説明

伝送状態表示装置

【課題】デジタル無線伝送の伝送状態に関する情報を表示する伝送状態表示装置で、コンスタレーションの評価値や時間的経緯を用いて操作者により受信状態を容易に判断することを可能とする。
【解決手段】評価値算出手段37が前記デジタル無線伝送で伝送される信号のコンスタレーションにおけるデータシンボルの点と理想的なコンスタレーションにおけるデータシンボルの基準点との間の距離に基づいて所定の評価値を算出し、表示手段40が算出された評価値を前記デジタル無線伝送の伝送状態に関する情報として表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、デジタル無線伝送の伝送路の確立や調整において伝送状態を表示する伝送状態表示装置に関し、特に、マイクロ受信基地局システムの端末表示において、コンスタレーションの評価値やコンスタレーションの時間的経緯を用いて操作者により受信状態を容易に判断することを可能とする伝送状態表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビジョン放送の放送用素材をテレビ局本社へ伝送する方法として、素材の無線伝送がある。近年、その伝送方式は、テレビジョン放送のデジタル化にあわせてアナログ伝送からデジタル伝送へ移行しつつあるため、デジタル無線伝送における技術向上は重要な課題となっている。
このようなデジタル無線伝送では、一般に、FPU(Field Pick−up Unit)を用いた基地局間の固定無線伝送を含むマイクロ受信基地局システムが利用されている。
【0003】
このようなマイクロ受信基地局システムとしては、例えば、図1に示されるようなものを用いることができる。なお、図1は後述する実施例で参照されるものであり、ここでは、参考として紹介したが、本発明を不要に限定する意図は無い。
図1に示されるようなマイクロ受信基地局システムにおける方調支援データの1つであるコンスタレーションの評価は、従来では、人の目視によるものであったため、操作者の経験や主観によって判断が異なってしまい、また、コンスタレーションの時間的経緯を確認するためには、コンスタレーションをデータ量の多い画像又は映像データとして定期的に保存して、確認したい期間分の画像を解析する必要があった。
【0004】
【特許文献1】特開2007−97029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、従来のマイクロ受信基地局システムでは、コンスタレーションの評価は視覚的なもののみであって定量的な指標が無く、伝送状態の客観的な評価値を常時適切に記録することができるものが無かった。
本発明は、このような従来の事情に鑑み為されたもので、例えば、マイクロ受信基地局システムの端末表示において、コンスタレーションの評価値やコンスタレーションの時間的経緯を用いて操作者により受信状態を容易に判断することを可能とする伝送状態表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明では、デジタル無線伝送の伝送状態に関する情報を表示する伝送状態表示装置において、次のような構成とした。
すなわち、評価値算出手段が、前記デジタル無線伝送で伝送される信号のコンスタレーションにおけるデータシンボルの点と理想的なコンスタレーションにおけるデータシンボルの基準点との間の距離d(後述する実施例を参照)に基づいて、所定の評価値を算出する。表示手段が、前記評価値算出手段により算出された評価値を前記デジタル無線伝送の伝送状態に関する情報として表示する。
【0007】
従って、例えば、マイクロ受信基地局システムの端末表示において、コンスタレーションの評価値や、コンスタレーションの時間的経緯を用いて、操作者により受信状態を容易に判断することを可能とすることができる。
【0008】
ここで、デジタル無線伝送で伝送される信号のコンスタレーションにおけるデータシンボルの点は、実際に伝送された信号のデータシンボルの点(位置)を表しており、また、理想的なコンスタレーションにおけるデータシンボルの基準点は、伝送時などの誤り等が無いとした理想的な場合におけるデータシンボルの点(位置)を表している。
また、評価値を算出するために、例えば、理想的なコンスタレーションにおける最小の基準点間距離L(後述する実施例を参照)を用いることもできる。
