説明

低品質燃料からバナジウムを除去する方法及びシステム

【課題】 低品質燃料を精製するための方法及びシステムに関し、より詳細にはバナジウムの除去に関する。
【解決手段】 バナジウム含有燃料を処理する方法は、吸着材料を用いて燃料からバナジウムを抽出する段階と、燃料を軽質油分留と重質油分留とに分留する段階とを含む。軽質燃料留分は、少量のバナジウムを有する。燃料調製のためのシステムもまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低品質燃料を精製するための方法及びシステムに関し、より詳細にはバナジウムの除去に関する。
【背景技術】
【0002】
低品質燃料は安価な燃料であるので、多くの種類のエンジン、とりわけガスタービンに燃料を供給するのに使用することが望ましい。しかしながら、低品質燃料は多量の望ましくない汚染物質を含有する。低品質燃料内に存在する顕著な汚染物質はバナジウムである。バナジウムは、燃焼室内で酸化バナジウムVを形成し、これはガスタービン構成要素に対して極めて有害な腐食効果を有する。従って、低品質燃料をガスタービン内で使用できるようにする前に、低品質燃料からバナジウムを除去することが必要である。
【0003】
バナジウムの腐食効果を軽減するために、マグネシウムをベースとする化合物が低品質燃料に添加されることが多い。しかしながら、マグネシウムを添加剤として使用すると、内部ガスタービン部品への灰様の堆積物の蓄積が生じ、堆積物を除去するためガスタービンの定期的な運転停止とメンテナンスが必要となる。
【0004】
Zarchyに付与された米国特許第4,528,100号では、残留オイル内のバナジウム含量を低下する2段階プロセスを開示している。最初に、残留オイルは、超臨界又は従来型抽出によって油相とアスファルテン相とに分離される。バナジウムは、超臨界溶媒抽出法によってアスファルテン相から除去され、次いで、バナジウムを含まないアスファルテン相が、ガスタービン燃料として使用するために油相内に再溶解される。
【特許文献1】米国特許第3,936,371号公報
【特許文献2】米国特許第4,191,636号公報
【特許文献3】米国特許第4,376,695号公報
【特許文献4】米国特許第4,528,100号公報
【特許文献5】米国特許第4,645,589号公報
【特許文献6】米国特許第4,797,200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
低品質燃料からバナジウム化合物を除去するため全体的な信頼性及び可用性を向上させるより効率的なシステム及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの実施形態において、バナジウム含有燃料を処理する方法は、吸着材料を用いて燃料からバナジウムを抽出する段階と、燃料を軽質燃料留分と重質燃料留分とに分留する段階とを含み、これにより軽質燃料留分が少量のバナジウムを有するようにする。
【0007】
別の実施形態において、ガスタービンと一体化されたガスタービン用燃料調製システムは、バナジウム含有燃料を処理する分留ユニットを備え、上記ガスタービンは、分留ユニットに接続されて、処理される燃料を受入れ、ガスタービンからの排気をストリッピングガスとして分留ユニットに供給し且つ分留ユニットにエネルギーを提供する。
【0008】
別の実施形態において、ガスタービンと一体化されたガスタービン用燃料調製システムは、バナジウム含有燃料を処理する分留ユニットと蒸気を発生するボイラとを備え、上記分留ユニットは燃料を軽質燃料留分と重質燃料留分とに分離し、上記ガスタービンは軽質燃料留分を受入れるように分留ユニットに接続され、上記ボイラは燃焼用に重質燃料留分を受入れ、蒸気をストリッピングガスとして分留ユニットに供給するよう分留ユニットに接続され、分留ユニットにエネルギーを提供するようにする。
【0009】
様々な実施形態は、低品質燃料からバナジウム及び硫黄を除去してガスタービン用燃料を調製するための有効な方法及び一体化システムを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
単数形は、文脈で明確に別途指定されない限り、複数の指示対象物を含む。同じ特性を挙げる全ての範囲のエンドポイントは、独立して組み合わせることが可能であり、記載されたエンドポイントを包含する。全ての引例は引用により本明細書に組み込まれる。
【0011】
数量に関係して使用される修飾語句「約」とは、表示された値を包含し、文脈によって決定される意味を有する(例えば、特定量の測定値に関連する許容誤差を含む)。
【0012】
「任意選択的」又は「任意選択的に」とは、その後に続いて記載される事象又は状況が発生する場合もあれば、発生しない場合もあり、或いはその後に識別された材料が存在する場合もあれば、存在しない場合もあること、並びに当該説明が、事象又は状況が発生するか、或いは材料が存在する場合、及び事象又は状況が発生しない、或いは材料が存在しない場合を含むことを意味する。
【0013】
1つの実施形態において、バナジウムを含有する燃料を処理する方法は、吸着材料を用いて燃料からバナジウムを抽出する段階と、燃料を軽質燃料留分と重質燃料留分とに分留する段階とを含み、これにより軽質燃料留分は少量のバナジウムを有する。
【0014】
バナジウムを含有する燃料は、腐食性バナジウムを有する低品質燃料又は重質液体燃料のような燃料である。燃料は、原油及び瀝青質のような化石燃料、コーカーオイル、コーカーガスオイル、常圧及び真空残油、流動接触分解装置供給物、金属含有脱アスファルトオイル及びレジンといった処理/蒸留残留物、処理された残油並びに重油とすることができる。燃料はまた硫黄及び他の重金属も含有することができる。
