説明

低下された温度を使用する樹状細胞の生産法

本発明は、特定の具体例において、前駆細胞又は未熟細胞の発育の間において、37℃未満の温度を使用することによって樹状細胞を生産する方法に関する。いくつかの具体例では、本発明は、樹状細胞集団及びその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、悪性腫瘍及び感染症疾患に対する免疫応答の誘導に有用な方法及び手段に関する。さらに詳述すれば、本発明は、抗原提示細胞を生産するための改善された方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天然の抗原提示機序を利用する樹状細胞系免疫療法は、最も有望な無毒性のガン治療法である。この療法は、単独の治療法として、又は他のタイプの治療法(例えば、外科手術療法、放射線療法及び化学療法)の補助として使用される。この療法のストラテジーは、腫瘍特異的免疫応答を誘導することを目的として免疫能を回避するために、細胞生産物を体外操作及び再導入することに基づくものである。このように、当該樹状細胞系免疫療法の究極のゴールは、腫瘍特異性エフェクター細胞のインビボ誘導にあり、近年の進歩は、腫瘍細胞を認識し及び殺すことができるCD8+ 細胞傷害性Tリンパ球(CTL)に集中している。加えて、例えば、HIVのような感染症疾患の治療は、樹状細胞系ワクチン接種ストラテジーが有用であろう。
【0003】
抗原提示
腫瘍特異的免疫応答の誘導は、膜表面結合形及び分泌形共刺激分子と共に、プロフェッショナル抗原提示細胞(APC)発現性の主要組織適合性複合体(MHC)分子を必要とする。さらに、このようなAPCは、MHC分子と関連して、抗原を取り込み、加工及び提示できるものでなければならない。
【0004】
樹状細胞(DC)は、ナイーブT細胞及びメモリーT細胞の両方を活性化する能力を持つ免疫系のプロフェッショナルAPCである。DCの成熟につながる段階は、細胞の特定の性質と関連する。未熟DCは、貧食作用又は飲作用による細胞外抗原の取り込み及びエンドソーム及びファゴソームのようなエンドサイトーシスコンパートメントにおける抗原のペプチドへの加工において特に良好である。ここで、ペプチドは、MHCクラスII分子に結合される。未成熟DCは、ペプチドを、外因性タンパク質から、提示のMHCクラスI経路へロードする(交叉提示と称されるプロセス)ユニークな能力を有する。
【0005】
CD4+ タイプ1ヘルパーT細胞(Th1細胞)及びCD8+ 細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を活性化することによって免疫応答を効果的に刺激する能力は、決定的に、成熟DCに左右される。膜結合共刺激及びアクセサリー分子(例えば、CD40、CD80、CD83、CD86及びMHCクラスII)のパネルを備えた充分に成熟したDCのみが、抗原特異性Tリンパ球の増殖及び分化を効果的に誘導できる1
【0006】
DCの共刺激活性の重要な役割は、分泌されたサイトカイン、特にIL-12p70によって提供される。T細胞の活性化及びそのTh1タイプ応答への分極における役割は、Heuflerら, (1996)1によって明確に説明されている。さらに、腫瘍におけるIL-12発現性成熟DCの存在と患者の生存率との良好な相関関係が、Inoueら, (2005)によって報告されている。ワクチン用の成熟DCは、限られた量のTh1細胞抑制サイトカインIL-10を生産する。
【0007】
CCR7は、リンパ節において間質細胞によって生産されるケモカインCCL19及びCCL21用の受容体である。充分なレベルの活性化CCR7を発現するDCが、CCL19又はCCL21に応答してリンパ節に移動する2。ここで、Tリンパ球と遭遇し、免疫応答を開始する。
【0008】
成熟DCの生産のプロトコル
成熟DCの生産については多くのプロトコルが開示されている。現在最も頻繁に使用されるDCの誘導のための「標準的」プロトコルは、IL-1β、IL-6、TNF-α及びプロスタグランジンE2からなる成熟カクテルを使用するものである。CCR7による移動活性及びインビボ免疫刺激活性にもかかわらず、このカクテルによって成熟されたDCは、IL12p70を生産する能力が低減されたDCを生産する3
【0009】
第2のグループのDC成熟プロトコルは、ポリイノシン‐ポリシチジル酸(ポリ-(I:C))を含んでなるものである。通常、TNFα、IL-1β、IFN-γ及びINF-αのようなサイトカインと組み合せて使用される。この方法によって生産されたDCはIL-12p70を生産するが、通常、CCR7を低レベルで発現する。ポリ-(I:C)の存在下で得られるDCの特徴であるCCR7の低レベル発現は、そのリンパ節へのインビボ移動を制限する。
【0010】
最近では、米国特許出願公開第2005/0003533号において、CCR7を発現する樹状細胞を成熟させ、続いて、CD40L刺激によって、IL-12p70の生産を誘導する方法が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このように、活性化CCR7を高レベルで発現する成熟樹状細胞を生産するための「標準化」方法(充分な量のIL-12p70も生産する)の開発に関するに解決の要求がなお存在している。