【0009】
また、評価値としては、種々なものが用いられてもよく、好ましい態様例として、余裕値Dや平均誤差E(後述する実施例を参照)を用いることができる。
また、評価値を画面に表示する手法としては、種々なものを用いることができ、例えば、数値で表示する手法や、グラフ化して表示する手法や、時間的な経緯を表示する手法などを用いることができる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明に係る伝送状態表示装置では、例えば、マイクロ受信基地局システムの端末表示において、コンスタレーションの評価値や、コンスタレーションの時間的経緯を用いて、操作者により受信状態を容易に判断することを可能とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係る実施例を図面を参照して説明する。
図1には、本発明の一実施例に係るマイクロ受信基地局システムの構成例を示してある。
本例のマイクロ受信基地局システムの系統では、送信点1(送信点A)と、基地局2と、本社3と、送信点4(送信点B)が存在する。
送信点1には、送信部11と、アンテナ12を備えている。
基地局2には、回転受信アンテナ21と、受信部22と、送信部23と、固定アンテナ24と、被制御端局25と、変復調部26を備えている。
本社3には、固定アンテナ31と、受信部32と、回転受信アンテナ33と、受信部34と、復号部35と、情報生成部36と、情報編集部37と、変復調部38と、制御端局39と、操作端末40と、ネットワーク61と、ネットワーク62を備えている。
送信点2には、送信部51と、アンテナ52を備えている。
また、本例では、基地局2の変復調部26と本社3の変復調部38とを通信可能に接続するネットワーク71を備えている。
【0012】
本例のマイクロ受信基地局システムにおいて行われる動作の一例を示す。
本例では、送信点1及び送信点4から本社3へ素材を伝送する場合を示す。
本社3から遠距離にある送信点1(送信点A)からの素材は、基地局2を通して、本社3へ無線伝送される。まず、送信点1にある送信部11は、素材を無線伝送可能なマイクロ波信号へ変換して、アンテナ12からその電波を送信する。
ここで、送信部11は、SDI(Serial Digital Interface)信号をFPUでの伝送に用いられる固定長のパケット形式のフレームフォーマットであるTS(Transport Stream)信号に符号化し、それを中間周波信号へ変調した後に、マイクロ波帯へ周波数変換してアンテナ12へ伝送する機能を有する。
【0013】
送信点1から送信された電波は、基地局2内の回転受信アンテナ21の装置により受信されて、受信部22へ送られる。
ここで、受信部22は、マイクロ波帯の信号を中間周波信号へ周波数変換して、前記TS信号へ復調し、SDI信号へ復号する機能を有する。但し、基地局2内の受信部22においては、最小限、信号劣化の無い前記TS信号へ変換するまでの機能があればよい。
【0014】
このTS信号は、受信部22から送信部23へ送られて、固定アンテナ24から電波で送信される。
ここで、前記した受信部22と同様に、基地局2内の送信部23は、最小限、TS信号をマイクロ波帯の信号へ変換する機能があればよい。
基地局2から送信された電波は、本社3の固定アンテナ31により受信され、受信部32及び復号部35によってSDI信号へ復号されて、本線へ送られる。
【0015】
また、本社3から近距離にある送信点4(送信点B)からの素材は、送信部51を通ってアンテナ52から送信され、直接、本社3の回転受信アンテナ33の装置により受信され、そして、受信部34及び復号部35によって復号されて、本線へ送られる。
【0016】
このようなシステムを用いた無線伝送では、基地局2において送信点1からの電波を如何に効率よく受信することができるかが重要となってくる。つまり、送信点1の位置によって、基地局2内の受信アンテナ21は方向を変えられねばならない。このため、マイクロ受信基地局システムでは、受信アンテナ21として、本社3からの遠隔制御により回転することが可能な回転架台を有するもの(回転受信アンテナ)が用いられている。
また、同様に、本社3においても、送信点4に対して、回転受信アンテナ33が用いられている。
【0017】
回転受信アンテナ21の制御監視方法について説明する。
