説明

位置検出装置及び電子機器

【課題】より小型化した位置検出装置及び電子機器を実現する。
【解決手段】駆動軸23の軸線方向に沿って移動が可能な玉枠4があって、その玉枠4を移動枠3などを介して移動可能に支持するフレーム1に対する玉枠4の位置を検出する場合に、玉枠4が駆動軸23と係合する第二のスライダ部4bに磁石52を備え、その磁石52の位置変化を検知する磁気センサ62をフレーム1に備えることによって、フレーム1に対する玉枠4の位置を検出する位置検出装置40の小型化を図ることを可能にした。
また、小型化した位置検出装置40を備える携帯電話機100の小型化も可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出装置及びその位置検出装置を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像装置において、被写体像が結像される撮像素子と、その撮像素子に被写体像を導く光学部材とを相対的に移動させて手振れ補正を行う手振れ補正装置が利用されている。
その手振れ補正装置において、撮像素子と光学部材が相対移動した変位量を、磁石と磁気センサからなる位置検出機構によって検出する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
例えば、図7(a)(b)に示すカメラユニット400の場合、フレーム7に対して、図中左右方向に延在するX方向駆動軸83に沿って摺動可能な移動枠8と、移動枠8に対して、図中上下方向に延在するY方向駆動軸93に沿って摺動可能な玉枠9と、を備えており、フレーム7に配設されている撮像素子6に対して玉枠9の中央孔9hに配設されているレンズ5をX方向とY方向に移動可能としている。
そして、移動枠8に配設されている磁石51のX方向の移動をフレーム7に配設されている磁気センサ61によって検出し、また、玉枠9に配設されている磁石52のY方向の移動をフレーム7に配設されている磁気センサ62によって検出するようになっている。
【特許文献1】特開2005−333181号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術の場合、玉枠9に磁石52を配設可能な突片9aが設けられていたが、近年のカメラユニットの小型化に伴い、その突片9aのように突出した部分を削減して、カメラユニットの平面的な大きさの縮小を図らなければならないことがあった。
また、カメラユニットの小型化を図りつつ、カメラを高機能化するニーズ(例えば、オートフォーカス機能の付加)も高まりつつある。
【0005】
本発明の目的は、より小型化した位置検出装置及び電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
軸部に対して、その軸部の軸線方向に移動が可能な可動部と、
前記可動部を、前記軸部を介して移動可能に支持する支持部と、を備える位置検出装置であって、
前記可動部は、前記軸部と係合する係合部と、その係合部に備えられる位置基準部と、を備え、
前記支持部は、前記位置基準部の位置の変化を検知する位置検知部を備え、
前記位置検知部により検知された前記位置基準部の位置変化に応じて、前記支持部に対する前記可動部の位置を検出することを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の位置検出装置において、
前記支持部には、被写体像が結像される撮像素子が備えられ、
前記可動部には、前記撮像素子に被写体像を導く光学部材が備えられていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の位置検出装置において、
前記位置基準部は、磁石であって、
前記位置検知部は、前記磁石の磁気を検知する磁気センサであることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の位置検出装置において、
前記光学部材は、略矩形の玉枠と、その玉枠に収容されるレンズからなり、
前記レンズの外周と、前記玉枠の内周との間に生じる空間に、前記レンズを光軸方向へ移動させるレンズ駆動機構が備えられていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の位置検出装置において、
前記レンズ駆動機構は、少なくとも圧電素子を駆動源として有し、さらに当該レンズ駆動機構により移動される前記レンズの位置を検出するレンズ位置検出手段を前記空間に備えることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の位置検出装置において、