【0012】
さらに、多くの研究者の努力にもかかわらず、ガン治療において使用される樹状細胞系ワクチンは、一般的に、必ずしも充分でない臨床効果を持つ免疫応答を提供するものである。これらのワクチンは、主に、自系DCの体外操作及び抗原ローディングによって生産されている。患者の安全性についての増大する要求は、高レベルの再現性及び規制の問題に対するコンプライアンスを求めている。このように、効果的に免疫応答を誘導し、特に、改善された臨床応答を提供するエクイプトDCを適切に生産する方法についての強い要求がある。
【0013】
加えて、体外生産されたDCは、HIV及びB型肝炎及びC型肝炎のような、いくつかの慢性感染症疾患の治療(従来のワクチンは有効に機能しない)において、治療用ワクチンとしても適用される。臨床前及び初期臨床研究4〜5の結果は、DC系免疫療法が、HIV-1及びB型肝炎及びC型肝炎のような慢性感染症に罹った患者の治療の有望なストラテジーとなる得ることを示している。ガンの免疫療法と同様に、これら細胞内病原菌に対する有効な臨床応答は、CD8+ エフェクター細胞の発育に必要とされるTh1ヘルパー応答の誘導と関連する5。従って、体外生産された樹状細胞が、ガン及び慢性感染症疾患の治療の両方について同等の特性を有することが期待される。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1の態様において、本発明は、前駆細胞及び未成熟樹状細胞の発育の間、37℃未満の温度を使用することを特徴とする樹状細胞の生産法に関する。
【0015】
第2の態様において、本発明は、樹状細胞集団であって、前記樹状細胞が、前駆細胞及び未成熟樹状細胞の発育の間、37℃未満の温度を使用することによる樹状細胞の生産法によって生産されたものであることを特徴とする樹状細胞集団に関する。
【0016】
第3の態様において、本発明は、樹状細胞集団を含んでなる医薬組成物であって、前記樹状細胞が、前駆細胞及び未成熟樹状細胞の発育の間、37℃未満の温度を使用することによる樹状細胞の生産法によって生産されたものであることを特徴とする医薬組成物に関する。
【0017】
第4の態様において、本発明は、樹状細胞集団の、T細胞の刺激及び増殖のための使用であって、前記樹状細胞が、前駆細胞及び未成熟樹状細胞の発育の間、37℃未満の温度を使用することによる樹状細胞の生産法によって生産されたものであることを特徴とする樹状細胞集団の使用に関する。
【0018】
第5の態様において、本発明は、樹状細胞集団の、対象における免疫応答の誘導のための使用であって、前記樹状細胞が、前駆細胞及び未成熟樹状細胞の発育の間、37℃未満の温度を使用することによる樹状細胞の生産法によって生産されたものであることを特徴とする樹状細胞集団の使用に関する。
【0019】
第6の態様において、本発明は、樹状細胞集団の、ガン又は感染症疾患の治療又は予防用の医薬品の製造のための使用であって、前記樹状細胞は、前駆細胞及び未成熟樹状細胞の発育の間、37℃未満の温度を使用することによる樹状細胞の生産法によって生産されたものであることを特徴とする樹状細胞集団の使用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を下記に詳述する。解釈のため下記の定義を適用するが、単数形として使用する用語も、複数形を含むものであり、その逆の場合も含まれる。
【0021】
定義
ここで使用する「分化段階」は、細胞が特定の分化ファクターに応答して分化する段階を意味する。
【0022】
ここで使用する「成熟段階」は、細胞が成熟ファクターの存在に応答して成熟する段階を意味する。
【0023】
ここで使用する「低減された温度」又は「低下された温度」は、温度が37℃未満であることを意味する。
【0024】
樹状細胞を生産する方法は、J.H. Peter(インビトロにおいて、初めは自然に、後にはGM-CSF及びIL-4の存在下で、DC様細胞に変化する単球の能力4を初めて開示した)の周知の方法である。Romaniら, (1994)7及びSallusto及びLanzavecchia, (1994)8の刊行物の後、これら2つのサイトカインの存在下で培養された単球は、DCの調製に広く使用されるようになった。操作は、末梢血からの単球の単離及びGM-CSF及びIL-4の存在下における5〜7日間の培養によって開始される。得られる細胞は、低レベルの共刺激分子及び高細胞内活性によって特徴付けられる未成熟DCの特性を有する。LPS、TNF-α又は他の成熟剤によって誘導される成熟の間に、細胞は、顕著に、例えば、CD40、CD80、CD83及びCD86のような共刺激及びアクセサリー分子を上方調整し、細胞内活性を下方調整する。
【0025】
一般に、インビトロ細胞培養は37℃で行われる。ランゲルハンス細胞は皮膚の周囲温度、29〜31℃において機能的に活性であることが知られており、いくつかの研究では、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞及びブタ肺胞マクロファージのような細胞システムにおける低下された培養温度のインビトロにおける生物学的影響が実証されている。
