位置合わせ装置、位置合わせ方法及びハニカムフィルタの製造方法
【課題】位置合わせ後に位置をあわせた状態でハニカム構造体及びマスクを搬送可能であり、かつ、位置合わせを効率よく行なえる位置合わせ装置及びこれを用いた方法を提供する。
【解決手段】台座302と、台座302に固定され、台座302に対して移動部材320を、所定の面と平行な方向に移動可能、かつ、この面と垂直な軸周りに回動可能な移動機構310と、移動部材320に着脱可能に固定され、柱状のハニカム構造体70を固定する固定治具100と、台座302に固定され、ハニカム構造体70の端面と対向する位置に着脱可能にマスク170を固定する台座側マスク固定部材304と、固定治具100に固定され、マスク170を固定可能な固定治具側マスク固定部材20と、を備える位置合わせ装置400である。
【解決手段】台座302と、台座302に固定され、台座302に対して移動部材320を、所定の面と平行な方向に移動可能、かつ、この面と垂直な軸周りに回動可能な移動機構310と、移動部材320に着脱可能に固定され、柱状のハニカム構造体70を固定する固定治具100と、台座302に固定され、ハニカム構造体70の端面と対向する位置に着脱可能にマスク170を固定する台座側マスク固定部材304と、固定治具100に固定され、マスク170を固定可能な固定治具側マスク固定部材20と、を備える位置合わせ装置400である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置合わせ装置、位置合わせ方法及びハニカムフィルタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ハニカムフィルタが、DPF(Diesel particulate filter)用等として広く知られている。このハニカムフィルタは、多数の貫通孔を有するハニカム構造体の一部の貫通孔の一端側を封口材で封じると共に、残りの貫通孔の他端側を封口材で封じた構造を有する。そして、特許文献1には、このようなハニカムフィルタを製造する方法が開示されている。特許文献1では、シリンダ7内に配置したハニカム構造体1の一端面に対して、封口する場所に貫通孔を有するマスクを介してピストン8により封口材を貫通孔に押圧することにより、ハニカム構造体の所望の貫通孔の端部に封口材を供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭63−24731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ハニカム構造体の貫通孔とマスクの貫通孔との位置合わせをする工程と、位置合わせしたマスクを介してハニカム構造体の貫通孔に封口材を供給する工程とを、別の場所で行うと、各工程を専用の装置で行うことができる。
【0005】
このためには、ハニカム構造体に対してマスクを位置合わせした後に、これらを封口装置がある場所など、位置合わせを行なう場所とは別の場所に搬送等する間に、マスクと貫通孔との相対位置がずれないようにマスクとハニカム構造体とを強固に固定しておく固定治具が必要である。その一方、このような固定治具を用いる場合でも、位置合わせ作業は効率よく行いたい。
【0006】
しかしながら、位置合わせ後に位置を合わせたままでの搬送が可能でありつつ、位置合わせ作業を効率よくできる位置合わせ装置、位置合わせ方法、及びこれを用いたハニカムフィルタの製造方法は知られていない。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、位置合わせ後に位置をあわせた状態でハニカム構造体及びマスクを搬送可能であり、かつ、位置合わせを効率よく行なえる位置合わせ装置、位置合わせ方法、及びこれを用いたハニカムフィルタの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる位置合わせ装置は、台座と、台座に固定され、台座に対して移動部材を、所定の面と平行な方向に移動可能、かつ、面と垂直な軸周りに回動可能な移動機構と、移動部材に着脱可能に固定され、柱状のハニカム構造体を固定する固定治具と、台座に固定され、ハニカム構造体の端面と対向する位置に着脱可能にマスクを固定する台座側マスク固定部材と、固定治具に固定され、マスクを固定可能な固定治具側マスク固定部材とを備える。
【0009】
本発明によれば、ハニカム構造体を固定した固定治具を移動部材に固定し、台座側マスク固定部材にマスクを固定し、移動機構を駆動することにより、マスクの貫通孔と、ハニカム構造体の貫通孔とを容易に位置合わせすることができる。そして、位置合わせが完了した後に、治具側マスク固定部材によりマスクを固定治具に対して固定し、固定治具を移動部材から開放すると共にマスクを台座側マスク固定部材から開放することにより、ハニカム構造体とマスクとの位置関係を固定した状態でこれらを固定治具と共に他の場所等に搬送できる。
【0010】
ここで、移動部材は凸部を有し、固定治具は凹部を有し、凸部と凹部とが嵌合可能とできる。
【0011】
これによれば、移動部材と固定治具とを容易に着脱可能に固定することが出来る。さらに、移動部材上には粉などが落ちることが多いが、移動部材が凸部を有するので、移動部材の掃除も容易である。
【0012】
また、固定治具側マスク固定部材は、マスクにおけるハニカム構造体と対向する面の外周部を吸着することができる。
【0013】
また、固定治具は、ハニカム構造体の側面を挟持することができる。
【0014】
また、台座側マスク固定部材は、端部からハニカム構造体の端面と対向する部分にまで延びる切欠きを有すると共に、ハニカム構造体の端面と対向する位置にマスクと嵌合可能な凹部を有する板とできる。
【0015】
また、マスクは切欠きを有し、板の凹部は切欠きと当接する当接部を有することができる。
【0016】
本発明に係るハニカム構造体とマスクとの位置合わせ方法は、ハニカム構造体を固定した固定治具を、台座に固定された移動部材に固定する工程と、マスクを、ハニカム構造体の端面と対向するように、台座に固定された台座側マスク固定部材に固定する工程と、移動部材を台座に対して、ハニカム構造体の端面と平行な方向に移動、及び/又は、端面と垂直な軸周りに回動させることにより、マスクの貫通孔と、ハニカム構造体の貫通孔とを位置合わせする工程と、位置合わせされたマスクを固定治具に固定された固定治具側マスク固定部材に固定する工程と、固定治具を移動部材から開放すると共にマスクを台座側マスク固定部材から開放する工程とを備える。
【0017】
本発明に係るハニカムフィルタの製造方法は、上述の位置合わせ方法と、開放された固定治具を、台座から離れた場所に搬送し、マスクを介してハニカム構造体の貫通孔に充填材を供給する工程とを備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、位置合わせ後に位置をあわせた状態でハニカム構造体及びマスクを搬送可能であり、かつ、位置合わせを効率よく行なえる位置合わせ装置、位置合わせ方法、及び、ハニカムフィルタの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る位置合わせ装置400の斜視図である。
【図2】図2は、図1の位置合わせ装置にハニカム構造体を固定した状態を示す斜視図である。
【図3】図3は、図2の位置合わせ装置にマスクを固定した状態を示す斜視図である。
【図4】図4は、図3の位置合わせ装置から固定治具を除去した状態を示す斜視図である。
【図5】図5の(a)は、図1の位置合わせ装置400の固定治具100の上面斜視図、図5の(b)は、固定治具100の下面斜視図である。
【図6】図6は、固定治具100の側面図である。
【図7】図7は、固定治具100の上面図である。
【図8】図8は、図1の固定治具100及び移動機構310の近傍の部分断面外略図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態に係る封口装置及び封口方法を示す部分断面図である。
【図10】図10は、本発明の他の実施形態に係る固定治具100及び移動機構310の近傍の部分断面外略図である。
【図11】図11の(a)は、本発明の他の実施形態に係る封口用マスクの一例を示す上面図であり、図11の(b)は、図11の(a)の封口用マスクをハニカム構造体の端面に対して位置合わせした状態を示す部分断面図である。
【図12】図12は、本発明の他の実施形態に係る位置合わせ装置の一例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る位置合わせ装置の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0021】
(位置合わせ装置400)
本実施形態にかかる位置合わせ装置400は、図1に示すように、主として、固定治具100と、固定治具100を着脱可能に固定する架台部300とを有する。架台部300は、主として、台座302と、台座302に固定された移動機構310と、台座302に固定された台座側マスク固定板(台座側マスク固定部材)304とを有している。
【0022】
本実施形態に係る位置合わせ装置400は、図2に示すように、固定治具100がハニカム構造体70を固定し、図3に示すように、台座側マスク固定板304がマスク170を固定し、移動機構310により固定治具100を移動させることによりマスク170とハニカム構造体70との貫通孔同士の位置合わせを行なうものである。
【0023】
ここでまず、ハニカム構造体70及びマスク170を説明する。
【0024】
(ハニカム構造体70)
ハニカム構造体70は、図2に示すように、互いに平行に伸びる複数の貫通孔70aを有する円柱体である。
【0025】
ハニカム構造体70の貫通孔70aが延びる方向の長さは特に限定されないが、例えば、40〜350mmとすることができる。また、ハニカム構造体70の外径も特に限定されないが、例えば、100〜320mmとすることできる。貫通孔70aの断面のサイズは、例えば、正方形の場合一辺0.8〜2.5mmとすることができる。貫通孔70a間の間隔である隔壁の厚みは、0.05〜0.5mmとすることができる。
【0026】
ハニカム構造体70は、後で焼成することにより多孔性セラミクスとなるグリーン(未焼成体)であることができ、この場合、セラミクス原料を含む成形体や、セラミクス粒子の成形体であることができる。セラミクスは特に限定されないが、例えば、アルミナ、シリカ、ムライト、コーディエライト、ガラス、チタン酸アルミニウム等の酸化物、シリコンカーバイド、窒化珪素、金属等が挙げられる。なお、チタン酸アルミニウムは、さらに、マグネシウム及び/又はケイ素を含むことができる。このようなハニカム構造体70は、セラミクス原料である無機化合物源粉末、及び、メチルセルロース等の有機バインダ、及び、必要に応じて添加される添加剤を含む。
【0027】
例えば、セラミクスがチタン酸アルミニウムの場合、無機化合物源粉末は、αアルミナ粉等のアルミニウム源粉末、及び、アナターゼ型やルチル型のチタニア粉末等のチタニウ