前記レンズ駆動機構は、前記レンズを光軸方向に移動させて、前記撮像素子に対するフォーカシング(焦点合わせ)を行うことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、電子機器であって、
請求項1〜6の何れか一項に記載の位置検出装置を、機器本体内に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、所定の軸部の軸線方向に沿って移動が可能な可動部があって、その可動部を移動可能に支持する支持部に対する可動部の位置を検出する場合に、可動部が軸部と係合する係合部に位置基準部を備え、その位置基準部の位置変化を検知する位置検知部を支持部に備えることによって、支持部に対する可動部の位置を検出する位置検出装置の小型化を図ることができる。
つまり、可動部が軸部に沿って移動するために、可動部は軸部と摺接するように係合する係合部を備えているので、その係合部に位置基準部を備えるようにすれば、可動部に位置基準部を備えるために配置スペースを広げざるを得なかった余分な部分を削減したり、可動部に位置基準部を備えるためだけに設けた不要な部分を削減したりすることができ、可動部を小型化することができる。
そして、その可動部の小型化に応じて位置検出装置の小型化を図ることができる。
【0014】
また、小型化した位置検出装置を備える電子機器についても、その位置検出装置に応じた小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図を参照して、本発明に係る位置検出装置及びその位置検出装置を備える電子機器の実施形態を詳細に説明する。本実施形態では、電子機器として携帯電話機を例に挙げて説明する。なお、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0016】
携帯電話機100は、図1(a)(b)に示すように、機器本体内に撮像ユニットであるカメラユニット200を備え、被写体を撮像する機能を有する電話機である。
この携帯電話機100は、電話機の背面側にカメラユニット200が配されており、その背面側を被写体に向けるようにしてカメラユニット200で捉えた被写体像を、電話機の正面側に配設されている液晶画面101に表示可能としており、その液晶画面101に表示される被写体像を確認して、所望する被写体の撮像を行うようになっている。
【0017】
カメラユニット200は、図2、図3(a)(b)に示すように、略箱状のフレーム1と、そのフレーム1の上部開口を塞ぐ略平板状のカバー2とを備えて略筐体形状を呈している。そして、この筐体の内部は中空になっており、この中空部分に光学部材であるレンズ5や、レンズ5を移動させる移動機構等を収容するようになっている。
なお、フレーム1の底面の中央側には、レンズ5によって被写体像が結像されるCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)などの撮像素子6が備えられており、カバー2の略中央側にはレンズ5や撮像素子6の位置に対応する開口2hが形成されている。
【0018】
そして、カメラユニット200は、図3(a)(b)に示すように、支持部としてのフレーム1と、フレーム1に取り付けられているカバー2と、フレーム1と第一の駆動装置10を介して接続される移動枠3と、移動枠3と第二の駆動装置20を介して接続される玉枠4と、玉枠4に取り付けられている光学部材としてのAFレンズユニット500のレンズ5等を備えている。なお、玉枠4は、AFレンズユニット500における光学部材の一部をなしている。
【0019】
フレーム1は、樹脂成形されてなるケース体であって、その底面に撮像素子6が備えられており、その撮像素子6の上方が、カバー2が取り付けられる上部開口となっている。
また、フレーム1は、フレーム1の側面壁の内面から、フレーム1の底面と略平行に延在する一対の軸保持部1a、1aを備えている。この一対の軸保持部1a、1aは、フレーム1の一の側面から略垂直に立設するようにフレーム1と一体に成形されて設けられている。なお、一対の軸保持部1a、1aには、後述する駆動軸13が挿通される貫通孔が形成されている。
カバー2は、樹脂成形されてなる蓋体であって、フレーム1の上部開口を塞いで覆うカバー部材である。
【0020】
第一の駆動装置10は、図示しない圧電素子と駆動軸13等で構成されるSIDM(登録商標)と、駆動軸13に係合する係合部である第一スライダ部3bと、を備えている。
SIDM(Smooth Impact Drive Mechanism)は、電圧が印加されることに応じて伸縮する圧電素子に固定された駆動軸13を、往復移動させるアクチュエータである。なお、SIDM(登録商標)の構成は従来公知のものと同様であるので、ここでは詳述しない。