【0015】
バナジウム含有燃料は、ある範囲のバナジウム含量を有することができ、何れかのレベルのバナジウムを処理することができる。1つの実施形態において、燃料は最大約1000重量ppmのバナジウムを有する。別の実施形態において、燃料は約0.2重量ppm以上のバナジウム含量を有する。別の実施形態において、燃料は約0.2重量ppmから約1000重量ppmのバナジウムを有する。1つの実施形態において、燃料は最大約3重量パーセントの硫黄を含む。別の実施形態において、燃料は約10重量ppm以上の硫黄を有する。別の実施形態において、燃料は約10重量ppmから約3重量パーセントの硫黄を含む。
【0016】
バナジウム含有燃料を分留すると、燃料が低沸点を有する軽質燃料留分と、高沸点を有する重質燃料留分とに分離される。メタン及びエタンのような低分子量炭化水素ガスから構成される気相分も存在することができる。軽質燃料留分は、分留液体の約70から約95容積%である。重質燃料留分は、分留液体の約5から約30容積%である。気相分は、分留液体の最大約10容積%の量で存在することができる。
【0017】
分留は分留ユニットにおいて行われる。分留ユニットは、分留カラム、蒸留カラム、充填カラム、ストリッピングカラム、気泡カラム、又は分留のための他の適切なカラムとすることができる。分留ユニットは、ポールリングのような充填材料で充填することができる。分留ユニットは、バナジウム含有燃料を分留するのに適切な温度に加熱される。1つの実施形態において、分留の温度は、約300゜Fから約1000゜Fの範囲にある。分留ユニットは、分留液体を沸騰させることによってユニットに熱を供給して、液体の分離を促進するためのリボイラを備えることができる。他の実施形態において、熱は、ストリッピングガスとして分留ユニットに付加される高温ガス又は蒸気によって提供することができる。
【0018】
リボイラが存在する場合には、リボイラは分留ユニットに熱を供給するために分留ユニットに接続される。1つの実施形態において、リボイラは分留ユニットの底部に接続される。リボイラは、分留ユニットの底部からの液体流を受け入れ、当該液体を部分的又は完全に気化し、これが分留ユニットに戻されて分留を促進する。
【0019】
ストリッピングガスは、バナジウム及び他の重金属のような汚染物質の除去に役立ち、分留ユニットに熱を提供するのに使用することができる。ストリッピングガスは、煙道ガス又は排気ガスもしくはストリームのような高温不活性ガスとすることができ、リボイラ又は他のボイラ手段によって提供できる。1つの実施形態において、高温ガスは排気ガスとすることができる。別の実施形態において、排気ガスはガスタービンエンジンからのものとすることができる。
【0020】
低沸点を有する軽質燃料留分は、分留ユニットの上部に上昇し、分留ユニットの上部から取り出することができる。気相分が存在する場合には、同様に軽質燃料留分と共に分留ユニットの上部から取り出されることになる。軽質燃料留分は液体形態に凝縮される。軽質燃料留分は、低レベルのバナジウムを有し、ガスタービンへの燃料供給に使用することができる。気相分が存在すると、気相分は凝縮されず、気体状態が維持される。従って、気相分はセパレータ内で液体燃料留分と分離することができる。気相分は、当該気相炭化水素ガスを燃焼するのに適切な気相分をガスノズルを通じてガスタービンに送給することによって、ガスタービンへの燃料供給に使用することができる。気相分は、フレア装置、熱酸化器又は他の種類のバーナーを用いて除去することができ、或いは、分留ユニットに熱を供給するために加熱炉内で燃焼することができる。
【0021】
高沸点を有する重質燃料留分は、分留ユニットの底部に沈積し、分留ユニットの底部から取り出される。バナジウムの大部分は重質燃料留分内に沈積し、重質燃料留分と共に取り出される。重質燃料留分は、廃棄され、燃焼され、ディーゼルエンジン用に使用することができ、或いは更に加工処理することができる。重質燃料留分は、部分酸化ユニット又は自己熱分解ユニットで酸化することができる。酸化されたバナジウムは、酸化物として重質燃料留分から沈積し、酸化によって生成した灰分と共に除去することができる。重質燃料留分の残りの部分は、低レベルのバナジウムを有し、ガスタービン用燃料として使用することができ、或いは合成ガスのような別の形態の燃料を製造するのに用いることができる。
【0022】
1つの実施形態において、バナジウム含有燃料は、特に処理される燃料が極めて重質であるときに、重金属を酸化するための分留の前に部分酸化ユニット又は自己熱分解ユニットに送られることができる。
【0023】
軽質燃料留分は、凝縮器内で凝縮される。凝縮器は、何れかの種類の従来型凝縮器とすることができる。凝縮器の温度は、軽質燃料留分の液体への凝縮に好適であるが、何れかの気相分を凝縮する程には十分に低温ではない。1つの実施形態において、凝縮器の温度は約300゜Fから約600゜Fである。
【0024】
凝縮した軽質燃料留分は、セパレータ内で何れもの気相分から分離することができる。セパレータは、液体と気体とを分離するための何れかの種類の従来型セパレータとすることができる。1つの実施形態において、セパレータは遠心分離機とすることができる。
【0025】