本社3内で、操作端末40よりネットワークへ送信された制御パケットは、制御端局39により受信されて、シリアル信号へ変換される。このシリアル信号は、更に、変復調部38において、例えばアナログ信号へ変調されて、基地局2へ向けて送信される。
なお、ネットワーク61に複数の操作端末や複数の制御端局をつなげて、それぞれの機器の識別情報(ID)によって送信相手や受信相手を特定して送受信を行うことも可能である。
【0018】
変復調部38から送信されたアナログ信号は、基地局2内の変復調部26により受信されて、シリアル信号へ復調された後に、被制御端局25へ送信される。
被制御端局25は、変復調部26から受信した信号(制御信号)を解読して、その解読結果に基づいて、回転受信アンテナ21の装置に対して制御を行う。
【0019】
また、回転受信アンテナ21の装置における角度などの情報(監視情報)は、監視信号として、被制御端局25へ送られる。
被制御端局25は、その監視情報をシリアル信号として変復調部26へ送信する。
変復調部26は、被制御端局25から受信したシリアル信号を例えばアナログ信号へ変調して、本社3に向けて送信する。
【0020】
本社3内の変復調部38は、基地局2の変復調部26から受信したアナログ信号をシリアル信号へ復調して、制御端局39へ送信する。
制御端局39は、変復調部38から受信したシリアル信号を解読して、その解読結果に基づいて、監視パケットをネットワーク61へ送信する。
操作端末40は、ネットワーク61を介してその監視パケットを受信して、端末上に情報として表示する。
【0021】
以上のようにして、基地局2内の回転受信アンテナ21の装置の制御監視が可能である。
また、本例のマイクロ受信基地局システムでは、前記した回転受信アンテナ21の装置に対する制御監視と同様に、基地局2に設置された受信部22や送信部23における受信レベルや送信レベル、送受信チャンネル(周波数帯)、変調方式、送信出力、復号方式、また例えば、信号切替器の接点選択、信号多重・分離装置における信号入力・出力選択などについても、操作端末40と制御端局39と被制御端局25と制御装置における一連の信号伝達によって制御監視することが可能である。
【0022】
また、送信点4からの素材伝送のように、本社3へ直接的に送信する場合には、操作端末40と制御端局39と制御装置という信号伝達経路を用いて、本社3に存在する回転受信アンテナ33の装置や受信部34などの装置に対して制御監視することが可能である。
【0023】
ここで、重要となってくるのが、受信アンテナ方向調整の材料となる方調支援データの情報である。
基地局2を通る伝送の場合には、この情報は、基地局2内の受信部22から被制御端局25、本社3の制御端局39を通して操作端末40へ送られる監視情報にあるか、又は、基地局2において受信部22が回転受信アンテナ21の装置から受信信号を受けてTS信号へ変換して送信する際に当該TS信号に多重する方調支援データの中にある。
【0024】
方調支援データは、それが多重されたTS信号が送信部23を通って固定アンテナ24、31の固定回線を通って本社3の受信部32において再びTS信号へ戻されて送信された後に、情報生成部36において当該送信されてきた当該TS信号から分離される。この分離された方調支援データは、情報編集部37において操作者にとって分かりやすい形に編集されて、ネットワーク62を通して操作端末40へ送信され、そして、端末画面上に表示される。
【0025】
また、本社3へ直接伝送される場合における方調支援データについては、信号を受信する受信部34から制御端局39を通して操作端末40へ送られる監視情報により端末画面上に表示されるか、又は、受信部34によりTS信号に多重された方調支援データを情報生成部36により分離して、情報編集部37により編集した後に、操作端末40へ送信することによって、端末画面上に表示される。
【0026】
以上のようにして、本社3にいる操作者は、操作端末40を用いて、受信部22、34における受信状態の情報を見ながら、回転受信アンテナ21、33の装置や受信部22、34を制御して、送信点1、4に対するアンテナ方向や受信設定を調整する。
【0027】
このように、各装置を制御する操作者は、端末画面上に表示される情報から現在の受信状態を判断する必要があるため、その材料となる方調支援データはマイクロ受信基地局システムにとって必要不可欠な情報である。
