説明

位置情報案内システム

【課題】 視覚障害者に適正に位置情報を伝達することができ、設備工事が簡単で、設備コストも低減させることのできる位置情報案内システムを提供する。
【解決手段】 視覚障害者が移動する通路に設置され、踏むことにより所定電力を発電する少なくとも1つのタグ付きブロック3と、タグ付きブロック3に内蔵されるICタグ8およびタグ付きブロック3により発電される電力を利用して動作されるリーダライタ装置7と、視覚障害者が携帯しリーダライタ装置7により位置情報が書き込まれる個人識別用タグ13と、個人識別用タグ13に書き込まれた位置情報を音声により発音する音声伝達装置とを備えた案内杖12と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は位置情報案内システムに係り、特に、視覚障害者に適正に位置情報を伝達することができ、設備工事が簡単で、設備コストも低減させることを可能とした位置情報案内システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、駅の構内などの公共施設には、視覚障害者が安全に移動することができるように、視覚障害者用の点字ブロックが敷設されている。この点字ブロックをたどって移動することにより、安全な歩行が可能であるが、点字ブロックが案内している先にどのような施設などがあるかを示すものではない。また、他方向から別の視覚障害者が接近してきてもわからないといった問題がある。
【0003】
そのため、従来から、あらかじめ情報が記憶された第1の埋設ICタグと、第2の埋設ICタグと、第1および第2の埋設ICタグに記憶された情報を読み出すタグリーダと送信装置とを具備する視覚障害者用案内杖と、第1の埋設ICタグの情報を受信して音声として出力する視覚障害者が携帯する音声伝達装置と、第2の埋設ICタグのID情報と組み合わせて、第2の埋設ICタグの位置情報を確定して記憶する位置情報記憶装置とを備えた位置情報システムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この位置情報システムにおいては、第1の埋設ICタグを視覚障害者用案内杖により検知したら、第1の埋設ICタグの情報が視覚障害者の携帯する携帯端末装置に音声として出力する。そして、第1の埋設ICタグからの電波による情報を4方向にある第2の埋設ICタグが受信して、4方向にある第2の埋設タグが第1の埋設ICタグの情報を第1記憶装置に記録する。このように記憶した第1の埋設ICタグの位置情報に、あらかじめ記憶されていた第1の埋設タグに対する自己の埋設ICタグの関係を示す情報とを加えて、自己の埋設ICタグの位置情報を確定し、この確定された自己の埋設ICタグの位置情報を視覚障害者用案内杖により検知するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−240532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に記載の発明においては、ICタグが自分自身の位置を特定する目的で、視覚障害者用案内杖の近傍のICタグ同士の通信を繰り返すことになるため、リチウム電池等の大容量の電池を用いたとしても、消費する電力が極めて大きくなり、長時間の使用を行うことができないおそれてがあるという問題を有している。また、ICタグの通信に必要な電源を商用電源から得ようとすると、大掛かりな配線工事が必要となり、設備コストの増大を招くというという問題を有している。
【0007】
本発明は前記した点に鑑みてなされたものであり、視覚障害者に適正に位置情報を伝達することができ、設備工事が簡単で、設備コストも低減させることのできる位置情報案内システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は前記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、視覚障害者が移動する通路に設置され、踏むことにより所定電力を発電する少なくとも1つのタグ付きブロックと、
前記タグ付きブロックに内蔵され所定の位置情報が記録されたICタグと、
前記タグ付きブロックに内蔵され前記タグ付きブロックにより発電された電力により動作されるとともに前記ICタグの情報を送信するためのリーダライタ装置と、
視覚障害者が携帯し、前記リーダライタ装置により位置情報が書き込まれる個人識別用タグと、前記個人識別用タグに書き込まれた位置情報を音声により発音する音声伝達装置とを備えた案内杖と、