抽出は、分留ユニットと別個に、或いは分留ユニット内で行うことができ、分留と同時に行うこともできる。バナジウムは、吸着材料によってバナジウム含有燃料から抽出される。吸着材料は、分留ユニット又は使用される他の吸着カラム内部にバナジウムを捕捉することによって燃料からバナジウムを除去する。1つの実施形態において、分留ユニットは吸着材料を内蔵する。別の実施形態において、吸着材料は、蒸留カラム、分留カラム、充填カラム、ストリッピングカラム、気泡カラム、又は分留のための他の適切なカラム内に充填される。別の実施形態において、吸着材料は分留ユニット用の充填材料とすることができる。吸着材料は、カラム内のバナジウムを取り出して捕捉し、分留のための気−液接触表面を提供することによって分留の助けとする。
【0026】
別の実施形態において、1つ又はそれ以上の吸着カラムが、分留ユニットと別個に使用することができる。吸着カラムは、吸着材料で充填され、1つ又はそれ以上の抽出部位を提供するために分留ユニットの下流側に配置することができる。
【0027】
吸着材料は、従来方法によって分留ユニット又は他の吸着カラムに付加される。1つの実施形態において、吸着材料は、蒸留カラム、分留カラム、充填カラム、ストリッピングカラム、気泡カラム、或いは充填剤による分留又は吸着のための適切なカラムに付加される。別の実施形態において、ポールリングのような蒸留充填媒体がバナジウム吸収材料でコーティングされ、蒸留カラム内に充填される。
【0028】
吸着材料は、何れかの適切なバナジウム吸収材料とすることができる。1つの実施形態において、吸着材料には、酸化マグネシウム、酸化コバルト、酸化モリブデン、活性炭、ゼオライト又はこれらの組み合わせが挙げられる。吸着材料は、使用されている分留ユニット又は他の種類の吸着カラム内部にバナジウムを捕捉することによって燃料からバナジウムを除去する。吸着材料がバナジウムで飽和されると、材料の吸着能力は、定期的運転停止の間の酸抽出によって再生することができる。
【0029】
吸着材料は、バナジウム含有燃料からバナジウムを除去するのに十分な何れかの量で使用することができる。1つの実施形態において、吸着材料の量は、燃料の重量基準で約1から約100重量パーセントである。別の実施形態において、吸着材料の量は、燃料の重量基準で約5から約50重量パーセントである。別の実施形態において、吸着材料の量は、燃料の重量基準で約5から約30重量パーセントである。
【0030】
処理される燃料は、低レベルのバナジウムを有し軽質燃料留分から得られる燃料である。バナジウムの実際の量は、燃料内の最初の量に応じて変わることになる。1つの実施形態において、処理される燃料は、約1重量ppm以下のバナジウムを有する。別の実施形態において、処理される燃料は約0.5重量ppm以下のバナジウムを有する。別の実施形態において、処理される燃料は約0.2重量ppm以下のバナジウムを有する。別の実施形態において、処理される燃料は0.5ppm未満のバナジウムを有し、ガスタービンへの燃料供給に使用することができる。
【0031】
ガスタービン用の燃料は、ガスタービン腐食を最小にするために低レベルのバナジウムを有する必要がある。高レベルのバナジウムを有する燃料は、ガスタービンへの燃料供給に使用することができるが、エンジンの耐用期間が短くなる。1つの実施形態において、ガスタービン用の燃料は、約0.5重量ppm以下のバナジウムを有する。別の実施形態において、ガスタービン用の燃料は、0.2重量ppm以下のバナジウムを有する。ガスタービン用の燃料はまた、処理される燃料を0.2ppm未満のような極めて低レベルのバナジウムを有する燃料とブレンドし、0.5重量ppm未満のバナジウム、或いは更に0.2ppm重量ppm未満のバナジウムを有する燃料を調製することによって得ることができる。
【0032】
ガスタービンは、当該技術分野で公知の何れかの種類のガスタービンとすることができる。1つの実施形態において、ガスタービンは船舶に搭載される。
【0033】
処理された軽質燃料留分は、配管又は導管などによる何れかの従来の方式でガスタービンに供給することができる。1つの実施形態において、軽質燃料留分は噴射によりガスタービンに供給される。別の実施形態において、軽質燃料留分は気体及び液体用の複式燃料ノズルを用いてガスタービンに噴射される。
【0034】
図1は、バナジウム含有燃料10からバナジウムを除去するプロセスの例示的な実施形態を表す概略図である。燃料10は、バナジウムを抽出するための吸着材料(図示せず)を備える分留ユニット20に送給される。分留ユニットにおいて、燃料は、軽質燃料留分と重質燃料留分とに分留又は分離される。軽質炭化水素ガスを含む気相分もまた分留ユニット20における分留の間に形成することができる。軽質燃料留分及び(存在する場合)気相分は、分留ユニット20の上部から取り出され、凝縮器(図示せず)に送給される。軽質燃料留分は凝縮して液体になり、気相分は、存在する場合には気体状態のまま維持される。凝縮された軽質燃料留分は、存在する場合、セパレータ(図示せず)において気相分と分離される。気相分30(存在する場合)は、フレア装置40内で燃焼することができ、或いは、気相炭化水素ガスを燃焼させるのに適切なガスノズル(図示せず)を備えたガスタービン50に送給することができる。
【0035】
凝縮された軽質燃料留分60は、少量のバナジウムを有する液体である。1つの実施形態において、軽質燃料留分は、0.5重量ppm未満のバナジウムを有し、ガスタービン50への燃料供給に使用することができる。別の実施形態において、軽質燃料留分60は、低レベルのバナジウムを有する燃料(図示せず)とブレンドされて約0.5重量ppm未満のバナジウムを有する配合物を生成して、ガスタービンへの燃料供給に使用することができる。
【0036】
