説明

低レベルの未重合モノマーを有する高内相エマルション発泡体

低レベルの未重合モノマーを有する高内相エマルション(HIPE)発泡体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、低レベルの未重合モノマーを有する高内相エマルション(HIPE)発泡体に関する。
【背景技術】
【0002】
エマルションは、ある液体の別の液体中における分散液であり、一般的に、実質的に不混和性である連続油相内に分散した水性相又は水相を有する油中水型混合物の形態である。連続油相に対して高比率の分散した水相を有する油中水型(又は水中油型)エマルションが、高内相エマルションとしてその技術分野で既知であり、「HIPE」とも称される。分散水相の連続油相に対する比率が比較的高いと、連続油相は、内部の分散水相の液滴様構造を分離及びコーティングする本質的に薄い膜になる。一実施形態では、油中水型HIPEの連続油相は、1つ以上の重合可能なモノマーを含む。これらモノマーは、重合して、分散した水相液滴のサイズ分布により定義される気泡サイズ分布を有する気泡構造、例えば発泡体を形成することができる。
【0003】
モノマーの重合は、反応開始剤の活性化の際に開始し、硬化プロセス中に継続する。硬化プロセスは、発泡体形成プロセスの最後又は終了間近に行なわれ、その後HIPE発泡体がその将来の使用のために調製されることが多い。しかしながら、反応開始剤の添加及び硬化プロセス後に、モノマーの全てが重合されるわけではない。これらの残留未重合モノマーは、HIPE発泡体及びHIPE発泡体を調製するために使用されるプロセスの両方において問題を引き起こし得る。未反応のモノマーがHIPE発泡体中に存在する場合、それらは、ある特定のレベルの安全性に関する懸念を提示するか、所望のHIPE発泡体特性に悪影響を及ぼすか、あるいは切断又はHIPE発泡体への他の成分の適用等の更なるHIPE発泡体加工工程を妨害し得る。加えて、モノマーは表面に付着する傾向も有し、モノマーが金型空洞に付着し金型の洗浄を必要とするバッチプロセス、あるいはHIPEが上に配置される表面の洗浄を必要とする連続プロセスの両方において、加工上の問題を引き起こし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
結果的に、低レベルの未重合モノマーを有するHIPE発泡体及びHIPE発泡体中の未重合モノマーの量を減少させる方法の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
モノマー、架橋剤、乳化剤を有する油相と、光開始剤と、水相とを含む、高内相エマルションを重合することによって形成される高内相エマルション発泡体が提供され、高内相エマルション発泡体は、400ppm未満の未重合モノマーを含む。
【0006】
モノマー、架橋剤、乳化剤を含む油相と、光開始剤と、水相とを有する第1の層を含む、高内相エマルションを重合することによって形成される高内相エマルション発泡体が提供される。高内相エマルションは、モノマー、架橋剤、乳化剤を含む油相と、光開始剤と、水相とを有する第2の層も含み、高内相エマルション発泡体は、400ppm未満の未重合モノマーを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明のプロセスフローチャート。
【図2】本発明のプロセスフローチャート。
【図3】モノマー減少を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、低レベルの未重合モノマーを有する高内相エマルション(HIPE)発泡体に関する。モノマーを含有する連続油相と、水相とを含む本発明のHIPEは、例えば、HIPEをエンドレスベルト等のベルト上に配置させることによって、連続プロセスを用いて生産される。ベルト上にある間、HIPEはモノマーが重合される加熱ゾーンに移動され、HIPE発泡体を形成する。加熱ゾーンに続いて、HIPE発泡体は紫外線ゾーンに移動され、未重合モノマーがそれらを重合させる紫外線に曝露される。
【0009】
高内相エマルション(HIPE)は、2つの相を含む。1つの相は、重合してHIPE発泡体を形成するモノマーと、HIPEの安定化に役立つ乳化剤とを含む連続油相である。油相は、また、1つ以上の光開始剤を含んでもよい。モノマー成分は、油相の約80重量%〜約99重量%、及びある特定の実施形態では、約85重量%〜約95重量%の量で存在し得る。油相に可溶性であり、かつ安定な油中水型エマルションの形成に好適な乳化剤成分は、油相の約1重量%〜約20重量%の量で油相中に存在し得る。エマルションは、約10℃〜約130℃、特定の実施形態では、約50℃〜約100℃の乳化温度で形成され得る。
【0010】
一般的に、モノマーは、油相の約20重量%〜約97重量%の、少なくとも1つの実質的に水不溶性である一官能性アルキルアクリレート又はアルキルメタクリレートを含む。例えば、この種のモノマーは、エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、テトラデシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ノニルフェニルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、テトラデシルメタクリレート、及びオクタデシルメタクリレート等のC〜C18アルキルアクリレート及びC〜C18メタクリレートを含み得る。
【0011】
また、油相は、油相の約2重量%〜約40重量%、特定の実施形態では約10重量%〜約30重量%の、実質的に水不溶性である多官能性架橋アルキルアクリレート及びメタクリレートを含み得る。この架橋モノマー又は架橋剤を添加して、得られるHIPE発泡体に強度及び弾性を付与する。この種の架橋モノマーの例は、2つ以上の活性化アクリレート、メタクリレート基、又はこれらの組合せを含むモノマーを含む。この基の比限定的な例としては、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,12−ドデシルジメタクリレート、1,14−テトラデカンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート(2,2−ジメチルプロパンジオールジアクリレート)、ヘキサンジオールアクリレートメタクリレート、グルコースペンタアクリレート、ソルビタンペンタアクリレート等が挙げられる。架橋剤の他の例は、エチレングリコールアクリレート−メタクリレート及びネオペンチルグリコールアクリレート−メタクリレート等のアクリレートとメタクリレート部分との混合物を含む。混合架橋剤中のメタクリレート:アクリレート基の比は、50:50から必要に応じて任意の他の比まで変動し得る。
【0012】
任意の第3の実質的に水不溶性であるコモノマーを、油相の約0重量%〜約15重量%、特定の実施形態では約2重量%〜約8重量%、油相に添加して、HIPE発泡体の特性を改変することもできる。ある特定の場合において、結果として得られるHIPE発泡体に強靱性を付与する、「強靱化」するモノマーが所望され得る。これらとしては、スチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、イソプレン、及びクロロプレン等のモノマーが挙げられる。理論に縛られるものではないが、かかるモノマーは、重合中(「硬化」としても知られている)HIPEを安定化させて、より優れた強靱性、引っ張り応力、耐摩耗性等が得られる、より均質かつ優れたHIPE発泡体を形成するのに役立つと考えられる。また、モノマーを添加して、2000年12月12日発行の米国特許第6,160,028号(Dyer)に開示されているように難燃性を付与することもできる。モノマーを添加して、色(例えばビニルフェロセン)、蛍光特性、耐放射線性、放射線不透過性(例えばリードテトラアクリレート)、電荷の分散、入射赤外光の反射、電波の吸収、HIPE発泡体支柱上における湿潤可能表面の形成、又はHIPE発泡体における任意の他の望ましい特性を付与することができる。場合によっては、これら追加モノマーは、HIPEのHIPE発泡体への変換プロセス全体を緩徐にする場合があるが、望ましい特性が付与される場合このトレードオフは必須である。したがって、かかるモノマーを用いて、HIPEの重合速度を減速させることができる。この種のモノマーの例は、スチレン及び塩化ビニルを含む。
【0013】
