説明

低いイソシアネートモノマー含有率を有する反応性ポリウレタンホットメルト接着剤

本発明は、アルジミノ基を有し且つ室温で固体である式(I)のポリウレタンポリマーを少なくとも1種含有し、式(I)中のqが0であるか式(I)中のXがN-R8(R8は、式(III)の置換基である)である場合には、イソシアネート基を有する少なくとも1種ポリウレタンポリマーPをさらに含有する、湿気硬化型ホットメルト接着剤に関する。本組成物は、イソシアネートモノマーを含量が明白に少なく、したがって作業衛生上特に有利であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿気硬化型ホットメルト接着剤の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ホットメルト接着剤(ホットメルト)は、熱可塑性ポリマーに基づく接着剤である。これらのポリマーは、室温で固体であり、加熱すると軟化して粘着性のある液体となり、従って融液として適用することができる。糊状の稠度を有し、わずかに高めた温度(典型的に、40℃〜80℃の範囲の温度)で適用されるいわゆるウォームメルト接着剤(ウォームメルト)とは対照的に、ホットメルト接着剤の適用は、85℃からの温度にて行われる。室温に冷却すると、これらは固化し、接着強度が同時に構築される。古典的なホットメルト接着剤は、非反応性接着剤である。これらは、加熱すると再び軟化または融解するため、高い温度での使用には適さない。加えて、古典的なホットメルト接着剤は、軟化点よりかなり低い温度でさえクリープ(コールドフロー)を起こす傾向がある。
【0003】
これらの不利点は、いわゆる反応性ホットメルト接着剤の場合において、ポリマー構造に架橋を引き起こす反応性基を導入することによって、実質的に解消される。特に、反応性ポリウレタン組成物は、ホットメルト接着剤として好適である。これらは、略してPU-RHMとも呼ばれる。これらは、一般に、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーからなり、適切なポリオールを過剰のジイソシアネートと反応させることによって得られる。適用後、これらは、冷却によって急速に高度な接着強度を構築し、かつ、イソシアネート基の湿気との反応の結果としてのポリウレタンポリマーの後架橋によって最終的な特性、特に耐熱変形性および耐環境性を獲得する。イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーの製造中にもたらされる分子量分布のため、しかし、このようなPU-RHMは、一般に85℃〜200℃、典型的には120℃〜160℃の適用温度でガス状の形態で部分的に放出される未反応のモノマージイソシアネートをかなりの量で含有する。この未反応のモノマージイソシアネートは、ホットメルト接着剤では通例のものであり、刺激性、感作性、または毒性物質の形態で、加工業者に健康上有害な影響を及ぼす。このため、一般的な反応性ポリウレタン組成物において、さらに特にPU-RHMにおいて、モノマージイソシアネートの含有率を低減するためにさまざまな努力がされている。
【0004】
明白なアプローチは、モノマージイソシアネートを蒸留または抽出によって物理的に除去する方法である。これらの方法は、複雑な装置を必要とし、従って費用がかかる。加えて、これらの方法は、全てのジイソシアネートに容易に用いることができない。
【0005】
別のアプローチは、異なる反応性の複数のイソシアネート基を有する特有のジイソシアネート基を使用することからなる。例えば、国際公開第03/033562 A1号には、非対称なMDI異性体である2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートの使用が記載されている。この2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートを用いると、モノマージイソシアネートの含有率が低く、低い粘度のポリウレタンポリマーを単純な方法で得ることができる。この方法の不利点は、適切なジイソシアネートの工業スケールでの入手可能性が、高価であることに関連して、不十分であることである。加えて、架橋反応に低い反応性を有するイソシアネート基のみが主として入手可能であるため、架橋速度において犠牲を払うことが必要とされる。
【0006】
最後に、1つのアプローチは、揮発性を低減するために、モノマージイソシアネートの代わりに、その付加体またはオリゴマーをポリオールとの反応に使用することからなり、例えば、独国特許出願公開第44 29 679 A1号に記載されている。ここでは、製造された製品の粘着性および反応性の点で不利点がある。
【特許文献1】国際公開第03/033562 A1号パンフレット
【特許文献2】独国特許出願公開第44 29 679 A1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、反応性ポリウレタン組成物(PU-RHM)であって、ホットメルト接着剤として使用することができ、イソシアネート基を有し、ポリオールと工業的に入手可能なモノマージイソシアネートから出発する単純なプロセスで得ることができ、さらに、低いモノマージイソシアネート含有率と、長い貯蔵寿命とを有し、加工容易であり、かつ、急速に架橋する組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、この目的は、請求項1に記載の組成物によって達成することができることが見出された。これらの組成物は、室温で固体であるポリウレタンポリマーを含有し、アルジミノ基を有し、かつ、イソシアネート基を有する対応するポリウレタンポリマーを、1個以上のアルジミノ基と活性水素とを有する特有の化合物と反応させることによって製造することができる。
【0009】
本発明のさらなる態様は、請求項14に記載の硬化した組成物、および本組成物のホットメルト接着剤としての使用、および接着結合の方法、およびこのような方法の結果として得られる物品に関する。
【0010】
最後に、さらなる態様では、本発明は、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマー中またはイソシアネート基を有するポリウレタンポリマーを含有する組成物中のモノマージイソシアネートの含有率を低減させる方法であって、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーを、1個以上のアルジミノ基と活性水素とを有する特有の化合物と反応させることによる方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、
a)室温で固体であり且つアルジミノ基を有する、式(I):
【化1】

[式(I)中、pは、1または2の整数であり、好ましくは1であり、
qは、0または1の整数であり、好ましくは1であり、
但し、p+q=2であることを条件とし;
R1は、少なくとも1個のヘテロ原子を、特にエーテル酸素の形態で有していてもよい、6〜30個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であるか、または
R1は、式(II):
【化2】

の置換基であるかのいずれかであり;
前記式中、R6は、少なくとも1個のヘテロ原子を、特にエーテル酸素の形態で有していてもよい、2〜20個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であり;
R7は、1〜20個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり;
R2 およびR3は、互いに独立に、それぞれ1〜12個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であるか、あるいは、R2 およびR3は、一緒になって、5〜8個、好ましくは6個の炭素原子を有する炭素環(この炭素環は、置換されていてもよい)の一部である、4〜20個の炭素原子を有する二価の炭化水素基を形成するかのいずれかであり、
R4は、少なくとも1個のヘテロ原子を、特にエーテル酸素または三級アミン窒素の形態で有していてもよい、2〜12個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であり;
R5は、室温で固体であり且つイソシアネート基を有するポリウレタンポリマーの(p+q)個のイソシアネート基を除いた後の基であり;
Xは、O、S、またはN-R8であり、
前記式中、R8は、少なくとも1個のカルボン酸エステル基、ニトリル基、ニトロ基、ホスホン酸エステル基、スルホン基、もしくはスルホン酸エステル基を有していてもよい、1〜20個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であるか、または、R8は、式(III):
【化3】

の置換基(R1 、R2 、R3 、およびR4は上述した意味を有する)であるかのいずれかである]
の少なくとも1種のポリウレタンポリマーと、
b)式(I)中のqが0であるか式(I)中のXがN-R8(R8は、式(III)の置換基と同じである)である場合には、イソシアネート基を有する少なくとも1種のポリウレタンポリマーPと
を含む組成物に関する。
【0012】
本明細書中の式中の点線は、それぞれの場合において、置換基とこれに関連する分子の残基との間の結合である。
特に好ましい実施態様では、R2=R3=メチルであり、R1は、11〜30個の炭素原子を有する炭化水素基である。
【0013】
これらの組成物は、反応性ホットメルト接着剤組成物として好ましく、略して「PU-
RHM」とも称される。
【0014】
本明細書において用語「ポリマー」は、第一に、重合反応(重合反応、重付加反応、重縮合反応)によって調製される、化学的に均一であるが、重合の程度、分子量、および鎖の長さの点で異なる高分子群を含む。第二に、この用語「ポリマー」は、このような重合反応からの高分子群の誘導体、すなわち、特定の高分子上に存在する官能基の反応(例えば、付加反応または置換反応等であり、化学的に均一であっても化学的に不均一であってもよい反応)によって得られる化合物も包含する。しかし、この用語「ポリマー」はさらに、プレポリマーと称されるもの、すなわち、その官能基が高分子の合成に関与する反応性のオリゴマープレ付加体(preadduct)も含む。
【0015】
用語「ポリウレタンポリマー」は、いわゆるジイソシアネート重付加工程によって調製されるあらゆるポリマーを包含する。この語は、実質的にまたは完全にウレタン基を含まないポリマーも含む。ポリウレタンポリマーの例としては、ポリエーテル-ポリウレタン、ポリエステル-ポリウレタン、ポリエーテル-ポリウレア、ポリウレア、ポリエステル-ポリウレア、ポリイソシアヌレート、およびポリカルボジイミドが挙げられる。
【0016】
25℃の温度を、「室温」として示す。
【0017】
室温で固体であり且つアルジミノ基を有する式(I)のポリウレタンポリマーは、活性水素を有する少なくとも1種の式(XI)のアルジミンと、イソシアネート基を有する少なくとも1種のポリウレタンポリマーDとの反応によって製造する。活性水素を有する式(XI)のアルジミンのこの反応性基は、ポリウレタンポリマーDのイソシアネート基と付加反応する。本明細書において、用語「活性水素」は、窒素、酸素、または硫黄原子に結合した脱プロトン化可能な水素原子を示す。用語「活性水素を有する反応性基」は、活性水素を有する官能性基、特に一級もしくは二級アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、またはウレア基を示す。
【0018】
【化4】

