説明

低温延性を改良した熱可塑性組成物

ポリエステルまたはポリエステルとポリカーボネートの配合物と、耐衝撃性改良剤と、ブロックコポリエステルカーボネートと、を含み、氷点下以下の温度での衝撃エネルギが25kJ/mを有して氷点下以下で延性の熱可塑性組成物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱可塑性組成物に関し、より具体的には氷点下未満の温度における延性を改良した熱可塑性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネートおよびポリエステル、特にポリ(アルキレンジカルボキシレート)とその配合物は、一つには高衝撃強度などの優れた物性のために、広範に採用されているポリマー種である。しかしながら、これらの材料はしばしば耐候性が劣り、すなわち紫外線への長期被曝により黄変し、また、氷点下未満の温度における耐衝撃性が劣る。
【0003】
米国特許第6,583,256号および同第6,559,270号には、ブロックコポリエステルカーボネート共重合体とポリマー配合物におけるそれらの使用について開示されている。米国特許第6,583,256号では、重合度が少なくとも4の少なくとも1つのブロックコポリエステルカーボネートと、少なくとも1つのポリ(アルキレンジカルボキシレート)と、少なくとも1つの耐衝撃性改良剤を含む熱可塑性組成物は改良された耐候性を有し、紫外線への長期暴露に対して黄変と光沢低下が低減されている。ポリカーボネートなどの他のポリマーと配合されたこれらの組成物も開示されている。米国特許第6,559,270号では、ブロックコポリエステルカーボネートそれ自体の組成物が開示されている。このように、ブロックコポリエステルカーボネートの利用は、黄色度の低減では既知である。
【0004】
衝撃作用への対応として、ポリカーボネートとポリエステルの配合物は、典型的には耐衝撃性改良ゴムを含む。低温用途に対しては、耐衝撃性改良ゴムの濃度を上げて、例えば大気温度での用途と比較して、同等の耐衝撃性を付与することがしばしば行われる。しかしながら、耐衝撃性改良ゴムの濃度を上げることによって配合物全体の流量が低下し、加工がより困難になり得る。また、配合物中のポリマーの分子量を上げることによって改良された低温衝撃性能が付与されるが、この場合も、配合物全体の流動性が低下するために加工がより困難になる。従って、ポリエステルおよびまたはポリカーボネートのポリマー配合物について、加工容易性のために所望の流動特性を維持しながら、低温衝撃特性を改良した配合物の開発が求められている。本発明の主な目的は、こうしたポリマー配合物を提供することである。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、ブロックコポリエステルカーボネートと、ポリエステルやポリカーボネートなどの他のポリマーと配合された耐衝撃性改良剤と、の組み合わせは、これらの材料から成る熱可塑性組成物とその物品が温度0℃以下で延性であり、アリーレートブロックと交互に出現する有機カーボネートブロックを含むブロックコポリエステルカーボネートを含まない第2の熱可塑性組成物と比較して、延性から脆性への転移温度が低いことを特徴とする低温衝撃性能を有する、という発見に基づいている。本発明のある実施形態では、低温衝撃性能が改良された熱可塑性組成物は、a)少なくとも1つの1,3−ジヒドロキシベンゼン部分と少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸とから誘導された構造単位を含むアリーレートブロックと交互に出現する有機カーボネートブロックを含む少なくとも1つのブロックコポリエステルカーボネートを3〜50質量%と、b)少なくとも1つの耐衝撃性改良剤を4〜16質量%と、c)少なくとも1つのポリエステル、または少なくとも1つのポリエステルと少なくとも1つのポリカーボネートとの配合物を34〜93質量%と、これらの任意の反応生成物を含む熱可塑性組成物であって、前記熱可塑性組成物は温度0℃以下で延性であり、アリーレートブロックと交互に出現する有機カーボネートブロックを含む前記少なくとも1つのブロックコポリエステルカーボネートを含まない第2の熱可塑性組成物と比較して、延性から脆性への転移温度が低いことを特徴とする。
