説明

位置推定装置、システム、位置推定方法および位置推定用プログラム

【課題】位置情報が付随していない情報が送信された場所を推定する。
【解決手段】位置推定装置は、第1端末の位置および時刻とを対応付けて行動履歴情報として格納する行動履歴蓄積手段と、第2端末から時刻を取得して、前記行動履歴情報のうち、前記第2端末から取得した時刻に最も近い過去の時刻を示す前記行動履歴情報(第1直近行動履歴情報)が示す位置に最も近い場所(最終ポイント)を、場所の識別子とその場所の位置とを対応付けて格納するPOI格納手段から抽出する位置情報抽出手段とを備え、前記位置情報抽出手段は、前記第1直近行動履歴情報に最も近い過去の時刻を示す前記行動履歴情報(第2直近行動履歴情報)と、前記最終ポイントの位置とが、所定距離以内にある場合に、前記第1直近行動履歴情報と、前記第2直近行動履歴情報とを用いて、前記第2端末の存在する位置(特徴的位置情報)を推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置推定装置、システム、位置推定方法および位置推定用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
位置情報を取得できる携帯端末が普及し、その位置情報を用いたサービスの開発が進められている。例えば、GPS(Global Positioning System)や加速度センサ等の測位デバイスやセンサデバイスを通じて多くの携帯端末が位置情報を取得出来るようになっている。これらの機能を統合的に利用することで、利用者の位置情報を取得し、その位置情報に基づいたサービスを提供することが、多くの携帯端末で可能となっている。
【0003】
サービス提供者は、例えば、前述のGPS等の測位方法を用いて、定期的に携帯端末の位置情報を取得することで利用者の行動パターンを把握し、個々の利用者に最適なサービスを提供することができる。
【0004】
このような位置情報をもとに利用者等の行動パターンを推定する技術が知られている。特許文献1には、移動体についての場所訪問パターンや嗜好などの特性を抽出するシステムが記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、移動状態推定部が、接続要求先の通信端末装置が通信圏外に居るものと判定した場合に、時刻情報と位置情報とに基づいて、通信圏外へ移動後の移動状態を推定するシステムが記載されている。
【0006】
また、特許文献3には、シチュエーション推定部が、シチュエーション遷移モデルと、位置情報及び時刻情報と、ユーザの遷移前のシチュエーションとに基づいて、ユーザの現在のシチュエーションを推定するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−155757
【特許文献2】特開2007−116330
【特許文献3】特開2009−043057
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、利用者は、位置情報を付随させないで情報を送信することもある。そのため、利用者が、位置情報が付随していない情報を送信した場合、サービス提供者は利用者がどこにいるかを判断することができず、適切な情報を利用者に提供できないという課題がある。
【0009】
そこで、本発明は、上記課題を解決すべく、位置情報が付随していない情報が送信された場所を推定することのできる位置推定装置、システム、位置推定方法および位置推定用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するため、本発明の一形態は、第1端末の位置と、前記第1端末が前記位置にいた時刻と、を取得してそれらを対応付けて行動履歴情報として格納する行動履歴蓄積手段と、第2端末から時刻を取得して、前記行動履歴蓄積手段に格納された、前記行動履歴情報のうち、前記第2端末から取得した時刻に最も近い過去の時刻を示す前記行動履歴情報(第1直近行動履歴情報)が示す位置に最も近い場所(最終ポイント)を、場所の識別子とその場所の位置とを対応付けて格納するPOI格納手段から抽出する位置情報抽出手段とを備え、前記位置情報抽出手段は、前記第1直近行動履歴情報に最も近い過去の時刻を示す前記行動履歴情報(第2直近行動履歴情報)と、前記最終ポイントの位置とが、所定距離以内にある場合に、前記第1直近行動履歴情報と、前記第2直近行動履歴情報とを用いて、前記第2端末の存在する位置(特徴的位置情報)を推定する位置推定装置を提供する。
【0011】
また、本発明は、第1端末の位置と、前記第1端末が前記位置にいた時刻と、を取得してそれらを対応付けて行動履歴情報として格納する行動履歴蓄積ステップと、第2端末から時刻を取得して、前記行動履歴情報のうち、前記第2端末から取得した時刻に最も近い過去の時刻を示す前記行動履歴情報(第1直近行動履歴情報)が示す位置に最も近い場所(最終ポイント)を、場所の識別子とその場所の位置とを対応付けて格納するPOI格納手段から抽出する位置情報抽出ステップと、前記第1直近行動履歴情報に最も近い過去の時刻を示す前記行動履歴情報(第2直近行動履歴情報)と、前記最終ポイントの位置とが、所定距離以内にある場合に、前記第1直近行動履歴情報と、前記第2直近行動履歴情報とを用いて、前記第2端末の存在する位置(特徴的位置情報)を推定する位置推定ステップと、をコンピュータに実行させる位置推定用プログラムを提供する。
【0012】
また、本発明は、第1端末の位置と、前記第1端末が前記位置にいた時刻と、を取得してそれらを対応付けて行動履歴情報として格納し、第2端末から時刻を取得して、前記行動履歴情報のうち、前記第2端末から取得した時刻に最も近い過去の時刻を示す前記行動履歴情報(第1直近行動履歴情報)が示す位置に最も近い場所(最終ポイント)を、場所の識別子とその場所の位置とを対応付けて格納するPOI格納手段から抽出し、前記第1直近行動履歴情報に最も近い過去の時刻を示す前記行動履歴情報(第2直近行動履歴情報)と、前記最終ポイントの位置とが、所定距離以内にある場合に、前記第1直近行動履歴情報と、前記第2直近行動履歴情報とを用いて、前記第2端末の存在する位置(特徴的位置情報)を推定する位置推定方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、位置情報が付随していない情報が送信された場所を推定することのできる位置推定装置、システム、位置推定方法および位置推定用プログラムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態の位置情報抽出システムの一例を示す構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の位置情報抽出システムの動作の一例を示すフロー図である。