【0026】
DCの活性化及び成熟についての熱様温度の影響を検討するBasuら, (2003)による研究とは対照的に、低減された温度は、いくつかのケースについて、哺乳類細胞の成長に関するその影響が検討されているにすぎない。Dexterら, (1977)は、造血幹細胞の培養における33℃の使用を示唆している9。Athanasas-Platsisら, (1995)は、単球上でのランゲルハンス細胞マーカーCD1aの発現が、37℃と比べて、34℃における24時間の培養の間に、上方調整されることを見出している。
【0027】
発明者らの認識では、だれも、低減された温度を使用することによる未成熟又は成熟樹状細胞の生産の仕方を開示していない。
【0028】
1具体例において、本発明は、前駆細胞及び未成熟樹状細胞の発育の間に、37℃未満の温度を使用する樹状細胞の生産法に関する。
【0029】
IL-10はDCの発生の負のレギュレーターであり、GM-CSFの存在下における単核細胞株の活性化の間に生産される11。Kirkleyら, (2003)は、LPSにて刺激されたマクロファージ細胞株によるIL-10の生産が、インキュベーション温度の37℃から31℃への低減に応答して、顕著に低減されたこと報告している。本発明の方法における低減された温度は、このように、例えば、低IL-10濃度により、DCの生産についての改善された条件を提供できる。
【0030】
未成熟DCのCD1a(IL-10の阻害作用に対して極めて敏感な分子)の発現レベルに対する、各種の温度(31℃、34℃及び37℃)においてGM-CSF及びIL-4の存在下で単球を培養する影響をテストした。発明者らは、より低い温度で生産されたDCは、より高い発現レベルを有するとの知見を得た。他の実験の全てを34℃で行った。次の知見は、培養基の上澄み液において検出されるIL-10のレベルが、より低い温度での培養では、明らかに低いことである。
【0031】
1具体例において、本発明は、生産される樹状細胞が成熟樹状細胞である方法に関する。
【0032】
1具体例において、本発明は、前駆細胞及び未成熟樹状細胞の生育が、前記細胞の分化を含むものである方法に関する。
【0033】
1具体例において、本発明は、分化の間、温度が37℃未満である方法に関する。
【0034】
1具体例において、本発明は、温度が31〜37℃である方法に関する。温度が、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃又は36℃のいずれかである。
【0035】
1具体例において、本発明は、温度が34℃である方法に関する。
【0036】
1具体例において、本発明は、前駆細胞が自系の前駆細胞である方法に関する。
【0037】
1具体例において、本発明は、前駆細胞が、骨髄性前駆細胞又は幹細胞から選ばれるものである方法に関する。
【0038】
1具体例において、本発明は、骨髄性前駆細胞が単球である方法に関する。
【0039】
他の具体例において、本発明は、本発明による方法によって生産された樹状細胞集団に関する。
【0040】
1具体例において、本発明は、前記細胞がCCR7及び/又はIL-12p70を発現するものである樹状細胞集団に関する。
【0041】
1具体例において、本発明は、前記細胞が、CD1a、CD14low、CD83、CD86及びIL-10lowを発現するものである樹状細胞集団に関する。
【0042】
1具体例において、本発明は、さらに、細胞表面でMHC分子と結合して存在する少なくとも1の抗原を含んでなる樹状細胞集団に関する。
【0043】
1具体例において、本発明は、前記少なくとも1の抗原が腫瘍抗原である樹状細胞集団に関する。
【0044】
1具体例において、本発明は、前記腫瘍抗原が、精巣ガン抗原、系統特異性分化抗原、ガン過剰発現抗原、突然変異又は異常発現抗原、及びウイルス抗原を含んでなる群から選ばれるものである樹状細胞集団に関する。
【0045】
さらに他の具体例において、本発明は、上述のような樹状細胞集団の、T細胞の刺激及び/又は増殖における使用に関する。
【0046】
1具体例において、本発明は、T細胞が自系のT細胞である、T細胞の刺激又は増殖における樹状細胞集団の使用に関する。
【0047】
1具体例において、本発明は、使用がインビトロでの使用である、T細胞の刺激又は増殖における樹状細胞集団の使用に関する。
【0048】
さらに他の具体例において、本発明は、樹状細胞集団の、対象における免疫応答の誘導のための使用に関する。
【0049】
さらに他の具体例において、本発明は、樹状細胞集団を含んでなる医薬組成物であって、前記集団が上記のようなものである、医薬組成物に関する。
【0050】
1具体例において、本発明は、医薬組成物の薬物としての使用に関する。
【0051】
1具体例において、本発明は、さらに、一般的なアジュバンド及び添加剤を含む、樹状細胞集団を含んでなる医薬組成物に関する。
【0052】
さらに他の具体例において、本発明は、樹状細胞の、ガン又は感染症疾患の治療又は予防用の医薬品の製造のための使用に関する。
【0053】