油相は、HIPEを安定化させるために用いられる乳化剤を更に含有してもよい。HIPEで用いられる乳化剤としては、(a)分岐鎖C16〜C24脂肪酸;直鎖不飽和C16〜C22脂肪酸;及び直鎖飽和C12〜C14脂肪酸のソルビタンモノエステル、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノミリステート、及びソルビタンモノエステル、ソルビタンモノラウレートジグリセロールモノオレエート(DGMO)、ポリグリセロールモノイソステアレート(PGMIS)、及びポリグリセロールモノミリステート(PGMM);(b)分岐鎖C16〜C24脂肪酸、直鎖不飽和C16〜C22脂肪酸、又は直鎖飽和C12〜C14脂肪酸のポリグリセロールモノエステル、例えば、ジグリセロールモノオレエート(例えば、C18:1脂肪酸のジグリセロールモノエステル)、ジグリセロールモノミリステート、ジグリセロールモノイソステアレート、及びジグリセロールモノエステル;(c)分岐鎖C16〜C24アルコール、直鎖不飽和C16〜C22アルコール、及び直鎖飽和C12〜C14アルコールのジグリセロール一脂肪族エステル、並びにこれら乳化剤の混合物を挙げることができる。1995年2月7日発行の米国特許第5,287,207号(Dyerら)、及び1996年3月19日発行の米国特許第5,500,451号(Goldmanら)を参照されたい。用いることができる別の乳化剤は、コハク酸アルキル、グリセロール、及びトリグリセロールから形成されるコハク酸ポリグリセロール(PGS)である。
【0014】
そのような乳化剤、及びそれらの組合せ物は、それらが、油相の約1重量%〜約20重量%、ある特定の実施形態では、約2重量%〜約15重量%、及びある特定の他の実施形態では、約3重量%〜約12重量%を構成するように、油相に添加され得る。ある特定の実施形態では、特に、例えば、約65℃を超えるより高い温度で、気泡サイズ、気泡サイズ分布、及びエマルションの安定性の更なる制御を提供するために、共乳化剤も使用され得る。共乳化剤の例には、ホスファチジルコリン及びホスファチジルコリン含有組成物、脂肪族ベタイン、長鎖C12〜C22二価脂肪族四級アンモニウム塩、短鎖C〜C二価脂肪族四級アンモニウム塩、長鎖C12〜C22ジアルコイル(アルケノイル)−2−ヒドロキシエチル、短鎖C〜C二価脂肪族四級アンモニウム塩、長鎖C12〜C22二価脂肪族イミダゾリニウム四級アンモニウム塩、短鎖C〜C二価脂肪族イミダゾリニウム四級アンモニウム塩、長鎖C12〜C22一価脂肪族ベンジル四級アンモニウム塩、長鎖C12〜C22ジアルコイル(アルケノイル)−2−アミノエチル、短鎖C〜C一価脂肪族ベンジル四級アンモニウム塩、短鎖C〜Cモノヒドロキシ脂肪族四級アンモニウム塩が挙げられる。特定の実施形態では、ジタロージメチルアンモニウムメチルサルフェート(DTDMAMS)を補助乳化剤として用いてもよい。
【0015】
光開始剤は、油相の約0.05重量%〜約10重量%、特定の実施形態では約0.2重量%〜約10重量%含まれ得る。少量の光開始剤は、HIPE発泡体により多くの光を透過させて、HIPE発泡体をより深部で重合させることができる。しかし、酸素含有環境で重合が行われる場合、重合を開始させ、かつ酸素阻害に打ち勝つのに十分な光開始剤が存在すべきである。光開始剤は、ラジカル、カチオン、及び重合反応を開始させることができる他の種の生成と共に、光源に速やかかつ効率的に応答することができる。本発明で用いられる光開始剤は、約200ナノメートル(nm)〜約800nm、特定の実施形態では約250nm〜約450nmの波長の紫外線を吸収することができる。光開始剤が油相中に存在する場合、好適な種類の油溶性光開始剤としては、ベンジルケタール類、α−ヒドロキシアルキルフェノン類、α−アミノアルキルフェノン類、及びアシルホスフィンオキシド類が挙げられる。光開始剤の例としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンと組合せられた2,4,6−[トリメチルベンゾイルジホスフィン]オキシド(Ciba Speciality Chemicals,Ludwigshafen,GermanyによりDAROCUR(登録商標)4265として販売されている、2つの50:50ブレンド);ベンジルジメチルケタール(Ciba GeigyによりIRGACURE 651として販売されている);α−,α−ジメトキシ−α−ヒドロキシアセトフェノン(Ciba Speciality ChemicalsによりDAROCUR(登録商標)1173として販売されている);2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン(Ciba Speciality ChemicalsによりIRGACURE(登録商標)907として販売されている);1−ヒドロキシシクロへキシル−フェニルケトン(Ciba Speciality ChemicalsによりIRGACURE(登録商標)184として販売されている);ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(Ciba Speciality ChemicalsによりIRGACURE 819として販売されている);ジエトキシアセトフェノン、及び4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)ケトン(Ciba Speciality ChemicalsによりIRGACURE(登録商標)2959として販売されている);及びオリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン](Lamberti spa,Gallarate,ItalyによりESACURE(登録商標)KIP EMとして販売されている)が挙げられる。
【0016】
HIPEの分散水相は、水を含み、また、反応開始剤、光開始剤、又は電解質等の1つ以上の成分を含んでもよく、特定の実施形態では、この1つ以上の成分は、少なくとも部分的に水溶性である。
【0017】
水相の1つの成分は、水溶性電解質であってもよい。水相は、水相の約0.2重量%〜約40重量%、特定の実施形態では約2重量%〜約20重量%の水溶性電解質を含有し得る。電解質は、主に油溶性であるモノマー、コモノマー、及び架橋剤も水相に溶解する傾向を最低限に抑える。電解質の例としては、カルシウム又はマグネシウム等のアルカリ土類金属の塩化物又は硫化物、及びナトリウム等のアルカリ土類金属の塩化物又は硫化物が挙げられる。かかる電解質は、リン酸塩、ホウ酸塩、及び炭酸塩、並びにこれらの混合物等の無機対イオンを含む、重合中にpHを制御するための緩衝剤を含み得る。水溶性モノマーを水相中で用いてもよく、例は、アクリル酸及び酢酸ビニルである。
【0018】
水相中に存在し得る別の成分は、水溶性フリーラジカル反応開始剤である。反応開始剤は、油相中に存在する重合性モノマーの合計モル数に基づいて約20モルパーセント以下存在し得る。特定の実施形態では、反応開始剤は、油相中の重合性モノマーの合計モル数に基づいて約0.001モルパーセント〜約10モルパーセントの量で存在する。好適な反応開始剤には、過酸化水素、過酸化ラウリル、t−ブチル過酸化水素、他の好適な過酸化物、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロリド、及び他の好適なアゾ反応開始剤、レドックス対、例えば、過硫酸塩−重硫酸塩、過硫酸塩−アスコルビン酸、およびその他が含まれる。ある特定の実施形態では、乳化系を詰まらせ得る早期重合の可能性を低減させるために、反応開始剤は、乳化直後又は乳化の終了間近に添加され得る。ある特定の実施形態では、乳化中の重合を阻害するために、少量の阻害剤が添加され得る。
【0019】