【図3】行動履歴蓄積部120の一例を示す図である。
【図4】位置情報格納部121の一例を示す図である。
【図5】情報蓄積部130の一例を示す図である。
【図6】POI情報格納部140の一例を示す図である。
【図7】位置情報抽出部112が行なう推定の一例を示す図である。
【図8】位置情報抽出部112が行なう推定の一例を示す図である。
【図9】位置情報抽出部112が行なう推定の一例を示す図である。
【図10】位置情報抽出部112が行なう推定の一例を示す動作フロー図である。
【図11】速度と頻度の関係の一例を示す図である。
【図12】本発明の位置情報抽出装置の一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0016】
なお、各実施形態の装置等を構成する各部は、制御部、メモリ、メモリにロードされたプログラム、プログラムを格納するハードディスク等の記憶ユニット、ネットワーク接続用インターフェースなどからなり、ハードウェアとソフトウェアの任意の組合せによって実現される。そして特に断りのない限り、その実現方法、装置は限定されない。
【0017】
また、制御部はCPU(Central Processing Unit)などからなり、オペレーティングシステムを動作させて装置等の全体を制御するとともに、例えばドライブ装置などに装着された記録媒体からメモリにプログラムやデータを読み出し、これに従って各種の処理を実行する。
【0018】
記録媒体は、例えば光ディスク、フレキシブルディスク、磁気光ディスク、外付けハードディスク、半導体メモリ等であって、コンピュータプログラムをコンピュータが読み取り可能に記録する。また、コンピュータプログラムは、通信網に接続されている図示しない外部コンピュータからダウンロードされても良い。ここで、特に断りの無い限り、通信網は、インターネット、LAN(Local Area Network)、公衆回線網、無線通信網、または、これらの組み合わせ等によって構成されるネットワーク等であって良い。
【0019】
また、各実施形態の説明において利用するブロック図は、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、これらの図においては、各実施形態の構成部は物理的に結合した一つの装置により実現されるよう記載されている場合もあるが、その実現手段はこれに限定されない。すなわち、各実施形態で説明される構成部、装置、システム等は、二つ以上の物理的に分離した装置を有線または無線で接続することにより複数の装置により実現されてもよい。また、各構成部が物理的に分離した2つ以上装置として記載されている場合もあるが、その実現手段はこれに限定されない。すなわち、物理的に結合した一つの装置により実現されるようにハードウェア、ソフトウェアを任意に組み合わせることにより各実施形態の各構成部、装置、システム等が実現されてもよい。
【0020】
<概要>
まず、本発明の概要の一例について図1を用いて説明する。
【0021】
LBS(Location based service)等のサービス利用者は、携帯端末200および端末300を所有していると仮定する。携帯端末200は、例えば、携帯電話等のように、持ち運び可能で、かつ、位置情報を取得可能な端末である。利用者は携帯端末200を使用して通勤中等の移動中や外食中等の滞留中に、位置情報と時刻情報とを含む第1の情報を位置情報抽出装置100に送信する。
【0022】
位置情報抽出装置100は、送信された位置情報と時刻情報を対応付けて、行動履歴情報として行動履歴蓄積部120に蓄積する(図3参照)。
【0023】
端末300は、例えば、自宅にあるPC等の端末である。端末300は持ち運べず、かつ、位置情報の取得ができない端末である。利用者は自宅や会社等では端末300を使用して時刻情報を含む第2の情報を位置情報抽出装置100に送信するが、位置情報は送信しない。
【0024】
また、位置情報抽出装置100は、図6のように、位置情報(例えば緯度と経度)が付随している場所(ポイント、または、POI(Point of interest)とよぶ)の情報を格納するPOI情報格納部140を備える。
【0025】
利用者が、端末300を用いて時刻情報を含む第2の情報を位置情報抽出装置100に送信すると、位置情報抽出装置100は、取得した第2の情報に含まれる時刻情報を位置情報抽出部112に送信する。次に、位置情報抽出部112は、受信した時刻情報よりも過去の時刻情報をもつ行動履歴情報のなかで、受信した時刻情報に最も近い時刻情報をもつ行動履歴情報(第1直近行動履歴情報)を行動履歴蓄積部120から取得する。
【0026】
次に、位置情報抽出部112は、行動履歴蓄積部120から取得した第1直近行動履歴情報の位置情報が示す位置に最も距離が近いPOI(最終ポイント)をPOI格納部140から抽出する。
【0027】
次に、位置情報抽出部112は、第1直近行動履歴情報の時刻情報よりも過去の時刻情報をもつ行動履歴情報のなかで、第1直近行動履歴情報の時刻情報に最も近い時刻情報をもつ行動履歴情報(第2直近行動履歴情報)を行動履歴蓄積部120から取得する。
【0028】
次に、位置情報抽出部112は、第2直近行動履歴情報の位置情報と最終ポイントの位置情報とを比較し、それらの距離が近い(所定距離以内にある)か否かを判定する。
【0029】
それらが所定距離以内にある場合には、位置情報抽出部112は、第1直近行動履歴情報と第2直近行動履歴情報とを用いて、端末300が情報を送信した位置を推定する。
【0030】
