説明

位置検出システム及び方法

【課題】 低コストで検出精度の高い位置検出システムを提供すること。
【解決手段】 基準局101、無線ノード102及び検出局103a、bは、xy平面上に位置し、無線ノード102を除く各局は固定位置に設けられている。基準局101は原点に、検出局103a、bはそれぞれx軸及びy軸に位置している。干渉波W13の干渉パターンは、無線ノード102の位置により変化する。例えば無線ノード102が座標(x1,y1)にある場合と、座標(x2,y2)にある場合とでは、干渉パターンが変化する。そのため、検出局103が検出する干渉パターン、例えば干渉波の粗密間隔PPは、無線ノード102の位置により変化する。位置特定局104は、検出局103から取得する干渉パターンに基づいて、そのときの無線ノード102の位置をxy座標で特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波を発信する無線端末の位置を検出する位置検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線端末の物理的な位置を検出する技術は、その応用範囲の広さから、数々の方式が検討され実用化されている。そのような方式の一例として、GPS(Global Positioning System)を挙げることができる。GPSは、GPS端末が複数のGPS衛星の電波を受信し、電波の到達時間差から自端末の座標を求める方式であり、カーナビゲーションシステムなどに適用され、広く普及している。しかし、GPSでは、GPS端末がGPS衛星からの電波を受信可能であって、GPS衛星からの電波の受信感度が充分な地域でしか機能しない。その上、GPS衛星の軌道誤差や電波が地球の電離層を通過する際の遅延揺らぎによって、10m程度の位置検出誤差が発生する。すなわち、GPSは屋内で使用される無線端末に適用するのが難しく、自動車・船舶・航空機など数m単位での検出誤差が許容される分野であって、しかも無線端末が屋外でのみ使用される分野に、その適用範囲が限定されている。
【0003】
一方、屋内での無線端末の位置検出には、屋外での位置検出に比して高い検出精度が要求されている。例えば、倉庫内の商品位置の管理では、無線端末を商品に貼り付けるなどして商品の位置検出を行うが、大きくても1m以下の検出誤差が求められる。無線端末本体や、無線端末を搭載した物体のサイズが小さくなるほど、検出誤差への許容範囲も小さくなる。また例えば、センサネットワークシステムなどアドホック通信技術を用いる無線通信システムにおいては、通信経路の探索と決定のために各センサノードの正確な位置検出が求められる。屋内で用いられる無線端末の位置検出方法としては、例えばCell-ID検出法(特許文献1)、電界強度検出法(RSSI法;特許文献2)、到達時間差検出法(TOA法,TDOA法;特許文献3)が挙げられる。
【特許文献1】特許第2565896号公報
【特許文献2】特許第2881024号公報
【特許文献3】特開平3−235077号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図33は、特許文献1に記載のCell-ID検出法を示す説明図である。この方法では、複数のアクセスポイントAP1〜3を含むセルラ通信システムにおいて、無線ノードNが、アクセスポイントから発信されるCell-IDを受信し、Cell-IDを解析することによって、自ノードの位置を検出する。アクセスポイントAP1〜3が送信する電波の電界強度によって、各々のサービスエリアSA1〜3が生成される。各アクセスポイントAPは、自局のサービスエリア内に存在する通信可能な無線ノードNに、自局のサービスエリアSAを特定する識別子であるセルIDを送信する。無線ノードNは、受信したセルIDに基づいて、自ノードが位置するサービスエリアSAを特定する。複数のサービスエリアSAが重複する場所に無線ノードNが位置する場合、その無線ノードは複数のセルIDを受信することになる。
【0005】
この方法では、無線ノードNはサービスエリアSAの範囲外ではセルIDを受信することができない。そのため、無線ノードNの設置範囲が広いほど、多数のアクセスポイントを設置する必要がある。さらに、隣接するサービスエリアSAの重複を抑えるために、隣接するアクセスポイント間の距離に応じた高精度の電力制御がアクセスポイントに要求される。このような背景から、Cell-ID検出法を用いた位置検出システムは、コストが高くなる問題がある。
【0006】
図34は、特許文献2に記載の電界強度検出法(RSSI法)を示す説明図である。RSSI法では、複数のアクセスポイントAP21〜23のそれぞれは、無線ノードN2からの電波を受信して電波強度PR1〜3を測定し、測定した電波強度から無線ノードN2までの距離を算出する。各アクセスポイントAPの固定位置と測定された距離とに基づいて、無線ノードN2の位置が特定される。
【0007】
この方法では、少なくとも2つのアクセスポイントAPを設ければ無線ノードN2の位置を特定できるが、それでは誤差が大きいため、できるだけ多くのアクセスポイントAPの設置が要求されるのが現実である。また、各アクセスポイントAPが無線ノードN2から受信する電波は、各アクセスポイントAPの設置位置によって反射や外乱等の影響を受けやすく、不安定である。そのため、RSSI法では、無線ノードN2の位置特定の精度を向上させるのが難しい問題がある。
【0008】
図35は、特許文献3に記載のTDOA法を示す説明図である。この方法では、3台以上のアクセスポイントAP31〜33が、それぞれ無線ノードN3からの電波の到達時間T1〜T3を測定する。測定された到達時間T1〜T3の差、アクセスポイントAPの固定位置、及び三角法を用い、無線ノードN3の位置が特定される。
しかし、アクセスポイントAPが測定する電波の到達時間差は、ナノ秒単位である。そのため、時間差を高精度に測定するためのアクセスポイントAPの構造が複雑となり、アクセスポイントAPの導入にコストがかかってしまう。
【0009】
以上のように、屋内に設置される無線端末の位置を精度良く検出でき、低コストな位置検出システムは、未だ提供されていない。そこで、本発明は、無線端末の位置を精度良く検出できる安価な位置検出技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、発明1は、基準電波送信手段と、第2電波送信手段と、干渉波検出手段と、位置特定手段とを備える位置検出システムを提供する。基準電波送信手段は、所定の基準周波数を有する基準電波を送信する。第2電波送信手段は、前記基準周波数とは異なる周波数を有する第2電波を送信する。干渉波検出手段は、前記基準電波と前記第2電波との干渉波を受信し、前記干渉波の干渉パターンを検出する。位置特定手段は、前記干渉波検出手段が検出した前記干渉パターンに基づいて、前記第2電波送信手段または干渉波検出手段の位置を特定する。
【0011】
本システムでは、第2電波送信手段または干渉波検出手段のいずれかの位置が基準電波送信手段に対して相対的に変化するので、検出される干渉パターンは、第2電波送信手段または干渉波検出手段の位置に応じて異なったものになる。このような干渉パターンに基づいて、位置特定手段は、第2電波送信手段が移動する場合はその位置を、干渉波検出手段が移動する場合はその位置を、それぞれ特定する。位置の特定は、予め用意された表を参照したり、所定の関数を用いて演算することにより行われる。干渉波を生成している2つの電波の周波数は互いに若干異なるため、干渉波は進行波として干渉波検出手段上を次々と通過する。そのため、干渉波検出手段は、固定位置に設置されている場合でも、またその位置が変化する場合でも、位置に応じた干渉波の間隔等の干渉パターンを測定することができる。なお、“干渉パターン”とは、例えば干渉波の粗密間隔である。粗密間隔は、干渉波の電力の振幅を観測し、その振幅のピーク間隔を時間情報で表すことにより求められる。
【0012】
このシステムでは、電波干渉によって生じる干渉パターンが、基準電波送信手段に対する第2電波送信手段の位置によって変化する現象を利用することにより、第2電波送信手段または干渉波検出手段としての無線ノードの位置を検出する。従って、簡単な構成で精度の良い位置検出が可能となり、設備面で低コストの位置検出システムを構築できる。また、同一空間内に送出される基準電波と第2電波とは、同一の電波環境で干渉する。両方の電波が伝送空間の電波環境の影響を等しく受けるため、干渉を起こす際に電波環境の影響はキャンセルされる。また、多くの場合、伝送空間の電波環境変化は電波の振幅に関与する外乱をもたらすが、本発明で評価する干渉パターンは、干渉波の疎密間隔など時間に関与するパラメータであるため、伝送空間の電波環境変化を受けにくく、安定した位置検出精度を得ることができる。
【0013】
また、電波周期や電波伝搬速度といった時間オーダーよりも桁違いに低速な進行速度を持つ干渉波を検出すればよいため、干渉波検出手段を簡単で安価な回路構成で構築することができる。さらに、第2電波送信手段や干渉波検出手段として無線ノードを用いれば、簡単なプロトコルで動作するので処理負荷が低く、かつ間欠動作も可能になるため、無線ノードの電源である電池寿命を延ばすことができる。処理負荷が低くて消費電力が少ないため、外部からの電波による電磁誘導で電力を供給すれば、電池交換が不要の利便性の高い無線ノードとなる。無線ノードは、実際の応用例では商品や物品などに無線タグのような形状で貼り付けられたり、携帯型、可搬型の小型端末という形態で運用されるので、できるだけ小型かつ低コストでメンテナンス不要な本発明の構成は広い範囲に応用可能である。
【0014】
発明2は、前記発明1において、前記基準電波送信手段が以下の手段を備える位置検出システムを提供する。
◎前記第2電波を受信する受信部、
◎前記受信部が受信した第2電波に、前記基準電波を加算し合成波を生成するミキサ。
このシステムにおいて、前記基準電波送信手段は、前記ミキサが生成した合成波に基づいて、前記基準周波数を調節する。
【0015】
この位置検出システムでは、基準電波及び第2電波は、基準電波送信手段の内部でミキシングされ仮想の干渉波となる。基準電波送信手段は、ミキシングされた干渉波をモニターしながら、干渉波検出手段が干渉パターンを検出可能な程度の進行速度を干渉波が有するように、基準周波数を調節する。基準周波数を微調節することにより、干渉波検出手段にとって受信可能または受信良好な進行速度をもつ干渉波が生成される。この位置検出システムは、例えば第2電波送信手段が送信する第2電波の周波数の経時的な変化等の影響により、基準電波送信手段が第2電波の周波数から規定値だけシフトした値に基準周波数を設定するだけでは、干渉波が適当な進行速度とならない場合に好適である。
【0016】
発明3は、前記発明1において、前記第2電波送信手段が複数設けられている場合の位置検出システムを提供する。このシステムにおいて、前記基準電波送信手段は、各第2電波送信手段を識別する第2電波識別子のいずれかを含むスロット同期信号を繰り返し送信し、送信する毎にスロット同期信号に含まれる前記第2電波識別子を更新する。前記第2電波送信手段のそれぞれは、自端末の第2電波識別子を記憶し、前記スロット同期信号に含まれる前記第2電波識別子と自端末の第2電波識別子とが一致する場合、前記第2電波を送信する。
【0017】
第2電波送信手段が複数個ある場合、複数の第2電波同士が干渉しあうのを防止するために、各第2電波送信手段は時分割で第2電波を送信する。各第2電波送信手段は、基準電波送信手段から送信される同期信号に従い、自局に割り当てられたスロットにおいて第2電波を送信する。各スロットでは、それぞれの第2電波と基準電波とにより、各第2電波送信手段により異なる干渉波が生成されてもよい。位置特定手段は、スロット同期信号に含まれる第2電波識別子により、どの第2電波送信手段による干渉波の干渉パターンかを判別し、各第2電波送信手段の位置を特定する。これにより、複数の第2電波同士が干渉しあうことを回避し、短時間で複数個の位置特定対象の位置を特定することができる。