重質燃料留分70は、高いバナジウム含量を有し、分留ユニット20の底部から取り出される。重質燃料留分70は廃棄され、又はディーゼルエンジンのような内燃機関80への燃料供給に使用することができる。別の実施形態において、重質燃料留分70は、燃料部分酸化又は自己熱分解ユニット90においてバナジウム除去のために更に処理することができる。バナジウムは、燃料部分酸化又は自己熱分解ユニット90において酸化され、固形物を形成する。燃料部分酸化又は自己熱分解ユニット90からの固体バナジウム及び灰分は、サイクロンのようなセパレータ100において処理燃料から分離されて廃棄される。1つの実施形態において、処理される燃料は、0.5重量ppm未満のバナジウムを有し、ガスタービン50への燃料供給に使用することができる。
【0037】
別の実施形態において、バナジウム含有燃料からバナジウムを除去する方法は更に、分留を支援し且つ分留ユニットで形成される可能性がある気相分を有効に使用するためのリボイラを備える。
【0038】
図2は、燃料調製システム200の例示的な実施形態を表す。バナジウム含有燃料210は、任意選択的に吸着材料230が充填された分留ユニット220に送給される。分留ユニット220内で、燃料210は、分留ユニット220の上部から取り出される軽質燃料留分と、分留ユニット220の底部から取り出される重質燃料留分240とに分離される。燃料はまた、分留ユニット220の上部から取り出される気相分にも分離される。1つの実施形態において、軽質燃料留分と何れかの気相分とは、分留ユニット220の上部から共に取り出される。軽質燃料留分及び気相分は、凝縮器250内に送給され、凝集器は軽質燃料留分を凝縮させるが、気相分を蒸気状態のまま維持する。凝縮された軽質燃料留分及び気相分は、気相分から液状軽質燃料留分を分離するためにセパレータ245に送給される。分離された気相分255は、存在する場合、フレア装置又はバーナー(図示せず)で燃焼することができ、或いはリボイラ260などの加熱炉内で燃焼することができる。別の実施形態において、気相分は、ガスコンプレッサ270を通じてガスタービン265に供給することができる。
【0039】
凝縮され分離された軽質燃料留分275は、少量のバナジウムを有する。凝縮された軽質燃料留分275の一部分は、還流のため分留ユニット220に戻すことができる。軽質燃料留分は、バナジウム及び/又は他の重金属の抽出のために吸着材料が充填された任意選択の吸着カラム280を通過することができる。1つの実施形態において、処理される燃料は約0.5重量ppm未満のバナジウムを有し、ガスタービン265への燃料供給用に適切である。任意選択的に、処理される燃料は、ガスタービン265への燃料供給に必要とされるまでタンク285内に貯留することができる。
【0040】
重質燃料留分240は、バナジウム、アスファルテン、ニッケル及び硫黄といった多くの不純物を含有し、分留ユニット220の底部から取り出される。重質燃料留分240は、廃棄され(図示せず)、又はディーゼルエンジン(図示せず)への燃料供給に使用され、或いは自己熱分解ユニット又は部分酸化ユニット(図1に示される)内で更に加工処理されて不純物を除去して高品位燃料に再生することができる。別の実施形態において、重質燃料留分240の一部又は全部が燃焼リボイラ260内のヒータ(図示せず)の管体を通過して蒸気を生成することができ、この蒸気は、分留ユニット220に再循環されて分留用に熱を提供する。
【0041】
燃料調製システムは、ガスタービンと完全に一体化され、ガスタービンへの燃料供給のための効率的でコンパクトなシステムを提供することができる。1つの実施形態において、ガスタービン用の燃料調製システムは、ガスタービンと一体化され、上記システムはバナジウム含有燃料を処理する分留ユニットを備え、上記ガスタービンは分留ユニットに接続されて、処理される燃料を受入れ、ガスタービンからの排気をストリッピングガスとして分留ユニットに供給し、分留ユニットにエネルギーを提供する。処理される燃料は、配管又は導管などを通じた、従来の方式によってガスタービンに送給することができる。
【0042】
分留用のエネルギーは、約600゜Fから約1200゜Fの温度を有するガスタービンからの高温排気によって提供される。ガスタービンからの高温排気は、配管又は導管などを介した何れかの従来方式で分留ユニットに送給される。排気は、分留燃料と混合され、該燃料を分留に適切な温度まで加熱する。当該排気はまた、分留燃料からバナジウム及び他の重金属を除去するためのストリッピングガスとしても機能する。当該排気は分留ユニットの上部で放出される。1つの実施形態において、ガスタービン排気は、ストリッピングカラムの底部に送給され、ストリッピングカラムの上部で通気される。
【0043】
図3は、燃料調製システム300の例示的な実施形態を表す概略図である。バナジウム含有燃料310は、任意選択的に吸着材料330が充填された分留ユニット320内に送給される。燃料310は、軽質燃料留分と重質オイル分留とに分留又は分離される。低分子量炭化水素ガスから構成される気相分も形成される可能性がある。気相分(存在する場合)及び軽質燃料留分は、分留カラム320の上部から取り出され、凝縮器335に送球されて軽質燃料留分を凝縮させ、更に、セパレータ340に送給されて気相分から軽質燃料留分を分離する。気相分は放出され、或いは、燃焼のためにフレア装置、バーナー又は熱酸化器(図示せず)に送ることができる。気相分はまた、気相分を燃焼させるためのノズルを備えたガスタービンに送給することができる(図示せず)。凝縮されて分離された軽質燃料留分360は、少量のバナジウムを有する。凝縮した軽質燃料留分360の一部分は、還流のために分留ユニット320に戻すことができる。軽質燃料留分360は、バナジウム及び/又は他の金属の抽出のための吸着材料が充填された任意選択的な吸着カラム365を通過することができる。1つの実施形態において、処理される燃料は、約0.5重量ppm未満のバナジウムを有し、ガスタービン350に直接送給することができる。任意選択的に、処理される燃料は、ガスタービン350への燃料供給が必要とされるまでタンク370内に貯留することができる。
