説明

低温保管システム

【課題】低温保管された試料を収容した容器を個別に自動的に取り出すことができるとともに、他の容器に収容された試料の温度変化を抑制し、容器や保管プレートに結露や霜が生じるのを防止する低温保管システムを提供すること。
【解決手段】作業室106に保管プレート203から容器201を個別に取り出し可能なピックアップ機構120が設けられ、作業室106に隣接して入出庫室108が設けられ、プレート搬送機構110が、保管ラック104を低温格納室105から作業室106に個別に出し入れし、保管プレート203を保管ラック104から個別に出し入れし、作業室106内を移動可能に構成されていること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料を収容する容器を低温で保管する低温保管システムに関し、特に、創薬(drug discovery)、すなわち、医学、生物工学および薬学において薬剤を発見したり設計したりするプロセスにおいて用いられる創薬用試料を極低温で保管するために使用される低温保管システムに関する。
【背景技術】
【0002】
創薬研究の分野においては、大量の試料を低温で保管したり分析したりする実験を高効率で行う必要がある。
そのため、図7に示すように、試料を溶解した溶液を創薬用マイクロチューブと呼ばれる筒状の小型の容器201に収容してキャップ202で密封し、この密封された容器201をマトリクス状の区画を有する保管プレート203に多数縦列収容して保管や搬送を行っている。
【0003】
このような低温保管すべき試料を収容する容器を複数保持する保管プレートを縦方向に複数収容する保管ラックを用いて多数保管し、かつ、必要に応じて目的の保管プレートを自動的に取り出す低温保管システムが公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この公知の低温保管システム500は、図8に示すように、保管プレート203を縦方向に複数収容する保管ラック504と、該保管ラック504を複数格納する低温格納室505と、該低温格納室505の上方に隣接して設けられた作業室506と、該作業室506内に設けられ保管プレート203を搬送するとともに保管ラック504に出し入れするプレート搬送機構510とを有している。
【0005】
プレート搬送機構510は、保管ラック504を低温格納室505から作業室506に個別に出し入れする保管ラック移動手段511と、保管プレート203を保管ラック504から個別に出し入れする保管プレート移動手段512とを有している。
保管プレート移動手段512は、保管プレート503を保管ラック504に出し入れするとともに、保管プレート503を搬送可能に構成されている。
【0006】
プレート搬送機構510が作業室506内を移動することで、取り出したい容器201が保持された保管プレート203を、低温格納室505内からまた、作業室506の側方の所定の箇所に設けられたプレート出入口507まで搬送するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6694767号公報(全頁、全図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述のような公知の低温保管システム500は、取り出したい容器201が保持された保管プレート503をプレート出入口507まで搬送するものであるため、取り出したい容器201が1つであったとしても、保管プレート203全体をプレート出入口507から取り出す必要があった。
このため、同一の保管プレート203に保持されている他の容器201も、外部環境に曝されることとなり、試料に温度上昇が生じてしまうという問題があった。
【0009】
また、低温格納室505を超低温状態とし、外部環境に曝される時間を短期間とすることで試料に与える影響を少なくすることは可能であるが、超低温とするほど短時間でも保管プレート203や容器201に大量の結露や霜が発生するという問題があった。
【0010】
そこで、本発明が解決しようとする技術的課題、すなわち、本発明の目的は、低温保管された試料を収容した容器を個別に自動的に取り出すことができるとともに、他の容器に収容された試料の温度上昇による影響を抑制し、容器や保管プレートに結露や霜が生じるのを防止する低温保管システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本請求項1に係る発明は、容器を複数保持する保管プレートを縦方向に複数収容する保管ラックと、該保管ラックを複数格納する低温格納室と、該低温格納室に隣接して設けられた作業室と、該作業室内に設けられ前記保管プレートを搬送するとともに前記保管ラックに出し入れするプレート搬送機構とを有する低温保管システムであって、前記作業室に、保管プレートから容器を個別に取り出し可能なピックアップ機構が設けられ、前記作業室に隣接して入出庫室が設けられ、前記プレート搬送機構が、前記保管ラックを前記低温格納室から前記作業室に個別に出し入れする保管ラック移動手段と、前記保管プレートを前記保管ラックから個別に出し入れする保管プレート移動手段とを有するとともに、前記作業室内を移動可能に構成されていることにより、前記課題を解決したものである。