【0018】
発明4は、前記発明3において、前記スロット同期信号には、前記第2電波の送信終了条件が含まれている位置検出システムを提供する。このシステムにおいて、前記第2電波送信手段のそれぞれは、前記送信終了条件に基づいて前記第2電波の送信を終了する。
送信終了条件の一例としては、第2電波の送信時間長や次のスロット同期信号の送信開始時刻を挙げることができる。
【0019】
発明5は、前記発明1において、前記干渉波検出手段が少なくとも2つ設けられている場合の位置検出システムを提供する。このシステムでは、前記少なくとも2つの干渉波検出手段は、前記基準電波送信手段を交点として交差している少なくとも2つの軸上に、それぞれ1ずつ位置している。前記位置特定手段は前記第2電波送信手段の位置を特定する。
【0020】
位置特定手段は少なくとも2つの軸により特定される平面上で移動する第2電波送信手段の位置を特定する。このように干渉波検出手段を配置することで、第2電波送信手段の位置を、例えばxy平面上のxy座標や3次元空間内のxyz座標で特定することができる。また、3次元立体空間での位置検出を干渉波検出手段を1台増設するだけで実現可能であり、拡張性に優れている利点がある。
【0021】
発明6は、前記発明1において、前記基準電波送信手段を交点として交差している2つの軸上のそれぞれに、第1の第2電波送信手段と第2の第2電波送信手段とがそれぞれ位置している位置検出システムを提供する。このシステムにおいて、前記干渉波検出手段は、前記2つの軸で定まる平面上に位置している。前記位置特定手段は、第1の干渉パターンと、第2の干渉パターンとに基づいて、前記干渉波検出手段の位置を特定する。第1の干渉パターンとは、前記第1の第2電波送信手段が送信する第2電波と、前記基準電波の干渉波と、の干渉パターンである。第2の干渉パターンとは、前記第2の第2電波送信手段が送信する第2電波と、前記基準電波の干渉波と、の干渉パターンである。
【0022】
干渉波検出手段は、例えば無線ノードである。基準電波送信手段と第2電波送信手段とは固定されているので、干渉パターンは一定である。従って、干渉波検出手段が検出する干渉パターンは、その位置により異なるため、干渉波検出手段自身が検出する干渉パターンに基づいて、干渉波検出手段の位置を特定することができる。
例えば2つの軸がxy平面を形成する場合を考える。原点上の基準電波送信手段とy軸上にある第2電波送信手段とで干渉波が形成されるとき生成される干渉パターンは、干渉波検出手段のx座標を与える。x軸上の第2電波送信手段と基準電波送信手段とで干渉波を生成することにより、干渉波検出手段のy座標も求められる。この方法は、干渉波検出手段毎に実行できるので、測定空間に複数の干渉波検出手段が存在している場合でも、複雑なプロトコルを必要とせず各干渉波検出手段の位置検出を行うことができる利点がある。
【0023】
発明7は、以下のステップを含む位置検出方法を提供する。
◎所定の基準周波数を有する基準電波を、第1無線端末から送信するステップ、
◎前記基準周波数とは異なる周波数を有する第2電波を、第2無線端末から送信するステップ、
◎前記基準電波と前記第2電波との干渉波を第3無線端末で受信し、前記干渉波の干渉パターンを検出するステップ、
◎前記検出した前記干渉パターンに基づいて、前記第2電波を送信した第2無線端末または前記干渉パターンを検出した第3無線端末の位置を特定するステップ。
【0024】
発明7は、前記発明1と同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0025】
本発明の位置検出システム及び方法を用いれば、電波干渉によって生じる干渉パターンが、基準電波送信手段に対する第2電波送信手段の位置によって変化する現象を利用することにより、第2電波送信手段または干渉波検出手段としての無線ノードの位置を検出する。従って、簡単な構成で精度の良い位置検出が可能となり、設備面で低コストの位置検出システムを構築できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
<発明の概要>
図1は、本発明の位置検出システムの構成の一例を示す。この位置検出システム100は、基準電波W11を送信する基準局101(基準電波送信手段に相当)、ノード電波W12を送信する無線ノード102(第2電波送信手段に相当)、干渉波W13の干渉パターンを検出する検出局103a、b(干渉波検出手段に相当)及び位置特定局104(位置特定手段に相当)を含む。位置特定局104は、位置検出システム全体を制御し、干渉波W13の干渉パターンに基づいて無線ノード102の位置を特定する。基準局101、検出局103a、b(以下、単に検出局103と記載する場合がある。以下同様である。)及び位置特定局104は、光ケーブルなどの通信ネットワーク105により通信可能に接続されている。従って、検出された干渉パターンは、通信ネットワーク105を介して検出局103から位置特定局104に送信される。
【0027】
図2は、基準局101の基準電波と、無線ノード102のノード電波(第2電波に相当)とが、空間に広がっていく様子を示す模式図を示す。基準電波W11とノード電波W12とは互いに干渉し、干渉波W13を生成する。
図3、図4、図5は、干渉波W13の干渉パターンの模式図である。この図において、基準局101、無線ノード102及び検出局103a、bは、xy平面上に位置し、無線ノード102を除く各局は固定位置に設けられている。基準局101は原点に、検出局103a、bはそれぞれx軸及びy軸に位置している。干渉波W13の干渉パターンは、無線ノード102の位置により変化する。例えば無線ノード102が座標(x1,y1)にある場合(図4)と、座標(x2,y2)にある場合(図5)とでは、干渉パターンが異なっている。そのため、検出局103が検出する干渉パターン、例えば干渉波の粗密間隔PPは、無線ノード102の位置により変化する。位置特定局104は、検出局103から取得する干渉パターンに基づいて、そのときの無線ノード102の位置をxy座標で特定する(後述する第1〜3実施形態)。
【0028】
この図と異なり、x軸上やy軸上に第2電波送信手段を設け、無線ノード102に干渉パターンの検出機能を持たせ、無線ノード102が検出する干渉パターンの変化に基づいて無線ノード102の位置を特定することもできる(後述する第4実施形態)。
<第1実施形態>
(1)システム構成
再び図1を参照し、第1実施形態にかかる位置検出システム100の構成を説明する。本実施形態では、位置検出システム100は無線ノード102の位置を検出する。前述したように、位置検出システム100は、基準局101、無線ノード102、検出局103a,bおよび位置特定局104を含んで構成されている。前記図3に示すように、各端末はxy平面上に位置し、無線ノード102を除いて固定位置に設けられている場合を例にとる。以下、各端末の構成について詳述する。
【0029】
(2)基準局
(2−1)基準局の構成
図6は、基準局101の構成を示すブロック図である。基準局101は、以下の構成要素(a)〜(h)を含む。
(a)CPU111:基準局101各部の制御を行う。また、CPU111は、後述するROM112に格納されているプログラムを実行することにより、基準電波送信処理や、検出局103や位置特定局104との通信処理を行う。これらの処理については後述する。
(b)ROM112:基準電波送信プログラムP111や通信処理プログラムP112を格納する。
(c)RAM113:CPU111のワークメモリとして機能する。
(d)タイマー114:基準局101の内部クロックとして機能する。本実施形態では基準局101に必須の構成要素ではない。
(e)LAN制御部115:例えばネットワークカードとそのソフトウェアなどで実現され、ネットワーク105で接続される外部機器とのLAN通信を制御する。なお、ここでは通信ネットワーク105がLAN(Local Area Network)である場合を示しているが、通信ネットワーク105は必ずしもLANでなくてもよい。
(f)周波数発振部116:CPU111から周波数設定データSG11を受け取り、所定の基準周波数f1を有する基準信号SG12を発振する。周波数発振部116としては、発信周波数が可変のシンセサイザーなどを用いる。
(g)送信部117:周波数発振部116が発振した基準信号SG12の高周波増幅を行い、送信信号SG13を出力する。
(h)アンテナ118:送信部117から入力された送信信号SG13に基づいて、基準周波数f1をもつ基準電波W11を無指向で発信する。
【0030】
(2−2)CPUの機能
CPU111は、ROM112のプログラムに基づいて、基準電波送信処理及び通信処理を行う。
〔基準電波送信処理〕
CPU111は、基準電波送信プログラムP111に基づいて、基準電波送信処理を実行する。この処理により、基準局101は、基準周波数f1を有する基準電波W11を送信する。具体的には、CPU111は、基準電波送信プログラムP111に基づいて、基準周波数f1の指示を含む周波数設定データSG11を生成し、このデータを周波数発振部116に出力する。基準周波数f1は、ノード電波W12の規定周波数f2より若干ずらした周波数に設定される。周波数発振部116は、指示された基準周波数f1を持つ基準信号SG12を生成し、送信部117に供給する。基準信号SG12は、送信部117により電力増幅され、アンテナ118を経て基準電波W11として無指向性で送信される。
【0031】
〔通信処理〕
CPU111は、通信処理プログラムP112に基づいて、通信処理を実行する。具体的には、CPU111は、ワークメモリとしてRAM113を用いながら、通信ネットワーク105で接続された外部機器と通信処理を行う。この処理により、基準局101は、位置特定局104から基準電波生成指示を受信したり、位置特定局104に位置特定終了通知を送信したりする。
【0032】
(3)無線ノード
図7は、無線ノード102の構成を示すブロック図である。無線ノード102は、以下の構成要素を含む。
(a)発振部121:規定の第2周波数f2を有するノード信号SG21を発振する。
(b)送信部122:発振部121が発振したノード信号SG21の高周波増幅を行い、送信信号SG22を生成する。
(c)電池123:無線ノード102の各部に電力を供給する。
(d)アンテナ124:送信部122から入力された送信信号SG22に基づいて、第2周波数f2を持つノード電波W12を無指向で発振する。
【0033】
上記構成を有する無線ノード102は、第2周波数f2を有するノード電波W12を、無指向で発信する。
(4)検出局
(4−1)構成
図8は、検出局103a,bの構成を示すブロック図である。検出局103a,bは、以下の構成要素を含む。
(a)CPU131:検出局103各部の制御を行う。また、CPU131は、後述するROM132に格納されているプログラムを実行することにより、干渉パターン解析処理や通信処理を行う。これらの処理については後述する。
(b)ROM132:干渉解析プログラムP131や通信処理プログラムP132を格納する。
(c)RAM133:CPU131のワークメモリとして機能する。
(d)タイマー134:検出局103の内部クロックとして機能する。
(e)LAN制御部135:例えばネットワークカードとそのソフトウェアなどで実現され、ネットワーク105で接続される外部機器とのLAN通信を制御する。なお、ここでは通信ネットワーク105がLAN(Local Area Network)である場合を示しているが、通信ネットワーク105は必ずしもLANでなくてもよい。
(f)アンテナ136:干渉波W13を受信し、受信信号SG31を出力する。
(g)受信部137:受信信号SG31を増幅して干渉信号SG32を出力する。