ム源粉末を含み、必要に応じて、さらに、マグネシア粉末やマグネシアスピネル粉末等のマグネシウム源粉末及び/又は、酸化ケイ素粉末やガラスフリット等のケイ素源粉末を含むことができる。
【0028】
有機バインダとしては、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロースなどのセルロース類;ポリビニルアルコールなどのアルコール類;リグニンスルホン酸塩を例示できる。
【0029】
添加物としては、例えば、造孔剤、潤滑剤および可塑剤、分散剤、溶媒が挙げられる。
【0030】
造孔剤としては、グラファイト等の炭素材;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル等の樹脂類;でんぷん、ナッツ殻、クルミ殻、コーンなどの植物材料;氷;およびドライアイス等などが挙げられる。
【0031】
潤滑剤および可塑剤としては、グリセリンなどのアルコール類;カプリル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、アラキジン酸、オレイン酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸;ステアリン酸Alなどのステアリン酸金属塩;ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどが挙げられる。潤滑剤及び可塑剤の添加量は、無機化合物源粉末の100重量部に対して、0〜10重量部とでき、0.1〜5重量部とできる。
【0032】
分散剤としては、たとえば、硝酸、塩酸、硫酸などの無機酸;シュウ酸、クエン酸、酢酸、リンゴ酸、乳酸などの有機酸;メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類;ポリカルボン酸アンモニウムなどの界面活性剤などが挙げられる。分散剤の添加量は、無機化合物源粉末の100重量部に対して、0〜20重量部とでき、2〜8重量部とできる。
【0033】
溶媒としては、たとえば、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノールなどのアルコール類;プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールなどのグリコール類;および水などを用いることができる。
【0034】
このようなハニカム構造体70は例えば以下のようにして製造することができる。まず、無機化合物源粉末と、有機バインダと、溶媒と、必要に応じて添加される添加物を用意する。そして、これらを混練機等により混合して原料混合物を得、得られた原料混合物を隔壁の形状に対応する出口開口を有する押出機から押し出し、所望の長さに切断後、公知の方法で乾燥することにより、ハニカム構造体70を得ることができる。
【0035】
なお、ハニカム構造体は、未焼成体でなくて、焼成済みのもの(例えば、多孔質セラミクス)であってもよい。
【0036】
(マスク170)
マスク170は、図3に示すように、略円形の板状部材であり、多数の貫通孔170aを有する。貫通孔170aの平面形状は、例えば、ハニカム構造体70の貫通孔70a(図2参照)に対応する正方形とすることができる。これらの複数の貫通孔170aは、図3に示すように、千鳥配置とされており、各貫通孔170aは、図2の正方配置されたハニカム構造体70の複数の貫通孔70aのうち、互いに上下左右に隣接しない関係にある複数の貫通孔のみに対向して配置される。マスク170の外径は、ハニカム構造体70の外径よりも大きくなっており、マスク170は、ハニカム構造体70とは対向しない環状の外周部170pを有する。マスク170は、後述する電磁ホルダ20による吸着を可能とすべく、磁力により吸着可能な強磁性材料、例えば、フェライト系ステンレスからなることができる。
【0037】
マスク170には、マスクの回転方向の動きを固定すべく端面に平坦な切欠きとしてのオリエンテーションフラット170ofが設けられている。
【0038】
(台座302)
続いて、図1及び図4を参照して位置合わせ装置400の架台部300の台座302について説明する。
【0039】
台座302は、板状をなす部材であり、上面が水平面となるように配置されている。移動機構310は、この台座302の上面に固定されている。
【0040】
図4は、図1の位置合わせ装置400から、固定治具100を取り外した状態の架台部300を示すものである。
【0041】
(移動機構310)
移動機構310は、移動部材320と、移動部材320を移動させる移動部310Aとを有する。移動部310Aは、回動部310θと、Y移動部310Yと、X移動部310Xとを有しており、移動部材320を、台座302に対して、水平面(XY面)と平行な方向に移動可能、かつ、水平面と垂直な軸(Z軸)周りに回動可能である。また、移動部310Aは、Z移動部310Zを有することができる。
【0042】
回動部310θは、ハンドル310θaの操作に応じて、台座302に対して、移動部材320を鉛直軸(Z軸)周りに回動、すなわち、正逆両方向に回転する。Y移動部310Yは、ハンドル310Yaの操作に応じて、台座302に対して、移動部材320を±Y方向に移動させる。X移動部310Xは、ハンドル310Xaの操作に応じて、台座302に対して、移動部材320を±X方向に移動させる。Z移動部310Zは、ハンドル310Zaの操作に応じて、台座302に対して、移動部材320を±Z方向に移動させる。
【0043】
移動部材320は、移動部310Aとの接続部320bと、接続部320bに接続された円板状の円板部320a、及び、円板部320aの上面中央に設けられた凸部320cとを有する。
【0044】
(固定治具100)
図1に戻って、移動部材320上に載置される固定治具100は、主として、固定治具台座10、エアピッカー30、電磁ホルダ(固定治具側マスク固定部材)20を有する。図5の(a)は本実施形態に係る固定治具100の上面斜視図、図5の(b)は固定治具100の下面斜視図、図6は固定治具100の側面図、図7は固定治具100の上面図である。
【0045】
固定治具台座10は、図5に示すように、概ね円板状をなし、上面中央部に円板状の凸部12を有する。凸部12の上面中央部には、円板状の凹部14が形成され、凹部14の上面が、ハニカム構造体の端面を載置する載置面14aとなる。凹部14の直径は、図2に示すように、ハニカム構造体70の下端部を収容できる大きさとされている。図5の(b)及び図6に示すように、固定治具台座10の底面には凹部10aが形成されている。図8は、固定治具100と移動機構310の近傍の垂直部分断面図である。固定治具台座10の凹部10aは、移動部材320の凸部320cと嵌合可能とされている。
【0046】
図5に戻って、エアピッカー30は、支持棒31の上端に取り付けられている。支持棒31は、載置面14aを取り囲むように3つ配置されている。したがって、本実施形態では、エアピッカー30を3つ備えている。3つのエアピッカー30は、図7に示すように、載置面14aの中心O周りに互いに120度離れた位置に配置されており、図2に示すように、載置面14a上に載置されるハニカム構造体の側面70sを3方から挟持可能な位置に配置されている。
【0047】
図5に戻って、エアピッカー30は、ガス出入口30cを有するベース部30aと、ガス出入口30cから供給されるガスにより膨らむことの出来るゴム中空体30bと、を備える。エアピッカー30に対して、ガス出入口30cからガスを供給すると、ゴム中空体30bが膨らんでハニカム構造体の側面を3方から押圧できる一方、ガス出入口30cからガスを排出すると、ゴム中空体30bがしぼんでハニカム構造体の側面を押圧しなくなる。なお、ガスの配管は図示を省略している。
【0048】
電磁ホルダ20は、支持棒21の上端に取り付けられている。支持棒21は、載置面14aを取り囲むように3つ配置されている。したがって、本実施形態では、電磁ホルダ20を3つ備えている。3つの電磁ホルダ20は、図7に示すように、載置面14aの中心O周りに互いに120度離れた位置に配置されており、図3に示すように、ハニカム構造体70の上面に配置されるマスク170の外周部170pの下面に3箇所から対向する位置に配置されている。図7に示すように、電磁ホルダ20と、エアピッカー30とは、載置面14aの中心O周りに互いに60度離れた位置に配置されている。
【0049】
電磁ホルダ20は、図5に示すように、上面20aが平面とされている。図6に示すように、この電磁ホルダ20の上面20aの位置は、載置面14a上に載置されるハニカム構造体70の上端面と同一平面となるようにされている。
【0050】
電磁ホルダ20は、図5に示すように、上面20aから磁束を放出する永久磁石20bと、この磁束と逆向きの磁束を放出可能な電磁石20cと、を内部に有している。電磁石20cに電流が流れていない場合には、永久磁石20bの磁界により、上面20a上の磁性を有する金属板の下面を吸着してこれを固定できる一方、電磁石20cに電流が流れている場合には、永久磁石20bの磁界が電磁石の磁界により弱められるため、上面20a上の金属板を容易に移動させることができる。
【0051】
(台座側マスク固定板(台座側マスク固定部材)304)
図1に戻って、台座側マスク固定板304(台座側マスク固定部材)は、移動機構310を間に挟んで台座302と対向配置されている。
【0052】
台座側マスク固定板304は、支持棒306により、台座302と所定距離離間するように台座302に固定されている。台座側マスク固定板304の上面には、マスク170を収容可能な凹部304bが形成されている。凹部304bは、図3に示すように、マスク170の中央部がハニカム構造体70の上端面に対向するように、マスクを収容しXY面内での動きを固定する。また、凹部304bには、マスク170のオリエンテーションフラット170ofに当接可能な平坦な当接部304ofが形成されており、マスク170の固定時に、マスク170の向きが固定されると共に、マスクのZ軸周りの回転も規制される。
【0053】
さらに、図1に示すように、台座側マスク固定板304には、その側面の一端から凹部304bの中央部までに亘って延びる切欠き304aが形成されている。切欠き304aは、図2に示すように、固定治具100が移動部材320に固定された状態において、ハニカム構造体70及び電磁ホルダ20の上端部を収容する。また、切欠き304aは、移動部材320から離脱した固定治具100を外部に持ち出す際に、ハニカム構造体70や電磁ホルダ20が台座側マスク固定板304に引っかからずに容易に持ち出せるようになっている。切欠き304aのX方向の幅は、凹部304bのX方向の幅、すなわち、マスクの直径よりは小さくされている。
【0054】