【0019】
式(XI)において、R1 、R2 、R3 、R4およびXは、式(I)について記述したとおりの意味を有する。
【0020】
式(XI)のアルジミンは、少なくとも1種の立体障害を有する脂肪族アルデヒドAと、少なくとも1種の脂肪族アミンBとから製造することができる。この脂肪族アミンBは、式H2N-R4-XHに相当し、1個以上の一級アミノ基に加えて、活性水素を有するさらなる反応性基も有する。
【0021】
アルデヒドAとアミンBとの反応は、水の脱離を伴う縮合反応において起こる。このような縮合反応は、周知であり、例えば、Houben-Weylの「Methoden der organischen Chemie」(vol. XI/2、73頁以降)に記載されている。ここでは、アルデヒドAは、アミンBの一級アミノ基に対して化学量論的に、あるいは化学量論過剰で用いられいる。
【0022】
式(XI)のアルジミンを製造するために、少なくとも1種の立体障害を有する式(IV)の脂肪族アルデヒドAを用いる。
【0023】
【化5】

【0024】
式(IV)において、R1 、R2 、およびR3は、式(I)について記述したとおりの意味を有する。
【0025】
アルデヒドAは無臭である。「無臭」である物質とは、ほとんどの人間に臭気が感じられない、すなわち嗅覚により感知できないほど臭気がわずかである物質を意味すると理解される。
【0026】
アルデヒドA は、例えば、カルボン酸R1-COOHと式(V)のβ-ヒドロキシアルデヒドとからエステル化反応で製造する。このエステル化反応は、公知の方法で行わせることができ、例えば、Houben-Weylの「Methoden der organischen Chemie」(vol. VIII, 516-528頁)に記載されている。式(V)のβ-ヒドロキシアルデヒドは、例えば、ホルムアルデヒド(あるいは、ホルムアルデヒドのオリゴマー形態のもの、例えば、パラホルムアルデヒドもしくは1,3,5-トリオキサン)と、(VI)のアルデヒドとから、交差アルドール付加反応で得る。
【0027】
【化6】

【0028】
式(V)および(VI)において、R2 およびR3は、式(I)について記述したとおりの意味を有する。
【0029】
例えば、式(V)のβ-ヒドロキシアルデヒドとのエステル化に好適なカルボン酸R1-COOHとして、飽和脂肪族カルボン酸(例えば、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキドン酸等);モノ不飽和脂肪族カルボン酸(例えば、パルミトレイン酸、オレイン酸、エルカ酸等);ポリ不飽和脂肪族カルボン酸(例えば、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸等);脂環式カルボン酸(例えば、シクロヘキサンカルボン酸等)、アリール脂肪族カルボン酸(例えば、フェニル酢酸等)、芳香族カルボン酸(例えば、安息香酸、ナフトエ酸、トルイル酸、アニス酸等);これらの酸の異性体;天然の油および脂肪(例えば、菜種油、ヒマワリ油、アマニ油、オリーブ油、ヤシ油、アブラヤシ核油、およびアブラヤシ油等)からの工業的鹸化に由来する脂肪酸混合物;ならびに、ジカルボン酸のモノアルキルまたはモノアリールエステル〔ジカルボン酸(例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12-ドデカン二酸、マレイン酸、フマル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、3,6,9-トリオキサウンデカン二酸、およびポリエチレングリコールの類似誘導体等)と、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、高級同族体、およびこれらのアルコールの異性体等)とのモノエステル化から得られるもの〕を挙げることができる。
【0030】
カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、これらの酸の異性体、およびこれらの酸を含む脂肪酸の工業的混合物が好ましい。ラウリン酸が特に好ましい。
【0031】
ホルムアルデヒドと反応して式(V)のβ-ヒドロキシアルデヒドを与える好適な式(VI)のアルデヒドは、例えば、イソブチルアルデヒド、2-メチルブチルアルデヒド、2-エチルブチルアルデヒド、2-メチルバレルアルデヒド、2-エチルカプロンアルデヒド、シクロペンタンカルボキシアルデヒド、シクロヘキサンカルボキシアルデヒド、1,2,3,6-テトラヒドロベンズアルデヒド、2-メチル-3-フェニルプロピオンアルデヒド、2-フェニルプロピオンアルデヒド、およびジフェニルアセトアルデヒドである。イソブチルアルデヒドが好ましい。
【0032】
好適な式(V)のβ-ヒドロキシアルデヒドは、例えば、ホルムアルデヒドと、好適であるとして上述した式(VI)のアルデヒドとの反応からの生成物である。3-ヒドロキシピバルアルデヒドが好ましい。
【0033】
アミンBは、1個以上の一級アミノ基に加えて、活性水素を有するさらなる反応性基も有する脂肪族アミンである。本明細書において、用語「一級アミノ基」は、有機基に結合したNH2基を示し、用語「二級アミノ基」は、2個の有機基に結合したNH基を示す。用語「脂肪族アミン」は、脂肪族基、脂環式基、またはアリール脂肪族基に結合した少なくとも1個のアミノ基を有する化合物を示す。したがって、これらは、アミノ基が芳香族基(例えば、アニリンまたは2-アミノピリジン等)に直接結合している芳香族アミンとは異なる。
【0034】
例えば、以下の化合物がアミンBとして好ましい。
【0035】
− 脂肪族ヒドロキシアミン〔例えば、2-アミノエタノール、2-メチルアミノエタノー、1-アミノ-2-プロパノール、3-アミノ-1-プロパノール、4-アミノ-1-ブタノール、4-アミノ-2-ブタノール、2-アミノ-2-メチルプロパノール、5-アミノ-1-ペンタノール、6-アミノ-1-ヘキサノール、7-アミノ-1-ヘプタノール、8-アミノ-1-オクタノール、10-アミノ-1-デカノール、12-アミノ-1-ドデカノール、4-(2-アミノエチル)-2-ヒドロキシルエチルベンゼン、3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサノール等〕;グリコール類(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコール、およびこれらのグリコールの高級オリゴマーおよびポリマー等)の誘導体であって、一級アミノ基を有するもの〔例えば、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、トリエチレングリコールモノアミン、α-(2-ヒドロキシメチルエチル)-ω-(2-アミノメチルエトキシ)-ポリ(オキシ(メチル-1,2-エタンジイル))〕;ポリアルコキシル化された三価アルコールもしくは多価アルコールのの誘導体、またはポリアルコキシル化されたジアミン(ヒドロキシル基とアミノ基とを有するもの)の誘導体;グリコールをモノシアノエチル化し、続いて水素化する反応からの生成物〔例えば、3-(2-ヒドロキシエトキシ)プロピルアミン、3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロピルアミン、3-(6-ヒドロキシヘキシルオキシ)プロピルアミン〕;
【0036】