を備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記タグ付きブロックが接続されて前記タグ付きブロックの設置位置情報に基づいて、いずれの位置の前記タグ付きブロックにより発電されたか否かを判断し、前記タグ付きブロックの発電状況から歩行者がいずれの方向に歩行しているかを判断する判断部と、前記判断部により判断された視覚障害者の移動方向に基づいて前記タグ付きブロックの前記ICタグに記録された位置情報を変換して書き換える位置情報管理部とを備えた制御装置をさらに備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2において、前記タグ付きブロックの周囲に設置され、踏むことにより所定電力を発電する発電ブロックをさらに備えていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項2または請求項3において、前記制御装置は、前記タグ付きブロックまたは前記発電ブロックの少なくとも一方により発電された電力を蓄電する蓄電池をさらに備え、前記リーダライタ装置は、前記蓄電池に蓄電された電力により駆動されることを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項2から請求項4のいずれか一項において、前記制御装置は、前記タグ付きブロックが踏まれたことをトリガとして、前記リーダライタ装置を起動させるように制御することを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明は、請求項5において、前記制御装置は、前記リーダライタ装置を起動させた後に、前記リーダライタ装置により前記案内杖の個人識別用タグを認識しない場合は、前記リーダライタ装置を停止させるように制御することを特徴とする。
【0014】
請求項7に係る発明は、請求項2から請求項6のいずれか一項において、前記制御装置は、中央管理システムと通信を行う通信部をさらに備え、前記制御装置は、前記通信部により受信した案内情報を前記ICタグに書き込むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、伝達エリアにタグ付きブロックを設置し、視覚障害者がタグ付きブロックを踏んだ場合に、このタグ付きブロックにより発電された電力を利用してリーダライタ装置を起動し、このリーダライタ装置によりタグ付きブロックのICタグの位置情報を案内杖の個人識別用タグに書き込むようにしているので、視覚障害者に確実に位置情報を伝達することができる。しかも、タグ付きブロックの発電によりリーダライタ装置の駆動電力を得るようにしているので、商用電源などが不要となり、大規模な電源配線工事が不要となり、既設の駅などにタグ付きブロックおよび発電ブロックを設置するだけで、視覚障害者に対する位置情報を伝達することができ、設備工事が簡単で、設備コストの低減を図ることができる。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、制御装置により、視覚障害者がいずれの方向に移動しているかを判断して、中央のタグ付きブロックにより、ICタグに記録されている位置情報と、視覚障害者の移動方向に基づいて、中央に位置するタグ付きブロックのICタグに、視覚障害者の移動方向に応じた位置情報を書き込むとともに、この位置情報を案内杖の個人識別用タグに書き込むようにしているので、視覚障害者の移動方向に応じた位置情報を確実に伝達することができる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、タグ付きブロックの周囲に、踏むことにより所定電力を発電する発電ブロックをさらに配置するようにしているので、視覚障害者に限らず、健常者がタグ付きブロックまたは発電ブロックを踏むことにより、発電することが可能となる。
【0018】
請求項4に係る発明によれば、制御装置にタグ付きブロックまたは発電ブロックの少なくとも一方により発電された電力を蓄電する蓄電池をさらに設け、リーダライタ装置を蓄電池に蓄電された電力により駆動するようにしているので、リーダライタ装置を安定して駆動することが可能となる。
【0019】
請求項5に係る発明によれば、制御装置により、タグ付きブロックが踏まれたことをトリガとして、前記リーダライタ装置を起動させるようにしているので、リーダライタ装置を常時起動させておく必要がなく、省電力化を図ることができる。
【0020】
請求項6に係る発明によれば、制御装置により、リーダライタ装置を起動させた後に、リーダライタ装置により案内杖の個人識別用タグを認識しない場合は、リーダライタ装置を停止させるようにしているので、個人識別用タグとの通信が不要な場合に、リーダライタ装置を停止させることができ、省電力化を図ることができる。
【0021】