【0006】
本発明の別の実施形態では、ある熱可塑性組成物は改良された低温衝撃性能を有しており、a)少なくとも1つの1,3−ジヒドロキシベンゼン部分と少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸とから誘導された構造単位を含むアリーレートブロックと交互に出現する有機カーボネートブロックを含む少なくとも1つのブロックコポリエステルカーボネートを3〜50質量%と、b)少なくとも1つの耐衝撃性改良剤を4〜16質量%と、c)少なくとも1つのポリエステル、または少なくとも1つのポリエステルと少なくとも1つのポリカーボネートとの配合物を34〜93質量%と、これらの任意の反応生成物を含む熱可塑性組成物であって、その延性から脆性への転移温度が、(i)前記少なくとも1つのブロックコポリエステルカーボネートと、(ii)前記少なくとも1つのポリエステルまたは配合物と、を含み、前記少なくとも1つの耐衝撃性改良剤を含まない第2の熱可塑性組成物と比較して、少なくとも5度低下していることを特徴とする。
【0007】
別の実施形態では、前記熱可塑性組成物を含む物品が開示される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
驚いたことに、耐衝撃性改良ポリエステルまたは衝撃性改良ポリエステル−ポリカーボネート配合物に、その紫外線劣化防止能で典型的に知られるブロックコポリエステルカーボネートを添加することによって、流動性に何ら大きな影響を及ぼすことなく、低温衝撃性能が向上することがわかった。さらに驚いたことには、ポリエステル−ポリカーボネート配合物、ブロックポリエステルカーボネートおよび耐衝撃性改良剤を有する熱可塑性組成物の温度0℃未満でのエネルギ吸収は、前記ブロックコポリエステルカーボネートを含まないいかなる耐衝撃性改良ポリマーのそれをも上回ることが観測された。
【0009】
本明細書での、熱可塑性組成物に関して「延性である」とは、温度0℃での衝撃エネルギがISO試験180に準拠して25kJ/mを上回るか、あるいはASTM D256に準拠して350J/mを上回ることを指す。「延性から脆性への転移温度(DBT)」とは、樹脂組成物の衝撃エネルギ値がISO試験180に準拠して25kJ/m未満となる温度、あるいはASTM D256に準拠して350J/m未満となる温度を意味する。
【0010】
本明細書での、「アルキル」は、直鎖または分枝鎖の一価炭化水素基を、「アルキレン」は、直鎖または分枝鎖の二価炭化水素基を、「アルキリデン」は、2つの原子価が単一で共通の炭素原子にある、直鎖または分枝鎖の二価炭化水素基を、「アルケニル」は、炭素−炭素二重結合で結合した少なくとも2つの炭素を有する直鎖または分枝鎖の一価炭化水素基を、「シクロアルキル」は、少なくとも3つの炭素原子を有する非芳香族一価の、単環式または多環式炭化水素基を、「シクロアルキレン」は、少なくとも3つの炭素原子を有する非芳香族の脂環式二価炭化水素基を、「アリール」は、1つまたは複数の芳香族環に炭素のみを含む芳香族一価基を、「アリーレン」は、1つまたは複数の芳香族環に炭素のみを含む芳香族二価基を、「アルキルアリール」は、4−メチルフェニルで代表される、上記で定義したアルキル基で置換されたアリール基を、「アリールアルキル」は、ベンジルで代表される、上記で定義されたアリール基で置換されたアルキル基を、「アシル」は、カルボニル炭素架橋(−C(=O)−)で結合した表示された数の炭素原子を有する上記で定義したアルキル基を、「アルコキシ」は、酸素架橋(−O−)で結合した表示された数の炭素原子を有する上記で定義したアルキル基を、「アリールオキシ」は、酸素架橋(−O−)で結合した表示された数の炭素原子を有する上記で定義したアリール基を、それぞれ指す。
【0011】