(h)フィルター部138:干渉信号SG32のうち特定の周波数だけを選択的に通過させると共に検波処理を行い、干渉パターン信号SG33を出力する。フィルター部138は、SAWフィルタなどのバンドパスフィルタと検波回路とを含む。バンドパスフィルターの通過帯域は、基準電波W11の基準周波数f1を中心周波数とした急峻な通過特性を持ち、干渉信号SG32を効率よく通過させる。検波回路は、バンドパスフィルタを通過した信号から干渉パターン信号SG33を生成する。
(i)AD変換部139:干渉パターン信号SG33をデジタルデータに変換し、干渉パターンデータSG34をCPU131に出力する。AD変換部139に代えて電圧コンパレータを用い、適切な閾値電圧で干渉パターン信号SG33を二値化した結果の直列デジタルデータを、干渉パターンデータSG34とすることもできる。
【0034】
(4−2)CPUの機能
CPU131は、ROM132のプログラムに基づいて、干渉パターン解析処理及び通信処理を行う。
〔干渉パターン解析処理〕
CPU131は、干渉解析プログラムP131に基づいて、干渉パターン解析処理を実行する。この処理により、検出局103は、干渉波W13の干渉パターン、例えば粗密間隔を特定する。具体的には、CPU131は、AD変換部139から干渉パターンデータSG34を受け取り、例えば干渉波の粗密間隔を算出する。さらに、CPU131は、算出した粗密間隔を、通信ネットワーク105を介して位置特定局104へ伝送する。
【0035】
〔通信処理〕
CPU131は、通信処理プログラムP132に基づいて通信処理を実行する。具体的には、CPU131は、ワークメモリとしてRAM133を用いながら、通信ネットワーク105で接続された外部機器と通信処理を行う。この処理により、検出局103は、基準局101から干渉パターンの検出結果の送信要求を受信したり、干渉パターンの検出結果を位置特定局104に送信したりする。
【0036】
(5)位置特定局
(5−1)構成
図9は、位置特定局104の構成を示すブロック図である。位置特定局104は、以下の構成要素を含む。
(a)CPU141:位置特定局104各部の制御を行う。また、CPU141は、後述するROM142に格納されているプログラムを実行することにより、位置算出処理や入出力処理、通信処理を行う。これらの処理については後述する。
(b)ROM142:位置算出プログラムP141や入出力処理プログラムP142、通信処理プログラム143を格納する。またROM142は、参照パターンテーブルT141を記憶している。参照パターンテーブルT141は、無線ノード102の位置に応じた干渉パターンを記憶している。参照パターンテーブルT141については詳細を後述する。
(c)RAM143:CPU141のワークメモリとして機能する。
(d)タイマー144:位置特定局104の内部クロックとして機能する。本実施形態では位置特定局104に必須の構成要素ではない。
(e)LAN制御部145:例えばネットワークカードとそのソフトウェアなどで実現され、ネットワーク105で接続される外部機器とのLAN通信を制御する。なお、ここでは通信ネットワーク105がLAN(Local Area Network)である場合を示しているが、通信ネットワーク105は必ずしもLANでなくてもよい。
(f)表示部146:ディスプレイなどのモニタであり、算出された無線ノード102の位置を、例えば前記図3の形態で出力する。ただし出力形態は図3に限定されず、ニーズに応じて適宜変更することができる。
(g)操作部147:キーボードやマウス、タッチパネルなどで実現され、位置特定局104の操作者から位置検出開始の指示を受け付ける。
【0037】
なお、表示部146や操作部147は、必ずしも位置特定局104に設けられていなくてもよい。例えば、さらに上位の制御端末にこれらのインターフェースが設けられていてもよい。
(5−2)参照パターンテーブル
図10は、ROM142に記憶されている参照パターンテーブルT141の一例を示す概念説明図である。参照パターンテーブルT141は、例えば検出局103で測定した測定結果に基づいて予め生成されている。この例では、参照パターンテーブルT141は、「ターゲット位置」と、「x軸干渉間隔」と、「y軸干渉間隔」と、を対応づけて記憶している。「ターゲット位置」は、無線ノード102の位置を(x,y)座標で示す。「x軸干渉間隔」は、x軸上の検出局103aにおける干渉波の粗密間隔の測定値を示す。「y軸干渉間隔」は、y軸上の検出局103bにおける干渉波の粗密間隔の測定値を示す。「x軸干渉間隔」及び「y軸干渉間隔」は、例えば「Dn以上〜Dn+1未満」のように、ある数値範囲として記述される。なお、nの値はターゲット位置を示唆するものではない。これらの干渉間隔の上限値や下限値は、たとえば検出局103が粗密間隔をタイマー134を用いてカウントしたカウント数で表すことができる。無線ノード102の位置検出時における各検出局130のタイマー134のカウント周波数を、参照パターンテーブルT141の生成時に用いたタイマー134のカウント周波数と同じ値に設定すれば、粗密間隔として検出されるカウント数と、参照パターンテーブルT141のx軸及びy軸干渉間隔の値と、を関係づけることができる。
【0038】
参照パターンテーブルT141を用いれば、例えば次のようにして無線ノード102の位置を特定することができる。例えば、x軸上の検出局103aが測定した干渉波W13の粗密間隔がD3以上D4未満であり、y軸上の検出局103bが測定した干渉波W13の粗密間隔がD5以上D6未満である場合、無線ノード102の位置座標は、(x3,y5)と特定される。
【0039】
図11は、参照パターンテーブルT141の別の一例を示す説明図である。この図では、参照パターンテーブルT141は座標に対応したマトリックス構造を有している。それぞれの座標には、その位置に無線ノード102を配置した場合に測定されるx軸干渉間隔とy軸干渉間隔とが記述されている。例えば、ターゲット位置(x3,y5)には、x軸干渉間隔として「D3以上D4未満」、y軸干渉間隔として「D5以上D6未満」がそれぞれ対応づけられている。と記載されているので、測定したDnから容易にターゲット位置を割り出すことができる。
【0040】
参照パターンテーブルT141は、必ずしも必須とは限らない。例えば、検出された干渉パターンデータに基づいて、測定毎に無線ノード102の位置を演算することも可能である。例えば下記のパラメータ(p1)〜(p4)を用いた位置計算関数を作成して位置特定局104に持たせておき、各検出局103から収集した干渉波W13の粗密間隔を変数として、関数計算を測定毎に実行する。これにより、参照パターンテーブルT141を用いなくとも、位置特定局104は無線ノード102の位置を特定することができる。
(p1)基準局101からx軸上の検出局103aまでの距離
(p2)基準局101からy軸上の検出局103bでの距離
(p3)ノード電波W12の第2周波数f2
(p4)基準電波W11の基準周波数f1と第2周波数f2とのシフト量
(5−3)CPUの機能
CPU141は、ROM142のプログラムに基づいて、位置算出処理、入出力処理及び通信処理を行う。
【0041】
〔位置算出処理〕
CPU141は、位置算出プログラムP141に基づいて、位置算出処理を実行する。この処理により、位置特定局104は、無線ノード102のxy座標を特定する。具体的には、CPU141は、x軸上の検出局103aから伝送された粗密間隔を、x軸干渉間隔とする。また、CPU141は、y軸上の検出局103bから伝送された粗密間隔を、y軸干渉間隔とする。CPU141は、x軸干渉間隔及びy軸干渉間隔をキーに参照パターンテーブルT141を参照し、対応するxy座標を求め、これを無線ノード102の位置と特定する。
【0042】
〔入出力処理〕
CPU141は、入出力プログラムP142に基づいて、入出力処理を実行する。具体的には、CPU141は、操作部147が受け付けた操作者からの指示に基づいて、電波生成指示を基準局101に送信する。また、この指示送信後、CPU141は、検出局103から検出結果の送信を待機し、検出結果に基づく位置算出処理の終了後、算出された位置を表示部146に出力する。
【0043】
〔通信処理〕
CPU141は、通信処理プログラムP143に基づいて、通信処理を実行する。具体的には、CPU141は、ワークメモリとしてRAM143を用いながら、通信ネットワーク105で接続された外部機器と通信処理を行う。この処理が前記入出力処理の実行中に呼ばれることにより、前記電波生成指示の送信や、干渉パターンの検出結果の受信が実行される。
【0044】
以上の構成により、位置特定局104は、検出局103から伝送された干渉パターンの検出結果に基づいて、無線ノード102のxy座標を特定する。
(6)位置検出システムの処理
図12は、図1の位置検出システム100全体が行う処理の流れの一例を示す説明図である。この例では、無線ノード102は常に第2周波数f2のノード電波W12を発信しているとする。
【0045】
まず、位置特定局104は、操作者から位置検出開始の指示を受け付け(#1)、電波生成指示を基準局101に送信する(#2)。
基準局101は、電波生成の指示を位置特定局104から受信すると(#3)、基準周波数f1の基準電波W11の発信を開始する(#4)。前述したように無線ノード102は常に第2周波数f2(f2≠f1)を持つノード電波W12を発信しているので、基準電波W11の発信により干渉波W13が直ちに生成される。さらに、基準局101は、干渉パターンの検出指示を、通信ネットワーク105を介して検出局103に伝送する(#5)。
【0046】
検出局103は、基準局101から干渉パターン検出指示を受信すると(#6)、干渉波W13の受信を開始する(#7)。検出局103a,bは、受信した干渉波W13の受信信号を解析し、それぞれの位置での干渉波W13の粗密間隔を求める(#8)。基準局101は、干渉パターン検出指示を伝送後、検出局103に対して検出終了の問い合わせをポーリングしている(#9)。検出局103a,bは、基準局101からの問い合わせに対し、それぞれ干渉パターンの検出終了通知を伝送する(#10)。2つの検出局103からこの通知を受けた基準局101は、検出結果の送信要求を、2つの検出局103a,bに伝送する(#11)。検出局103a,bは、この要求に応じ、それぞれの検出結果を、位置特定局104に伝送する(#12,#13)。
【0047】
位置特定局104は、各検出局103での検出結果に基づいて無線ノード102のxy座標を算出し(#14,#15)、算出が終了すると終了通知を基準局101に伝送する(#15,#16)。次いで、位置特定局104は、算出した無線ノード102の位置が正常か否かを判断し(#18)、判断結果を基準局に伝送する(#19)。この判断は、得られたxy座標が所定の範囲内か否かに基づいて行うことができる。
【0048】
基準局101は、正常な位置が算出されなかった場合、再度検出局103に対し、干渉パターン検出指示を伝送し、前記の処理を繰り返す(#5)。正常な位置が算出された場合、基準局101は、位置特定終了通知を検出局103及び位置特定局104に伝送し(#22)、基準電波W11の送信を停止する(#23)。一方、位置特定終了通知を受けた位置特定局104は、測定した無線ノード2の位置を表示するなどの処理を行う(#25,#26)。
【0049】
(7)効果
本実施形態の位置検出システム100では、基準電波W11とノード電波W12との干渉波W13の干渉パターンは、無線ノード102の位置によって変化する。そのため、基準局101の位置を原点とし、原点で直交するx軸及びy軸にそれぞれ検出局103a,bを設けることにより、それぞれの軸上での干渉波W13の疎密間隔を検出することができる。しかも、基準周波数f1と第2周波数f2とは若干ずれているため、干渉波W13が進行波となり、x軸及びy軸上に固定された検出局103においても干渉波W13の粗密間隔を検出可能である。
【0050】
<第2実施形態>
