低容量消費の電子源を有するマトリックス表示装置の駆動方法
電子源を備えた表示装置を駆動して、2つの系列(F1、F2)に分配された階調を表示する方法。表示装置には、1つ又は複数の行及び1つ又は複数の列が含まれる。中間電位(Vk1)が、第1電位(Vcom)と第2電位(Vk2)との間で利用可能である。第1系列(F1)の階調を表示する場合、列の電圧は、行選択期間(Tl)の開始直後から中間電位(Vk1)と第2電位(Vk2)との間でパルス変調される。第2系列(F2)の階調を表示する場合、列の電圧は、中間電位(Vk2)と第1電位(Vcom)との間でパルス変調され、行選択期間(Tl)の所定の瞬間から始まる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つ又は複数の電子源が設けられ、異なる階調を有する画像を表示することが可能なマトリックス表示装置を駆動する方法に関する。表示される画像は、白黒又はカラーであってよく、後者の場合、表現≪階調≫は、中間調色を意味する。黒色及び白色は、階調に含まれる。
【背景技術】
【0002】
電子源を備えた表示装置には、フラットパネル表示装置の分野での用途がある。これら様々な種類の表示装置は、それらの電子源の種類に応じて存在する。例えば、フィールド効果マイクロドットカソードは、文献[1]に述べられたように、フィールド効果ナノギャップ源は、参照文献[2]に述べられたように、グラファイト又はダイヤモンド炭素タイプのプレーナ電子源は、参照文献[3]に述べられたように公知である。これらの4つの参照文献は、本背景技術の末尾にある。
【0003】
図1は、本発明の方法を適用し得る電子源を備えた代表的な電界放出表示装置の動作原理を概略的に示す。
【0004】
表示装置には、蛍光体材料2が塗布されたアノード電極1と、電子放出領域4に電気的に接続されたカソード電極3と、カソード電極2から電気的に絶縁されたゲート電極5と、を含む電子源100が含まれる。各放出領域4は、ゲート電極5に対応する。放出領域4と蛍光体材料2との間に真空6がある。電子源100を駆動するための装置には、電圧源7及びバイアス手段8が含まれる。電圧源7は、高電位Vaをアノード電極1に印加するために用いられる。バイアス手段8は、所定の電子源100について、それに対応するゲート電極に電位Vgを印加するために、また、それが接続されているカソード電極3に電位Vc1、Vc2、Vc3を印加するために用いられる。電位差Vgc1、Vgc2、Vgc3は、以下の本説明では、Vgcと総称し、電子放出の駆動電圧を表す。
【0005】
電子源100は、その放出領域4から電子の流れ(図示せず)を放出し、この電子の流れは、電位差Vgcがしきい値Vthlを超えた時、放出領域に対向するアノード電極1によって集められる。この電子の流れは、アノード電極1に印加された高電位Vaによって加速される。蛍光体材料2は、ぶつけられる電子の運動エネルギの影響下で光を放出する。図2Aは、電子源4の放出特性Ia=f(Vgc)を示す。
【0006】
表示装置は、図3に示すように、幾つかの電子源4を備えたマトリックス構成の表示パネル17を有し得る。各電子源4は、表示パネルの画素Pi、jを表す。各画素Pi、jは、アドレス指定して、その輝度を、本背景技術の末尾で詳述された参照文献[4]に述べたように調整し得る。
【0007】
各画素Pi、jは、表示装置17の行L1、...Li、...Lnの電極と列C1、...Cj、...Cmの電極との間の交点として画成される。一般的に、幾つかの行電極及び幾つかの列電極がある。行電極L1、...Li、...Lnは、一般的に、ゲート電極に、列電極C1、...Cj、...Cmは、カソード電極に接続される。しかしながら、表示装置17は、本発明の方法に基づき機能する1つだけの行電極及び1つだけの列電極がある場合、1つの電子源又は1つの画素に減じ得ることに留意されたい。
【0008】
駆動装置は、ライン走査発生器10を備えた表示装置を駆動するために提供され、ライン走査発生器10は、電位Vlsを出力する電圧源11と、一般的に接地である強制基準電位Vlnsと、に接続され、行選択電位Vls又は基準電位Vlns即ち行非選択電位のいずれかを行電極に印加し得る。
【0009】
駆動装置には、更に、列駆動回路12が含まれ、列駆動回路12は、電位Vcjを出力する電圧源13と、接地であってよい基準電位Vcomと、に接続されている。ライン走査発生器10及び列駆動回路12は、表示コントローラ14に接続され、表示コントローラ14は、画像データ源(図示せず)からの信号並びに制御及び同期信号を受信し、また、ライン走査発生器10及び列駆動回路12を駆動できる信号を出力する。アノード電極1に関しては、これらは、電位Vaを出力する電圧源15に接続される。
【0010】
もっと正確には、ライン走査発生器には、各行電極用の駆動回路が含まれる。同様に、列駆動回路には、各列電極用の分岐回路が含まれる。従来、表示パネル駆動は、次のように行われる。即ち、行電極L1、Lnは、行選択期間Tl中、各々順番に逐次駆動することができる。被駆動行電極は、電位Vlsになり、非駆動行電極は、電位Vlnsになる。被駆動行電極Liの画素は、各々、与えられた情報を表示しなければならず、また、各列電極Cjは、適切な電位Vcjになる。列電極に印加される電位は、非駆動行電極L1、Li−1、Li+1、Lnの画素に影響を及ぼさない。また、非選択行電極の電位を浮かせることも可能である。列電極は、選択されないと、放電され、高インピーダンスに設定される。
【0011】
階調を得るには、差Vls−Vcjの値及び/又は電位Vcjの印加時間や、列電極に供給され表示される情報に対応する電荷の量に従うことが可能である。
【0012】
従って、階調を表示する表示装置の列を駆動するための方法が幾つかある。
【0013】
パルス幅変調(PWM)制御は、表示される階調に関連する可変時間の間、列電極Vcomの基準電位を固定電位Vcへスイッチングする段階を含むが、この可変時間は、行選択期間Tl以下である。
【0014】
パルス幅変調制御は、電位Vcと基準電位Vcomとの間のスイッチングを最大にするが、これは、列を駆動する際、多大な容量消費を引き起こす。各行選択時、かなり強い行・列容量があり、この容量は、列電極駆動電位で充電又は放電し得る。他方、このパルス幅変調制御は、列駆動回路の組み立てに関しては、最も簡単なままである。図2Aに関連する図2Bを参照すると、幾つかのタイミング図において電圧を示すが、この電圧は、対応する電子源が暗い階調又は明るい階調を表示しなければならない選択された行電極及び列電極に同時に印加される。明るい階調を表示するには、電位Vcが、暗い階調の表示の場合より短い時間の間、印加される。
【0015】
この方法は、スイッチングされる電位及び既述のそのようなスイッチングの周波数双方によって生成される容量消費の問題に対処する。
【0016】
パルス幅変調制御は、表示される階調にその値が依存する電位を、全行選択期間Tlに渡って、列電極に印加することによって実施される。
【0017】
混成表示ドライブを備えた表示装置では、1つ又は複数の電位が、行選択期間中、列電極に連続的に印加される。参照文献[5]は、前記駆動方法について述べており、その参照は、本背景技術の末尾に示されている。
【0018】
参照文献[6]に述べられた電荷駆動方法は、例えば、その完全な参照は、本説明の末尾に示すが、表示される階調に対応する電荷量を列電極に供給する。
【0019】
更に、特許[7]は、行電極の駆動について述べているが、この場合、第1行選択期間Tl後、及び第2行選択期間中、放電電位は、第1行選択期間中に、少なくとも第2行選択期間の一部中に、選択された行電極に印加され、そして、それが、再選択されない間は、高インピーダンス状態に保たれる。行非選択電位は、従って、浮遊電位であり、選択された行電極上の電子源を放出する割合に依存する。
【特許文献1】EP−A−0635819(参照文献[5]に対応)
【特許文献2】FR−A−2832537(参照文献[6]に対応)
【特許文献3】EP−A−0597772(参照文献[7]に対応)
【特許文献4】EP−A−0316214(参照文献[8]に対応)
【非特許文献1】≪Ecrans_fluorescents_a_micropointes≫、R.Baptist、l’Onde_Electrique、1991年11月−12月、vol.71、n°6、36−42頁(参照文献[1]に対応)
【非特許文献2】≪表面伝導電子エミッタに基づくフラットパネル表示装置≫、K.Sakaiら、第16回国際ディスプレイ研究会議録、ref.18.3L、569−572頁(参照文献[2]に対応)
【非特許文献3】≪カーボンナノチューブFED要素≫、S.Uemuraら、要約、1052−1055頁(参照文献[3]に対応)
【非特許文献4】≪マイクロチップ・アドレッシング≫、T.Lerouxら、SID1991要約、437−439頁(参照文献[4]に対応)
【非特許文献5】≪均一性が改善された6−inビデオCNT−FED≫J.Dijonら、IDW2005、1−4頁(参照文献[9]に対応)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、正確には、パルス幅変調モードの容量消費を低減する電子源を備えたマトリックス表示装置を駆動する方法を提案することである。
【0021】
他の目的は、パルス幅変調制御のように放出をブロックする電圧に近い電圧の使用を回避しつつ、電子源の応答の均一性を確保することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
これらの目的を達成するために、本発明は、特に、パルス幅変調制御を用いて、3つの異なる電位で列電極を駆動する電子源を備えたマトリックス表示装置を駆動する方法に関し、1つの電位は、第1と第2電位との間の中間であり、この第1電位及びこの第2電位は、従来、それぞれ放出をブロックするために及び放出のために用いられ、階調を表示する第1又は第2電位と関連するこの中間電位は、階調が、最も暗い階調に対応する第1階調系列又は最も暗くない階調に対応する第2階調系列に属すると見なされるかどうかに依存する。
【0023】
もっと正確には、本発明は、1つ又は複数の電子源において階調を表示することが可能なマトリックス表示装置を駆動する方法を提案する。本表示装置には、1つ又は複数の行電極及び1つ又は複数の列電極が含まれ、電子源は、行電極及び列電極の交点に画成される。本方法において、行選択期間中、行選択電位が、選択された行電極に印加され、同時に、前記期間中、電圧が、列電極に印加され、この電圧は、この選択された行電極及びこの列電極の交点にある電子源によって表示される階調に依存する。表示される階調は、2つの階調系列に分割され、第1の系列は、1つ又は複数の最も暗い階調が集まり、第2の系列は、1つ又は複数の最も暗くない階調が集まる。電子源によって表示される階調が、第1系列に属する場合、列電極の電圧は、行選択期間の開始時に、黒色を表示するために用いられる第2電位と白色を表示するために用いられる第1電位との間にある中間電位から第2電位になり、そして、表示される階調に応じて、行選択期間以下の時間後、中間電位に戻る。表示される階調が、第2系列に属する場合、列電極の電圧は、表示される階調に依存する行選択期間の瞬間に中間電位から第1電位になり、そして、行選択期間の終了時に中間電位に戻る。
【0024】
更に及び利点として、行選択期間の終了時に、選択された行電極を放電電位にすることが可能であり、そして、それを高インピーダンスに設定する。この駆動方法は、従って、非選択行電極の浮遊の原理と関連する。
【0025】
系列の内の1つの階調の1つについて、行選択期間中ずっと、中間電位に列電極の電圧を保持することもできる。この場合、追加の階調が提供される。