請求項7に係る発明によれば、制御装置に中央管理システムと通信を行う通信部をさらに設け、制御装置により通信部により受信した案内情報をICタグに書き込むようにしているので、中央管理システムが持っている案内情報を視覚障害者に伝達することができ、視覚障害者に便利なシステムとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る位置情報案内システムの第1実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る位置情報案内システムの第1実施形態における制御構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る位置情報案内システムの第1実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る位置情報案内システムの第2実施形態における制御構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1は本発明に係る位置情報案内システムの第1実施形態を示す概略図である。本実施形態においては、本発明に係る位置情報案内システムを、例えば、駅構内において、東西方向および南北方向の駅通路が交差する箇所に設置した場合を例に説明する。
【0025】
図1に示すように、本実施形態においては、駅構内の駅通路1が交差する箇所には、視覚障害者に所定の位置情報を伝達するための情報伝達エリア2が設けられている。この情報伝達エリア2の各駅通路1が延在する方向には、複数のタグ付きブロック3,3…が十字状に配列されており、情報伝達エリア2の外部には、タグ付きブロック3に連続するように通常の点字ブロック4が配列されるように構成されている。また、タグ付きブロック3は、中央のタグ付きブロック(C)3から東方向にE1,E2…E4、西方向にW1,W2…W4、北方向にN1,N2…N4、南方向にS1,S2…S4と配列されるようになっている。
【0026】
タグ付きブロック3は、表面上は、通常の点字ブロック4と同様に案内用の凹凸が形成されている。タグ付きブロック3は、例えば、圧電素子、電磁誘導素子、エレクトロアクティブポリマ(EAP)素子などの既知の発電可能な素子により構成されており、歩行者が発電ブロック6を踏むことにより、タグ付きブロック3の変位に応じて一定量の電力を発電することができるものである。
【0027】
また、情報伝達エリア2のタグ付きブロック3の設置位置以外の部分には、発電する機能のみを備えた複数の発電ブロック5,5…が配置されている。
【0028】
また、図2は本実施形態における位置情報案内システムの制御構成を示したものであり、本実施形態においては、位置情報案内システムは、制御装置6を備えている。この制御装置6には、各タグ付きブロック3および発電ブロック5がそれぞれ接続されており、制御装置6は、各タグ付きブロック3の設置位置情報を取得することができるように構成されている。
【0029】
また、タグ付きブロック3には、リーダライタ装置7および位置情報を記録したICタグ8が内蔵されている。また、中央に位置するタグ付きブロック3のICタグ8には、例えば、北方向には「出口」、南方向には「○番線ホーム」、東方向には「改札口」、西方向には「売店」といった設置位置から東西南北方向の通路の先に存在する施設などの案内情報が記録されるように構成されている。
【0030】
また、制御装置6には、各タグ付きブロック3および発電ブロック5により発電された電力を蓄電するための蓄電池9が設けられており、タグ付きブロック3および発電ブロック5を踏んだ場合に発電される電力を蓄電池9に蓄電するように構成されている。
【0031】
また、制御装置6には、歩行者がタグ付きブロック3を踏んだ場合に、各タグ付きブロック3の設置位置情報に基づいて、いずれの位置のタグ付きブロック3により発電されたか否かを判断し、各タグ付きブロック3の発電状況から視覚障害者がいずれの方向に移動しているかを判断する判断部10が設けられている。さらに、制御装置6には、判断部10により判断された視覚障害者の移動方向に基づいて、中央に設置されたタグ付きブロック3のICタグ8に記録された位置情報を管理する位置情報管理部11が設けられている。
【0032】
また、視覚障害者が携帯する案内杖12の先端部には、個人識別情報が記録された個人識別用タグ13が埋設されており、基端部には、個人識別用タグ13の情報に基づいて情報を音声により出力するスピーカなどの音声伝達装置14を制御する杖側制御部15が設けられている。
【0033】
そして、制御装置6は、いずれかのタグ付きブロック3が踏まれて発電されたことを検出したことをトリガとして、タグ付きブロック3のリーダライタ装置7を起動させるように制御するものである。なお、起動させるリーダライタ装置7は、視覚障害者が踏んだタグ付きブロック3のリーダライタ装置7のみであってもよいし、すべてのタグ付きブロック3のリーダライタ装置7を起動させるようにしてもよい。また、各タグ付きブロック3は、リーダライタ装置7の起動により、視覚障害者が携帯する案内杖12の個人識別用タグ13の情報を読み取り、視覚障害者が情報伝達エリア2に移動したことを認識するように構成されている。
