説明

位相板及びその製造方法、並びに位相差電子顕微鏡

【課題】安定で、かつ高分解能の位相差電子顕微鏡像の取得が可能な位相板及びその製造方法、並びに位相差電子顕微鏡を提供する。
【解決手段】開口部を有する支持体12上に、その開口部12aの少なくとも一部を覆うように、例えば非晶質炭素などからなる導電性の芯位相板11が担持されると共に、裏面及び開口部を覆うように、例えば非晶質炭素などからなる導電性強化薄膜13を形成して位相板10とする。その際、導電性強化薄膜13は、斜め方向から膜材料を飛来させて形成する。そして、この位相板10を、位相差電子顕微鏡の対物レンズ及び試料を通過した電子の通路に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位相板及びその製造方法、並びにこの位相板を用いた位相差電子顕微鏡に関する。より詳しくは、位相差電子顕微鏡に用いられる位相板の帯電防止技術に関する。
【背景技術】
【0002】
位相差電子顕微鏡は、試料を透過した電子線に生じる位相の差を強度の変化に変換して画像化するものであり、生物や高分子試料を、無染色のまま、高コントラストで観察することができるため、生物分野や医療分野などを始めとして、様々な分野で注目されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
その一方で、位相差電子顕微鏡には、有機物、無機物又は酸化金属などの汚れの付着に起因して、位相板が帯電するという問題があり、従来の位相差電子顕微鏡では、位相板に比較的帯電しにくい炭素薄膜を使用している。位相差電子顕微鏡において、位相板に炭素などの導電性材料を用いた場合、位相板の帯電は、位相板そのものに原因であるわけではなく、位相板の製作過程に紛れ込む外来性の絶縁汚れが原因であることが古くから知られている。
【0004】
この位相板の汚れのうち、有機物由来のものは真空中である程度蒸発するが、無機物や金属酸化物由来のものは真空中でもなくならず、常に帯電原因として残ってしまう。そこで、従来、使用直前に位相板に対して長時間電子線照射を行う方法(特許文献2参照)や、加熱する方法(非特許文献1参照)が提案されており、これらの方法にはある程度の効果があるとされている。
【0005】
更に、使用直前に、位相板を薄い炭素膜で被覆して、汚れによる帯電を電気的にシールドする方法も提案されている(特許文献3参照)。そして、これらの中でも特に、本発明者により提案された「炭素膜被覆帯電シールド法」は、他の方法に比べて、位相板の帯電防止効果が優れていることから、多くの生物試料の観察に応用されている(非特許文献2〜7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−237603号公報
【特許文献2】特開2001−273866号公報
【特許文献3】特開2006−162805号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】J. Faget,M. M. Fagot,J. Ferre,C. Fertf、“Microscopie Electronique A contraste de Phase”、Proceedings of 5th International Congress of Electron Microscopy、Academic Press、1962年
【非特許文献2】Danev R,Nagayama K、“Single Particle Analysis Based on Zernike Phase Contrast Transmission Electron Microscopy”、J. Struct. Biol.、2008年、No.161、p.211−218
【非特許文献3】Rochat R H,Liu X,Murata K,Nagayama K,Rixon F,Chiu W、“Seeing the Genome Packaging Apparatus in Herpes Simplex Virus type I (HSV-1) B-capsids”、J. Virol.、2011年、No.85、p.1871−1874
【非特許文献4】Danev R,Gleaser R M,Nagayama K、“Practical Factors Affecting the Performance of a Thin-film Phase Plate for Transmission Electron Microscopy”、Ultramicroscopy、2009年、No.109、p.312−325
【非特許文献5】Danev R,Kanamaru S,Marko M,Nagayama K、“Zernike Phase Contrast Cryo-Electron Tomography”、J. Struct. Biol.、2010年、No.171、p.174−181