【0012】
本請求項2に係る発明は、請求項1に係る低温保管システムの構成に加えて、前記ピックアップ機構が、前記プレート搬送機構によって入出庫室から搬送された保管プレートと前記プレート搬送機構によって保管ラックから搬送された保管プレートの間で、前記容器を個別に移載可能に構成されていることにより、前記課題を解決したものである。
【0013】
本請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係る低温保管システムの構成に加えて、前記低温格納室が、−80℃以下の極低温環境に保たれており、前記作業室が、低湿度環境に保たれていることにより、前記課題をさらに解決したものである。
【0014】
本請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに係る低温保管システムの構成に加えて、前記プレート搬送機構が、前記低温格納室に格納すべき試料を収容する容器を複数保持した保管プレートを、前記入出庫室から前記保管ラックに移送して収容可能に構成されていることにより、前記課題をさらに解決したものである。
【0015】
本請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに係る低温保管システムの構成に加えて、前記低温格納室が、前記作業室の下方に設けられ、前記ピックアップ機構が、前記作業室内の下方に前記低温格納室の存在しない位置に設けられ、前記入出庫室が、前記作業室の前記ピックアップ機構が設けられた位置に隣接して設けられていることにより、前記課題をさらに解決したものである。
【0016】
本請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに係る低温保管システムの構成に加えて、前記作業室が、外部環境よりも低温の環境に保たれていることにより、前記課題をさらに解決したものである。
【発明の効果】
【0017】
本請求項1に係る低温保管システムは、容器を複数保持する保管プレートを縦方向に複数収容する保管ラックと、該保管ラックを複数格納する低温格納室と、該低温格納室に隣接して設けられた作業室と、該作業室内に設けられ保管プレートを搬送するとともに保管ラックに出し入れするプレート搬送機構とを有する低温保管システムであって、作業室に保管プレートから容器を個別に取り出し可能なピックアップ機構が設けられ、作業室に隣接して入出庫室が設けられ、プレート搬送機構が、保管ラックを低温格納室から作業室に個別に出し入れする保管ラック移動手段と、保管プレートを保管ラックから個別に出し入れする保管プレート移動手段とを有するとともに、作業室内を移動可能に構成されていることにより、取り出したい容器を保持した保管プレートを低温格納室からピックアップ機構に搬送して、取り出したい容器のみをピックアップ機構によって個別に取り出して入出庫室から搬出することが可能となる。
【0018】
このため、低温格納室から取り出された保管プレートや他の容器は作業室内から外部には移動せず外部環境に曝されることがなく、低温格納室から取り出された他の容器に収容された試料の温度変化を抑制することができるとともに、低温格納室から取り出された保管プレートや他の容器に結露や霜が生じるのを抑制することができる。
【0019】
本請求項2に係る低温保管システムによれば、請求項1に係る低温保管システムが奏する効果に加えて、ピックアップ機構が、プレート搬送機構によって入出庫室から搬送された保管プレートとプレート搬送機構によって保管ラックから搬送された保管プレートの間で、容器を個別に移載可能に構成されていることにより、入出庫室に空の保管プレートをセットすることで、該空の保管プレートをピックアップ機構まで搬送し、取り出したい容器のみを移載して再び入出庫室に搬送することが可能となるため、低温保管された試料を収容した容器を個別に自動的に取り出す作業がより合理化される。
【0020】
本請求項3に係る低温保管システムによれば、請求項1または請求項2に係る低温保管システムが奏する効果に加えて、低温格納室が−80℃以下の極低温環境に保たれており、作業室が低湿度環境に保たれていることにより、試料を−80℃以下の極低温として作業室内に取り出した時の温度上昇が生じても、保存状態に悪影響を及ぼさないようにすることができる。
また、低温格納室と作業室の温度差が大きいほど結露や霜の発生が増加するが、作業室を低湿度環境とすることによって、作業室内における容器や保管プレートに結露や霜が生じるのを防止することができる。
【0021】
本請求項4に係る低温保管システムによれば、請求項1乃至請求項3に係る低温保管システムが奏する効果に加えて、プレート搬送機構が、低温格納室に格納すべき試料を収容する容器を複数保持した保管プレートを、入出庫室から保管ラックに移送して収容可能に構成されていることにより、新たに保管すべき試料が収容された複数の容器を、保管プレートごと入出庫室にセットすることで、自動的にプレート搬送機構によって搬送されて低温格納室に保管することができる。
【0022】