また、これまでのアナログ無線伝送と違って、デジタル伝送状態については、受信電界レベル以外にも複数の状態パラメータが存在する。現在の方調支援データに含まれる情報としては、例えば、受信部22、34における受信周波数や変調方式などの伝送パラメータを含んだTMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)情報、受信レベル、余裕度(Margin Degree)、BER(Bit Error Rate)、遅延プロファイル、コンスタレーションなどがあるが、伝送状態の評価を行うための情報としては1つの指標のみでは不十分であるため、通常は複数の指標を用いて総合的に評価することが多い。
【0028】
次に、本例のマイクロ受信基地局システムにおいて行われるコンスタレーションの評価について詳しく説明する。
本例では、情報編集部37により、コンスタレーションの評価が行われる。
ここで、情報生成部36により、単位時間当たりに解析された被調査信号のコンスタレーションで示されるデータシンボル群が生成されて、情報編集部37へ送られたとする。
【0029】
図2には、このような場合に情報編集部37により行われるコンスタレーション評価の手法の一例を示してある。具体的には、コンスタレーション上の理想基準点201、202、中間点203、データシンボル204を示してある。
一般に、デジタル無線伝送におけるコンスタレーションはI−Q座標上に展開される。ここで、Iはデジタル無線伝送における信号の同相成分を表し、Qは当該信号の直交成分を表す。
【0030】
図2において、基準点201及び基準点202は前記信号の変調方式によって算出された理想コンスタレーションで示される理想基準点の抜粋であり、基準点202は基準点201から最も近い距離Lに存在する理想基準点の1つである。また、点203は、基準点201と基準点202の中間点であり、点203と基準点(基準点201又は基準点202)との距離は(L/2)となる。また、データシンボル204は、情報生成部36により提供されたデータシンボル群の1つである。
本例では、情報生成部36により提供された全てのデータシンボル204に対して、最も近い理想基準点201、202との距離dを計算して、その中の最大値を最大誤差Mdとする。そして、(L/2)と最大誤差Mdとの差を算出して、これをコンスタレーションの余裕値Dとして第1の評価値とする。
【0031】
デジタル伝送において、十分な受信電界があり、且つBERが十分に低く、且つマージンがとれている安定状態である場合には、前記伝送の伝送状態を示すコンスタレーションは理想コンスタレーションとほぼ同様なシンボル配置を示す。このとき、データシンボル204は、理想コンスタレーションの理想基準点201、202に集中するように位置するため、各データシンボル204に対して計算されるdは小さくなり、最大誤差Mdも小さい値となる。
【0032】
逆に、状態が悪くなり、受信電界が低くなるか、若しくはBERが高くなるか、若しくはマージンが無くなっていくと、コンスタレーションのシンボル配置は理想基準点201、202に密集しなくなり、伝送状態の悪化が各dの値の増加として表れるため、最大誤差Mdも増加する。このとき、理想基準点201、202からの距離dは、他の理想基準点に位置するべきデータシンボルとの距離の余裕度に関係しており、伝送状態が過剰に悪くなると、別々の理想基準点に位置するべきデータシンボル同士が干渉を起こして、信号の誤りが発生してしまう。
【0033】
このように、最大誤差Mdは、他のデータシンボルとあとどれくらいで干渉を起こすかという危険度を示しているため、伝送状態の良し悪しを判断する尺度として有用であることが分かる。
また、距離Lは信号の変調方式による、単位時間に伝送可能な情報量の多さに関係する。この情報量が増加すると、コンスタレーション上では、理想基準点の数が増加して、各基準点同士の間隔が狭まり、このため、データシンボル同士の位置干渉が起こりやすくなる。
上記で定義した余裕値Dは、コンスタレーションにおけるデータシンボル同士の位置干渉に対して絶対的な余裕値を示しているため、変調方式(伝送レート)に因らない伝送状態の評価を行うことが可能である。
【0034】
次に、第2の評価値として、各シンボルに対して計算されたdの平均を平均誤差Eとして算出する。