また、台座側マスク固定板304の凹部304bの底面は平面とされ、その高さは、固定治具100が移動部材320上に固定された状態において、固定治具100の電磁ホルダ20の上面20aと同一面上にあるようにされる。したがって、台座側マスク固定板304の凹部304bの底面と、載置されるハニカム構造体70の上端面とは同一面上にあることとなる。なお、凹部304bの底面と、ハニカム構造体70の上端面とが同一面上でない場合には、後述する位置合わせ工程の前等に、移動部310Zのハンドル310Zaを適宜回して調節すればよい。
【0055】
(製造方法)
続いて、このような位置合わせ装置400を使用したハニカムフィルタの製造方法について説明する。
【0056】
まず、図5のように位置合わせ装置400から分離された状態の固定治具100に対して、ハニカム構造体70を、開口がある一端面(下面)が載置面14aと対向するように、固定治具100の載置面14a上に載置する。その後、エアピッカー30のガス出入口30cからガスを供給することにより、ゴム中空体30bを膨らませ、ゴム中空体30bによりハニカム構造体70の側面70sを3方から挟持する。これにより、ハニカム構造体70が、固定治具台座10に対して固定される(固定治具固定工程)。
【0057】
続いて、図2に示すように、位置合わせ装置400の移動機構310の移動部材320上に、ハニカム構造体70を固定した固定治具100を載置し、固定治具100を移動部材320に固定する。このとき、図8に示すように、移動部材320の凸部320cと、固定治具100の固定治具台座10の底面の凹部10aとを嵌合させる。
【0058】
続いて、図3に示すように、マスク170を、その中央部がハニカム構造体70の上面と対向し、かつオリエンテーションフラット170ofが凹部304bの当接部304ofと当接するように、台座側マスク固定板304の凹部304bに嵌め込む。これにより、マスク170が、台座302に対して、水平面の並進方向、及び、鉛直軸周りの回転方向の動きが規制される(台座へのマスク固定工程)。
【0059】
続いて、必要に応じて移動部310Aの各ハンドル310θa、310Xa、310Yaを回すことにより、ハニカム構造体70の貫通孔70aと、マスク170の貫通孔170aとの位置合わせを行い、封口すべきハニカム構造体70の貫通孔70aと、マスク170の貫通孔170aとが互いに連通し、かつ、封口したくないハニカム構造体70の貫通孔70aがマスク170により遮蔽されるようにする(位置合わせ工程)。
【0060】
位置合わせの方法は特に限定されず、貫通孔70aと貫通孔170aとを目視しながらハンドル310θa、310Xa、310Yaを回して合わせてもよいし、貫通孔70aと貫通孔170aとの重なり具合を公知の画像処理法によって取得してハンドル回転量を求め、ハンドルの回転をモータ等により機械的に制御してもよい。
【0061】
この位置合わせの際に、各電磁ホルダ20の上面20aは、マスク170の外周部170pと対向しているが、電磁ホルダ20の電磁石20cに電流を流しておき、永久磁石20bの磁束をキャンセルすることにより、電磁ホルダ20の上面20aによる吸着力の発生を抑制し、マスク170が電磁ホルダ20の上面20aの上で水平方向に自由に動けるようにしておく。
【0062】
そして、位置合わせが完了した後に、各電磁ホルダ20の電磁石20cの電流を切り、永久磁石20bによる磁束によりマスク170の外周部170pの下面を吸着する。これにより、ハニカム構造体70とマスク170との位置があった状態で、マスク170が固定治具台座10に対して固定される(固定治具へのマスク固定工程)。
【0063】
続いて、図4に示すように、固定治具100を、固定されていた移動部材320からリリースすると共に、マスク170を、固定されていた台座側マスク固定板304からリリースする(開放工程)。ここでは、例えば、図4の矢印Aに示すように、固定治具100の固定治具台座10を少し上方に動かした後、切欠き304aに沿って−Y方向に動かせばよい。これにより、ハニカム構造体70の貫通孔70aと、マスク170の貫通孔170aとの位置があった状態で、これらを固定治具100と共に位置合わせ装置400の台座302からはなれた場所の封口装置に搬送可能である。
【0064】
続いて、図9に示す封口装置200において、マスク170の貫通孔170aを介して、ハニカム構造体70の所望の貫通孔70aに封口材を供給する(封口工程)。本実施形態に係る封口装置200は、主として、本体部210、弾性板220、ポンプ250を備える。
【0065】
本体部210は、剛性材料から形成されている。剛性材料としては、ステンレス等の金属や、繊維強化プラスチック等のポリマー材料が挙げられる。本体部210の上面210aには、円柱状の凹部210dが形成されている。凹部210dの内面には、多孔質部材210pが貼り付けられている。
【0066】
弾性板220は、凹部210dの開口面を覆うように、本体部210の上面210a上に、配置されている。弾性板220は、弾性を有し、容易に変形しうる。弾性板220としては、ゴム板とできる。ゴムとしては、天然ゴムや、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ふっ素ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム等の合成ゴムが挙げられる。弾性板220の厚みは特に限定されないが、例えば、0.3〜3.0mmとすることができる。
【0067】
弾性板220は、リング部材225、及び、ボルト231により本体部210に固定されている。リング部材225は、本体部210の凹部210dに対応する位置に開口225aを有し、これにより環状形状をなしている。そして、リング部材225は、弾性板220における中央部(凹部210dとの対向部)が露出するように弾性板220上に配置されている。これにより、弾性板220の外周部が、本体部210とリング部材225とにより挟まれている。リング部材225及び弾性板220には貫通孔hがそれぞれ形成され、本体部210には、これら貫通孔hに対応するねじ孔jが形成されており、ボルト231がこれらの貫通孔hを貫通して配置され、ねじ孔jにねじ込まれて固定されることにより、本体部210の上面210aにおける凹部210dのまわりの部分に、弾性板220の外周部が密着して固定されている。
【0068】
本体部210は、さらに、凹部210dの底面の多孔質部材210pに連通する連通路210eを有している。連通路210eには、接続パイプ214を介してポンプ250が接続されている。
【0069】
ポンプ250は、シリンダ251、シリンダ251内に配置されたピストン253及びピストン253に接続されたピストンロッド254を備える。ピストンロッド254には、ピストンロッド254を軸方向に往復移動させるモータ255が接続されている。
【0070】
本実施形態では、弾性板220と、ピストン253と、の間には、本体部210、接続パイプ214及びシリンダ251により形成される閉鎖空間Vが形成され、閉鎖空間V内には、気体、液体等の流体FLが充填されている。そして、ピストン53を移動させることにより、本体部210の凹部210d内から流体FLを排出して弾性板220を凹部210dの内面に密着させて弾性板220による凹部220dを形成することができ(図5の凹部210dの左側の状態)、また、凹部210d内に流体FLを供給することに弾性板220を凹部210dの底部から引き離すこと(図5の凹部210dの右側の状態)が出来る。
【0071】
そして、予め、ピストン253を下げることにより、図5の凹部210dの左側のように、弾性板220による凹部220dを形成し、この凹部220d内に封口材130を貯留しておく。
【0072】
封口材130は、ハニカム構造体70の貫通孔70aの端部を閉鎖できるものであれば特に限定されないが、液状とできる。例えば、封口材として、セラミクス材料又はセラミクス原料と、バインダと、溶媒とを含むスラリーが例示できる。
【0073】
セラミクス材料としては、上述のハニカム構造体の構成材料や、その原料が挙げられる。
【0074】
バインダとしては、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロースなどのセルロース類;ポリビニルアルコールなどのアルコール類;リグニンスルホン酸塩等の有機バインダを例示できる。バインダの使用量は、セラミックス源粉末を100質量部に対して、例えば、30.2〜5000質量部とすることができる。
【0075】
潤滑剤としては、グリセリンなどのアルコール類;カプリル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、アラキジン酸、オレイン酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸;ステアリン酸Alなどのステアリン酸金属塩;ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどが挙げられる。潤滑剤の使用量は、セラミックス源粉末の100質量部に対して、2〜20質量部とすることができる。
【0076】
溶媒としては、たとえば、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノールなどのアルコール類;プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールなどのグリコール類;および水、イオン交換水などを用いることができる。なかでも、水とでき、不純物が少ない点で、イオン交換水が用いられる。溶媒の使用量は、セラミックス材料を100質量部に対して、例えば、1520〜460質量部とすることができる。
【0077】
続いて、本体部210の凹部210d上に、上述した固定治具100を配置する。ここでは、固定治具100を、図4の状態から、マスク170が下側になりかつ固定治具台座10が上側になるように天地をひっくり返し、マスク170をリング部材225の開口225a内に配置し、マスク170が弾性板220の凹部220dと対向するように配置する。
【0078】
続いて、ポンプ250のピストンを上方に移動させることにより、凹部210d内に流体FLを供給し、これによって、図5の凹部210dの右側に示すように、弾性板220をマスク170に向かって移動させる。これにより、封口材130がマスク170の貫通孔170aを介して、ハニカム構造体70の一部の貫通孔70a内に供給され、封口部が形成する。
【0079】
続いて、ピストン53をさらに上昇させ弾性板220と本体部210との間にさらに流体FLを供給し、弾性板220を上方向に凸状に変形させ、ハニカム構造体70及びマスクを固定する固定治具100を、弾性板220から引き離す。その後、電磁ホルダ20の電磁石を駆動し、マスクを除去し、その後、エアピッカー30を収縮させることにより、ハニカム構造体70を固定治具台座10から外すことが出来る。そして、必要に応じて、同様の操作により、ハニカム構造体70の他の面のマスク固定及び封口を行うことができる。そして、封口されたハニカム構造体を乾燥、焼成することにより、ハニカムフィルタを製造することが出来る。
【0080】