【0021】
駆動軸13は、例えば、カーボン樹脂やエポキシ樹脂からなり、SIDMの圧電素子の伸縮動作に連動してその軸線方向に往復動する軸部であり、一対の軸保持部1a、1aの貫通孔に挿通されて掛け渡されている。
【0022】
第一スライダ部3bは、移動枠3と一体に形成されており、移動枠3の外側に突出するように設けられている。
この第一スライダ部3bは、駆動軸13に摩擦力で係合するとともに、SIDMの圧電素子の伸縮動作により駆動軸13に対してその軸線方向に相対的な移動が可能となっている。
【0023】
この第一の駆動装置10において、SIDMの圧電素子をゆっくり伸ばしたり縮めたりすると、駆動軸13はゆっくりとした移動(往復動)を行うので、駆動軸13に好適な摩擦力で係合している第一スライダ部3bは、その摩擦によって駆動軸13とともにその軸方向に移動する。
一方、SIDMの圧電素子を急速に伸ばしたり縮めたりすると、駆動軸13は素早い移動(往復動)を行うので、駆動軸13に好適な摩擦力で係合している第一スライダ部3bは慣性のために滑り、ほぼその位置にとどまることとなる。
なお、SIDM(登録商標)の動作は従来公知のものと同様であるので、ここでは詳述しない。
【0024】
移動枠3は、4つの面部を有し略ロ字形状を呈する枠体であって、移動枠3の一の面部から外側に突出するように形成されている第一スライダ部3bと、その第一スライダ部3bと同じ方向に突出している突片3cと、その第一スライダ部3aが設けられている隣の面部から内側に向かって延在するように形成されている一対の軸保持部3a、3aと、を備えている。この一対の軸保持部3a、3aには、後述する駆動軸23が挿通される貫通孔が形成されている。
この移動枠3は、第一の駆動装置10によって、駆動軸13の軸方向(X軸方向)に移動が可能な可動部である。
【0025】
玉枠4は、その内側に中央孔4hが形成されている枠体であって、その中央孔4hにレンズ5を備えるAFレンズユニット500が嵌め込まれて備えられている。
また、玉枠4は、玉枠4の外面から移動枠3の一対の軸保持部3a、3a側に向かって突出するように形成されている第二スライダ部4bを備えている。
この玉枠4は、第二の駆動装置20によって、後述する駆動軸23の軸方向(Y軸方向)に移動が可能な可動部である。
【0026】
第二の駆動装置20は、図示しない圧電素子と駆動軸23等で構成されるSIDM(登録商標)と、駆動軸23に係合する係合部である第二スライダ部4bと、を備えている。
SIDM(Smooth Impact Drive Mechanism)は、電圧が印加されることに応じて伸縮する圧電素子に固定された駆動軸23を、往復移動させるアクチュエータである。なお、SIDM(登録商標)の構成は従来公知のものと同様であるので、ここでは詳述しない。
【0027】
駆動軸23は、例えば、カーボン樹脂やエポキシ樹脂からなり、SIDMの圧電素子の伸縮動作に連動してその軸線方向に往復動する軸部であり、一対の軸保持部3a、3aの貫通孔に挿通されて掛け渡されている。
【0028】
第二スライダ部4bは、玉枠4と一体に形成されており、玉枠4の外側に突出するように設けられている。
この第二スライダ部4bは、駆動軸23に摩擦力で係合するとともに、SIDMの圧電素子の伸縮動作により駆動軸23に対してその軸線方向に相対的な移動が可能となっている。
【0029】
この第二の駆動装置20において、SIDMの圧電素子をゆっくり伸ばしたり縮めたりすると、駆動軸23はゆっくりとした移動(往復動)を行うので、駆動軸23に好適な摩擦力で係合している第二スライダ部4bは、その摩擦によって駆動軸23とともにその軸方向に移動する。
一方、SIDMの圧電素子を急速に伸ばしたり縮めたりすると、駆動軸23は素早い移動(往復動)を行うので、駆動軸23に好適な摩擦力で係合している第二スライダ部4bは慣性のために滑り、ほぼその位置にとどまることとなる。
なお、SIDM(登録商標)の動作は従来公知のものと同様であるので、ここでは詳述しない。
【0030】
AFレンズユニット500は、図3から図5に示すように、レンズ5を収容する筐体510と、レンズ5を光軸Z方向に駆動するレンズ駆動機構であるレンズ駆動装置520等を備えている。
【0031】