例えば、行動履歴蓄積部120には、第1直近行動履歴情報、第2直近行動履歴情報として、利用者が(緯度、経度)=(a、b)で表される地点Aに時刻17:00に存在したという情報と、(緯度、経度)=(c、d)で表される地点Bに時刻17:10に存在したという情報とがそれぞれ格納されている。位置情報抽出部112は、端末300から取得した時刻情報の表す時刻が17:20だとすれば、利用者は10分間に地点Aと地点Bとの距離(例えば500m)だけ移動できる速度で移動していることが分かるため、端末300が情報を送信した位置はB地点から1kmの範囲にあると推定することができる。
【0031】
このように、第2直近行動履歴情報と最終ポイントとが所定距離以内にある場合には、利用者は、最終ポイントを利用等して、その付近で行動履歴情報を送信し、その後は他のポイントを経由せずに特徴的位置情報の示す位置へと向かった可能性が高い。そのため、位置情報抽出部112は、このような推定により特徴的位置情報の推定を精度よく行なうことができる。
【0032】
<実施形態1>
次に、発明の第一の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0033】
[構成]
図1は本発明の第一の実施形態に係る位置推定システム1の構成図である。
【0034】
位置推定システム1は、位置情報抽出装置100、携帯端末200、端末300からなる。位置情報抽出装置100は情報取得部110、位置情報振分部111、位置情報抽出部112、位置情報判定部113、行動履歴蓄積部120、位置情報格納部121、情報蓄積部130、POI情報格納部140から構成される。位置情報抽出装置100は携帯端末200や端末300からネットワーク等を介して情報を取得する。
【0035】
携帯端末200は位置情報取得部210、情報送信部211を含む。端末300は情報送信部311を含む。
【0036】
[携帯端末200]
まず、携帯端末200に含まれる構成要素について説明する。
【0037】
位置情報取得部210は、携帯端末200の現在地の位置情報を取得することができる。位置情報とは、例えば、携帯端末200が存在する位置を表す緯度と経度とからなる情報である。位置情報取得部210は、例えば、GPS(Global Positioning System)、基地局測位等の公知技術により実現され、携帯端末200の現在地の情報を取得する。
【0038】
情報送信部211は、利用者関連情報と、位置情報取得部210が取得した位置情報とを位置情報抽出装置100に送信する。利用者関連情報とは、携帯端末200を保持する利用者等が、携帯端末200を用いて位置情報抽出装置100に送信する情報である。例えば、利用者等が携帯端末200を用いて撮像した写真の画像情報、その撮像時刻情報、利用者等の日記やつぶやきの内容を表すテキスト情報、そのテキストを入力した場所や時刻などの情報等であり、この情報は特段制限されない。携帯端末200によって、位置情報と利用者関連情報がともに送られるとき、これらの情報をまとめて、「位置情報付き利用者関連情報」とよぶ。情報送信部211は、位置情報付き利用者関連情報とともに、送信時刻を示す時刻情報を位置情報抽出装置100に送信する。時刻情報は、例えば日付を表す情報と時刻を表す情報とからなる。
【0039】
[端末300]
次に、端末300に含まれる構成要素について説明する。
【0040】
端末300は、情報送信部311を備える。端末300は携帯端末200と異なり、位置情報取得部210を備えていない。端末300は、情報送信部311から利用者関連情報のみを位置情報抽出装置100に送信する。端末300によって利用者関連情報のみが送信されるとき、この情報を「位置情報なし利用者関連情報」とよぶ。情報送信部311は、位置情報なし利用者関連情報とともに、送信時刻を示す時刻情報を位置情報抽出装置100に送信する。時刻情報は、例えば日付を表す情報と時刻を表す情報とからなる。
【0041】
[位置情報抽出装置100]
次に、位置情報抽出装置100に含まれる構成要素について説明する。
【0042】
[情報取得部110]
情報取得部110は、携帯端末200から送信された利用者関連情報及び位置情報と、端末300から送信された利用者関連情報とを取得する。利用者関連情報には、携帯端末200や端末300が利用者関連情報を送信した時刻を表す時刻情報が付随していている。あるいは、利用者関連情報に時刻情報が付随していない場合には、情報取得部110が利用者関連情報を取得したときに、取得した時刻を時刻情報として利用者関連情報に付加しても良い。
【0043】
[位置情報振分部111]
位置情報振分部111は、情報取得部110が取得した情報を情報取得部110から受け取る。位置情報振分部111は、取得した情報を、位置情報と、利用者関連情報と、利用者関連情報に付随する時刻情報とに振り分ける。そして、位置情報振分部111は、位置情報と時刻情報とを対応付けて、行動履歴情報として行動履歴蓄積部120に蓄積し(図3参照)、利用者関連情報及び時刻情報を情報蓄積部130に蓄積する(図5参照)。
【0044】
なお、位置情報振分部111は、図3に示すように、位置情報と対応付けて、その位置情報の精度を行動履歴蓄積部120にさらに蓄積しても良い。この精度は、例えば、携帯端末200の位置情報取得部210が位置情報を取得した際に、その位置情報の精度を表す情報として取得した情報である。位置情報の精度は、位置情報取得部210の性能や位置情報の取得場所などによって決まる情報である。位置情報抽出装置100は、その精度を情報送信部211から受信することができる。
【0045】
位置情報振分部111は、情報取得部110から取得した利用者関連情報に位置情報が付加されていない(位置情報なし利用者関連情報)と判断した場合、位置情報なし利用者関連情報に付随している時刻情報を位置情報抽出部112に送信する。
【0046】
位置情報振分部111は、情報取得部110から取得した利用者関連情報に、「位置を表す情報」が含まれている場合には、「位置を表す情報」を抽出して位置情報抽出部112に送信しても良い。ここで、「位置を表す情報」とは、利用者関連情報に含まれる、位置を表す言葉や文章などのテキスト情報等である。例えば、利用者関連情報が利用者のつぶやきを表すテキスト情報であり、その内容が「家につきました!」という内容である場合、利用者は利用者関連情報を送信した時刻に家に存在していた可能性が高い。そこで、位置情報抽出装置100は、位置情報なし利用者関連情報を受信した場合でも、利用者が利用者関連情報を送信した時刻に、利用者は家に存在していたと推定できる。位置情報振分部111は、利用者関連情報にこのような位置を表す情報が含まれている場合には、該情報を位置情報抽出部112に送信しても良い。