【0034】
そして、制御装置6は、判断部10により、視覚障害者が踏んだタグ付きブロック3の設置位置情報に基づいて、歩行者がいずれの方向に歩行しているかを判断し、視覚障害者が中央のタグ付きブロック3に移動した場合に、個人識別用タグ13が中央のタグ付きブロック3に到達した場合に、タグ付きブロック3のICタグ8に記録されている位置情報と、判断部10により判断された視覚障害者の移動方向に基づいて、位置情報管理部11により、中央に位置するタグ付きブロック3のICタグ8に、視覚障害者の移動方向に応じた位置情報に変換して書き込むように制御するように構成されている。そして、中央のタグ付きブロック3のリーダライタ装置7は、視覚障害者の移動方向に応じた位置情報を視覚障害者が携帯する案内杖12の個人識別用タグ13に書き込み、案内杖12の杖側制御部15は、個人識別用タグ13に書き込まれた情報に基づいて、音声伝達装置14により発音し、視覚障害者に伝達するように構成されている。
【0035】
次に、本実施形態の動作について、図3に示すフローチャートを参照して説明する。なお、本実施形態においては、視覚障害者が東方向から移動してきて、情報エリアで右折して北方向に移動していく場合を例にして説明する。
【0036】
本実施形態においては、まず、通常状態においては、健常者がタグ付きブロック3または発電ブロック5を踏むことにより、発電される電力を蓄電池9に蓄電しておく。
【0037】
そして、視覚障害者が点字ブロック4をたどって東方向から西方向に進行して、最も東側のタグ付きブロック(E4)3を踏むと(ST1)、タグ付きブロック3により発電が行われ、この発電をトリガとして、制御装置6により、タグ付きブロック3のリーダライタ装置7を起動させる(ST2)。リーダライタ装置7が起動されると、リーダライタ装置7により、視覚障害者が携帯する案内杖12の個人識別用タグ13の情報を読み取り、視覚障害者が情報伝達エリア2に移動したことを認識する(ST3)。
【0038】
このとき、リーダライタ装置7が起動した後、一定時間内に、案内杖12の個人識別用タグ13がリーダライタ装置7の読み取りエリア内に位置しない場合には(ST3:NO)、視覚障害者が情報伝達エリア2に移動したものではないと判断し、リーダライタ装置7を停止させる。なお、リーダライタ装置7の停止は、必ずしも必要ではないが、システムの消費電力を押さえるためには、停止させるように制御する方が好ましい。
【0039】
そして、視覚障害者が西方向に移動するにつれて、タグ付きブロック3も東側から中央に向かって踏まれ、各タグ付きブロック3により順次発電される。このタグ付きブロック3の発電により、判断部10により、発電されたタグ付きブロック3の設置位置を認識することにより、視覚障害者がいずれの方向に歩行しているかを判断する(ST4)。
【0040】
そして、視覚障害者が中央のタグ付きブロック(C)3に到達した場合に(ST5)、タグ付きブロック3のICタグ8に記録されている位置情報と、視覚障害者の移動方向に基づいて、中央に位置するタグ付きブロック(C)3のICタグ8に、位置情報管理部11により、視覚障害者の移動方向に応じた位置情報を変換して書き込むように制御する(ST6)。視覚障害者の移動方向に応じた位置情報としては、前述のように、北方向には「出口」、南方向には「○番線ホーム」、東方向には「改札口」、西方向には「売店」という位置情報が記録されている場合は、視覚障害者が東方向から西方向に移動するという判断に応じて、右方向は「出口」、左方向には「○番線ホーム」、直進は「売店」という情報に変換して書き換えるものである。そして、中央に位置するタグ付きブロック(C)3のリーダライタ装置7によりこの位置情報を個人識別用タグ13に送信して書き込む(ST7)。
【0041】
このように、中央のタグ付きブロック(C)3のリーダライタ装置7により、位置情報を視覚障害者が携帯する案内杖12の個人識別用タグ13に書き込んだら、案内杖12の杖側制御部15は、個人識別用タグ13に書き込まれた情報に基づいて、音声伝達装置14により発音し、視覚障害者に位置情報を伝達する(ST8)。
【0042】
その後、視覚障害者が北方向に移動した場合に、タグ付きブロック(N1…)3が北方向に向かって順次踏まれたことを検出し、タグ付きブロック3が踏まれなくなった場合には、視覚障害者が情報伝達エリア2の外部に移動したものと判断して、各タグ付きブロック3のリーダライタ装置7を停止する。
【0043】
なお、本実施形態においては、各タグ付きブロック3にリーダライタ装置7を設けるうよにしたが、案内杖12側にリーダライタ装置7を設置するとともに、個人識別用タグ13をアクティブタグとして、タグ付きブロック3により発電した電力をアクティブタグの駆動に用いるようにしても同様の効果を得ることができる。
【0044】