【非特許文献6】Danev R,Nagayama K、“Phase plates for transmission electron microscopy”、Meth. Enzymology、2010年、No.481、p.343−369
【非特許文献7】Fukuda Y,Fukazawa Y,Danev R,Shigemoto R,Nagayama K、“Tuning of the Zernike Phase Plate for Visualization of Detailed Ultrastructure in Complex Biological Specimens”、J. Struct. Biol.、2009年、No.168、p.476−484
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前述した従来の技術には、以下に示す問題点がある。即ち、特許文献2及び非特許文献1に記載された方法では、位相板の帯電防止効果が十分でないという問題点がある。一方、特許文献3に記載された方法は、位相板の加工工程において付着した汚れには有効であるが、電子顕微鏡内での観察過程において、生物試料や有機物試料から出た水や有機物などが付着して生じる汚れは、防止することができない。このため、この方法を適用したとしても、高分解能が得られる期間が短く、位相板が短命であるという問題点がある。
【0009】
そこで、本発明は、安定で、かつ高分解能の位相差電子顕微鏡像の取得が可能な位相板及びその製造方法、並びに位相差電子顕微鏡を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述したように、不揮発性の絶縁汚れをなくし、完全にクリーンな位相板を作る努力が過去多くの研究でなされたが、未だ成功していない。これは、自由薄膜である位相板を、基板から剥離し、電子顕微鏡用グリッド(位相板支持体)に転写するという工程の中で、多少なりとも微小汚れの付着が避けられないためである。
【0011】
そこで、本発明者は、安定でかつ高分解能の位相差電子顕微鏡像の取得が可能な位相板を実現するために鋭意実験検討を行い、位相板帯電の真の原因が、炭素膜でできた位相板本体とそれを担持する位相板支持体(グリッド)間の電気的接触不良によることを見出し、本発明に至った。
【0012】
即ち、本発明に係る位相板は、開口部を有する支持体(グリッド)と、該支持体上に、前記開口部の少なくとも一部を覆うように担持された導電性の芯位相板と、裏面及び開口部を覆うように形成された導電性強化薄膜と、を有するものであり、位相差電子顕微鏡の対物レンズを通過した電子の通路に、前記導電性強化薄膜が試料側になるように配置される。
この位相板では、前記芯位相板を、例えば炭素により形成することができる。
また、前記導電性強化薄膜も、炭素で形成されていてもよい。
更に、前記芯位相板は、例えば、平面視で円形状であり、かつ中央部分に真円状の電子通過孔を有し、前記芯位相板及び前記導電性強化薄膜を、電子の位相がπ/2シフトする厚さとすることができる。
又は、前記芯位相板は、平面視で半円形状であり、前記芯位相板及び前記導電性強化薄膜は、電子の位相がπシフトする厚さとなっていてもよい。
【0013】
本発明に係る位相板の製造方法は、位相差電子顕微鏡の対物レンズ及び試料を通過した電子の通路に配置される位相差電子顕微鏡用位相板を製造する方法であって、開口を有する支持体上に、前記開口の少なくとも一部を覆うように、芯位相板となる導電性膜を担持させる工程と、前記導電性膜を加工して芯位相板を形成する工程と、斜め方向から膜材料を飛来させて、支持体の裏面及び開口部並びに芯位相板の裏面上に導電性強化薄膜を形成する工程と、を有する。
この位相板の製造方法では、芯位相板を担持した支持体を回転させながら、導電性強化薄膜を形成してもよい。
【0014】
本発明に係る位相差電子顕微鏡は、前述した位相板を備えるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、位相板構成する薄膜と位相板支持体(グリッド)との間の電気的導通性が確保されるため、帯電による位相板の性能劣化を防止することができ、安定でかつ高分解能の位相差電子顕微鏡像が得られる位相板を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は本発明の第1の実施形態の位相板の構造を模式的に示す断面図であり、(b)はその100kV用炭素膜位相板の構成を示す模式図である。
【図2】(a)〜(e)は図1に示すゼルニケ位相板の製造方法を、その工程順に示す断面図である。
【図3】(a)は一般的な導電性強化薄膜形成方法を模式的に示す断面図であり、(b)は本発明の第1の実施形態における導電性強化薄膜形成方法を模式的に示す断面図である。
【図4】通常法とゼルニケ位相差法のCTFを比較した図である。
【図5】(a)〜(c)は炭素膜とグリッド間の導通性による帯電の変化を模式的に示す図である。