図13は、本発明の第2実施形態に係る位置検出システム200の構成を示す説明図である。位置検出システム200は、前記第1実施形態と同様、基準電波W21を発信する基準局201、ノード電波W22を発信する無線ノード202、干渉波W23の干渉パターンを検出する検出局203a,bおよび位置特定局204を含んで構成されている。基準局201、検出局203及び位置特定局204は、通信ネットワーク205により通信可能に接続されている。前記図3と同様に、各端末はxy平面上に位置し、無線ノード202を除いて固定位置に設けられている。本実施形態では、無線ノード202、検出局203a,b及び位置特定局204は、第1実施形態で同じ名称を付して示した端末と同様の機能を有する。基準局201は、基準電波W21の基準周波数f1を調整する。以下では、基準局201について説明する。
【0051】
(1)基準局の構成
図14は、基準局201の構成を示すブロック図である。基準局201は、以下の構成要素(a)〜(m)を含む。基準局201は、第1実施形態の基準局101の構成要素に相当する構成要素(a)〜(g)に加え、干渉パターンを解析するための構成要素(h)〜(m)を有している。
(a)CPU211:基準局201各部の制御を行う。また、CPU211は、後述するROM212に格納されているプログラムを実行することにより、基準電波送信処理や微調整処理、通信処理を行う。各処理については、詳細を後述する。
(b)ROM212:基準電波送信プログラムP211、微調整プログラムP212及び通信処理プログラムP213を格納する。
(c)RAM213:CPU211のワークメモリとして機能する。
(d)タイマー214:基準局201の内部クロックとして機能する。本実施形態では基準局201に必須の構成要素ではない。
(e)LAN制御部215:例えばネットワークカードとそのソフトウェアなどで実現され、ネットワーク205で接続される外部機器とのLAN通信を制御する。なお、ここでは通信ネットワーク205がLAN(Local Area Network)である場合を示しているが、通信ネットワーク205は必ずしもLANでなくてもよい。
(f)周波数発振部216:CPU211から周波数設定データSG11を受け取り、所定の基準周波数f1を有する基準信号SG12を発振する。周波数発振部216としては、発信周波数が可変のシンセサイザーなどを用いる。
(g)送信部217:周波数発振部216が発振した基準信号SG12の高周波増幅を行い、送信信号SG13を出力する。
(h)アンテナ218:送信部217から入力された送信信号SG13に基づいて、基準周波数f1をもつ基準電波W21を無指向で発信する。またアンテナ218は、ノード電波W22を受信する。
(i)切替部219:CPU211が出力する送受信切替信号SG211に従い、アンテナ218の送信モードと受信モードとを切り替える。
(j)ミキサー部2110:送信信号S13とアンテナ受信信号の二つの信号を混合させてテスト受信信号SG212を出力する。
(k)受信部2111:テスト受信信号SG212を増幅してテスト干渉信号SG213を出力する。
(l)フィルター部2112:テスト干渉信号SG213のうち特定の周波数だけを選択的に通過させると共に検波処理を行い、テスト干渉パターン信号SG214を出力する。フィルター部2112は、SAWフィルタなどのバンドパスフィルタと検波回路とを含む。バンドパスフィルターの通過帯域は、基準電波W21の基準周波数f1を中心周波数とした急峻な通過特性を持ち、テスト干渉信号SG213を効率よく通過させる。検波回路は、バンドパスフィルタを通過した信号からテスト干渉パターン信号SG214を生成する。
(m)AD変換部2113:テスト干渉パターン信号SG214をデジタルデータに変換し、テスト干渉パターンデータSG215をCPU211に出力する。AD変換部2113に代えて電圧コンパレータを用い、適切な閾値電圧でテスト干渉パターン信号SG214を二値化した結果の直列デジタルデータを、テスト干渉パターンデータSG215とすることもできる。
【0052】
(2)CPUの機能
CPU211は、ROM212のプログラムに基づいて、基準電波送信処理、微調整処理及び通信処理を行う。
〔基準電波送信処理〕
CPU211は、基準電波送信プログラムP211に基づいて、前述の基準電波送信処理を第1実施形態と同様に実行する。この処理により、基準局201は、基準周波数f1を有する基準電波W21を送信する。ただし、CPU211は、基準電波送信プログラムP211により送受信切替信号SG211を出力する点が第1実施形態と異なる。この送受信切替信号SG211により、切替部219が送信側に切り替わり、アンテナ218が送信モードに切り替わる。これにより、送信部217から出力される送信信号SG13がアンテナ218に供給され、基準電波W21が送信される。
【0053】
〔微調整処理〕
CPU211は、微調整プログラムP212に基づいて、微調整処理を実行する。この処理により、基準局201は、基準電波W21の送信に先立ち、送信しようとする基準電波W21により生成される干渉波W23の適切な進行速度が得られるように、基準周波数f1を調整する。
【0054】
具体的には、CPU211は、送受信切替信号SG211によって切替部219を受信側に切り替え、アンテナ218を受信モードに切り替える。これにより、アンテナ218はノード電波W22を受信する。受信信号はミキサー部2110において送信信号SG13と混合されて擬似的に干渉を起こし、テスト受信信号SG212が生成される。いわば擬似干渉波W23が生成される。
【0055】
CPU211では、テスト受信信号SG212に基づいて生成されたテスト干渉パターンデータSG215を取得し、このデータに基づいて、検出局203において受信可能な干渉パターンが得られるよう、周波数発振部216の基準周波数f1を調整する。例えば、CPU211は、疑似干渉波W23の進行速度が所定の範囲に収まるよう基準周波数f1を調整したり、疑似干渉波W23の粗密間隔が所定の範囲に収まるよう基準周波数f1を調整する。CPU211は、調整する度にテスト干渉パターンデータSG215を監視し、テスト干渉パターンデータSG215が所定の範囲に収まるまで、または調整回数の上限まで、調整を繰り返す。
【0056】
〔通信処理〕
CPU211は、通信処理プログラムP213に基づいて、前述の通信処理を第1実施形態と同様に実行する。この処理により、基準局201は、位置特定局204から基準電波生成指示を受信したり、位置特定局204に位置特定終了通知を送信したりする。
(3)基準局が行う処理の流れ
図15は、基準局201が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。本実施形態において、無線ノード202、検出局203及び位置特定局204は、前記第1実施形態で同一名称を付して示した各端末と同様の処理を行うので、以下では基準局201が行う処理について説明する。第1実施形態と同様、無線ノード202は常にノード電波W22を送信している。
【0057】
ステップS201:基準局201は、位置特定局204からの電波生成指示を待機し、これを受信するとステップS202に移行する。
ステップS202:基準局201は、切替部219によってアンテナ218を受信モードに設定する。
ステップS203〜S205:周波数発振部216の発振周波数、すなわち基準周波数f1を規定のデフォルト値に設定し(S203)、基準電波W21の送信信号SG13を送信部217から出力する(S204)。この時点ではアンテナ218が受信モードになっているため、基準電波W21はアンテナ218から発信されず、送信信号SG13はミキサー部2110に供給される。ミキサー部2110は、受信したノード電波W22の受信信号と、送信部217から出力された送信信号SG13とを混合し、擬似的な干渉を起こさせ、テスト受信信号SG212を出力する(S205)。すなわち、基準局201は、ノード電波W22と基準電波W21とを、擬似的に干渉させ、疑似干渉波W23を生成する。
【0058】
ステップS206〜S210:基準局201は、テスト干渉パターンデータSG215を生成すると(S206)、テスト干渉パターンデータSG215から疑似干渉波W23の粗密間隔を求め、その値が規定値範囲内かどうかを判定する(S207)。規定値範囲内であれば、基準局201は切替部219によってアンテナ218を送信モードに切り替え(S208)、位置特定局204に周波数調整完了通知を伝送する(S209)。なお、この通知は必須ではない。その後、基準局201は、基準電波W21の送信を開始し、位置特定局204から位置特定終了通知を受信するまで、基準電波W21を送信し続ける(S210)(前記図12の#4〜#23参照)。
【0059】
ステップS211〜S213:ステップS207において、求めた粗密間隔の値が規定値範囲外と判定すると、ステップS211に移行する。この場合、基準局201は、周波数発振部216の発振周波数f1を若干シフトさせて調整する(S211)。次いで、基準局201は、調整回数が規定回数を超過しているか否かを判断し(S212)、疑似干渉波W23の粗密間隔が規定値内になるまでステップS207〜S212を繰り返す。疑似干渉波W23の粗密間隔が規定値内に入る前に調整回数が規定回数を超過した場合(S212)、基準局201は周波数発振部216の発振を停止し、位置特定局204に調整エラー通知を伝送する(S213)。無線ノード202などに異常があると考えられるからである。
【0060】
上記ステップS202〜S213の処理を一定時間間隔で行うことにより、ノード電波S22の第2周波数f2が変動する場合などでも、検出局203が受信可能または安定して受信できる干渉波W23を、安定して生成することができる。
なお、上述の例ではアンテナ218の送信モードと受信モードとを切り替えたが、送信用アンテナと受信用アンテナとを設けてもよい。疑似干渉波ではなく実際の干渉波W23を受信しながら、干渉波W23の干渉パターンが検出しやすくなるように、送信する基準電波の周波数調整を行うことができる。
【0061】
(4)効果
本実施形態の位置検出システム200では、基準局201が、疑似干渉波W23の干渉パターン変化を監視しながら基準周波数f1を調整するので、検出局203で受信可能あるいは受信良好な範囲の干渉パターンを生成することができる。また、ノード電波の第2周波数f2の経時変化などが原因で、基準局201が単に第2周波数f2から規定値分だけシフトさせた基準周波数f1で基準電波W21を生成するだけでは干渉波W23に適当な進行速度が得られない場合でも、検出局にとって受信可能あるいは受信良好な進行速度を持つ干渉波W23を安定して生成することができる。
【0062】
<第3実施形態>
(1)システム全体の構成及び動作
図16は、本発明の第3実施形態に係る位置検出システム300の構成を示す説明図である。位置検出システム300は、基準電波W31を送信する基準局301、ノード電波W32a,W32b,W32cを送信する無線ノード302a,302b,302c、干渉波W33a〜cの干渉パターンを検出する検出局303a、b及び位置特定局304を含む。基準局301、検出局303a、b及び位置特定局304は、光ケーブルなどの通信ネットワーク305により通信可能に接続されている。従って、検出された干渉パターンは、通信ネットワーク305を介して検出局303から位置特定局304に送信される。なお、干渉波W33a,W33b,W33cは、それぞれノード電波W32a,W32b,W32cと基準電波W31との干渉波である。
【0063】
