説明

低周波数用の音響減衰器、低周波数用の音響減衰器を製造する方法、及び、例えば、製紙工場の空調ダクト内の低周波数を減衰するためのシステム

本発明は、例えば、製紙工場の空調ダクトのための低周波数のための音響減衰器(1)に関し、ダクト(2)内を進行する流れ(20)は、音響減衰器内を通過するように配置されることができ、音響減衰器は、音響減衰フレーム(3)を含み、音響減衰フレームは、空調ダクトと関連して配置されることができ、音響減衰フレームは、音響減衰フレームと関連して配置される流れダクト(4)と、板共振原理に従って動作する少なくとも1つの減衰部材(5)とを含む。減衰部材は、第一共振板(6)を含み、第一共振板の外表面は、流れダクトの内壁であるよう構成され、即ち、流れは前記外表面に沿って進行するよう構成され、枠組(7)を含み、第一共振板は、その内表面によって、枠組に取り付けられ、第二板を含み、第二板は、第一共振板と実質的に平行である。第二板は、その内表面によって、枠組に取り付けられ、それによって、第二板、枠組、及び、第一共振板は、少なくとも1つの減衰ユニット(10)を境界付ける。枠組に取り付けられる第一共振板は、鋼板であり、第一共振板は、レーザ溶接を使用して枠組に取り付けられ、枠組は、圧力均衡開口(11)を含む。本発明は、更に、低周波数のための音響減衰器(1)を製造するための方法、及び、例えば、製紙工場の空調ダクト(2)内で低周波数を減衰するためのシステムに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、以下に提示される独立項の前文に提示されるものに従った低周波数用の音響減衰器(消音器)、低周波数用の音響減衰器を製造する方法、及び、例えば、製紙工場内の空調ダクト内の低周波数を減衰するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場環境、例えば、製紙工場では、様々なファン及び真空ポンプが騒音問題を引き起こす。騒音は、工場から、空調ダクトを介して、直近の周囲に運び込まれる。環境保護及び工場付近地域の快適性に関する目的は、騒音問題を低減するための必要を生み出す。騒音制御では、様々な種類の減衰解決策が使用される。製紙工場内で従来的に使用される音響減衰器は、吸収原理によって動作し、典型的には、騒音のより高い500〜4000Hzの周波数成分を減衰する。新しい種類の所謂反応型音響減衰器を用いることで、より低い周波数も減衰することができ、よって、製紙工場によって引き起こされる周囲への騒音を著しく減少することができる。
【0003】
従来的な吸収減衰器では、音エネルギの一部が空調ダクト内に配置される多孔性材料内に吸収され、熱エネルギに変換される。反応型音響減衰器の効果は、減衰器構造の幾何学的特性を通じて、音波の反射又は共振減少の何れかに基づく。共振に基づく減衰器の種類の実例は、パイプ共振器、ヘルムホルツ共振器、及び、プレート共振器である。
【0004】
プレート共振器の動作は、共振音響システムの助けを受けた、音エネルギから熱への変換に基づく。共振器は非多孔性の板(プレート)又は膜から成り、板又は膜は外部の音響領域から空域を分離する。音エネルギの一部は、非多孔性の板の運動エネルギに変換され、非多孔性の板を通じて、空域の分子の運動エネルギに変換され、さらに、熱に変換される。空域内には、例えば、Dacron(TM)、ウール、又は、フォームプラスチックのような吸収性材料もあり得る。所謂共振周波数で最大の音減衰が得られ、空域の深さ及び膜又は板の表面重量が既知であるとき、共振周波数を計算し得る。板共振器は、ヘルムホルツ共振器と異なる。何故ならば、ヘルムホルツ共振器の板表面には開口があり、成形空気栓及びチャンバ空気の振動はその開口内で減衰をもたらすからである。システムの共振周波数、即ち、最大減衰に対応する周波数は、開口の面積及び開口内に形成される空気栓の長さにも依存する。
【0005】