【図6】図5(a)〜(c)に示す各位相板について、芯位相板−グリッド間の導通性の経時変化モデルを示す図である。
【図7】(a)は本発明の第2の実施形態の位相板の構造を模式的に示す断面図であり、(b)はその100kV用炭素膜位相板の構成を示す模式図である。
【図8】(a)は実施例1の無帯電位相板の3nm金コロイド像であり、(b)はそのCTFを示す図である。
【図9】(a)は比較例1の帯電位相板の3nm金コロイド像であり、(b)はそのCTFを示す図である。
【図10】(a)〜(c)はそれぞれ図5(a)〜(c)の各位相板における評価結果を示す図である。
【図11】(a)は実施例2及び比較例2で用いた位相板を構成する各部品の正面図であり、(b)はその断面図である。
【図12】(a)は実施例2の位相板の構造を模式的に示す図であり、(b)はその評価結果を示す図である。
【図13】(a)は比較例2の位相板の構造を模式的に示す図であり、(b)はその評価結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について、添付の図面を参照して、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0018】
<第1の実施形態>
先ず、本発明の第1の実施形態に係る位相板について説明する。本実施形態の位相板は、ゼルニケ位相板と称され、電子の位相をπ/2(90°)シフトさせるものであり、例えば、位相差電子顕微鏡の対物レンズ後方の電子の通路に配置される。図1(a)は本実施形態の位相板の構造を模式的に示す断面図であり、図1(b)はその100kV用炭素膜位相板の構成を示す模式図である。
【0019】
図1(a),(b)に示すように、本実施形態の位相板10は、中央部に真円状の貫通孔(無散乱電子線透過孔14)が形成された芯位相板11が、その貫通孔よりも大径の開口部12aを有する位相板支持用グリッド12によって、一方の面側から支持されている。また、この位相板10の裏面(グリッド12側の面)の全て及び芯位相板11の貫通孔内は、導電性強化薄膜13によって被覆されている。なお、位相板10の表面(芯位相板11の他方の面)には、導電性強化薄膜13は形成されていない。
【0020】
このように、本実施形態の位相板10は、平面視で略円形状であり、中央部には試料からの無散乱電子を透過する無散乱電子線透過孔14が形成されている。また、その外側には、芯位相板11と導電性強化薄膜13の2層の導電性薄膜からなり、試料からの散乱電子を透過する散乱電子線透過領域15が設けられている。そして、最外部には電子を透過しない電子線不透過領域16が存在する構成となっている。
【0021】
[芯位相板11]
芯位相板11は、導電性材料により形成されている。その材質は、特に限定されるものではないが、酸化しない導電性材料である炭素が好適であり、特に電子を散漫散乱させる非晶質炭素で形成することが好ましい。また、芯位相板11の厚さは、材料や加速電圧などに応じて適宜設定することができる。
【0022】
ここで、位相板10は、芯位相板11と導電性強化薄膜13により構成され、その電子線位相変化量は、これらの厚さの和により決定される。例えば、図1(b)に示す加速電圧が100kV用の炭素膜位相板、即ち、芯位相板11と導電性強化薄膜13を炭素で形成した場合、芯位相板11と導電性強化薄膜13の厚さの和は20nmとなる。なお、芯位相板11と導電性強化薄膜13の厚さの和は、加速電圧が200kV用の場合は24nm、300kVの場合は28nmとなる。そこで、後述する理由から導電性強化薄膜13の厚さを10nm以上とするためには、芯位相板11の厚さは、機械的強度を失わない範囲で薄くすることが望ましい。
【0023】
[グリッド12]
グリッド12は、電子線を透過しない導電性材料によって形成されている。その材質は、特に限定されるものではないが、例えば銅、モリブデン及び白金などを使用することができ、その中でも特に、表面酸化防止の観点から、白金が好適である。また、グリッド12は、モリブデンなどの導電性材料の表面を炭素膜で被覆した構成とすることもできる。
【0024】
グリッド12の厚さは、例えば10〜50μmとすることができる。また、グリッド12の開口部12aの形状は、典型的には円形状であるが、これに限定されるものではなく、芯位相板11の貫通孔(無散乱電子線透過孔14)よりも大径の開口部が形成されていればよい。
【0025】
[導電性強化薄膜13]
導電性強化薄膜13は、例えば炭素、金、銀又は白金族(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスニウム、イリジウム、白金)などの導電性を有し、かつ酸化されにくい材料で形成される。これらの中でも、電子線散乱が小さく、酸化しない導電材料である炭素を使用することが望ましく、特に、電子を散漫散乱させる非晶質炭素で形成することがより望ましい。
【0026】