水相中に存在する光開始剤は、少なくとも部分的に水溶性であってよく、約0.05重量%〜約10重量%、特定の実施形態では約0.2重量%〜約10重量%の油相を含んでもよい。少量の光開始剤は、HIPE発泡体により多くの光を透過させて、HIPE発泡体をより深部で重合させることができる。しかし、酸素含有環境で重合が行われる場合、重合を開始させ、かつ酸素阻害に打ち勝つのに十分な光開始剤が存在すべきである。光開始剤は、ラジカル、カチオン、及び重合反応を開始させることができる他の種の生成を伴って、光源に速やかかつ効率的に応答することができる。本発明で用いられる光開始剤は、約200ナノメートル(nm)〜約800nm、特定の実施形態では約200nm〜約350nm、特定の実施形態では約350nm〜約450nmの波長の紫外線を吸収することができる。光開始剤が水相中に存在する場合、好適な種類の水溶性光開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンジル、及びチオキサントンが挙げられる。光開始剤の例としては、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド;2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジサルフェート脱水物;2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−エチルプロパン)ジヒドロクロリド;2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド];2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド;2,2’−ジカルボキシメトキシジベンザルアセトン、4,4’−ジカルボキシメトキシジベンザルアセトン、4,4’−ジカルボキシメトキシジベンザルシクロヘキサノン、4−ジメチルアミノ−4’−カルボキシメトキシジベンザルアセトン;及び4,4’−ジスルホキシメトキシジベンザルアセトンが挙げられる。本発明で用いることができる他の好適な光開始剤は、1989年4月25日発行の米国特許第4,824,765号(Sperryら)に列挙されている。
【0020】
前述の成分に加えて、他の成分はHIPEの水相又は油相のいずれかに含まれ得る。例としては、酸化防止剤、例えば、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン光安定剤;可塑剤、例えば、フタル酸ジオクチル、セバシン酸ジノニル;難燃剤、例えば、ハロゲン化炭化水素、リン酸塩、ホウ酸塩、無機塩、例えば、三酸化アンチモン又はリン酸アンモニウム又は水酸化マグネシウム;染料及び色素;蛍光剤;充填剤粒子、例えば、デンプン、二酸化チタン、カーボンブラック、又は炭酸カルシウム;繊維;連鎖移動剤;臭気吸収剤、例えば、活性炭微粒子;溶解ポリマー;溶解オリゴマー等が挙げられる。
【0021】
HIPE発泡体は、HIPEの連続油相を含むモノマーの重合から製造される。特定の実施形態では、HIPE発泡体は、1層以上の層を有してよく、均質又は不均質な高分子連続気泡発泡体のいずれかであってよい。均質性及び不均質性は、同じHIPE発泡体内の異なる層に関連し、これは均質なHIPE発泡体の場合類似し、不均質なHIPE発泡体の場合異なる。不均質なHIPE発泡体は、化学組成、物理的特性、又はこれらの両方に関して異なる少なくとも2層の異なる層を含んでよく;例えば、層は、発泡体の密度、ポリマーの組成、比表面積、又は孔径(気泡サイズとも呼ばれる)のうち1つ以上に関して異なってもよい。例えば、孔径に関して異なるHIPE発泡体では、各層の平均孔径は、少なくとも約20%、特定の実施形態では少なくとも約35%、更に他の実施形態では少なくとも約50%異なってよい。別の例では、HIPE発泡体の層における差が密度に関する場合、層の密度は、少なくとも約20%、特定の実施形態では少なくとも約35%、更に他の実施形態では少なくとも約50%異なってよい。例えば、HIPE発泡体の1層が0.020g/ccの密度を有する場合、別の層は、少なくとも0.024g/cc又は約0.016g/cc未満、特定の実施形態では少なくとも約0.027g/cc又は約0.013g/cc未満、更に他の実施形態では少なくとも約0.030g/cc又は約0.010g/cc未満の密度を有し得る。層間の差がHIPE又はHIPE発泡体の化学組成に関する場合、差は、例えば少なくとも約20%、特定の実施形態では少なくとも約35%、更なる実施形態では少なくとも約50%の、少なくとも1つのモノマー成分の相対量の差を反映し得る。例えば、HIPE又はHIPE発泡体のうち1層がその配合中に約10%のスチレンを含む場合、HIPE又はHIPE発泡体の別の層は、少なくとも約12%、特定の実施形態では少なくとも約15%を含むべきである。
【0022】
以下により詳細に説明するように、異なるHIPEから形成される別個の層を有するHIPE発泡体は、広範囲の所望の性能特性を有するHIPE発泡体を提供する。例えば、第1の発泡体層が第2の発泡体層よりも比較的大きな孔径又は気泡サイズを有する、第1及び第2の発泡体層を含むHIPE発泡体は、吸収性物品で用いられるとき、第2の層よりも迅速に入ってくる流体を吸収することができる。一例として、吸収性物品で用いられるとき、第1の発泡体層は、第1の発泡体層と比べて比較的小さな孔径を有する第2の発泡体層上に重層化することができ、これは、より大きな毛細管圧を発揮し、第1の発泡体層から獲得した流体を排出し、第1の発泡体層のより多くの流体を獲得する能力を復元させる。HIPE発泡体の孔径は、1〜200μmであり、ある特定の実施形態では、100μm未満であり得る。2つの主要な平行面を有する本発明のHIPE発泡体は、厚さ0.05〜10mmであり得、ある特定の実施形態では、2mm〜8mmであり得る。HIPEの所望の厚さは、HIPEを形成するために使用される材料、HIPEがベルト上に配置される速度、及び結果として得られるHIPE発泡体の意図される用途に依存する。
【0023】
本発明のHIPE発泡体は、比較的連続した気泡である。これは、隣接している気泡と実質的に遮られずに連通しているHIPE発泡体の個々の気泡又は孔を指す。このように実質的に連続気泡であるHIPE発泡体構造の気泡は、HIPE発泡体構造内である気泡から別の気泡へ流体を移送するのに十分な大きさの気泡内開口部又は窓部を有する。本発明の目的で、HIPE発泡体は、少なくとも1μmのサイズのHIPE発泡体中の気泡の少なくとも約80%が、少なくとも1つの隣接した気泡と流体連通している場合、「連続気泡」と見なされる。
【0024】
連続気泡であることに加えて、特定の実施形態では、HIPE発泡体は、HIPE発泡体が水流体を吸収できるのに十分な程度親水性であり、例えば、HIPE発泡体の内面は、重合後HIPE発泡体中に残る残留性親水化界面活性剤又は塩によって、選択された重合後HIPE発泡体処理手順(下記)によって、又はこれら両方の組合せによって、親水性にすることができる。
【0025】
特定の実施形態では、例えば、特定の吸収性物品で用いられるとき、HIPE発泡体は、可撓性であり、適切なガラス転移温度(Tg)を示すことができる。Tgは、ポリマーのガラス質状態とゴム質状態との間の遷移の中間点を表す。概して、使用温度よりも高いTgを有するHIPE発泡体は、非常に強くあり得るが、同時に非常に硬く、かつ破損しやすい可能性がある。特定の実施形態では、比較的高いTg又は過剰な脆性を示す本発明のHIPE発泡体の領域は、不連続である。これら不連続な領域も、一般に高い強度を示すので、HIPE発泡体の全体的な強度を損なうことなく低密度で調製することができる。
【0026】
可撓性を必要とする用途を意図するHIPE発泡体は、HIPE発泡体が全体的に、使用中の温度で許容可能な強度を有する限り、できるだけ低いTgを有する少なくとも1つの連続な領域を含むべきである。ある特定の実施形態では、周囲温度付近の条件で使用される発泡体におけるこの領域のTgは、約30℃未満、ある特定の他の実施形態では、約20℃未満である。使用温度が周囲温度よりも高いか又は低いかの適用で使用されるHIPE発泡体について、連続領域のTgは、使用温度よりも10℃未満高く、ある特定の実施形態では、使用温度と同一、及び更なる実施形態では、可撓性が所望される使用温度よりも約10℃低くてもよい。したがって、モノマーは、できるだけ低いTgを有する対応するポリマーを提供するよう選択される。
【0027】
本発明のHIPE発泡体は、婦人衛生物品、例えば、パッド、パンティライナー、及びタンポン;使い捨ておむつ;失禁用物品、例えば、パッド、成人用おむつ;ホームケア物品、例えば、ティッシュ、パッド、タオル;並びに美容ケア物品、例えば、パッド、拭き取り用品、及び毛穴洗浄のために使用される物品等のスキンケア物品等の吸収性物品において、吸収性コア材料として使用され得る。
【0028】
上述のもの及び図1に示されるものを用いてHIPEを生成するために、水相10及び油相20は、約8:1〜140:1の比率で合わせられる。特定の実施形態では、水相と油相との比は、約10:1〜約75:1、特定の他の実施形態では、水相と油相との比は、約13:1〜約65:1である。これは、「水/油」又はW:O比と呼ばれ、得られるHIPE発泡体の密度を決定するために用いることができる。上論のように、油相は、1つ以上のモノマー、コモノマー、光開始剤、架橋剤、及び乳化剤に加えて任意成分を含有してよい。水相は、水を含有し、特定の実施形態では、電解質、反応開始剤、又は任意成分等の1つ以上の成分を含有する。
【0029】
