説明

位置表示灯付スイッチ

【課題】スイッチのオンオフに応じて選択的に照明器具を点灯させる位置表示灯付スイッチを提供する。
【解決手段】照明点灯回路において、位置表示灯付スイッチ14の入力端子0は電源Eに接続し、出力端子1は負荷Lに接続され、電源Eに接続される第三の端子3を備える。第三の端子3は、表示灯点灯電流Iを出力する補助端子である。入力端子0と第三の端子3の間には入力端子0と出力端子1の間の電流経路と異なる補助電流経路20が設けられ、補助電流経路20には表示手段22およびスイッチング手段26が設けられている。電位差判定手段24が入力端子0と出力端子1の間の電位差を検知したとき、スイッチング手段26が導通し、表示手段22が起動する。位置表示灯付スイッチ14では、スイッチS1がオフされると、表示手段22が起動し位置表示灯が点灯するが、表示灯点灯電流Iが負荷Lへ流入しないため、確実に照明器具を消灯できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の低圧電路に施設されるスイッチ(点滅器)のうち、当該スイッチの開路時に当該スイッチの操作ツマミを照光表示する位置表示灯付スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(以下、「LED」と記載する。)は、低消費電力、長寿命かつ小型であることから、現在多数の電子機器に利用されている。近年、二酸化炭素排出量の削減のため製造が中止されている白熱電球に代わる照明器具としてLED電球が急速に普及している。
【0003】
位置表示灯付スイッチ(いわゆる蛍スイッチ)は、当該スイッチの開路時に当該スイッチの操作ツマミを内部より照光させる発光素子を備えるものであり、該発光素子としてネオン管が多用されている。建物の照明スイッチとして当該スイッチを施設した場合、照明器具が点灯されると位置表示灯は消え、照明器具が消えると位置表示灯が点灯される。したがって、暗いところでも照明器具のスイッチの設置場所が分かることから、店舗・住宅等において広く利用されている。
【0004】
図4は、従来から広く利用されている位置表示灯付スイッチを用いた照明点灯回路の図である。なお、図4では、スイッチはオフであり、ネオン管が点灯している状態を表すものである。
図4の位置表示灯付スイッチ10において、入力端子1は商用交流電源E(AC100V)に接続され、出力端子2は負荷L(照明器具)に接続されている。入力端子1と出力端子2の間の電流経路12には、スイッチS1と、ネオン管NL及び抵抗R1とが並列に設けられている。スイッチS1をオフにすると、ネオン管NLに電流I(以下、「表示灯点灯電流」という。)が流れ点灯する。このとき、表示灯点灯電流Iは、負荷Lにも流れるが、照明器具たる負荷Lには従来白熱電球または蛍光灯が使用されており、0.3mA程度の表示灯点灯電流Iが流れても点灯には至らなかった。
【0005】
しかし、近年は負荷Lに省エネ形ランプを使用したいという利用者の要望があり、図4の負荷LにLED照明器具やLED電球を使用されることが多くなっている。LED照明器具やLED電球は、0.3mA程度の表示灯点灯電流Iが流れると微少点灯するものがある。そのため、スイッチS1をオフにしても照明器具(負荷L)が消えないという問題が起こっていた。
そこで、従来、上記問題を解消する位置表示灯付スイッチ及びこれを用いた照明ユニットが提案されている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−295463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の位置表示灯付スイッチは、三路スイッチを片切スイッチに転用し、スイッチをオフにした際に表示灯点灯電流が照明器具に流れないようにしたものである。これにより、スイッチがオフ時に照明器具が消えないという問題を解消できる。
しかし、上記位置表示灯付スイッチは、三路スイッチを片切スイッチに転用するものであることから、当該三路スイッチは本来の目的である複数箇所からの照明器具点滅に使用できないという欠点があった。
また、特許文献1の位置表示灯付スイッチでは、0.3mA程度と微弱な表示灯点灯電流を、大容量(例えば15A定格)の主回路接点で開閉する構成であるため、経年で接点表面に酸化被膜が形成されると容易に接触不良を起こし、開閉時のスパークによる酸化被膜除去効果が期待出来ないことから、実使用に耐える位置表示灯付スイッチが得られないという問題があった。
【0008】