本実施形態によれば、ハニカム構造体70を固定した固定治具100を移動部材320に固定し、台座側マスク固定板304にマスク170を固定し、移動部310Aを駆動することにより、マスク170の貫通孔170aと、ハニカム構造体70の貫通孔70aとを容易に位置合わせすることができる。そして、位置合わせが完了した後に、電磁ホルダ20によりマスク170を固定治具100に対して固定し、固定治具100を移動部材320から開放すると共にマスク170を台座側マスク固定板304の凹部304bから開放することにより、ハニカム構造体70とマスク170との位置関係を固定した状態でこれらを他の場所等に搬送できる。
【0081】
したがって、位置合わせとは異なる場所で封口装置200を用いて封口作業が行なえる。また、位置合わせは、移動機構310を用いて行なえる。
【0082】
また、移動部材320が凸部320cを有し、固定治具100は凹部10aを有し、凸部と凹部とが嵌合可能であるので、移動部材320と固定治具100とを容易に着脱可能に固定することが出来る。さらに、移動部材320上には粉などが落ちることが多いが、移動部材320が凹部を有する場合、凸部とする場合に比べて、移動部材320の掃除が容易である。
【0083】
本発明は、上記実施形態に限定されず、様々な変形態様が可能である。例えば、固定治具100の態様は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、3つあるエアピッカー30の配置位置を、図3のZ軸から見て、互いに120度離れた位置としているが、120度ではなくても実施可能である。例えば、互いに、80〜100度となる位置にすることができる。また、エアピッカー30は3つでなくても2つでも、4つ以上でも実施は可能である。n個ある場合の角度は、360/nとできる。強固にハニカム構造体70を固定する観点からは、エアピッカー30は、ハニカム構造体70の側面を取り囲むように3つ以上とできる。
【0084】
また、上記実施形態では、固定治具100は、ハニカム構造体70の側面を挟持すべくエアピッカー30を採用しているが、ハニカム構造体の側面を挟持できるものであれば、エアピッカーでなくても実施可能である。例えば、水平断面が楕円形状のゴムローラを用い、固定時には長軸側がハニカム構造体の側面と当接して挟持する一方、非固定時には短軸側がハニカム構造体の側面と離間しながら対向して非挟持となるように、回動可能とされたゴムローラを使用してもよい。また、ベルト状の部材によりハニカム構造体の側面を挟持してもよい。また、固定治具100は、ハニカム構造体70の側面を挟持する以外の方法でハニカム構造体を固定してもよい。例えば、固定治具台座10の表面に、ハニカム構造体の貫通孔に対応する針が多数立設されたものを用いてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、固定治具100において、3つある電磁ホルダ20の配置位置を、図3のZ軸から見て互いに120度離れた位置としているが120度ではなくても実施可能である。例えば、互いに、80〜100度となる位置にすることができる。また、電磁ホルダ20も、3つでなくても2つでも、4つ以上でも実施は可能である。n個ある場合の角度は、360/nとできる。電磁ホルダ20は、ハニカム構造体70の側面を取り囲むように3つ以上とできる。
【0086】
また、上記実施形態では、マスク170の外周部170pの下面の吸着部材として、永久磁石及び電磁石を有する電磁ホルダ20を採用しているが、上記の電磁ホルダに限られない。例えば、マスクを、吸着する状態と、非吸着の状態とを切替えることが出来るものとでき、永久磁石を有さず電磁石のみを有する電磁ホルダでもよいし、真空吸着パッドを用いてもよい。また、固定治具台座10に固定され、マスク170を固定可能なものであれば吸着するものに限られず、例えば、マスクの周辺部を挟むもの等でも実施は可能である。
【0087】
また、上記実施形態では、Z軸から見て、電磁ホルダ20と、エアピッカー30とが互いに60度離れているが、これに限定されず、Z軸の高さ方向の位置が異なれば、Z軸から見て互いの角度が0度すなわち重なっていても実施可能である。
【0088】
また、固定治具台座10の形状も特に限定されず、また、固定治具台座10にエアピッカー30や電磁ホルダ20を固定する方法も特に限定されない。これらを支持棒21,31で支持すると、支持棒間に間隙ができるので、ハニカム構造体70の載置や取出しが容易である。
【0089】
また、移動機構310の移動部310Aの構成や、移動部材320の形状等も、上記実施形態に限定されない。例えば、移動部材320は、図4に示すように凸部320cを備えているが、凸部320cを備えずに移動部材320の上面に凹部があり、固定治具台座10の底面に凸部があっても実施可能であり、両方が平坦であっても実施可能である。また、凸部320cは、図8のように、柱状であるが、図10に示すように、錐状(例えば円錐状)であっても良く、この場合、固定治具100の固定治具台座10底面には、対応する錐状の凹部を形成すればよい。
【0090】
また、台座側マスク固定板(台座側マスク固定部材)304の当接部304of及びマスク170のオリエンテーションフラット170ofの形態も特に限定されず、互いに当接してマスクの回転方向の固定ができる当接部と切欠きの組合せであればよい。
【0091】
また、台座側マスク固定板(台座側マスク固定部材)304の形態も上記実施形態のように、凹部と平坦部とを有する板にマスクを嵌合する事により脱着可能に固定するものに限定されず、台座302に固定されかつハニカム構造体70の端面と対向する位置に着脱可能にマスクを固定(規制方向は、移動部310Aの3つの移動方向)できるものであればよく、例えば、マスクの周辺部を3方から挟むものでも構わない。この場合、マスクにはオリエンテーションフラットは不要である。
【0092】
さらに、上記実施形態では、移動機構310が移動する面及びマスクが配置される面及びハニカム構造体の端面が配置される面は水平面であるが、これに限定されず、例えば、鉛直面、斜面等であっても実施は可能である。また、台座302の形態も自由である。
【0093】
ハニカム構造体70の形状や構造も上述に限定されない。例えば、ハニカム構造体70の外形形状も円柱でなくてもよく、例えば、四角柱等の角柱でもよい。また、ハニカム構造体70の貫通孔70aの断面形状は、正方形でなくてもよく、例えば、長方形、三角形、多角形、円形等でも構わない。さらに、貫通孔70aの配置も、正方形配置でなくてもよく、例えば、3角配置、千鳥配置等でも構わない。
【0094】
また、マスク170の形態やマスクの貫通孔のパターンも自由である。さらに、封口装置200の形態も特に限定は無い。
【0095】
例えば、図11の(b)に示すように、封口用マスク170の貫通孔170aの断面形状は、テーパ状であることができ、これにより、ハニカム構造体70と、封口用マスク170との間に少々の位置ズレがあっても、所望の貫通孔70aに対して選択的に封口材を供給可能である。これを実現するためには、封口用マスク170の表裏を認識した上で、貫通孔70a側(図11の(b)の上側)の貫通孔170aの径が大きくなるように、封口用マスク170を凹部304bに嵌め込む必要がある。この場合、図11の(a)に示すように、封口用マスク170は、2つのオリエンテーションフラット170of1、170of2有していることができる。
【0096】
この場合、例えば、図11の(a)に示すように、封口用マスク170のオリエンテーションフラット170of1、170of2の円板の中心Pを通る垂線f1、f2がなす角が180度以外であり、かつ、オリエンテーションフラット170of1,of2の長さWof1、Wof2が互いに異なっていることができる。図11の(a)では、Wof1>Wof2である。この場合、封口用マスク170を目視して、例えば、2つのオリエンテーションフラットの長さの順番等に基づいて(具体的には、例えば、短いオリエンテーションフラットから長いオリエンテーションフラットまで最短距離で向かう方向が時計回りとなる面を表面とする)ことにより、封口用マスク170の表裏を容易に正しい向きに配置することができる。また、図12に示すように、凹部304bに対して、このように形成された2つのオリエンテーションフラット170of1,170of2にそれぞれ当接することができる互いに長さの異なる当接部304of1,304of2を設けておくことにより、表裏を逆にした状態で封口用マスク170を凹部304bに配置することを規制することも出来る。図11に示す垂線f1、f2のなす角が、20〜160度とできる。また、オリエンテーションフラット170of1,of2の長さWof1、Wof2の比は、1:1.1〜3とできる。
【符号の説明】
【0097】
10…台座、10a…凹部、20…電磁ホルダ(固定治具側マスク固定部材)、70…ハニカム構造体、170…マスク、170of…オリエンテーションフラット、304…台座側マスク固定板(台座側マスク固定部材)、304a…切欠き、304b…凹部、304of…当接部、310…移動機構、320…移動部材、320c…凸部、100…固定治具、400…位置合わせ装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置合わせ装置、位置合わせ方法及びハニカムフィルタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ハニカムフィルタが、DPF(Diesel particulate filter)用等として広く知られている。このハニカムフィルタは、多数の貫通孔を有するハニカム構造体の一部の貫通孔の一端側を封口材で封じると共に、残りの貫通孔の他端側を封口材で封じた構造を有する。そして、特許文献1には、このようなハニカムフィルタを製造する方法が開示されている。特許文献1では、シリンダ7内に配置したハニカム構造体1の一端面に対して、封口する場所に貫通孔を有するマスクを介してピストン8により封口材を貫通孔に押圧することにより、ハニカム構造体の所望の貫通孔の端部に封口材を供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭63−24731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ハニカム構造体の貫通孔とマスクの貫通孔との位置合わせをする工程と、位置合わせしたマスクを介してハニカム構造体の貫通孔に封口材を供給する工程とを、別の場所で行うと、各工程を専用の装置で行うことができる。
【0005】
このためには、ハニカム構造体に対してマスクを位置合わせした後に、これらを封口装置がある場所など、位置合わせを行なう場所とは別の場所に搬送等する間に、マスクと貫通孔との相対位置がずれないようにマスクとハニカム構造体とを強固に固定しておく固定治具が必要である。その一方、このような固定治具を用いる場合でも、位置合わせ作業は効率よく行いたい。
【0006】