【0047】
[POI情報格納部140]
POI情報格納部140は、図6のように、位置情報が付随している場所(POI:Point of interest)の情報を格納する。すなわち、POI情報格納部140は、場所とその場所の位置とを対応付けて記憶する。これらの場所をPOI、あるいは、ポイントとよぶ。ポイントの情報は、予めサービス提供者等が収集してPOI情報格納部140に格納しても良いし、図示しないPOI情報収集制御部等が、定期的に外部装置等からポイントの情報を取得してPOI情報格納部140の内容を更新しても良い。
【0048】
[位置情報抽出部112]
位置情報抽出部112は、位置情報振分部111から取得した時刻情報を使用し、位置情報なし利用者関連情報に付随した時刻情報が示す時刻と近い行動履歴情報を行動履歴蓄積部120から抽出する。
【0049】
また、位置情報抽出部112は、抽出した行動履歴情報を基に、特徴的位置情報の推定を行ない、推定した特徴的位置情報を位置情報判定部113に送信する。ここで、特徴的位置情報とは、利用者が所定の回数以上訪れた場所の位置を表す情報であり、例えば、利用者の自宅、最寄駅、会社、学校などの位置(緯度、経度)などの情報である。また、特徴的位置情報の推定とは、このような特徴的位置情報の位置を推定することであり、例えば、利用者の自宅の位置や最寄駅の位置を推定することである。
【0050】
利用者が端末300を用いて、位置情報なし利用者関連情報を送信する場合、位置情報抽出部112は、利用者がどの位置から情報を送信したのかを推定する。利用者は、特徴的位置情報の位置(自宅などがある位置)では端末300を用いて「位置情報なし利用者関連情報」を位置情報抽出装置100に送信するものとし、それ以外の位置では携帯端末200を用いて「位置情報付き利用者関連情報」を位置情報抽出装置100に送信する。例えば、利用者は、会社から自宅に帰宅するまでの道のりで、自宅に着くまでは携帯端末200を用いて利用者関連情報とともに位置情報を送信する。したがって、位置情報抽出装置100は、利用者が自宅に着くまでの間は、利用者がどの位置から利用者関連情報を送信したのかがわかる。一方、利用者が自宅に着いた後は、利用者は端末300を用いて利用者関連情報を送信する場合がある。この利用者関連情報は、端末300を用いて送信された情報であるから、位置情報が付随していない。そこで位置情報抽出装置100は、位置情報なし利用者関連情報に付随した時刻情報が示す時刻と時刻が近い行動履歴情報を行動履歴蓄積部120から抽出し、抽出した行動履歴情報を基に、特徴的位置情報の推定を行なう。
【0051】
位置情報抽出部112は、行動履歴情報を基に利用者の速度を計算し、利用者が端末300を用いて送信した利用者関連情報に付随した時刻情報と、計算した速度とに基づいて、特徴的位置情報を推定する。例えば、行動履歴蓄積部120に蓄積された行動履歴情報のうち、位置情報なし利用者関連情報が送信された時刻より過去の最も時刻が近い第1直近行動履歴情報が(時刻、位置)=(t1、x1)(xは緯度、経度を表す。以下同じ。)であり、その時刻の1つ前(過去)の時刻の第2直近行動履歴情報が(t2、x2)であったとする。この場合、利用者は速度|(x1−x2)/(t1−t2)|で移動していると考えられる。したがって、利用者の自宅等から「位置情報なし利用者関連情報」が時刻t0に送信された場合、図7に示すように、位置情報抽出部112は、特徴的位置情報を位置x1から線形補間によって推定し、x1+(t0−t1)×[(x1−x2)/(t1−t2)]の位置付近が自宅等の位置を表す特徴的位置情報であると推定することができる。また、位置情報抽出部112は、位置x1を中心とし、半径が|(t0−t1)×[(x1−x2)/(t1−t2)]|の範囲内に特徴的位置情報が存在すると推定しても良い。
【0052】
上述の推定に際し、位置情報抽出部112は、最終ポイントを利用して特徴的位置情報の推定を行なう。ここで、最終ポイントとは、利用者が「位置情報なし利用者関連情報」を送信した時刻(特徴的時刻)よりも過去の直近の時刻情報をもつ行動履歴情報(第1直近行動履歴情報)の位置情報に最も距離が近い、POI情報格納部140が格納するポイントである。位置情報抽出部112は、第1直近行動履歴情報の時刻情報が示す時刻の1つ前の時刻情報をもつ第2直近行動履歴情報の位置情報と、最終ポイントの位置情報とを比較し、それらの距離が所定距離以内にあるか否かを判定する。そして、それらの距離が所定距離以内にある場合に、位置情報抽出部112は、第1直近行動履歴情報と第2直近行動履歴情報とを用いて、上述の線形補間等により特徴的位置情報を推定する。
【0053】
位置情報抽出部112が行なう特徴的位置情報の推定の例について図8を用いて説明する。図8は、利用者から時刻t0に位置情報なし利用者関連情報が送信され、そこから過去に遡って(時刻、位置)=(t1、x1)、(t2、x2)に位置情報付き利用者関連情報が送信された場合の例を示している。また、利用者が位置情報なし利用者関連情報を送信した時刻t0よりも過去の直近の時刻情報を持つ第1直近行動履歴情報(t1、x1)の位置情報x1に最も距離が近いポイント(最終ポイント)が図8のαで示される点である。位置情報抽出部112は、第2直近行動履歴情報(t2、x2)の示す位置情報x2と最終ポイントの示す位置情報とを比較し、それらが所定距離以内にある場合に、(t2、x2)、(t1、x1)を用いて、上述の線形補間等によって特徴的位置情報を推定する。すなわち、位置情報抽出部112は、図8の矢印が示す位置x1+(t0−t1)×[(x1−x2)/(t1−t2)]の付近が特徴的位置情報が存在する位置であると推定する。また、位置情報抽出部112は、位置x1を中心とし、半径が|(t0−t1)×[(x1−x2)/(t1−t2)]|の範囲内に特徴的位置情報が存在すると推定しても良い。このように、第2直近行動履歴情報と最終ポイントとが所定距離以内にある場合には、利用者は、最終ポイントを利用等して、その付近で行動履歴情報を送信し、その後は他のポイントを経由せずに特徴的位置情報の示す位置へと向かった可能性が高い。そのため、位置情報抽出部112は、このような推定により特徴的位置情報の推定を精度よく行なうことができる。