図17は、位置検出システム300の動作の概念説明図である。本実施形態では、基準局301からのスロット同期信号SSa,SSb,SSc(まとめてスロット同期信号SSということがある)に同期して、複数の無線ノード302a〜cが時分割でノード電波W32a〜cを送信する。基準局301が送信する各スロット同期信号SSa,SSb,SScには、それぞれノードID“N1”、“N2”、“N3”が含まれている。ノードID“N1”、“N2”及び“N3”は、それぞれ無線ノード302a,302b,302cの識別子である。各無線ノード302a〜cは、スロット同期信号SS内のノードIDが自端末のノードIDと一致した場合、そのスロット同期信号SSの終了後にノード電波W32a〜cを送信する。ノード電波W32a〜cの送信は、次のスロット同期信号SSの受信前に停止される。スロット同期信号SS内にはスロット期間データ(送信終了条件に相当)が格納されており、無線ノード302はこのスロット期間データからノード電波W32の停止タイミングを特定する。この処理は、各無線ノード302a,302b,302cにおいて同様である。その結果、測定空間には干渉波W33a,W33b,W33cが時分割多重によって多重生成される。検出局303は、基準局301が送信するスロット同期信号SSに続く干渉波W33a〜cを次々に受信して干渉パターンを解析し、解析結果を位置特定局304に伝送する。これにより、位置特定局304は、同一測定空間内の複数の無線ノード302a〜cの位置を特定することができる。このとき、検出局303は、各スロット同期信号に含まれるノードIDも取得しておき、ノードIDと干渉パターンの検出結果とを対応づけて位置特定局304に伝送するとよい。位置特定局304において、ノードIDと無線ノード302の位置とを関連づけることができる。
【0064】
なお、ノードIDは各無線ノード302が個別に持つユニークな機械的固有番号であってもよいし、各無線ノード302に割り振られた自由名称であってもよい。自由名称をノードIDとして用いる場合は、位置検出システム300の通信ネットワーク305上に、無線ノード302の自由名称と機械的固有番号とを対応付ける名前解決端末を備えておけばよい。
【0065】
位置検出システム300において、位置特定局304の機能は、前記第1実施形態の位置特定局104と同様である。以下では、基準局301、無線ノード302及び検出局303の機能について説明する。
(2)基準局
(2−1)基準局の構成
図18は、基準局301の構成を示すブロック図である。基準局301は、以下の構成要素(a)〜(j)を含む。基準局301は、前記第1実施形態の基準局101の構成要素に相当する構成要素(a)〜(h)に加え、(i)変調部319及び(j)切替部3110を有している。
(a)CPU311:基準局301各部の制御を行う。また、CPU311は、後述するROM312に格納されているプログラムを実行することにより、基準電波送信処理や同期データ生成処理、通信処理を行う。各処理については、詳細を後述する。
(b)ROM312:基準電波送信プログラムP311、同期データ生成プログラムP312及び通信処理プログラムP313を格納する。
(c)RAM313:CPU311のワークメモリとして機能する。
(d)タイマー314:基準局301の内部クロックとして機能する。本実施形態では基準局301に必須の構成要素ではない。
(e)LAN制御部315:例えばネットワークカードとそのソフトウェアなどで実現され、ネットワーク205で接続される外部機器とのLAN通信を制御する。なお、ここでは通信ネットワーク305がLAN(Local Area Network)である場合を示しているが、通信ネットワーク305は必ずしもLANでなくてもよい。
(f)周波数発振部316:CPU311から周波数設定データSG11を受け取り、所定の基準周波数f1を有する基準信号SG12を発振する。周波数発振部316としては、発信周波数が可変のシンセサイザーなどを用いる。
(g)送信部317:周波数発振部316が発振した基準信号SG12の高周波増幅を行い、送信信号SG13を出力する。
(h)アンテナ318:送信部317から入力された送信信号SG13に基づいて、基準周波数f1をもつ基準電波W31を無指向で発信する。
(i)変調部319:CPU311から出力されるスロット同期信号SSの元データとなる同期データSG312によって、周波数発振部316からの基準信号SG12に変調をかけ、変調同期信号SG313を出力する。
(j)切替部3110:CPU311から出力される送信切替信号SG311に基づいて送信信号を切り替えることにより、変調同期信号SG313と基準信号SG12とを交互に送信部317に出力する。変調同期信号SG313と基準信号SG12とを交互に送信することにより、スロットを生成する。
【0066】
(3−2)CPUの機能
CPU311は、ROM312のプログラムに基づいて、基準電波送信処理、同期データ生成処理及び通信処理を行う。
〔基準電波送信処理〕
CPU311は、基準電波送信プログラムP311に基づいて、前述の基準電波送信処理を第1実施形態と同様に実行する。この処理により、基準局301は、基準周波数f1を有する基準電波W31を送信する。ただし、CPU311は、基準電波送信プログラムP311により送受信切替信号SG311を出力する点が第1実施形態と異なる。この送受信切替信号SG311により、切替部3110が周波数発振部316側に切り替わり、基準信号SG12が高周波増幅されてアンテナ318より出力される。これにより、基準電波W31が送信される。
【0067】
〔同期データ生成処理〕
CPU311は、同期データ生成プログラムP312に基づいて、同期データ生成処理を実行する。この処理により、基準局301は、スロット同期信号SSと基準電波W31とを切り替えて交互に送信する。具体的には、CPU311は送信切替信号SG311を生成する。
【0068】
また同期データ生成処理により、基準局301は、スロット同期信号SSの元となる同期データを生成する。具体的にはCPU311は、次々に同期データを生成し、生成する度に同期データに含まれるノードIDを更新する。これにより、複数の無線ノード302a〜cに対し、ノード電波W32の送信期間が順次割り当てられるようになる。CPU311は、スロット期間データを同期データに含ませてもよい。例えば次のスロット同期信号SSの送信開始時刻や、ノード電波W32の送信時間長を、スロット期間データとすることが挙げられる。スロット期間データに基づいて、無線ノード302は、次のスロット同期信号SSの送信開始前にノード電波W32の送信を停止することができる。この他に、同期データには、スロット同期信号SSに必要なデータが適宜記述される。
【0069】
図19は、基準局301の動作及びスロット同期信号のデータフォーマットの一例を示す説明図である。スロット同期信号SSと基準電波W31とは、交互に送信される。前述したように、スロット同期信号SSは、基準電波W31の基準周波数f1をキャリア周波数とし、スロット同期信号SSのデータによって変調された信号である。また、基準電波W31は、基準電波W31の基準周波数f1の単一周波数による無変調の連続信号である。
【0070】
スロット同期信号SSは、下記のフィールド(a)〜(e)を含む。
(a)プリアンブルSS1:受信側無線ノード302a〜cの復調部内のPLLが再生クロックを引き込むために用いられる。
(b)同期パターンSS2:プリアンブルに続いて伝送される直列ビットデータにおいて、バイトアラインの先頭を示す。
(c)ノードIDSS3:無線ノード302a〜cを識別する識別子。
(d)コマンドフィールドSS4:制御コマンドや動作パラメータなどを格納する。スロット期間データはこのフィールドに記述される。
(e)エラーチェックコードSS5:スロット同期信号SSにおける符号誤りを検査するためのデータ。
【0071】
なお、スロット同期信号SSの送信間隔を一定間隔にすれば、スロット期間データをコマンドフィールドSS4に記述しなくてもよい。無線ノード302は、位置検出に先立ってスロット同期信号SSの時間間隔を測定して学習し、学習した時間間隔からノード電波W32の送信時間を決めることができるからである。
〔通信処理〕
CPU311は、通信処理プログラムP313に基づいて、前述の通信処理を第1実施形態と同様に実行する。この処理により、基準局301は、位置特定局304から基準電波生成指示を受信したり、位置特定局304に位置特定終了通知を送信したりする。
【0072】
以上の構成を有する基準局301は、無線ノード302の指定を含む同期スロット信号SSと、基準電波W31と、を交互に送信する。
(3)無線ノード
(3−1)無線ノードの構成
図20は、無線ノード302の構成を示すブロック図である。各無線ノード302a,302b,302cは同一の構成を有するので、ここでは無線ノード302と記載する。無線ノード302は、第1実施形態の無線ノード102の構成要素に相当する構成要素(e)〜(g)に加え、スロット同期信号SSを解析するための構成要素(a)〜(d)、(h)〜(k)を有している。
(a)CPU321:無線ノード302の各部を制御する。またROM322に格納されたデータ解析プログラムP321を実行することにより、データ解析処理を行う。この処理については後述する。
(b)ROM322:データ解析プログラムP321を格納する。
(c)RAM323:CPU321のワークメモリとして機能する。
(d)タイマー324:無線ノード302の内部クロックとして機能する。本実施形態では無線ノード302に必須の構成要素ではない。
(e)発振部325:規定の第2周波数f2を有するノード信号SG322を発振する。
(f)送信部326:発振部325が発振したノード信号SG322の高周波増幅を行い、送信信号SG323を生成する。
(g)電池3211:無線ノード302の各部に電力を供給する。
(h)アンテナ327:送信モードの場合、送信部326から入力された送信信号SG323に基づいて、第2周波数f2を持つノード電波W32を無指向で発信する。受信モードの場合、スロット同期信号SG324を受信する。
(i)切替部328:CPU321からの送受信切替信号SG327に基づいて、アンテナ327を送信モードと受信モードとで切り替える。
(j)受信部329:スロット同期信号SG324を受信同期信号SG325に変換する。
(k)復調部3210:受信同期信号SG325を復調同期データSG326に変換し、CPU321に出力する。
【0073】
以上のように構成された無線ノード302は、スロット同期信号SG324の受信と、ノード電波W32の送信と、を交互に実行する。なお、送信専用アンテナと受信専用アンテナとを用い、スロット同期信号SG324を受信しながら、自ノードに割り当てられたスロットでノード電波W32を送信することもできる。
(3−2)CPUの機能
〔データ解析処理〕
CPU321は、データ解析プログラムP321に基づいて、データ解析処理を実行する。この処理により、無線ノード302は、自ノードがノード電波W32を送信すべき期間にのみ、ノード電波W32を送信する。具体的には、CPU321は、スロット同期信号SG324を受信する場合、送受信切替信号SG327によって切替部328を受信側に切り替え、アンテナ327を受信モードに切り替える。これにより、アンテナ327はスロット同期信号SG324を受信する。スロット同期信号SG324は、変換されて復調同期データSG326となり、CPU321に出力される。
【0074】
CPU321は、復調同期データSG326に含まれるノードIDが自局のノードIDと一致するか否かを判断する。一致する場合、CPU321は、自ノード専用スロットと判断し、スロット同期信号期間終了後に直ちに発信制御信号SG321を発振部325に出力する。またCPU321は、送受信切替信号SG327を切替部328に出力し、アンテナ327と送信部326とを接続すると共に、アンテナ327を送信モードに切り替える。発信制御信号SG321に基づいて生成された送信信号SG323は、アンテナ327に供給され、ノード電波W32が発信される。
【0075】
さらにCPU321は、復調同期データSG326内のスロット期間データに基づいて、ノード電波W32の停止タイミングを決定し、決定したタイミングでノード電波W32を停止させる。その後CPU321は、発信制御信号SG321により、発振部325の発振を停止する。前述したように、スロット同期信号の送信間隔が一定の場合には、無線ノード302がこれを学習することによりノード電波W32の停止タイミングを決定することができる。