また、導電性強化薄膜13の厚さは、材料や加速電圧などに応じて適宜設定することができるが、経験的には10nm以上とすることが望ましい。これにより、グリッド12との機械的接着性が向上すると共に、グリッド12との間の電気的導通性が向上する。
【0027】
[製造方法]
次に、前述の如く構成される位相板10の製造方法について説明する。図2(a)〜(e)は本実施形態の位相板10の製造方法を、その工程順に示す断面図である。図2(a)〜(e)に示すように、本実施形態の位相板10は、例えば、以下に示す各工程により製造される。
【0028】
(堆積工程)
先ず、図2(a)に示すように、マイカやシリコンなどの絶縁性材料からなる基板1上に、芯位相板11を構成する材料を、ジュール熱真空蒸着法、電子ビーム真空蒸着法、イオンスパッター法又はプラズマCVD法などの方法により、所要厚みに成膜し、非晶質の芯位相板膜2を形成する。
【0029】
(剥離工程)
次に、図2(b)に示すように、基板1から芯位相板膜2を分離する。その方法は、特に限定されるものではないが、例えば、水中に基板1ごと浸漬することにより炭素膜が自然に剥離する水中剥離などの方法を採用することができる。この方法の場合、芯位相板膜2は、水面上に浮いた状態で分離される。
【0030】
(転写工程)
その後、図2(c)に示すように、例えば円形の開口部12aを有し、白金や炭素被覆モリブデンなどの導電性材料からなるグリッド12に、分離した芯位相板膜2を担持させる。例えば、芯位相板膜2を水中剥離した場合は、グリッド12で水面上に浮いている芯位相板膜2をすくい取ればよい。これにより、グリッド12の開口部12aは、その全面が芯位相板膜2で覆われることとなる。
【0031】
(孔空け工程)
その後、収束イオンビーム法などにより、芯位相板膜2に微小な貫通孔11aを形成し、図2(d)に示すように、グリッド12上に支持された状態でのまま芯位相板11を形成する。
【0032】
(導電性強化薄膜裏打ち工程)
次に、グリッド12の裏面、グリッド開口部12aの側面及び芯位相板11の裏面に、ジュール熱真空蒸着法、電子ビーム真空蒸着法、イオンスパッター法又はプラズマCVD法などの方法により、導電性強化薄膜13を構成する材料を所要厚みに成膜して、非結晶の導電性強化薄膜13を形成する。これにより、図2(e)に示すように、電子線透過孔14を備える位相板10が得られる。
【0033】
ここで、芯位相板11とグリッド12とが導電性強化薄膜13により導通化されるためには、グリッド12の裏面上、グリッド開口部12aの側面上及び芯位相板11の裏面上に設けられた導電性強化膜13の全てが連続している必要がある。図3(a)は一般的な導電性強化薄膜形成方法を模式的に示す断面図であり、図3(b)は本実施形態における導電性強化薄膜形成方法を模式的に示す断面図である。
【0034】
しかしながら、図3(a)に示す一般的な成膜方法を適用した場合、導電性強化薄膜13を構成する材料がグリッド開口部12aの直下域に配置されるため、グリッド開口部12aの側面部分が死角となり、導電性強化薄膜13に欠損が生じることがある。そして、この欠損により導電性強化薄膜13が不連続となると、芯位相板11とグリッド12とが不完全導通のままとなる。
【0035】
なお、各種成膜方法の中でも、CVD法(化学蒸着法)は死角が生じにくいと考えられているが、高速でグリッド表面をたたくジュール熱真空蒸着法やスパッター法は、グリッド表面の酸化膜や汚れを取り除く作用もある。このため、これらの成膜方法は、機械的及び電気的接合を要求される導電性強化薄膜13の形成には、好適である。
【0036】
そこで、図3(b)に示すように、本実施形態においては、導電性強化薄膜13を構成する膜材料を、斜め方向から飛来させて成膜し、グリッド開口部の側面部分が死角とならないようにする。これにより、導電性強化薄膜13における欠損発生を防止することができる。また、その際、グリッド12に対して、導電性強化薄膜12を構成する材料が飛来する角度を、40°〜50°とすることが望ましい。なお、ここで規定する角度は、飛来する電子の方向と芯位相板面の垂直軸との間の角度である。これにより、導電性強化薄膜13を、グリッド開口部12aの側面の全体に、安定して形成することができる。
【0037】
更に、導電性強化薄膜13を成膜する際は、グリッド12を回転させることが望ましい。これにより、堆積むらの発生を抑制し、グリッド12の裏面、グリッド開口部12aの側面及び芯位相板11の裏面に、欠陥がなく、厚さが均一な導電性強化薄膜13を形成することができる。この方法で成膜することにより、図1及び図2に示すようなグリッド開口部12aの直径が厚さ方向で均一場合だけでなく、図3(b)に示すような、グリッド開口部12が、芯位相板11から離れるに従い直径が小さくなるテーパ形状の場合でも、欠陥の発生を防止し、均一な導電性強化薄膜13を形成することができる。
【0038】
前述した位相板10の製造方法においては、導電性強化薄膜裏打ち工程を、最終工程とし、孔空け工程を最終工程としないことが重要である。これにより、孔空け工程での汚れを、帯電シールドする効果が得られる。