【0054】
また、位置情報抽出部112は、第2直近行動履歴情報(t2、x2)と最終ポイントとが所定距離以内に存在しない場合には、後述する通常移動速度を用いて特徴的位置情報を推定する。すなわち、位置情報抽出部112は、行動履歴蓄積部120が記憶している行動履歴情報から利用者の歩行速度vが分かる情報を抽出し、その速度vを用いて第1直近行動履歴情報(t1、x1)以降の利用者の移動を推定し、特徴的位置情報を推定する。例えば、利用者が、時刻t0に「位置情報なし利用者関連情報」を位置情報抽出装置100に送信した場合には、位置情報抽出部112は、利用者の特徴的位置情報が、位置x1を中心として、半径がv×(t0−t1)の範囲内に存在すると推定できる(図9参照)。
【0055】
この際、位置情報抽出部112は、行動履歴蓄積部120に格納された行動履歴情報を基に算出する利用者の移動速度のなかで、最も頻度の高い速度である通常移動速度を用いて特徴的位置情報の推定を行なう。位置情報抽出部112は、例えば、図3のように格納されている行動履歴情報のなかで、隣合う2つの行動履歴情報を基に速度を計算することができる。利用者の移動手段が歩行である場合が多ければ、通常移動速度は歩行速度となる。例えば、位置情報抽出部112は、過去に行動履歴蓄積部120に蓄積された行動履歴情報から利用者の移動速度を計算した結果、図11に示す結果になったとする。図11は、例えば、利用者は携帯端末200で情報を送信しているときは、v1(例えば歩行速度)とv2(例えば電車速度)で移動している頻度が高く、特に、v1で移動している場合の方がv2で移動している場合よりも頻度が高いことを示している。この場合、速度v1が利用者の通常移動速度である。この場合、位置情報抽出部112は、速度v1を用いて特徴的位置情報の推定を行なう。なお、利用者の移動手段が徒歩であれば位置情報抽出部112は、行動履歴蓄積部120に蓄積された行動履歴情報を基に算出した速度の値が、人の平均歩行速度と比べて所定範囲内に収まる値である場合には、その速度をその利用者の速度であると推定し、その速度を用いて特徴的位置情報を推定してもよい。例えば、位置情報抽出部112が、行動履歴蓄積部120に格納された過去の行動履歴:(時刻、位置)=(t8、x8)、(t9、x9)を基に算出した速度v=|(x8−x9)/(t8−t9)|が、一般人の歩行速度の平均値との差が所定範囲内に納まる値である場合には、位置情報抽出部112は、この速度vを基に上述の特徴的位置情報の推定を行なっても良い。
【0056】
また、位置情報抽出部112は、ポイントを利用して特徴的位置情報の推定を行なう際に、数日に渡り異なるポイントが抽出された際には、数日に渡る利用者の行動履歴情報を考慮して、推定する特徴的位置情報にもっとも位置が近いと考えられるポイントを抽出し、そのポイントを利用して特徴的位置情報を推定してもよい。例えば、ある利用者は、1日目に、ポイントA駅付近と、その次の駅であるポイントB駅付近とで、位置情報付き利用者関連情報を送信し、B駅が、利用者が位置情報付き利用者関連情報をその日の最後に送信した(それ以降に送信される「位置情報なし利用者関連情報」の直前に送信した)位置に最も近いポイント(最終ポイント)であったとする。一方、2日目にはA駅が最終ポイントであるとする。また、3日目にはB駅が最終ポイントであるとする。このように、日によって最終ポイントが異なる場合がある。このような場合、位置情報抽出部112は、これら複数の日の行動履歴をみることで、実際の最終ポイントと、利用者が実際に最後に立ち寄ったポイントとは別の場所であるとしてもよい。例えば、位置情報抽出部112は、B駅が最終ポイントとなる場合がA駅が最終ポイントとなる場合よりも頻度が高い場合には、ある日はA駅が最終ポイントである場合でも、実際に利用者が最後に到着したポイントはB駅であると判定しても良い。この場合、位置情報抽出部112は、特徴的位置情報を推定する際に、A駅ではなく、B駅の付近に特徴的位置情報が存在する推定してもよい。また、B駅が最終ポイントとなる場合とA駅が最終ポイントとなる場合との頻度が同じである場合には、位置情報抽出部112は、特徴的位置情報は、A駅とB駅とから同程度の距離に存在すると推定してもよい。
【0057】
[位置情報格納部121]
位置情報格納部121は、図4に示すように、推定された特徴的位置情報の「位置」と、「範囲」と、「回数」と、「意味」と、を対応付けて記憶する。位置情報格納部121は、上述した最終ポイントの情報(最終ポイントとその位置情報)を合わせて記憶しても良い。
【0058】
「位置」とは、位置情報抽出部112が推定した特徴的位置情報が示す位置である。「範囲」とは、位置情報抽出部112が推定した特徴的位置情報の誤差の範囲を表す情報である。例えば、範囲は、一定の値であってもよいし、行動履歴蓄積部120に格納された精度を基に算出される値であってもよいし、位置情報抽出部112が特徴的位置情報を推定した際に計算される半径等であってもよい。範囲は位置情報抽出部112が特徴的位置情報を推定した場合などに変更される。位置情報判定部113は、例えば以下のステップによって、範囲を定めてもよい。
【0059】
位置情報判定部113は、既に位置情報格納部121に格納されている特徴的位置情報の位置(位置1)と、新たに位置情報抽出部112に推定された特徴的位置情報の位置(位置2)とが所定距離以内にある場合には、それらの特徴的位置情報は同じ意味をもつ特徴的位置情報であると決定する。そして、位置情報判定部113は、それらの距離をもとに新たな範囲を決定する。位置情報判定部113は、例えば、位置1を中心とし、既に格納されている範囲を半径とする円の中に、位置2が含まれるか否かを判定し、含まれる場合には範囲を所定の値だけ小さくし、含まれない場合には所定の値だけ範囲を大きくする。範囲の定め方はこれに限定されない。
【0060】