【0076】
(4)検出局
(4−1)検出局の構成
図21は、検出局303の構成を示すブロック図である。検出局303は、以下の構成要素を含む。検出局303は、前記第1実施形態の検出局103の構成要素に相当する構成要素(a)〜(i)に加え、(j)分配部3310及び(k)復調部3311を有している。
(a)CPU331:検出局303各部の制御を行う。また、CPU331は、後述するROM332に格納されているプログラムを実行することにより、干渉パターン解析処理やノード特定処理、通信処理を行う。これらの処理については後述する。
(b)ROM332:干渉解析プログラムP331やノード特定プログラムP332、通信処理プログラムP333を格納する。
(c)RAM333:CPU331のワークメモリとして機能する。
(d)タイマー334:検出局303の内部クロックとして機能する。
(e)LAN制御部335:例えばネットワークカードとそのソフトウェアなどで実現され、ネットワーク305で接続される外部機器とのLAN通信を制御する。なお、ここでは通信ネットワーク305がLAN(Local Area Network)である場合を示しているが、通信ネットワーク305は必ずしもLANでなくてもよい。
(f)アンテナ336:干渉波W33を受信し、受信信号SG31を出力する。
(g)受信部337:受信信号SG31を増幅して干渉信号SG32を出力する。基準局301が基準電波W31を送信している期間は、干渉信号SG32には基準電波W31の信号が現れる。基準局301がスロット同期信号SSを送信している期間は、干渉信号SG32には受信同期信号SG331が現れる。
(h)フィルター部338:基準電波W31の受信信号SG31から得られる干渉信号SG32のうち、特定の周波数だけを選択的に通過させると共に検波処理を行い、干渉パターン信号SG33を出力する。フィルター部338は、SAWフィルタなどのバンドパスフィルタと検波回路とを含む。バンドパスフィルターの通過帯域は、基準電波W31の基準周波数f1を中心周波数とした急峻な通過特性を持ち、干渉信号SG32を効率よく通過させる。検波回路は、バンドパスフィルタを通過した信号から干渉パターン信号SG33を生成する。
(i)AD変換部339:干渉パターン信号SG33をデジタルデータに変換し、干渉パターンデータSG34をCPU331に出力する。AD変換部339に代えて電圧コンパレータを用い、適切な閾値電圧で干渉パターン信号SG33を二値化した結果の直列デジタルデータを、干渉パターンデータSG34とすることもできる。
(j)分配部3310:受信部337が出力した干渉信号SG32を分配し、フィルター部338及び後述する復調部3311に同時に出力する。
(k)復調部3311:受信同期信号SG331を復調し、復調同期データSG332を再生してCPU331に出力する。
【0077】
(4−2)CPUの機能
CPU331は、ROM332のプログラムに基づいて、干渉パターン解析処理、ノード特定処理及び通信処理を行う。
〔干渉パターン解析処理〕
CPU331は、干渉解析プログラムP331に基づいて、干渉パターン解析処理を実行する。この処理により、検出局303は、干渉波W33の干渉パターン、例えば粗密間隔を特定する。具体的には、CPU331は、AD変換部339から干渉パターンデータSG34を受け取り、例えば干渉波の粗密間隔を算出する。さらに、CPU331は、算出した粗密間隔を、次に述べるノード特定処理で特定したノードIDと対応づけて、位置特定局304へ伝送する。
【0078】
〔ノード特定処理〕
CPU331は、ノード特定プログラムP332に基づいてノード特定処理を実行する。具体的には、CPU331は、受信同期信号SG331が変換された復調同期データSG332を解釈し、そこに含まれるノードIDを特定する。特定されたノードIDは、前述したように、干渉パターン解析処理において粗密間隔と対応づけられ、位置特定局304に伝送される。
【0079】
〔通信処理〕
CPU331は、通信処理プログラムP333に基づいて通信処理を実行する。具体的には、CPU331は、ワークメモリとしてRAM333を用いながら、通信ネットワーク305で接続された外部機器と通信処理を行う。この処理により、検出局303は、基準局301から干渉パターンの検出結果の送信要求を受信したり、干渉パターンの検出結果を位置特定局304に送信したりする。
【0080】
(5)効果
本実施形態の位置検出システム300では、基準局301が送信するスロット同期信号SSのノードIDにより、各無線ノード302にスロットが割り当てられる。各無線ノード302は、自ノード専用のスロット期間でノード電波W32を送信するので、そのスロット期間ではある1つの無線ノード302のノード電波W32と基準電波W31との干渉波W33が生成される。従って、検出局303は、時分割で複数の干渉波W33の干渉パターンを検出する。検出局303がノードIDと干渉パターンとを対応づけて位置特定局304に伝送すれば、位置特定局304は同じ空間内に存在する複数の無線ノード302の位置を短時間のうちに検出することができる。
【0081】
<第4実施形態>
(1)システムの構成及び動作
図22は、本発明の第4実施形態に係る位置検出システム400の構成を示す説明図である。位置検出システム400は、基準電波W41を送信する基準局401(基準電波送信手段に相当)、Y電波Wy42を送信するY基準局406y(第2電波送信手段に相当)、図示していないX電波Wx42を送信するX基準局406x(第2電波送信手段に相当)、干渉波W43の干渉パターンを検出する無線ノード402(干渉波検出手段に相当)及び位置特定局404(位置特定手段に相当)を含む。基準局401、Y基準局406y、X基準局406x及び位置特定局404は、光ケーブルなどの通信ネットワーク405により通信可能に接続されている。Y基準局406y及びX基準局406xは、無線ノード402と無線通信可能である。無線ノード402が検出した干渉パターンは、無線通信によりY基準局406yまたはX基準局406xにいったん送信され、そこから通信ネットワーク405を介して位置特定局404に送信される。
【0082】
図23〜図24は、位置検出システム400における動作の概念説明図である。本実施形態では、無線ノード402のx座標を求める場合とy座標を求める場合とでは、干渉波が異なる。図23は無線ノードのx座標を求める場合の説明図である。無線ノード402は、干渉波Wy43の干渉パターンを測定する。ここで、干渉波Wy43は、基準局401の基準電波W41と、Y基準局406yのY電波Wy42と、が干渉して生成される。干渉波Wy43の測定結果は、無線ノード402から干渉波Wy43の生成に関与していないX基準局406xに無線で送信され、そこから位置特定局404に伝送される。干渉波W43yは、y軸を起点としてx軸方向への距離の増加に伴って粗密間隔が徐々に広がる干渉パターンを有する。そのため、干渉波Wy43の粗密間隔を測定することにより、測定空間における無線ノード402のx座標の値xpを求めることができる。すなわち、位置特定局404は、干渉波Wy43の干渉パターンに基づいて無線ノード402のx座標を特定する。特定方法は、前記第1実施形態と同様、テーブルを参照したり位置計算関数を用いることが考えられる。
【0083】
図24は、無線ノードのy座標を求める場合の説明図である。無線ノード402は、干渉波Wx43の干渉パターンを測定する。ここで、干渉波Wx43は、基準局401の基準電波W41と、X基準局406xのX電波Wx42と、が干渉して生成される。干渉波Wx43の測定結果は、無線ノード402から干渉波Wx43の生成に関与していないY基準局406yに無線で送信され、そこから位置特定局404に伝送される。干渉波Wx43は、x軸を起点としてy軸方向への距離の増加に伴って粗密間隔が徐々に広がる干渉パターンを有する。そのため、干渉波Wx43の粗密間隔を測定することにより、測定空間における無線ノード402のy座標の値ypを求めることができる。すなわち、位置特定局404は、干渉波Wx43の干渉パターンに基づいて無線ノード402のy座標を特定する。
【0084】
(2)Y基準局/X基準局
(2−1)Y基準局/X基準局の構成
図25は、Y基準局406yの構成を示すブロック図である。なお、X基準局406xとY基準局406yとは同様の構成を有するので、Y基準局406yを例にとって説明する。Y基準局406yは以下の構成要素(a)〜(m)を有している。
(a)CPU461:Y基準局406y各部の制御を行う。また、CPU461は、後述するROM462に格納されているプログラムを実行することにより、XY電波送信処理や中継処理、通信処理を行う。各処理については、詳細を後述する。
(b)ROM462:XY電波送信プログラムP461、中継処理プログラムP462及び通信処理プログラムP463を格納する。
(c)RAM463:CPU461のワークメモリとして機能する。
(d)タイマー464:基準局406yの内部クロックとして機能する。本実施形態ではY基準局406yに必須の構成要素ではない。
(e)LAN制御部465:例えばネットワークカードとそのソフトウェアなどで実現され、ネットワーク405で接続される外部機器とのLAN通信を制御する。なお、ここでは通信ネットワーク405がLAN(Local Area Network)である場合を示しているが、通信ネットワーク405は必ずしもLANでなくてもよい。
(f)周波数発振部466:CPU461から周波数設定データSG461を受け取る。さらに、第3周波数f3を有する基準信号SG462を発振する。第3周波数f3は、基準電波W41の基準周波数f1から所定値だけシフトした周波数である。周波数発振部466としては、発信周波数が可変のシンセサイザーなどを用いる。
(g)変調部467:周波数発振部466からの基準信号SG462に送信データSG465で変調をかけて、変調基準信号SG467を生成する。
(h)切替部468:CPU461からの送信データ切替信号SG463に応じ、後述するアンテナ4611に出力する送信信号を、送信データSG465で変調された変調基準信号SG467と、無変調の基準信号SG462と、の間で切り替える。
(i)送信部469:基準信号SG462または変調基準信号SG467の高周波増幅を行い、送信信号を出力する。
(j)切替部4610:CPU461からの送受信データ切替信号SG464に応じ、後述するアンテナ4611を、送信モードと受信モードとの間で切り替える。
(k)アンテナ4611:送信モードの場合、第3周波数f3を有するY電波Wy42を送信するか、または基準信号SG462に送信データSG465で変調をかけた変調基準信号SG467を高周波増幅したものを送信する。受信モードの場合、無線ノード402から干渉波Wy43の測定結果を受信する。
(l)受信部4612:受信信号を増幅して干渉信号を出力する。
(m)復調部4613:干渉信号を受信データSG466に変換し、CPU461に出力する。
【0085】
(2−2)CPUの機能
CPU461は、ROM462のプログラムに基づいて、XY電波送信処理、中継処理及び通信処理を行う。
〔XY電波送信処理〕
CPU461は、XY電波送信プログラムP461に基づいて、XY電波送信処理を実行する。この処理により、Y基準局406yはY基準電波Wy42を送信する。具体的には、CPU461は、基準周波数f1から規定値だけシフトした第3周波数f3を指定する周波数設定データSG461を生成し、周波数発振部466に出力する。またCPU461は、送信データ切替信号SG463を切替部468に出力し、周波数発振部466と送信部469とを接続する。さらに、CPU461は、Y電波Wy42を送信するために、送受信データ切替信号SG464を切替部4610に出力し、アンテナ4611を送信モードに設定する。これにより、第3周波数f3を有するXY電波Wy42が、アンテナ4611から送信される。
【0086】
〔中継処理〕