【0039】
また、前述した方法で位相板10を製造すると、グリッド12と芯位相板11及び導電性強化薄膜13との電気的接触が良好となり、位相板10の表面に汚れが付着し、電子線照射下で帯電した場合でも、グリッド12を通じて電子顕微鏡本体に放電される。更に、この位相板10は、導電性強化薄膜13により、前述した堆積工程、剥離工程及び転写工程で付着した絶縁汚れや、孔空け工程で付着した絶縁汚れを電気的にシールドすることができるため、電子線により誘起された汚れ電荷を電気的に封じ込めることができる。
【0040】
なお、この電気的シールド効果は、2次的なものであり、導電性強化薄膜13による裏打ちは、それ自身が位相板10の一部をなし、かつグリッド12との電気的接触強度と面積の増大により、芯位相板11の表側(電子線源側)に位相板加工工程で付着した汚れに起因する「汚れ帯電」を放電させることが、主要な効果である。
【0041】
[動作]
次に、本実施形態の位相板10の動作について説明する。この位相板10は、位相差電子顕微鏡の対物レンズ及び試料を通過した電子の通路に配置され、グリッド12が、導線などの接地部材17を介して接地される。そして、試料を通過した電子線は、この位相板10の全域を通過し、そして、散乱電子線透過領域15した電子の位相のみがπ/2シフトする。
【0042】
以下、本実施形態の位相板10では、どのようにして汚れによる帯電が防止されるかについて、モデルを用いて説明する。電子顕微鏡では、全ての像がコントラスト伝達関数(CTF)で変調を受ける。カメラとの対応で言えば、像がピンボケ(デフォーカス)している度合いを、定量的に規定するのがCTFである。ピントがズレると、即ち、レンズの位置が正しくないと、像がピンボケする。このレンズの位置ズレ、正確には焦点ズレ(Δz)が大きいほど、ピンボケの度合いが大きい。これを、CTFで表現すると、下記数式1で表される。
【0043】
【数1】

【0044】
なお、上記数式1において、λは電子線の波長、Δzは焦点のズレ、kは空間周波数である。上記数式1に空間周波数kが変数として入っているのは、CTFが、回折面、即ち対物レンズ後方の焦点面で定義される関数だからである。
【0045】
一方、無帯電のゼルニケ位相板(λ/4波長板で中心に小孔をもつ)により実現される理想的な位相差法のCTFは、下記数式2で与えられる。
【0046】
【数2】

【0047】
図4は通常法とゼルニケ位相差法のCTFを比較した図である。図4に示す実線が上記数式1のCTFであり、破線が上記数式2のCTFである。
【0048】
しかしながら、位相板が帯電すると、空間電位が誘起されて、帯電部分に局所的な位相変化と大域的なレンズ効果が生まれ、CTFの中に余分な位相成分q(k)が付け加わる。この場合のCTFは下記数式3で表される。
【0049】
【数3】

【0050】
上記数式3に示すq(k)は、位相板上の帯電分布に依存した複雑な形をしているが、最も単純な場合のq(k)=q・kでもその影響は大きく、CTFは、図4に点線で示すように変化する。帯電に伴うレンズ効果によるCTFの変化は、周波数の絶対値に比例するため、低周波成分よりも高周波成分の影響が大きい。このことは、図4に示した無帯電(破線)と、帯電(点線)のcos型CTFを比較することで理解される。
【0051】
一方、この帯電によるレンズ効果が変動しない場合、像の性質は大きく変化しないが、観察中に帯電量が変わり、レンズ効果が変動すると、高周波成分が先に変動し、その平均化が像に現れる。高周波成分は、異なるCTFの和となり、プラスとマイナスがキャンセルし、CTFの値は小さくなる。即ち、像は弱くなり、ボケる。これが帯電による像劣化の本質であり、像劣化には帯電量の変動が問題となる。
【0052】
[位相板性能劣化モデル]
次に、位相板におけるグリッドとの接触不良による性能劣化のモデルについて説明する。図5(a)〜(c)は炭素膜とグリッド間の導通性による帯電の変化を模式的に示す図である。
【0053】
図5(a)は、炭素膜からなる芯位相板を備えたゼルニケ位相板の例である。この位相板で、炭素膜とグリッドとの電気接触が不良で、中心孔のまわりに電子線により誘起付着した汚れがあるとすると、その汚れは、電子線によるイオン化によりプラスの電荷を持つ。そして、下地の炭素膜は導電性なので、すぐにマイナス電荷が寄ってきて表面付近で電気二重層(コンデンサー)を形成する。
【0054】
また、炭素膜全体は、グリッドとの不完全導通のため、中性条件を保つために、汚れを中和したマイナス電荷と同じ量のプラス電荷が、コンデンサー近傍に生ずる。コンデンサー効果は、そこを通過する電子線に局所的位相変化を与え、コンデンサー近傍のプラス電荷は、大域的レンズ効果を与える。ここで、前者は、局所的位相付加となり、対応する周波数成分に変調を与える。一方、後者は、先に述べた位相板の高周波成分消失効果を与え、これにより像はボケる。
【0055】