1具体例において、本発明は、ガンが、黒色腫、乳癌、結腸癌及び肺癌からなる群から選ばれるか、又は各種のガンのいずれかである、樹状細胞集団の、ガン又は感染症疾患の治療又は予防用の医薬品の製造のための使用に関する。
【0054】
1具体例において、本発明は、感染症疾患が、HIV及び肝炎を含んでなる群から選ばれるか、又は他の慢性の感染症疾患である、樹状細胞集団の、ガン又は感染症疾患の治療又は予防用の医薬品の製造のための使用に関する。
【0055】
実施例
次に、下記の実施例によって、本発明を詳述するが、これら実施例は本発明を制限するものではない。
【実施例1】
【0056】
低減された温度を使用する樹状細胞の生産
通常通り、樹状細胞を血液バンクから入手した軟膜から生産した。軟膜60mlを、Caフリー及びMgフリーのDulbecco's Phosphate Buffered Saline(DPBS, Product No. BE17-512F, Cambrex, ベルギー)60mlにて希釈し、それぞれ、Lymphoprep(Product No. 1053980, AXIS-SHIELD PoC AS, ノルウェー)15mlを収容する4個の50mltチューブに入れた。遠心分離(460g, 30分, 20℃)後、上方の血漿層10〜20mlを、別々のチューブに移した。これは約40%血漿(希釈血漿)であると評価した。血漿の最終的調製は、ヘパリン(25IU/ml)の添加及び遠心分離(1500g, 15分, 4℃)を包含してなる。単核細胞を界面から回収し、EDTA含有DPBSにて2倍に希釈し、4〜5回の遠心分離(1回目は250g、2回目は200g及び以後は150gにおいて, いずれの遠心分離も4℃において12分間)によって洗浄した。最後の遠心分離の前に、Coulter Counter(Beckman Coulter, モデルZ2)を使用して、細胞を計数し、単球の量を、平均サイズ約9μmを持つ細胞の数として評価した。細胞は−80℃において保存するか(10%DMSOにて希釈した血漿中, 1バイアル当たり単球107個)、又は直ちに実験に使用される。
細胞を、吸着媒体(2mM L-グルタミン及び2%血漿を補足したRPMI 1640(Cambrex))中に、単球2×106個/mlの濃度で再懸濁化した。細胞懸濁液5mlをT25非TC処理Falconフラスコに入れた。37℃における吸着1時間後、非付着性細胞を除去し、付着性細胞を温かいRPMI 1640にて2回すすぎ、各フラスコに、培養媒体(2mM L-グルタミン及び1%血漿を補足したRPMI 1640)7mlを添加した。
フラスコを、別個のCO2インキュベーターにおいて、各種の温度:31℃、34℃及び37℃に置いた。第1日、第3日及び第5日に、分化ファクターGM-CSF及びIL-4を、それぞれ、最終濃度100 ng/ml及び50ng/mlで添加した。
第6日に、TNF-αを最終濃度10ng/mlで添加して熟成を誘導し、インキュベーションの最後の24時間は、温度を37℃に上げた。
第7日に、細胞を回収し、FACS分析によってその表現型を測定した。直接共役する抗体:CD1a-フィコエリトリン(PE)、CD14-フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、CD83-PE、CD86-PE、HLA-DR, -P, -Q-FITC(いずれも、Pharmingen, Beckton Dickinson, ブロンビー, デンマークから入手)及びCCR7-FITC(R&D Systems Europe, アビントン, 英国)を使用して、細胞に付着させた。好適なアイソタイプコントロールを使用した。FACSCalibur Flow Cytometer(Beckton Dickinson)及びCELLQuestソフトウエアー(Bekton Dickinson)を使用して、サンプルを分析した。
代表的な実験の結果を図1に示す。低減された温度で培養した細胞の多くは、37℃において培養した細胞に匹敵するように、CD1aを発現するが、より低い温度で培養された細胞集団については、少ないCD83及びCD86+ 細胞が観察された。CD1aについての平均蛍光強度(MFI)は、37℃と比べて、31℃及び34℃での培養では2倍大きい。成熟度(CD83及びCD86を発現するDCの百分率によって判断される)は31〜34℃では低い。これは、低減された温度で培養された細胞の熟成ファクターに対する感度が低いか、又は熟成プロセス自体が温度37℃を要求することを反映している。
【実施例2】
【0057】
IL-10の生産に対する低減された温度の影響