しかしながら、位置合わせ後に位置を合わせたままでの搬送が可能でありつつ、位置合わせ作業を効率よくできる位置合わせ装置、位置合わせ方法、及びこれを用いたハニカムフィルタの製造方法は知られていない。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、位置合わせ後に位置をあわせた状態でハニカム構造体及びマスクを搬送可能であり、かつ、位置合わせを効率よく行なえる位置合わせ装置、位置合わせ方法、及びこれを用いたハニカムフィルタの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる位置合わせ装置は、台座と、台座に固定され、台座に対して移動部材を、所定の面と平行な方向に移動可能、かつ、面と垂直な軸周りに回動可能な移動機構と、移動部材に着脱可能に固定され、柱状のハニカム構造体を固定する固定治具と、台座に固定され、ハニカム構造体の端面と対向する位置に着脱可能にマスクを固定する台座側マスク固定部材と、固定治具に固定され、マスクを固定可能な固定治具側マスク固定部材とを備える。
【0009】
本発明によれば、ハニカム構造体を固定した固定治具を移動部材に固定し、台座側マスク固定部材にマスクを固定し、移動機構を駆動することにより、マスクの貫通孔と、ハニカム構造体の貫通孔とを容易に位置合わせすることができる。そして、位置合わせが完了した後に、治具側マスク固定部材によりマスクを固定治具に対して固定し、固定治具を移動部材から開放すると共にマスクを台座側マスク固定部材から開放することにより、ハニカム構造体とマスクとの位置関係を固定した状態でこれらを固定治具と共に他の場所等に搬送できる。
【0010】
ここで、移動部材は凸部を有し、固定治具は凹部を有し、凸部と凹部とが嵌合可能とできる。
【0011】
これによれば、移動部材と固定治具とを容易に着脱可能に固定することが出来る。さらに、移動部材上には粉などが落ちることが多いが、移動部材が凸部を有するので、移動部材の掃除も容易である。
【0012】
また、固定治具側マスク固定部材は、マスクにおけるハニカム構造体と対向する面の外周部を吸着することができる。
【0013】
また、固定治具は、ハニカム構造体の側面を挟持することができる。
【0014】
また、台座側マスク固定部材は、端部からハニカム構造体の端面と対向する部分にまで延びる切欠きを有すると共に、ハニカム構造体の端面と対向する位置にマスクと嵌合可能な凹部を有する板とできる。
【0015】
また、マスクは切欠きを有し、板の凹部は切欠きと当接する当接部を有することができる。
【0016】
本発明に係るハニカム構造体とマスクとの位置合わせ方法は、ハニカム構造体を固定した固定治具を、台座に固定された移動部材に固定する工程と、マスクを、ハニカム構造体の端面と対向するように、台座に固定された台座側マスク固定部材に固定する工程と、移動部材を台座に対して、ハニカム構造体の端面と平行な方向に移動、及び/又は、端面と垂直な軸周りに回動させることにより、マスクの貫通孔と、ハニカム構造体の貫通孔とを位置合わせする工程と、位置合わせされたマスクを固定治具に固定された固定治具側マスク固定部材に固定する工程と、固定治具を移動部材から開放すると共にマスクを台座側マスク固定部材から開放する工程とを備える。
【0017】
本発明に係るハニカムフィルタの製造方法は、上述の位置合わせ方法と、開放された固定治具を、台座から離れた場所に搬送し、マスクを介してハニカム構造体の貫通孔に充填材を供給する工程とを備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、位置合わせ後に位置をあわせた状態でハニカム構造体及びマスクを搬送可能であり、かつ、位置合わせを効率よく行なえる位置合わせ装置、位置合わせ方法、及び、ハニカムフィルタの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る位置合わせ装置400の斜視図である。
【図2】図2は、図1の位置合わせ装置にハニカム構造体を固定した状態を示す斜視図である。
【図3】図3は、図2の位置合わせ装置にマスクを固定した状態を示す斜視図である。
【図4】図4は、図3の位置合わせ装置から固定治具を除去した状態を示す斜視図である。
【図5】図5の(a)は、図1の位置合わせ装置400の固定治具100の上面斜視図、図5の(b)は、固定治具100の下面斜視図である。
【図6】図6は、固定治具100の側面図である。
【図7】図7は、固定治具100の上面図である。
【図8】図8は、図1の固定治具100及び移動機構310の近傍の部分断面外略図である。
【図9】図9は、本発明の実施形態に係る封口装置及び封口方法を示す部分断面図である。
【図10】図10は、本発明の他の実施形態に係る固定治具100及び移動機構310の近傍の部分断面外略図である。
【図11】図11の(a)は、本発明の他の実施形態に係る封口用マスクの一例を示す上面図であり、図11の(b)は、図11の(a)の封口用マスクをハニカム構造体の端面に対して位置合わせした状態を示す部分断面図である。
【図12】図12は、本発明の他の実施形態に係る位置合わせ装置の一例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る位置合わせ装置の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0021】
(位置合わせ装置400)
本実施形態にかかる位置合わせ装置400は、図1に示すように、主として、固定治具100と、固定治具100を着脱可能に固定する架台部300とを有する。架台部300は、主として、台座302と、台座302に固定された移動機構310と、台座302に固定された台座側マスク固定板(台座側マスク固定部材)304とを有している。
【0022】
本実施形態に係る位置合わせ装置400は、図2に示すように、固定治具100がハニカム構造体70を固定し、図3に示すように、台座側マスク固定板304がマスク170を固定し、移動機構310により固定治具100を移動させることによりマスク170とハニカム構造体70との貫通孔同士の位置合わせを行なうものである。
【0023】
ここでまず、ハニカム構造体70及びマスク170を説明する。
【0024】
(ハニカム構造体70)
ハニカム構造体70は、図2に示すように、互いに平行に伸びる複数の貫通孔70aを有する円柱体である。
【0025】
ハニカム構造体70の貫通孔70aが延びる方向の長さは特に限定されないが、例えば、40〜350mmとすることができる。また、ハニカム構造体70の外径も特に限定されないが、例えば、100〜320mmとすることできる。貫通孔70aの断面のサイズは、例えば、正方形の場合一辺0.8〜2.5mmとすることができる。貫通孔70a間の間隔である隔壁の厚みは、0.05〜0.5mmとすることができる。
【0026】
ハニカム構造体70は、後で焼成することにより多孔性セラミクスとなるグリーン(未焼成体)であることができ、この場合、セラミクス原料を含む成形体や、セラミクス粒子の成形体であることができる。セラミクスは特に限定されないが、例えば、アルミナ、シリカ、ムライト、コーディエライト、ガラス、チタン酸アルミニウム等の酸化物、シリコンカーバイド、窒化珪素、金属等が挙げられる。なお、チタン酸アルミニウムは、さらに、マグネシウム及び/又はケイ素を含むことができる。このようなハニカム構造体70は、セラミクス原料である無機化合物源粉末、及び、メチルセルロース等の有機バインダ、及び、必要に応じて添加される添加剤を含む。
【0027】
例えば、セラミクスがチタン酸アルミニウムの場合、無機化合物源粉末は、αアルミナ粉等のアルミニウム源粉末、及び、アナターゼ型やルチル型のチタニア粉末等のチタニウ
ム源粉末を含み、必要に応じて、さらに、マグネシア粉末やマグネシアスピネル粉末等のマグネシウム源粉末及び/又は、酸化ケイ素粉末やガラスフリット等のケイ素源粉末を含むことができる。
【0028】
有機バインダとしては、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロースなどのセルロース類;ポリビニルアルコールなどのアルコール類;リグニンスルホン酸塩を例示できる。
【0029】
添加物としては、例えば、造孔剤、潤滑剤および可塑剤、分散剤、溶媒が挙げられる。
【0030】
造孔剤としては、グラファイト等の炭素材;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル等の樹脂類;でんぷん、ナッツ殻、クルミ殻、コーンなどの植物材料;氷;およびドライアイス等などが挙げられる。
【0031】
潤滑剤および可塑剤としては、グリセリンなどのアルコール類;カプリル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、アラキジン酸、オレイン酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸;ステアリン酸Alなどのステアリン酸金属塩;ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどが挙げられる。潤滑剤及び可塑剤の添加量は、無機化合物源粉末の100重量部に対して、0〜10重量部とでき、0.1〜5重量部とできる。
【0032】
分散剤としては、たとえば、硝酸、塩酸、硫酸などの無機酸;シュウ酸、クエン酸、酢酸、リンゴ酸、乳酸などの有機酸;メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類;ポリカルボン酸アンモニウムなどの界面活性剤などが挙げられる。分散剤の添加量は、無機化合物源粉末の100重量部に対して、0〜20重量部とでき、2〜8重量部とできる。
【0033】
溶媒としては、たとえば、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノールなどのアルコール類;プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールなどのグリコール類;および水などを用いることができる。
【0034】
このようなハニカム構造体70は例えば以下のようにして製造することができる。まず、無機化合物源粉末と、有機バインダと、溶媒と、必要に応じて添加される添加物を用意する。そして、これらを混練機等により混合して原料混合物を得、得られた原料混合物を隔壁の形状に対応する出口開口を有する押出機から押し出し、所望の長さに切断後、公知の方法で乾燥することにより、ハニカム構造体70を得ることができる。
【0035】
なお、ハニカム構造体は、未焼成体でなくて、焼成済みのもの(例えば、多孔質セラミクス)であってもよい。
【0036】
(マスク170)