図5(b)は図5(a)の位相板に導電性薄膜による裏打ちを行い、裏側のみ電気的導通性を回復したものである。この場合、位相板内のプラス電荷は接地放電するため、コンデンサー効果のみが残る。また、図5(c)は図5(b)の位相板について芯位相板とグリッドとの導通性も回復したもので、全ての電荷が放電され、コンデンサー効果及びレンズ効果ともに消失し、高性能の位相板が得られる。
【0056】
図5(a)〜(c)に示すような炭素膜で形成された芯位相板は、一般に、水面上に浮いている炭素膜をすくいとる方法で、グリッドに担持されるため、グリッドとの電気的接触が不良になると考えられる。特に、グリッド表面が酸化されると、それが絶縁層となり、接触不良の原因となる。
【0057】
一方、裏打ち炭素膜(導電性強化薄膜)は、蒸着成膜法やスパッター成膜法などで形成されるため、グリッドに強固に付着し、電気的接触(電気導通性)は良好になると考えられる。特に、厚い膜の方が、強固に付着するので、電気的接触もより良好になると考えられる。このような場合でも、グリッド表面が酸化されることがあれば、電気的に接触不良となると推定される。
【0058】
その他、接触不良の原因としては、大きな温度変動に伴う炭素膜とグリッドとの熱膨張差ストレスも考えられる。また、芯位相板とグリッドとの電気接触は、一般に時間と共にある程度は改善されることが、経験的に分かっている。
【0059】
図6は図5(a)〜(c)に示す各位相板について、芯位相板−グリッド間の導通性の経時変化モデルを示す図である。図6に示す曲線(a)は、図5(a)に対応し、最初支持体との導通性が悪く、コンデンサー効果とレンズ効果の両方が現れる。そして、導通性が時間と共に回復すると、コンデンサー効果のみが残る。しかしながら、電子線照射により、生体試料から大量の水などが放出されると、グリッド表面が酸化され、導通性が急激に落ち、レンズ効果が再び現れて、像はボケる。
【0060】
図6に示す曲線(b)は、図5(b)に対応し、コンデンサー効果のみ現れるが、グリッドの導通性が回復すると、レンズ効果も消失する。しかしながら、電顕内のグリッド表面酸化や温度ストレスにより、全てが不完全導通となると、コンデンサー効果とレンズ効果の両方が現れる。また、図6に示す(c)は、図5(c)に対応する。特に、グリッドの酸化を防いだり、又は、白金などの酸化しない材料でグリッド形成したりした場合、性能劣化がなく高性能の位相板が保持される。
【0061】
以上詳述したように、本実施形態の位相板10では、転写工程及び孔空け工程の後に、導電性強化薄膜13による導通化工程を行っているため、汚れ帯電が避けられない芯位相板11とグリッド12との間の導通を良好にし、汚れ帯電を放電することができる。また、本実施形態の位相板10では、導電性強化薄膜13を形成する際に、膜材料を斜め方向から飛来させているため、欠損のない導電性強化薄膜13を安定して形成することができる。その結果、芯位相板11とグリッド12との間の導通を、安定して得ることができる。
【0062】
特に、本実施形態の位相板10では、導電性強化薄膜を一方の面にのみ形成しているため、全面に導電性強化薄膜を形成する場合よりもその厚さを厚くすることができる。これにより、表裏面の導通性が向上し、試料から発せられる水や有機物からなる汚れが付着しても、接地放電により事実上帯電しなくなる。その結果、帯電による位相板の性能劣化を防止することができ、安定でかつ高分解能の位相差電子顕微鏡像が得られる位相板を実現することができる。
【0063】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係る位相板について説明する。本実施形態の位相板は、ヒルベルト位相板と称され、電子の位相をπ(180°)シフトさせるものであり、例えば、位相差電子顕微鏡の対物レンズを通過した電子の通路に配置される。図7(a)は本実施形態の位相板の構造を模式的に示す断面図であり、図7(b)はその100kV用炭素膜位相板の構成を示す模式図である。
【0064】
図7(a)及び図7(b)に示すように、本実施形態の位相板20は、開口部22aを有するグリッド22によって、平面視で略半円形状の芯位相板21が、一方の面側から支持されている。また、この位相板20は、グリッド22の裏面及び開口部側面、並びにグリッド22の開口部22a内で露出している芯位相板21の裏面及び側面が、導電性強化薄膜23によって被覆されている。なお、位相板20の表面(芯位相板21の他方の面及びグリッド22の表面の芯位相板21を支持していない領域)には、導電性強化薄膜23は形成されていない。
【0065】
そして、本実施形態の位相板20には、平面視で略半円形状で、試料からの無散乱電子を透過する無散乱電子線透過孔24と、芯位相板21と導電性強化薄膜23の2層の導電性薄膜で構成され、試料からの散乱電子を透過する散乱電子線透過領域25と、電子を透過しない電子線不透過領域26が設けられている。
【0066】