【0026】
行選択電圧は、行選択期間中ずっと一定であってよい。
【0027】
1つの同じ行電極上に幾つかの電子源がある場合、電圧が、列電極の各々に同時に印加される。
【0028】
第1電位は、単に実質的に0ボルトであってよい。
【0029】
中間電位は、実質的に第1電位と第2電位との中間であってよい。
【0030】
第2電位は、第1電位と比較して、正である。
【0031】
行選択期間中の第1電位の印加時間及び行選択期間中の第2電位の印加時間は、利点として、非線形的に分散され、人間の目による表示知覚を最適化する。
【0032】
この目的のために、第1電位又は第2電位の印加時間は、式ti=Tl[1−(i/r)2,2]を立証し得るが、ここで、rは、スイッチングが起こる階調系列における階調の数であり、iは、1からrまでの変数である。
【0033】
また、本発明は、階調を表示するマトリックス表示装置を駆動する装置に関し、表示装置には、各々組立体の行電極及び列電極の交点に配置された1つ又は複数の電子源が含まれ、組立体には、1つ又は複数の行電極及び1つ又は複数の列電極が含まれる。本装置には、電子源が位置する行電極が選択されると、行選択期間中、行選択電位を印加するライン走査発生器と、行選択期間中、表示される階調に対応する電圧を対応する列電極に印加できる列駆動回路と、が含まれる。列駆動回路には、組立体の各列電極について、パルス幅変調駆動電圧を出力する第1処理チェーンであって、中間電位と黒色を表示するために用いられる第2電位との間において、階調が、1つ又は複数の最も暗い階調を含む第1階調系列に属する場合、パルスが、行選択期間の開始時に始まり、列電極に印加される第1処理チェーンと、中間電位と第1電位との間において、パルスが行選択期間の終了時に終わるパルス幅変調駆動電圧が出力され、階調が、1つ又は複数の最も暗くない階調を含む第2階調系列に属する場合、列電極に印加される第2処理チェーンと、が含まれる。
【0034】
ライン走査発生器は、行選択期間の終了時、利点として、選択されたがもはや選択されていない行電極を放電電位にして、そして、それを高インピーダンスに設定し得る。
【0035】
第1処理チェーンは、それが受信し、表示階調をコード化する情報から、行選択期間におけるパルス幅変調電圧のパルス終了瞬間を解釈する信号を出力する。第2処理チェーンは、行選択期間におけるパルス幅変調電圧のパルス開始の瞬間を解釈する信号を出力し、これらの処理チェーンは、選択手段を介して、列電極に印加される電圧を出力することが可能な出力段に接続される。
【0036】
第1処理チェーンには、行選択期間中、階調をコード化する情報と、階調をコード化するデータ項目のサイズによって決定されるクロックパルスの数をカウントするサイクリックカウンタによって実施された計数の結果と、を比較する比較器を含み得る。また、比較器の出力に接続され、各行選択期間の開始時、パルスを受信し、パルス幅変調電圧のパルス終了瞬間を解釈する信号を出力する双安定ラッチも含み得る。
【0037】
第2処理チェーンには、行選択期間中、階調をコード化する情報と、階調をコード化するデータ項目のサイズによって決定されるクロックパルスの数をカウントするサイクリックカウンタで実施された計数の結果と、を比較する比較器を含み得る。また、比較器の出力に接続され、各行選択期間の終了時、パルスを受信し、パルス幅変調電圧のパルス開始の瞬間を解釈する信号を出力する双安定ラッチも含み得る。
【0038】
サイクリックカウンタは、第1及び第2処理チェーンに共通であってよい。
【0039】
表示される階調は、1つ又は複数の最上位ビットの2進数ワードの形態でコード化されることから、選択手段は、2進数ワードの1つ又は複数の最上位ビットを受信する組合せ論理回路であってよい。
【0040】
列駆動回路には、更に、列電極と同数の組のラッチを供給するシフトレジスタを含み得るが、各組のラッチは、その入力において、表示装置によって表示される階調を受信し、第1処理チェーン及び第2処理チェーンに接続される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の方法を適用し得る電子源を備えた電界放出表示装置を示す図(既述)である。
【図2A】電子源の放出特性Ia=f(Vgc)のグラフを示す図(既述)である。
【図2B】従来のパルス幅変調制御を用いて、選択された行電極に印加される電圧、暗い階調を表示するために列電極に印加される電圧、及び明るい階調を表示するために列電極に印加される電圧を示す図(既述)である。
【図2C】本発明の方法を用いて、選択された行電極に印加される電圧、暗い階調(系列F1)を表示するために列電極に印加される電圧、明るい階調(系列F2)を表示するために列電極に印加される電圧を示す図である。
【図3】その従来の駆動装置を備えた表示装置を示す図(既述)である。
【図4】それらのカソード電極をコーティングする抵抗性材料の層が設けられた電子源を示す図である。
【図5】非選択行電極に浮遊電位を用いる時、行電極に印加される異なる信号を示す図である。
【図6】図1における電子源の電流応答を示す図である。
【図7A】本発明の方法において、行電極に印加される信号を示す図である。
【図7B】第1系列F1において、コード化階調00乃至06を表示するために行電極に印加される信号を示す図である。
【図7C】第1系列に属すると仮定されるコード化階調07を表示するために行電極に印加される信号を示す図である。
【図7D】本発明の方法を用いて、第2系列F2において、コード化階調08乃至15を表示するために行電極に印加される信号を示す図である。
【図8A】本発明に基づき表示装置を駆動する装置を示す図である。
【図8B】本発明の表示装置の代表的な列電極駆動装置を示す図である。
【図8C】本発明の表示装置の他の代表的な列電極駆動装置を部分的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明は、以下の添付図面を参照して、限定のためでなく例示のために与えられた実施形態例の説明を解釈すると理解が深まるであろう。
【0043】
異なる図における類似した、同様な又は等価な部分は、同じ参照番号を用いて、図間の相互解釈を簡単にする。
【0044】
図示した異なる部分は、図の可読性を改善するために、必ずしも縮尺通りに描いていない。
【0045】
図2Aのグラフを参照しつつ、図2Cに示したタイミング図を解釈する。
【0046】
本発明の方法では、2n+1階調(nは、1以上の整数)を表示することが可能であり、これらの階調は、0乃至2nにコード化されると仮定する。コード0は、黒色に対応し、コード2nは、白色に対応する。実際には、関連する電子回路を簡素化するために、利点として、2n階調のみを用いて、黒色に対応するレベルを用いることなく又は白色に対応するレベルを用いることなく、0と2n−1との間でコード化される。
【0047】
2n+1階調は、2つの階調系列、即ち、最も暗い階調の第1系列F1及び最も暗くない階調の第2系列F2に任意に分割し得る。第1系列F1には、p階調(pは、厳密に2n+1より小さい整数)が含まれ、これらのp階調が、0(黒色)とp−1との間でコード化される。レベルp−1は、最も暗い階調の第1系列F1の最も明るい階調に対応する。第2階調系列F2には、レベルpとレベル2n(白色)との間でコード化される2n−p階調が含まれる。レベルpは、最も明るい階調の第2系列F2の最も暗い階調に対応する。図2Cのグラフは、選択された行電極及び列電極に印加される電圧であって、それぞれこの行電極及びこの列電極の交点にある電子源が、本発明に準拠する駆動方法を用いて、第1系列F1の暗い階調及び第2系列F2の明るい階調を表示するように印加される電圧を示す。
【0048】
図2Cにおいて、選択された行電極に印加される電圧は、図2Bに示したものと同じである。他方、利点として、行電極が選択されていた第1期間後に続く第2行選択期間Tlの開始時、今はもう選択されていない行電極は、第2行選択期間の少なくとも一部の間、放電電位Vdになり、そして、特許[7]に述べたように、第1行選択期間及び第2行選択期間の一部外で高インピーダンスに設定される。
【0049】
このことは、行非選択電位Vlnsが、浮遊電位であることを意味する。幾つかの行電極Li乃至Li+2について、この機能を示す図5を参照する。放電電位Vdは、白色表示用電位のVk2以下である。行非選択電位Vlnsは、それが浮遊していることを示す点線として示す。
【0050】
電位を浮遊したままにする段階を含むこの特性は、明らかに強制的ではない。行電極電位の駆動は、従来、賦課された電位Vls及びVlnsを用いて実施し得る。
【0051】
列電極に印加される電圧に関して、パルス幅変調は、従来のような2つの代わりに3つの電位で用いられる。これらの3つの電位間では、第1電位Vcom又は白色を表示するために用いる基準電位と、黒色を表示するために用いる第2電位Vk2と、中間電位Vk1との間で区別できる。第2電位Vk2は、電位Vcomを基準として正である。電位Vcomは、好適には、接地である。第2電位Vk2は、電子源における電子の放出をブロックする。
【0052】
暗い階調、即ち、第1階調系列F1に属する階調を表示するために、対象の列電極の電位は、行選択期間Tlの開始時、中間電位Vk1から第2電位Vk2になり、この第2電位は、表示される階調に依存する可変時間t1の間、維持され、電位は、行選択期間Tlの終了前に又は行選択期間Tlの終了時に中間電位Vk1に戻される。時間t1が長ければ長いほど、階調は、より暗い。黒色を表示しなければならない場合、時間t1は、Tlに等しいか又はTlに近い。この後者の場合、黒色に真に対応するレベルは、2n階調へのコード化から除外した。従って、pの最も暗い階調に対応する電位Vk2の印加について、2n−pの異なる時間t1がある
【0053】
明るい階調、即ち、第2階調系列F2に属する階調を表示する場合、対象の列電極の電位は、中間電位Vk1から第1電位Vcomになり、この第1電位Vcomは、行選択期間Tlの終了時に終わる時間t2の間、維持され、そして、中間電位に戻される。表示しなければならないのが白色である場合、時間t2は、行選択期間Tlに等しい。時間t2が短ければ短いほど、最も暗くない階調の第2系列F2からの表示階調は、暗くなる。従って、n−pの最も明るい階調に対応して、第1電位Vcomについて、2n−pの異なる印加時間t2がある。
【0054】
第1系列F1の階調用の第2電位Vk2に対するトリガは、行選択期間Tlの開始時、直ちに行われ、中間電位Vk1に対するトリガは、時間t1の終了時の第2段で起こる。明るい階調用の第1電位からの中間電位Vk1に対するトリガは、行選択期間Tlの終了時に行われ、中間電位Vk1から第1電位Vcomへのトリガは、行選択期間Tlの終了前に又は行選択期間Tlの終了時に起こる。第1系列F1の階調用のトリガ開始端及び第2系列F2の階調用のトリガ終了端は、従って、常に同相であり、これによって、浮遊したままの行の電位が、これらの端に従い、このため、対応する容量消費を相殺する。
【0055】
2つの階調系列F1又はF2の内の1つのみに、図7C示すように、全行選択期間Tlに渡って中間電位Vk1を維持することによって得られる階調が含まれる。
【0056】
この階調が、最も暗くない階調の系列F2に割り当てられる場合、開始及び終了パルスが同化し、電位Vcomへのスイッチングはない。
【0057】
この階調が、最も暗い階調の系列F1に割り当てられる場合、開始パルスは、行期間Tlの終了時に起こり、信号は、電位Vk1のままである。
【0058】
列電極について、3つの電位間において、パルス幅変調に基づき機能すると、従来のパルス幅変調と比較して、列電極の容量消費が、大幅に低減される。この容量の低減は、非選択行の電極が浮遊電位になると、更に改善される。