【0044】
ガスタービン350からの排気380は通気され、或いは適切な配管又は導管を通じて分留ユニット320の底部に送給することができ、ここでは、高温の排気380が分留ユニット320においてストリッピングガスとして機能し、分留ユニット320に熱を提供する。排気ストリッピングガス380は、分留ユニットの上部で気相分と共に放出される。
【0045】
重質燃料留分390は、バナジウム、アスファルテン、ニッケル及び硫黄のような多くの不純物を含有し、分留ユニット320の底部から取り出される。重質燃料留分390は、廃棄され、又はディーゼルエンジン(図示せず)への燃料供給に使用され、或いは自己熱分解ユニット又は部分酸化ユニット(図1に示される)内で更に加工処理されて不純物を除去し高品位燃料に再生することができる。
【0046】
別の実施形態において、重質燃料留分はバーナー内で燃焼することができ、バーナーからの高温の燃焼ガスは、分留ユニット内のコイルを通って送給され、分留ユニットを加熱することができる。
【0047】
図4は、燃料調製システム400の例示的な実施形態を表す。バナジウム含有燃料410は、任意選択的に吸着材料425が充填された分留カラム420に送給される。燃料410は、軽質燃料留分と重質燃料留分とに分留又は分離される。低分子量炭化水素ガスから構成される気相分も形成される可能性がある。気相分(存在する場合)及び軽質燃料留分は、分留カラム420の上部から取り出され、凝縮器430に送球されて軽質燃料留分を凝縮させ、更に、セパレータ435に送給されて気相分から軽質燃料留分を分離する。気相分(存在する場合)は、放出され、或いは燃焼のためにフレア装置、バーナー又は熱酸化器(図示せず)に送られる。気相分はまた、燃料用にガスタービンに送給することができる(図示せず)。凝縮され分離された軽質燃料留分450は、少量のバナジウムを有する。凝縮された軽質燃料留分450の一部は、還流のために分留ユニット420に戻すことができる。軽質燃料留分450は、バナジウム及び/又は他の金属の抽出のため任意選択的な吸着カラム460を通過することができる。1つの実施形態において、処理される燃料は、約0.5重量ppm未満のバナジウムを有し、ガスタービン440に直接送給することができる。任意選択的に、処理される燃料は、ガスタービン440への燃料供給が必要とされるまでタンク465内に貯留することができる。
【0048】
ガスタービン440からの排気470は通気され、或いは適切な配管又は導管を通じて分留ユニット420の底部に送給することができ、ここでは、高温の排気470が分留ユニット420においてストリッピングガスとして機能し、分留ユニット420に熱を提供する。排気ストリッピングガス470は、分留ユニット420の上部で気相分と共に放出される。
【0049】
重質燃料留分480は、バナジウム、アスファルテン、ニッケル及び硫黄のような多くの不純物を含有し、分留ユニット420の底部から取り出される。重質燃料留分480は、廃棄され、又はディーゼルエンジン(図示せず)への燃料供給に使用され、或いは自己熱分解ユニット又は部分酸化ユニット(図1に示される)内で更に加工処理されて不純物を除去し高品位燃料に再生することができる。1つの実施形態において、重質燃料留分480の一部又は全ては、バーナー490に送給され、ここで重質燃料留分が燃焼される。バーナー490からの高温の燃焼ガスは、分留ユニット420内部のコイル495を通って送球され、分留ユニット420を加熱する。高温の燃焼ガスは、分留ユニット420の上部を通って排出される。
【0050】
別の実施形態において、ガスタービン用の燃料調製システムはガスタービンと一体化され、上記システムはバナジウム含有燃料を処理する分留ユニットと蒸気を発生するボイラとを備え、上記分留ユニットは燃料を軽質燃料留分と重質燃料留分とに分離し、上記ガスタービンは分留ユニットに接続されて軽質燃料留分を受入れ、上記ボイラは分留ユニットに接続されて、燃焼のため、及び蒸気をストリッピングガスとして分留ユニットに供給するために重質燃料留分を受入れ、且つ分留ユニットに熱を提供する。
【0051】
バナジウムのほとんどは重質燃料留分内に沈積し、重質燃料留分と共に分留ユニットの底部から取り出される。重質燃料留分は、分留ユニットの底部から取り出され、燃焼用にボイラに送給することができる。ボイラ内での重質燃料留分の燃焼によって放出される熱を用いて、ボイラ内で蒸気を発生させる。蒸気は、軽質燃料留分を同伴し分留のための熱を提供するストリッピングガスとして使用される。蒸気は、適切な配管又は導管を通じて分留ユニットに送給される。
【0052】
軽質燃料留分及び蒸気は、分留ユニットの上部から流出し、凝縮器内で凝縮されて油水混合物が形成される。油水混合物は、セパレータ内で分離される。セパレータは、油分と水とを分離するために当該工業分野で使用される何れかの種類のセパレータである。1つの実施形態において、セパレータは遠心分離機とすることができる。
【0053】