単球の樹状細胞への分化の間に、IL-10(DCの負のレギュレーターである)の生産を調査した。第1日、第3日及び第5日に採取した培養上澄み液における濃度を測定した。IL-10の生産を、eBioscienceからの「Ready-Set-Go」キットを使用し、本質的に、製造者のアドバイスに従うと共に、いくつかの変更を加えて行うELISA(サンドイッチ法)(捕捉抗体(Ab)、標準品又はサンプル、ビオチン化検出Ab及びHRP-ストレプトアビジンを含む)によって測定した。Nunc maxisorp96ウェルプレートへの捕捉Abの一夜の結合及び洗浄の後、ブロッキング工程を、室温において少なくとも3時間で行った。IL-10の200 pg/mlから開始して、標準品の7連続希釈液によって、基準曲線を作成した。標準品及びサンプルを室温において2時間インキュベートし、続いて、4℃において一夜インキュベーションを行った。次の工程を、製造者のプロトコルに従って実施した。当該キットからのテトラメチルベンジジン基質溶液を、HRPの酵素反応において使用し、反応終了後、490 nm及び620 nmにおける読みの間の差として波長校正にて光学密度を測定した。このような実験の1つの結果を表2Aに示す。単球によるIL-10の自然な生産は、第1日の間は低く、第1日におけるGM-CSF及びIL-4の添加後は、顕著に上方調整された。34℃において第5日まで培養した細胞は、一般に、37℃において培養した細胞と比べて、顕著に少ない量のIL-10を生産した。第5日におけるいくつかのDC培養物のテストは、同様のパターンを示した(図2B)。37℃と比較して、34℃におけるIL-10の低減された生産は、第5日において細胞を洗浄し、これらを37℃に置き、第6日において変異誘導剤を添加し、第8日において上澄み液を集めた後まで続いた(図2C)。これらの結果は、37℃未満の温度で培養した細胞が、低IL-10生産の安定した表現型を獲得することを示している。
【実施例3】
【0058】
IL-12p70の生産に対する低減された温度の影響
発明者らは、IL-12p70の生産に対する温度の影響についても調査した。IL-12p70の生産を、ELISA(サンドイッチ法)(捕捉抗体(Ab)、標準品又はサンプル、ビオチン化検出Ab及びHRP-ストレプトアビジンを含む)によって測定した。IL-12p70についてのキット「DuoSet ELISA development System」(R & D Systems)を、本質的に、製造者のアドバイスに従うと共に、いくつかの変更を加えて使用した。Nunc maxisorp96ウェルプレートへの捕捉Abの一夜の結合及び洗浄の後、ブロッキング工程を、室温において少なくとも3時間で行った。IL-12p70の500 pg/mlから開始して、標準品の7連続希釈液によって、基準曲線を作成した。標準品及びサンプルを室温において2時間インキュベートし、続いて、4℃において一夜インキュベーションを行った。次の工程を、製造者のプロトコルに従って実施した。HRP用の基質溶液として、過酸化水素‐テトラメチルベンジジン混合物を使用し、酵素反応の終了後、490 nm及び620 nmにおける読みの間の差として波長校正にて光学密度を測定した。
【0059】
【表1】

【0060】
理解されるように(表1)、34℃において生産された細胞は、顕著に高いレベルでIL-12p70を生産する。
【実施例4】
【0061】
組織培養プラスチックの選択
発明者らは、2つのタイプの組織培養プラスチック:非組織培養ポリスチレン(PS)(Product No. 353813, T25 BD-Bioscience, 米国)及びプラスチックPrimaria(商標名)(Product No. 353813, T25 BD-Bioscience, 米国)を比較した。例えば、細胞外成分(フィブリノゲン及びフィブロネクチン)のような成分の源として2%自系血漿にて15〜45分間前処理したプラスチック表面を使用し、実験を、実施例1に記載の操作と同様にセットアップし、第5日までは、血清フリーのAIM-V媒体中、34℃において、その後は、培養物を37℃に置いた。変異誘導剤(TNF-α、IL-1β、IL-6及びプロスタグランジンE2)を第6日に添加し、培養物を第8日に回収した。
前駆細胞は、生育条件に応じて、マクロファージ又はDCに成長する選択肢を有する。培養数日後、マクロファージに成長するよう運命付けられている細胞は、付着性細胞培養物を形成し、一方、DCに成長するよう運命付けられている細胞は、よりルーズに付着した細胞培養物を形成する。最初は、等しい数の細胞が播種され、異なる組織培養プラスチックに付着される。光学顕微鏡による第6日からのDC培養物の検査は、プラスチックPrimaria(商標名)における付着細胞は、他のタイプのプラスチックにおいて生育する細胞と比較して、数が少ないことを示した。一般に、プラスチックPrimaria(商標名)において生育した培養物は、より「透明」であり(すなわち、残骸が少ない)、これは、変異の間に細胞死の度合が低いことを反映している。
発明者らは、プラスチックの前処理について、異なる濃度の血漿の使用をテストした。プラスチックPrimaria(商標名)を2%、10%、20%又は40%血漿にて処理したところ、DCの特性において顕著な差異は認められなかった(データについては示していない)。しかし、発明者らは、汚染リンパ球の量が、血漿濃度の10%までの増大につれて、減少することに注目した。従って、以下の実施例では、実施例1に記載の方法に、プラスチックPrimaria(商標名)を10%血漿にて処理する工程を含めることとした。
以下の実施例では、本発明の方法を、特に表示しない限り、下記のように行う「標準法」と比較した。