【0059】
本発明の方法では、3つの電位が、パルス幅変調に用いられ、これによって、電圧スイングのほぼ半分だけが、行選択期間Tl中、スイッチングされる。容量消費は、これによって、4分の一に制限されるが、これは、この容量消費が、電圧の2乗で変動するためである。
【0060】
更に、パルス幅変調制御を利用すると、電子源の応答の均一性を確保するニーズを満たす。表示装置の場合、電子源は、放出の観点において均一ではなく、1つの同じ駆動電圧について、あるものは、他のものより高度に機能したり放出が多かったりする点において、実質的には問題に遭遇する。このことは、蛍光体材料において、アノード電極側で、明るい点が点在するほとんど均質でない画像につながる。本説明の末尾にその参照リストがある参照文献[1]又は参照文献[8]には、放出を均質化する1つの効率的な手段は、最適に機能する電子源を不利な立場にして、それらの放出を低いレベルにする段階を含むことが示されている。このことは、一般的に、各放出領域4とそれに接続されたカソード電極3との間に抵抗R1を直列に置くことによって達成される。そして、電子源を通過する電流に比例する電位差は、放出電流を制限する電位差Vgcから減算する。この抵抗は、カソード電極をコーティングする抵抗性材料の層として具体化し得る。図4は、前記構成を示す。ゲート電極5は、誘電材料9の層によってカソード電極3から電気的に絶縁される。図4において、カソード電極3は、電気的に絶縁の基板110上に位置する。この抵抗R1は、本説明の末尾にその参照リストがある文献[9]に述べられているように、ゲート・カソード(又は列電極・行電極)電位差の増加が大きければ大きいほど、それだけ効率的である。本発明の方法は、従来のパルス幅変調装置と比較して、約半分(最も暗い階調系列F1の場合)又は同じゲート−カソード電位差(最も暗くない階調の系列F2の場合)のいずれかを用いることによって、カソード電極3をコーティングする抵抗性の層の利点から恩典を引き出すことができる。
【0061】
電子源の電流応答及び従って、表示装置の輝度応答は、図6に示すように、指数法則に近く、これに対して、光刺激に対する人間の目の応答は、その強度に比例せず、対数曲線に従う。人間の目は、強照明下より弱照明下での輝度の差に敏感である。その輝度知覚は、特に、国際照明委員会によってモデル化された非線形の、所謂、ガンマ補正の法則に従う。
【0062】
人間の目の応答曲線は、従って、電子源の応答曲線の逆に極めて近い非線形法則である。
【0063】
従って、コード化される階調の数を限定するために、2つの系列間で最小電圧差を維持しつつ、第1階調系列F1の階調の数が、第2階調系列F2の階調の数に等しいように、非線形的にコード化される輝度値を有する画像データ源を用いることは好適であり、このことは、容量消費に対する最良の妥協である。明らかに、2つの系列が、同じ数の階調を有さないことが可能である。いずれかの系列における異なる階調に対する励起時間は、画像データ源のコード化の非線形性を再現する。
【0064】
本発明による方法の実施例の一例について、図7A、7B、7C、7Dに与えられたグラフを簡素化するために、16階調だけで以下に述べる。
【0065】
図7Aは、行選択期間Tl中に選択される行電極に印加された電圧を示す。この行電極は、行選択期間Tlの開始に先立って、高インピーダンスであったが、行選択期間Tlの開始時に、行選択電位Vlsに切り替わる。行選択期間Tlの終了時、高インピーダンスに戻る前に、行非選択電位Vlsに切り替わる。
【0066】
各系列には、8階調が含まれると仮定する。第1系列F1には、00(黒色の場合)から07(中間調)にコード化される階調が含まれる。第2系列F2には、08乃至15(白色の場合)にコード化されるレベルが含まれる。
【0067】
図7Bは、図7Cに示すコード化中間調07を除き、第1階調系列F1の階調を表示するために列電極に印加される電位の様子を示す。コード化階調07は、第1階調系列に属すると仮定するが、このコード化階調07は、第2階調系列F2にも属し得る。
【0068】
第1系列F1の階調を表示する場合、中間電位Vk1である対象の列電極の電位は、行選択期間Tlの開始時に、黒色を表示するために用いられる第2電位Vk2になり、この第2電位Vk2は、時間t1の間、行選択期間Tl以下に維持される。そして、列電極の電位は、中間電位Vk1に戻り、必要ならば、中間電位Vk1が、行選択期間Tlの残り時間の間、維持される。
【0069】
実線は、コード化階調06を表示するために用いられる電圧の様子を示す。点線は、コード化階調05乃至00を表示するために用いられる電圧の様子を示す。
【0070】
第1系列F1の中間調07を表示する場合、このことは、図7Cに示す。この場合、中間電位Vk1が、全行選択期間Tlを通して維持される。
【0071】
第2系列F2の階調を表示するためには、図7Dに示すように、中間電位Vk1である対応する列電極の電位は、基準電位Vcomになり、この基準電位Vcomが、行選択期間Tlの終了時に終わる第2時間長t2の間、維持される。第1電位Vcomへのスイッチングは、白色を表示しようとする場合、行選択期間Tlの開始時、直ぐに行われる。実線は、コード化階調14を表示するために用いられる電圧の様子を示す。点線は、コード化階調15乃至08及び、特に、中間電位Vk1から基準電位Vcomへの切り替えの瞬間を表示するために用いられる電圧の様子を示す。
【0072】
本発明の方法では、2n+1階調(即ち、17階調)を表示することが可能であるが、これは、階調の第1系列F1が、階調を一体化する場合であり、この階調に対して、列電極の電位は、行選択期間Tlの開始時直ぐに、中間電位Vk1から第2電位Vk2にスイッチングされ、そして、図7Bに示すように、行選択期間Tlの終了時に、第2電位Vk2から中間電位Vk1にスイッチングされる。
【0073】
図7に示す本例において、以下を選択し得る。
Vlns=0V
Vls=90V
Vcom=0V
Vk1=20V
Vk2=40V
【0074】
次に、陰極線管のガンマ補正を適用するかどうかについて、2つの時間長t1及びt2の計算に関する例について考える。第1系列F1には、r階調が含まれ、また、第2系列には、qレベルが含まれると仮定する。
【0075】
これらの数値r及びqは、電圧が、全行選択期間Tlを通して中間電位Vk1のレベルで一定のままである中間レベルを考慮しないと仮定する。
第2電位Vk2の印加時間t1iは、iが、1乃至rの変数である場合、以下のように表される。
t1i=Tlx[1−(i/r)2,2]
基準電位Vcomの印加時間t2jは、jが、1乃至qの変数である場合、以下のように表される。
t2j=Tlx[1−(j/q)2,2]
【0076】
64マイクロ秒の行選択期間Tl及びr=q=8の場合、時間長t1i及びt2jは次のようになる。即ち、0.66マイクロ秒、3.03マイクロ秒、7.4マイクロ秒、13.9マイクロ秒、22.76マイクロ秒、33.96マイクロ秒、47.71マイクロ秒、及び64マイクロ秒である。
【0077】
本発明は、更に、電子源を備えたマトリックス表示パネルを駆動する装置に関する。
【0078】
図8A、8B、8Cを参照すると、図8Aは、本発明の方法による階調表示を可能にする電子源を備えたマトリックス表示装置25用の駆動装置を概略的に示す。表示装置25には、行電極及び列電極の交点に配置された幾つかの電子源Pi、jが含まれ、この行電極及びこの列電極は、1つ又は複数の行及び1つ又は複数の列の組立体の一部を形成する。
【0079】
電子源Pi、jは、画素を実現する。表示装置を駆動する装置には、従来のように、1つ又は複数の行22を走査するライン走査発生器と、1つ又は複数の列23を駆動する駆動回路と、が含まれる。列23を駆動する回路は、2進数ワードを提供できるデジタルデータ源20に接続され、これら2進数ワードは、sビットに渡って、画素によって表示される階調をコード化する。表示装置を駆動する装置には、更に、表示コントローラ21が含まれる。
【0080】
表示コントローラ21は、データ源20から同期信号を受信し、ライン走査発生器22及び列ドライバ回路23を駆動することが可能な信号を管理し提供する。
【0081】
ライン走査発生器22については、更に詳細には述べないが、浮遊電位を用いる場合、例えば、特許出願[7]に記載したものを参照する当業者には、特に問題は生じない。
【0082】
次に、図8Bを参照して、列駆動回路の実施形態例について詳細な説明を行う。
【0083】
列駆動回路には、アドレスデコーダとしての役割を果たすシフトレジスタ40が含まれる。このシフトレジスタ40は、m出力を有し、クロック信号SCKによって選択ビットCSIをm回伝える。シフトレジスタ40のm出力は、列電極c0乃至cmと同じ数のラッチ41を駆動し、その各々は、図8Aに示した表示装置25の列電極c0乃至cmの内の1つと協働する。表示される2n階調は、sが2nに等しいと、sビットの2進数ワードによってコード化される場合、組41には、sラッチが含まれる。また、これらの組のラッチ41は、デジタルデータ源20によって出力され表示予定情報をコード化するデータ2進数ワードを受信するが、シフトレジスタ40が前記ラッチの組41を立証する時、クロック信号SCKと共にこれらを記憶する。
【0084】
m組41のラッチ各々の出力は、最初に、電圧が、行選択期間の開始時、中間電位Vk1から、第1階調系列F1に属する表示される階調に対応する第2電位Vk2に切り替わらなければならない場合、関連する列電極に印加される電圧命令信号を出力するようになっている第1処理チェーン30を供給し、また、次に、電圧が、行選択期間の終了時、第1電位Vcomから、第2階調系列F2に属する表示される階調に対応する中間電位Vk1に切り替わらなければならない場合、関連する列電極に印加される電圧命令信号を出力するようになっている第2処理チェーン31を供給する。これらの第1及び第2処理チェーン30、31の出力は、関連する列電極である列電極c0乃至cmに、第1処理チェーン30又は第2処理チェーン31を選択する選択手段48を介して接続される。
【0085】
mの第1処理チェーン30には、各々、まず、ラッチの組41のs出力を受信し、そして、次に、クロックCCPによってクロック制御され、また、各行選択期間Tlの開始を警告する電荷信号LCによってリセットされるサイクリックカウンタ42で実施された計数の結果を受信する比較器44が含まれる。カウンタは、行選択期間Tl中、最も暗い階調の系列F1の階調の数に対応する計数を実施する。
【0086】
比較器44の出力において、行選択期間の開始と、関連する比較器44の出力とに関する情報を与える電荷信号LCでトリガをかけるmラッチ46がある。比較器44は、カウンタ42の2進数値が、対応する組41のラッチの出力に存在する2進数値に達すると、状態が変わる。従って、F1の第1階調系列に属する画像データ項目の場合、ラッチ46に関連付けられたカウンタ42の組立体及び比較器44は、時間長t1を調整するために用い得る。
【0087】
mの第2処理チェーン31には、各々、まず、ラッチの組41のs出力を受信し、次に、クロックCCNによってクロック制御され、また、各行選択期間Tlの終了を警告する電荷信号LCによってリセットされるサイクリックカウンタ43によって実施された計数の結果を受信する比較器45が含まれる。カウンタ43は、行選択期間Tl中、最も暗くない階調の系列F2の階調の数に対応する計数を実施する。
【0088】