CPU461は、中継処理プログラムP462に基づいて、中継処理を実行する。この処理により、Y基準局406yは、無線ノード402に干渉パターンの測定結果を要求し、これを受信する。
具体的には、CPU461は、無線ノード402に測定結果を要求するための送信データ465を生成する。CPU461は、送信データ465の出力の直前に送受信データ切替信号SG464を切替部4610に出力し、アンテナ4611を送信モードに設定する。また、CPU461は、送信データ切替信号SG463を切替部468に出力し、変調部467と送信部469とを接続する。これにより、生成された送信データ465は、第3周波数f3を持つY電波Wy42をキャリアとして、アンテナ4611から送信される。
【0087】
また、CPU461は、要求に応じて無線ノード402から受信する受信データ466を解析する。受信データ466には、無線ノード402が検出した干渉波Wy43の測定結果が含まれている。CPU461は、無線ノード402から測定結果を受信するために、前記送信データ465を出力して所定時間経過後に送受信データ切替信号SG464を切替部4610に出力し、アンテナ4611を受信モードに設定する。無線ノード402から得られた測定結果は、後述する通信処理により位置特定局404に伝送される。
【0088】
〔通信処理〕
CPU461は、通信処理プログラムP463に基づいて、LAN制御部465及び通信ネットワーク405を介した通信処理を実行する。この処理により、Y基準局406yは、中継処理で解析した測定結果を位置特定局404に送信したり、位置特定局404から基準電波生成指示を受信したり、基準局401から位置特定終了通知を受信したりする。
【0089】
(3)無線ノード
(3−1)無線ノードの構成
図26は、無線ノード402の構成を示すブロック図である。無線ノード402は、前記第1実施形態の検出局103に、切替部4210、変調部4211、送信部4212及び復調部4213を付加した構成を有している。ただし、通信ネットワーク405を介して通信するためのインターフェース機能は無線ノード402に設けられていない。図中、検出局103の構成要素131〜139と同様の機能を有する構成要素421〜424,426〜429については、同一の名称を付して示している。
【0090】
変調部4211は、基準電波f1で発振し、局部発信信号を出力する。送信部4212は、変調部4211から出力される信号を高周波増幅した送信信号を生成し、アンテナ426に供給する。復調部4213は、受信信号から得られる干渉信号SG422を復調データSG427に変換し、CPU421に出力する。
(3−2)CPUの機能
CPU421は、ROM422のプログラムに基づいて、干渉パターン解析処理及び通信処理を行う。干渉パターン解析処理では、前記第1実施形態の検出局103と同様に、干渉波Wy43,Wx43の粗密間隔を求める。
【0091】
通信処理では、要求に応じ、干渉パターン解析処理で求められた粗密間隔のデータが、それぞれX基準局406x,Y基準局406yに無線で送信される。具体的には、CPU421は、X基準局406xまたはY基準局406yからの要求を受信し、これを解釈し、要求に応じて干渉波Wy43,Wx43の測定結果を送信する。
測定結果を送信する場合、CPU421は、送信データSG425を生成し、変調部4211に出力する。送信データSG425は、変調部4211が生成する局部発信信号をキャリアとしてアンテナ426から送信される。なお、CPU421は、送受信切替信号SG428を切替部4210に出力し、アンテナ426の送信モードと受信モードをと切り替える。
【0092】
(4)位置検出システムの処理
図27a,bは、位置検出システム400が行う動作の流れの一例を示す説明図である。この例では、まず無線ノード402のx座標を求めるための干渉パターンを測定し、その後y座標を求めるための干渉パターンを測定する。
〔干渉波Wy43の測定及びx座標の特定〕
まず、位置特定局404は、操作者から位置検出開始の指示を受け付け(#401)、Y基準局406y及び基準局401にY電波生成指示を送信する(#402)。また、位置特定局404は、X基準局406xに、電波中継指示を送信する(#403)。
【0093】
Y基準局406y及び基準局401は、Y電波生成指示を受信すると、それぞれY電波Wy42及び基準電波W41の送信を開始する(#404,#405)。これにより、測定空間には干渉波Wy43が生成される。さらに基準局401は、無線ノード402に対し、干渉パターンの検出指示を送信する(#406)。
無線ノード402は、基準局401から干渉パターン検出指示を受信すると、干渉波Wy43の受信を開始する(#407)。無線ノード402は、受信した干渉波Wy43の受信信号を解析し、自ノードの位置での干渉波Wy43の粗密間隔を求め、基準局401及びX基準局406xに通知する(#408)。
【0094】
X基準局406xは、検出終了通知を無線ノード402から受信すると、測定結果の送信要求を無線ノード402に送信する(#409)。この要求を受けた無線ノード402は、X基準局406xに無線で送信する(#410)。X基準局406xは、受信した測定結果を、通信ネットワーク405を介して位置特定局404に伝送する(#411)。
位置特定局404は、無線ノード402での干渉波Wy43の測定結果に基づいて、無線ノード402のx座標を特定する(#412)。次いで、位置特定局404は、特定したx座標の値が正常か否かを判断し(#413)、判断結果を基準局401に伝送する(#414)。この判断は、得られたx座標が所定の範囲内か否かに基づいて行うことができる。
【0095】
基準局401は、正常な位置が算出されなかった場合、再度無線ノード402に対し、干渉パターン検出指示を伝送することにより、前記処理を繰り返す(#406〜#415)。正常な位置が算出された場合、基準局401は、X位置特定終了通知をY基準局406y及び位置特定局404に伝送し(#416)、基準電波W41の送信を停止する(#417)。一方、位置特定終了通知を受けたY基準局406yは、Y電波の送信を停止する(#418)。
【0096】
以上の処理により、無線ノード402の位置における干渉波Wy43の粗密間隔などを求め、求めた値に基づいて無線ノード402のx座標が特定される。
〔干渉波Wx43の測定及びy座標の特定〕
次に、X基準局406xとY基準局406yとは、互いの役割を逆にして上記#402〜#418の処理を行うことにより(#419〜#435)、無線ノード402の位置における干渉波Wx43の粗密間隔などを求め、求めた値に基づいて無線ノード402のy座標を決定する。最後に、位置特定局404は、無線ノード402の位置を、xy座標系などで表示する(#436)。
【0097】
以上により、無線ノード402のxy座標をそれぞれ特定することができる。x軸及びy軸に加え、z軸を有する測定空間においても、同様にxyz座標をそれぞれ特定することができる。
本実施形態の位置検出システム400では、前述の処理を無線ノード402毎に行うことで、測定空間に複数の無線ノード402が存在しても、複雑な通信プロトコルや同期処理を用いずに各無線ノード402の位置検出を行うことができる。
【0098】
<その他の実施形態>
(A)図28は、本発明の別の実施形態に係る位置検出システムの概念説明図である。この例では、位置検出システムを建物内の無線ノードの位置検出に適用している。図28において、建物の3辺にそってx,y,z軸がそれぞれ想定されている。基準局501は原点に位置している。無線ノード502は、建物内の任意の位置に位置している。X検出局503x、Y検出局503y及びZ検出局503zは、それぞれx、y、z軸上に位置している。このように構成された位置検出システムでは、x,y,z軸が定義された空間内で無線ノード502の位置に応じた干渉パターンを検出し、無線ノード502の位置を特定することができる。例えば、xy平面上での位置とyz平面上での位置とをそれぞれ求めることにより、図示しない位置特定局は、無線ノードの空間座標(x,y,z)を求めることができる。位置特定局は、前記参照パターンテーブルT141を拡張してZ軸干渉間隔もパラメータに加えたテーブルに基づいて、位置座標(x,y,z)を決定すればよい。位置特定局は、各検出局503x〜zから収集した干渉パターンを変数として予め定められた位置計算関数計算を実行することにより、位置座標(x,y,z)を決定しても良い。
【0099】
(B)図29は、本発明の別の実施形態に係る位置検出システムの検出局603の外観を示す説明図である。検出局603は、アクチュエータACTに搭載されている。アクチュエータACTはレールRL上を摺動可能に設けられている。レールRLを測定空間のx軸やy軸、z軸上に配置すれば、それらの軸上を検出局603が摺動することになる。検出局603は、例えば前記第1実施形態の位置検出システム100において、検出局103に代えて用いられる。このような構成では、検出局603がレールRL上を自走するので、干渉波が進行波である必要が無い。そのため、基準電波の基準周波数とノード電波の周波数とを等しく設定することができる。従って、より安価に基準局を構成することができる。
【0100】
図30は、本実施形態における検出局603の構成を示すブロック図である。検出局603は、前記第1実施形態の検出局103の構成に、駆動回路部6310を付加した構成を有している。図中、検出局103の構成要素131〜139と同様の機能を有する構成要素631〜639は、同一の名称を付して示している。CPU631は、駆動制御信号SG631によって駆動回路部6310を動作させ、アクチュエータ駆動信号SG632を生成する。アクチュエータ駆動信号SG632は、アクチュエータACTを駆動し、検出局603をレールRL上で摺動させる。
【0101】
本実施形態では、基準電波の基準周波数とノード電波の第2周波数とが等しく、干渉波が定常波となっても、検出局603が自走することによって定常波となった干渉波を次々に受信できる。そのため、相対的に干渉波の疎密部位が、移動局となった検出局603を次々と通過していくことになり、検出局603は干渉波の疎密間隔を検出することができる。なお、検出局603への電源やLANなどは、レールRLから接触方式で外部と接続しても良いし、検出局603の移動範囲内で余裕を持たせた長さのケーブルで接続しても良い。
【0102】
(C)図31は、本発明の別の実施形態における無線ノード702の構成を示すブロック図である。無線ノード702は、前記いずれの実施形態にも適用可能である。図31に示す無線ノード702は、前記第3実施形態の無線ノード302の構成(図20参照)に加え、着信検出部7211及び電源分配部7212をさらに有している。図中、無線ノード302の構成要素321〜3210と同様の機能を有する構成要素721〜7210は、同一名称を付して示している。
【0103】
着信検出部7211は、受信部729から出力された干渉信号SG725のレベルを監視することにより、図示しない基準局からの基準信号の着信を検出し、着信信号SG727を電源分配部7212に出力する。電源分配部7212は、電源である電池7213の出力PW3を切替制御する電力スイッチであり、電源PW4を出力する。
所定時間以上に無通信の状態が続いた場合、CPU721から電源分配部7212に対してスリープモード移行信号SG728が出力される。電源分配部7212は、スリープモード移行信号SG728の入力によって電源PW4を遮断し、無線ノード702をフル動作モードからスリープモードに移行させる。逆にスリープモードにおいて無線ノード702が基準信号を受信した場合、着信信号SG727に基づいて、電源分配部7212は電源PW4を出力する。これにより、無線ノード702は、スリープモードからフル動作モードに移行する。
【0104】