筐体510の内部には、光軸Z方向(被写体側)から見て略矩形をなす所定の内部空間が形成されており、この内部空間内に、光軸Z方向から見て略円形のレンズ5を保持した移動部材525が収納されている。また、筐体510の内部には、光軸Z方向におけるレンズ5の位置を検出するための磁気センサ560が設けられている。なお、本実施形態では、レンズ位置検出手段の一部である磁気センサ560としてホール素子が採用されており、光軸Z方向に対する移動部材525の移動に基づき、その移動部材525に備えられているレンズ位置検出手段の一部である磁石561の磁場の変化により、光軸Z方向におけるレンズ5の位置が検出される。
【0032】
レンズ駆動装置520は、図4、図5に示すように、レンズ5を光軸Z方向に移動可能に保持する移動部材525と、光軸Z方向に沿って設けられその移動部材525と摩擦係合する駆動軸523、この駆動軸523を軸線方向に駆動することで移動部材525を光軸Z方向に駆動する電気機械変換素子としての圧電素子522、この圧電素子522の一端を固定する固定部材521、の3部材を当該記載順に接合してなる本体部524と、を備えている。このレンズ駆動装置520は、圧電素子522の急峻な体積変化と移動部材525の慣性と摩擦力とを利用した超小型のリニアアクチュエータすなわちSIDM(登録商標)であり、AFレンズユニット500においてレンズ5を光軸Z方向に駆動するズーム機能(AF機能)の駆動源として機能する。
【0033】
具体的に、レンズ駆動装置520は、その本体部524が、図3に示す筐体510内における左下部に配設され、駆動軸523の軸線方向がレンズ5の光軸Zと平行に設けられている。
移動部材525には、一端部532が駆動軸523に当接されるレバー530と、その一端部532が駆動軸523側に押圧されるようにレバー530の他端部533を付勢するコイルばね540と、が搭載されている。
【0034】
レバー530は、移動部材525に保持されて筐体510内の左下部から右下部にかけて延在しており、その一端部531が駆動軸523に当接し、他端部533が圧縮ばねであるコイルばね540に当接している。また、レバー530は、長手方向の中間部が正面視にて筐体510の外側に向けてやや凸状に曲成され、その曲成部の頂点に支点531を有している。そして、レバー530は、コイルばね540により他端部533が常に筐体510の内壁側に向け付勢されることで、一端部532が常に駆動軸523側に付勢されるようになっている。
【0035】
かかる移動部材525は、コイルばね540により他端部533が付勢されたレバー530の一端部532との間に駆動軸523を挟み込むように摩擦係合しており、圧電素子522の伸縮によって駆動軸523が光軸Z方向に振動した際に、駆動軸523上のいずれか一方向に滑り移動されることで、レンズ5に光軸Z方向に沿う移動力を付与するようになっている。なお、移動部材525には、図示しないシャッタ駆動装置(光量制御駆動装置)により駆動されるシャッタユニット(光量制御装置)が固定されている。
【0036】
ここで、駆動軸523及びこの駆動軸523と摩擦係合する移動部材525の構成について、さらに詳しく説明する。
本実施形態における駆動軸523は、例えば、図3から図5に示すように、光軸Z方向視にて断面形状が四角形(多角形)をなし、この駆動軸523と摺動自在に嵌合する移動部材525の嵌合部527もまた、光軸Z方向視にて駆動軸523と同形の四角形をなしている。
具体的に、駆動軸523は、光軸Z方向に沿って略四角柱状に延在しており、嵌合部527はその駆動軸523における一方の角部と合致する端面形状を有している。更に、駆動軸523と摩擦係合するレバー530の一端部532は、略V字上に曲成されていて、コイルばね540の付勢力により駆動軸523側に押圧された際に、その駆動軸523における上記一方の角部と逆側に位置する他方の角部に合致するようにして当接されるようになっている。
つまり、駆動軸523は、軸線方向断面が少なくとも2以上の異なる外径を有する形状をなしており、移動部材525に設けられた嵌合部527は、駆動軸523の軸線方向断面形状と同一形状をなし、その駆動軸523と摺動自在に嵌合するようになっている。
【0037】
このAFレンズユニット500において、レンズ駆動装置520がレンズ5を光軸Z方向に移動させることによって、レンズ5による撮像素子6への焦点合わせを自動的に行うオートフォーカス機能が実行される。
なお、AFレンズユニット500におけるオートフォーカスに関する動作は従来公知のものと同様であるので、ここでは詳述しない。
【0038】
このような構成のカメラユニット200において、フレーム1に取り付けられている第一の駆動装置10は、第一スライダ部3bを、一の方向であるX軸方向に摺接移動可能としており、その第一スライダ部3bをX軸方向に摺動させることにより、移動枠3を介して玉枠4をX軸方向に移動させることで、AFレンズユニット500のレンズ5をX軸方向に移動させてその位置を調整することができる。