− 脂肪族メルカプトアミン〔例えば、2-アミノエタンチオール(システアミン)、3-アミノプロパンチオール、4-アミノ-1-ブタンチオール、6-アミノ-1-ヘキサンチオール、8-アミノ-1-オクタンチオール、10-アミノ-1-デカンチオール、12-アミノ-1-ドデカンチオール等〕;アミノチオ糖(例えば、2-アミノ-2-デオキシ-6-チオグルコース等);
【0037】
− 1個以上の一級アミノ基に加えて、二級アミノ基を有する二官能性または多官能性脂肪族アミン〔例えば、N-メチル-1,2-エタンジアミン、N-エチル-1,2-エタンジアミン、N-ブチル-1,2-エタンジアミン、N-ヘキシル-1,2-エタンジアミン、N-(2-エチルヘキシル)-1,2-エタンジアミン、N-シクロヘキシル-1,2-エタンジアミン、4-アミノメチルピペリジン、3-(4-アミノブチル)ピペリジン、N-アミノエチルピペラジン、ジエチレントリアミン(DETA)、ビスヘキサメチレントリアミン(BHMT)〕;一級モノ-またはジアミンのシアノエチル化またはシアノブチル化からのジ-またはトリアミン〔例えば、N-メチル-1,3-プロパンジアミン、N-エチル-1,3-プロパンジアミン、N-ブチル-1,3-プロパンジアミン、N-ヘキシル-1,3-プロパンジアミン、N-(2-エチルヘキシル)-1,3-プロパンジアミン、N-ドデシル-1,3-プロパンジアミン、N-シクロヘキシル-1,3-プロパンジアミン、3-メチルアミノ-1-ペンチルアミン、3-エチルアミノ-1-ペンチルアミン、3-ブチルアミノ-1-ペンチルアミン、3-ヘキシルアミノ-1-ペンチルアミン、3-(2-エチルヘキシル)アミノ-1-ペンチルアミン、3-ドデシルアミノ-1-ペンチルアミン、3-シクロヘキシルアミノ-1-ペンチルアミン、ジプロピレントリアミン(DPTA)、N3-(3-アミノペンチル)-1,3-ペンタンジアミン、N5-(3-アミノプロピル)-2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、N5-(3-アミノ-1-エチルプロピル)-2-メチル-1,5-ペンタンジアミン等〕、および脂肪ジアミン〔例えば、N-ココアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-オレイル-1,3-プロパンジアミン、N-ソイアルキル -1,3-プロパンジアミン、N-タロウアルキル-1,3-プロパンジアミン、または、例えば、Akzo Novel社から商品名Duomeen(登録商標)の下で入手可能なN-(C16〜22-アルキル) -1,3-プロパンジアミン等〕;脂肪族一級ジ-またはポリアミンと、アクリロニトリル、マレイン酸もしくはフマル酸ジエステル、シトラコン酸ジエステル、アクリル酸およびメタクリル酸エステル、ならびにイタコン酸ジエステルとの1:1モル比のマイケル様付加反応からの生成物;
【0038】
− 1個以上の一級アミノ基を有する三置換ウレア〔例えば、N-(2-アミノエチル)-エチレンウレア、N-(2-アミノエチル)-プロピレンウレア、またはN-(2-アミノエチル)-N’-メチレンウレア等〕。
【0039】
特に好適な脂肪族ヒドロキシ-およびメルカプトアミンは、一級アミノ基がヒドロキシル基またはメルカプト基から少なくとも5原子の鎖または環によって隔てられているもの〔例えば、5-アミノ-1-ペンタノール、6-アミノ-1-ヘキサノール、7-アミノ-1-ヘプタノール、8-アミノ-1-オクタノール、10-アミノ-1-デカノール、12-アミノ-1-ドデカノール、4-(2-アミノエチル)-2-ヒドロキシエチルベンゼン、3-アミノ-メチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサノール、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、トリエチレングリコールモノアミン、α-(2-ヒドロキシメチルエチル)-ω-(2-アミノメチルメトキシ)ポリ(オキシ(メチル-1,2-エタンジイル))、3-(2-ヒドロキシエトキシ)プロピルアミン、3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロピルアミン、3-(6-ヒドロキシヘキシルオキシ)プロピルアミン、6-アミノ-1-ヘキサンチオール、8-アミノ-1-オクタンチオール、10-アミノ-1-デカンチオール、および12-アミノ-1-デカンチオール〕である。
【0040】
好ましいアミンBは、1個以上の一級アミノ基に加えて、二級アミノ基を有する二官能性または多官能性脂肪族アミン〔特に、N-メチル-1,2-エタンジアミン、N-エチル-1,2-エタンジアミン、N-シクロヘキシル-1,2-エタンジアミン、N-メチル-1,3-プロパンジアミン、N-エチル-1,3-プロパンジアミン、N-ブチル-1,3-プロパンジアミン、N-シクロヘキシル-1,3-プロパンジアミン、4-アミノメチルピペリジン、3-(4-アミノブチル)ピペリジン、DETA、DPTA、BHMT〕、および脂肪ジアミン〔例えば、N-ココアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-オレイル-1,3-プロパンジアミン、N-ソイアルキル-1,3-プロパンジアミン、およびN-タロウアルキル-1,3-プロパンジアミンである。一級アミノ基がヒドロキシル基又はメルカプト基から少なくとも5原子の鎖もしくは環によって隔てらた脂肪族ヒドロキシ-およびメルカプトアミン〔特に、5-アミノ-1-ペンタノール、6-アミノ-1-ヘキサノール、およびこれらの高級相同体、4-(2-アミノエチル)-2-ヒドロキシエチルベンゼン、3-アミノ-メチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサノール、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、トリエチレングリコールモノアミン、およびこれらの高級相同体、3-(2-ヒドロキシエトキシ)プロピルアミン、3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロピルアミン、3-(6-ヒドロキシヘキシルオキシ)プロピルアミン〕も好ましい。
【0041】
アルデヒドAとアミンBとの反応によって、ヒドロキシアミンをアミンBとして用いるとヒドロキシアルジミンが;メルカプトアミンをアミンBとして用いるとメルカプトアルジミンが;1個以上の一級アミノ基に加えて二級アミノ基を有する二官能性または多官能性アミンをアミンBとして用いるとアミノアルジミンが;あるいは、1個以上の一級アミノ基を有する三置換ウレアをアミンBとして用いるとウレアアルジミンが導かれる。
【0042】
1個以上の一級アミノ基と二級アミノ基とを有するヒドロキシアミンおよびアミンが、アミンBとして好ましい。
【0043】
1つの実施態様では、式(XI)のアルジミンは、置換基Xとして、置換基N-R8を有する。このような式(XI)のアルジミンは、第一工程で、少なくとも1種の立体障害を有する式(IV)の脂肪族アルデヒドAと、式H2N-R4-NH2の二官能性脂肪族一級アミンCとを反応させて、アルジミノ基に加えて一級アミノ基も有する式(VII)の中間体を得、次いで、第二工程で、この中間体を式(VIII)のマイケルアクセプターと、二重結合の数:NH2基の数が1:1の比の付加反応において反応させることによって製造することができる。アルジミノ基に加えて二級アミノ基をも有するアミノアルジミンが形成される。
【0044】
【化7】