本請求項5に係る低温保管システムによれば、請求項1乃至請求項4のいずれかに係る低温保管システムが奏する効果に加えて、低温格納室が作業室の下方に設けられ、ピックアップ機構が、作業室内の下方に低温格納室の存在しない位置に設けられ、入出庫室が作業室のピックアップ機構が設けられた位置に隣接して設けられていることにより、低温格納室の上方、および、その双方の僅かなスペースに設置することができるとともに、プレート搬送機構の移動距離を少なくすることができる。
【0023】
本請求項6に係る低温保管システムによれば、請求項1乃至請求項5のいずれかに係る低温保管システムが奏する効果に加えて、作業室が外部環境よりも低温の環境に保たれていることにより、作業室内における容器に収容された試料の温度上昇を抑制することができるとともに、温度差によって結露や霜が生じるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の低温保管システムの全体側面説明図。
【図2】図1の低温保管システムの全体平面説明図。
【図3】図1の低温保管システムの空の保管プレート搬入時の動作説明図。
【図4】図1の低温保管システムの空の保管プレート移動時の動作説明図。
【図5】図1の低温保管システムの貯蔵された保管プレート取出時の動作説明図。
【図6】図1の低温保管システムの貯蔵された保管プレート移動時の動作説明図。
【図7】本発明の低温保管システムに保管する容器および保管プレートの斜視図。
【図8】従来の低温保管システムの全体斜視説明図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、容器を複数保持する保管プレートを縦方向に複数収容する保管ラックと、該保管ラックを複数格納する低温格納室と、該低温格納室に隣接して設けられた作業室と、該作業室内に設けられ保管プレートを搬送するとともに保管ラックに出し入れするプレート搬送機構とを有する低温保管システムであって、作業室に、保管プレートから容器を個別に取り出し可能なピックアップ機構が設けられ、作業室に隣接して入出庫室が設けられ、プレート搬送機構が保管ラックを低温格納室から作業室に個別に出し入れする保管ラック移動手段と、保管プレートを保管ラックから個別に出し入れする保管プレート移動手段とを有するとともに、作業室内を移動可能に構成され、低温保管された試料を収容した容器を個別に自動的に取り出すことができるとともに、他の容器に収容された試料の温度上昇による影響を抑制し、容器や保管プレートに結露や霜が生じるのを防止すものであれば、その具体的な実施の態様は、いかなるものであっても何ら構わない。
【0026】
本発明の低温保管システムの一実施例を図1、図2に基づいて説明する。
本発明の実施例である低温保管システム100は、低温保管すべき試料を収容する容器201を複数保持する保管プレート203を縦方向に複数収容する保管ラック104と、該保管ラック104を複数格納する低温格納室105と、該低温格納室105の上方に隣接して設けられた作業室106と、該作業室106内に設けられ保管プレート203を搬送するとともに保管ラック104に出し入れするプレート搬送機構110とを有している。
【0027】
作業室106内の下方に低温格納室105の存在しない位置には、保管プレート203を複数載置可能で、それぞれの保管プレート203から容器201を個別に取り出し、挿入可能なピックアップ機構120が設けられている。
また、作業室106のピックアップ機構120が設けられた位置に隣接して入出庫室108が設けられ、入出庫室108の外部に面した側面に保管プレート203を搬出入するプレート出入口107が設けられている。
なお、本実施例では、入出庫室108が作業室106内に喰い込むように設けられ、入出庫室108と作業室106全体として外側面が平面状となるように構成されている。
【0028】
プレート搬送機構110は、低温格納室105に複数格納された任意の保管ラック104を個別に上方向に出し入れする保管ラック移動手段111と、保管ラック104に複数格納された任意の保管プレート203を、上方に引き出された保管ラック104から個別に水平方向に出し入れする保管プレート移動手段112とを有している。
【0029】
ピックアップ機構120は、複数の保管プレート203を載置可能なプレート載置部122と、プレート載置部122の上方を移動可能で容器201を個別に取り出し、挿入可能な把持部を持つピックアップアーム121を備えており、複数の保管プレート203の間で容器201を個別に移載可能に構成されている。
【0030】
入出庫室108内には、搬出入される保管プレート203を載置して、プレート出入口107に面した方向とプレート搬送機構110に面した方向に旋回させるプレート旋回テーブル131が設けられている。
【0031】
プレート搬送機構110の保管ラック移動手段111および保管プレート移動手段112が水平前後方向に移動可能な縦移動手段113に支持されており、該縦移動手段113が縦移動手段113の移動方向と直交する水平左右方向に移動可能な横移動手段114に支持されることで、プレート搬送機構110全体が作業室106内で移動可能に構成されている。
【0032】
このことで、保管ラック移動手段111の作動する低温格納室105の上方位置、入出庫室108に対向する位置、およびピックアップ機構120に対向する位置の間で移動可能に構成されている。