ボイラは、高温過熱蒸気を発生させ重質燃料留分を燃焼させるのに適切な何れかの種類のボイラとすることができる。ボイラに水を加えて蒸気を発生させる。蒸気は、ボイラ内で高温過熱蒸気として調製される。ボイラの温度は、約600゜Fから約1200゜Fである。重質燃料留分は、当該技術分野で公知の何れかの手段によってボイラに送給することができる。1つの実施形態において、重質燃料留分は配管又は導管によってボイラに移送される。蒸気は、従来の手段によって分留ユニットに移送することができる。1つの実施形態において、蒸気は、配管又は導管によって分留ユニットに移送される。
【0054】
1つの実施形態において、燃料調製システムは、アルカリ金属などの不純物を除去するためにバナジウム含有燃料を水で洗浄するのに使用される燃料洗浄ユニットと一体化することができる。洗浄水は、廃棄され、或いはボイラに再循環されて蒸気を発生させることができる。ガスタービンからの排気は、ボイラでの蒸気発生用の水を予熱するのに使用することができる。
【0055】
図5は、例示的な燃料調製システム500を表す。バナジウム含有燃料510は、任意選択的に吸着材料530が充填された分留ユニット520に送給される。燃料は、軽質燃料留分と重質燃料留分とに分留又は分離される。低分子量炭化水素ガスから構成される気相が形成される可能性もある。気相分(存在する場合)及び軽質燃料留分は、分留ユニット520の上部から取り出され、凝縮器540に送給されて軽質燃料留分を凝縮させ、更に油/水セパレータ545に送給されて、ここで燃料から気相分及び水が分離される。気相分は放出され、或いは燃焼のためにフレア装置、バーナー又は熱酸化器(図示せず)に送られる。分離された水555は、廃棄することができ、或いは処理されてボイラ580に再循環し、蒸気590を発生させることができる。凝縮され分離された軽質燃料留分550は、少量のバナジウムを有する。凝縮された軽質燃料留分550の一部は、還流のために分留ユニット520に戻すことができる。軽質燃料留分550は、バナジウム及び/又は他の金属の抽出のため任意選択的な吸着カラム575を通過することができる。1つの実施形態において、処理される燃料は約0.5重量ppm未満のバナジウムを有し、ガスタービン560に直接供給することができる。任意選択的に、処理される燃料は、ガスタービン560への燃料供給が必要とされるまでタンク565内に貯留することができる。
【0056】
重質燃料留分570は、バナジウム、アスファルテン、ニッケル及び硫黄のような多くの不純物を含有し、分留ユニット520の底部から取り出される。重質燃料留分570は、廃棄され、又はディーゼルエンジン(図示せず)への燃料供給に使用され、或いは自己熱分解ユニット又は部分酸化ユニット(図1に示される)内で更に加工処理されて不純物を除去し高品位燃料に再生することができる。1つの実施形態において、重質燃料留分570の一部又は全てはボイラ580に送給されて燃焼し、蒸気590を発生させるための熱を提供する。油/水セパレータ545から発生する水555がボイラ580に送給されて加熱され、蒸気590を発生する。蒸気590は、分留ユニット520にストリッピングガスとして送給され、分留ユニット520に熱を供給する。蒸気590は分留ユニット520の上部から流出し、凝縮器540内で凝縮されてセパレータ545内で軽質燃料留分から分離される。上述のように、セパレータ545からの水は、廃棄され、或いは任意選択的に処理されてボイラに再循環され、蒸気を発生させる。
【0057】
別の実施形態において、バナジウム含有燃料はまた、硫黄のレベルを低減させるよう処理することができる。1つの実施形態において、バナジウム及び硫黄を含有する燃料を処理する方法は、燃料からバナジウム及び硫黄を抽出する段階と、燃料を軽質燃料留分と重質燃料留分とに分留する段階とを含み、これにより処理された軽質燃料留分が少量のバナジウム及び硫黄を有する。
【0058】
処理された燃料は、低レベルのバナジウムと低レベルの硫黄とを有し、軽質燃料留分から得られる燃料である。硫黄の実際の量は、燃料内の最初の量に応じて変わることになる。1つの実施形態において、処理される燃料は、約1重量パーセント以下の硫黄を有する。別の実施形態において、処理される燃料は、約1000重量ppm以下の硫黄を有する。別の実施形態において、処理される燃料は、約5重量ppmから約1000重量ppmの硫黄を有する。
【0059】
硫黄は、硫黄捕捉用吸収剤により抽出することができる。硫黄捕捉用吸着剤は、酸化亜鉛、酸化鉄、アルミナ、セリア、コバルト−モリブデン酸化物、ゼオライト、活性炭、二酸化ケイ素、SZorb(登録商標)、或いはこれらの組み合わせを含むことができる。別の実施形態においては、硫黄除去カラムを使用することができる。
【0060】
図6は、例示的な燃料調製システム600を表す。バナジウム及び硫黄を含有する燃料610は、バナジウム吸着材料及び硫黄吸着材料を含む、吸着材料630が充填された分留ユニット620に送給される。燃料610は、軽質燃料留分と重質燃料留分とに分留又は分離される。低分子量炭化水素ガスから構成される気相分も形成される可能性がある。気相分(存在する場合)及び軽質燃料留分は、分留ユニット620の上部から取り出され、高温度の硫黄除去カラム635に送給される。次いで、軽質燃料留分及び気相分(存在する場合)は、軽質燃料留分を凝縮させるために凝縮器640に送給され、更に、セパレータ645に送給され、ここで気相分は軽質燃料留分から分離される。気相分665は、ガス圧縮機655を通じてガスタービン650に送給することができ、燃焼のために燃焼リボイラ660に送給することができ、或いはリボイラ660内の水素発生器/改質器690(以下で記述される)に送給することができる。気相分665は、水素発生器/改質器690を通過する前に、任意選択的に低温の硫黄除去カラム635を通じて送給することができる。
【0061】