樹状細胞を血液バンクから入手した軟膜から生産した。軟膜60mlを、Caフリー及びMgフリーのDulbecco's Phosphate Buffered Saline(DPBS, Product No. BE17-512F, Cambrex, ベルギー)60mlにて希釈し、それぞれ、Lymphoprep(Product No. 1053980, AXIS-SHIELD PoC AS, ノルウェー)15mlを収容する4個の50mlチューブに入れた。遠心分離(460g, 30分, 20℃)後、上方の血漿層10〜20mlを、別々のチューブに移した。単核細胞を界面から回収し、カルシウム及びマグネシウムを含有しないPBS EDTAにて2倍に希釈し、3回の遠心分離(1回目は250g、2回目は175g及び最後は110gにおいて, いずれの遠心分離も4℃において12分間)によって洗浄した。最後の遠心分離の前に、Coulter Counter(Beckman Coulter, モデルZ2)を使用して細胞を計数し、単球の量を、平均サイズ約9μmを持つ細胞の数として評価した。
細胞を、吸着媒体(2mM L-グルタミン及び1%熱不活化自系血漿を補足したRPMI 1640(Cambrex))中に、単球2×106個/mlの濃度で再懸濁化した。細胞懸濁液5mlをT25非処理Primaria(商標名)フラスコに入れた。37℃における吸着1時間後、非付着性細胞を除去し、各フラスコに、培養媒体(2mM L-グルタミン及び1%血漿を補足したRPMI 1640)5mlを添加した。
第1日において、媒体を新鮮な媒体と交換した。第3日において、媒体を添加した。第5日において、全ての非付着性細胞を回収し、新鮮な媒体を収容するT25 Primaria(商標名)フラスコに入れた。
フラスコを、CO2インキュベーターにおいて37℃に置いた。第1日、第3日及び第5日に、分化ファクターGM-CSF及びIL-4を、それぞれ、最終濃度100 ng/ml及び50ng/mlで添加した。
第6日に、TNF-α又はサイトカインカクテル(IL-1、IL-6、TNF-α及びPGE-2)を添加して、変異を誘導した。
第7日に、細胞を回収し、FACS分析によってその表現型を測定した。
【実施例5】
【0062】
IL-12p70の生産
図3は、2日間(第7及び8日)のIL-12p70の生産の測定結果を示すものである。新規な方法によって生産された樹状細胞が、標準法によって生産された樹状細胞よりも、顕著に多い量のIL-12p70を生産したことを示すことができた。
【実施例6】
【0063】
CCR7の発現
CCR7の発現に対する低温の影響を調査するため、TNF-αのみを使用する代わりに、IL-1β、IL-6、TNF-α及びプロスタグランジンE2からなる変異カクテルを使用した。図4に示す実験結果は、新規な方法及び標準法によって、3種の異なる温度において比較したものである。CCR7の発現は、標準法と比べて、新規な方法によって多いことが認められた。
さらに、新規な方法によって生産された樹状細胞によるCCR7受容体の発現の相関性を、標準の細胞移動アッセイ(Chemotx Disposable Chemotaxis System(モデル116-5), Neuro Probe, ガイサースバーグ, メリーランド州, 米国)によってテストした。新規な方法によって生産されたDCによるケモカインCCL19に向かう樹状細胞の移動(官能性CCR7受容体の発現を証明する)が認められた(データについては示していない)。
【実施例7】
【0064】
細胞の収量
ここに記載の新規な方法は、標準法と比べて、増大された細胞収量を示した。3種の異なる操作において、テストした全ての温度(31℃、34℃及び37℃)において、標準法と比べて、新規な方法によって、より大きい細胞収量が認められた(表2参照)。
【0065】
【表2】

【実施例8】
【0066】
新規な方法によって生産されたDCのバッチ間マーカー変動
医学用の樹状細胞の生産についてのGMPの要件によれば、樹状細胞の特性におけるバッチ間変動は小さくなければならない。この目的のため、使用する試薬は全て同じロットのものを使用し、AIM-V媒体への添加物として0.5%自系血漿を使用して、8人の異なるドナーの血液からの樹状細胞の生産を3週間で行った。比較のため、標準法(37℃)を使用するDCの生産を行った。実験を、凍結解凍済みのPBMCについて行った。表3は、これらの実験において生産されたDCの特性を要約するものである。標準法によって生産されたDCの特性における大きい変動とは対照的に、新規な方法によって得られたDCの特性における変動は極めて低い度合であることが観察された。
【0067】
【表3】

【0068】
最後に、図5Aは、新規な方法によって生産された未成熟(第5日)及び成熟(第8日)樹状細胞の表現型を示している。ここでは、CD80、マンノース受容体(MR)及びランゲルハンス細胞の2つのマーカー(CD207(ランゲリン)及びE-カドヘリン)の発現についても測定している。理解されるように、本発明による方法によって生産された細胞はランゲルハンス細胞ではない。