HIPEは、水相10と油相20との組み合わせから、これらの組み合わせられた相を混合チャンバ又は混合ゾーン30内で剪断撹拌することにより、形成することができる。合わせた水相10及び油相20は、剪断撹拌に供されて、所望のサイズの水滴を有する安定したHIPEを生成する。得られるHIPE発泡体が所望の構造的特徴を有する程度に水相液滴が分散している場合、エマルション作製プロセスによりHIPEを製造する。混合ゾーン30における水相10と油相20との組合せ物の乳化は、必要な剪断を付与することが必要な速度で一連の静的ミキサーに組合せられた水相と油相とを通すことによる、羽根車等の混合装置又は撹拌装置、又は両方の組合せの使用を含み得る。一旦形成されると、次いでHIPEを混合ゾーン30から引き出す又はポンプ吸引することができる。連続プロセスを用いてHIPEを形成するための1つの方法は、1992年9月22日に発行された米国特許第5,149,720号(DesMaraisら)、及び1998年10月27日に発行された米国特許第5,827,909号(DesMarais)に記載される。
【0030】
連続プロセスに関するある特定の実施形態では、HIPEは、混合ゾーンから引き出されるかポンプ吸引され、実質的に水平の方向に移動するベルト40上に配置されることによって、硬化オーブンのような加熱ゾーン50へ輸送できる。反応開始剤は、水相中に存在し得るか、あるいは図1に示されるように、反応開始剤60はHIPE作製プロセス中に、そしてある特定の実施形態では、HIPEが形成された後であるがHIPEがベルト40上に配置される前に導入され得る。HIPEは、ダイ、噴霧器、又は流延機等の1つ以上の配置デバイス70を介してベルト上に配置できる。図2に示されるように、本発明において、2つ以上のはっきりと異なるHIPEが生成でき、重合の後でそれらはHIPE発泡体中に2つ以上の明確に区別できる層、例えば第1のHIPE及び第2のHIPEを形成し、それぞれのHIPEは他のHIPEとは異なる個々の組成物(水相及び油相)又は特性の個々の組合せ、例えば、孔寸法、機械的特性等を有し得る。個々のHIPEは、1つ以上の個々の油相及び1つ以上の個々の水相、並びにそれらの組合せから形成できる。例えば、個々のHIPEは、2つ以上の異なる水相と組合せられる単一の油相、又は図2に示されるように、2つ以上の個々の油相21、22と組合せられる単一の水相11から形成できる。
【0031】
個々の水相11及び油相21、22は、別個の混合ゾーン31及び32に入り、次に個々のHIPEと同一の様式で配置される。例えば、本発明の連続プロセスでは、第1のダイ71は、1つのHIPE層をベルト40上に配置し、次に同一のダイ又は第2のダイ72は、図2に示されるように、第2のHIPEを第1のHIPEの上部に配置し得る。ある特定の実施形態では、ラジカルの同じ量が両方のHIPE層中に形成されるように、上部の第2のHIPEが下部の第1のHIPEと比較してより低い濃度の光開始剤を有してもよい。上述の連続方法を用いる別の実施形態では、ダイはベルトの上にHIPEを隣接して配置でき、ベルトでは個々のHIPEが互いに重なり合っても重なり合わなくてもよく、又は他の任意の手段により混合ゾーンから1つ以上のHIPEを移動させてHIPE発泡体を生成する。
【0032】
ベルトの例として、1つ以上の金属、樹脂、若しくはそれらの組合せで作製されるエンドレスベルト、又はベルト上に配置され、かつベルトとともに移動するフィルム等のシート材料が挙げられる。HIPEの平均厚さはベルトと接触しているHIPEの表面から反対側のHIPE表面までで測定されるで、HIPEの平均厚さはベルトの移動速度、ベルト上に配置されるHIPEの流れ、又はHIPEをベルト上に配置するために使用される1つ以上の配置デバイスの構成によって調節できる。
【0033】
ベルトは、HIPE発泡体を生成するのに好適な任意の厚さ又は形状であってもよい。更に、HIPEが配置されるベルトの表面は、実質的に滑らかであってもよく、あるいは凹部、凸部、又はそれらの組合せを含んでもよい。凸部又は凹部は、任意の構成又は順序で配置されてもよく、HIPE発泡体に、模様、デザイン、マーキング等を提供し得る。ベルトは、重合条件に適している(耐熱性、耐候性、表面エネルギー、耐摩耗性、再利用特性、引張り強度及び他の機械的強度等の種々の特性)1つ以上の材料を含んでもよく、フィルム、不織布材料、織布材料、及びそれらの組合せを含む群からの少なくとも1つの材料を含んでもよい。フィルムの例としては、用いることができるポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、及びテトラフルオロエチレン−エチレンコポリマー等のフッ素樹脂;ジメチルポリシロキサン及びジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサンコポリマー等のシリコーン樹脂;ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、及びパラ型アラミド樹脂等の耐熱性樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、及びポリシクロヘキサンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル樹脂;PBTとポリテトラメチレンオキシドグリコールとから形成されるブロックコポリマー(ポリエーテル型)及びPBTとポリカプロラクトンとから形成されるブロックコポリマー(ポリエステル型)等の熱可塑性ポリエステル型エラストマー樹脂が挙げられる。これらの材料は、単独で、又は2つ以上の材料の混合形で用いることができる。更に、ベルトは、2つ以上の異なる材料、又は同一の組成物であるが、品質若しくは厚さ等の1つ以上の物理的特徴において異なる2つ以上の材料を含む、積層体であり得る。ある特定の実施形態では、ベルト又はベルト上に配置されそれと共に移動するフィルムは、紫外線に透明であってもよく、ベルト、フィルム、若しくはそれら両方の下に配置される紫外線源からの紫外線光が、HIPE発泡体中のモノマーを重合できるようにする。
【0034】
ある特定の実施形態では、ベルト40は、HIPEを、HIPE中に存在するモノマーが重合する加熱ゾーン50の中に移動させる。理論に縛られるものではないが、HIPE発泡体の形成は、2つの重複するプロセスを含むと考えられる。これらは、モノマーの重合と隣接するポリマー主鎖の活性部位間の架橋形成とである。本明細書で使用される「重合させる」という用語は、HIPE発泡体を形成するためにモノマーを重合させる場合におけるように、モノマーの重合、及び隣接したポリマー主鎖上の活性部位間の架橋形成の両方を包含する。架橋は、HIPE発泡体に、更なる取り扱い及び使用に有用な強度及び一体性を付与する。本発明は、重合及び架橋の全体的な水準を上昇させ、それによってHIPE発泡体中の未重合モノマーの量を低減する。重合は、例えば、重合が開始するのに十分な温度でHIPEを調製することにより、加熱ゾーンに到達する前に開始させることもできる。しかし、HIPEは、加熱ゾーン中の成形可能地点又は成型可能地点を過ぎて重合する。加熱ゾーンのための熱は、例えば、HIPE上及び下、又はHIPEの周囲に位置するオーブンから送達され得る。熱は、強制空気オーブン、IR加熱ランプ、マイクロ波、蒸気、又は他の好適な熱源に由来してもよい。蒸気を用いる例として、加熱ゾーンは、蒸気トンネルであり得、HIPEが蒸気に曝露され、それによって、水がHIPE上で凝縮する際に、高度に効率的な熱移動を達成する。
【0035】
特定の実施形態では、重合速度を上昇させる、乾燥を開始させる、又は両方でHIPEがより完全に重合するように段階的な様式で温度を上昇してもよい。更に、HIPEの硬化は、モノマーの硬化を開始させるに十分な温度の任意の温流体からなる温液浴にウェブを通すことにより行うことができる。重合温度は、硬化されるエマルションの種類、使用される反応開始剤、使用される熱源、及び加熱ゾーンが密閉されるか否かによって変化するが、典型的には25℃であり、多くは50℃超である。ある特定の実施形態では、加熱ゾーン内の重合温度は、約50℃〜150℃に達し得る。HIPEは、HIPEの油相中のモノマーの少なくとも75%、好ましくは少なくとも90%を重合させるのに十分な時間、加熱ゾーン内で維持される。HIPEの十分な重合は、用いられる反応開始剤、加熱ゾーンの温度、加熱ゾーン内の熱移動効率、HIPEが加熱ゾーンを通過する速度、及び加熱ゾーンの長さの組合せにより制御することができる。
【0036】