本発明は、上述の欠点を解決するものであり、スイッチのオンオフに応じて選択的に照明器具を点灯させる位置表示灯付スイッチを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の位置表示灯付スイッチは、電源に接続する入力端子と、負荷に接続する出力端子と、電源に接続される第三の端子とを備える位置表示灯付スイッチであって、前記入力端子と前記出力端子の間の電位差を検知する電位差判定手段と、前記入力端子と前記第三の端子との間に設ける補助電流経路と、前記補助電流経路に設ける表示手段およびスイッチング手段を備え、前記電位差判定手段が電位差を検知したときに前記スイッチング手段を導通させ前記表示手段を起動させるようにしたものである。
【0010】
また、前記電位差判定手段が、トランジスタ又は電界効果トランジスタを用いた電位差検出回路であるとしたものである。
また、前記スイッチング手段が、トランジスタ、電界効果トランジスタ、絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタの何れかであるとしたものである。
【0011】
また、本発明の位置表示灯付スイッチは、入力抵抗を備えるダーリントントランジスタと電流制限抵抗を備える表示灯とを有するスイッチであり、ダーリントントランジスタが、入力端子と出力端子の間の電位差を検知し、電位差が生じた場合に入力端子から電源に接続される第三の端子との間に設ける補助電流経路に表示灯点灯電流を流し、表示灯を点灯するようにしたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の位置表示灯付スイッチは、入力端子と出力端子の間の電流経路とは異なる電流経路を設け、スイッチのオンオフに応じて選択的に表示灯点灯電流を流すものである。これにより、スイッチのオフ時に表示灯点灯電流を負荷に流さないことができることから、スイッチがオフ時に表示灯を点灯させつつ、負荷(照明器具)を確実に消灯(停止)することができる。
また、表示灯点灯電流は当該スイッチの負荷を経由することなく流れるため、消灯時インピーダンスが高い負荷であっても、位置表示灯の点灯輝度が低下せず安定した表示が得られる。
また、表示灯点灯電流を当該スイッチの負荷を経由することなく流せるため、所要点灯電流が大き過ぎて通常では位置表示灯に使用不可能なLED、豆電球、冷陰極管等様々な光源を使用出来、位置表示灯の設計自由度が拡大する。
【0013】
また、位置表示灯の駆動専用にスイッチの主接点を割当てる必要が無いため、三路スイッチ等へも、同様の特徴を持つ位置表示灯付スイッチを展開できる。
【0014】
また、本発明の位置表示灯付スイッチでは、照明器具が未接続の場合(電球が切れている場合や外れている場合)、すなわち無負荷時は、表示灯点灯電流は流れないため、照明器具の未接続を利用者に知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の位置表示灯付スイッチを用いた照明点灯回路の構成図である。
【図2】図1の具体例を示す図である。
【図3】本発明の位置表示灯付スイッチを用いた3路スイッチの照明点灯回路の構成図である。
【図4】図4は、従来の位置表示灯付スイッチを用いた照明点灯回路の構成図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、スイッチのオンオフに応じて位置表示灯に表示灯点灯電流を流すことを実現するものである。
【実施例1】
【0017】
本発明の位置表示灯付スイッチを図に基づいて説明する。図1は、本発明の位置表示灯付スイッチを用いた照明点灯回路の構成図である。なお、図1において、図4の構成部と同一の構成部には、図4と同一の符号を付し、説明は省略する。
図1の照明点灯回路において、位置表示灯付スイッチ14の入力端子0は商用交流電源Eに接続し、出力端子1は負荷L(白熱電球又はLED電球)に接続されている。
また、位置表示灯付スイッチ14には、商用交流電源Eに接続される第三の端子3が備えられている。第三の端子3は、表示灯点灯電流Iを出力する補助端子である。入力端子0と第三の端子3の間には、入力端子0と出力端子1の間の電流経路12(スイッチS1の接点16、18間を流れる電流を通電する電流経路)と異なる他の電流経路20(以下、「補助電流経路」という。)が設けられている。
また、位置表示灯付スイッチ14には、電位差を検知する電位差判定手段24が設けられている。補助電流経路20には、位置表示灯としての表示手段22とスイッチング手段26が備えられており、電位差判定手段24が入力端子0と出力端子1の間の電位差を検知したときに、スイッチング手段26が導通し、表示手段22が起動する。