図5Bは、新規な方法及び標準法によって生産された未成熟(第5日)及び成熟(第8日)樹状細胞の表現型を示している。ここでは、標準DCマーカーの発現用の細胞を染色した。未成熟細胞(第5日)は、よりクリーンなCD1a集団を示した。成熟集団(第8日)は、標準法と比べて、新規な方法によって生産された細胞において、高くかつ均一なHLA D、CD83及びCD86の発現を示している。CCR7も、新規な方法では、より均一に発現される。
【実施例9】
【0069】
新規な方法によって生産された樹状細胞の安定性
人間への注入後、樹状細胞は、T細胞を刺激するため、移動し、リンパ節に到達しなければならない。従って、DCは、数日間、その表現型を維持することが非常に重要である。安定性テストを実施する一般的方法は、第8日に細胞を回収し、サイトカインを洗い流し、刺激サイトカインの不存在下で細胞を連続培養するものである。細胞を、サイトカインなしで2日間培養することによって、この種の実験を行った。図6は、第8日に回収し、さらに2日間培養した後のDCのFACS分析の結果を示している。測定したパラメーター:CD1a、CD14、CD83、HLA-D及びCCR7の発現は、主として、未変化のままであり、このように、表現型は安定のままであることを示した。
同様の実験(第8日のサイトカインの洗い流しを行わない)では、第7日又は第10日に樹状細胞の表現型及び同種刺激(allostimulatory)活性の両方をテストした。図7A及び7Bは、それぞれ、表現型及び同種刺激活性を示す。結果は、同種刺激作用が、培養10日後もなお高く、第10日の表現型プロフィールが、第7日に測定されたプロフィールと類似していること(これは、生産された樹状細胞の高安定性を証明するものである)を示している。
【実施例10】
【0070】
新規な方法によって生産された樹状細胞による同種刺激
標準法及び本発明による方法によって得られたDCの同種刺激能を比較した。細胞を、5%ABヒト血清を含むRPMI 1640において培養した。反応細胞は、末梢血の軟膜の密度分離によって、健康なドナーから得られた単核細胞である。刺激細胞は、実施例4に記載したように、変異サイトカインカクテルに2日間露出した後に得られた放射線照射済み成熟樹状細胞である。刺激細胞(細胞0.1×106個/100μl)を、図8に示すように測定した個数(100μl中)の刺激細胞と混合し、U型底部の96ウェルマイクロプレートにおいて5日間培養した。最後の18時間、3H-チミジン(0.1μキュリー/ml)を添加した。続いて、シンチレーション計数のため、細胞を回収した。データを、4つの重複培養の平均cpm値として示す。DCの生産に使用した2つの方法の間の差異を評価するため、Wilcoxonテストを使用した。理解されるように、本発明による方法によって得られた樹状細胞は、3〜10倍高い同種刺激活性を有する。
【実施例11】
【0071】
新規な方法によって生産された樹状細胞による抗原提示
T細胞に抗原を提示するDCの能力を明らかにするため、INFγELISPOTアッセイを、生の又はCMVペプチドにてパルスしたDCによって刺激されたT細胞を使用して実施した。INFγELISPOTアッセイが単細胞についての明確な結果及びAPC放出INFγによって提示された抗原との遭遇の際に、T細胞についての明確な結果を提供するため、当該アッセイを選択した。使用するCMBペプチドはHLA-A2に制限され、ドナー材料は、HLA-A2+ であることが知られており、集団の80%がCMV応答を有するため、このウイルスモデルを選択した。図9は、ELISPOTアッセイの結果を示すものであり、CMVペプチドが負荷されたDCによって刺激されたT細胞から強い応答があることを示しており、これらDCがT細胞に対して抗原を提示できることを表している。
【0072】
参考文献
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5. Lu, W., Arraes, L. C., Ferreira, W. T.及びAndrieu, J. M.; 慢性HIV-1感染症のための樹状細胞ワクチン; Nat. Med., 10:1359_1365, 2004
6. Peters, J. H. ,Xu, H.,Ruppert, J., Ostermeier, D., Friedrichs, D.及びGieseler, R. K.; インビボにおいてヒト単球から樹状細胞を分化するために要求されるシグナル; Adv. Exp. Med. Biol., 329: 275_280, 1993
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10. Athanasas-Platsis, S., Savage, N. W., Winning, T. A.及びWalsh, L. J.; ヒト単球におけるCD1aランゲルハンス細胞マーカーの誘導; Arch. Oral Biol., 40: 157_160, 1995
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12. Kirkley, J. E., Thompson, B. J.及びCoon, J. S.; 温度は、RAW 264.7細胞によるリポ多糖類誘導サイトカインの分泌を変化させる; Scand. J. Immunol., 58: 51_58, 2003