製紙機からの排気は様々な不純物を含み、一部の場合には、大量の水分も含む。特に従来的な吸収型減衰器は汚れがちであり、多孔性材料の汚れは減衰を有意に弱める。保守−吸収型減衰器の洗浄又は交換は、典型的には、困難である。反応型減衰器の中でも、特に、ヘルムホルツ共振器は汚れがちであり、実際の穿孔付き共振膜の前で特別な保護膜を使用することが時折必要である。特に板共振器の利点は、汚れが減衰を弱めないことであるが、減衰をより低い周波数に移動する。しかしながら、一部の板共振減衰器の解決策は、工場環境では脆弱すぎることが分かった。課題は、工場条件に耐える解決策を用いて、十分な減衰をもたらすことであることが分かった。
【0006】
音響減衰器フレーム及び板共振減衰器の板の材料として、多くの異なる材料が試された。熱膨張は解決策において有害な効果を有し、その場合には、例えば、鋼製枠組をプラスチック板又はアルミニウム板と組み合わせられるとき、異なる材料が組み合わされる。熱膨張はプラスチック板又はアルミニウム板及び鋼製枠組に異なる方法で影響を及ぼし、それは減衰器の共振周波数内の、よって、減衰周波数範囲内の変質を招く。
【0007】
板共振金の板は、典型的には、例えば、ネジ止め又は溶接によって、減衰器の枠組に取り付けられる。しかしながら、溶接法によって引き起こされる大きな熱応力は、板又は枠組の形状に有害な変化を引き起こし得る。その結果得られる継目(シーム)は、必ずしも、満足な減衰構造を提供するほど十分に堅くない。
【0008】
1つの音響減衰器解決策が米国特許第5,268,541号に提示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術に現れる上述の問題を低減し或いは解消しさえすることが本発明の目的である。
【0010】
例えば、製紙工場内で、空調ダクト及び類似物の騒音を減少し得る解決策を提供することが、本発明の目的である。
【0011】
耐久性のある音響減衰構造を用いて十分な減衰をもたらす解決策を提供することが、本発明の他の目的である。
【0012】
材料及び寸法を正しく選択することによって、適切な周波数範囲だけのために減衰をもたらす解決策を提供することが、本発明の更なる目的である。
【0013】
音響減衰器が高温に耐え得ると同時に、共振周波数が一定に維持される解決策を提供することが、本発明の更なる目的である。
【0014】
洗浄が容易な音響減衰器を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この本文中で述べられる実施態様及び利点は、適用可能である場合には、たとえ常に特に述べられていないとしても、本発明に従った装置及び方法の双方並びにシステムに関する。
【0016】
本発明に従った典型的な音響減衰器を、音響減衰が適切である如何なる環境にも、例えば、製紙工場、パルプ工場、又は、厚紙工場に配置し得る。音響減衰器を、1つの空間から他の空間に空気を移動することが意図される構造、例えば、空調ダクト又は通気ダクトとの関連で配置し、それによって、ダクト内に進行する流れを、音響減衰器を通過するよう配置し得る。本発明に従った典型的な音響減衰器は、音響減衰フレームを含み、例えば、音響減衰フレームを空調ダクトとの関連で配置し得る。フレームを、例えば、ミネラルウール、フォームプラスチック、又は、Dacron(TM)で裏打ちし得る。絶縁層の厚さは、典型的には、50〜200mmである。個々の減衰フレームの高さは、好ましくは、500〜3500mmの間、例えば、約1200mm、1700mm、又は、2200mmである。減衰フレームの幅は、好ましくは、500〜3500mmの間、例えば、約1400mm、2200mm、又は、2400mmである。減衰フレームの深さは、好ましくは、500〜5000mmの間、例えば、約1600mm、1800mm、2000mm、2200mm、又は、2500mmである。
【0017】
本発明に従った典型的な減衰部材は、第一共振板を含み、その外表面は、流れダクトの内壁であるよう配置され、その外表面に沿って、流れが進行するよう構成される。本発明に従った典型的な減衰部材は枠組も含み、第一共振板は、その内表面によって枠組に取り付けられる。本発明に従った典型的な減衰部材は第二板も含み、第二板は、第一共振板と本質的に平行であり、第二板は、その内表面によって枠組に取り付けられ、それによって、第二板、枠組、及び、第一共振板は、少なくとも1つの減衰ユニットを境界付ける。必要であれば、枠組と板との間に残される空域を、ミネラルウール、フォームプラスチック、又は、Dacron(TM)のような絶縁材料で充填し得る。