別途明示される場合を除き、前述のそれぞれの基は、その化合物の合成、安定性あるいはその使用に著しく悪影響を及ぼさなければ、未置換であっても置換であってもよい。ここでの「置換」とは、指定された原子または基の任意の1つまたは複数の水素が、その原子の正常な原子価を超えない範囲で他の基で置き換えられることを意味する。置換基がオキソ(すなわち、=O)の場合、該原子の2つの水素が置きかえられる。置換基およびまたはその変形の組み合わせは、該化合物の合成または使用に著しく悪影響を及ぼさない限り許容される。
【0012】
ある実施形態では、本発明は、低温衝撃性能が改良され、a)少なくとも1つの1,3−ジヒドロキシベンゼン部分と少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸とから誘導された構造単位を含むアリーレートブロックと交互に出現する有機カーボネートブロックを含む少なくとも1つのブロックコポリエステルカーボネートを3〜50質量%と、b)少なくとも1つの耐衝撃性改良剤を4〜16質量%と、c)少なくとも1つのポリエステル、または少なくとも1つのポリエステルと少なくとも1つのポリカーボネートとの配合物を34〜93質量%と、これらの任意の反応生成物を含む熱可塑性組成物であって、前記熱可塑性組成物は温度0℃以下で延性であり、アリーレートブロックと交互に出現する有機カーボネートブロックを含む前記少なくとも1つのブロックコポリエステルカーボネートを含まない第2の熱可塑性組成物と比較して、延性から脆性への転移温度が低いことを特徴とする。ある実施形態では、前記組成物の前記延性から脆性への転移温度は、アリーレートブロックと交互に出現する有機カーボネートブロックを含む前記少なくとも1つのブロックコポリエステルカーボネートを含まない第2の熱可塑性組成物と比較して、少なくとも5℃低い。ある実施形態では、前記延性から脆性への転移温度は、アリーレートブロックと交互に出現する有機カーボネートブロックを含む前記少なくとも1つのブロックコポリエステルカーボネートを含まない第2の熱可塑性組成物と比較して、5℃〜50℃(あるいはそれ以上)低くできる。
【0013】
別の実施形態では、低温衝撃性能が改良された熱可塑性組成物は、a)少なくとも1つの1,3−ジヒドロキシベンゼン部分と少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸とから誘導された構造単位を含むアリーレートブロックと交互に出現する有機カーボネートブロックを含む少なくとも1つのブロックコポリエステルカーボネートを3〜50質量%と、b)少なくとも1つの耐衝撃性改良剤を4〜16質量%と、c)少なくとも1つのポリエステル、または少なくとも1つのポリエステルと少なくとも1つのポリカーボネートとの配合物を34〜93質量%と、これらの任意の反応生成物を含む熱可塑性組成物であって、その延性から脆性への転移温度が、(i)前記少なくとも1つのブロックコポリエステルカーボネートと、(ii)前記少なくとも1つのポリエステルまたは配合物と、を含み、前記少なくとも1つの耐衝撃性改良剤を含まない第2の熱可塑性組成物と比較して、少なくとも5度低下していることを特徴とする。
【0014】
前記少なくとも1つのブロックコポリエステルカーボネートは、式(1)に示される構造を有しており、米国特許出願公報第2007/0155913A1号に開示されている。本特許出願は参照によりその全体が本明細書に援用される。
【化1】

式中、Rは独立に、ハロゲン原子、C1−12炭化水素基あるいはC1−12ハロゲン置換炭化水素基であり、Rは独立にC6−30アリーレン基であり、mは1以上であり、nは1以上であり、pは0〜4である。ある実施形態では、mは2〜500であり、nは2〜500である。具体的な実施形態では、mは3〜300であり、nは3〜300である。
【0015】