【0045】
式(VII)において、R1 、R2 、R3 、およびR4は式(I)において上述した意味を有する。
【0046】
【化8】

【0047】
こうして、XがN-R8基であり、R8が式(IX)または(IX’)の一価の炭化水素基である式(XI)のアルジミンが形成される。ここで、式(VIII)、(IX)、および(IX’)において、R9は、-COOR13、-CN、-NO2、-PO(OR13)2、-SO2R13、SO2OR13からなる群から選択される基であり、R10は、水素原子、または-R13、-COOR13、-CH2COOR13からなる群から選択される基であり、R11およびR12は、互いに独立に、水素原子、または-R13、-COOR13、-CNからなる群から選択される基であり、R13は、各場合において1個〜20個の炭素原子を有する一価の炭化水素基である。
【0048】
アミンCは、2個の一級アミノ基を有する脂肪族アミンである。
【0049】
好適なアミンCの例は、脂肪族ジアミン〔例えば、エチレンジアミン、1,2-および1,3-プロパンジアミン、2-メチル-1,2-プロパンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1,3-および1,4-ブタンジアミン、1,3-および1,5-ペンタンジアミン、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、2,2,4-および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミンおよびこれらの混合物(TMD)、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、2,4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、4-アミノメチル-1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、2-メチル-1,9-ノナンジアミン、5-メチル-1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、イソデカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、メチルビス(3-アミノプロピル)アミン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン(MPMD)、1,3-ジアミノペンタン(DAMP)、2,5-ジメチル-1,6-ヘキサメチレンジアミン等〕;環状脂肪族ジアミン〔例えば、1,2-、1,3-および1,4-ジアミノシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(H12MDA)、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-エチル-5-メチルシクロヘキシル)メタン(M-MECA)、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジアミンすなわちIPDA)、2-および4-メチル-1,3-ジアミノシクロヘキサンおよびこれらの混合物、1,3-および1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1-シクロヘキシルアミノ-3-アミノプロパン、2,5(2,6)-ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(NBDA、三井化学製)、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,4-ジアミノ-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDA)、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等〕;アリール脂肪族
ジアミン〔例えば、1,3-キシリレンジアミン(MXDA)、1,4-キシリレンジアミン(PXDA)等〕、エーテル基を有する脂肪族ジアミン〔例えば、ビス(2-アミノエチル)エーテル、4,7-ジオキサデカン-1,10-ジアミン、4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン、およびこれらの高級オリゴマー等〕;ポリオキシアルキレンジアミン〔例えば、Jeffamin(登録商標)(Huntsman Chemicals製)の名称で入手可能なもの〕である。好ましいジアミンは、一級アミノ基がヒドロキシル基又はメルカプト基から少なくとも5原子の鎖もしくは環によって隔てられているものであり、特に、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、2,2,4-および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミンおよびこれらの混合物、1,10-デカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,3-および1,4-ジアミノシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、1,3-および1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、2,5(2,6)-ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,4-ジアミノ-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDA)、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3-および1,4-キシリレンジアミン、ポリオキシアルキレンジアミン〔例えば、Jeffamin(登録商標)(Huntsman Chemicals製)の名称で入手可能なもの〕である。
【0050】
好適な式(VIII)のマイケルアクセプターの例は、マレイン酸またはフマル酸のジエステル(例えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジエチル等);シトラコン酸ジエステル(例えば、シトラコン酸ジメチル等);アクリル酸またはメタクリル酸のエステル〔例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等〕;イタコン酸ジエステル(例えば、イタコン酸ジメチル等);桂皮酸エステル(例えば、桂皮酸メチル);ビニルホスホン酸ジエステル(例えば、ビニルホスホン酸ジメチル等);ビニルスルホン酸エステル(特に、アリールビニルスルホネート);ビニルスルホン;ビニルニトリル(例えば、アクリロニトリル、2-ペンテンニトリル、またはフマロニトリル等);1-ニトロエチレン(例えば、β-ニトロスチレン等);およびKnoevenagel縮合物〔例えば、マロン酸ジエステルとアルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、またはベンズアルデヒド)とから得られるもの〕である。マレイン酸ジエステル、アクリル酸エステル、ホスホン酸ジエステル、およびビニルニトリルが好ましい。
【0051】
アルデヒドAおよびアミンCの式(VII)の中間体を与える反応は、先にアルデヒドAとアミンCとの反応についてさらに詳述したように、水の脱離を伴う縮合反応において行われる。アルデヒドAとアミンCとの間の化学量論は、1モルのアルデヒドAが1モルのアミンCに対して用いられるように選択する。溶媒を含まない製造プロセスが好ましく、縮合反応において形成された水は、減圧にすることによって反応混合物から除去する。
【0052】
式(VII)の中間体と式(VIII)のマイケルアクセプターとの反応は、例えば、中間体を化学量論的にまたはわずかに化学量論過剰で式(VIII)のマイケルアクセプターと混合し、この混合物を、20℃〜110℃の温度にて、中間体が完全に式(XI)のアルジミンに変換されるまで加熱することによって行う。この反応は、好ましくは溶媒を用いずに行う。
【0053】
式(XI)のアルジミンは、適切な場合には、例えば式(X)で示されるように、環状の形態を有する平衡状態で存在しうる。これらの環状形態は、アミノアルジミンの場合では環状アミナール(例えば、イミダゾリジンまたはテトラヒドロピリミジン);ヒドロキシアルジミンの場合では環状アミノアセタール(例えば、オキサゾリジンまたはテトラヒドロオキサジン);メルカプトアルジミンの場合では環状チオアミナール(例えば、チアゾリジンまたはテトラヒドロチアジン)である。
【0054】
【化9】