【0018】
本発明に従った典型的な音響減衰器の枠組に取り付けられる第一共振板は、鋼板である。本発明に従った典型的な解決策において、第一共振板は、レーザ溶接を使用して枠組に取り付けられる。レーザ溶接の利点は、高い溶接速度、深く狭い溶接シーム、良好な再現性、及び、小さい熱ゾーンであり、それによって、枠組又は板が熱の故に形状を変更する危険性が減少される。本発明に従った典型的な音響減衰器の枠組は圧力均衡開口を含み、圧力均衡開口の助けを受けて、例えば溶接中に枠組及び板によって形成されるチャンバ内に起こる過圧を減少し得る。圧力均衡開口は、普通、枠組の内側から減衰部材の外側に至る。圧力均衡開口は、例えば、板又は枠組の1つにある弁、孔、又は、円形孔であり得る。開口の大きさは、好ましくは、5〜20mmの間である。円形孔の大きさは、例えば、約10mmであり得る。圧力均衡開口は、溶接シーム内の破断でもあり得る。圧力均衡開口又は破断された溶接シームの助けを受けて、減衰器の使用中に起こる圧力差も減少し得る。
【0019】
本出願において、共振板は、特定の固有周波数で振動するよう製造し得る板を意味するよう使用される。本出願において、枠組は、少なくとも1つの本質的な矩形を形成し、且つ、必要とされるときに、幾つかの本質的に矩形が形成されるよう複数部分に分割し得る構造を意味するよう使用される。枠組は板から形成され、その厚さは、好ましくは、0.5〜3mm、例えば、0.8〜1.5mmである。
【0020】
本発明に従った典型的な音響減衰器では、板共振原理に従って動作する少なくとも1つの減衰部材が空調ダクト及び音響減衰フレームとの関係で取り外し可能な方法で配置される。減衰部材と音響減衰フレームとの間には、例えば、レール部材を配置し得る。
【0021】
本発明の有利な実施態様において、音響減衰器の枠組は、少なくとも4つの本質的に矩形の板を含む。本発明の有利な実施態様において、枠組は、幾つかの本質的に矩形が枠組内に形成されるような方法で、幾つかの水平及び垂直な本質的に矩形の板の助けを受けて分割される。
【0022】
本発明の有利な実施態様において、枠組は、少なくとも主として複数の板から構成され、板は、第一共振板に対して少なくとも主として垂直である。
【0023】
本発明の有利な実施態様において、減衰部材及び音響減衰フレームの両方は、主として矩形のプリズムである。
【0024】
本発明の有利な実施態様において、減衰ユニットは、主として矩形のプリズムである。
【0025】
本発明に従った有利な装置において、音響減衰器の枠組は、第一共振板と同じ材料から成る。この有利な実施態様では、異なる材料の異なる熱膨張によって引き起こされる有害な影響を最小限化し得る。熱膨張が板及び枠組に同じように影響を及ぼすとき、減衰器の共振周波数は、温度の変化にも拘わらず一定である。本発明の有利な実施態様において、枠組及び共振板の両方の材料は、ばね鋼板である。鋼板は、典型的には、例えばプラスチック膜又はアルミニウム板よりも、製紙工場の空調ダクトのためのより耐久性のある解決策である。ステンレス鋼の利点は、とりわけ、耐酸性である。枠組及び共振板用の材料として、EN1.4404等級又は対応するASTM規格AISI316Lステンレス耐酸性鋼板を使用し得る。EN1.4404等級の鋼は少なくとも3%のモリブデンを含有するので、それは材料の耐食性を向上する。しかしながら、材料を容易に形成することができ、特に溶接に適している。
【0026】
本発明の実施態様において、第一共振板は、焼鈍し圧延鋼から製造される。第一共振板に加えて、枠組及び第二板も焼鈍し圧延鋼であり得る。
【0027】
本発明の実施態様において、共振板は連続レーザ溶接を使用して枠組に溶接され、それによって、それらの間のシームは少なくとも本質的に連続的になる。よって、その内側で均衡する圧力が圧力均衡開口を通じてのみ行われるように、減衰部材を本質的に気密に製造し得る。気密シームは、汚物及び水が減衰部材内に入り込むのも防止する。