マスク170は、図3に示すように、略円形の板状部材であり、多数の貫通孔170aを有する。貫通孔170aの平面形状は、例えば、ハニカム構造体70の貫通孔70a(図2参照)に対応する正方形とすることができる。これらの複数の貫通孔170aは、図3に示すように、千鳥配置とされており、各貫通孔170aは、図2の正方配置されたハニカム構造体70の複数の貫通孔70aのうち、互いに上下左右に隣接しない関係にある複数の貫通孔のみに対向して配置される。マスク170の外径は、ハニカム構造体70の外径よりも大きくなっており、マスク170は、ハニカム構造体70とは対向しない環状の外周部170pを有する。マスク170は、後述する電磁ホルダ20による吸着を可能とすべく、磁力により吸着可能な強磁性材料、例えば、フェライト系ステンレスからなることができる。
【0037】
マスク170には、マスクの回転方向の動きを固定すべく端面に平坦な切欠きとしてのオリエンテーションフラット170ofが設けられている。
【0038】
(台座302)
続いて、図1及び図4を参照して位置合わせ装置400の架台部300の台座302について説明する。
【0039】
台座302は、板状をなす部材であり、上面が水平面となるように配置されている。移動機構310は、この台座302の上面に固定されている。
【0040】
図4は、図1の位置合わせ装置400から、固定治具100を取り外した状態の架台部300を示すものである。
【0041】
(移動機構310)
移動機構310は、移動部材320と、移動部材320を移動させる移動部310Aとを有する。移動部310Aは、回動部310θと、Y移動部310Yと、X移動部310Xとを有しており、移動部材320を、台座302に対して、水平面(XY面)と平行な方向に移動可能、かつ、水平面と垂直な軸(Z軸)周りに回動可能である。また、移動部310Aは、Z移動部310Zを有することができる。
【0042】
回動部310θは、ハンドル310θaの操作に応じて、台座302に対して、移動部材320を鉛直軸(Z軸)周りに回動、すなわち、正逆両方向に回転する。Y移動部310Yは、ハンドル310Yaの操作に応じて、台座302に対して、移動部材320を±Y方向に移動させる。X移動部310Xは、ハンドル310Xaの操作に応じて、台座302に対して、移動部材320を±X方向に移動させる。Z移動部310Zは、ハンドル310Zaの操作に応じて、台座302に対して、移動部材320を±Z方向に移動させる。
【0043】
移動部材320は、移動部310Aとの接続部320bと、接続部320bに接続された円板状の円板部320a、及び、円板部320aの上面中央に設けられた凸部320cとを有する。
【0044】
(固定治具100)
図1に戻って、移動部材320上に載置される固定治具100は、主として、固定治具台座10、エアピッカー30、電磁ホルダ(固定治具側マスク固定部材)20を有する。図5の(a)は本実施形態に係る固定治具100の上面斜視図、図5の(b)は固定治具100の下面斜視図、図6は固定治具100の側面図、図7は固定治具100の上面図である。
【0045】
固定治具台座10は、図5に示すように、概ね円板状をなし、上面中央部に円板状の凸部12を有する。凸部12の上面中央部には、円板状の凹部14が形成され、凹部14の上面が、ハニカム構造体の端面を載置する載置面14aとなる。凹部14の直径は、図2に示すように、ハニカム構造体70の下端部を収容できる大きさとされている。図5の(b)及び図6に示すように、固定治具台座10の底面には凹部10aが形成されている。図8は、固定治具100と移動機構310の近傍の垂直部分断面図である。固定治具台座10の凹部10aは、移動部材320の凸部320cと嵌合可能とされている。
【0046】
図5に戻って、エアピッカー30は、支持棒31の上端に取り付けられている。支持棒31は、載置面14aを取り囲むように3つ配置されている。したがって、本実施形態では、エアピッカー30を3つ備えている。3つのエアピッカー30は、図7に示すように、載置面14aの中心O周りに互いに120度離れた位置に配置されており、図2に示すように、載置面14a上に載置されるハニカム構造体の側面70sを3方から挟持可能な位置に配置されている。
【0047】
図5に戻って、エアピッカー30は、ガス出入口30cを有するベース部30aと、ガス出入口30cから供給されるガスにより膨らむことの出来るゴム中空体30bと、を備える。エアピッカー30に対して、ガス出入口30cからガスを供給すると、ゴム中空体30bが膨らんでハニカム構造体の側面を3方から押圧できる一方、ガス出入口30cからガスを排出すると、ゴム中空体30bがしぼんでハニカム構造体の側面を押圧しなくなる。なお、ガスの配管は図示を省略している。
【0048】
電磁ホルダ20は、支持棒21の上端に取り付けられている。支持棒21は、載置面14aを取り囲むように3つ配置されている。したがって、本実施形態では、電磁ホルダ20を3つ備えている。3つの電磁ホルダ20は、図7に示すように、載置面14aの中心O周りに互いに120度離れた位置に配置されており、図3に示すように、ハニカム構造体70の上面に配置されるマスク170の外周部170pの下面に3箇所から対向する位置に配置されている。図7に示すように、電磁ホルダ20と、エアピッカー30とは、載置面14aの中心O周りに互いに60度離れた位置に配置されている。
【0049】
電磁ホルダ20は、図5に示すように、上面20aが平面とされている。図6に示すように、この電磁ホルダ20の上面20aの位置は、載置面14a上に載置されるハニカム構造体70の上端面と同一平面となるようにされている。
【0050】
電磁ホルダ20は、図5に示すように、上面20aから磁束を放出する永久磁石20bと、この磁束と逆向きの磁束を放出可能な電磁石20cと、を内部に有している。電磁石20cに電流が流れていない場合には、永久磁石20bの磁界により、上面20a上の磁性を有する金属板の下面を吸着してこれを固定できる一方、電磁石20cに電流が流れている場合には、永久磁石20bの磁界が電磁石の磁界により弱められるため、上面20a上の金属板を容易に移動させることができる。
【0051】
(台座側マスク固定板(台座側マスク固定部材)304)
図1に戻って、台座側マスク固定板304(台座側マスク固定部材)は、移動機構310を間に挟んで台座302と対向配置されている。
【0052】
台座側マスク固定板304は、支持棒306により、台座302と所定距離離間するように台座302に固定されている。台座側マスク固定板304の上面には、マスク170を収容可能な凹部304bが形成されている。凹部304bは、図3に示すように、マスク170の中央部がハニカム構造体70の上端面に対向するように、マスクを収容しXY面内での動きを固定する。また、凹部304bには、マスク170のオリエンテーションフラット170ofに当接可能な平坦な当接部304ofが形成されており、マスク170の固定時に、マスク170の向きが固定されると共に、マスクのZ軸周りの回転も規制される。
【0053】
さらに、図1に示すように、台座側マスク固定板304には、その側面の一端から凹部304bの中央部までに亘って延びる切欠き304aが形成されている。切欠き304aは、図2に示すように、固定治具100が移動部材320に固定された状態において、ハニカム構造体70及び電磁ホルダ20の上端部を収容する。また、切欠き304aは、移動部材320から離脱した固定治具100を外部に持ち出す際に、ハニカム構造体70や電磁ホルダ20が台座側マスク固定板304に引っかからずに容易に持ち出せるようになっている。切欠き304aのX方向の幅は、凹部304bのX方向の幅、すなわち、マスクの直径よりは小さくされている。
【0054】
また、台座側マスク固定板304の凹部304bの底面は平面とされ、その高さは、固定治具100が移動部材320上に固定された状態において、固定治具100の電磁ホルダ20の上面20aと同一面上にあるようにされる。したがって、台座側マスク固定板304の凹部304bの底面と、載置されるハニカム構造体70の上端面とは同一面上にあることとなる。なお、凹部304bの底面と、ハニカム構造体70の上端面とが同一面上でない場合には、後述する位置合わせ工程の前等に、移動部310Zのハンドル310Zaを適宜回して調節すればよい。
【0055】
(製造方法)
続いて、このような位置合わせ装置400を使用したハニカムフィルタの製造方法について説明する。
【0056】
まず、図5のように位置合わせ装置400から分離された状態の固定治具100に対して、ハニカム構造体70を、開口がある一端面(下面)が載置面14aと対向するように、固定治具100の載置面14a上に載置する。その後、エアピッカー30のガス出入口30cからガスを供給することにより、ゴム中空体30bを膨らませ、ゴム中空体30bによりハニカム構造体70の側面70sを3方から挟持する。これにより、ハニカム構造体70が、固定治具台座10に対して固定される(固定治具固定工程)。
【0057】
続いて、図2に示すように、位置合わせ装置400の移動機構310の移動部材320上に、ハニカム構造体70を固定した固定治具100を載置し、固定治具100を移動部材320に固定する。このとき、図8に示すように、移動部材320の凸部320cと、固定治具100の固定治具台座10の底面の凹部10aとを嵌合させる。
【0058】
続いて、図3に示すように、マスク170を、その中央部がハニカム構造体70の上面と対向し、かつオリエンテーションフラット170ofが凹部304bの当接部304ofと当接するように、台座側マスク固定板304の凹部304bに嵌め込む。これにより、マスク170が、台座302に対して、水平面の並進方向、及び、鉛直軸周りの回転方向の動きが規制される(台座へのマスク固定工程)。
【0059】
続いて、必要に応じて移動部310Aの各ハンドル310θa、310Xa、310Yaを回すことにより、ハニカム構造体70の貫通孔70aと、マスク170の貫通孔170aとの位置合わせを行い、封口すべきハニカム構造体70の貫通孔70aと、マスク170の貫通孔170aとが互いに連通し、かつ、封口したくないハニカム構造体70の貫通孔70aがマスク170により遮蔽されるようにする(位置合わせ工程)。
【0060】
位置合わせの方法は特に限定されず、貫通孔70aと貫通孔170aとを目視しながらハンドル310θa、310Xa、310Yaを回して合わせてもよいし、貫通孔70aと貫通孔170aとの重なり具合を公知の画像処理法によって取得してハンドル回転量を求め、ハンドルの回転をモータ等により機械的に制御してもよい。
【0061】
この位置合わせの際に、各電磁ホルダ20の上面20aは、マスク170の外周部170pと対向しているが、電磁ホルダ20の電磁石20cに電流を流しておき、永久磁石20bの磁束をキャンセルすることにより、電磁ホルダ20の上面20aによる吸着力の発生を抑制し、マスク170が電磁ホルダ20の上面20aの上で水平方向に自由に動けるようにしておく。
【0062】
そして、位置合わせが完了した後に、各電磁ホルダ20の電磁石20cの電流を切り、永久磁石20bによる磁束によりマスク170の外周部170pの下面を吸着する。これにより、ハニカム構造体70とマスク170との位置があった状態で、マスク170が固定治具台座10に対して固定される(固定治具へのマスク固定工程)。
【0063】