【0055】
式(X)において、R1 、R2 、R3 、R4およびXは式(I)において記述したものと同じ意味を有する。
【0056】
驚くべきことに、式(XI)のほとんどのアルジミンは環化を起こす傾向がない。特に、アミノアルジミンについては、IRおよびNMR分光法の手段によって、これらの化合物が、圧倒的に開いた鎖の形態(すなわちアルジミン形態)で存在し、環状形態(すなわちアミナール形態)では存在しないかまたは痕跡量でしか存在しないことを示すことができる。このことは、従来の文献に記載されたアミノアルジミンの挙動(例えば、米国特許第4,404,379号および同第6,136,942号:これらは、実際に、主としてシクロアミナール形態で存在する)とは対照的である。一級アミノ基がヒドロキシル基又はメルカプト基から少なくとも5原子の鎖もしくは環によって隔てられているヒドロキシ-およびメルカプトアミンも、ほとんど環化を起こさない。式(XI)のアルジミンにおいて実質的に環状構造が存在しないことは、それによってアルジミンが、アミナール、オキサゾリジン、およびチオアミナールにおいて存在する、保存寿命を短縮させる可能性がある塩基性窒素原子を実質的に含まないため、特に、イソシアネート含有組成物におけるこれらの利用の点で有利であると考えられる。
【0057】
式(XI)のアルジミンは、無臭である。これらは、適切な条件、特に水分の不存在下で長い貯蔵期間を有する。水分の進入を許容すると、アルジミンのアルジミン基が、中間体を経て形式的にアミノ基に加水分解され、アルジミンの製造に用いた相当するアルデヒドAが遊離する。この加水分解反応は可逆的であり化学平衡が実質的にアルジミン側にあるため、アルジミン基のほんの一部のみが、アミンに対して反応性の基が存在しない状態で、部分的にまたは完全に加水分解されることが推測される。
【0058】
室温で固体であり且つイソシアネート基を有する式(XII)のポリウレタンポリマーDは、室温で固体であり且つアルジミン基を有する式(I)のポリウレタンポリマーを製造するためのポリウレタンポリマーDとして好適である。
【0059】
【化10】

【0060】
式(XII)において、p、q、およびR5は、式(I)において記述したものと同じ意味を有する。
【0061】
ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、およびポリカーボネートジオール、ならびにこれらのジオールの混合物は、ポリウレタンポリマーDを製造するためのジオールとして特に好適である。
【0062】
特に好適なポリエーテルジオール(ポリオキシアルキレンジオールとも呼ばれる)は、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-または2,3-ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、またはこれらの混合物の重合生成物であり、任意で、1分子当たり2個の活性水素原子を有する開始剤〔例えば、水、アンモニア、または2個のOH基またはNH基を有する化合物(例えば、1,2-エタンジオール、1,2-および1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールおよびトリプロピレングリコール異性体類、ブタンジオール異性体類、ペンタンジオール類、ヘキサンジオール類、ヘプタンジオール類、オクタンジオール類、ノナンジオール類、デカンジオール類、ウンデカンジオール類、1,3-および1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、アニリン、および上述した化合物の混合物等)〕を用いて重合される。不飽和度(ASTM D-2849-69に準拠して測定され、ジオール1 gに対する不飽和のミリ当量(mEq/g)として報告される)の低いポリオキシアルキレンポリオール(例えば、いわゆる複金属シアン化物錯体触媒(DMC触媒)を用いて製造されたもの)を用いることができるだけでなく、不飽和度の高いポリオキシアルキレンポリオール(例えば、NaOH、KOH、またはアルカリ金属アルコキシド等の陰イオン性触媒を用いて製造されたもの)を用いることができる。
【0063】
特に好適なものは、ポリエーテルジオールまたはポリオキシアルキレンジオール、特にポリオキシアルキレンジオールである。
【0064】
0.02 mEq/g未満の不飽和度および1000〜30000 g/molの範囲の分子量を有するポリオキシアルキレンジオール、および400〜8000 g/molの分子量を有するポリオキシプロピレンジオールが特に好適である。
【0065】
「EOエンドキャップ」された(EO-endchapped)(エチレンオキシドで末端封止された)ポリオキシプロピレンジオールも特に適切である。ポリオキシプロピレンジオールは、例えば、ポリプロキシル化反応が終了した後に、純粋なポリオキシプロピレンジオールをエチレンオキシドでアルコキシル化すると得られる特有のポリオキシプロピレンポリオキシエチレンジオールであり、結果として一級ヒドロキシル基を有する。本明細書における用語「分子量」はいずれも、平均分子量Mnを意味する。
【0066】
最も好適なポリエーテルジオールは、0.02 mEq/g未満の不飽和度および7000〜30000 g/molの範囲の分子量を有するもの、特に、10000〜25000 g/molの範囲の分子量を有するものである。例えば、このようなポリエーテルは、Bayer社からAcclaim(登録商標)の商品名で販売されている。
【0067】
特に好適なポリエステルジオールは、二価アルコール(例えば、1,2-エタンジオール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、または上記のアルコールの混合物等)と、有機ジカルボン酸またはその無水物もしくはエステル(例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テトラフタル酸、およびヘキサヒドロフタル酸、または上記の酸の混合物等)とから製造されるもの、およびラクトン類(例えば、ε-カプロラクトン等)から得られたポリエステステルジオールである。
【0068】
特に好適なポリエステルジオールは、ジカルボン酸としてのアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、またはドデカンジカルボン酸と、二価アルコールとしてのヘキサンジオールまたはネオペンチルグリコールとから得られたポリエステルジオールである。このポリエステルジオールは、好ましくは、1000〜15000 g/mol、特に1500〜8000 g/mol、好ましくは1700〜5500 g/molの分子量を有する。
【0069】
室温で液体であり且つアジピン酸/ヘキサンジオールポリエステル、アゼライン酸/ヘキサンジオールポリエステル、およびドデカンジカルボン酸/ヘキサンジオールポリエステルである、半結晶性、結晶性、および無定型のポリエステルジオールが、特に好適である。室温で液体である好適なポリエステルジオールは、室温よりそれほど低くない温度、例えば0℃〜25℃の温度で固体である。
【0070】
好適なポリカーボネートジオールは、例えば、上述した(ポリエステルジオールの製造に用いられる)二価アルコールを、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、またはホスゲンと反応させることによって得ることができるものである。
【0071】
好ましいジオールは、ポリエステルジオールおよびポリカーボネートジオールである。
【0072】
特に好ましいジオールは、ポリエステルジオール、特に、無定型ポリエステルジオールと半結晶性ポリエステルジオールとの混合物、または室温で液体のポリエステルジオールと結晶性もしくは半結晶性のポリエステルジオールとの混合物、または半結晶性ポリエステルジオールと結晶性ポリエステルジオールとの混合物である。室温で液体のポリエステルジオールを用いる場合は、このポリエステルジオールは、室温よりそれほど低くない温度、特に0℃〜25℃で液体である。
【0073】
商業的に入手可能な脂肪族、環式脂肪族、または芳香族のジイソシアネートを、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーDを製造するためのジイソシアネートとして用いることができる。例えば、以下のものが挙げられる。
【0074】
1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2-メチルペンタメチレン-1,5-ジイソシアネート、2,2,4-および2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1,12-ドデカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、およびリジンエステルジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3-および1,4-ジイソシアネート、およびこれらの異性体の任意の所望の混合物、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネートすなわちIPDI)、ペルヒドロ-2,4’-および-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(HMDIすなわちH12MDI)、1,4-ジイソシアナト-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDI)、1,3-および1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、m-およびp-キシリレンジイソシアネート(m-およびp-XDI)、m-およびp-テトラメチル1,3-および1,4-キシリレンジイソシアネート(m-およびp-TMXDI)、ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ナフタレン、2,4-および2,6-トルイレンジイソシアネート、およびこれらの異性体の任意の所望の混合物(TDI)、4,4’-、2,4’-、および2,2’- ジフェニルメタンジイソシアネート、およびこれらの異性体の任意の所望の混合物(MDI) 、1,3-および1,4-フェニレンジイソシアネート、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-ジイソシアナトベンゼン、ナフタレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトビフェニル(TOBI)、上記のイソシアネートのオリゴマーまたはポリマー、および上記のイソシアネートの任意の所望の混合物。MDI、TDI、HDI、H12MDI、およびIPDIが好ましい。
【0075】
ポリウレタンポリマーDの製造は、公知の方法で、ジイソシアネートとジオールとから直接行うか、あるいは(鎖延長反応としても知られている)段階的な付加プロセスによって行う。
【0076】
重要なことは、ポリウレタンポリマーDがイソシアネート基を有し、室温で固体であることである。好ましい実施態様では、ポリウレタンポリマーDを、少なくとも1種のジイソシアネートと、少なくとも1種のジオールとの、イソシアネート基がヒドロキシル基に対して化学量論過剰で存在する反応によって製造する。有利には、イソシアネート基とヒドロキシル基との比は、略して「NCO/OH比」と称され、1.3から2.5、特に1.5〜2.2である。
【0077】
ポリウレタンポリマーDは、好ましくは1000 g/molより大、特に1200〜5000 g/mol、好ましくは2000〜3000 g/molの分子量を有する。さらに、ポリウレタンポリマーDは、(p+q)個のイソシアネート基を有し、(p+q)は2である。
【0078】
当業者には、ポリウレタンポリマーDの製造に用いるジオールが、一般に工業的な品質のものであり、したがって、異なる鎖長、モノマー組成、およびOH官能性を有するオリゴマーの混合物であることは明らかである。工業的なジオール、特にポリエーテルジオールは、製造プロセスに起因して、ジオールを圧倒的な比で含有するのみならず、モノオールも含み、したがって、OH官能基の平均数は、厳密に2ではなくたとえばいくらか2より小さい。他方では、工業的なジオールは、三官能性の開始剤、モノマー、または架橋剤を共存させて用いることに起因して、ジオールおよびモノオールに加えて、少ない比率のトリオールも含み、したがって、これらのOH官能基の平均数は、いくらか2より大きくなり得る。
【0079】
(XI)のアルジミンとポリウレタンポリマーDとの、アルジミノ基を有する式(I)のポリウレタンポリマーを与える反応は、個々の反応に関わる反応性グループ間の反応に典型的に用いられる公知の条件、例えば20℃〜100℃の温度にて行う。ポリウレタンポリマーDが液体形態で存在する温度で行うことが好ましい。反応は、溶媒を用いて、あるいは好ましくは溶媒の不存在下で行う。適切な場合には、助剤、例えば、触媒、開始剤、または安定剤を共存させて用いることができる。反応は、好ましくはアミノアルジミンのための触媒を用いないで行う一方、イソシアネートとアルコールとの間のウレタン化反応のための触媒(例えば、有機スズ化合物、ビスマス錯体、三級アミン化合物、またはこのような触媒の組合せ等)を用いることが、ヒドロキシ-、メルカプト-、およびウレアアルジミンのために好都合である。
【0080】
式(XI)のアルジミンとポリウレタンポリマーDとの、式(I)のポリウレタンポリマーを与える付加反応を、化学量論的に、すなわちポリウレタンポリマーDのイソシアネート基1モル当量当たりアルジミン(XI)の活性水素1モルを用いて行うと、その官能性基が完全に反応して、ジアルジミンが式(I)の付加体として得られる。
【0081】
しかし、好ましくは、式(XI)のアルジミンとポリウレタンポリマーDとの間の付加反応は、準化学量論的に、すなわちポリウレタンポリマーDのイソシアネート基1モル当量当たり1モルに満たないアルジミン(XI)の活性水素を用いて行う。こうして、イソシアネート基が部分的に反応して、アルジミノ基を有し、同様にイソシアネート基を有する少なくとも1種の式(I)のポリウレタンポリマー(すなわちq=1であるもの)が導かれる。
【0082】
アルジミノ基を有する好ましい式(I)のポリウレタンポリマーは、式(Ia)、(Ib)、および(Ic)のポリウレタンポリマーである。
【化11】