【0028】
本発明に従った装置において、第一共振板の表面の方向における減衰部材の縁部の長さは、500〜3000mmであり、第一共振板の表面に対して本質的に垂直な減衰部材の縁部の長さは、50〜300mm、好ましくは、90〜210mmである。有利な実施態様において、第一共振板の表面の方向におけるより短い縁部の長さは、600、700、780、800、900、930、1000mm、又は、500〜1000mmの間であり、より長い縁部の長さは、約1000、1500、200mm、又は、800〜2200mmの間である。減衰部材の有利な形状及び寸法は、従来的な吸収型減衰部材を本発明に従った板共振型減衰部材と置換することを可能にする。音響減衰フレーム内に配置される吸収型減衰部材を、例えば、本発明に従った板共振減衰部材に切り換え得る。
【0029】
本発明に従った装置において、減衰部材は、1つ又はそれよりも多くの減衰ユニットを含み、本質的に第一共振板の表面の方向における縁部の長さは、200〜1500mmであり、第一共振板の表面に対して本質的に垂直な縁部の長さは、50〜150mm、好ましくは、90〜110mmである。有利な実施態様において、第一共振板の方向における減衰ユニットのより短い縁部の長さは、200〜400mmであり、より長い縁部の長さは、500〜1100mmである。減衰ユニットのための有利な寸法を選択することによって、並びに、共振板を適切な張力に溶接することによって、最大の減衰、即ち、共振周波数を適切な周波数範囲で設定し得る。共振周波数は、主として、減衰ユニットの空域の深さ及び板の表面重量に従って定められる。本出願では、共振周波数は、音響システムが最大振幅で振動する周波数、実際には、周波数範囲を意味する。共振周波数は、本出願中に提示される音響減衰器のために、それが生み出す減衰がその最強にある周波数範囲に対応する。
【0030】
本発明に従った有利な装置において、減衰部材内に含まれる第二板は鋼板であり、レーザ溶接を使用して枠組に取り付けられる。有利な実施態様において、第二板の材料は、バネ鋼板である。有利な実施態様において、第二板の材料は、EN1.4404等級の鋼である。
【0031】
本発明に従った装置において、減衰部材内に含まれる第二板は共振板であり、それによって、第一共振板と第二共振板との間の距離は、例えば、50〜300mmである。本発明に従った有利な装置において第一共振板と第二共振板との間の距離は、例えば、50〜250mmである。
【0032】
本発明に従った装置において、第三板が、枠組と関連して、第一共振板と第二共振板との間に、これらと実質的に平行に配置される。減衰ユニットが共振板の間に形成され、そのユニットにおいて、共振板の表面に対して本質的に垂直な縁部の長さが50〜150mmであるように、第三板は減衰部材を2つの部分に分割するよう配置される。本発明に従った有利な装置において、共振板の表面に対して本質的に垂直な減衰ユニットの縁部の長さは、90〜110mmである。そのような両側型共振部材を、例えば、空調ダクトの中央部分内に配置し得る。音響減衰フレームの壁の直ぐ近傍にある減衰部材は、片側型又は両側型の何れであってもよい。減衰部材を分割するよう配置される第三板の厚さは、好ましくは、0.5〜3mm、例えば、0.8〜1.5mmである。
【0033】
本発明に従った有利な装置において、第二共振板又は第二共振板の厚さは、0.1〜0.5mmである。本発明の一部の有利な実施態様において、第一共振板又は第二共振板の厚さは、0.10〜0.19mm範囲、0.10〜0.25mm範囲、0.10〜0.35mm範囲、0.25〜0.35mm範囲、0.25〜0.5mm範囲、又は、0.35〜0.5mm範囲のうちの何れかである。本発明の有利な実施態様において、第一共振板及び第二共振板の両方の厚さは、0.25〜0.35mmである。
【0034】
本発明に従った有利な解決策において、音響減衰器の共振周波数は、80〜800Hzの周波数範囲内にある。本発明の一部の有利な実施態様において、共振周波数は、80〜200Hz、100〜350Hz、200〜450Hz、又は、400〜800Hzの範囲の何れかにある。本発明の有利な実施態様において、音響減衰器の共振周波数は、80〜315Hzの範囲内にある。板共振器が特に(吸収型減衰の後に空調ダクト内に残される)これらの周波数を減衰するよう、板共振器を最適化し得る。