第2処理チェーン31の比較器45の出力には、行選択期間の終了と、関連する比較器45の出力を示し電荷信号LCでトリガをかけるmラッチ47がある。比較器45は、カウンタ43の2進数値が、対応するラッチの組41の出力に存在する2進数値に達すると、状態が変わる。従って、第2階調系列F2に属する画像データ項目の場合、ラッチ47に関連付するカウンタ43及び比較器45は、中間電位Vk1から第1電位Vcomへの切り替え時間を調整するために用い得る。電荷信号LCは、行選択期間の開始及び行選択期間の終了の双方を示し、後者は、後続行の選択期間の開始に対応する。
【0089】
出力段53には、関連する列電極c1に対応する共通点と、それぞれ、中間電位Vk1、第2電位Vk2、及び第1電位Vcomとの間に星型設置された3つのスイッチQ1、Q2、Q3が含まれる。これらのスイッチQ1、Q2、Q3は、トランジスタであってよく、また、その1つだけが、任意のある時間にオン状態であってよい。スイッチQ1及びQ2は、それぞれ、第2電位Vk2と基準電位Vcomとの間にプッシュプル方式で搭載する。m出力段53は、3つのスイッチQ1、Q2、Q3の各々用の命令を介して、3つの電位Vk1、Vk2、Vcomの内の1つを選択的に切換え得る。スイッチQ1によって、関連する列電極上の第2電位Vk1を切り替えることができ、他方、スイッチQ2によって、基準電位Vcomを賦課し得る。
【0090】
出力段53は、その入力において、選択手段48の出力に接続される。
【0091】
選択手段48は、組合せ論理回路から形成し得るが、この回路は、表示される情報をコード化する2進数ワードの1つ又は複数の最上位ビットbに関連して、出力段53における第1処理チェーン30の出力を立証するために、即ち、スイッチQ3をブロックし、また、表示される階調にとって適切な瞬間にスイッチQ2及びスイッチQ1をオンにするために用い得る。あるいは、この回路は、第2処理チェーン31の出力を立証するために、即ち、スイッチQ2をブロックし、また、表示される階調にとって適切な瞬間にスイッチQ3及びスイッチQ1をオンにするために用い得る。選択手段48は、これらの最上位ビットbを受信する。
【0092】
各処理チェーン30、31において、比較器44、45は、従って、サイクリックカウンタ42、43の計数結果が、比較器44、45のsの第1入力に存在するデータと一致する時間に対応する所定の瞬間に状態が変わる。更に、これらの双安定ラッチ46、47は、それらの入力において、行選択期間の開始又は終了を解釈する電荷信号LCを受信する。これらの双安定ラッチ46、47は、それらの2つの入力に到着する信号が変化するとすぐにトリガがかかる。双安定ラッチ46の出力は、出力段53のトランジスタQ1、Q2にそれらの制御ゲートにおいて、選択手段48を介して接続される。出力段53は、それが双安定ラッチ46、47から受信する信号に関連して、第2電位Vk2(トランジスタQ2をオンし、トランジスタQ3をブロック)又は第1電位Vcom(トランジスタQ3をオンし、トランジスタQ2をブロック)のいずれかを切り替えることが可能であり、あるいは、選択手段48によって出力された立証に従って、これらの2つの電位のいずれも切り替えることができない。この最後の可能性では、オンされるのは、出力段の第3トランジスタQ1であり、2つのトランジスタQ2及びQ3は、ブロックされる。
【0093】
第1処理チェーン30に関連付けられたカウンタ42及び第2処理チェーンに関連付けられたカウンタ43を同化することが可能であり、これによって、図8Bの回路が簡略化される。これにより、2つのクロックCCP及びCCNも同化する必要がある。しかしながら、この異型は、階調の応答曲線を調整する可能性を制限する。図8Cは、列電極c1に関連付けられた第1及び第2処理チェーンの前記構成を概略的に示す。共通カウンタは、60で参照し、また、クロックはCKで参照する。
【0094】
本発明の幾つかの実施形態について、詳細に示し述べたが、それらに対して、本発明の範囲から逸脱することなく、異なる変更及び修正を行い得ることを認識されたい。
【符号の説明】
【0095】
TI 行選択期間
Vls 行選択電位
Vlns 基準電位
t1 Vk2の印加時間
t2 Vk1の印加時間
Vk1 中間電位
Vk2 第2電位
Vcom 第1電位
F1 第1階調系列
F2 第2階調系列
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つ又は複数の電子源が設けられ、異なる階調を有する画像を表示することが可能なマトリックス表示装置を駆動する方法に関する。表示される画像は、白黒又はカラーであってよく、後者の場合、表現≪階調≫は、中間調色を意味する。黒色及び白色は、階調に含まれる。
【背景技術】
【0002】
電子源を備えた表示装置には、フラットパネル表示装置の分野での用途がある。これら様々な種類の表示装置は、それらの電子源の種類に応じて存在する。例えば、フィールド効果マイクロドットカソードは、文献[1]に述べられたように、フィールド効果ナノギャップ源は、参照文献[2]に述べられたように、グラファイト又はダイヤモンド炭素タイプのプレーナ電子源は、参照文献[3]に述べられたように公知である。これらの4つの参照文献は、本背景技術の末尾にある。
【0003】
図1は、本発明の方法を適用し得る電子源を備えた代表的な電界放出表示装置の動作原理を概略的に示す。
【0004】
表示装置には、蛍光体材料2が塗布されたアノード電極1と、電子放出領域4に電気的に接続されたカソード電極3と、カソード電極2から電気的に絶縁されたゲート電極5と、を含む電子源100が含まれる。各放出領域4は、ゲート電極5に対応する。放出領域4と蛍光体材料2との間に真空6がある。電子源100を駆動するための装置には、電圧源7及びバイアス手段8が含まれる。電圧源7は、高電位Vaをアノード電極1に印加するために用いられる。バイアス手段8は、所定の電子源100について、それに対応するゲート電極に電位Vgを印加するために、また、それが接続されているカソード電極3に電位Vc1、Vc2、Vc3を印加するために用いられる。電位差Vgc1、Vgc2、Vgc3は、以下の本説明では、Vgcと総称し、電子放出の駆動電圧を表す。
【0005】
電子源100は、その放出領域4から電子の流れ(図示せず)を放出し、この電子の流れは、電位差Vgcがしきい値Vthlを超えた時、放出領域に対向するアノード電極1によって集められる。この電子の流れは、アノード電極1に印加された高電位Vaによって加速される。蛍光体材料2は、ぶつけられる電子の運動エネルギの影響下で光を放出する。図2Aは、電子源4の放出特性Ia=f(Vgc)を示す。
【0006】
表示装置は、図3に示すように、幾つかの電子源4を備えたマトリックス構成の表示パネル17を有し得る。各電子源4は、表示パネルの画素Pi、jを表す。各画素Pi、jは、アドレス指定して、その輝度を、本背景技術の末尾で詳述された参照文献[4]に述べたように調整し得る。
【0007】
各画素Pi、jは、表示装置17の行L1、...Li、...Lnの電極と列C1、...Cj、...Cmの電極との間の交点として画成される。一般的に、幾つかの行電極及び幾つかの列電極がある。行電極L1、...Li、...Lnは、一般的に、ゲート電極に、列電極C1、...Cj、...Cmは、カソード電極に接続される。しかしながら、表示装置17は、本発明の方法に基づき機能する1つだけの行電極及び1つだけの列電極がある場合、1つの電子源又は1つの画素に減じ得ることに留意されたい。
【0008】
駆動装置は、ライン走査発生器10を備えた表示装置を駆動するために提供され、ライン走査発生器10は、電位Vlsを出力する電圧源11と、一般的に接地である強制基準電位Vlnsと、に接続され、行選択電位Vls又は基準電位Vlns即ち行非選択電位のいずれかを行電極に印加し得る。
【0009】
駆動装置には、更に、列駆動回路12が含まれ、列駆動回路12は、電位Vcjを出力する電圧源13と、接地であってよい基準電位Vcomと、に接続されている。ライン走査発生器10及び列駆動回路12は、表示コントローラ14に接続され、表示コントローラ14は、画像データ源(図示せず)からの信号並びに制御及び同期信号を受信し、また、ライン走査発生器10及び列駆動回路12を駆動できる信号を出力する。アノード電極1に関しては、これらは、電位Vaを出力する電圧源15に接続される。
【0010】
もっと正確には、ライン走査発生器には、各行電極用の駆動回路が含まれる。同様に、列駆動回路には、各列電極用の分岐回路が含まれる。従来、表示パネル駆動は、次のように行われる。即ち、行電極L1、Lnは、行選択期間Tl中、各々順番に逐次駆動することができる。被駆動行電極は、電位Vlsになり、非駆動行電極は、電位Vlnsになる。被駆動行電極Liの画素は、各々、与えられた情報を表示しなければならず、また、各列電極Cjは、適切な電位Vcjになる。列電極に印加される電位は、非駆動行電極L1、Li−1、Li+1、Lnの画素に影響を及ぼさない。また、非選択行電極の電位を浮かせることも可能である。列電極は、選択されないと、放電され、高インピーダンスに設定される。
【0011】
階調を得るには、差Vls−Vcjの値及び/又は電位Vcjの印加時間や、列電極に供給され表示される情報に対応する電荷の量に従うことが可能である。
【0012】
従って、階調を表示する表示装置の列を駆動するための方法が幾つかある。
【0013】
パルス幅変調(PWM)制御は、表示される階調に関連する可変時間の間、列電極Vcomの基準電位を固定電位Vcへスイッチングする段階を含むが、この可変時間は、行選択期間Tl以下である。
【0014】
パルス幅変調制御は、電位Vcと基準電位Vcomとの間のスイッチングを最大にするが、これは、列を駆動する際、多大な容量消費を引き起こす。各行選択時、かなり強い行・列容量があり、この容量は、列電極駆動電位で充電又は放電し得る。他方、このパルス幅変調制御は、列駆動回路の組み立てに関しては、最も簡単なままである。図2Aに関連する図2Bを参照すると、幾つかのタイミング図において電圧を示すが、この電圧は、対応する電子源が暗い階調又は明るい階調を表示しなければならない選択された行電極及び列電極に同時に印加される。明るい階調を表示するには、電位Vcが、暗い階調の表示の場合より短い時間の間、印加される。
【0015】
この方法は、スイッチングされる電位及び既述のそのようなスイッチングの周波数双方によって生成される容量消費の問題に対処する。
【0016】
パルス幅変調制御は、表示される階調にその値が依存する電位を、全行選択期間Tlに渡って、列電極に印加することによって実施される。
【0017】
混成表示ドライブを備えた表示装置では、1つ又は複数の電位が、行選択期間中、列電極に連続的に印加される。参照文献[5]は、前記駆動方法について述べており、その参照は、本背景技術の末尾に示されている。
【0018】
参照文献[6]に述べられた電荷駆動方法は、例えば、その完全な参照は、本説明の末尾に示すが、表示される階調に対応する電荷量を列電極に供給する。
【0019】
更に、特許[7]は、行電極の駆動について述べているが、この場合、第1行選択期間Tl後、及び第2行選択期間中、放電電位は、第1行選択期間中に、少なくとも第2行選択期間の一部中に、選択された行電極に印加され、そして、それが、再選択されない間は、高インピーダンス状態に保たれる。行非選択電位は、従って、浮遊電位であり、選択された行電極上の電子源を放出する割合に依存する。
【特許文献1】EP−A−0635819(参照文献[5]に対応)
【特許文献2】FR−A−2832537(参照文献[6]に対応)
【特許文献3】EP−A−0597772(参照文献[7]に対応)
【特許文献4】EP−A−0316214(参照文献[8]に対応)
【非特許文献1】≪Ecrans_fluorescents_a_micropointes≫、R.Baptist、l’Onde_Electrique、1991年11月−12月、vol.71、n°6、36−42頁(参照文献[1]に対応)