加熱ゾーン50に続いて、ベルト40は、ほぼ重合したHIPE発泡体を、1つ以上の紫外線源を具備する紫外(UV)線ゾーン80に移動する。紫外線ゾーン80への未重合モノマーを含有するHIPE発泡体の曝露、及びある特定の実施形態では、1つ以上の光開始剤の曝露は、熱支援型重合の後に、HIPE発泡体の油相中の未重合モノマーの重合を開始する。紫外線源の例には、UVランプがある。HIPEモノマーを重合させるために用いられる1つ以上の紫外線源が存在してもよい。紫外線源は、ベルトの上又は下に配置される。紫外線源は、同じであっても異なっていてもよい。例えば、紫外線源は、生じさせる紫外線の波長、又はHIPEが紫外線源に曝露される時間の量が異なってよい。約200〜約800nm、及びある特定の実施形態では、約250nm〜450nmの範囲の紫外線光の波長は、光開始剤の紫外線吸収帯と少なくともある程度重なり合い、かつ未重合モノマーの重合を実質的に完了するのに十分な強度及び曝露期間である。理論に制限されるものではないが、HIPE等のエマルションの光を散乱させる傾向により、ある特定の実施形態では、この範囲における長い波長が、エマルションをより良好に貫通することができるという理由から、使用されるべきであると考えられる。紫外線の適用後、HIPE発泡体は、約10分未満、約30秒未満、約10秒未満、若しくは約1秒未満後に、400ppm未満、ある特定の実施形態では、100ppm未満、及びある特定の他の実施形態では、検出限界未満のppmの残留又は未重合モノマーを含有する。ある特定の実施形態では、全体のエマルション作製、重合、及びモノマー減少プロセスは、20分未満、更なる実施形態におけるある特定の他の実施形態では、15分未満、及び更に更なる実施形態では、5分未満かかる。
【0037】
重合後、得られるHIPE発泡体は、実質的に乾燥しているHIPE発泡体を得るために除去することが必要な水相で飽和している。特定の実施形態では、HIPE発泡体は、例えば、1対以上のニップローラ90を通してHIPE発泡体を移動させることにより、圧縮を用いて水相の大部分を圧搾除去することができる。ニップローラ90は、HIPE発泡体から水相を圧搾するように配置することができる。ニップローラ90は、多孔質であり、HIPE発泡体から水相を引き出すのに役立つように内部から適用される真空を有してもよい。ある特定の実施形態では、ニップローラ90は、第1のニップローラ90が孔を有するか、あるいはメッシュ様材料からなるベルト40等の液体透過性ベルト40の上に設置され、そして第2の反対側のニップローラ91が第1のニップローラ90に面し、かつ液体透過性ベルト40の下に設置されるように、対になって配置できる。ローラがHIPE発泡体から水相の吹きとばし及び水相の吸引の両方を行うために、対の一方、例えば第1のニップローラ90を加圧してもよく、更に対の他方、例えば第2のニップローラ91を真空にしてもよい。ニップローラを加熱して、水相の除去を補助することもできる。特定の実施形態では、ニップローラは、非剛性HIPE発泡体、即ち、HIPE発泡体の圧縮により壁が破壊されないHIPE発泡体にのみ適用される。更なる実施形態では、ニップローラの表面は、ニップローラを通過して移動するときにHIPE発泡体がエンボス加工され得るように、凸部、凹部、又は両方の形態の凹凸を含んでもよい。HIPEが所望の乾燥度を有するとき、目的の用途に好適な形態に切断又は薄切りすることができる。
【0038】
特定の実施形態では、ニップローラの代わりに、又はニップローラと組合せて、加熱されている乾燥ゾーン100にHIPE発泡体を送る、真空に曝露する、又は熱と真空曝露との組合せにより、水相を除去してもよい。例えば、強制空気オーブン、IRオーブン、マイクロ波オーブン、又は電磁波オーブンに発泡体を通すことにより、熱を印加してもよい。HIPE発泡体を乾燥させる程度は、用途に依存する。特定の実施形態では、50%超の水相を除去する。乾燥プロセス中に、特定の他の実施形態では、90%超、更に他の実施形態では、95%超の水相を除去する。
【実施例】
【0039】
高内相エマルション(HIPE)の調製及びそれらのその後の吸収性発泡体への重合が、以下の実施例で例示される。HIPE試料は、2つの層、すなわち、下部層及び上部層を含み、下部層は、30ミクロンよりも小さい平均孔径を有し、上部層は、約80ミクロンよりも大きい平均孔径を有した。
【0040】
A.小気泡層HIPEの形成
小気泡層の成分:
HIPEの下部小気泡層を調製するために、水相、油相、及び反応開始剤は、以下の表1に示される次の成分を含有した。
【表1】

【0041】
設備:
より小さい気泡のHIPEが、ミキサー及び再循環ポンプを備える装置内で調製される。静的ミキサーは、Sulzer(Sulzer Ltd.Zurcherstrasse 14,8401 Winterthur,Switzerland)によって製造される。直径3.81cm(1.5インチ)の標準パイプ内に嵌合するよう寸法決定されたSMX型ミキサーの48個の要素が、第1の混合ループ要素として使用された。それぞれの連続したセグメントが90度回転するように溶接される4組の12個の要素は、5.08cm(2インチ)のTri−Cloverクイックディスコネクト配管フランジと嵌合されたパイプの独立した区分内に嵌合される。
【0042】
水相は、水相がエルボの排出端に入り、再循環流れと並流し、両方ともに垂直下向きに前進するように、1.27cm(1/2インチ)のパイプをエルボ内に溶接して環が形成された、5.08cm(2インチ)のTri−Cloverクイックディスコネクト配管フランジで修正された4.763cm(1 7/8インチ)の90度の配管エルボを介して、再循環ループ内に導入される。1.27cm(1/2インチ)の環状パイプの端が内側に螺設され、静的ミキサーに向けて水相流入を方向づけるために、0.673cm(17/64インチ)の穴を有するセットスクリュがそれに穿設される。
【0043】
垂直に配向されたパイプを具備するSMXの3つの区分が、水相導入エルボに続く。流れは続いて、両方ともにTri−Clover取付け具を有する4.763cm(1 7/8インチ)の配管エルボである2つのエルボによって、最初に90度、次に45度向けられる。SMXミキサーの最後の区分は、再循環ポンプに対して入口の取付け具とほぼ同一の高度で流れを排出させるのに都合のよい角度で上向きに接続される。
【0044】
最後のSMXミキサーセグメントからの排出物は、円錐レジューサを通って2.22cm(7/8インチ)のT継手(T継手A)まで進む。T継手の1つの側面は、温度プローブと嵌合される同一の直径エルボに接続され、これは次に、別の2.22cm(7/8インチ)のT継手(T継手B)に接続する。T継手Bの1つの側面は、直径3.175cm(1 1/4インチ)及び長さ121.9cm(48インチ)のテフロン被覆ホースに接続する。ホースは、2.22cm(7/8インチ)のT継手(T継手C)のステム側に接続する。T継手Cのクロスピースの1つの側面は、再循環ポンプWaukesha Model 030 U2ローブポンプ(Waukesha Cherry−Burrell Company,Delavan,Wisconsin)の入口に上向きに接続される。T継手のクロスピースの他方の側面は、2.22cm(7/8インチ)〜1.59cm(5/8インチ)の円錐レジューサに下向きに接続される。円錐レジューサの小端部は、最初に直径が整合した穴を1.91cm(3/4インチ)のTri−Clover端末キャップに穿設することによって、管上に溶接される1.91cm(3/4インチ)のTri−Clover取付け具を有する0.953cm(3/8インチ)のステンレス鋼配管のカスタムメイド区分への1.91cm(3/4インチ)のTri−Clover接続を用いる。これは、管がT継手Cのステム側とT継手Cのクロスピースとの交点を通過して突き出ることを可能にする。Waukeshaポンプに向かって内側に突き出る管の端は内側に螺設され、0.278cm(7/64インチ)の穴が穿設されたセットスクリュと嵌合される。管の他方の端は、上述の方法と同一の方法で製造される、下向きに面する1.91cm(3/4インチ)のTri−Clover取付け具と嵌合される。
【0045】
Waukeshaポンプからの排出物は、温度プローブの小さいポート及びTri−Clover衛生器具を有する直径3.493cm(1 3/8インチ)×15.24cm(6インチ)のスプールピースに移動し、その後、6個の要素を含有する程度に十分長く、Tri−Clover取付け具と嵌合した端部を有するパイプの一区分中の3.175cm(1 1/4インチ)のKenics螺旋状静的ミキサー(Chemineer Inc.,Dayton,Ohio)の6個の要素に移動する。次に、Tri−Clover取付け具を有する3.493cm(1 3/8インチ)の90度の配管エルボ、直径3.493cm(1 3/8インチ)×15.24cm(6インチ)のスプールピース、これからガスを放出するための手段で嵌合される第2の直径3.493cm(1 3/8インチ)×15.24cm(6インチ)のスプールピース、全ての第1ステージの混合アセンブリのハイスポット、次いで、上述の水インジェクタエルボに接続する3.493〜4.763cm(1 3/8〜1 7/8インチ)の円錐形スプールピースに移動する。これで小気泡HIPEに関する混合ステージの説明を完結したことになる。