【0035】
本発明に従った有利な実施態様において、吸収型減衰に基づく少なくとも1つの音響減衰部材が、減衰フレーム内に更に配置される。製紙工場の空調ダクト内で従来的に使用される吸収型減衰器は、500〜4000Hz周波数成分を減衰する。フレーム内に従来的な吸収型減衰器を配置することによって、音響減衰器の最大減衰の周波数範囲を変更し得る。本出願において、吸収型減衰器は、音響減衰器を意味し、その機能は多孔性材料内への音エネルギの吸収に基づく。本出願において、吸収型減衰部材は、多孔性材料を含む上記特定された吸収型減衰器の一部を意味するよう使用される。
【0036】
本発明に従った音響減衰器のための典型的な製造方法において、減衰部材は、第一共振板及び第二共振板を本質的に矩形の枠組に取り付けることによって製造され、減衰部材は、音響減衰器のフレーム内に配置されることが意図され、それは、例えば、製紙工場の空調ダクトと関連して配置されることが意図される。本発明に従った典型的な方法において、第一共振板は、枠組に関連して更にレーザ溶接され、枠組内に配置される圧力均衡開口の助けを受けて圧力が均衡される。第一共振板は、共振周波数が80〜800Hzの間に設定されるような張力に溶接される。
【0037】
本発明に従った音響減衰器のための製造方法において、枠組に取り付けられる第一共振板の共振周波数は、板表面上に重みを配置することによって或いは膜又はテープを使用して或いは他の表面処理を用いて塗装することによって、所望のレベルに設定される。
【0038】
本発明に従った音響減衰器のための製造方法において、枠組に取り付けられる第一共振板の共振周波数は、共振板が叩かれるときに共振板によって生み出される音の周波数を測定することによって決定される。板がノックされるとき、板は板に固有の周波数、即ち、共振周波数で振動し始める。共振周波数は、再び、最大音響減衰の周波数に対応する。例えば、その目的に適したマイクロフォンを用いて、ノックによって生み出される音を測定し得る。
【0039】
例えば製紙工場の空調ダクト内の低周波数を減衰するための本発明に従った典型的なシステムは、吸収法に基づく少なくとも1つの音響減衰器と、板共振法に基づく少なくとも1つの音響減衰器とを含む。
【0040】
本発明に従った有利なシステムは、板共振法に基づく本発明に従った少なくとも1つの音響減衰器を含む。
【0041】
添付の概略的な図面を参照して、本発明を以下により詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】取り外し可能に配置される減衰器部材を有する音響減衰器フレームの本発明に従った一例を示す概略図である。
【図2】減衰器部材の本発明に従った一例を示す概略図である。
【図3】減衰器部材の枠組、第一共振板、第二板、及び、減衰器ユニットの本発明に従った一例を示す概略図である。
【図4】第三板を含む減衰器部材の本発明に従った一例を示す概略図である。
【図5】本発明に従った音響減衰器の測定結果を示すグラフである。
【図6】低周波数用の音響減衰器を製造するための方法の本発明に従った一例を示すフロー図である。
【図7】例えば製紙工場の空調ダクト内で低周波数を減衰するためのシステムの本発明に従った一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1は、本発明に従った音響減衰器1の実施例を概略図として示している。図面中の実施例において、音響減衰器1は、空調ダクト2との関係で配置されている。音響減衰器1は、音響減衰フレーム3を含み、音響減衰フレーム3は、流れダクト4を含む。減衰部材5が音響減衰フレーム3との関係で取り外し可能に配置されている。図面に従った実施例では、音響減衰フレーム3と減衰部材5との間に配置されるレール素子23の助けを受けて、減衰部材5を移動し得る。図面の実施例において、音響減衰フレーム3高さ24は、約2000mmであり、幅25は、約2400mmである。図面の実施例において、音響減衰フレームの深さ26は、約2200mmである。音響減衰フレーム内にドア27を配置し、減衰部材内にハンドル28を配置し得る。空調ダクト2内に進行する流れの主方向20が図面中に印されている。