「回数」とは、位置情報抽出部112によって同じ位置(あるいは所定距離以内の位置)が何回推定されたかを示す情報である。例えば、位置情報抽出部112が、特徴的位置情報の推定を行ない、その位置を(緯度、経度)=(22.2222、111.1111)と推定したとする。そして、再度別の日付で、位置情報抽出部112が特徴的位置情報の推定を行い、その位置を(緯度、経度)=(22.2222、111.1111)と推定したとする。この場合、同じ位置が位置情報抽出部112によって2度推定されているため、回数は2となる。推定が全く同じ位置になることはまれであるため、位置情報抽出部112が推定した特徴的位置情報の位置に所定距離以内のずれがあっても、同じ位置を推定したとして回数がカウントされても良い。「意味」とは、特徴的位置情報がどのような位置を表すのかを示す情報(例えば自宅、会社等)である。
【0061】
[位置情報判定部113]
位置情報判定部113は、特徴的位置情報の意味づけを行う。特徴的位置情報の意味づけとは、特徴的位置情報が具体的にどのような位置を表す情報なのかを示す情報を、特徴的位置情報に付与することである。例えば、利用者が頻繁に訪れる場所が2箇所あった場合、それら2箇所の位置情報はその利用者にとって特徴的位置情報であるが、その2箇所の各々が具体的にどのような位置を表すのかは明らかではない。例えば、そのうちの1箇所は利用者の自宅であり、もう1箇所は学校である可能性もあるし、あるいは、利用者が良く訪れる友人宅である可能性もある。このような場合に、位置情報判定部113が、ある特徴的位置情報に「自宅」という意味づけをするなど、特徴的位置情報がどのような位置なのかを意味づけすることを特徴的位置情報の意味づけと呼ぶ。
【0062】
位置情報判定部113は、位置情報格納部120に過去に蓄積された特徴的位置情報を基に、位置情報抽出部112が推定した特徴的位置情報を意味づけし、位置情報格納部121の情報を更新する。
【0063】
位置情報判定部113が、位置情報格納部121に保存されている内容を使用して、意味付けを行う方法の例を説明する。ただし、ここで述べる方法に限定されず、位置情報判定部113は種々の方法で意味づけをすることが可能である。位置情報判定部113は、例えば、位置情報格納部121に格納された回数を利用し、回数が最も多い特徴的位置情報を自宅と意味付けしてもよい。また、位置情報抽出装置100は、携帯端末200や端末300を利用する利用者の職業などを示す属性を携帯端末200や端末300から取得して、その属性に応じて回数を利用して意味づけをしてもよい。例えば、属性が会社員であれば、回数が最も多い特徴的位置情報を自宅と意味づけし、次に回数の多い特徴的位置情報を会社と意味づけしても良い。また、位置情報抽出装置100は、位置情報格納部121が格納している最終ポイントの情報を基に意味づけを行なってもよい。例えば、最終ポイントがオフィス街近くの駅であれば、その近くの特徴的位置情報は会社であると意味づけても良い。位置情報判定部113は、回数の変更があったときには意味付けを再度行ってもよい。
【0064】
また、位置情報判定部113は、自宅等の意味付けを行う際には、回数以外に時間帯等の情報を加味しても良い。例えば、位置情報判定部113は、利用者が18:00以降に頻繁に訪れる場所を自宅と意味づけし、午前中に頻繁に訪れる場所を会社と意味づけしてもよい。位置情報判定部113は、利用者関連情報に上述した「位置を表す情報」が含まれていればその内容を考慮してもよい。
【0065】
位置情報抽出装置100は、位置情報格納部121に格納された特徴的位置情報とその意味とを基に、利用者に情報を提供する図示しない情報提供部を備えていても良い。例えば、情報提供部は、自宅と意味づけられた特徴的位置情報の示す位置付近から利用者関連情報が送信された場合など、利用者が自宅付近に存在していると判断した場合には、自宅で使う商品などの情報を携帯端末200や端末300などに送信しても良い。また、位置情報格納部121が格納している最終ポイントの情報を基に、最終ポイント付近の店の情報を利用者に提供しても良い。
【0066】
[動作]
次に、図2、図10のフローチャートを参照して本実施の形態における位置情報抽出装置100の動作の一例について説明する。
【0067】
まず、情報取得部110は、携帯端末200あるいは端末300から取得した利用者関連情報に、位置情報が付加されているか否かを判別する(S101)。本説明では、利用者関連情報には時刻情報が予め付加されていることを前提としている(利用者が利用者関連情報を送信する際に、時刻情報を併せて送信する)が、そうでない場合には、情報取得部110は、利用者関連情報に時刻情報が付加されているか否かを判断し、利用者関連情報に時刻情報が付加されていない場合には、情報取得部110が利用者関連情報を取得した際に、その取得した時刻を表す時刻情報を利用者関連情報に付加する。
【0068】
情報取得部110は、利用者関連情報と、利用者関連情報が「位置情報付き利用者関連情報」である場合にはその位置情報とを、位置情報振分部111に送信する。位置情報振分部111は、取得した情報を位置情報と利用者関連情報とに振り分ける。位置情報振分部111は、図3に示すように、位置情報と利用者関連情報に付加されている時刻情報とを行動履歴蓄積部120に蓄積し(S102)、図5に示すように、利用者関連情報と利用者関連情報に付加されている時刻情報とを情報蓄積部130に蓄積する(S103)。
【0069】
一方、情報取得部110が取得した情報が、「位置情報なし利用者関連情報」のときには、位置情報抽出部112は、利用者関連情報に付加されている時刻情報よりも過去の時刻情報をもつ行動履歴情報のなかで、利用者関連情報に付加されている時刻情報に最も時刻が近い時刻情報をもつ行動履歴情報である第1直近行動履歴情報を行動履歴蓄積部120から取得する(S104)。
【0070】
次に、位置情報抽出部112は、取得した第1直近行動履歴情報の位置情報を基に、該位置情報と最も位置が近いポイント(最終ポイント)をPOI情報格納部140から抽出する(S105)。
【0071】
位置情報抽出部112は、特徴的位置情報の推定を行なう(S106)。S106の詳細について図10を参照して説明する。
【0072】
まず、位置情報抽出部112は、第1直近行動履歴情報の時刻情報よりも過去の時刻情報をもつ行動履歴情報のなかで、第1直近行動履歴情報の時刻情報に最も近い時刻情報をもつ行動履歴情報(第2直近行動履歴情報)を行動履歴蓄積部120から取得する(図10のS201)。