【0046】
供給ポンプ又は再循環ポンプが、流れの周期的な脈動を引き起こすことを見出した。その挙動を軽減するために、上述のT継手Aの自由端を、圧力を監視するための圧力変換器を具備するサージ吸収材アセンブリ、及び圧力変動を緩和するために異なる容量の空気をチャンバ内に維持させるように放出することができるチャンバに接続することができる。
【0047】
混合ステージからの排出物は、T継手Bからテフロン被覆した3.175(1 1/4インチ)の編みこみスチールホースを通って、1.27cm(1/2インチ)の代わりに0.953cm(3/8インチ)の配管を用い、かつ0.238cm(3/32インチ)の穿設した穴を有するセットスクリュと嵌合した、上述の水インジェクタエルボと同様のインジェクタ管配置と嵌合した2.54cm(1インチ)の配管エルボに流出する。反応開始剤溶液は、この配置を通って導入される。HIPEの排出物及び中心に導入された共線状の反応開始剤流量は、2.54cm(1インチ)のパイプ区分内にTri−Clover取付け具と嵌合するよう寸法決定されたSMXミキサーの12個の要素の一連の3つのセグメントに向かう。次に、流れは、円錐レジューサを通ってカスタムコートハンガー型ダイ内に前進する。次いで、ダイは、HIPEを、1分間当たり10メートルの速度で移動するエンドレスベルト上に堆積させる。
【0048】
HIPE形成:
この装置を起動するために、水相は約80℃まで加熱され、約2リットル/分の流量で上述の水インジェクタポイントに送達され、装置を適宜充填して、かつ装置を約65℃のループを有する温度表示デバイスによって示される温度まで余熱する。ポンプよりも高い位置にあるダイから水相が出てくることが観察されるときに、Waukeshaポンプを1分間当たり2リットルの理論的速度で起動し、ポンプを乾燥させない。
【0049】
装置温度に達すると、次に、油相は、0.5キログラム/分の速度で油相インジェクタに送達される。(水相は、1分間当たりのリットルで測定され、重合HIPE発泡体の理論的密度を説明するために油相は1分間当たりのキログラムで言及される。このことは、水相において、塩の濃度又は塩の種類を変化させ、かつキログラム単位で流量を再計算することなく、依然として同一密度の生成物を作製し、所望の製品を完成できることも意味する。)この開始ステージでの水対油の比率は、4:1である。油相の第1の導入から約5分後、ダイから流出する低粘度のHIPEが観察され得る。その時点で、水相温度設定値は、約72℃に調整され、かつ流量は、3分間にわたって、毎分2リットルから毎分8.107リットルまで均一に増加する。水相がHIPEの総質量の92%であるため、水相温度のみが制御される。水相流量の増加の開始と同時に起動する再循環ポンプは、毎分28リットルのポンプ流量を生み出すように、2分間にわたって均一に速度増加される。同様に水相流量の増加と同時に開始して、油相流量は、5分間にわたって0.313kg/分間の流量まで均一に減少される。0.031リットル/分でのアクリル酸ナトリウムの流れは、混合ループへの導入前に水相流れと混合され、かつ通常水相流量の変化中に開始される。均衡した状態では、再循環ループからの排出における水対油の比率は、26:1である。流量変化の最後におけるダイから流出するHIPEは、非常に粘度が高く、かつ非常に白い。全ての流量変化の完了から約2分後、反応開始剤が毎分0.313リットルの流量で導入され、総体的な水対油の比率を27:1にする。HIPEを硬化チャンバに輸送する、毎分10メートルで移動するベルト上に配置されるとき、結果として得られるHIPEの層は、約2.5mmの厚さである。
【0050】
B.大気泡層HIPEの形成
大気泡層の成分:
HIPEの上部大気泡層を調製するために、水相、油相、及び反応開始剤は、以下の表2に示される次の成分を含有した。
【表2】

【0051】
設備:
大気泡HIPEは、2組の静的ミキサー及び2つのループ配置における2つの再循環ポンプを備える装置内で調製される。静的ミキサーは、Sulzer(Sulzer Ltd Zurcherstrasse 14,8401 Winterthur,Switzerland)によって製造される。直径5.08cm(2インチ)の標準パイプ内に嵌合するよう寸法決定されたSMX型ミキサーの48個の要素が、第1の混合ループ要素として使用される。それぞれの連続したセグメントが90度回転するように溶接された4組の12個の要素は、6.35cm(2.5インチ)のTri−Cloverクイックディスコネクト配管フランジと嵌合されたパイプの独立した区分内に嵌合される。
【0052】
水相は、水相がエルボの排出端に進入し、再循環流れと並流し、両方ともに水平に対して約10度の角度で垂直上向きに前進するように、1.27cm(1/2インチ)のパイプをエルボ内に溶接して環が形成された、7.62cm(3インチ)のTri−Cloverクイックディスコネクト配管フランジで修正された6.033cm(2 3/8インチ)の90度の配管エルボを介して、再循環ループ内に導入される。
【0053】
1.27cm(1/2インチ)の環状パイプの端は内側に螺設され、かつ水相流入流れを静的ミキサーの方に向けさせるために、0.673cm(17/64インチ)の穴を有するセットスクリュがそれに穿設される。7.62cm(3インチ)のTri−Clover取付け具を有する、6.033cm(2 3/8インチ)の配管、15.24cm(6インチ)の長さのスプールピースは、インジェクタエルボを、水平に対して約10度で上向きに向けられたパイプを具備するSMXの2つの区分に接続させる。次に、流れは、両方ともにTri−Clover取付け具を有する6.033cm(2 3/8インチ)の90度の配管エルボである2つのエルボによって反対向きに変えられる。SMXミキサーの最後の2つの区分は、6.033cm(2 3/8インチ)で開始し、7.303cm(2 7/8インチ)まで拡張する円錐形アダプタに接続される。円錐形アダプタは、T継手のステムとクロスピースとの間の工程の中間の圧力変換器と嵌合される7.303cm(2 7/8インチ)の配管T継手(T継手A)のステム端に接続する。T継手Aの一側面は、7.303cm(2 7/8インチ)〜3.493cm(1 3/8インチ)の円錐形アダプタ、次いで3.493cm(1 3/8インチ)の90度エルボ、次いで2つの3.493cm(1 3/8インチ)の45度エルボに接続する。複数のエルボの使用は、多数の配管セグメントの嵌合を容易にする。45度エルボから、流れは、直径3.493cm(1 3/8インチ)、長さ5.08cm(2インチ)のスプールピース、その後、直径3.33cm(1 5/16インチ)、長さ66.68cm(26 1/4インチ)のスプールピースに続き、1 3.493cm(1 3/8インチ)の配管T継手(T継手B)のステム側に続く。T継手Bの上方交差開口部は、より小さい気泡HIPE油インジェクタに関して上で言及されたインジェクタと同様のインジェクタに接続される3.493〜1.58cm(1 3/8インチ〜5/8インチ)の円錐形スプールピースを備える油インジェクタアセンブリに接続する。T継手Bの下方交差開口部は、Waukeshaw Model 30 U2ローブポンプに取り付けられる。Waukeshawポンプからの排出物は、3.493cm(1 3/8インチ)の90度エルボに、次いで、3.18cm(1 1/4インチ)のパイプ中のKenics螺旋状静的ミキサーの6個の要素に接続する。3.493cm(1 3/8インチ)の90度エルボ、次に3.493cm(1 3/8インチ)の45度エルボが続き、次いで、3.18cm(1 1/4インチ)のパイプ中のKenics螺旋状静的ミキサーの別の6個の要素区分に続く。その後、温度プローブ取付け具を有する3.493cm(1 3/8インチ)のスプールピース、3.493cm(1 3/8インチ)の90度エルボ、最終的に3.493cm〜6.033cm(1 3/8インチ〜2 3/8インチ)のスプールピースは、6.033cm(2 3/8インチ)の90度配管エルボを装備する水インジェクタに接続する。
【0054】