【0044】
図2は、減衰部材5の本発明に従った実施例を概略図として示している。減衰部材は、枠組7と、第一共振板6とを含み、第一共振板は、その内表面によって、枠組に取り付けられている。第二板9が、その内表面によって、枠組7に更に取り付けられ、第二板は、共振板であり得る。第二板9、枠組7、及び、第一共振板6は、少なくとも1つの減衰ユニット10を境界付け、減衰ユニット10は、本質的には、矩形プリズムの形状にある。図面中の実施例において、枠組7の縁部は、4つの板で構成され、更なる1つの垂直板及び3つの水平板8が枠組内にあり、それによって、8つの減衰ユニット10がある。枠組7には、圧力均衡開口11が更に配置されている。図面中の実施例において、第一共振板6の方向における減衰部材5のより短い縁部12の長さは、約800mmであり、より長い縁部13の長さは、約1000mmである。第一共振板6の表面に対して垂直な方向における減衰部材5の縁部の長さは、図面中の実施例において約100mmである。
【0045】
図3は、本発明に従った減衰部材の枠組7の実施例を概略図として示している。枠組7は、少なくとも1つの本質的な矩形を作り上げ、必要なときには、それを複数部分に分割することができ、それによって、幾つかの本質的な矩形が形成される。図面中の実施例において、枠組7は、5つの水平な本質的に矩形の板8の助けを受けて、同じ大きさの6つの部分に分割される。図面中の実施例において、枠組7は、約1mmの厚さの板から構成される。第一共振板6及び第二板9と組み合わされるときに枠組が所望の大きさの減衰ユニット10を作り上げるよう、枠組7は分割される。本質的に第一共振板6の表面の方向における減衰ユニット10のより短い縁部15の長さは、図面中の実施例において200mmであり、より長い縁部16の長さは、500mmである。第一共振板6の表面に対して本質的に垂直な方向における縁部17の長さは、図面の実施例において100mmである。
【0046】
図4は、減衰部材5の本発明に従った実施例を示しており、そこでは、第三板9が、枠組7との関係で第一板6と第二共振板18との間に配置され、これらと本質的に平行に第三板19が配置され、減衰ユニット10が共振板の間に形成されるよう減衰部材5を2つの部分に分割し、そのユニットにおいて、共振板の表面に対して本質的に垂直な縁部17の長さは、図面中の実施例において100mmである。そのような両側減衰部材5を、例えば、空調ダクト2の中央部分に配置し得る。音響減衰フレーム3の壁の直ぐ近傍にある減衰部材5は、片側又は両側の何れかであり得る。減衰部材5を分割するよう配置される第三板19の厚さは、図面の実施例において1mmである。
【0047】
図5は、測定結果を示しており、そこでは、枠組に取り付けられる第一共振板6が打たれるときに第一共振板が生み出す音の周波数を測定した。水平軸では、周波数はヘルツHzの単位で表され、垂直軸では、容積がデシベルdBの単位で表されている。第一共振板6の表面が叩かれ(ノックされ)、本目的に適したマイクロフォンでボリュームが測定される。測定結果から描写されたグラフによれば、ノックによって引き起こされる音のボリュームは、その最大で、本質的に50〜500Hzの周波数範囲内にある。第一共振板6によって発生される音の周波数は、音響減衰器の最大減衰の周波数範囲に対応する。最大減衰は、有利に80〜800Hzの周波数範囲内にあり、例えば、80〜315Hzである。
【0048】
図6は、低周波数用の音響減衰器を製造するための本発明に従った方法の実施例をフロー図として示している。例示的な方法記載の段階61において、第二板9が枠組7に取り付けられる。方法段階62において、第一共振板6は、音響減衰器の共振周波数が80〜800Hzの間に設定されるよう枠組7にレーザ溶接される。圧力は圧力均衡開口11を用いて均衡63される。方法段階64において、第一共振板6の共振周波数は、表面処理を使用して所望のレベルに調整される。方法段階65において、第一共振板6の共振周波数は、測定によって決定される。実施例において、段階64及び65を完全に省略し得る。追求される測定結果が達成されるまで、方法段階64及び65を反復することもできる。方法段階66において、減衰部材5が音響減衰フレーム3内に取り外し可能に配置される。実施例の方法段階67において、音響減衰フレーム3は製紙工場の空調ダクトとの関係で配置される。