【非特許文献2】≪表面伝導電子エミッタに基づくフラットパネル表示装置≫、K.Sakaiら、第16回国際ディスプレイ研究会議録、ref.18.3L、569−572頁(参照文献[2]に対応)
【非特許文献3】≪カーボンナノチューブFED要素≫、S.Uemuraら、要約、1052−1055頁(参照文献[3]に対応)
【非特許文献4】≪マイクロチップ・アドレッシング≫、T.Lerouxら、SID1991要約、437−439頁(参照文献[4]に対応)
【非特許文献5】≪均一性が改善された6−inビデオCNT−FED≫J.Dijonら、IDW2005、1−4頁(参照文献[9]に対応)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、正確には、パルス幅変調モードの容量消費を低減する電子源を備えたマトリックス表示装置を駆動する方法を提案することである。
【0021】
他の目的は、パルス幅変調制御のように放出をブロックする電圧に近い電圧の使用を回避しつつ、電子源の応答の均一性を確保することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
これらの目的を達成するために、本発明は、特に、パルス幅変調制御を用いて、3つの異なる電位で列電極を駆動する電子源を備えたマトリックス表示装置を駆動する方法に関し、1つの電位は、第1と第2電位との間の中間であり、この第1電位及びこの第2電位は、従来、それぞれ放出をブロックするために及び放出のために用いられ、階調を表示する第1又は第2電位と関連するこの中間電位は、階調が、最も暗い階調に対応する第1階調系列又は最も暗くない階調に対応する第2階調系列に属すると見なされるかどうかに依存する。
【0023】
もっと正確には、本発明は、1つ又は複数の電子源において階調を表示することが可能なマトリックス表示装置を駆動する方法を提案する。本表示装置には、1つ又は複数の行電極及び1つ又は複数の列電極が含まれ、電子源は、行電極及び列電極の交点に画成される。本方法において、行選択期間中、行選択電位が、選択された行電極に印加され、同時に、前記期間中、電圧が、列電極に印加され、この電圧は、この選択された行電極及びこの列電極の交点にある電子源によって表示される階調に依存する。表示される階調は、2つの階調系列に分割され、第1の系列は、1つ又は複数の最も暗い階調が集まり、第2の系列は、1つ又は複数の最も暗くない階調が集まる。電子源によって表示される階調が、第1系列に属する場合、列電極の電圧は、行選択期間の開始時に、黒色を表示するために用いられる第2電位と白色を表示するために用いられる第1電位との間にある中間電位から第2電位になり、そして、表示される階調に応じて、行選択期間以下の時間後、中間電位に戻る。表示される階調が、第2系列に属する場合、列電極の電圧は、表示される階調に依存する行選択期間の瞬間に中間電位から第1電位になり、そして、行選択期間の終了時に中間電位に戻る。
【0024】
更に及び利点として、行選択期間の終了時に、選択された行電極を放電電位にすることが可能であり、そして、それを高インピーダンスに設定する。この駆動方法は、従って、非選択行電極の浮遊の原理と関連する。
【0025】
系列の内の1つの階調の1つについて、行選択期間中ずっと、中間電位に列電極の電圧を保持することもできる。この場合、追加の階調が提供される。
【0026】
行選択電圧は、行選択期間中ずっと一定であってよい。
【0027】
1つの同じ行電極上に幾つかの電子源がある場合、電圧が、列電極の各々に同時に印加される。
【0028】
第1電位は、単に実質的に0ボルトであってよい。
【0029】
中間電位は、実質的に第1電位と第2電位との中間であってよい。
【0030】
第2電位は、第1電位と比較して、正である。
【0031】
行選択期間中の第1電位の印加時間及び行選択期間中の第2電位の印加時間は、利点として、非線形的に分散され、人間の目による表示知覚を最適化する。
【0032】
この目的のために、第1電位又は第2電位の印加時間は、式ti=Tl[1−(i/r)2,2]を立証し得るが、ここで、rは、スイッチングが起こる階調系列における階調の数であり、iは、1からrまでの変数である。
【0033】
また、本発明は、階調を表示するマトリックス表示装置を駆動する装置に関し、表示装置には、各々組立体の行電極及び列電極の交点に配置された1つ又は複数の電子源が含まれ、組立体には、1つ又は複数の行電極及び1つ又は複数の列電極が含まれる。本装置には、電子源が位置する行電極が選択されると、行選択期間中、行選択電位を印加するライン走査発生器と、行選択期間中、表示される階調に対応する電圧を対応する列電極に印加できる列駆動回路と、が含まれる。列駆動回路には、組立体の各列電極について、パルス幅変調駆動電圧を出力する第1処理チェーンであって、中間電位と黒色を表示するために用いられる第2電位との間において、階調が、1つ又は複数の最も暗い階調を含む第1階調系列に属する場合、パルスが、行選択期間の開始時に始まり、列電極に印加される第1処理チェーンと、中間電位と第1電位との間において、パルスが行選択期間の終了時に終わるパルス幅変調駆動電圧が出力され、階調が、1つ又は複数の最も暗くない階調を含む第2階調系列に属する場合、列電極に印加される第2処理チェーンと、が含まれる。
【0034】
ライン走査発生器は、行選択期間の終了時、利点として、選択されたがもはや選択されていない行電極を放電電位にして、そして、それを高インピーダンスに設定し得る。
【0035】
第1処理チェーンは、それが受信し、表示階調をコード化する情報から、行選択期間におけるパルス幅変調電圧のパルス終了瞬間を解釈する信号を出力する。第2処理チェーンは、行選択期間におけるパルス幅変調電圧のパルス開始の瞬間を解釈する信号を出力し、これらの処理チェーンは、選択手段を介して、列電極に印加される電圧を出力することが可能な出力段に接続される。
【0036】
第1処理チェーンには、行選択期間中、階調をコード化する情報と、階調をコード化するデータ項目のサイズによって決定されるクロックパルスの数をカウントするサイクリックカウンタによって実施された計数の結果と、を比較する比較器を含み得る。また、比較器の出力に接続され、各行選択期間の開始時、パルスを受信し、パルス幅変調電圧のパルス終了瞬間を解釈する信号を出力する双安定ラッチも含み得る。
【0037】
第2処理チェーンには、行選択期間中、階調をコード化する情報と、階調をコード化するデータ項目のサイズによって決定されるクロックパルスの数をカウントするサイクリックカウンタで実施された計数の結果と、を比較する比較器を含み得る。また、比較器の出力に接続され、各行選択期間の終了時、パルスを受信し、パルス幅変調電圧のパルス開始の瞬間を解釈する信号を出力する双安定ラッチも含み得る。
【0038】
サイクリックカウンタは、第1及び第2処理チェーンに共通であってよい。
【0039】
表示される階調は、1つ又は複数の最上位ビットの2進数ワードの形態でコード化されることから、選択手段は、2進数ワードの1つ又は複数の最上位ビットを受信する組合せ論理回路であってよい。
【0040】
列駆動回路には、更に、列電極と同数の組のラッチを供給するシフトレジスタを含み得るが、各組のラッチは、その入力において、表示装置によって表示される階調を受信し、第1処理チェーン及び第2処理チェーンに接続される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の方法を適用し得る電子源を備えた電界放出表示装置を示す図(既述)である。
【図2A】電子源の放出特性Ia=f(Vgc)のグラフを示す図(既述)である。
【図2B】従来のパルス幅変調制御を用いて、選択された行電極に印加される電圧、暗い階調を表示するために列電極に印加される電圧、及び明るい階調を表示するために列電極に印加される電圧を示す図(既述)である。
【図2C】本発明の方法を用いて、選択された行電極に印加される電圧、暗い階調(系列F1)を表示するために列電極に印加される電圧、明るい階調(系列F2)を表示するために列電極に印加される電圧を示す図である。
【図3】その従来の駆動装置を備えた表示装置を示す図(既述)である。
【図4】それらのカソード電極をコーティングする抵抗性材料の層が設けられた電子源を示す図である。
【図5】非選択行電極に浮遊電位を用いる時、行電極に印加される異なる信号を示す図である。
【図6】図1における電子源の電流応答を示す図である。
【図7A】本発明の方法において、行電極に印加される信号を示す図である。
【図7B】第1系列F1において、コード化階調00乃至06を表示するために行電極に印加される信号を示す図である。
【図7C】第1系列に属すると仮定されるコード化階調07を表示するために行電極に印加される信号を示す図である。
【図7D】本発明の方法を用いて、第2系列F2において、コード化階調08乃至15を表示するために行電極に印加される信号を示す図である。
【図8A】本発明に基づき表示装置を駆動する装置を示す図である。
【図8B】本発明の表示装置の代表的な列電極駆動装置を示す図である。
【図8C】本発明の表示装置の他の代表的な列電極駆動装置を部分的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明は、以下の添付図面を参照して、限定のためでなく例示のために与えられた実施形態例の説明を解釈すると理解が深まるであろう。
【0043】
異なる図における類似した、同様な又は等価な部分は、同じ参照番号を用いて、図間の相互解釈を簡単にする。
【0044】
図示した異なる部分は、図の可読性を改善するために、必ずしも縮尺通りに描いていない。
【0045】
図2Aのグラフを参照しつつ、図2Cに示したタイミング図を解釈する。
【0046】
本発明の方法では、2n+1階調(nは、1以上の整数)を表示することが可能であり、これらの階調は、0乃至2nにコード化されると仮定する。コード0は、黒色に対応し、コード2nは、白色に対応する。実際には、関連する電子回路を簡素化するために、利点として、2n階調のみを用いて、黒色に対応するレベルを用いることなく又は白色に対応するレベルを用いることなく、0と2n−1との間でコード化される。
【0047】
2n+1階調は、2つの階調系列、即ち、最も暗い階調の第1系列F1及び最も暗くない階調の第2系列F2に任意に分割し得る。第1系列F1には、p階調(pは、厳密に2n+1より小さい整数)が含まれ、これらのp階調が、0(黒色)とp−1との間でコード化される。レベルp−1は、最も暗い階調の第1系列F1の最も明るい階調に対応する。第2階調系列F2には、レベルpとレベル2n(白色)との間でコード化される2n−p階調が含まれる。レベルpは、最も明るい階調の第2系列F2の最も暗い階調に対応する。図2Cのグラフは、選択された行電極及び列電極に印加される電圧であって、それぞれこの行電極及びこの列電極の交点にある電子源が、本発明に準拠する駆動方法を用いて、第1系列F1の暗い階調及び第2系列F2の明るい階調を表示するように印加される電圧を示す。
【0048】
図2Cにおいて、選択された行電極に印加される電圧は、図2Bに示したものと同じである。他方、利点として、行電極が選択されていた第1期間後に続く第2行選択期間Tlの開始時、今はもう選択されていない行電極は、第2行選択期間の少なくとも一部の間、放電電位Vdになり、そして、特許[7]に述べたように、第1行選択期間及び第2行選択期間の一部外で高インピーダンスに設定される。
【0049】
このことは、行非選択電位Vlnsが、浮遊電位であることを意味する。幾つかの行電極Li乃至Li+2について、この機能を示す図5を参照する。放電電位Vdは、白色表示用電位のVk2以下である。行非選択電位Vlnsは、それが浮遊していることを示す点線として示す。