以上述べたように、本実施形態においては、情報伝達エリア2にタグ付きブロック3を設置するとともに、その周囲に発電ブロック5を設置し、これらタグ付きブロック3および発電ブロック5を踏む際に発電される電力を蓄電池9に蓄電しておき、視覚障害者がタグ付きブロック3を踏んだ場合に、リーダライタ装置7を起動し、視覚障害者がいずれの方向に移動しているかを判断して、中央のタグ付きブロック3により、ICタグ8に記録されている位置情報と、視覚障害者の移動方向に基づいて、中央に位置するタグ付きブロック3のICタグ8に、視覚障害者の移動方向に応じた位置情報を書き込むとともに、この位置情報を案内杖12の個人識別用タグ13に書き込むようにしているので、視覚障害者に確実に位置情報を伝達することができる。しかも、タグ付きブロック3および発電ブロック5の発電によりリーダライタ装置7の駆動電力を得るようにしているので、商用電源などが不要となり、大規模な電源配線工事が不要となり、既設の駅などにタグ付きブロック3および発電ブロック5を設置するだけで、視覚障害者に対する位置情報を伝達することができ、設備工事が簡単で、設備コストの低減を図ることができる。
【0045】
なお、本実施形態においては、各タグ付きブロック3にリーダライタ装置7を設置するようにしたが、中央に設置したタグ付きブロック3あるいは、いずれか1つのタグ付きブロック3のみにリーダライタ装置7を設置するようにしてもよい。
【0046】
また、本実施形態においては、タグ付きブロック3を踏むことにより、視覚障害者の移動方向を判断することができるので、例えば、他方向から他の視覚障害者が移動してきたことを判断することも可能であり、この場合には、制御装置6により、ICタグ8にその旨の情報をさらに書き込むことにより、視覚障害者に注意を促すことも可能である。
【0047】
次に、本発明の第2実施形態について、図4を参照して説明する。なお、本実施形態においては、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明する。
【0048】
本実施形態においては、図4に示すように、制御装置6に、中央管理システム16と無線または有線により通信を行う通信部17を設けるようにしたものである。すなわち、本実施形態においては、制御装置6の通信部17により中央管理システム16から送られる最新の案内情報を受信し、中央に設置されたタグ付きブロック3のICタグ8に位置情報とともに書き込むことにより、中央管理システム16からの案内情報を案内杖12に送信することができるようにしたものである。この案内情報としては、位置情報案内システムが駅に設置される場合であれば、例えば、列車の遅延情報や事故情報など、一時的に発生する情報や緊急の情報などが考えられる。
【0049】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0050】
本実施形態においても前記第1実施形態と同様に、タグ付きブロック3または発電ブロック5を踏むことにより発電される電力を蓄電池9に蓄電しておく。
【0051】
そして、視覚障害者がタグ付きブロック3を踏んで、タグ付きブロック3により発電が行われると、この発電をトリガとして、制御装置6により、タグ付きブロック3のリーダライタ装置7を起動させる。リーダライタ装置7が起動されると、リーダライタ装置7により、視覚障害者が携帯する案内杖12の個人識別用タグ13の情報を読み取り、視覚障害者が情報伝達エリア2に移動したことを認識する。そして、視覚障害者が移動により発電されるタグ付きブロック3の位置情報に基づいて、判断部10により、視覚障害者の移動方向を判断する。
【0052】
そして、視覚障害者が中央のタグ付きブロック3に到達した場合に、タグ付きブロック3のICタグ8に記録されている位置情報と、視覚障害者の移動方向に基づいて、中央に位置するタグ付きブロック3のICタグ8に、視覚障害者の移動方向に応じた位置情報を書き込むとともに、中央管理システム16から制御装置6に送られた案内情報を書き込むように制御する。そして、中央に位置するタグ付きブロック3のリーダライタ装置7によりこの位置情報および案内情報を個人識別用タグ13に書き込む。
【0053】
そして、位置情報および案内情報を視覚障害者が携帯する案内杖12の個人識別用タグ13に書き込んだら、案内杖12の杖側制御部15は、個人識別用タグ13に書き込まれた情報に基づいて、音声伝達装置14により発音し、視覚障害者に位置情報および案内情報を伝達する。
【0054】