【0073】
次に、位置情報抽出部112は、第2直近行動履歴情報の位置情報と最終ポイントの位置情報とを比較し、それらの距離が所定距離以内にあるか否かを判定する(図10のS202)。
【0074】
それらが所定距離以内にある場合には、位置情報抽出部112は、第1直近行動履歴情報と第2直近行動履歴情報とを用いて、上述した線形補間等により特徴的位置情報の推定を行なう(図10のS203)
一方、それらが所定距離以内にない場合には、位置情報抽出部112は、通常移動速度を用いて特徴的位置情報を推定する(図10のS204)。すなわち、図9に示すように、位置情報なし利用者関連情報が時刻t0に送信され、第1直近行動履歴情報が(時刻、位置)=(t1、x1)である場合には、位置情報抽出部112は、x1を中心とし、半径がv×(t0−t1)の範囲に特徴的位置情報が存在すると推定する。
【0075】
位置情報判定部113は、推定された特徴的位置情報と、位置情報格納部121に格納されている既存の特徴的位置情報と比較して、特徴的位置情報への意味づけを行なう(S107)。具体的には、位置情報判定部113は、位置情報格納部121に格納されている特徴的位置情報の中に、S106の推定で求められた特徴的位置情報から所定距離以内の位置情報をもつ特徴的位置情報があるか否かを確認する。所定距離以内の位置情報をもつ特徴的位置情報がなければ、位置情報判定部113は、S106の推定で求められた特徴的位置情報を新規の情報として新たに位置情報格納部121に格納し、該特徴的位置情報と対応付けて「範囲」と「意味」と「回数」を格納する。
【0076】
一方、位置情報判定部113は、所定距離以内の位置情報をもつ特徴的位置情報が位置情報格納部121に格納されている場合には、その中で一番距離が近い特徴的位置情報と、S106の推定で求められた特徴的位置情報とが同一の意味を持つ特徴的位置情報であるとして、新たに「位置」と「範囲」とを計算する。例えば、位置情報判定部113は、同一意味を持つ特徴的位置情報の重心位置を新たな「位置」として計算する。また、位置情報判定部113は、位置情報格納部121に格納されている特徴的位置情報の「範囲」に、新たに位置情報抽出部112が推定した特徴的位置情報が含まれているかを確認する。具体的には、位置情報判定部113は、位置情報格納部121に格納されている特徴的位置情報の位置を中心とし、「範囲」を半径とした円の中に新たに推定した特徴的位置情報が包含されるか否かを確認する。位置情報判定部113は、該円の中に新たに推定した特徴的位置情報が包含される場合には、「範囲」を所定の値だけ小さくして新たな「範囲」として位置情報格納部121に記憶させ、「回数」を1増加させる。一方、該円の中に包含されない場合には、「範囲」を所定の値だけ大きくして新たな「範囲」として位置情報格納部121に記憶させ、「回数」を1だけ増加させる。
【0077】
このように、位置情報判定部113は、「範囲」の値を変更することで、特徴的位置情報の示す位置の精度(誤差)を調整することができる。また、上述した情報提供部は、提供する情報の決定の際に、この「範囲」の情報を用いてもよい。
【0078】
位置情報判定部113は、既に説明したように、回数などを基に特徴的位置情報の意味付けを行ない、特徴的位置情報の位置と、その範囲とを対応付けて位置情報格納部121に格納する。
【0079】
また、位置情報判定部113は、特徴的位置情報への意味づけを、位置情報抽出部112が特徴的位置情報を推定するごとではなく、所定のタイミングで一括して行なっても良い。例えば、位置情報抽出部112は、推定した特徴的位置情報を位置情報格納部121に蓄積する。そして、推定位置情報判定部113は、所定のタイミングで、位置情報格納部121に格納されている特徴的位置情報のなかで、位置が近い(所定距離以内の)特徴的位置情報を1つの特徴的位置情報にまとめる。すなわち、位置情報判定部113は、位置の近い特徴的位置情報がn個(nは自然数)ある場合には、それらの重心位置をあらたな「位置」として計算し、この「位置」を中心とし、これらn個の特徴的位置情報の全てが包含される最小の円の半径を「範囲」とし、nを新たな「回数」として位置情報格納部121に格納する。そして、位置情報判定部113は、この「回数」を基に、特徴的位置情報に意味づけを行なってもよい。
【0080】
次に本実施の形態の効果を説明する。
【0081】
本実施の形態の位置情報抽出装置100は、位置情報が付随していない情報が送信された時刻より前の位置情報が付随した情報を基に、位置情報が付随していない情報が送信された位置を推定することができる。
【0082】
また、位置情報抽出装置100は、その位置に意味づけをすることによって、位置情報が付随していない情報が送信された場所がどのような場所であるかを判断することもできる。
【0083】
<実施形態2>
次に、本発明の第二の実施の形態の位置情報抽出装置100について説明する。
【0084】
本実施の形態の位置情報抽出装置100は、行動履歴蓄積部120と、位置情報抽出11とからなる。
【0085】
行動履歴蓄積部120は、第1端末(例えば携帯端末200)から、第1端末の位置情報と、その送信時刻を表す時刻情報と、を合わせて受信し、受信した位置情報と時刻情報とを対応付けて行動履歴情報として格納する。
【0086】
位置情報抽出部112は、第2端末(例えば端末300)から、時刻情報を取得した際、行動履歴蓄積部120から、第2端末から取得した時刻情報より過去の時刻情報をもつ行動履歴情報のなかから、第2端末から取得した時刻情報に最も近い時刻情報をもつ行動履歴情報である第1直近行動履歴情報を抽出し、その行動履歴情報の位置情報に最も距離が近いポイントである最終ポイントを、POI情報格納部140から抽出する。
【0087】
次に、位置情報抽出部112は、第1直近行動履歴情報の時刻情報よりも過去の時刻情報をもつ行動履歴情報のなかで、第1直近行動履歴情報の時刻情報に最も近い時刻情報をもつ行動履歴情報である第2直近行動履歴情報を行動履歴蓄積部120から取得する。
【0088】
次に、位置情報抽出部112は、第2直近行動履歴情報の位置情報と最終ポイントの位置情報とを比較し、それらの距離が所定距離以内にあるか否かを判定する。
【0089】