【0050】
電位を浮遊したままにする段階を含むこの特性は、明らかに強制的ではない。行電極電位の駆動は、従来、賦課された電位Vls及びVlnsを用いて実施し得る。
【0051】
列電極に印加される電圧に関して、パルス幅変調は、従来のような2つの代わりに3つの電位で用いられる。これらの3つの電位間では、第1電位Vcom又は白色を表示するために用いる基準電位と、黒色を表示するために用いる第2電位Vk2と、中間電位Vk1との間で区別できる。第2電位Vk2は、電位Vcomを基準として正である。電位Vcomは、好適には、接地である。第2電位Vk2は、電子源における電子の放出をブロックする。
【0052】
暗い階調、即ち、第1階調系列F1に属する階調を表示するために、対象の列電極の電位は、行選択期間Tlの開始時、中間電位Vk1から第2電位Vk2になり、この第2電位は、表示される階調に依存する可変時間t1の間、維持され、電位は、行選択期間Tlの終了前に又は行選択期間Tlの終了時に中間電位Vk1に戻される。時間t1が長ければ長いほど、階調は、より暗い。黒色を表示しなければならない場合、時間t1は、Tlに等しいか又はTlに近い。この後者の場合、黒色に真に対応するレベルは、2n階調へのコード化から除外した。従って、pの最も暗い階調に対応する電位Vk2の印加について、2n−pの異なる時間t1がある
【0053】
明るい階調、即ち、第2階調系列F2に属する階調を表示する場合、対象の列電極の電位は、中間電位Vk1から第1電位Vcomになり、この第1電位Vcomは、行選択期間Tlの終了時に終わる時間t2の間、維持され、そして、中間電位に戻される。表示しなければならないのが白色である場合、時間t2は、行選択期間Tlに等しい。時間t2が短ければ短いほど、最も暗くない階調の第2系列F2からの表示階調は、暗くなる。従って、n−pの最も明るい階調に対応して、第1電位Vcomについて、2n−pの異なる印加時間t2がある。
【0054】
第1系列F1の階調用の第2電位Vk2に対するトリガは、行選択期間Tlの開始時、直ちに行われ、中間電位Vk1に対するトリガは、時間t1の終了時の第2段で起こる。明るい階調用の第1電位からの中間電位Vk1に対するトリガは、行選択期間Tlの終了時に行われ、中間電位Vk1から第1電位Vcomへのトリガは、行選択期間Tlの終了前に又は行選択期間Tlの終了時に起こる。第1系列F1の階調用のトリガ開始端及び第2系列F2の階調用のトリガ終了端は、従って、常に同相であり、これによって、浮遊したままの行の電位が、これらの端に従い、このため、対応する容量消費を相殺する。
【0055】
2つの階調系列F1又はF2の内の1つのみに、図7C示すように、全行選択期間Tlに渡って中間電位Vk1を維持することによって得られる階調が含まれる。
【0056】
この階調が、最も暗くない階調の系列F2に割り当てられる場合、開始及び終了パルスが同化し、電位Vcomへのスイッチングはない。
【0057】
この階調が、最も暗い階調の系列F1に割り当てられる場合、開始パルスは、行期間Tlの終了時に起こり、信号は、電位Vk1のままである。
【0058】
列電極について、3つの電位間において、パルス幅変調に基づき機能すると、従来のパルス幅変調と比較して、列電極の容量消費が、大幅に低減される。この容量の低減は、非選択行の電極が浮遊電位になると、更に改善される。
【0059】
本発明の方法では、3つの電位が、パルス幅変調に用いられ、これによって、電圧スイングのほぼ半分だけが、行選択期間Tl中、スイッチングされる。容量消費は、これによって、4分の一に制限されるが、これは、この容量消費が、電圧の2乗で変動するためである。
【0060】
更に、パルス幅変調制御を利用すると、電子源の応答の均一性を確保するニーズを満たす。表示装置の場合、電子源は、放出の観点において均一ではなく、1つの同じ駆動電圧について、あるものは、他のものより高度に機能したり放出が多かったりする点において、実質的には問題に遭遇する。このことは、蛍光体材料において、アノード電極側で、明るい点が点在するほとんど均質でない画像につながる。本説明の末尾にその参照リストがある参照文献[1]又は参照文献[8]には、放出を均質化する1つの効率的な手段は、最適に機能する電子源を不利な立場にして、それらの放出を低いレベルにする段階を含むことが示されている。このことは、一般的に、各放出領域4とそれに接続されたカソード電極3との間に抵抗R1を直列に置くことによって達成される。そして、電子源を通過する電流に比例する電位差は、放出電流を制限する電位差Vgcから減算する。この抵抗は、カソード電極をコーティングする抵抗性材料の層として具体化し得る。図4は、前記構成を示す。ゲート電極5は、誘電材料9の層によってカソード電極3から電気的に絶縁される。図4において、カソード電極3は、電気的に絶縁の基板110上に位置する。この抵抗R1は、本説明の末尾にその参照リストがある文献[9]に述べられているように、ゲート・カソード(又は列電極・行電極)電位差の増加が大きければ大きいほど、それだけ効率的である。本発明の方法は、従来のパルス幅変調装置と比較して、約半分(最も暗い階調系列F1の場合)又は同じゲート−カソード電位差(最も暗くない階調の系列F2の場合)のいずれかを用いることによって、カソード電極3をコーティングする抵抗性の層の利点から恩典を引き出すことができる。
【0061】
電子源の電流応答及び従って、表示装置の輝度応答は、図6に示すように、指数法則に近く、これに対して、光刺激に対する人間の目の応答は、その強度に比例せず、対数曲線に従う。人間の目は、強照明下より弱照明下での輝度の差に敏感である。その輝度知覚は、特に、国際照明委員会によってモデル化された非線形の、所謂、ガンマ補正の法則に従う。
【0062】
人間の目の応答曲線は、従って、電子源の応答曲線の逆に極めて近い非線形法則である。
【0063】
従って、コード化される階調の数を限定するために、2つの系列間で最小電圧差を維持しつつ、第1階調系列F1の階調の数が、第2階調系列F2の階調の数に等しいように、非線形的にコード化される輝度値を有する画像データ源を用いることは好適であり、このことは、容量消費に対する最良の妥協である。明らかに、2つの系列が、同じ数の階調を有さないことが可能である。いずれかの系列における異なる階調に対する励起時間は、画像データ源のコード化の非線形性を再現する。
【0064】
本発明による方法の実施例の一例について、図7A、7B、7C、7Dに与えられたグラフを簡素化するために、16階調だけで以下に述べる。
【0065】
図7Aは、行選択期間Tl中に選択される行電極に印加された電圧を示す。この行電極は、行選択期間Tlの開始に先立って、高インピーダンスであったが、行選択期間Tlの開始時に、行選択電位Vlsに切り替わる。行選択期間Tlの終了時、高インピーダンスに戻る前に、行非選択電位Vlsに切り替わる。
【0066】
各系列には、8階調が含まれると仮定する。第1系列F1には、00(黒色の場合)から07(中間調)にコード化される階調が含まれる。第2系列F2には、08乃至15(白色の場合)にコード化されるレベルが含まれる。
【0067】
図7Bは、図7Cに示すコード化中間調07を除き、第1階調系列F1の階調を表示するために列電極に印加される電位の様子を示す。コード化階調07は、第1階調系列に属すると仮定するが、このコード化階調07は、第2階調系列F2にも属し得る。
【0068】
第1系列F1の階調を表示する場合、中間電位Vk1である対象の列電極の電位は、行選択期間Tlの開始時に、黒色を表示するために用いられる第2電位Vk2になり、この第2電位Vk2は、時間t1の間、行選択期間Tl以下に維持される。そして、列電極の電位は、中間電位Vk1に戻り、必要ならば、中間電位Vk1が、行選択期間Tlの残り時間の間、維持される。
【0069】
実線は、コード化階調06を表示するために用いられる電圧の様子を示す。点線は、コード化階調05乃至00を表示するために用いられる電圧の様子を示す。
【0070】
第1系列F1の中間調07を表示する場合、このことは、図7Cに示す。この場合、中間電位Vk1が、全行選択期間Tlを通して維持される。
【0071】
第2系列F2の階調を表示するためには、図7Dに示すように、中間電位Vk1である対応する列電極の電位は、基準電位Vcomになり、この基準電位Vcomが、行選択期間Tlの終了時に終わる第2時間長t2の間、維持される。第1電位Vcomへのスイッチングは、白色を表示しようとする場合、行選択期間Tlの開始時、直ぐに行われる。実線は、コード化階調14を表示するために用いられる電圧の様子を示す。点線は、コード化階調15乃至08及び、特に、中間電位Vk1から基準電位Vcomへの切り替えの瞬間を表示するために用いられる電圧の様子を示す。
【0072】
本発明の方法では、2n+1階調(即ち、17階調)を表示することが可能であるが、これは、階調の第1系列F1が、階調を一体化する場合であり、この階調に対して、列電極の電位は、行選択期間Tlの開始時直ぐに、中間電位Vk1から第2電位Vk2にスイッチングされ、そして、図7Bに示すように、行選択期間Tlの終了時に、第2電位Vk2から中間電位Vk1にスイッチングされる。
【0073】
図7に示す本例において、以下を選択し得る。
Vlns=0V
Vls=90V
Vcom=0V
Vk1=20V
Vk2=40V
【0074】
次に、陰極線管のガンマ補正を適用するかどうかについて、2つの時間長t1及びt2の計算に関する例について考える。第1系列F1には、r階調が含まれ、また、第2系列には、qレベルが含まれると仮定する。
【0075】
これらの数値r及びqは、電圧が、全行選択期間Tlを通して中間電位Vk1のレベルで一定のままである中間レベルを考慮しないと仮定する。
第2電位Vk2の印加時間t1iは、iが、1乃至rの変数である場合、以下のように表される。
t1i=Tlx[1−(i/r)2,2]
基準電位Vcomの印加時間t2jは、jが、1乃至qの変数である場合、以下のように表される。
t2j=Tlx[1−(j/q)2,2]
【0076】
64マイクロ秒の行選択期間Tl及びr=q=8の場合、時間長t1i及びt2jは次のようになる。即ち、0.66マイクロ秒、3.03マイクロ秒、7.4マイクロ秒、13.9マイクロ秒、22.76マイクロ秒、33.96マイクロ秒、47.71マイクロ秒、及び64マイクロ秒である。
【0077】
本発明は、更に、電子源を備えたマトリックス表示パネルを駆動する装置に関する。
【0078】
図8A、8B、8Cを参照すると、図8Aは、本発明の方法による階調表示を可能にする電子源を備えたマトリックス表示装置25用の駆動装置を概略的に示す。表示装置25には、行電極及び列電極の交点に配置された幾つかの電子源Pi、jが含まれ、この行電極及びこの列電極は、1つ又は複数の行及び1つ又は複数の列の組立体の一部を形成する。
【0079】
電子源Pi、jは、画素を実現する。表示装置を駆動する装置には、従来のように、1つ又は複数の行22を走査するライン走査発生器と、1つ又は複数の列23を駆動する駆動回路と、が含まれる。列23を駆動する回路は、2進数ワードを提供できるデジタルデータ源20に接続され、これら2進数ワードは、sビットに渡って、画素によって表示される階調をコード化する。表示装置を駆動する装置には、更に、表示コントローラ21が含まれる。
【0080】
表示コントローラ21は、データ源20から同期信号を受信し、ライン走査発生器22及び列ドライバ回路23を駆動することが可能な信号を管理し提供する。
【0081】
ライン走査発生器22については、更に詳細には述べないが、浮遊電位を用いる場合、例えば、特許出願[7]に記載したものを参照する当業者には、特に問題は生じない。