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】DCの重要な共刺激及びアクセサリー表面分子に対する温度の影響を示すグラフである。
【図2】培養の初期の間にDCによって生産された(A)及び未成熟DCによって生産された(B)及び成熟DCによって生産された(C)IL-10の量に対する温度の影響を示すグラフである。
【図3】新規な方法及び標準法によって生産された未成熟樹状細胞による(A)及び成熟樹状細胞による(B,C)IL-12o70の生産に対する温度31℃、34℃及び37℃の影響を示すグラフである。
【図4】CCR7の発現に対する低温の影響を示すグラフである。
【図5A】本発明による方法によって生産された未成熟及び成熟DCの表現型を比較する図である。
【図5B】新規な方法に従って生産されたDCと標準法によって生産されたDCとの比較を示す図である。
【図6】成熟DCの表現型安定性の経時変化を示すグラフである。
【図7】第7日及び第10日におけるDCの表現型及び同種刺激(MLR)活性を示すグラフである。
【図8】本発明による方法及び標準法によって生産されたDCの同種刺激活性を示すグラフである。
【図9】IFN-γの誘導(ELISPOTアッセイ)によって測定したCMV-抗原の機能提示を示すものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前駆細胞及び未成熟樹状細胞の発育の間、37℃未満の温度を使用することを特徴とする樹状細胞の生産法。
【請求項2】
生産される樹状細胞が成熟樹状細胞である請求項1記載の方法。
【請求項3】
前駆細胞及び未成熟樹状細胞の発育が、前記細胞の分化を含むものである請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
分化の間、温度が37℃未満である請求項3記載の方法。
【請求項5】
温度が31〜37℃である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
温度が34℃である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前駆細胞が自系前駆細胞である請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前駆細胞が、骨髄性前駆細胞又は幹細胞から選ばれるものである請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
骨髄性前駆細胞が単球である請求項8記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の方法によって生産されたものである樹状細胞集団。
【請求項11】
細胞がCCR7及び/又はIL-12p70を発現するものである請求項10記載の樹状細胞集団。
【請求項12】
細胞が、CD1a、CD14low、CD83、CD86及びIL-10lowを発現するものである請求項10又は11記載の樹状細胞集団。
【請求項13】
さらに、細胞表面でMHC分子と結合して存在する少なくとも1の抗原を含んでなる請求項10〜12のいずれかに記載の樹状細胞集団。
【請求項14】
少なくとも1の抗原が腫瘍抗原である請求項13記載の樹状細胞集団。
【請求項15】
腫瘍抗原が、精巣ガン抗原、系統特異性分化抗原、ガン過剰発現抗原、突然変異又は異常発現抗原、及びウイルス抗原を含む群から選ばれるものである請求項14記載の樹状細胞集団。
【請求項16】
請求項10〜15のいずれかに記載の樹状細胞集団の、T細胞の刺激及び/又は増殖のための使用。
【請求項17】
T細胞が自系T細胞である請求項16記載の使用。
【請求項18】
使用がインビトロでの使用である請求項16又は17記載の使用。
【請求項19】
請求項10〜15のいずれかに記載の樹状細胞集団の、対象における免疫応答の誘導のための使用。
【請求項20】
請求項10〜15のいずれかに記載の樹状細胞集団を含んでなる医薬組成物。
【請求項21】
請求項10〜15のいずれかに記載の樹状細胞集団の、ガン又は感染症疾患の治療又は予防用の医薬品の製造のための使用。
【請求項22】
ガンが、黒色腫、乳癌、結腸癌及び肺癌を含む群から選ばれるものである請求項21記載の使用。
【請求項23】
感染症疾患が、HIV及び肝炎を含む群から選ばれるものである請求項21記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−518017(P2009−518017A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543659(P2008−543659)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際出願番号】PCT/DK2006/000694
【国際公開番号】WO2007/065439
【国際公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(508170793)ダンリド ビオテク アクティーゼルスカブ (1)
【Fターム(参考)】