【0018】
電位差判定手段24は、スイッチS1がオフにされた場合に、スイッチS1の接点16、18の間、すなわち入力端子0と出力端子1の間に発生する電位差を検知するものである。
図1の回路において、スイッチS1をオンすると負荷Lが点灯する。負荷Lが点灯する場合、スイッチS1の接点16、18の間に電位差は生じない。一方、スイッチS1がオフされると、スイッチS1の接点16、18の間に電位差が生じる。電位差判定手段24は、上記スイッチS1のオンオフ状態を判定するものである。
また、無負荷の場合(負荷が接続されていない場合)、スイッチS1の接点16、18の間に電位差は生じないことから、電位差判定手段24はスイッチS1の開閉に拘わらずオン状態の時と同じ動作となる。
【0019】
スイッチング手段26は、電位差判定手段24が判定するスイッチS1のオンオフ状態に応じて、補助電流経路20の通電を選択的に制御するものである。電位差判定手段24がスイッチS1はオン状態であると判定した場合は、スイッチング手段26は導通せず、表示手段22(位置表示灯)は起動(点灯)しない。一方、電位差判定手段24がスイッチS1はオフ状態であると判定した場合は、スイッチング手段26は導通し、表示手段22が起動する。
【0020】
表示手段20は、スイッチング手段26が導通したときに起動する。したがって、表示手段20(位置表示灯)は、負荷Lが接続された状態でスイッチS1がオフされた場合にのみ点灯される。
なお、本発明では、表示灯点灯電流Iは負荷Lに流れないため、表示手段22としてネオン管NL以外に、通常では位置表示灯に使用不可能なLED電球、豆電球等所要点灯電流の大きな素子も使用することができ、表示灯の輝度や色味を自由に設計出来るという効果がある。
【0021】
以上のように、本発明の位置表示灯付スイッチは、スイッチのオンオフに応じて選択的に表示灯点灯電流を流し、表示灯点灯電流を負荷に流さない第三の端子から出力するものである。本発明によると、スイッチのオフ時に表示灯点灯電流を負荷に流さないことができることから、スイッチのオフ時に表示灯を点灯し、かつ照明器具(負荷)を確実に消灯(停止)することができる。
【0022】
更に本発明によれば、表示灯点灯電流は当該スイッチの負荷を経由することなく流れるため、消灯時インピーダンスが高い「グロー点灯式蛍光灯器具」等の負荷であっても、位置表示灯の点灯輝度が低下せず安定した表示が得られるという優れた効果がある。
また、本発明によれば、微弱な表示灯点灯電流を当該スイッチの主回路接点で直接開閉することなく、主回路接点は常に当該スイッチの負荷電流を開閉する構成としているため、主回路接点には開閉スパークによる接点クリーニング効果を発現するに充分な電流が通電され、酸化被膜による接触不良が生じ難いという効果がある。
【0023】
また、本発明の位置表示灯付スイッチでは、照明器具が未接続の場合(無負荷時の場合)は、スイッチがオフされても、位置表示灯は点灯しないため、照明器具の未接続を利用者に知らせることができる。なお、特許文献1の蛍スイッチは、三路スイッチを使用するため、スイッチがオフされると位置表示灯は必ず点灯し、本発明のような照明器具の未接続を利用者に知らせるという効果を有しない。
【0024】
図2は、図1の具体例を示すものである。電位差判定手段およびスイッチング手段の具体例を図2に基づいて説明する。
図2は、トランジスタTr1の出力を別のトランジスタTr2の入力とするように接続された入力抵抗R2を備えるダーリントントランジスタと、電流制限抵抗R1を備えるネオン管NLとを有する位置表示灯付スイッチ14を表わすものである。位置表示灯付スイッチ14は、ダーリントントランジスタが、入力端子0と出力端子1の間の電位差を検知し、電位差が生じた場合に入力端子0から補助電流経路20に表示灯点灯電流Iを流し、ネオン管NL(表示灯)を点灯する。
図2において、入力抵抗R2とトランジスタTr1から構成される電位差検知回路28は図1の電位差判定手段24として機能し、トランジスタTr2は同図のスイッチング手段26として機能する。すなわち、トランジスタTr1は、そのトランジスタTr1のベース(又は出力端子1)とトランジスタTr2のエミッタとの電位差を検知する。トランジスタTr1は、入力端子0と出力端子1の間に電位差が生じた場合にオンする。トランジスタTr1がオンし、トランジスタTr2が導通すると、入力端子0から表示灯点灯電流Iが補助電流経路20に流れ、ネオン管NLが点灯する。図2のネオン管NLおよび電流制限抵抗R1は、図1の表示手段22として機能する。