T継手Aの他の横出口は、第2の水インジェクタT継手であるT継手C(6.033cm(2 7/8インチ))のクロスピースに接続する。1.59cm(5/8インチ)の水インジェクタ管は、環状になるようにT継手のステム側に向けられるT継手の上部に進入し、0.794cm(5/16インチ)の穴を穿設されたセットスクリュと嵌合される。T継手Cのステム側は、SMX静的ミキサーの12個の要素のうちの2つの6.35cm(2 1/2インチ)の標準パイプ区分に、次いで約10度の上向き傾斜の理由からT継手Cの方向に戻るが、それを越えて流れを方向づける2つの7.30cm(2 7/8インチ)の90度の配管エルボに接続し、外側に結合された配管区分及び内側に結合された配管区分の両方ともに、水平に対して相対的である。この配置は、ミキサー中の連行空気を最小限に抑えるために選択され、かつより小さい気泡HIPE構成において使用される際にガス抜きの必要性を回避する。6.35cm(2 1/2インチ)のSMXミキサーの最後の2つの区分は、それらの流れを、T継手、T継手Dのクロスピースとステムの交点で再び、圧力変換器を装備する別の7.30cm(2 7/8インチ)の配管T継手内に流す。T継手Dクロスピースの一側面は、7.30cm(2 7/8インチ)の90度の配管エルボに、次いで、Waukeshaw Model 130 U2ローブポンプ内に接続する。ポンプのより下方の排出は、温度プローブ取付け具を有する7.30cm(2 7/8インチ)の90度の配管エルボに接続し、かつ7.30cm(2 7/8インチ)の配管T継手、T継手Eのクロスピース端部に接続する。T継手Eの他のクロスピース端部は、T継手Cのクロスピース端部に接続し、第2の混合ステージのループを完了する。
【0055】
T継手Eのステム側は、7.30cm〜3.493cm(2 7/8インチ〜1 3/8インチ)の円錐レジューサに、次いで3.493cm(1 3/8インチ)の90度の配管エルボ、次いで上述の小気泡HIPE構成において説明されたアセンブリと同様のサージ吸収材アセンブリに接続する。T継手Dの残りの端部は、同様に、7.30cm(2 7/8インチ)の90度の配管エルボ、次いで7.30cm〜3.493cm(2 7/8インチ〜1 3/8インチ)の円錐レジューサ、次いで3.493cm(1 3/8インチ)の配管T継手、T継手Gのクロスピース側面まで進む。T継手Gのステム側が3.493cm×83.82cm(1 3/8インチ×33インチ)のテフロン被覆屈曲ホースまで進む一方で、T継手Gの他のクロスピース端部は、別のサージ吸収材まで進む。
【0056】
屈曲ホースは、0.318cm(1/8インチ)の穴を有する0.635cm(1/4インチ)のセットスクリュを装備した0.953cm(3/8インチ)のインジェクタ管を装備した3.493cm(1 3/8インチ)の90度の配管エルボを介してミキサーアセンブリに接続する。次に、反応開始剤及びHIPEは、直径4.45cm(1.75インチ)のパイプ内に嵌合するよう寸法決定されたSMX静的ミキサー中の48個の要素の中で混合される。この場合もやはり、12個の要素は、4つの配管セグメントのそれぞれにともに溶接される。次に、HIPEは、円錐レジューサを通ってコートハンガー型ダイを通過し、HIPEは、ダイの下を通過するより小さい気泡サイズのHIPE上に落水する。
【0057】
HIPE形成:
システムを開始するために、水相は、約80℃の温度において毎分2リットルの流量で第1のステージのインジェクタに、かつ同一の温度において毎分1リットルの流量で第2のインジェクタに送達される。水相が、どのポンプよりも高い位置にあるダイから出ることが観察されるとき、ポンプが起動される。温度プローブによって表示される内部温度が全て65℃を超えるとき、油相は、0.50kg/分の流量で油インジェクタに導入される。数分後、HIPEがダイから流出することが観察されるとき、第1の水温ターゲットは75℃に変更され、流量は、3分間にわたって均一に毎分2.828リットルに変更される。油相流量が5分間にわたって0.202kg/分に下げられるのと同時に、第1の再循環ポンプは、3分間にわたって均一に毎分8リットルに増加され、アクリル酸ナトリウム溶液供給原料は、毎分0.02リットルの流量で開始され、混合ループへの導入前に水と混合する。流量変化が完了した後、第2の水相流量は、2分間にわたって毎分り1リットルから1.596リットルに増加される。
【0058】
第2の水相流量変化の完了の際、反応開始剤溶液は、毎分0.404リットルの流量で、反応開始剤インジェクタに導入される。HIPEは、次に、24:1の内相比率で0.33メートル幅のダイに供給され、層の厚さは、1分間当たり10メートルで通過するより小さい気泡HIPEの上部に供給されるとき、1.5mmである。
【0059】
次に、HIPEは、モノマーの重合のために、ベルトによって硬化オーブンに移される。オーブンの内部温度は、約100℃で維持される。HIPEは、約8分間硬化オーブン内に滞在する。
【0060】
硬化オーブンに続いて、HIPEは、LC−6Bベンチトップコンベヤ(Fusion UV Systems,Inc.)と連結している長さ10.16cm(4インチ)の118.1W/cm(300W/インチ)Fusion H+バルブを装備するUVランプ(P300MT電源を用いるI300MBの照射器、Fusion UV Systems,Inc.,Gaithersburg,Maryland)下を(1分間当たり10メートルの速度で)通過する。
【0061】
UVランプ下の一回通過した際の定量的光測定値を、表3に示す。測定はPower Puck(10 Watt,EIT,Sterling,Va.)を用いて行われた。UVランプ下の複数回通過をシミュレートするために、試料がUVランプ下を通過した時点で、それはベルトから除去され、次に、試料が再びUVランプ下を通過するように、ベルト上に戻して設置される。次に、このプロセスは、必要に応じて繰り返された。
【表3】

【0062】
C.試験方法
上述の方法によって生成された(上部及び下部層の両方を含む)4つのHIPE発泡体試料は、キャピラリーカラム及び水素炎イオン化検出器(FID)を有するガスクロマトグラフ(GC)を用いて、残留(未重合)モノマーの濃度を決定するために測定された。過度のレベルの未重合モノマーは、HIPE発泡体を生成するために使用される方法における問題を示している。この方法で測定されたモノマーには、エチルヘキシルアクリレート(EHA)、エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)、及びエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)が含まれる。
【表4】

【0063】
試験手順
【表5】

【0064】
較正
1.50+/−5mgのEHA標準物質を秤量し(四捨五入して0.1mg単位で実重量を記録)、50mLのメスフラスコに入れ、シクロヘキサンで容量に希釈し、栓をして、よく混合する。
【0065】
2.約50+/−5mgのEHMA標準物質を秤量し(四捨五入して0.1mg単位で実重量を記録)、別個の50mLのメスフラスコに入れ、シクロヘキサンで容量に希釈し、栓をして、よく混合する。
【0066】
3.約50+/−5mgのEGDMA標準物質を秤量し(四捨五入して0.1mg単位で実重量を記録)、別個の50mLのメスフラスコに入れ、シクロヘキサンで容量に希釈し、栓をして、よく混合する。
【0067】
4.単一の25mLのメスフラスコに、上で調製された3つのフラスコのそれぞれからの1.0mLをピペットで移し、シクロヘキサンで容量に希釈し、栓をして、よく混合する(40+/−4μg/mLのEHA、EHMA、及びEGDMAを含有する混合標準物質をもたらす)。
【0068】
5.工程4で調製された溶液の0.25mLを、50mLのメスフラスコ内にピペットで移し、シクロヘキサンで容量に希釈し、栓をして、よく混合する(0.2μg/mLの混合標準物質をもたらす)。
【0069】
6.工程4で調製された溶液の0.25mLを、25mLのメスフラスコ内にピペットで移し、シクロヘキサンで容量に希釈し、栓をして、よく混合する(0.4μg/mLの混合標準物質をもたらす)。
【0070】
7.工程4で調製された溶液の0.25mLを、10mLのメスフラスコ内にピペットで移し、シクロヘキサンで容量に希釈し、栓をして、よく混合する(1.0μg/mLの混合標準物質をもたらす)。
【0071】
8.工程4で調製された溶液の0.50mLを、10mLのメスフラスコ内にピペットで移し、シクロヘキサンで容量に希釈し、栓をして、よく混合する(2.0μg/mLの混合標準物質をもたらす)。
【0072】
9.工程4で調製された溶液の1.0mLを、10mLのメスフラスコ内にピペットで移し、シクロヘキサンで容量に希釈し、栓をして、よく混合する(4.0μg/mLの混合標準物質をもたらす)。