ここで、スリープモードとフル動作モードとについて説明する。電源PW3は電池7213の出力であって、常時電源を供給する電源線である。電源PW3は、電波受信に最低限必要な部位に常時電源を供給する。電波受信に最低限必要な部位とは、受信部729と切替部728と着信検出部7211と電源分配部7212とである。これら部位を用いて必要最低限の受信状態を維持することにより、無線ノード702は基準局からの信号を受信する。この状態をスリープモードと呼ぶ。一方、電源PW4は、電源PW3によって電源が供給されている部位以外の部位に供給されている。着信があった場合、着信検出部7211からの着信信号SG727によって電源分配部7212のゲートが開き、電源PW4のラインに電力が供給される。この作用により無線ノード702全体がすべて駆動する。この状態をフル動作モードと呼ぶ。
【0105】
本実施形態では、無線ノード702はスリープモード及びフル動作モードの2つの動作モードを有している。無線ノード702は、基準電波を受信している場合はフル動作モードで動作し、基準電波が停止して規定時間経過すれば低消費電力状態のスリープモードに入る。その後、基準局が基準電波の送信を再開した場合、無線ノードは再びフル動作モードへ移行する。このように無線ノード702は間欠動作を行うため、消費電力を抑え、電池7213の寿命を延ばすことができる。ひいては、位置検出システムのシステムライフも延びることになる。
【0106】
なお、着信検出部7211が復調データSG726に基づいて電源制御すれば、さらに正確な着信判定が可能になる。この場合、電源PW3の供給部位を復調部7210まで拡張する。しかし、一般的に、復調部7210は多くの動作電力を必要とするため、システムからの電池寿命要求との兼ね合いから着信検出精度を決定することが好ましい。
(D)図32は、本発明の別の実施形態における無線ノード802の構成を示すブロック図である。無線ノード802は、前記いずれの実施形態にも適用可能である。図32に示す無線ノード802は、前記第3実施形態の無線ノード302の構成(図20参照)に加え、充電回路部8211及び2次電池8212をさらに有している。図中、無線ノード302の構成要素321〜3210と同様の機能を有する構成要素821〜8210は、同一名称を付して示している。
【0107】
CPU821は、送受信切替信号SG729により切替部828を切り替えてアンテナ827を受信モードにしている時、充電開始信号SG821によって充電回路部8211を「ON」にする。充電回路部8211は、受信信号SG724を高周波電磁変換によって直流電流に変換し、2次電池8212への充電プロファイルを持つ充電のための電源PW5を出力する。電源PW5は2次電池8212を充電する。同時に、2次電池8212の出力は、電源PW6として無線ノード802の各ブロックに供給される。すなわち、無線ノード802が受信モードになって基準電波や干渉波を受信している場合、それら電波の電磁エネルギーを電流に変換して2次電池8212を常時充電する。逆に無線ノード802が送信モードになる場合、CPU821は充電開始信号SG821により充電回路部8211を「OFF」にする。これにより、電磁変換を中止し、2次電池8212の充電を停止する。この状態では、無線ノード802の各部は、2次電池8212の出力である電源PW6のみで駆動される。このような構成により、無線ノード802の電源を外部から供給できるため、電池不要あるいは電池交換不要の、メンテナンス性の優れた無線ノード802を構成できる。
【0108】
(E)前記第1実施形態〜第4実施形態においてさらに位置検出の精度を上げるために、測定空間内の既知の場所に補正無線ノードを設けても良い。この補正無線ノードのノード電波が生成する干渉波を用い、位置特定局の位置計算テーブルを補正して更新すれば、より正確な位置算出が可能となる。
また、前記実施形態では干渉波の粗密間隔を測定することによって干渉パターンを得ているが、干渉波包絡線の微分変化量を検出することにより干渉パターンを解析することも考えられる。
【0109】
前述の実施形態において、座標系の取り方は、特に限定されない。xy座標系やxyz座標系以外に、極座標系など、測定空間の形状に応じて様々な座標系を用いることができる。
(F)なお、各実施形態において、各周波数発振部には、シンセサイザーの他、共振周波数を電圧入力で可変できる水晶発振器(VCXO)などを用いても良い。
(G)なお、各実施形態において、電波の代わりに音波などの他の物理的波動を用いても、同様の作用、効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明の位置検出システムは、無線ノードや無線タグなどの電波を送信する物体の位置を検出するので、商品・人・動植物・ロボットなどあらゆる物体の位置の検出に適用可能である。また、センサーネットワークシステムなどアドホック通信技術を用いたシステムにも好適に適用可能である。さらに、屋内の物体だけでなく、屋外の物体の位置を検出する用途にも、広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の第1実施形態における位置検出システムの構成を示すブロック図
【図2】基準局の基準電波と、無線ノードのノード電波とが、空間に広がっていく様子を示す模式図
【図3】干渉波W13の干渉パターンの模式図
【図4】干渉波W13の干渉パターンの模式図(無線ノードが座標(x1,y1)にある場合)
【図5】干渉波W13の干渉パターンの模式図(無線ノードが座標(x2,y2)にある場合)
【図6】図1の基準局の構成を示すブロック図
【図7】図1の無線ノードの構成を示すブロック図
【図8】図1の検出局の構成を示すブロック図
【図9】図1の位置特定局の構成を示すブロック図
【図10】図1の位置特定局に記憶されている参照パターンテーブル1の一例を示す概念説明図
【図11】参照パターンテーブルT141の別の一例を示す説明図
【図12】位置検出システム全体が行う処理の流れの一例を示す説明図
【図13】第2実施形態に係る位置検出システムの構成を示す説明図
【図14】図13の基準局の構成を示すブロック図
【図15】図13の基準局が行う処理の流れの一例を示すフローチャート
【図16】第3実施形態に係る位置検出システムの構成を示す説明図
【図17】図16の位置検出システムの動作の概念説明図
【図18】図16の基準局の構成を示すブロック図
【図19】図16の基準局の動作及びスロット同期信号のデータフォーマットの一例を示す説明図
【図20】図16の無線ノードの構成を示すブロック図
【図21】図16の検出局の構成を示すブロック図
【図22】第4実施形態に係る位置検出システムの構成を示す説明図
【図23】図22の位置検出システムにおいて、無線ノードのx座標を求める場合の説明図
【図24】図22の位置検出システムにおいて、無線ノードのy座標を求める場合の説明図
【図25】図22のY基準局/X基準局の構成を示すブロック図
【図26】図22の無線ノードの構成を示すブロック図
【図27a】図22の位置検出システムが行う動作の流れの一例を示す説明図
【図27b】図22の位置検出システムが行う動作の流れの一例を示す説明図
【図28】その他の実施形態Aに係る位置検出システムの概念説明図
【図29】その他の実施形態Bに係る位置検出システムの検出局の外観を示す説明図
【図30】図29の検出局の構成を示すブロック図
【図31】その他の実施形態Cにおける無線ノードの構成を示すブロック図
【図32】その他の実施形態Dにおける無線ノードの構成を示すブロック図
【図33】特許文献1に記載のCell-ID検出法を示す説明図
【図34】特許文献2に記載の電界強度検出法(RSSI法)を示す説明図
【図35】特許文献3に記載のTDOA法を示す説明図
【符号の説明】
【0112】
100,200,300,400 位置検出システム
101,201,301,401 基準局
102,202,302,402 無線ノード
103,203,303 検出局
104,204,304,404 位置特定局
406x、406y X基準局、Y基準局
W11,W21,W31,W41 基準電波
W12,W22,W32 ノード電波
Wx42、Wy42 X電波、Y電波
W13,W23,W33,W43 干渉波

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の基準周波数を有する基準電波を送信する基準電波送信手段と、
前記基準周波数とは異なる周波数を有する第2電波を送信する第2電波送信手段と、
前記基準電波と前記第2電波との干渉波を受信し、前記干渉波の干渉パターンを検出する干渉波検出手段と、
前記干渉波検出手段が検出した前記干渉パターンに基づいて、前記第2電波送信手段または干渉波検出手段の位置を特定する位置特定手段と、
を備えることを特徴とする位置検出システム。
【請求項2】
前記基準電波送信手段は、
前記第2電波を受信する受信部と、
前記受信部が受信した第2電波に、前記基準電波を加算し合成波を生成するミキサと、を備え、
前記ミキサが生成した合成波に基づいて、前記基準周波数を調節することを特徴とする、請求項1に記載の位置検出システム。
【請求項3】
前記第2電波送信手段が複数設けられており、
前記基準電波送信手段は、各第2電波送信手段を識別する第2電波識別子のいずれかを含むスロット同期信号を繰り返し送信し、送信する毎にスロット同期信号に含まれる前記第2電波識別子を更新し、
前記第2電波送信手段のそれぞれは、自端末の第2電波識別子を記憶し、前記スロット同期信号に含まれる前記第2電波識別子と自端末の第2電波識別子とが一致する場合、前記第2電波を送信することを特徴とする、請求項1に記載の位置検出システム。
【請求項4】
前記スロット同期信号には、前記第2電波の送信終了条件が含まれており、
前記第2電波送信手段のそれぞれは、前記送信終了条件に基づいて、前記第2電波の送信を終了することを特徴とする、請求項3に記載の位置検出システム。
【請求項5】
前記干渉波検出手段は少なくとも2つ設けられており、
前記少なくとも2つの干渉波検出手段は、前記基準電波送信手段を交点として交差している少なくとも2つの軸上に、それぞれ1ずつ位置しており、
前記位置特定手段は前記第2電波送信手段の位置を特定することを特徴とする、請求項1に記載の位置検出システム。
【請求項6】
前記基準電波送信手段を交点として交差している2つの軸上のそれぞれに、第1の第2電波送信手段と第2の第2電波送信手段とがそれぞれ位置しており、
前記干渉波検出手段は、前記2つの軸で定まる平面上に位置しており、
前記位置特定手段は、前記第1の第2電波送信手段が送信する第2電波及び前記基準電波の干渉波の干渉パターンと、前記第2の第2電波送信手段が送信する第2電波及び前記基準電波の干渉波の干渉パターンと、に基づいて、前記干渉波検出手段の位置を特定することを特徴とする、請求項1に記載の位置検出システム。
【請求項7】
所定の基準周波数を有する基準電波を、第1無線端末から送信するステップと、
前記基準周波数とは異なる周波数を有する第2電波を、第2無線端末から送信するステップと、
前記基準電波と前記第2電波との干渉波を第3無線端末で受信し、前記干渉波の干渉パターンを検出するステップと、
前記検出した前記干渉パターンに基づいて、前記第2電波を送信した第2無線端末または前記干渉パターンを検出した第3無線端末の位置を特定するステップと、
を含むことを特徴とする位置検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27a】
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【図27b】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2007−113966(P2007−113966A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−303672(P2005−303672)
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】