式中、R1 、R2 、R3 、R4およびR5は上述した意味を有し、R8は、1個〜20個の炭素原子を有し、場合によって少なくとも1個のカルボン酸エステル基、ニトリル基、ニトロ基、ホスホン酸エステル基、スルホン基、またはスルホン酸エステル基を有する、一価の炭化水素基である。
【0083】
アルジミノ基を有する式(I)のポリウレタンポリマーは、無臭であり、(XI)のアルジミンと同様である。これらは、適切な条件下、特に水分の不存在下で長い貯蔵期間を有する。
【0084】
水分の進入を許容すると、アルジミン基が、中間体を経て形式的にアミノ基に加水分解され、式(XI)のアルジミンの製造に用いた相当するアルデヒドAが遊離する。イソシアネート基の不存在下(すなわち、式(I)のポリウレタンポリマーにおいてq=0である場合)では、この加水分解反応が可逆的であり化学平衡が実質的にアルジミン側にあるため、アルジミン基のほんの一部のみが、部分的にまたは完全に加水分解される。他方で、式(I)のポリウレタンポリマーにおいてq=1である場合は、遊離したアミノ基がイソシアネート基と反応し、ポリウレタンポリマーの架橋をもたらす。イソシアネート基と加水分解性アルジミノ基との反応は、アミノ基を経由して起こる必然性はない。当然、加水分解反応の中間体と反応することも可能である。例えば、加水分解性アルジミノ基がヘミアミナールの形態でイソシアネート基と直接反応することが推測される。
【0085】
本明細書を通して、用語「架橋」または「架橋反応」は、イソシアネート基の化学反応によって開始される高分子量ポリウレタンプラスチックの形成プロセスを指し、それによって主として鎖が形成される場合も包含する。
【0086】
上述した組成物は、場合によって、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPを含有していてもよい。
【0087】
これは、 アルジミノ基を有する式(I)のポリウレタンポリマーの製造のために既に上述したポリウレタンポリマーD、すなわち室温で固体であり且つイソシアネート基を有するポリウレタンポリマーであることが好ましい。
【0088】
組成物中に存在するアルジミノ基は、典型的には、組成物中に存在するイソシアネート基に対してわずかに化学量論過剰量で、あるいは準化学量論量で存在する。有利には、アルジミノ基とイソシアネート基との比は、0.3〜1.1、特に0.5〜1.05である。
【0089】
アルジミノ基を有する式(I)のポリウレタンポリマーがイソシアネート基を全く有さない場合、すなわち式(I)においてqが0である場合、あるいはアルジミノ基を有する式(I)のポリウレタンポリマーが2個以上のアルジミノ基を有する場合(例えば、式(Ic)の化合物である場合)には、組成物は、必然的にイソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPを含有する。このようにして、上述したアルジミノ基のイソシアネート基に対する好適な比を達成する。
【0090】
アルジミノ基を有する式(I)のポリウレタンポリマーが1個のアルジミノ基と1個のイソシアネート基だけを有する場合(例えば、式(Ia)および(Ib)の化合物である場合)には、ポリウレタンポリマーPを含まない組成物もアルジミノ基のイソシアネート基に対する好適な比を有するため、ポリウレタンポリマーPの存在は任意である。
【0091】
記載した本組成物は、モノマージイソシアネートの含有率が驚くべきことに低い。このことは、モノマージイソシアネートが、刺激性、感作性、または毒性の物質として適用の際にガス状の形態で放出されて作業者の健康を害するおそれがあるため、ホットメルト接着剤としての用途に特に有利である。モノマージイソシアネートの含有率は、特に本組成物が、ポリウレタンポリマーとして主としてポリウレタンポリマーDと式(XI)のアルジミンとの、化学量論的な反応によって、特にポリウレタンポリマーDのイソシアネート基1モル当量当たり0.5モル当量未満のアルジミン(XI)の活性水素を用いて製造された場合に非常に低い。
【0092】
記載した本組成物の好ましい製造プロセスでは、モノマージイソシアネートを含有する組成物の全ての成分が、式(XI)のアルジミンとイソシアネート基を有するポリウレタンポリマーDとの反応における反応混合物中に存在する。この方法で製造した組成物が、最もモノマージイソシアネートが低い。
【0093】
好ましくは、記載した本組成物は、0.3重量%以下、特に好ましくは0.2重量%以下、および特に0.1重量%以下のモノマージイソシアネート含有率を有する。
【0094】
記載した本組成物は、場合によって、従来技術において通常用いられているように、さらなる成分、特に以下の成分を含有する。
【0095】
− 非反応性熱可塑性ポリマー〔例えば、不飽和モノマーのホモ-またはコポリマー、特に、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、イソプレン、酢酸ビニルもしくはこれらの高級エステル、および(メタ)アクリレートからなる群からのもの等〕、エチレン/酢酸ビニルコポリマー(EVA)、アタクチックポリ-α-オレフィン(APAO)、ポリプロピレン(PP)、およびポリエチレン(PE)が特に好適である;
【0096】
− アルジミノ基および/またはイソシアネート基の反応のための触媒、特に、酸または酸に加水分解され得る化合物〔例えば、有機カルボン酸(例えば、安息香酸、サリチル酸、または2-ニトロ安息香酸等)、有機カルボン酸無水物(例えば、フタル酸無水物またはヘキサヒドロフタル酸無水物等)、有機カルボン酸のシリルエステル、有機スルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、もしくは4-ドデシルベンゼンスルホン酸、またはさらなる無機もしくは有機の酸等)等〕;金属化合物〔例えば、スズ化合物(例えば、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジステアレート、ジブチルスズジアセチルアセトネート、ジブチルスズジクロライド、およびジブチルスズオキシド等)、スズ(II)カルボキシレート、スタンノキサン(例えば、ラウリルスタンノキサン等)、ビスマス化合物(例えば、ビスマス(III)オクタノエート、ビスマス(III)ネオデカノエート、またはビスマス(III)オキシネート等)等〕;三級アミン(例えば、2,2’-ジモルホリノジエチルエーテルおよび他のモルホリノエーテル誘導体、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]-オクタン、ならびに1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン等);前記触媒の組合せ、特に、酸と金属化合物との混合物、または金属化合物と三級アミンとの混合物;
【0097】
−反応希釈剤および架橋剤〔例えば、ジイソシアネートのオリゴマーおよびポリマー(例えば、MDI、PMDI、TDI、HDI、1,12-ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン1,3-または1,4-ジイソシアネート、IPDI、ペルヒドロ2,4’-及び4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(H12MDI)、1,3-および1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、特に、前記イソシアネートのイソシアヌレート、カルボジイミド、ウレトンイミン、ビウレット、アロファネート、およびイミノオキサジアジンジオン、短鎖ポリオールを有するジイソシアネートの付加体、アジピン酸ジヒドラジドおよび他のジヒドラジド、ならびに、ブロックされた硬化剤(ポリアルジミン、ポリケチミン、オキサゾリジン、またはポリオキサゾリジンの形態のもの);
【0098】
− フィラー、可塑剤、接着促進剤、特にシラン基を含有する化合物、UV吸収剤、UVまたは熱安定剤、抗酸化剤、難燃材、蛍光増白剤、顔料、染料、および乾燥剤、ならびにイソシアネート含有組成物に通常用いられるさらなる物質。
【0099】
好ましい実施態様では、記載した本組成物は、カーボンブラックを含有しない。
【0100】
さらなる好ましい実施態様では、記載した本組成物は、フィラーを全く含まない。このような組成物は、接着結合する少なくとも1種の基材が透明または半透明である基材間の接着結合のために、特に好適である。
【0101】
室温で固体であり且つアルジミノ基を有する式(I)のポリウレタンポリマーと、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPとの合計は、全組成物に基づいて、好ましくは40〜100重量%、特に75〜100重量%、好ましくは80〜100重量%である。
【0102】
記載した本組成物は、水分の非存在下で保存する。適切な、気候的に気密なパッケージもしくは配置(例えば、ドラム、バッグ、またはカートリッジ等)内で、本組成物は、優れた貯蔵寿命を有する。本明細書において、組成物に関する用語「長い貯蔵寿命を有する」および「貯蔵寿命」は、想定される適切な貯蔵期間経過後の適用温度での組成物の粘度が、増加しないかまたは最大でも組成物が意図された方法で使用可能なまま維持される程度まで増加するだけであることを示す。
【0103】
反応性ホットメルト接着剤の作用機構のために、接着剤が溶融可能であること(すなわち、適用温度において適用可能であるために十分に低い粘度を有すること)、および、冷却すると、大気中の湿気による架橋反応が完了する前でもできるだけ急速に十分な接着強度(初期強度)を構築することが重要である。記載した本組成物は、85℃〜200℃、典型的には120℃〜160℃の範囲の適用温度(ホットメルト接着剤において通例の温度)にて容易に取り扱うことができる粘度を有し、冷却すると、良好な接着強度を十分に急速に構築することが見出された。
【0104】
適用時に、記載した本組成物は、水分、特に大気中の湿気の形態の水分と接触する状態になる。冷却中の凝固による物理的な固化と同時に、存在するアルジミノ基が水分によって加水分解され、存在するイソシアネート基と上述したように急速に反応することに主として基づいて、水分との化学的架橋も開始する。過剰のイソシアネート基も同様に、公知の様式で水分により架橋する。
【0105】
化学架橋に必要とされる水分は、大気(大気中の湿気)に由来するものであってもよく、あるいは、組成物を、例えばコーティングまたはスプレーによって水分含有成分と接触させてもよく、あるいは、水分含有成分を、例えば、例えばスタティックミキサーによって混合される水分含有ペーストの形態で、適用中に組成物に添加することができる。
【0106】
記載した本組成物は、化学量論に基づいて、アルジミノ基の存在による架橋中に二酸化炭素がわずかしか形成されないかまたは全く形成されないため、湿気による架橋中に気泡が形成される傾向が大幅に低減される。
【0107】
好ましい実施態様では、記載した本組成物は、略してPU-RPMと称される、反応性ポリウレタンホットメルト接着剤として用いられる。
【0108】
PU-RPMとしての適用において、本組成物は、基剤S1と基剤S2との接着結合に用いられる。
【0109】
このような接着結合は、
i) 上述した組成物を、85℃〜200℃、特に120℃〜160℃の温度に加熱する工程;
ii) 前記加熱した組成物を基材S1に適用する工程;
iii) オープンタイム内に、前記適用した組成物を第二の基材S2に接触させる工程
を含む。
【0110】
第二の基材S2は、基剤S1の材料と同じ材料または異なる材料からなる。
【0111】
工程iii)の後に、典型的には、水分による組成物の化学架橋の工程iv)が続く。当業者には、用いた組成物、基材、温度、周囲湿度、および接着剤の形状などの要因に依存して、架橋反応が接着結合における初期から開始することは明らかである。しかし、架橋の主要部分は、一般に、接着結合後に起こる。
【0112】
基剤S1および/または基剤S2を、必要に応じて、組成物の適用前に前処理することができる。このような前処理には、特に、機械的および/または化学的な洗浄および活性化方法(例えば、研磨、サンドブラスト、ブラッシング、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理、エッチング等)、またはクリーナーもしくは溶媒を用いる処理、または接着促進剤、接着促進溶液、もしくはプライマーの適用が含まれる。