以上述べたように、本実施形態においては、視覚障害者がタグ付きブロック3を踏んだ場合に、リーダライタ装置7を起動するとともに、視覚障害者がいずれの方向に移動しているかを判断して、中央に位置するタグ付きブロック3のICタグ8に、視覚障害者の移動方向に応じた位置情報および中央管理システム16から送られる案内情報を書き込むとともに、この位置情報をリーダライタ装置7により案内杖12の個人識別用タグ13に書き込むようにしているので、視覚障害者に確実に位置情報および案内情報を伝達することができる。しかも、タグ付きブロック3および発電ブロック5の発電によりリーダライタ装置7の駆動電力を得るようにしているので、商用電源などが不要となり、大規模な電源配線工事が不要となり、既設の駅などにタグ付きブロック3および発電ブロック5を設置するだけで、視覚障害者に対する位置情報を伝達することができ、設備工事が簡単で、設備コストの低減を図ることができる。
【0055】
なお、前記各実施形態においては、位置情報案内システムを、駅の通路に設置した場合について説明したが、その他、公共施設内や一般の歩道など、視覚障害者が移動する場所であれば、いずれに設置するようにしてもよい。
【0056】
また、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 駅通路
2 情報伝達エリア
3 タグ付きブロック
4 点字ブロック
5 発電ブロック
6 制御装置
7 リーダライタ装置
8 ICタグ
9 蓄電池
10 判断部
11 位置情報管理部
12 案内杖
13 個人識別用タグ
14 音声伝達装置
15 杖側制御部
16 中央管理システム
17 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
視覚障害者が移動する通路に設置され、踏むことにより所定電力を発電する少なくとも1つのタグ付きブロックと、
前記タグ付きブロックに内蔵され所定の位置情報が記録されたICタグと、
前記タグ付きブロックに内蔵され前記タグ付きブロックにより発電された電力により動作されるとともに前記ICタグの情報を送信するためのリーダライタ装置と、
視覚障害者が携帯し、前記リーダライタ装置により位置情報が書き込まれる個人識別用タグと、前記個人識別用タグに書き込まれた位置情報を音声により発音する音声伝達装置とを備えた案内杖と、
を備えていることを特徴とする位置情報案内システム。
【請求項2】
前記タグ付きブロックが接続されて前記タグ付きブロックの設置位置情報に基づいて、いずれの位置の前記タグ付きブロックにより発電されたか否かを判断し、前記タグ付きブロックの発電状況から歩行者がいずれの方向に歩行しているかを判断する判断部と、前記判断部により判断された視覚障害者の移動方向に基づいて前記タグ付きブロックの前記ICタグに記録された位置情報を変換して書き換える位置情報管理部とを備えた制御装置をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の位置情報案内システム。
【請求項3】
前記タグ付きブロックの周囲に設置され、踏むことにより所定電力を発電する発電ブロックをさらに備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の位置情報案内システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記タグ付きブロックまたは前記発電ブロックの少なくとも一方により発電された電力を蓄電する蓄電池をさらに備え、前記リーダライタ装置は、前記蓄電池に蓄電された電力により駆動されることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の位置情報案内システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記タグ付きブロックが踏まれたことをトリガとして、前記リーダライタ装置を起動させるように制御することを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の位置情報案内システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記リーダライタ装置を起動させた後に、前記リーダライタ装置により前記案内杖の個人識別用タグを認識しない場合は、前記リーダライタ装置を停止させるように制御することを特徴とする請求項5に記載の位置情報案内システム。
【請求項7】
前記制御装置は、中央管理システムと通信を行う通信部をさらに備え、前記制御装置は、前記通信部により受信した案内情報を前記ICタグに書き込むことを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか一項に記載の位置情報案内システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−157668(P2012−157668A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21425(P2011−21425)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】