また、移動枠3に取り付けられている第二の駆動装置20は、第二スライダ部4bを、X軸方向と直交するY軸方向に摺接移動可能としており、その第二スライダ部4bをY軸方向に摺動させることにより、玉枠4を相対的にY軸方向に移動させることで、AFレンズユニット500のレンズ5をY軸方向に移動させてその位置を調整することができる。
つまり、第一の駆動装置10は駆動軸13が延在するX軸方向にレンズ5を移動させ、第二の駆動装置20は駆動軸23が延在するY軸方向にレンズ5を移動させることができる。
そして、第一の駆動装置10と移動枠3と第二の駆動装置20と玉枠4とを有する移動機構は、レンズ5をフレーム1の底面に沿うように移動させることが可能になっている。
【0039】
次に、カメラユニット200に備えられているAFレンズユニット500のレンズ5の位置検出装置について説明する。
【0040】
図3(a)(b)に示すように、移動枠3の突片3cの下面側には、位置基準部である磁石51が配設されている。
その磁石51に対向するフレーム1の底面には、磁石51の磁気を検知することで、磁石51の位置の変化を検知する位置検知部である磁気センサ61が、その磁石51に対応するように配設されている。
また、図3(a)(b)に示すように、玉枠4の第二スライダ部4bの下面側には、位置基準部である磁石52が配設されている。
その磁石52に対向するフレーム1の底面には、磁石52の磁気を検知することで、磁石52の位置の変化を検知する位置検知部である磁気センサ62が、その磁石52に対応するように配設されている。
【0041】
磁気センサ61、62は、例えば、ホール素子を備えており、磁石51、52の磁気や磁界を検知するセンサであり、検知した磁石の磁気量を電気量に変換して、検知した磁石の磁界を電気信号として出力することを可能にしている。
【0042】
そして、第一の駆動装置10によって移動枠3が図中左右方向であるX軸方向に移動されることに伴い、移動枠3とともにX軸方向に移動する磁石51の位置変化を磁気センサ61が検知することに応じて、フレーム1に対する移動枠3の相対的な移動方向や移動量を検出して、位置検出装置30は、移動枠3の位置を検出することができるようになっている。
また、第二の駆動装置20によって玉枠4が図中上下方向であるY軸方向に移動されることに伴い、玉枠4とともにY軸方向に移動する磁石52の位置変化を磁気センサ62が検知することに応じて、フレーム1に対する玉枠4の相対的な移動方向や移動量を検出して、位置検出装置40は、玉枠4の位置を検出することができるようになっている。
なお、磁気センサ61、62が、磁石51、52の位置変化を検知することに応じて、磁石が配設されている移動枠3や玉枠4の位置を検出する技術は、従来公知であるので、ここでは詳述しない。
【0043】
つまり、フレーム1に対して駆動軸13の軸線方向に移動する移動枠3と、移動枠3に配設される磁石51と、磁石51の磁気を検知する磁気センサ61とによって、フレーム1に対する移動枠3の位置を検出し、フレーム1の撮像素子6に対するレンズ5の相対的な位置を検出可能な位置検出装置30が構成されるようになっている。
また、フレーム1に対して駆動軸23の軸線方向に移動する玉枠4と、玉枠4に配設される磁石52と、磁石52の磁気を検知する磁気センサ62とによって、フレーム1に対する玉枠4の位置を検出し、フレーム1の撮像素子6に対するレンズ5の相対的な位置を検出可能な位置検出装置40が構成されるようになっている。
【0044】
特に、この位置検出装置40は、駆動軸23と係合する係合部である第二スライダ部4bに磁石52を備え、その磁石52の磁気を検知する磁気センサ62をフレーム1に備える構成をとっており、本発明に係る位置検出装置を成している。
具体的には、位置検出装置40において、第二スライダ部4bに磁石52を備えることによって、玉枠4の平面的なサイズを縮小するように、突片などの突出した部分を削減して、玉枠4の小型化を可能にしている。つまり、玉枠4の小型化によって、位置検出装置40が小型化されている。
そして、位置検出装置40は、駆動軸23と係合する第二スライダ部4bに磁石52を備えることによって、玉枠4のサイズを従来技術のカメラユニット400(図7参照)の玉枠9のサイズより小さくすることを実現している。
この玉枠4を小型化したことにより、カメラユニット200の図中縦方向の長さWを従来技術のカメラユニット400の長さWより短くするように、カメラユニット200を小型化することができる。
【0045】