【0113】
基材S1およびS2は、複数の材料を含んでいてもよい。プラスチックス、有機材料(例えば、革など)、布地、紙、木材、樹脂に結合した木質材料、樹脂繊維複合材料、ガラス、磁器、セラミック、金属、および金属アロイ、特に塗装されたかもしくは粉体塗装された金属もしくは金属アロイが好ましい。
【0114】
好適なプラスチックスは、特に、ポリビニルクロライド(PVC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)、SMC(シート成形複合体)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリエステル、ポリオキシメチレン(POM)、ポリオレフィン(PO)、特にポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン/プロピレンコポリマー(EPM)、およびエチレン/プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)、好ましくは、プラズマ、コロナ、もしくは火炎で表面処理PPまたはPEである。
【0115】
透明材料、特に透明プラスチックフィルムは、基材S1およびS2のための好適な材料であると考えられる。別の好ましい透明材料は、ガラス、特にシート形態のガラスである。
【0116】
接着層の厚さ(接着結合厚さ)は、典型的には10ミクロン以上である。特に、接着結合厚さは、10ミクロン〜20ミリメートル、特に80ミクロン〜500ミクロンである。しかし、厚い層の場合は、水分の拡散が遅いことに起因して、架橋は通常非常に遅い。
【0117】
記載した組成物は、特に、工業的な製造プロセスで用いられる。
【0118】
記載した組成物は、接着結合箇所が目に見える接着結合のためのPU-RHMとして特に好適である。従って、第一に、ガラス、特に乗り物および窓構造の接着結合に好適である。第二に、透明な包装の接着結合に特に好適である。
【0119】
接着結合プロセスで得られる物品。このような物品は、第一に、輸送、家具、または繊維の部門からの特定の物品におけるものである。好ましい輸送部門は、自動車部門である。
【0120】
このタイプの物品の例は、水上または陸上の乗り物(例えば、自動車、バス、トラック、列車、または船舶等);自動車内装仕上部品(例えば、屋根、遮光板、計器盤、ドアサイド部品、リアシェルフなど);シャワーと浴槽部門からの木質繊維材料;装飾家具シート、織物を用いたメンブレンシート(例えば、アパレル部門または自動車仕上のためのフォームを用いた織物における、綿シート、ポリエステルシート等)である。
【0121】
他方では、このような物品は、包装部門からの特定の物品におけるものである。特に、このような物品は、透明パッケージである。
【0122】
a)室温で固体であり且つアルジミノ基を有する少なくとも1種の式(I)のポリウレタンポリマーと、
b)場合によって、イソシアネート基を有する少なくとも1種のポリウレタンポリマーPと
を含む記載した本組成物は、反応性ホットメルト接着剤組成物として用いる場合に、従来技術に対して多くの利点を有する。
【0123】
これらは、モノマージイソシアネート含量が大幅に低減されており、したがって、使用中に健康に害を及ぼすジイソシアネート蒸気による処理装置の汚染の大幅な低減をもたらす。記載した本組成物を用いると、容易に入手可能なジイソシアネート(例えば、4,4’-MDIまたはIPDI等)に基づくものであり且つ極度にモノマージイソシアネートの含量が低い、商業的に入手可能なホットメルト接着剤が得られる。モノマージイソシアネートの低い含量は、ポリウレタンポリマーDと、式(XI)のアルジミンとの反応によって達成される。これは、そのアルジミン中に存在する活性水素が、ポリウレタンポリマーD中に存在するモノマージイソシアネートと明らかに優先的に反応するからである。
【0124】
さらに、記載した本組成物は、ホットメルト接着剤として使用される場合に、これらがゆっくりとしか反応しない脂肪族イソシアネート基(例えば、IPDIまたはH12MDI等)のみを含有する場合でも架橋率が高い。純粋な脂肪族ジイソシアネートに基づく従来技術のPH-RHMは、一般に、架橋率が低すぎるため、ほとんどの用途に使用することができない。
【0125】
さらに、記載した本組成物は、イソシアネート基と水分との架橋反応とは対照的に、イソシアネート基と加水分解性アルジミノ基との架橋反応では二酸化炭素が全く形成されないため、気泡を形成する傾向が大幅に低減される。
【0126】
これらの利点に加えて、ホットメルト接着剤として使用する場合に、記載した本組成物は、従来技術のシステムのものと比較して同様の良好な特性、すなわち堅固な接着強度、良好な耐熱変形性、および高い最終強度と共に良好な伸展性を有し、接着用途の要求に対する極めて多様な範囲の最終機械特性に適合させることができる。
【0127】
さらなる態様では、本発明は、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーまたはイソシアネート基を有するポリウレタンポリマーを含有する組成物におけるモノマージイソシアネート含量を、そのイソシアネート基を有するポリウレタンポリマーと少なくとも1種の式(XI)のアルジミンとを反応させることによって低減させる方法に関する。
【実施例】
【0128】
a)試験法の説明
製造した化合物中のアルジミノ基および遊離のアミノ基の合計含有量(「アミン含有量」)は、滴定(クリスタルバイオレットに対し氷酢酸中の0.1N HClO4を用いる滴定)によって測定し、(一級アミノ基だけに関するものではない場合でも)mmol NH2/gで表した。
【0129】
モノマージイソシアネートの含有率は、HPLCによって測定(フォトダイオードアレイによって検出)し、全組成物に基づく重量%で表した。
【0130】
粘度は、個々の指定した温度にて、Brookfield粘度計を用いて、スピンドルNo. 27および毎分10回転で測定した。
【0131】
オープンタイムは、以下のように決定した。組成物をシリコーンコーティングした紙に150℃の温度で500μmの厚さに適用した。この試験片を、室温で基材上に置いた。軽く押しつけられた紙片を接着剤から引きはがすことができた時点でオープンタイムが終了する。その後、接着剤がそれぞれの場合において硬化し、固体になる。
【0132】
引張強さおよび破断点伸びは、膜厚500μmおよび120 mm×20 mmの寸法の試験片についてDIN 53504に準拠して決定した。試験片を作製するためのフィルムは、接着温度140℃にて適用した後、23℃および50%の相対湿度で2週間貯蔵した。
【0133】
b)式(XI)のアルジミンの調製
[アルジミン1]
最初に、30.13 g(0.106 mol)の2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールを、窒素雰囲気下、丸底フラスコに導入した。15.00 g(0.096 mol)のN-シクロヘキシル-1,3-プロパンジアミンを、激しく撹拌しながら、5分間かけて滴下漏斗から滴下し、反応混合物の温度を36℃まで高めた。次いで、揮発性の成分を減圧(10 mbar、80℃)して除去した。無色、透明、および無臭の液体であって、室温で粘度が低く且つアミン含有量が4.39 mmol NH2/gである液体が43.2 g得られた。
【0134】
[アルジミン2]
最初に、28.06 g(0.099 mol)の2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールを、窒素雰囲気下、丸底フラスコに導入した。10.00 g(0.095 mol)の2-(2-アミノエトキシ)エタノール(Diglycolamine(登録商標)Agent;Huntsman社)を、激しく撹拌しながら、3分間かけて滴下漏斗から滴下し、反応混合物の温度を40℃まで高めた。次いで、揮発性の成分を減圧(10 mbar、80℃)して除去した。無色、透明、および無臭の液体であって、室温で粘度が低く且つアミン含有量が2.58 mmol NH2/gである液体が36.3 g得られた。
【0135】
[アルジミン3]
最初に、69.31 g(0.244 mol)の2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールを、窒素雰囲気下、丸底フラスコに導入した。14.72 g(0.112 mol)のジプロピレントリアミンを、激しく撹拌しながら、5分間かけて滴下漏斗から滴下し、反応混合物の温度を36℃まで高めた。次いで、揮発性の成分を減圧(10 mbar、80℃)して除去した。無色、透明、および無臭の液体であって、室温で粘度が低く且つアミン含有量が4.17 mmol NH2/gである液体が79.7 g得られた。
【0136】
c)ポリウレタンポリマーDの調製
[ポリウレタンポリマーD1]
800 gのDynacoll(登録商標)7250(液体ポリエステルジオール、OH価21 mg KOH/g、Degussa社)と、200 gのDynacoll(登録商標)7360(結晶性ポリエステルジオール、OH価30 mg KOH/g、融点55℃、Degussa社)と、102 gの4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI;Desmodur(登録商標)44 MCL、Bayer社)とを公知のプロセスで100℃にて反応させて、NCO-末端化されたポリウレタンポリマーを得た。この反応生成物は、滴定によって測定して1.5重量%の遊離のイソシアネート基を含有し、室温で固体であった。
【0137】
[ポリウレタンポリマーD2]
ポリウレタンポリマーD1と同じジオール混合物を、102 gの2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’-MDI;Lupranat(登録商標)MCI、BASF社)と、公知のプロセスで100℃にて反応させて、NCO-末端化されたポリウレタンポリマーを得た。この反応生成物は、滴定によって測定して1.5重量%の遊離のイソシアネート基を含有し、室温で固体であった。
【0138】
[ポリウレタンポリマーD3]
ポリウレタンポリマーD1と同じジオール混合物を、107 gの4,4’-メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート(H12MDI;Desmodur(登録商標)W、Bayer社)と、公知のプロセスで100℃にて反応させて、NCO-末端化されたポリウレタンポリマーを得た。この反応生成物は、滴定によって測定して1.5重量%の遊離のイソシアネート基を含有し、室温で固体であった。
【0139】
[ポリウレタンポリマーD4]
ポリウレタンポリマーD1と同じジオール混合物を、90.4 gのイソホロンジイソシアネート(IPDI;Vestanat(登録商標)IPDI、Degussa社)と、公知のプロセスで100℃にて反応させて、NCO-末端化されたポリウレタンポリマーを得た。この反応生成物は、滴定によって測定して1.5重量%の遊離のイソシアネート基を含有し、室温で固体であった。
【0140】
d)ホットメルト接着剤組成物の調製
[実施例1]
95.0重量部のポリウレタンポリマーD1と7.7重量部のアルジミン1を、130℃の温度にて均一に混合し、130℃に1時間置いた。この結果得られたアルジミノ基とイソシアネート基とを有するポリウレタンポリマーを、湿気のない条件で室温にて貯蔵した。
【0141】
[実施例2]
95.0重量部のポリウレタンポリマーD1と6.5重量部のアルジミン2を、130℃の温度にて均一に混合し、130℃に1時間置いた。この結果得られたアルジミノ基とイソシアネート基とを有するポリウレタンポリマーを、湿気のない条件で室温にて貯蔵した。
【0142】
[実施例3]
95.0重量部のポリウレタンポリマーD1と8.1重量部のアルジミン3を、130℃の温度にて均一に混合し、130℃に1時間置いた。この結果得られたアルジミノ基とイソシアネート基とを有するポリウレタンポリマーを、湿気のない条件で室温にて貯蔵した。
【0143】
[実施例4](比較)
100重量部のポリウレタンポリマーD1。
【0144】
【表1】