平均誤差Eは、データシンボル204と理想基準点201、202との座標の差を偏差としたときの平均絶対偏差となるため、この値によりデータシンボル群の散らばり具合を読み取ることができる。
なお、この値は、公知の状態評価値MER(Modulation Error Ratio)で代用することも可能であるが、MERの算出方法は、データシンボル204の距離ベクトルの絶対値を電力換算したものと、理想基準点201、202の電力とを比にしたものを求めるものであり、本コンスタレーション上の評価では、余裕値Dと対比がとれないため、算出したdを利用した評価値として、前記した平均誤差Eを用いている。
【0035】
ここで、余裕値Dに係る最大誤差Mdの算出方法としては、例えば、全シンボルに対して計算されたdの上位数%(例えば、上位の定数個分)を平均化することや、或いは、当該上位数%(例えば、上位の定数個分)の中で最も小さいdを採用することもでき、その設定基準に応じて如何様にも設定することが可能である。
また、余裕値Dについても、例えば、{(L/2)−Md}から一定数を加減することや、或いは、{(L/2)−Md}に対して一定割合を乗除することを行って、評価値として用いることも可能である。
【0036】
また、平均誤差Eの算出方法としては、例えば、dの標準偏差などのように散らばり具合を示す数値や、或いは、全体で上位数%(例えば、上位の定数番目)のdなどのように全体から一定の基準で抽出された値を利用することも可能である。
更に、分散を利用した二乗単位での評価として、最大誤差Mdを二乗して、二乗の次元で両者を比較評価する方法を利用することも可能である。
【0037】
図3及び図4を参照して、本例のマイクロ受信基地局システムの端末表示について説明する。
図3には、本例のマイクロ受信基地局システムの操作端末40における方向調整操作画面(方調画面)の表示の一例を示してある。
本例の方向調整操作画面では、各監視情報の表示領域として、受信部22、34の受信電界を視覚的に表すメータ(BLメータ表示部)301と、受信電界の値としてBL値を表す部分(BL値表示部)302と、回転受信アンテナ21、33の装置の角度を表す部分(回転受信アンテナ装置角度表示部)303と、前記回転受信アンテナ21、33の装置の状態を表す監視部分(回転受信アンテナ装置監視表示部)304と、受信部22、34の設定と状態を表す監視部分(受信部監視表示部)305と、前記回転受信アンテナ21、33の装置を制御するための制御部分(回転受信アンテナ装置制御表示部)306と、アンテナの位置と方向を示す地図画面の部分(地図表示部)307と、当該地図の縮尺変更や当該地図の高度情報の表示を行わせるためのボタン(地図表示ボタン)308が設けられている。
【0038】
更に、本例の方向調整操作画面では、方調支援データを表示させるためのボタン(方調支援データ表示ボタン)309が設けられている。操作者がマウスなどを操作して、方調支援データ表示ボタン309を押下することにより、方調支援データ表示ウインドウを表示させることができる。
【0039】
図4には、本例のマイクロ受信基地局システムの操作端末40において方調支援データを表示する画面である方調支援データ表示ウインドウの表示の一例を示してある。
本例の方調支援データ表示ウインドウでは、BERの状態を表す部分(BER表示部)401と、余裕度(マージン)を表す部分(マージン表示部)402と、BL値を表す部分(BL値表示部)403と、BLのメータ(BLメータ表示部)404と、TMCC情報を表す部分(TMCC情報表示部)405と、遅延プロファイル情報を表す部分(遅延プロファイル情報表示部)406と、コンスタレーションを表す部分(コンスタレーション表示部)407が設けられている。
【0040】
本例では、図4に示されるコンスタレーション表示に対して、更に上記した評価値(第1の評価値D及び第2の評価値E)に関する情報を加えて表示する図5に示されるような表示を行う。
図5には、本例のマイクロ受信基地局システムの操作端末40における本例の評価値に関する情報を含むコンスタレーション情報の表示の一例を示してある。
本例のコンスタレーション情報の表示画面では、画面の上部に、信号の変調方式と当該変調方式により算出される誤差限界(例えば、前記した(L/2))を表示する部分(変調方式・誤差限界表示部)501と、各評価値(余裕値D、平均誤差E、最大誤差Md)を表示する部分(コンスタレーション評価値表示部)502が設けられている。