また、保管プレート移動手段112は、入出庫室108に対向する位置およびピックアップ機構120に対向する位置において、保管プレート203をプレート載置部122およびプレート旋回テーブル131に移載可能に構成されている。
【0033】
低温格納室105は、例えば、−80℃以下の極低温環境に保たれており、作業室106は、結露や霜を防止するために外部環境と隔離されて低湿度環境に保たれ、入出庫室108は、プレート出入口107を閉じることで外部環境と隔離されるように構成されている。
【0034】
また、入出庫室108と作業室106の間も、シャッター等により隔離されるように構成されても良い。
さらに、作業室106は、外部環境よりも低温の環境に保ってさらに結露や霜を防止しても良い。
なお、低温保管システム100の全体形状や、各構成の詳細な形状、構造は、上述した位置関係で上述した動作を行うことが可能であれば、いかなるものであっても良い。
【0035】
以上のように構成された本実施例の低温保管システム100における容器201の搬出の動作について、図3乃至図6に基づいて説明する。
なお、本実施例の低温保管システム100の各構成部材は図示しない制御装置によって動作するように構成されており、該制御手段は入力された取り出したい容器に関する情報に基づいて動作するように構成されている。
【0036】
図3に示すように、作業者Pが、空の保管プレート203aを入出庫室108の側面のプレート出入口107からプレート旋回テーブル131に載置し、プレート出入口107を閉じた後に、制御手段に開始指示を与える。
【0037】
まず、プレート出入口107から搬入されてプレート旋回テーブル131に載置された空の保管プレート203aは、プレート旋回テーブル131が旋回することにより、プレート搬送機構110に対向する側に向けられる。
この状態で、プレート搬送機構110の保管プレート移動手段112が、空の保管プレート203aをプレート旋回テーブル131から取り出し、図4に示すように、ピックアップ機構120のプレート載置部122に移載する。
【0038】
次いで、図5に示すように、プレート搬送機構110が取り出したい容器を収容する保管プレート203bが収容された保管ラック104の位置まで移動し、保管ラック移動手段111によって保管ラック104を低温格納室105から上方に引き上げ、保管プレート移動手段112によって取り出したい容器を収容する保管プレート203bを取り出す。
【0039】
そして、図6に示すように、プレート搬送機構110が移動し、取り出したい容器を収容する保管プレート203bが保管プレート移動手段112によってピックアップ機構120のプレート載置部122に移載される。
空の保管プレート203aと取り出したい容器を収容する保管プレート203bがピックアップ機構120のプレート載置部122に載置された状態で、ピックアップアーム121がプレート載置部122上方に移動して、取り出したい容器を収容する保管プレート203bから目的の容器をピックアップして空の保管プレート203aに移載する。
【0040】
取り出したい容器の空の保管プレート203aへの移載が完了すると、上述した動作と逆の手順で、取り出したい容器が移載された保管プレート203aを入出庫室108まで搬送する。
すなわち、取り出したい容器のみがピックアップされた保管プレート203bが、図5に示すように、ピックアップ機構120のプレート載置部122から保管プレート移動手段112に再び取り出され、プレート搬送機構110が収容された保管ラック104の位置まで移動する。
【0041】
そして、保管ラック移動手段111によって収容される保管ラック104を低温格納室105から上方に引き上げ、保管プレート移動手段112によって保管プレート203bが保管ラック104に収容されて、該保管ラック104は再度低温格納室105に格納される。
【0042】
次いで、取り出したい容器の移載された保管プレート203aは、プレート搬送機構110の保管プレート移動手段112によって、ピックアップ機構120のプレート載置部122から取り出し、プレート旋回テーブル131に移載される。
そして、プレート旋回テーブル131が旋回することにより、取り出したい容器の移載された保管プレート203aがプレート出入口107側に向けられ、入出庫室108の側面のプレート出入口107から作業者Pが取り出し可能となる。
【0043】
以上のように動作することにより、取り出したい容器を収容する保管プレート203bは、作業室106から外部搬出されることがないため、容器に収容された試料の温度上昇による影響を抑制し、容器や保管プレート203bに結露や霜が生じるのを防止することができる。
また、作業室106を低湿度環境に保ち、かつ、プレート搬送機構110やピックアップ機構120が動作する範囲で低温環境とすることで、さらに容器に収容された試料の温度上昇による影響を抑制し、容器や保管プレート203bに結露や霜が生じるのを防止することができる。
【0044】
さらに、入出庫室108と作業室106の間に、シャッター等を設けて、保管プレート203bの移載時以外は空間的に隔離しても良く、このことで、作業室106内の環境がさらに一定に維持されることとなり、さらに容器に収容された試料の温度上昇による影響を抑制し、容器や保管プレート203bに結露や霜が生じるのを防止することができる。