本実施形態の位相板20における芯位相板21及び導電性強化薄膜23の膜厚は、電子の位相がπシフトするように調節させる。また、グリッド22は、電子を透過せず、接地部材27を介して接地される。なお、本実施形態の位相板20における上記以外の構成及び位相板20の製造方法は、前述した第1の実施形態と同様である。
【0067】
本実施形態の位相板20においても、切り出し工程後に、導電性強化薄膜による導通化工程を行い、更に、導電性強化薄膜33を形成する際は、膜材料を斜め方向から飛来させているため、芯位相板21とグリッド22との間の良好な導通を、安定して得ることができる。そして、本実施形態の位相板20においても、導電性強化薄膜を一方の面にのみ形成しているため、全面に導電性強化薄膜を形成する場合よりもその厚さを厚くすることができる。
【0068】
これにより、表裏面の導通性を確保することができるため、試料から発せられる水や有機物からなる汚れが付着しても、接地放電により事実上帯電しなくなる。その結果、帯電による位相板の性能劣化を防止することができるため、安定でかつ高分解能の位相差電子顕微鏡像が得られる位相板を実現することができる。
【実施例】
【0069】
以下、本発明の実施例及び比較例を挙げて、本発明の効果について具体的に説明する。
【0070】
<第1実施例>
本発明の第1実施例においては、先ず、帯電に伴う像劣化を確認した。具体的には、本発明の無帯電位相板(実施例1)と、実施例1の無帯電位相板のグリッド(モリブデン)を水蒸気導入により意識的に酸化させた比較例1の帯電位相板を使用して、電子顕微鏡(加速電圧:200kV)により金コロイドを観察した。
【0071】
図8(a)は実施例1の無帯電位相板の3nm金コロイド像であり、図8(b)はそのCTFを示す図である。また、図9(a)は比較例1の帯電位相板の3nm金コロイド像であり、図9(b)はそのCTFを示す図である。図8(a)に示すように、実施例1の無帯電位相板を使用した場合、金コロイドの1つ1つが確認できた。また、図8(b)に示すように、対応するCTFも振動挙動が高周波(右方)まで大きく伸びている。これに対して、比較例1の帯電位相板を使用した場合、図9(a)に示すように、金コロイドがボケており、図9(b)に示すように、対応するCTF(位相板あり)の振動も、高周波方向で弱まっており、像が劣化していた。
【0072】
次に、CTFから見た位相板特性を確認した。具体的には、図5(a)〜(c)に示した各位相板を使用し、位相板ありの場合、位相板なしの場合とでCTF曲線を比較し、その性能を評価した。図10(a)〜(c)はそれぞれ図5(a)〜(c)の各位相板における評価結果を示す図である。ここでは、位相板ありのCTF曲線が、位相板なしCTF曲線よりも、上にあり、その位置が離れている方が、位相板性能が良好であるとした。
【0073】
図10(a)は、図5(a)の位相板に対応するものであるが、コンデンサー効果とレンズ効果によって、かなり低周波側(縦線付近)から始まる高周波特性の劣化が生じていた。また、図10(b)は、図5(b)の位相板に対応するものであるが、コンデンサー効果が残るため、汚れのある局所的な低周波域(2つの縦線の間)で、劣化が起こっていた。ただし、高周波域では、劣化は生じていなかった。
【0074】
これに対して、図5(c)の位相板に対応する図10(c)では、帯電が起こらず、低周波域及び高周波域とも極めて良好であった。この結果から、本発明によれば、帯電による位相板の性能劣化を防止することができ、安定でかつ高分解能の位相差電子顕微鏡像が得られる位相板を実現することができることが確認された。
【0075】
<第2実施例>
次に、本発明の第2実施例として、炭素クラスターの飛来方向が垂直の場合(比較例2)と斜めの場合(実施例2)とで、形成される導電性強化薄膜の状態及び位相板の特性を評価した。図11(a)は実施例2及び比較例2で用いた位相板を構成する各部品の正面図であり、図11(b)はその断面図である。
【0076】
本実施例においては、先ず、図11(a)及び(b)に示すように、開口部がテーパ状で、厚さが20μmのモリブデン製グリッド42を、厚さ250μmの白金台44上に、厚さ100μmのC−リング45で固定する。次に、芯位相板となる10nm厚の炭素膜41を、水面からモリブデン製グリッド42の面上にすくい取る。この段階ではグリッド表面酸化のため、炭素膜41はモリブデン製グリッド42と不完全導通であった。
【0077】
次に、モリブデン製グリッド42の炭素膜41が載置されている面と反対側の面に、真空蒸着により、導電性強化薄膜となる炭素膜43を形成する。真空蒸着は、モリブデン製グリッド42の面を炭素源方向に対して90°にした場合(比較例2)と、45°傾けた場合(実施例2)の2つの条件で行った。また、炭素膜43にむらができないように、モリブデン製グリッド42を回転させながら蒸着した。更に、200kV用の位相板に適合させるため、この過程での炭素膜43の厚さは約10nmになるように調整し、芯位相板用炭素膜41と合わせた厚さを約20nmにした。
【0078】