1つの実施形態において、軽質燃料留分670は0.5ppm未満のバナジウム及び1重量パーセント未満の硫黄を有し、ガスタービン650に送給することができる。凝縮された軽質燃料留分670の一部分は、還流のため分留ユニット620に戻すことができる。軽質燃料留分670は、ガスタービン650に直接送給することができ、或いはガスタービン650への燃料供給が必要とされるまでタンク675内に貯留することができる。
【0062】
重質燃料留分680は、バナジウム、アスファルテン、ニッケル及び硫黄といった多くの不純物を含有し、分留ユニット620の底部から取り出される。重質燃料留分680は廃棄され、又はディーゼルエンジン(図示せず)への燃料供給に使用され、或いは自己熱分解ユニット又は部分酸化ユニット(図1に示されるような)において更に加工処理されて不純物を除去して高品位燃料に再生することができる。重質燃料留分680の一部分は、燃焼リボイラ660内のヒータ(図示せず)の管体を通過して蒸気を生成することができ、この蒸気は、分留ユニット220に再循環されて分留用に熱を提供する。重質燃料留分680の一部分は、燃焼リボイラ660に送給されて燃焼され、燃焼リボイラ660に熱を提供することができる。燃焼リボイラ660は、水素含有ガス695を生成させる水素発生器/改質器690を任意選択的に含むことができ、当該ガスが分留ユニット620に送給され、ストリッピングガスとして吸収剤への硫黄の捕捉を支援する。ストリッピングガスは、分留ユニット620からその上部で流出し、気相分665と共に分離され、ガスタービン650、フレア装置(図示せず)或いはリボイラ660に送られる。
【0063】
燃料システムは、ガスタービン用の燃料を調製するための効率的でコンパクトなシステムである。燃料調製システムは、航海中にガスタービン用の燃料を調製するために船内で使用することができる。燃料調製システムは、入渠中の船舶に燃料を供給するためにドックで使用することができ、或いは陸上用途で使用することができる。燃料調製システムは、1基のガスタービン用或いは数基のガスタービン用の燃料を調製するのに使用することができる。
【0064】
当業者が本開示をより良好に実施できるようにするために、以下の実施例を限定ではなく例証として示す。
【実施例】
【0065】
実施例1
約32ppmのバナジウムを有する重質燃料油を充填カラムに連続的に送給した。当該充填カラムは、バナジウム吸収剤を充填し、400〜1000゜Fに加熱した。重質燃料油は軽質油分留と重質油分留とに分離した。軽質油分留は約83容積%であり、充填カラムの上部に上昇した。残りの17容積%は重質油分留であり、当該カラムの底部に沈積した。軽質油分留を取り出し凝縮器内で凝縮した。何れかの蒸気及び他の軽質ガスを通気した。軽質油分留の結果を以下の表1に示す。
【0066】
【表1】

バナジウムは規格未満にまで除去した。アスファルテンのレベルは低下し、このレベルは、炭化水素溶剤を用いた洗浄などの公知の処理によって更に低減することができる。ニッケル、鉄及びアルミニウムなどの他の重金属は、0.1ppm未満に減少した。硫黄は減少され、硫黄吸収剤を用いて更に低減させることができる。粘度及び引火点は、規格限界未満にまで低下した。
【0067】
例証の目的で典型的な実施形態を記載したが、上記の説明は本明細書における範囲に対する限定とみなすべきではない。従って、当業者であれば、種々の修正、改作及び代替形態を本明細書の精神及び範囲を逸脱することなく想起することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】低品質燃料からバナジウムを除去する方法の例示的な実施形態を表す概略図。
【図2】ガスタービン用燃料調製システムの例示的な実施形態を表す概略図。
【図3】ガスタービン用燃料調製システムの例示的な実施形態を表す概略図。
【図4】ガスタービン用燃料調製システムの例示的な実施形態を表す概略図。
【図5】ガスタービン用燃料調製システムの例示的な実施形態を表す概略図。
【図6】ガスタービン用燃料調製システムの例示的な実施形態を表す概略図。
【符号の説明】
【0069】
10 バナジウム含有燃料
20 分留ユニット
30 気相分
40 フレア装置
50 ガスタービン
60 軽質燃料留分
70 重質燃料留分
80 内燃機関
90 燃料部分酸化又は自己熱分解ユニット
100 セパレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バナジウム含有燃料を処理する方法であって、
吸着材料を用いて前記燃料からバナジウムを抽出する段階と、
前記燃料を軽質燃料留分と重質燃料留分とに分留する段階と、
を含み、
これにより前記軽質燃料留分が少量のバナジウムを有するようにする、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記燃料が、分留カラム、蒸留カラム、充填カラム、ストリッピングカラム及び気泡カラムからなる群から選択されたカラム内で分留される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記分留が、バナジウム吸着材料が充填された分留カラム内で行われる、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記バナジウム吸着材料が、酸化マグネシウム、酸化コバルト、酸化モリブデン、活性炭、ゼオライト及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記燃料が気相分に更に分留され、前記気相分及び前記軽質燃料留分が、ガスタービンに燃料供給するために前記ガスタービンに送給される、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記軽質燃料留分と前記気相分とを凝縮器内で凝縮させて、前記気相分をセパレータ内で前記軽質燃料留分から分離させる段階を更に含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記重質燃料留分を部分酸化ユニット又は自己熱分解ユニット内で酸化して、少量のバナジウムを有する燃料に再生する段階を更に含む、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記重質燃料留分を蒸発させるために該重質燃料留分をリボイラに送給し、分留を支援するために前記蒸気を前記カラムに戻す段階を更に含む、