【0045】
また、本発明の低温保管システム100によれば、低温保存したい容器を収容した保管プレート203aを直接保管ラック104に収容して低温格納室105に格納することも可能である。
すなわち、図3に示すように、入出庫室108の側面のプレート出入口107からプレート旋回テーブル131に載置し、プレート出入口107から搬入されてプレート旋回テーブル131に載置された空の保管プレート203aは、プレート旋回テーブル131が旋回することにより、プレート搬送機構110に対向する側に向ける。
【0046】
そして、プレート搬送機構110の保管プレート移動手段112が、保管プレート203aをプレート旋回テーブル131から取り出し、図4に示すように、ピックアップ機構120のプレート載置部122に移載する。
この状態で、プレート搬送機構110が、直接格納すべき保管ラック104の上方まで移動して、保管ラック移動手段111によって収容される保管ラック104を低温格納室105から上方に引き上げ、保管プレート移動手段112によって保管プレート203aが保管ラック104に収容されて、該保管ラック104は低温格納室105に格納される。
【0047】
さらに、前述した低温保存したい容器を個別に空の保管プレート203aにセットして、入出庫室108の側面のプレート出入口107からプレート旋回テーブル131に載置することで、前述した容器の取り出し手順に対してピックアップ機構120の移載を逆方向として、自動的に保管プレート203bに収容して低温保存することも可能である。
【0048】
以上のように、本発明の低温保管システム100によれば、低温保管された試料を収容した容器を個別に自動的に取り出すことができるとともに、他の容器に収容された試料の温度上昇による影響を抑制し、容器や保管プレートに結露や霜が生じるのを防止することができる。
【符号の説明】
【0049】
100、500 ・・・ 低温保管システム
104、504 ・・・ 保管ラック
105、505 ・・・ 低温格納室
106、506 ・・・ 作業室
107、507 ・・・ プレート出入口
108 ・・・ 入出庫室
110、510 ・・・ プレート搬送機構
111、511 ・・・ 保管ラック移動手段
112、512 ・・・ 保管プレート移動手段
120 ・・・ ピックアップ機構
121 ・・・ ピックアップアーム
122 ・・・ プレート載置部
131 ・・・ プレート旋回テーブル
201 ・・・ 容器
202 ・・・ キャップ
203 ・・・ 保管プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を複数保持する保管プレートを縦方向に複数収容する保管ラックと、該保管ラックを複数格納する低温格納室と、該低温格納室に隣接して設けられた作業室と、該作業室内に設けられ前記保管プレートを搬送するとともに前記保管ラックに出し入れするプレート搬送機構とを有する低温保管システムであって、
前記作業室に、保管プレートから容器を個別に取り出し可能なピックアップ機構が設けられ、
前記作業室に隣接して入出庫室が設けられ、
前記プレート搬送機構が、前記保管ラックを前記低温格納室から前記作業室に個別に出し入れする保管ラック移動手段と、前記保管プレートを前記保管ラックから個別に出し入れする保管プレート移動手段とを有するとともに、前記作業室内を移動可能に構成されていることを特徴とする低温保管システム。
【請求項2】
前記ピックアップ機構が、前記プレート搬送機構によって入出庫室から搬送された保管プレートと前記プレート搬送機構によって保管ラックから搬送された保管プレートの間で、前記容器を個別に移載可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の低温保管システム。
【請求項3】
前記低温格納室が、−80℃以下の極低温環境に保たれており、
前記作業室が、低湿度環境に保たれていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の低温保管システム。
【請求項4】
前記プレート搬送機構が、前記低温格納室に格納すべき試料を収容する容器を複数保持した保管プレートを、前記入出庫室から前記保管ラックに移送して収容可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の低温保管システム。
【請求項5】
前記低温格納室が、前記作業室の下方に設けられ、
前記ピックアップ機構が、前記作業室内の下方に前記低温格納室の存在しない位置に設けられ、
前記入出庫室が、前記作業室の前記ピックアップ機構が設けられた位置に隣接して設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の低温保管システム。
【請求項6】
前記作業室が、外部環境よりも低温の環境に保たれていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の低温保管システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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