【0145】
[実施例5]
実施例5は、実施例1と同様に行い、ポリウレタンポリマーD1の代わりにポリウレタンポリマーD2を用いた。
【0146】
[実施例6]
実施例6は、実施例2と同様に行い、ポリウレタンポリマーD1の代わりにポリウレタンポリマーD2を用いた。
【0147】
[実施例7]
実施例7は、実施例3と同様に行い、ポリウレタンポリマーD1の代わりにポリウレタンポリマーD2を用いた。
【0148】
[実施例8](比較)
100重量部のポリウレタンポリマーD2。
【0149】
【表2】

【0150】
[実施例9]
実施例9は、実施例1と同様に行い、ポリウレタンポリマーD1の代わりにポリウレタンポリマーD3を用いた。
【0151】
[実施例10]
実施例10は、実施例2と同様に行い、ポリウレタンポリマーD1の代わりにポリウレタンポリマーD3を用いた。
【0152】
[実施例11]
実施例11は、実施例3と同様に行い、ポリウレタンポリマーD1の代わりにポリウレタンポリマーD3を用いた。
【0153】
[実施例12](比較)
100重量部のポリウレタンポリマーD3。
【0154】
【表3】

【0155】
[実施例13]
実施例13は、実施例1と同様に行い、ポリウレタンポリマーD1の代わりにポリウレタンポリマーD4を用いた。
【0156】
[実施例14]
実施例14は、実施例2と同様に行い、ポリウレタンポリマーD1の代わりにポリウレタンポリマーD4を用いた。
【0157】
[実施例15]
実施例15は、実施例3と同様に行い、ポリウレタンポリマーD1の代わりにポリウレタンポリマーD4を用いた。
【0158】
[実施例16](比較)
100重量部のポリウレタンポリマーD4。
【0159】
【表4】

【0160】
示したこれらの実施例から、本発明の組成物は、アルジミノ基を有さない従来技術の相当する組成物より大幅にモノマージイソシアネートの含有率が低いことは明らかであり、本組成物の反応性ホットメルト接着剤としての適用性が確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)室温で固体であり且つアルジミノ基を有する、式(I):
【化1】

[式中、pは、1または2の整数であり、かつ
qは、0または1の整数であり、
但し、p+q=2であることを条件とし;
R1は、少なくとも1個のヘテロ原子を特にエーテル酸素の形態で有していてもよい、6〜30個の炭素原子を有する一価の炭化水素基、または
式(II):
【化2】

の置換基のいずれかであり;
前記式中、R6は、少なくとも1個のヘテロ原子を特にエーテル酸素の形態で有していてもよい、2〜20個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であり;
R7は、1〜20個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり;
R2 およびR3は、互いに独立に、それぞれ、1〜12個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であるか、あるいは、一緒になって、置換されていてもよい、5〜8個、好ましくは6個の炭素原子を有する炭素環の一部である、4〜20個の炭素原子を有する二価の炭化水素基を形成するかのいずれかであり、
R4は、少なくとも1個のヘテロ原子を特にエーテル酸素または三級アミン窒素の形態で有していてもよい、2〜12個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であり;
R5は、室温で固体であり且つイソシアネート基を有するポリウレタンポリマーDの(p+q)個のイソシアネート基を除いた後の基であり;
Xは、O、S、またはN-R8であり、
前記式中、R8は、少なくとも1個のカルボン酸エステル基、ニトリル基、ニトロ基、ホスホン酸エステル基、スルホン基、もしくはスルホン酸エステル基を有していてもよい、1〜20個の炭素原子を有する一価の炭化水素基、または
式(III):
【化3】

の置換基のいずれかである]
の少なくとも1種のポリウレタンポリマーと、
b)式(I)中のqが0であるか式(I)中のXがN-R8(R8は、式(III)の置換基と同じである)である場合には、イソシアネート基を有する少なくとも1種のポリウレタンポリマーPと
を含む組成物。
【請求項2】
p=1かつq=1であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
室温で固体であり且つイソシアネート基を有するポリウレタンポリマーDが、少なくとも1種のジイソシアネートと少なくとも1種のジオールとから製造されることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
ポリウレタンポリマーPが、少なくとも1種のジイソシアネートと少なくとも1種のジオールとから製造されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ジオールがポリエステルジオールであることを特徴とする、請求項3または4に記載の組成物。
【請求項6】
前記ジオールが、非結晶質ポリエステルジオールと結晶性または半結晶性ポリエステルジオールとの混合物であるか、あるいは室温で液体のポリエステルジオールと結晶性または半結晶性ポリエステルジオールとの混合物であるか、あるいは半結晶性ポリエステルジオールと結晶性ポリエステルジオールとの混合物あるかのいずれかであり、室温で液体の前記ポリエステルジオールが、0℃〜25℃の温度で固体であることを特徴とする、請求項3または4に記載の組成物。
【請求項7】
前記ジイソシアネートが、MDI、HDI、TDI、H12MDI、またはIPDIであることを特徴とする、請求項3〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
XがOまたはN-R8であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
R2=R3=メチルであり、R1が11〜30個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
室温で固体であり且つアルジミノ基を有する式(I)のポリウレタンポリマーと、イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーPとの合計が、全組成物に基づいて40〜100重量%、特に75〜100重量%、好ましくは80〜100重量%であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
式(I)の化合物が、下記式(XI)のアルジミンと、イソシアネート基を有する下記式(XII)のポリウレタンポリマーDとの反応によって製造されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【化4】

【請求項12】
式(XI)のアルジミンが、ポリウレタンポリマーDのイソシアネート基1モル当量当たりアルジミンの活性水素が1モル当量未満である比率で用いられることを特徴とする、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
モノマージイソシアネートの含有率が、全組成物に基づいて0.3重量%以下、好ましくは0.2重量%以下、特に0.1重量%以下であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
水分と、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物との反応によって得られる硬化組成物。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物の、ホットメルト接着剤としての使用。
【請求項16】
乗り物または建物の内部で行われることを特徴とする、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
工業的な生産もしくは修理における、あるいは土木工事もしくは建築物の建設における、あるいは輸送手段もしくは建造物の内装仕上げにおける接着剤としての、請求項15または16に記載の使用。
【請求項18】
基材S1と基材S2とを接着結合させる方法であって、
i) 請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物を、85℃〜200℃、特に120℃〜160℃の温度に加熱する工程;
ii) 前記加熱した組成物を基材S1に適用する工程;
iii) オープンタイム内に、前記適用した組成物を第二の基材S2に接触させる工程
を含み、前記第二の基材S2が、前記基材S1の材料と同じかまたは異なる材料からなる、方法。
【請求項19】
工程iii)の後に、前記組成物を水分で化学的に架橋させる工程iv)が続くことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記基材S1または前記基材S2の少なくとも1つが、プラスチック、有機材料(例えば、革など)、布地、紙、木材、樹脂に結合した木質材料、樹脂繊維複合材料、ガラス、磁器、セラミック、金属、金属アロイ、特に塗装されたかもしくは粉体塗装された金属もしくは金属アロイであることを特徴とする、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記組成物を、10ミクロンを超える厚さ、特に10ミクロン〜20ミリメートル、好ましくは80ミクロン〜500ミクロンの厚さに適用することを特徴とする、請求項18〜20に記載の方法。
【請求項22】
請求項18〜21のいずれか一項に記載の接着結合方法によって製造された、接着結合された物品。
【請求項23】
前記物品が、輸送手段、特に水上または陸上の乗り物、特に自動車、バス、トラック、列車、または船、またはこれらの部品であることを特徴とする、請求項22に記載の接着結合された物品。
【請求項24】
イソシアネート基を有するポリウレタンポリマー中またはイソシアネート基を有するポリウレタンポリマーを含有する組成物中のモノマージイソシアネートの含有率を低減させる方法であって、イソシアネート基を有する前記ポリウレタンポリマーを、少なくとも1種の下記式(XI) のアルジミンと反応させることによる方法。
【化5】

[式中、R1は、少なくとも1個のヘテロ原子を特にエーテル酸素の形態で有していてもよい、6〜30個の炭素原子を有する一価の炭化水素基、または
式(II):
【化6】

の置換基のいずれかであり;
前記式中、R6は、少なくとも1個のヘテロ原子を特にエーテル酸素の形態で有していてもよい、2〜20個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であり;
R7は、1〜20個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり;
R2 およびR3は、互いに独立に、それぞれ、1〜12個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であるか、あるいは、一緒になって、置換されていてもよい、5〜8個、好ましくは6個の炭素原子を有する炭素環の一部である、4〜20個の炭素原子を有する二価の炭化水素基を形成するかのいずれかであり、
R4は、少なくとも1個のヘテロ原子を、特にエーテル酸素または三級アミン窒素の形態で有していてもよい、2〜12個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であり;
R5は、室温で固体であり且つイソシアネート基を有するポリウレタンポリマーDの(p+q)個のイソシアネート基を除いた後の基であり;
Xは、O、S、またはN-R8であり、
前記式中、R8は、少なくとも1個のカルボン酸エステル基、ニトリル基、ニトロ基、ホスホン酸エステル基、スルホン基、もしくはスルホン酸エステル基を有していてもよい、1〜20個の炭素原子を有する一価の炭化水素基、または
式(III):
【化7】

の置換基のいずれかである]

【公表番号】特表2009−510206(P2009−510206A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532801(P2008−532801)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【国際出願番号】PCT/EP2006/066929
【国際公開番号】WO2007/036575
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】