請求項2乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
分留を支援するためにガスタービンからの排気を前記カラムに送給する段階を更に含む、
請求項2乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記燃料から硫黄を抽出する段階を更に含む、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記重質燃料留分を燃焼のためにボイラ送給して蒸気を発生させ、分留を支援するために該蒸気を前記カラムに送給する段階を更に含む、
請求項2乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
ガスタービンと一体化された、ガスタービン用燃料調製システムであって、前記システムが、バナジウム含有燃料を処理する分留ユニットを備え、前記ガスタービンが前記分留ユニットに接続されて、処理される燃料を受入れ、前記ガスタービンからの排気をストリッピングガスとして前記分留ユニットに供給し、且つ前記分留ユニットにエネルギーを提供する、
ことを特徴とする燃料調製システム。
【請求項13】
前記燃料が前記分留ユニット内で少なくとも軽質燃料留分と重質燃料留分とに分留され、前記システムが更に、前記重質燃料留分を受入れ、前記重質燃料留分を気化させ、分留を支援するため前記気化した重質燃料留分を前記分留ユニットに供給するために前記分留ユニットに接続されたリボイラを備える、
請求項12に記載の燃料調製システム。
【請求項14】
前記燃料が、前記分留ユニットにおいて軽質燃料留分、重質燃料留分、及び気相分に分留され、前記システムが更に、前記軽質燃料留分及び前記気相分を受入れるため並びに前記軽質燃料留分を凝縮させるために前記分留ユニットに接続された凝縮器と、前記凝縮された軽質燃料留分及び前記気相分を受入れるため並びに前記軽質燃料留分及び前記気相分を分離させるために前記凝縮器に接続されたセパレータとを備える、
請求項12又は13に記載の燃料調製システム。
【請求項15】
前記分留ユニットが、バナジウムを抽出するためにバナジウム吸着材料で充填される、
請求項12乃至14のいずれか1項に記載の燃料調製システム。
【請求項16】
前記燃料から硫黄が抽出される、
請求項12乃至15のいずれか1項に記載の燃料調製システム。
【請求項17】
ガスタービン用の燃料調製システムであって、
バナジウム含有燃料を処理する分留ユニットとバーナーとを備え、
前記分留ユニットが前記燃料を軽質燃料留分と重質燃料留分とに分離し、前記バーナーが、前記重質燃料留分を燃焼させるためのものであり、前記分留ユニットに接続されて、前記重質燃料留分を受入れ、及び前記バーナーからの排気を前記分留ユニットに供給して前記分留ユニットを加熱する、
ことを特徴とする燃料調製システム。
【請求項18】
バナジウム及び他の汚染物質を除去するための吸着カラムを更に備え、前記吸着カラムが前記分留カラム及び前記ガスタービンに接続される、
ことを特徴とする請求項17に記載の燃料調製システム。
【請求項19】
ガスタービンと一体化された、ガスタービン用燃料調製システムであって、
バナジウム含有燃料を処理する分留ユニットと、蒸気を発生するボイラと、
を備え、
前記分留ユニットが、前記燃料を軽質燃料留分と重質燃料留分とに分離し、前記ガスタービンが、前記軽質燃料留分を受入れるように前記分留ユニットに接続され、前記ボイラが、燃焼のため並びにストリッピングガスとして前記分留ユニットに蒸気を供給するために前記重質燃料留分を受入れるよう前記分留ユニットに接続されて、前記分留ユニットに熱を提供するようにする、
ことを特徴とする燃料調製システム。
【請求項20】
バナジウム及び他の汚染物質を除去するための吸着カラムを更に備え、前記吸着カラムが前記分留カラム及び前記ガスタービンに接続される、
ことを特徴とする請求項19に記載の燃料調製システム。
【請求項21】
前記分留ユニットがバナジウムを除去するための吸着材料で充填される、
請求項19又は20に記載の燃料調製システム。
【請求項22】
前記分留ユニットが、硫黄を除去するため硫黄捕捉吸収剤カラムを備える、
請求項19乃至21のいずれか1項に記載の燃料調製システム。
【請求項23】
前記分留ユニットが硫黄捕捉吸収剤を含む、
請求項19乃至21のいずれか1項に記載の燃料調製システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−57558(P2009−57558A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218892(P2008−218892)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】