続いて、図4に示すように、固定治具100を、固定されていた移動部材320からリリースすると共に、マスク170を、固定されていた台座側マスク固定板304からリリースする(開放工程)。ここでは、例えば、図4の矢印Aに示すように、固定治具100の固定治具台座10を少し上方に動かした後、切欠き304aに沿って−Y方向に動かせばよい。これにより、ハニカム構造体70の貫通孔70aと、マスク170の貫通孔170aとの位置があった状態で、これらを固定治具100と共に位置合わせ装置400の台座302からはなれた場所の封口装置に搬送可能である。
【0064】
続いて、図9に示す封口装置200において、マスク170の貫通孔170aを介して、ハニカム構造体70の所望の貫通孔70aに封口材を供給する(封口工程)。本実施形態に係る封口装置200は、主として、本体部210、弾性板220、ポンプ250を備える。
【0065】
本体部210は、剛性材料から形成されている。剛性材料としては、ステンレス等の金属や、繊維強化プラスチック等のポリマー材料が挙げられる。本体部210の上面210aには、円柱状の凹部210dが形成されている。凹部210dの内面には、多孔質部材210pが貼り付けられている。
【0066】
弾性板220は、凹部210dの開口面を覆うように、本体部210の上面210a上に、配置されている。弾性板220は、弾性を有し、容易に変形しうる。弾性板220としては、ゴム板とできる。ゴムとしては、天然ゴムや、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ふっ素ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム等の合成ゴムが挙げられる。弾性板220の厚みは特に限定されないが、例えば、0.3〜3.0mmとすることができる。
【0067】
弾性板220は、リング部材225、及び、ボルト231により本体部210に固定されている。リング部材225は、本体部210の凹部210dに対応する位置に開口225aを有し、これにより環状形状をなしている。そして、リング部材225は、弾性板220における中央部(凹部210dとの対向部)が露出するように弾性板220上に配置されている。これにより、弾性板220の外周部が、本体部210とリング部材225とにより挟まれている。リング部材225及び弾性板220には貫通孔hがそれぞれ形成され、本体部210には、これら貫通孔hに対応するねじ孔jが形成されており、ボルト231がこれらの貫通孔hを貫通して配置され、ねじ孔jにねじ込まれて固定されることにより、本体部210の上面210aにおける凹部210dのまわりの部分に、弾性板220の外周部が密着して固定されている。
【0068】
本体部210は、さらに、凹部210dの底面の多孔質部材210pに連通する連通路210eを有している。連通路210eには、接続パイプ214を介してポンプ250が接続されている。
【0069】
ポンプ250は、シリンダ251、シリンダ251内に配置されたピストン253及びピストン253に接続されたピストンロッド254を備える。ピストンロッド254には、ピストンロッド254を軸方向に往復移動させるモータ255が接続されている。
【0070】
本実施形態では、弾性板220と、ピストン253と、の間には、本体部210、接続パイプ214及びシリンダ251により形成される閉鎖空間Vが形成され、閉鎖空間V内には、気体、液体等の流体FLが充填されている。そして、ピストン53を移動させることにより、本体部210の凹部210d内から流体FLを排出して弾性板220を凹部210dの内面に密着させて弾性板220による凹部220dを形成することができ(図5の凹部210dの左側の状態)、また、凹部210d内に流体FLを供給することに弾性板220を凹部210dの底部から引き離すこと(図5の凹部210dの右側の状態)が出来る。
【0071】
そして、予め、ピストン253を下げることにより、図5の凹部210dの左側のように、弾性板220による凹部220dを形成し、この凹部220d内に封口材130を貯留しておく。
【0072】
封口材130は、ハニカム構造体70の貫通孔70aの端部を閉鎖できるものであれば特に限定されないが、液状とできる。例えば、封口材として、セラミクス材料又はセラミクス原料と、バインダと、溶媒とを含むスラリーが例示できる。
【0073】
セラミクス材料としては、上述のハニカム構造体の構成材料や、その原料が挙げられる。
【0074】
バインダとしては、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロースなどのセルロース類;ポリビニルアルコールなどのアルコール類;リグニンスルホン酸塩等の有機バインダを例示できる。バインダの使用量は、セラミックス源粉末を100質量部に対して、例えば、30.2〜5000質量部とすることができる。
【0075】
潤滑剤としては、グリセリンなどのアルコール類;カプリル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、アラキジン酸、オレイン酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸;ステアリン酸Alなどのステアリン酸金属塩;ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどが挙げられる。潤滑剤の使用量は、セラミックス源粉末の100質量部に対して、2〜20質量部とすることができる。
【0076】
溶媒としては、たとえば、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノールなどのアルコール類;プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールなどのグリコール類;および水、イオン交換水などを用いることができる。なかでも、水とでき、不純物が少ない点で、イオン交換水が用いられる。溶媒の使用量は、セラミックス材料を100質量部に対して、例えば、1520〜460質量部とすることができる。
【0077】
続いて、本体部210の凹部210d上に、上述した固定治具100を配置する。ここでは、固定治具100を、図4の状態から、マスク170が下側になりかつ固定治具台座10が上側になるように天地をひっくり返し、マスク170をリング部材225の開口225a内に配置し、マスク170が弾性板220の凹部220dと対向するように配置する。
【0078】
続いて、ポンプ250のピストンを上方に移動させることにより、凹部210d内に流体FLを供給し、これによって、図5の凹部210dの右側に示すように、弾性板220をマスク170に向かって移動させる。これにより、封口材130がマスク170の貫通孔170aを介して、ハニカム構造体70の一部の貫通孔70a内に供給され、封口部が形成する。
【0079】
続いて、ピストン53をさらに上昇させ弾性板220と本体部210との間にさらに流体FLを供給し、弾性板220を上方向に凸状に変形させ、ハニカム構造体70及びマスクを固定する固定治具100を、弾性板220から引き離す。その後、電磁ホルダ20の電磁石を駆動し、マスクを除去し、その後、エアピッカー30を収縮させることにより、ハニカム構造体70を固定治具台座10から外すことが出来る。そして、必要に応じて、同様の操作により、ハニカム構造体70の他の面のマスク固定及び封口を行うことができる。そして、封口されたハニカム構造体を乾燥、焼成することにより、ハニカムフィルタを製造することが出来る。
【0080】
本実施形態によれば、ハニカム構造体70を固定した固定治具100を移動部材320に固定し、台座側マスク固定板304にマスク170を固定し、移動部310Aを駆動することにより、マスク170の貫通孔170aと、ハニカム構造体70の貫通孔70aとを容易に位置合わせすることができる。そして、位置合わせが完了した後に、電磁ホルダ20によりマスク170を固定治具100に対して固定し、固定治具100を移動部材320から開放すると共にマスク170を台座側マスク固定板304の凹部304bから開放することにより、ハニカム構造体70とマスク170との位置関係を固定した状態でこれらを他の場所等に搬送できる。
【0081】
したがって、位置合わせとは異なる場所で封口装置200を用いて封口作業が行なえる。また、位置合わせは、移動機構310を用いて行なえる。
【0082】
また、移動部材320が凸部320cを有し、固定治具100は凹部10aを有し、凸部と凹部とが嵌合可能であるので、移動部材320と固定治具100とを容易に着脱可能に固定することが出来る。さらに、移動部材320上には粉などが落ちることが多いが、移動部材320が凹部を有する場合、凸部とする場合に比べて、移動部材320の掃除が容易である。
【0083】
本発明は、上記実施形態に限定されず、様々な変形態様が可能である。例えば、固定治具100の態様は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、3つあるエアピッカー30の配置位置を、図3のZ軸から見て、互いに120度離れた位置としているが、120度ではなくても実施可能である。例えば、互いに、80〜100度となる位置にすることができる。また、エアピッカー30は3つでなくても2つでも、4つ以上でも実施は可能である。n個ある場合の角度は、360/nとできる。強固にハニカム構造体70を固定する観点からは、エアピッカー30は、ハニカム構造体70の側面を取り囲むように3つ以上とできる。
【0084】
また、上記実施形態では、固定治具100は、ハニカム構造体70の側面を挟持すべくエアピッカー30を採用しているが、ハニカム構造体の側面を挟持できるものであれば、エアピッカーでなくても実施可能である。例えば、水平断面が楕円形状のゴムローラを用い、固定時には長軸側がハニカム構造体の側面と当接して挟持する一方、非固定時には短軸側がハニカム構造体の側面と離間しながら対向して非挟持となるように、回動可能とされたゴムローラを使用してもよい。また、ベルト状の部材によりハニカム構造体の側面を挟持してもよい。また、固定治具100は、ハニカム構造体70の側面を挟持する以外の方法でハニカム構造体を固定してもよい。例えば、固定治具台座10の表面に、ハニカム構造体の貫通孔に対応する針が多数立設されたものを用いてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、固定治具100において、3つある電磁ホルダ20の配置位置を、図3のZ軸から見て互いに120度離れた位置としているが120度ではなくても実施可能である。例えば、互いに、80〜100度となる位置にすることができる。また、電磁ホルダ20も、3つでなくても2つでも、4つ以上でも実施は可能である。n個ある場合の角度は、360/nとできる。電磁ホルダ20は、ハニカム構造体70の側面を取り囲むように3つ以上とできる。
【0086】