【0025】
なお、電位差判定手段24は、トランジスタと抵抗からなる電位差検知回路28以外の他の検知手段(たとえば、サイリスタ、三極真空管等)であってもよい。また、電位差検知回路28のトランジスタは、電界効果トランジスタ(FET)であってもよい。
また、スイッチング手段26として、トランジスタ以外に、電界効果トランジスタ(FET)、絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT)の何れかを使用してもよい。
また、その他、電位差判定手段24又はスイッチング手段26の機能を備えるものとして、フォトカプラー、リードリレーなどがある。
【0026】
図3は、本発明の位置表示灯付スイッチを用いた三路スイッチの照明点灯回路の構成図である。なお、図3の回路は、負荷Lが点灯せず、表示手段(位置表示灯)が点灯している状態を表すものである。
図3の位置表示灯付スイッチ30において、端子1同士、端子3同士をつないだ場合、回路全体は図1の回路と等価になる。したがって、図3のように負荷Lが点灯していない場合、端子1、3間において電位差が生じるため、電位差判定手段24は、スイッチS2、S3はオフ状態であると判定し、スイッチング手段26が導通し、表示手段22が起動する。また、スイッチS2又はS3のいずれか一方のスイッチが入ると、電位差判定手段24がスイッチS2、S3はオン状態であると判定し、スイッチング手段26は導通せず、表示手段22は起動しない。
なお、図3において、端子4は本発明の位置表示灯付スイッチに係る第三の端子であり、端子0から端子4の間にはスイッチング手段26および表示手段22を備える電流経路20が設けられている。
【0027】
以上のように、本発明の位置表示灯付スイッチは、表示手段の駆動専用にスイッチの主接点を割当てる必要が無い位置表示灯付スイッチであるため、三路スイッチへも、同様の特徴を持つ位置表示灯付スイッチを展開できる。同様に、四路スイッチ、2箇所操作スイッチ等にも利用可能である。
【符号の説明】
【0028】
0 入力端子
1 出力端子
3 第三の端子
14 位置表示灯付スイッチ
20 補助電流経路
22 表示手段
24 電位差判定手段
26 スイッチング手段
28 電位差検知回路
30 位置表示灯付スイッチ
E 電源
L 負荷
I 表示灯点灯電流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源に接続する入力端子と、負荷に接続する出力端子と、電源に接続される第三の端子とを備える位置表示灯付スイッチであって、前記入力端子と前記出力端子の間の電位差を検知する電位差判定手段と、前記入力端子と前記第三の端子との間に設ける補助電流経路と、前記補助電流経路に設ける表示手段およびスイッチング手段を備え、前記電位差判定手段が電位差を検知したときに前記スイッチング手段を導通させ前記表示手段を起動させることを特徴とする位置表示灯付スイッチ。
【請求項2】
前記電位差判定手段が、トランジスタ又は電界効果トランジスタを用いた電位差検出回路であることを特徴とする請求項1記載の位置表示灯付スイッチ。
【請求項3】
前記スイッチング手段が、トランジスタ、電界効果トランジスタ、絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタの何れかであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の位置表示灯付スイッチ。
【請求項4】
入力抵抗を備えるダーリントントランジスタと電流制限抵抗を備える表示灯とを有するスイッチであり、ダーリントントランジスタが、入力端子と出力端子の間の電位差を検知し、電位差が生じた場合に入力端子から電源に接続される第三の端子との間に設ける補助電流経路に表示灯点灯電流を流し、表示灯を点灯するようにしたことを特徴とする位置表示灯付スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−38629(P2012−38629A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179082(P2010−179082)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(390005038)神保電器株式会社 (50)
【Fターム(参考)】