【0073】
10.6個の別個の2mLのバイアル瓶を、以下:(1)=シクロヘキサンのみ(空)、(2)=0.2μg/mLの標準物質、(3)=0.4μg/mLの標準物質、(4)=1.0μg/mLの標準物質、(5)=2.0μg/mLの標準物質、(6)=2.0μg/mLの標準物質で充填する。
【0074】
11.それぞれのバイアル瓶を隔膜キャップでしっかりとキャップし、バイアル瓶をオートサンプラー内に装填する((1)から(6)の順序を維持することを確実にする)。
【0075】
12.GC分析プログラムを開始する。
【0076】
13.上の工程1〜3で記録されたEHA、EHMA、及びEGDMAの実重量に基づいて、工程12からの6個の標準バイアル瓶の分析からの結果と合わせて、それぞれのモノマーにおいてピーク面積対濃度の標準曲線を生み出すために、GCの線形回帰検定プログラムを利用する。
【0077】
サンプルの試験
1.かみそり刃を使用して、0.20〜0.40gの重量のHIPE発泡体の標本片を得る。
【0078】
2.化学天秤上で標本片を秤量し、四捨五入して0.1mg単位で重量(グラム単位)を記録する。
【0079】
3.はさみを使用して、標本片を小片(約1cm×1cm)に切断し、小片を40mLのバイアル瓶内に移す。
【0080】
4.ボトルトップのディスペンサーを使用して、30mLのシクロヘキサンをバイアル瓶に添加する。
【0081】
5.バイアル瓶をしっかりとキャップし、3回反転させて全ての標本片を確実に完全に湿らせ、シクロヘキサンへの残留モノマーの抽出を開始する。
【0082】
6.バイアル瓶を少なくとも16時間乱さずに保存し、抽出を継続させる。
【0083】
7.バイアル瓶を更に3回反転させ、抽出段階を完了させる。
【0084】
8.新しい(未使用の)使い捨てピペットを使用して、2mLのバイアル瓶を、40mLのバイアル瓶からのシクロヘキサン抽出物で充填し、2mLのバイアル瓶にする。
【0085】
9.2mLのバイアル瓶をしっかりとキャップし、バイアル瓶をGCサンプラー内に装填する。
【0086】
10.GC分析プログラムを開始する。
【0087】
報告
出力がμg/mLの単位になるようにGCをプログラム化する。この出力に30mLを掛け、次に、上の工程2からの試料重量(g)でその積を割り、μg/gの単位での結果を得る。四捨五入して1μg/g単位でEHA、EHMA、及びEGDMAの濃度を報告する。
【0088】
上述のように調製及び試験された4つのHIPE試料は、未重合エチルヘキシルアクリレート(EHA)モノマーのレベルについて試験され、その結果が、図3のグラフに示される。未重合EHAモノマーのレベルは、4つの試料の間で測定及び平均化され、図3のグラフに示される。グラフは、硬化オーブン内での重合後、試料が、約1400ppmの平均レベルの未重合EHAモノマーを有したことを示す。紫外線へのHIPE試料の曝露後、未重合EHAモノマーの量は紫外線への曝露の継続に従ってほぼ検出不可能な量まで減少し、本発明の方法が、HIPE発泡体へのHIPEの重合後に、未重合モノマーの量を減少させることを実証する。
【0089】
本明細書に開示した寸法及び値は、記述された正確な数値に厳しく限定されるものと理解すべきでない。むしろ、特に言及しない限り、そのようなそれぞれの寸法は、記述された値と、その値の周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0090】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は出願書類を含め、本明細書において引用される全ての文献は、明示的に除外ないしは制限されない限り、その全体を参考として本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、それが本明細書において開示され請求されるいずれかの発明に関する先行技術であること、又はそれが単独で若しくは他のいかなる参照とのいかなる組合せにおいても、このような発明を教示する、提案する、又は開示することを認めるものではない。いかなる文献の引用も、それが本明細書において開示され請求されるいずれかの発明に関する先行技術であること、又はそれが単独で若しくは他のいかなる参照とのいかなる組み合わせにおいても、このような発明を教示する、提案する、又は開示することを認めるものではない。
【0091】
本発明の特定の諸実施形態を図示し、記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが当業者には自明である。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の「特許請求の範囲」で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高内相エマルションを重合させることによって形成される高内相エマルション発泡体であって、
a)油相であって、
i)モノマーと、
ii)架橋剤と、
iii)乳化剤と、を含む、油相と、
b)水相と、
c)光開始剤と、
を含み、前記高内相エマルション発泡体が、400ppm未満の未重合モノマーを含む、高内相エマルション発泡体。
【請求項2】
100ppm未満の未重合モノマーを含む、請求項1に記載の高内相エマルション発泡体。
【請求項3】
前記光開始剤が、前記油相の約0.05重量%〜10重量%の光開始剤の量で存在する、請求項1又は2に記載の高内相エマルション。
【請求項4】
前記光開始剤が、約200nm〜約800nmの波長の紫外線を吸収する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の高内相エマルション。
【請求項5】
前記光開始剤が、ベンジルケタール類、α−ヒドロキシアルキルフェノン類、α−アミノアルキルフェノン類、又はアシルホスフィンオキシド類のうちの少なくとも1つである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の高内相エマルション。
【請求項6】
前記水相が、反応開始剤を含み、好ましくは前記反応開始剤が過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、又は2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロリドのうちの少なくとも1つである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の高内相エマルション。
【請求項7】
モノマーが、アルキルアクリレート又はアルキルメタクリレートのうちの少なくとも1つであり、好ましくは前記モノマーが、エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、テトラデシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ノニルフェニルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、テトラデシルメタクリレート、又はオクタデシルメタクリレートのうちの少なくとも1つである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の高内相エマルション。
【請求項8】
乳化剤が、分岐鎖C16〜C24脂肪酸;直鎖不飽和C16〜C22脂肪酸;直鎖飽和C12〜C14脂肪酸;のソルビタンモノエステル、分岐鎖C16〜C24脂肪酸;直鎖不飽和C16〜C22脂肪酸;直鎖飽和C12〜C14脂肪酸;のポリグリセロールモノエステル、又は分岐鎖C16〜C24アルコール;直鎖不飽和C16〜C22アルコール;直鎖飽和C12〜C14アルコール;のジグリセロールモノ脂肪族エーテルのうちの少なくとも1つである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の高内相エマルション。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−515820(P2013−515820A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546077(P2012−546077)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/060996
【国際公開番号】WO2011/081987
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】