【0082】
次に、図8Bを参照して、列駆動回路の実施形態例について詳細な説明を行う。
【0083】
列駆動回路には、アドレスデコーダとしての役割を果たすシフトレジスタ40が含まれる。このシフトレジスタ40は、m出力を有し、クロック信号SCKによって選択ビットCSIをm回伝える。シフトレジスタ40のm出力は、列電極c0乃至cmと同じ数のラッチ41を駆動し、その各々は、図8Aに示した表示装置25の列電極c0乃至cmの内の1つと協働する。表示される2n階調は、sが2nに等しいと、sビットの2進数ワードによってコード化される場合、組41には、sラッチが含まれる。また、これらの組のラッチ41は、デジタルデータ源20によって出力され表示予定情報をコード化するデータ2進数ワードを受信するが、シフトレジスタ40が前記ラッチの組41を立証する時、クロック信号SCKと共にこれらを記憶する。
【0084】
m組41のラッチ各々の出力は、最初に、電圧が、行選択期間の開始時、中間電位Vk1から、第1階調系列F1に属する表示される階調に対応する第2電位Vk2に切り替わらなければならない場合、関連する列電極に印加される電圧命令信号を出力するようになっている第1処理チェーン30を供給し、また、次に、電圧が、行選択期間の終了時、第1電位Vcomから、第2階調系列F2に属する表示される階調に対応する中間電位Vk1に切り替わらなければならない場合、関連する列電極に印加される電圧命令信号を出力するようになっている第2処理チェーン31を供給する。これらの第1及び第2処理チェーン30、31の出力は、関連する列電極である列電極c0乃至cmに、第1処理チェーン30又は第2処理チェーン31を選択する選択手段48を介して接続される。
【0085】
mの第1処理チェーン30には、各々、まず、ラッチの組41のs出力を受信し、そして、次に、クロックCCPによってクロック制御され、また、各行選択期間Tlの開始を警告する電荷信号LCによってリセットされるサイクリックカウンタ42で実施された計数の結果を受信する比較器44が含まれる。カウンタは、行選択期間Tl中、最も暗い階調の系列F1の階調の数に対応する計数を実施する。
【0086】
比較器44の出力において、行選択期間の開始と、関連する比較器44の出力とに関する情報を与える電荷信号LCでトリガをかけるmラッチ46がある。比較器44は、カウンタ42の2進数値が、対応する組41のラッチの出力に存在する2進数値に達すると、状態が変わる。従って、F1の第1階調系列に属する画像データ項目の場合、ラッチ46に関連付けられたカウンタ42の組立体及び比較器44は、時間長t1を調整するために用い得る。
【0087】
mの第2処理チェーン31には、各々、まず、ラッチの組41のs出力を受信し、次に、クロックCCNによってクロック制御され、また、各行選択期間Tlの終了を警告する電荷信号LCによってリセットされるサイクリックカウンタ43によって実施された計数の結果を受信する比較器45が含まれる。カウンタ43は、行選択期間Tl中、最も暗くない階調の系列F2の階調の数に対応する計数を実施する。
【0088】
第2処理チェーン31の比較器45の出力には、行選択期間の終了と、関連する比較器45の出力を示し電荷信号LCでトリガをかけるmラッチ47がある。比較器45は、カウンタ43の2進数値が、対応するラッチの組41の出力に存在する2進数値に達すると、状態が変わる。従って、第2階調系列F2に属する画像データ項目の場合、ラッチ47に関連付するカウンタ43及び比較器45は、中間電位Vk1から第1電位Vcomへの切り替え時間を調整するために用い得る。電荷信号LCは、行選択期間の開始及び行選択期間の終了の双方を示し、後者は、後続行の選択期間の開始に対応する。
【0089】
出力段53には、関連する列電極c1に対応する共通点と、それぞれ、中間電位Vk1、第2電位Vk2、及び第1電位Vcomとの間に星型設置された3つのスイッチQ1、Q2、Q3が含まれる。これらのスイッチQ1、Q2、Q3は、トランジスタであってよく、また、その1つだけが、任意のある時間にオン状態であってよい。スイッチQ1及びQ2は、それぞれ、第2電位Vk2と基準電位Vcomとの間にプッシュプル方式で搭載する。m出力段53は、3つのスイッチQ1、Q2、Q3の各々用の命令を介して、3つの電位Vk1、Vk2、Vcomの内の1つを選択的に切換え得る。スイッチQ1によって、関連する列電極上の第2電位Vk1を切り替えることができ、他方、スイッチQ2によって、基準電位Vcomを賦課し得る。
【0090】
出力段53は、その入力において、選択手段48の出力に接続される。
【0091】
選択手段48は、組合せ論理回路から形成し得るが、この回路は、表示される情報をコード化する2進数ワードの1つ又は複数の最上位ビットbに関連して、出力段53における第1処理チェーン30の出力を立証するために、即ち、スイッチQ3をブロックし、また、表示される階調にとって適切な瞬間にスイッチQ2及びスイッチQ1をオンにするために用い得る。あるいは、この回路は、第2処理チェーン31の出力を立証するために、即ち、スイッチQ2をブロックし、また、表示される階調にとって適切な瞬間にスイッチQ3及びスイッチQ1をオンにするために用い得る。選択手段48は、これらの最上位ビットbを受信する。
【0092】
各処理チェーン30、31において、比較器44、45は、従って、サイクリックカウンタ42、43の計数結果が、比較器44、45のsの第1入力に存在するデータと一致する時間に対応する所定の瞬間に状態が変わる。更に、これらの双安定ラッチ46、47は、それらの入力において、行選択期間の開始又は終了を解釈する電荷信号LCを受信する。これらの双安定ラッチ46、47は、それらの2つの入力に到着する信号が変化するとすぐにトリガがかかる。双安定ラッチ46の出力は、出力段53のトランジスタQ1、Q2にそれらの制御ゲートにおいて、選択手段48を介して接続される。出力段53は、それが双安定ラッチ46、47から受信する信号に関連して、第2電位Vk2(トランジスタQ2をオンし、トランジスタQ3をブロック)又は第1電位Vcom(トランジスタQ3をオンし、トランジスタQ2をブロック)のいずれかを切り替えることが可能であり、あるいは、選択手段48によって出力された立証に従って、これらの2つの電位のいずれも切り替えることができない。この最後の可能性では、オンされるのは、出力段の第3トランジスタQ1であり、2つのトランジスタQ2及びQ3は、ブロックされる。
【0093】
第1処理チェーン30に関連付けられたカウンタ42及び第2処理チェーンに関連付けられたカウンタ43を同化することが可能であり、これによって、図8Bの回路が簡略化される。これにより、2つのクロックCCP及びCCNも同化する必要がある。しかしながら、この異型は、階調の応答曲線を調整する可能性を制限する。図8Cは、列電極c1に関連付けられた第1及び第2処理チェーンの前記構成を概略的に示す。共通カウンタは、60で参照し、また、クロックはCKで参照する。
【0094】
本発明の幾つかの実施形態について、詳細に示し述べたが、それらに対して、本発明の範囲から逸脱することなく、異なる変更及び修正を行い得ることを認識されたい。
【符号の説明】
【0095】
TI 行選択期間
Vls 行選択電位
Vlns 基準電位
t1 Vk2の印加時間
t2 Vk1の印加時間
Vk1 中間電位
Vk2 第2電位
Vcom 第1電位
F1 第1階調系列
F2 第2階調系列
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数の電子源において階調を表示することが可能なマトリックス表示装置を駆動するための方法において、前記表示装置は、1つ又は複数の行電極及び1つ又は複数の列電極が含まれ、電子源は、行電極及び列電極の交点に画成され、行選択期間中、行選択電位が、選択された行電極に印加され、前記期間中、電圧が、列電極に同時に印加され、電圧は、この選択された行電極及びこの列電極の交点にある電子源によって表示される階調に依存する方法であって、
表示される階調は、2つの階調系列(F1、F2)に分割され、第1(F1)系列は、1つ又は複数の最も暗い階調の集まりであり、第2(F2)系列は、1つ又は複数の最も暗くない階調の集まりであり、
電子源によって表示される階調が第1系列(F1)に属する場合、列電極の電圧は、行選択期間の開始時に、黒色を表示するために用いられる第2電位と白色を表示するために用いられる第1電位との間にある中間電位から第2電位になり、そして、行選択期間以下の時間後、表示される階調に依存する中間電位に戻り、
表示される階調が第2系列F2に属する場合、列電極の電圧は、表示される階調に依存する行選択期間の瞬間における中間電位から第1電位になり、そして、行選択期間の終了時に中間電位に戻り、
行選択期間後、選択された行電極は、放電電位になり、そして、高いインピーダンスに設定されることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動方法であって、更に、系列の内の1つ(F1)の階調の内の1つについて、列電極の電圧は、全行選択期間(Tl)に渡って中間電位(Vk1)に保持される駆動方法。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれかに記載の駆動方法であって、行選択電圧(Vls)は、行選択期間(Tl)中、一定である方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の駆動方法であって、幾つかの電子源が、1つの同じ行電極上にある場合、電圧が、列電極の各々に同時に印加される方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の駆動方法であって、第1電位(Vcom)は、実質的に0ボルトである方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の駆動方法であって、中間電位(Vk1)は、第1電位(Vcom)と第2電位(Vk2)との間のほぼ中間にある方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の駆動方法であって、第2電位(Vk2)は、第1電位(Vcom)と比較して正である方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の駆動方法であって、行選択期間中の第1電位の印加時間(t1)及び行選択期間中の第2電位の印加時間(t2)は、非線形的に分配される方法。
【請求項9】
請求項8に記載の駆動方法であって、rが、スイッチングが起こる階調系列の階調数であり、iが、1からrまでの変数である場合、第1電位又は第2電位の印加時間(ti)は、式ti=Tl[1−(i/r)2,2]を立証する方法。
【請求項10】
階調を表示するマトリックス表示装置を駆動するための駆動装置において、前記表示装置には、1つ又は複数の行電極及び1つ又は複数の列電極を含む組立体の行電極及び列電極(Cj)の交点に各々配置された1つ又は複数の電子源が含まれ、また、電子源が位置する行電極(Li)が選択された時、行選択期間(Tl)中、行選択電位(Vls)を印加するライン走査発生器(22)と、対応する列電極(Cj)に、行選択期間中、表示される階調に対応する電圧を印加することが可能な列駆動回路(23)と、が含まれる駆動装置であって、
列駆動回路(23)には、組立体の各列電極について、
中間電位(Vk1)と黒色を表示するために用いられる第2電位(Vk2)との間において、行選択期間の開始時に始まるパルスを有するパルス幅変調駆動電圧を出力し、階調が、1つ又は複数の最も暗い階調を含む第1階調系列(F1)に属する場合、列電極に印加する第1処理チェーン(30)と、