【0041】
また、本例のコンスタレーション情報の表示画面では、余裕値D、平均誤差E、最大誤差Mdをグラフ表示する部分が設けられている。
具体的には、基準点503、504は、コンスタレーションの理想基準点を表している。中間点505は、両基準点503、504の中間を表している。これにより、誤差限界を基準点503、504と中間点505との距離で表すことができる。
また、基準点503と基準点504を結ぶ直線上に、平均誤差(平均誤差E)506、最大誤差(最大誤差Md)507、余裕値(余裕値D)508を表示することで、現状態を視覚的に読み取れるようにしてある。
【0042】
このとき、例えば、画面上の両基準点503、504の間の距離を誤差限界の変化に応じて変化させると、伝送方式によって確定する基準点間の余裕度(限界誤差)についても視覚的に理解することができると考えられる。
また、値の変化によって各値や線の表示色を変化させることで、操作者に対して注意を促すことも有用である。また、評価値が一定の閾値を越えた時点(又は、一定の閾値未満となった時点など)で操作端末40の画面上に警告メッセージを表示させて警告音と共に知らせることで、より効果的な情報提供を行うことができる。
【0043】
ここで、図5に示されるような情報の表示に関しては、情報編集部37において図5に示されるような画面を作成して、例えばWEBエンコーダなどを通して操作端末40へ提供する方法を用いることができる。或いは、操作端末40において、情報編集部37から提供されたデータを元にして画面を作成して表示する方法を用いることもできる。
【0044】
本例の表示により、コンスタレーションは、定量的な値として評価することができるようになる。これにより、これまで画像(或いは、映像)として保存していたデータを値として保存することができるようになり、情報格納資源の必要量に関して大幅な削減を実現することができる。また、コンスタレーションの経緯を値の変化として記録することができるため、評価値の統計処理やグラフ化などにより、過去のデータ解析についても大きな向上を図ることができる。
【0045】
一例として、図5に示される本例のコンスタレーション情報の表示画面では、グラフ表示を行わせるためのボタン(グラフ表示ボタン)509が設けられている。そして、操作者がマウスなどを操作して、グラフ表示ボタン509を押下することに応じて、その下部に、評価値の数値履歴510をグラフ化して表示する。この場合に、例えば、複数の評価値を一度に表示させて、視覚的に比較を可能とすることも有効である。
また、例えば、平均誤差506、最大誤差507、余裕値508の表示部分において、過去の一定期間中に動いた範囲を重ねたもの(例えば、図中のmax、minの範囲部分)を表示することで、評価値の範囲の広さやピーク値によって状態の安定・不安定を把握させて、状態を判断させることも可能である。
【0046】
以上のように、本例のマイクロ受信基地局システムでは、デジタル無線伝送の伝送路を確立や調整するための表示画面において、当該デジタル無線伝送の状態表示として、当該デジタル無線伝送における信号のコンスタレーションから算出される評価値を含む伝送状態を表示する。
具体的には、前記した評価値としては、例えば、受信した信号のコンスタレーションに関して、コンスタレーションの各データシンボルと伝送の変調方式により算出される理想コンスタレーションで示される理想基準点との距離や、前記理想コンスタレーションにおける最小基準点間距離を利用して算出される値を用いる。そして、操作端末40上に、その評価値と経緯を含んだ情報を表示させる。
また、本例では、前記した評価値は、客観的且つ定量的な値を用いて表すことができ、コンスタレーションの時間的経緯を少ないデータ量で評価値の変化として保存や表現することが可能である。
【0047】
従って、本例では、デジタル無線伝送におけるコンスタレーションを、常時、客観的且つ定量的に評価することができ、コンスタレーションの時間的経緯を少ないデータ量でその評価値の変化として保存や表現することができ、これにより、マイクロ受信基地局システムの端末表示において、新たな評価指標を与えて、操作者による伝送状態の判断(判定)を従来よりもよりサポート(支援)することができる。このように、本例では、コンスタレーションから伝送状態を評価して表示することで、操作者などにとって、コンスタレーションの評価値やコンスタレーションの時間的経緯などの情報をグラフなどにより参照して、受信状態をより判断しやすい状況を実現することができる。