このように、カメラユニット200に備えられている第一の駆動装置10と第二の駆動装置20によって、カメラユニット200におけるAFレンズユニット500のレンズ5を直交する2方向に移動可能としている。そして、このカメラユニット200は、第一の駆動装置10と第二の駆動装置20の協働によってレンズ5を任意の方向に移動させて撮像素子6に被写体像を導くことができるので、ユーザが保持する携帯電話機100(カメラ)のずれやぶれを相殺するようにレンズ5を移動させることで、被写体の撮像時に手振れ補正を行うことを可能としている。
特に、フレーム1(撮像素子6)に対するレンズ5のXY方向の相対的な位置を検出可能な位置検出装置30と位置検出装置40を備えているので、手振れ補正をより正確に行うことを可能にしている。なお、レンズ5を移動させる第一の駆動装置10、第二の駆動装置20と、レンズ5の位置を検出する位置検出装置30、位置検出装置40との協働による手振れ補正に関する動作や処理は従来公知のものと同様であるので、ここでは詳述しない。
【0046】
また、AFレンズユニット500におけるレンズ駆動装置520がレンズ5を光軸Z方向に移動させることによって、レンズ5による撮像素子6への被写体像の焦点合わせを自動的に行うオートフォーカスが可能となるとともに、そのAFレンズユニット500における磁気センサ560による磁石561の磁場検出に応じて、光軸Z方向に対するレンズ5の位置の検出を行うことができるので、オートフォーカスの精度を良好に制御することができる。
特に、AFレンズユニット500において、レンズ5を光軸Z方向に移動させる機構として、圧電素子522を用いたレンズ駆動装置520を適用することによって、そのレンズ駆動装置520(固定部材521、圧電素子522、駆動軸523等)や、レバー530、コイルばね540、磁気センサ560、磁石561などを、角型鏡胴である玉枠4の中央孔4hとレンズ5との隙間などの空間に配置させることが可能になるので、その玉枠4を大型化することなく、カメラユニット200にAFレンズユニット500を備えて、そのカメラユニット200にオートフォーカス機能を付加することができる。
【0047】
以上のように、このカメラユニット200は、本発明に係る位置検出装置40を備えることによって、小型化された玉枠4に応じた小型化が図られている。
特に、このカメラユニット200を小型化しても、手振れ補正機能やオートフォーカス機能を有するカメラユニットとすることができる。
そして、小型化されたカメラユニット200に応じて、カメラユニット200を備える携帯電話機100の小型化を行うことができる。
【0048】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、図6に示すカメラユニット300のように、カメラユニット200における移動枠3の突片3cを削減した移動枠33を備えるカメラユニット300であっても、同様の小型化を図ることができる。
【0049】
このカメラユニット300における移動枠33の第一スライダ部3bの下面側に磁石51が配設されており、その磁石51に対応するようにフレーム1の底面に磁気センサ61が配設されるようになっている。
そして、駆動軸13と係合する係合部である第一スライダ部3bに磁石51を備え、その磁石51の磁気を検知する磁気センサ61をフレーム1に備える構成をとることによって、本発明に係る位置検出装置50を成している。
つまり、フレーム1に対して駆動軸13の軸線方向に移動する移動枠33と、移動枠33に配設される磁石51と、磁石51の磁気を検知する磁気センサ61とによって、フレーム1に対する移動枠33の位置を検出し、フレーム1に対するレンズ5の相対的な位置を検出可能な位置検出装置50が構成されるようになっている。
【0050】
この位置検出装置50において、第一スライダ部3bに磁石52を備えることにより、移動枠33の平面的なサイズを縮小するように、突片などの突出した部分を削減して、移動枠33の小型化を可能にしている。つまり、移動枠33の小型化によって、位置検出装置50が小型化されている。
また、位置検出装置50において、カメラユニット200における移動枠3の突片3c(図3参照)を削減して、移動枠33の小型化を図ったことにより、フレーム1内にスペースを確保することができるので、新たな構成や部材を配設することを可能にしたり、既存の構成や部材の配置の自由度を上げたりすることができるようになる。
【0051】
特に、図6に示すように、カメラユニット300のフレーム1における図中右上部分を切り欠いた形状にすることによって、その切欠部分を携帯電話機100に対する位置決め基準とすることが可能になる。
つまり、そのカメラユニット300の切欠部分を携帯電話機100内の所定位置に突き合わせるように、カメラユニット300を携帯電話機100に組み付けることで、その組み付け作業時の位置合わせを容易に行うことができることとなって、その携帯電話機100の生産性を向上させることが可能になる。