中間電位と第1電位との間において、行選択期間の終了時に終わるパルスを有するパルス幅変調駆動電圧を出力し、階調が、1つ又は複数の最も暗くない階調を含む第2階調系列(F2)に属する場合、列電極(Cj)に印加する第2処理チェーン(31)と、が含まれ、
行選択期間(Tl)後、ライン走査発生器(22)は、選択された行電極であるが、もはや選択されていない行電極を放電電位にし、そして、高インピーダンスに設定することを特徴とする駆動装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置であって、
第1処理チェーン(30)は、それが受信し表示される階調をコード化する情報に基づき、行選択期間(Tl)におけるパルス幅変調電圧のパルス終了の瞬間を解釈する信号を出力し、
第2処理チェーンは、行選択期間におけるパルス幅変調電圧のパルス開始の瞬間を解釈する信号を出力し、これらの処理チェーンは、選択手段を介して、列電極に印加される電圧を出力することが可能な出力段(53)に接続される装置。
【請求項12】
請求項10又は11のいずれかに記載の装置であって、第1処理チェーンには、
行選択期間(Tl)中、階調をコード化する情報と、階調をコード化するデータ項目のサイズによって決定されたクロックパルス(CCP)の数をカウントするサイクリックカウンタ(42)によって実施された計数の結果と、を比較する比較器(44)と、
比較器(44)の出力に接続され、また、各行選択期間(Tl)開始時、パルス(LC)を受信し、パルス幅変調電圧のパルス終了の瞬間を解釈する信号を出力する双安定ラッチ(46)と、が含まれる装置。
【請求項13】
請求項10乃至12のいずれかに記載の駆動装置であって、
第2処理チェーンには、行選択期間(Tl)中、階調をコード化する情報と、階調をコード化するデータ項目のサイズによって決定されたクロックパルス(CCN)の数をカウントするサイクリックカウンタ(43)によって実施された計数の結果と、を比較する比較器(45)と、
比較器(45)の出力に接続され、また、各行選択期間(Tl)の終了時、パルス(LC)を受信し、パルス幅変調電圧のパルス開始の瞬間を解釈する信号を出力する双安定ラッチ(47)と、が含まれる駆動装置。
【請求項14】
請求項12及び13に記載の駆動装置であって、サイクリックカウンタ(60)は、第1及び第2処理チェーン(30、31)に共通である駆動装置。
【請求項15】
請求項11乃至14のいずれかに記載の装置であって、表示される階調は、1つ又は複数の最上位ビット(b)を有する2進数ワードの形態でコード化され、選択手段(48)は、2進数ワードの最上位ビット(b)を受信する組合せ論理回路である装置。
【請求項16】
請求項10乃至15のいずれかに記載の装置であって、列駆動回路には、更に、存在する列電極(C1、Cm)と同じ数の組のラッチ(41)を供給するシフトレジスタ(40)が含まれ、各組のラッチ(41)は、その入力において、表示装置によって表示される階調を受信し、また、第1処理チェーン(30)及び第2処理チェーン(31)に接続される装置。
【請求項1】
1つ又は複数の電子源において階調を表示することが可能なマトリックス表示装置を駆動するための方法において、前記表示装置は、1つ又は複数の行電極及び1つ又は複数の列電極が含まれ、電子源は、行電極及び列電極の交点に画成され、行選択期間中、行選択電位が、選択された行電極に印加され、前記期間中、電圧が、列電極に同時に印加され、電圧は、この選択された行電極及びこの列電極の交点にある電子源によって表示される階調に依存する方法であって、
表示される階調は、2つの階調系列(F1、F2)に分割され、第1(F1)系列は、1つ又は複数の最も暗い階調の集まりであり、第2(F2)系列は、1つ又は複数の最も暗くない階調の集まりであり、
電子源によって表示される階調が第1系列(F1)に属する場合、列電極の電圧は、行選択期間の開始時に、黒色を表示するために用いられる第2電位と白色を表示するために用いられる第1電位との間にある中間電位から第2電位になり、そして、行選択期間以下の時間後、表示される階調に依存する中間電位に戻り、
表示される階調が第2系列F2に属する場合、列電極の電圧は、表示される階調に依存する行選択期間の瞬間における中間電位から第1電位になり、そして、行選択期間の終了時に中間電位に戻り、
行選択期間後、選択された行電極は、放電電位になり、そして、高いインピーダンスに設定されることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動方法であって、更に、系列の内の1つ(F1)の階調の内の1つについて、列電極の電圧は、全行選択期間(Tl)に渡って中間電位(Vk1)に保持される駆動方法。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれかに記載の駆動方法であって、行選択電圧(Vls)は、行選択期間(Tl)中、一定である方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の駆動方法であって、幾つかの電子源が、1つの同じ行電極上にある場合、電圧が、列電極の各々に同時に印加される方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の駆動方法であって、第1電位(Vcom)は、実質的に0ボルトである方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の駆動方法であって、中間電位(Vk1)は、第1電位(Vcom)と第2電位(Vk2)との間のほぼ中間にある方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の駆動方法であって、第2電位(Vk2)は、第1電位(Vcom)と比較して正である方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の駆動方法であって、行選択期間中の第1電位の印加時間(t1)及び行選択期間中の第2電位の印加時間(t2)は、非線形的に分配される方法。
【請求項9】
請求項8に記載の駆動方法であって、rが、スイッチングが起こる階調系列の階調数であり、iが、1からrまでの変数である場合、第1電位又は第2電位の印加時間(ti)は、式ti=Tl[1−(i/r)2,2]を立証する方法。
【請求項10】
階調を表示するマトリックス表示装置を駆動するための駆動装置において、前記表示装置には、1つ又は複数の行電極及び1つ又は複数の列電極を含む組立体の行電極及び列電極(Cj)の交点に各々配置された1つ又は複数の電子源が含まれ、また、電子源が位置する行電極(Li)が選択された時、行選択期間(Tl)中、行選択電位(Vls)を印加するライン走査発生器(22)と、対応する列電極(Cj)に、行選択期間中、表示される階調に対応する電圧を印加することが可能な列駆動回路(23)と、が含まれる駆動装置であって、
列駆動回路(23)には、組立体の各列電極について、
中間電位(Vk1)と黒色を表示するために用いられる第2電位(Vk2)との間において、行選択期間の開始時に始まるパルスを有するパルス幅変調駆動電圧を出力し、階調が、1つ又は複数の最も暗い階調を含む第1階調系列(F1)に属する場合、列電極に印加する第1処理チェーン(30)と、
中間電位と第1電位との間において、行選択期間の終了時に終わるパルスを有するパルス幅変調駆動電圧を出力し、階調が、1つ又は複数の最も暗くない階調を含む第2階調系列(F2)に属する場合、列電極(Cj)に印加する第2処理チェーン(31)と、が含まれ、
行選択期間(Tl)後、ライン走査発生器(22)は、選択された行電極であるが、もはや選択されていない行電極を放電電位にし、そして、高インピーダンスに設定することを特徴とする駆動装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置であって、
第1処理チェーン(30)は、それが受信し表示される階調をコード化する情報に基づき、行選択期間(Tl)におけるパルス幅変調電圧のパルス終了の瞬間を解釈する信号を出力し、
第2処理チェーンは、行選択期間におけるパルス幅変調電圧のパルス開始の瞬間を解釈する信号を出力し、これらの処理チェーンは、選択手段を介して、列電極に印加される電圧を出力することが可能な出力段(53)に接続される装置。
【請求項12】
請求項10又は11のいずれかに記載の装置であって、第1処理チェーンには、
行選択期間(Tl)中、階調をコード化する情報と、階調をコード化するデータ項目のサイズによって決定されたクロックパルス(CCP)の数をカウントするサイクリックカウンタ(42)によって実施された計数の結果と、を比較する比較器(44)と、
比較器(44)の出力に接続され、また、各行選択期間(Tl)開始時、パルス(LC)を受信し、パルス幅変調電圧のパルス終了の瞬間を解釈する信号を出力する双安定ラッチ(46)と、が含まれる装置。
【請求項13】
請求項10乃至12のいずれかに記載の駆動装置であって、
第2処理チェーンには、行選択期間(Tl)中、階調をコード化する情報と、階調をコード化するデータ項目のサイズによって決定されたクロックパルス(CCN)の数をカウントするサイクリックカウンタ(43)によって実施された計数の結果と、を比較する比較器(45)と、
比較器(45)の出力に接続され、また、各行選択期間(Tl)の終了時、パルス(LC)を受信し、パルス幅変調電圧のパルス開始の瞬間を解釈する信号を出力する双安定ラッチ(47)と、が含まれる駆動装置。
【請求項14】
請求項12及び13に記載の駆動装置であって、サイクリックカウンタ(60)は、第1及び第2処理チェーン(30、31)に共通である駆動装置。
【請求項15】
請求項11乃至14のいずれかに記載の装置であって、表示される階調は、1つ又は複数の最上位ビット(b)を有する2進数ワードの形態でコード化され、選択手段(48)は、2進数ワードの最上位ビット(b)を受信する組合せ論理回路である装置。
【請求項16】
請求項10乃至15のいずれかに記載の装置であって、列駆動回路には、更に、存在する列電極(C1、Cm)と同じ数の組のラッチ(41)を供給するシフトレジスタ(40)が含まれ、各組のラッチ(41)は、その入力において、表示装置によって表示される階調を受信し、また、第1処理チェーン(30)及び第2処理チェーン(31)に接続される装置。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【公表番号】特表2010−508540(P2010−508540A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533868(P2009−533868)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061560
【国際公開番号】WO2008/052945
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(590000514)コミツサリア タ レネルジー アトミーク (429)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061560
【国際公開番号】WO2008/052945
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(590000514)コミツサリア タ レネルジー アトミーク (429)
【Fターム(参考)】
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