また、上記実施形態では、マスク170の外周部170pの下面の吸着部材として、永久磁石及び電磁石を有する電磁ホルダ20を採用しているが、上記の電磁ホルダに限られない。例えば、マスクを、吸着する状態と、非吸着の状態とを切替えることが出来るものとでき、永久磁石を有さず電磁石のみを有する電磁ホルダでもよいし、真空吸着パッドを用いてもよい。また、固定治具台座10に固定され、マスク170を固定可能なものであれば吸着するものに限られず、例えば、マスクの周辺部を挟むもの等でも実施は可能である。
【0087】
また、上記実施形態では、Z軸から見て、電磁ホルダ20と、エアピッカー30とが互いに60度離れているが、これに限定されず、Z軸の高さ方向の位置が異なれば、Z軸から見て互いの角度が0度すなわち重なっていても実施可能である。
【0088】
また、固定治具台座10の形状も特に限定されず、また、固定治具台座10にエアピッカー30や電磁ホルダ20を固定する方法も特に限定されない。これらを支持棒21,31で支持すると、支持棒間に間隙ができるので、ハニカム構造体70の載置や取出しが容易である。
【0089】
また、移動機構310の移動部310Aの構成や、移動部材320の形状等も、上記実施形態に限定されない。例えば、移動部材320は、図4に示すように凸部320cを備えているが、凸部320cを備えずに移動部材320の上面に凹部があり、固定治具台座10の底面に凸部があっても実施可能であり、両方が平坦であっても実施可能である。また、凸部320cは、図8のように、柱状であるが、図10に示すように、錐状(例えば円錐状)であっても良く、この場合、固定治具100の固定治具台座10底面には、対応する錐状の凹部を形成すればよい。
【0090】
また、台座側マスク固定板(台座側マスク固定部材)304の当接部304of及びマスク170のオリエンテーションフラット170ofの形態も特に限定されず、互いに当接してマスクの回転方向の固定ができる当接部と切欠きの組合せであればよい。
【0091】
また、台座側マスク固定板(台座側マスク固定部材)304の形態も上記実施形態のように、凹部と平坦部とを有する板にマスクを嵌合する事により脱着可能に固定するものに限定されず、台座302に固定されかつハニカム構造体70の端面と対向する位置に着脱可能にマスクを固定(規制方向は、移動部310Aの3つの移動方向)できるものであればよく、例えば、マスクの周辺部を3方から挟むものでも構わない。この場合、マスクにはオリエンテーションフラットは不要である。
【0092】
さらに、上記実施形態では、移動機構310が移動する面及びマスクが配置される面及びハニカム構造体の端面が配置される面は水平面であるが、これに限定されず、例えば、鉛直面、斜面等であっても実施は可能である。また、台座302の形態も自由である。
【0093】
ハニカム構造体70の形状や構造も上述に限定されない。例えば、ハニカム構造体70の外形形状も円柱でなくてもよく、例えば、四角柱等の角柱でもよい。また、ハニカム構造体70の貫通孔70aの断面形状は、正方形でなくてもよく、例えば、長方形、三角形、多角形、円形等でも構わない。さらに、貫通孔70aの配置も、正方形配置でなくてもよく、例えば、3角配置、千鳥配置等でも構わない。
【0094】
また、マスク170の形態やマスクの貫通孔のパターンも自由である。さらに、封口装置200の形態も特に限定は無い。
【0095】
例えば、図11の(b)に示すように、封口用マスク170の貫通孔170aの断面形状は、テーパ状であることができ、これにより、ハニカム構造体70と、封口用マスク170との間に少々の位置ズレがあっても、所望の貫通孔70aに対して選択的に封口材を供給可能である。これを実現するためには、封口用マスク170の表裏を認識した上で、貫通孔70a側(図11の(b)の上側)の貫通孔170aの径が大きくなるように、封口用マスク170を凹部304bに嵌め込む必要がある。この場合、図11の(a)に示すように、封口用マスク170は、2つのオリエンテーションフラット170of1、170of2有していることができる。
【0096】
この場合、例えば、図11の(a)に示すように、封口用マスク170のオリエンテーションフラット170of1、170of2の円板の中心Pを通る垂線f1、f2がなす角が180度以外であり、かつ、オリエンテーションフラット170of1,of2の長さWof1、Wof2が互いに異なっていることができる。図11の(a)では、Wof1>Wof2である。この場合、封口用マスク170を目視して、例えば、2つのオリエンテーションフラットの長さの順番等に基づいて(具体的には、例えば、短いオリエンテーションフラットから長いオリエンテーションフラットまで最短距離で向かう方向が時計回りとなる面を表面とする)ことにより、封口用マスク170の表裏を容易に正しい向きに配置することができる。また、図12に示すように、凹部304bに対して、このように形成された2つのオリエンテーションフラット170of1,170of2にそれぞれ当接することができる互いに長さの異なる当接部304of1,304of2を設けておくことにより、表裏を逆にした状態で封口用マスク170を凹部304bに配置することを規制することも出来る。図11に示す垂線f1、f2のなす角が、20〜160度とできる。また、オリエンテーションフラット170of1,of2の長さWof1、Wof2の比は、1:1.1〜3とできる。
【符号の説明】
【0097】
10…台座、10a…凹部、20…電磁ホルダ(固定治具側マスク固定部材)、70…ハニカム構造体、170…マスク、170of…オリエンテーションフラット、304…台座側マスク固定板(台座側マスク固定部材)、304a…切欠き、304b…凹部、304of…当接部、310…移動機構、320…移動部材、320c…凸部、100…固定治具、400…位置合わせ装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座と、
前記台座に固定され、前記台座に対して移動部材を、所定の面と平行な方向に移動可能、かつ、前記面と垂直な軸周りに回動可能な移動機構と、
前記移動部材に着脱可能に固定され、柱状のハニカム構造体を固定する固定治具と、
前記台座に固定され、前記ハニカム構造体の端面と対向する位置に着脱可能にマスクを固定する台座側マスク固定部材と、
前記固定治具に固定され、前記マスクを固定可能な固定治具側マスク固定部材と、を備える位置合わせ装置。
【請求項2】
前記移動部材は凸部を有し、前記固定治具は凹部を有し、前記凸部と前記凹部とが嵌合可能である請求項1記載の位置合わせ装置。
【請求項3】
前記固定治具側マスク固定部材は、前記マスクにおける前記ハニカム構造体と対向する面の外周部を吸着する請求項1又は2記載の位置合わせ装置。
【請求項4】
前記固定治具は、前記ハニカム構造体の側面を挟持する請求項1〜3のいずれか一項に記載の位置合わせ装置。
【請求項5】
前記台座側マスク固定部材は、端部から前記ハニカム構造体の端面と対向する部分にまで延びる切欠きを有すると共に、前記ハニカム構造体の端面と対向する位置に前記マスクと嵌合可能な凹部を有する板である請求項1〜4のいずれか記載の位置合わせ装置。
【請求項6】
前記マスクは切欠きを有し、前記板の凹部は前記切欠きと当接する当接部を有する請求項5記載の位置合わせ装置。
【請求項7】
ハニカム構造体を固定した固定治具を、台座に固定された移動部材に固定する工程と、
マスクを、前記ハニカム構造体の端面と対向するように、前記台座に固定された台座側マスク固定部材に固定する工程と、
前記移動部材を前記台座に対して、前記ハニカム構造体の端面と平行な方向に移動、及び/又は、前記端面と垂直な軸周りに回動させることにより、前記マスクの貫通孔と、前記ハニカム構造体の貫通孔とを位置合わせする工程と、
位置合わせされた前記マスクを前記固定治具に固定された固定治具側マスク固定部材にする工程と、
前記固定治具を前記移動部材から開放すると共に前記マスクを前記台座側マスク固定部材から開放する工程と、を備える、ハニカム構造体とマスクとの位置合わせ方法。
【請求項8】
請求項7記載の位置合わせ方法と、
前記開放された固定治具を、前記台座から離れた場所に搬送し、前記マスクを介して前記ハニカム構造体の貫通孔に充填材を供給する工程と、を備えるハニカムフィルタの製造方法。
【請求項1】
台座と、
前記台座に固定され、前記台座に対して移動部材を、所定の面と平行な方向に移動可能、かつ、前記面と垂直な軸周りに回動可能な移動機構と、
前記移動部材に着脱可能に固定され、柱状のハニカム構造体を固定する固定治具と、
前記台座に固定され、前記ハニカム構造体の端面と対向する位置に着脱可能にマスクを固定する台座側マスク固定部材と、
前記固定治具に固定され、前記マスクを固定可能な固定治具側マスク固定部材と、を備える位置合わせ装置。
【請求項2】
前記移動部材は凸部を有し、前記固定治具は凹部を有し、前記凸部と前記凹部とが嵌合可能である請求項1記載の位置合わせ装置。
【請求項3】
前記固定治具側マスク固定部材は、前記マスクにおける前記ハニカム構造体と対向する面の外周部を吸着する請求項1又は2記載の位置合わせ装置。
【請求項4】
前記固定治具は、前記ハニカム構造体の側面を挟持する請求項1〜3のいずれか一項に記載の位置合わせ装置。
【請求項5】
前記台座側マスク固定部材は、端部から前記ハニカム構造体の端面と対向する部分にまで延びる切欠きを有すると共に、前記ハニカム構造体の端面と対向する位置に前記マスクと嵌合可能な凹部を有する板である請求項1〜4のいずれか記載の位置合わせ装置。
【請求項6】
前記マスクは切欠きを有し、前記板の凹部は前記切欠きと当接する当接部を有する請求項5記載の位置合わせ装置。
【請求項7】
ハニカム構造体を固定した固定治具を、台座に固定された移動部材に固定する工程と、
マスクを、前記ハニカム構造体の端面と対向するように、前記台座に固定された台座側マスク固定部材に固定する工程と、
前記移動部材を前記台座に対して、前記ハニカム構造体の端面と平行な方向に移動、及び/又は、前記端面と垂直な軸周りに回動させることにより、前記マスクの貫通孔と、前記ハニカム構造体の貫通孔とを位置合わせする工程と、
位置合わせされた前記マスクを前記固定治具に固定された固定治具側マスク固定部材にする工程と、
前記固定治具を前記移動部材から開放すると共に前記マスクを前記台座側マスク固定部材から開放する工程と、を備える、ハニカム構造体とマスクとの位置合わせ方法。
【請求項8】
請求項7記載の位置合わせ方法と、
前記開放された固定治具を、前記台座から離れた場所に搬送し、前記マスクを介して前記ハニカム構造体の貫通孔に充填材を供給する工程と、を備えるハニカムフィルタの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−40872(P2012−40872A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162107(P2011−162107)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】
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