系統用送受信部42には、旧火災受信機10が接続される。
【0066】
ROM44には、図4に示すアドレス対応テーブルTB1と同様の内容が記憶されている。CPU43は、旧火災受信機から受信した信号のうち、アドレス(旧設備におけるアドレス)に基づいて、新設備における新系統aまたはbに振り分けるとともに、上記旧設備におけるアドレスを、新端末機器のアドレスに変換する。伝送変換中継器40は、このようにして変換されたアドレス信号とともに命令信号を、各新端末機器に送り出す。
【0067】
一方、CPU43は、新端末機器から受信した信号のうちで、アドレス信号を旧設備用のアドレス信号に変換する。伝送変換中継器40は、このようにして変換されたアドレス信号とともに個別情報信号を、旧火災受信機10に送り出す。
【0068】
このようにして、伝送変換中継器40を介して、旧火災受信機10は、旧系統に接続される旧端末機器の代わりとして、新系統に接続される新端末機器から個別情報を収集することによって、火災監視を行う。
【0069】
なお、上記各実施例では、伝送変換中継器において、アドレスと系統との変換を行ったが、このようにすることに限らず、旧火災報知設備と新火災報知設備との命令信号や個別情報信号のデータ形式が異なる場合には、データも変換するようにしてもよい。また、信号伝送を電圧の変化の信号で行う方式を、電流の変化の信号で行う方式に変換するようにしてもよく、電圧の変化の信号のレベル(電位)を変換するようにしてもよい。
【0070】
なお、上記各実施例において、旧端末機器の数が第1の所定数であり、上記新端末機器の数が第2の所定数であり、上記第2の所定数は、上記第1の所定数よりも少ない。
【0071】
また、上記各実施例において、上記旧系統用送受信部は、1つの旧系統用送受信部によって構成され、上記新系統送受信部は、2つの新系統送受信部によって構成されている。
【符号の説明】
【0072】
100…旧火災報知設備、 110、120、130、300…リニューアル中の火災報知設備、 200…新火災報知設備、 10…旧火災受信機、 20…新火災受信機、 30…伝送変換中継器、 31a…新系統a用送受信部、 31b…新系統b用送受信部、 32…旧系統用送受信部、 TB1、TB2…アドレス対応テーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
旧火災受信機と上記旧火災受信機に接続されている旧端末機器とを具備する旧火災報知設備を、新火災受信機と上記新火災受信機に接続される新端末機器とを具備する新火災報知設備にリニューアルする際に使用する伝送変換中継器であって、
上記旧端末機器に接続され、上記旧端末機器との間で送受信する旧系統用送受信部と;
上記新火災受信機の送受信部に接続され、上記新火災受信機の送受信部との間で送受信する新系統用送受信部と;
上記旧火災受信機に接続される旧端末機器のアドレスと、上記新火災受信機に接続される新端末機器のアドレスとの間でアドレスを変換し、また、上記新端末機器が接続される系統と上記旧端末機器が接続される系統との間で系統を変換する変換手段と;
を有することを特徴とする伝送変換中継器。
【請求項2】
旧火災受信機と上記旧火災受信機に接続されている旧端末機器とを具備する旧火災報知設備を、新火災受信機と上記新火災受信機に接続される新端末機器とを具備する新火災報知設備にリニューアルする際に使用する伝送変換中継器であって、
上記新端末機器に接続され、上記新端末機器との間で送受信する新系統用送受信部と;
上記旧火災受信機の送受信部に接続され、上記旧火災受信機の送受信部との間で送受信する旧系統用送受信部と;
上記旧火災受信機に接続される旧端末機器のアドレスと、上記新火災受信機に接続される新端末機器のアドレスとの間でアドレスを変換し、また、上記新端末機器が接続される系統と上記旧端末機器が接続される系統との間で系統を変換する変換手段と;
を有することを特徴とする伝送変換中継器。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
上記旧端末機器の数が第1の所定数であり、上記新端末機器の数が第2の所定数であり、上記第2の所定数は、上記第1の所定数よりも少ないことを特徴とする伝送変換中継器。
【請求項4】
請求項1または請求項2において、
上記旧系統用送受信部は、1つの旧系統用送受信部によって構成され、上記新系統用送受信部は、2つの新系統送受信部によって構成されていることを特徴とする伝送変換中継器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図5−4】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−212381(P2012−212381A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78471(P2011−78471)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】