図12(a)は実施例2の位相板の構造を模式的に示す図であり、図12(b)はその評価結果を示す図である。また、図13(a)は比較例2の位相板の構造を模式的に示す図であり、図13(b)はその評価結果を示す図である。図12(a)に示すように、45°傾けた実施例2の位相板は、グリッド開口部の側面まで炭素膜43が形成されていた。一方、図13(a)に示すように、開口部の直下から蒸着した比較例2の位相板は、グリッド開口部の側面に炭素膜43が形成されていない部分があった。
【0079】
次に、これら実施例2及び比較例2の位相板について、200kVの電子顕微鏡による帯電テストを行った。その結果、図13(b)に示すように、グリッド開口部側面に炭素膜43が形成されていない比較例2の位相板では、電子線照射中に帯電し、像はボケた。一方、図12(b)に示すように、グリッド開口部側面にも炭素膜43が形成されている実施例2の位相板は、大量の電子線照射の後も最初の状態のシャープな像が持続した。
【0080】
以上の結果から、本発明によれば、たとえ汚れがあっても、位相差電子顕微鏡用位相板の汚れ帯電を防止することができる。そして、本発明は、ゼルニケ(Zernike)位相差法やヒルベルト(Hilbert)位相差法など種々のタイプの位相差電子顕微鏡での広範な生物科学や材料科学分野への応用が可能である。更に、グリッド開口部がテーパ形状であっても、斜め方向から材料を飛来させることにより、欠損のない導電性強化薄膜を形成することが可能となり、確実に導電強化できることが確認された。
【符号の説明】
【0081】
1 基板
2 芯位相板膜
10、20 位相板
11、21 芯位相板
12、22、42 位相板支持用グリッド
12a、22a 位相板支持用グリッド開口部
13、23 導電性強化薄膜
14、24 無散乱電子線透過孔
15、25 散乱電子線透過領域
16、26 電子線不透過領域
17、27 アース接地
41、43 炭素膜
44 白金台
45 C−リング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する支持体と、
該支持体上に、前記開口部の少なくとも一部を覆うように担持された導電性の芯位相板と、
裏面及び開口部を覆うように形成された導電性強化薄膜と、を有し、
位相差電子顕微鏡の対物レンズ及び試料を通過した電子の通路に配置される位相差電子顕微鏡用位相板。
【請求項2】
前記芯位相板は、炭素により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の位相差電子顕微鏡用位相板。
【請求項3】
前記導電性強化薄膜は、炭素により形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の位相差電子顕微鏡用位相板。
【請求項4】
前記芯位相板は、平面視で円形状であり、かつ中央部分に真円状の電子通過孔を有し、
前記芯位相板及び前記導電性強化薄膜は、電子の位相がπ/2シフトする厚さとなっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の位相差電子顕微鏡用位相板。
【請求項5】
前記芯位相板は、平面視で半円形状であり、
前記芯位相板及び前記導電性強化薄膜は、電子の位相がπシフトする厚さとなっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の位相差電子顕微鏡用位相板。
【請求項6】
位相差電子顕微鏡の対物レンズ及び試料を通過した電子の通路に配置される位相差電子顕微鏡用位相板を製造する方法であって、
開口を有する支持体上に、前記開口の少なくとも一部を覆うように、芯位相板となる導電性膜を担持させる工程と、
前記導電性膜を加工して芯位相板を形成する工程と、
斜め方向から膜材料を飛来させて、支持体の裏面及び開口部並びに芯位相板の裏面上に導電性強化薄膜を形成する工程と、
を有する位相板の製造方法。
【請求項7】
芯位相板を担持した支持体を回転させながら、導電性強化薄膜を形成することを特徴とする請求項6に記載の位相板の製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至5のいずれか1項の位相板を備える位相差電子顕微鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−253001(P2012−253001A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235473(P2011−235473)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(504261077)大学共同利用機関法人自然科学研究機構 (156)
【出願人】(505411789)ナガヤマ アイピー ホールディングス エルエルシー (3)
【氏名又は名称原語表記】Nagayama IP Holdings, LLC
【Fターム(参考)】