【0049】
図7は、例えば製紙工場の空調ダクト内で低周波数を減衰するための本発明に従った方法の実施例を示している。製紙工場の空調ダクト2との関係で、製紙工場の屋根29の上に、吸収方法に基づく音響減衰器22が図面の実施例において配置される。吸収方法に基づく減衰器に加えて、図面中の実施例における空調ダクトとの関係で、板共振器方法に基づく音響減衰器1が更に配置される。実施例において空調ダクト内を進行する流れの主方向20が図面中に印されている。複数の減衰器又はそれらの1つを屋根29の下の建物の内側にも配置し得る。
【0050】
本発明が上記に実施例として示された実施態様に限定されることは意図されておらず、以下に提示される請求項中に定められる範囲内でそれを広範に解釈することが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
例えば製紙工場の空調ダクトのための低周波数用の音響減衰器であって、
前記ダクト内を進行する流れを、当該音響減衰器内を通過するように配置することができ、当該音響減衰器は、音響減衰フレームを含み、該音響減衰フレームを、前記空調ダクトと関連して配置することができ、前記音響減衰フレームは、前記音響減衰フレームと関連して配置される流れダクトと、板共振原理に従って動作する少なくとも1つの減衰部材とを含み、
該減衰部材は、
第一共振板を含み、該第一共振板の外表面は、前記流れダクトの内壁であるよう構成され、即ち、前記流れは前記外表面に沿って進行するよう構成され、
枠組を含み、前記第一共振板は、その内表面によって、前記枠組に取り付けられ、
第二板を含み、該第二板は、前記第一共振板と実質的に平行であり、前記第二板は、その内表面によって、前記枠組に取り付けられ、
それによって、前記第二板、前記枠組、及び、前記第一共振板は、少なくとも1つの減衰ユニットを境界付け、
前記枠組に取り付けられる前記第一共振板は、鋼板であり、
前記第一共振板は、レーザ溶接を使用して前記枠組に取り付けられ、
前記枠組は、圧力均衡開口を含むことを特徴とする、
音響減衰器。
【請求項2】
前記音響減衰フレームと関連して少なくとも1つの減衰部材が取り外し可能な方法で配置されることを特徴とする、請求項1に記載の音響減衰器。
【請求項3】
前記枠組は、少なくとも4つの実質的に矩形の板を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の音響減衰器。
【請求項4】
前記枠組は、前記第一共振板に対して垂直な板で少なくとも主として構成されることを特徴とする、請求項1乃至3のうちの何れか1項に記載の音響減衰器。
【請求項5】
前記音響減衰フレーム及び前記減衰部材の両方は、実質的に矩形のプリズムであることを特徴とする、請求項1乃至4のうちの何れか1項に記載の音響減衰器。
【請求項6】
前記全水ユニットは、実質的に矩形のプリズムであることを特徴とする、請求項1乃至5のうちの何れか1項に記載の音響減衰器。
【請求項7】
前記枠組は、前記第一共振板と同じ材料から成ることを特徴とする、請求項1乃至6のうちの何れか1項に記載の音響減衰器。
【請求項8】
前記第一共振板は、連続レーザ溶接を使用して前記枠組に取り付けられることを特徴とする、請求項1乃至7のうちの何れか1項に記載の音響減衰器。
【請求項9】
前記第一共振板の表面の方向における前記減衰部材の縁部の長さは、500〜3000mmであり、前記第一共振板の前記表面に対して本質的に垂直な前記減衰部材の縁部の長さは、50〜300mmであることを特徴とする、請求項1乃至8のうちの何れか1項に記載の音響減衰器。
【請求項10】