【0052】
なお、以上の実施の形態においては、カメラユニット200、300を備える電子機器として携帯電話機100を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、PDA等のモバイル機器など、任意の電子機器に本発明を適用してもよい。
【0053】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】携帯電話機を示す正面図(a)と、背面図(b)である。
【図2】カメラユニットを示す斜視図である。
【図3】図2のIIIa−IIIa線におけるカメラユニットの断面図(a)と、図3(a)のb−b線における断面図である。
【図4】AFレンズユニットを示す要部拡大図である。
【図5】AFレンズユニットの要部構成を示す斜視図である。
【図6】本発明におけるカメラユニットの変形例を示す断面図である。
【図7】従来のカメラユニットを示す断面図(a)と、図7(a)のb−b線における断面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 フレーム(支持部)
1a 軸保持部
2 カバー
3、33 移動枠(可動部)
3a 軸保持部
3b 第一スライダ部(係合部)
4 玉枠(可動部)
4b 第二スライダ部(係合部)
4h 中央孔(空間)
5 レンズ(光学部材)
500 AFレンズユニット(光学部材)
520 レンズ駆動装置(レンズ駆動機構)
521 固定部材
522 圧電素子
523 駆動軸
560 磁気センサ(レンズ位置検出手段)
561 磁石(レンズ位置検出手段)
6 撮像素子
10 第一の駆動装置
13 駆動軸(軸部)
20 第二の駆動装置
23 駆動軸(軸部)
51、52 磁石(位置基準部)
61、62 磁気センサ(位置検知部)
40、50 位置検出装置
100 携帯電話機(電子機器)
200、300 カメラユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部に対して、その軸部の軸線方向に移動が可能な可動部と、
前記可動部を、前記軸部を介して移動可能に支持する支持部と、を備え、
前記可動部は、前記軸部と係合する係合部と、その係合部に備えられる位置基準部と、を備え、
前記支持部は、前記位置基準部の位置の変化を検知する位置検知部を備え、
前記位置検知部により検知された前記位置基準部の位置変化に応じて、前記支持部に対する前記可動部の位置を検出することを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
前記支持部には、被写体像が結像される撮像素子が備えられ、
前記可動部には、前記撮像素子に被写体像を導く光学部材が備えられていることを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記位置基準部は、磁石であって、
前記位置検知部は、前記磁石の磁気を検知する磁気センサであることを特徴とする請求項1又は2に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記光学部材は、略矩形の玉枠と、その玉枠に収容されるレンズからなり、
前記レンズの外周と、前記玉枠の内周との間に生じる空間に、前記レンズを光軸方向へ移動させるレンズ駆動機構が備えられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の位置検出装置。
【請求項5】
前記レンズ駆動機構は、少なくとも圧電素子を駆動源として有し、さらに当該レンズ駆動機構により移動される前記レンズの位置を検出するレンズ位置検出手段を前記空間に備えることを特徴とする請求項4に記載の位置検出装置。
【請求項6】
前記レンズ駆動機構は、前記レンズを光軸方向に移動させて、前記撮像素子に対するフォーカシングを行うことを特徴とする請求項4又は5に記載の位置検出装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載の位置検出装置を、機器本体内に備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−92593(P2009−92593A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−265610(P2007−265610)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】