それらが所定距離以内にある場合、位置情報抽出部112は、第1直近行動履歴情報と第2直近行動履歴情報とを用いて、上述の線形補間等により端末300が情報を送信した位置を推定する。
【0090】
このような構成によれば、位置情報抽出装置100は、位置情報が付随していない情報が送信された場所を推定することができる。
【0091】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0092】
1 位置推定システム
100 位置情報抽出装置
200 携帯端末
300 端末
110 情報取得部
111 位置情報振分部
112 位置情報抽出部
113 位置情報判定部
120 行動履歴蓄積部
121 位置情報格納部
130 情報蓄積部
140 POI情報格納部
210 位置情報取得部
211 情報送信部
311 情報送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端末の位置と、前記第1端末が前記位置にいた時刻と、を取得してそれらを対応付けて行動履歴情報として格納する行動履歴蓄積手段と、
第2端末から時刻を取得して、前記行動履歴蓄積手段に格納された、前記行動履歴情報のうち、前記第2端末から取得した時刻に最も近い過去の時刻を示す前記行動履歴情報(第1直近行動履歴情報)が示す位置に最も近い場所(最終ポイント)を、場所の識別子とその場所の位置とを対応付けて格納するPOI格納手段から抽出する位置情報抽出手段と
を備え、
前記位置情報抽出手段は、前記第1直近行動履歴情報に最も近い過去の時刻を示す前記行動履歴情報(第2直近行動履歴情報)と、前記最終ポイントの位置とが、所定距離以内にある場合に、前記第1直近行動履歴情報と、前記第2直近行動履歴情報とを用いて、前記第2端末の存在する位置(特徴的位置情報)を推定する
位置推定装置。
【請求項2】
前記第2直近行動履歴情報と前記最終ポイントとが、所定距離以内にない場合に、前記行動履歴蓄積手段に格納された前記行動履歴情報に基づいて算出した前記第1端末の移動速度の最頻値に基づいて前記特徴的位置情報を推定する前記位置情報抽出手段を備える請求項1に記載の位置推定装置。
【請求項3】
前記位置情報抽出手段が推定した前記特徴的位置情報と、前記特徴的位置情報の意味と、前記特徴的位置情報のなかで、位置が所定距離以内にある特徴的位置情報の数を示す回数と、を対応付けて格納する位置情報格納手段と、
前記回数に基づいて、前記意味を決定する位置情報判定手段と、
を備える請求項1または2に記載の位置推定装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の位置推定装置と、
前記第1情報を前記位置推定装置に送信する第1端末と、
前記第2情報を前記位置推定装置に送信する第2端末と、
からなる位置情報抽出システム。
【請求項5】
第1端末の位置と、前記第1端末が前記位置にいた時刻と、を取得してそれらを対応付けて行動履歴情報として格納する行動履歴蓄積ステップと、
第2端末から時刻を取得して、前記行動履歴情報のうち、前記第2端末から取得した時刻に最も近い過去の時刻を示す前記行動履歴情報(第1直近行動履歴情報)が示す位置に最も近い場所(最終ポイント)を、場所の識別子とその場所の位置とを対応付けて格納するPOI格納手段から抽出する位置情報抽出ステップと、
前記第1直近行動履歴情報に最も近い過去の時刻を示す前記行動履歴情報(第2直近行動履歴情報)と、前記最終ポイントの位置とが、所定距離以内にある場合に、前記第1直近行動履歴情報と、前記第2直近行動履歴情報とを用いて、前記第2端末の存在する位置(特徴的位置情報)を推定する位置推定ステップと、
をコンピュータに実行させる位置推定用プログラム。
【請求項6】
前記第2直近行動履歴情報と前記最終ポイントとが、所定距離以内にない場合に、前記行動履歴蓄積ステップにおいて格納された前記行動履歴情報に基づいて算出した前記第1端末の移動速度の最頻値に基づいて前記特徴的位置情報を推定する前記位置推定ステップを前記コンピュータに実行させる請求項5に記載の位置推定用プログラム。
【請求項7】
前記位置情報抽出手段が推定した前記特徴的位置情報と、前記特徴的位置情報の意味と、前記特徴的位置情報のなかで、位置が所定距離以内にある特徴的位置情報の数を示す回数と、を対応付けて格納する位置情報格納ステップと、
前記回数に基づいて、前記意味を決定する位置情報判定ステップと、
を前記コンピュータに実行させる請求項5または6に記載の位置推定用プログラム。
【請求項8】
第1端末の位置と、前記第1端末が前記位置にいた時刻と、を取得してそれらを対応付けて行動履歴情報として格納し、
第2端末から時刻を取得して、前記行動履歴情報のうち、前記第2端末から取得した時刻に最も近い過去の時刻を示す前記行動履歴情報(第1直近行動履歴情報)が示す位置に最も近い場所(最終ポイント)を、場所の識別子とその場所の位置とを対応付けて格納するPOI格納手段から抽出し、
前記第1直近行動履歴情報に最も近い過去の時刻を示す前記行動履歴情報(第2直近行動履歴情報)と、前記最終ポイントの位置とが、所定距離以内にある場合に、前記第1直近行動履歴情報と、前記第2直近行動履歴情報とを用いて、前記第2端末の存在する位置(特徴的位置情報)を推定する位置推定方法。
【請求項9】
前記第2直近行動履歴情報と前記最終ポイントとが、所定距離以内にない場合に、格納された前記行動履歴情報に基づいて算出した前記第1端末の移動速度の最頻値に基づいて前記特徴的位置情報を推定する請求項8に記載の位置推定方法。
【請求項10】
前記位置情報抽出手段が推定した前記特徴的位置情報と、前記特徴的位置情報の意味と、前記特徴的位置情報のなかで、位置が所定距離以内にある特徴的位置情報の数を示す回数と、を対応付けて格納し、
前記回数に基づいて、前記意味を決定する請求項8または9に記載の位置推定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−150648(P2012−150648A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8741(P2011−8741)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】