前記減衰部材は、1つ又は幾つかの減衰ユニットを含み、本質的に前記第一共振板の前記表面の方向における縁部の長さは、200〜1500mmであり、前記第一共振板の前記表面に対して本質的に垂直な縁の長さは、50〜150mmであることを特徴とする、請求項1乃至9のうちの何れか1項に記載の音響減衰器。
【請求項11】
前記第二板は、鋼板であり、レーザ溶接を使用して前記枠組に取り付けられることを特徴とする、請求項1乃至10のうちの何れか1項に記載の音響減衰器。
【請求項12】
前記第二板は、共振板であり、前記第一共振板と前記第二共振板との間の距離は、100〜350mmであることを特徴とする、請求項1乃至11のうちの何れか1項に記載の音響減衰器。
【請求項13】
第三板が、前記枠組との関係で、前記第一共振板と前記第二共振板との間に、それらと実質的に平行に配置され、前記第三板は、前記共振板の間に減衰ユニットが形成されるように、前記減衰部材を2つの部分に分割するよう配置され、前記減衰ユニットにおいて、前記共振板の前記表面に対して本質的に垂直な前記縁部の長さは、50〜150mmであることを特徴とする、請求項1乃至12のうちの何れか1項に記載の音響減衰器。
【請求項14】
前記第一共振板又は前記第二共振板の厚さは、0.1〜0.5mm、好ましくは、0.25〜0.35mmであることを特徴とする、請求項1乃至13のうちの何れか1項に記載の音響減衰器。
【請求項15】
当該音響減衰器の共振周波数は、80〜800Hz、好ましくは、80〜315Hzの周波数範囲内にあることを特徴とする、請求項1乃至14のうちの何れか1項に記載の音響減衰器。
【請求項16】
吸収型減衰に基づき、少なくとも1つの音響減衰部材が、前記音響減衰フレームの内側に更に配置されることを特徴とする、請求項1乃至15のうちの何れか1項に記載の音響減衰器。
【請求項17】
低周波数用の音響減衰器を製造するための方法であって、
第一共振板及び第二板を本質的に矩形の枠組に取り付けることによって減衰部材を製造し、該減衰部材は、音響減衰フレーム内に配置されることが意図され、該音響減衰フレームは、例えば、製紙工場の空調ダクトとの関連で配置されることが意図され、
前記第一共振板は、前記枠組との関連でレーザ溶接され、
前記枠組内に配置される圧力均衡開口の助けを受けて圧力が均衡され、
前記第一共振板は、前記音響減衰器の共振周波数が80〜800Hzの間に設定されるような張力にレーザ溶接されることを特徴とする、
方法。
【請求項18】
前記枠組に取り付けられる前記第一共振板の前記共振周波数は、重量、塗装、箔、テープ、又は、他の表面処理を使用して所望のレベルに設定されることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記枠組に取り付けられる前記第一共振板の前記共振周波数は、前記共振板が叩かれるときに前記共振板によって生み出される音の周波数を測定することによって決定されることを特徴とする、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
例えば製紙工場の空調ダクト内の低周波数を減衰するためのシステムであって、
吸収法に基づく少なくとも1つの音響減衰器と、板共振法に基づく少なくとも1つの音響減衰器とを含む、
システム。
【請求項21】
前記板共振法に基づく少なくとも1つの音響減衰器は、請求項1乃至16のうちの何れか1項に記載の音響減衰器であることを特徴とする、請求項20に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−519055(P2011−519055A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503467(P2011−503467)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【国際出願番号】PCT/FI2009/050334
【国際公開番号】WO2009/133240
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(507009216)メッツォ ペーパー インコーポレイテッド (76)
【Fターム(参考)】