【0048】
なお、本例のマイクロ受信基地局システムでは、本社3において、情報生成部36や情報編集部37や操作端末40の機能により伝送状態表示装置が構成されており、このような伝送状態表示装置において、所定の評価値(本例では、余裕値Dや平均誤差E)を算出する評価値算出手段の機能を情報編集部37(或いは、他の処理部や、複数の処理部にわたってもよい)に備えており、算出された評価値を画面に表示する表示手段の機能を操作端末40に備えている。
【0049】
ここで、本発明に係るシステムや装置などの構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。また、本発明は、例えば、本発明に係る処理を実行する方法或いは方式や、このような方法や方式を実現するためのプログラムや当該プログラムを記録する記録媒体などとして提供することも可能であり、また、種々なシステムや装置として提供することも可能である。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
また、本発明に係るシステムや装置などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを当該記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施例に係るマイクロ受信基地局システムの構成例を示す図である。
【図2】コンスタレーション評価の手法の一例を示す図である。
【図3】マイクロ受信基地局システムの操作端末における方向調整操作画面の表示の一例を示す図である。
【図4】方調支援データ表示ウインドウの表示の一例を示す図である。
【図5】評価値に関する情報を含むコンスタレーション情報の表示の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1、4・・送信点、 2・・基地局、 3・・本社、 11、23、51・・送信部、 12、52・・アンテナ、 21、33・・回転受信アンテナ、 22、32、34・・受信部、 24、31・・固定アンテナ、 25・・被制御端局、 26、38・・変復調部、 35・・復号部、 36・・情報生成部、 37・・情報編集部、 39・・制御端局、 40・・操作端末、 61、62、71・・ネットワーク、
201、202・・理想基準点、 203・・中間点、 204・・データシンボル、
301・・BLメータ表示部、 302・・BL値表示部、 303・・回転受信アンテナ装置角度表示部、 304・・回転受信アンテナ装置監視表示部、 305・・受信部監視表示部、 306・・回転受信アンテナ装置制御表示部、 307・・地図表示部、 308・・地図表示ボタン、 309・・方調支援データ表示ボタン、
401・・BER表示部、 402・・マージン表示部、 403・・BL値表示部、 404・・BLメータ表示部、 405・・TMCC情報表示部、 406・・遅延プロファイル情報表示部、 407・・コンスタレーション表示部、
501・・変調方式・誤差限界表示部、 502・・コンスタレーション評価値表示部、 503、504・・理想基準点、 505・・中間点、 506・・平均誤差、 507・・最大誤差、 508・・余裕値、 509・・グラフ表示ボタン、 510・・評価値の数値履歴、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル無線伝送の伝送状態に関する情報を表示する伝送状態表示装置において、
前記デジタル無線伝送で伝送される信号のコンスタレーションにおけるデータシンボルの点と理想的なコンスタレーションにおけるデータシンボルの基準点との間の距離に基づいて所定の評価値を算出する評価値算出手段と、
前記評価値算出手段により算出された評価値を前記デジタル無線伝送の伝送状態に関する情報として表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする伝送状態表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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