具体的には、前記ブロックコポリエステルカーボネートのポリエステル単位は、イソフタル単位とテレフタル単位とのモル比が91:9〜2:98の、具体的には85:15〜:3:97の、より具体的には80:20〜5:95の、さらにより具体的には70:30〜10:90のイソフタル二酸およびテレフタル二酸(あるいはこれらの誘導体)と、レゾルシノール、ビスフェノールAまたはこれらを少なくとも1つ含む組み合わせとの反応から誘導される。前記ポリカーボネート単位は、レゾルシノールカーボネート単位とビスフェノールAカーボネート単位のモル比が0:100〜99:1のレゾルシノールおよびまたはビスフェノールAから誘導される。ある実施形態では、該ブロックコポリエステルカーボネートは、イソフタレート−テレフタレート−レゾルシノール(ITR)エステル単位を含む。本明細書でのイソフタレート−テレフタレート−レゾルシノールエステル単位は、イソフタレートエステルと、テレフタレートエステルと、レゾルシノールエステルと、を含む。具体的な実施形態では、イソフタレート−テレフタレート−レゾルシノールエステル単位は、イソフタレート−レゾルシノールエステル単位とテレフタレート−レゾルシノールエステル単位との組み合わせを含む。前記ポリエステルポリカーボネート中のITRエステル単位とカーボネート単位の比率は1:99〜99:1であり、具体的には5:95〜95:5であり、より具体的には10:90〜90:10であり、さらにより具体的には20:80〜80:20である。具体的な実施形態では、該ブロックコポリエステルカーボネートは、ポリ(イソフタレート−テレフタレート−レゾルシノールエステル)−co−(ビスフェノール−Aカーボネート)ポリマーである。
【0016】
本明細書に記載の熱可塑性組成物には他の樹脂も使用され得ると考えられるが、ITRエステル単位とカーボネート単位とを有するブロックコポリエステルカーボネートは、該熱可塑性組成物での使用に特に好適である。従って、別の実施形態では、前記ブロックコポリエステルカーボネートは、イソフタレート−テレフタレート−レゾルシノールエステル単位とカーボネート単位とから構成される。
【0017】
前記ブロックコポリエステルカーボネートの質量平均分子量(Mw)は、1,500〜100,000であり、具体的には1,700〜50,000であり、より具体的には2,000〜40,000である。分子量は、架橋性スチレン−ジビニルベンゼンカラムを用いBPAポリカーボネート標準で較正するゲル透過クロマトグラフィ(GPC)を用いて求められる。
サンプルを約1mg/mlの濃度で調製し、約1.0ml/分の流量で溶離させる。該ブロックコポリエステルカーボネートの溶融体積流量は、ASTM D1238−04に準拠して温度300℃、荷重1.2kgで測定して、約5〜約150cc/10分、具体的には約7〜約125cc/10分、より具体的には約9〜約110cc/10分、さらにより具体的には約10〜約100cc/10分であることが好ましい。
【0018】
前記ブロックコポリエステルカーボネートは好適には、ビスフェノールAカーボネートブロック、未置換レゾルシノールカーボネートブロックおよびこれらの混合物から構成される群から選択された有機カーボネートブロックを含む。該ブロックコポリエステルカーボネートは好適には、イソフタレート、テレフタレートあるいはこれらの混合物と共に、少なくとも1つの未置換レゾルシノールまたは置換レゾルシノールを含む。該ブロックコポリエステルカーボネートはより好適には、ビスフェノールAカーボネートブロックとイソフタレート−テレフタレート−レゾルシノールアリーレートブロックを含む。
【0019】
前記樹脂組成物の少なくとも1つのブロックコポリエステルカーボネートの量は、好適には3〜30質量%であり、より好適には3〜10質量%である。
【0020】
前記少なくとも1つの耐衝撃性改良剤として、ポリエステル、ポリカーボネート、ブロックコポリエステルカーボネートあるいはこれらの配合物に有用な任意の既知の耐衝撃性改良剤が含まれていてもよい。有用な耐衝撃性改良剤は、共役ジエンのアクリルまたはメタクリルグラフト化ポリマー、あるいは単独のアクリレートエラストマまたはビニル芳香族化合物と共重合したアクリレートエラストマを含んでいてもよい。これらの耐衝撃性改良剤は、好適にはアクリロニトリル−スチレン−ブチルアクリレート共重合体であるASA共重合体を含む。具体的なASA共重合体は、典型的には約35〜55%のアクリレートを、好適には約40〜50%のアクリレートを含む。他のグラフト化ポリマーは、Rohm & Haas社から、例えばACRYLOID EXL2691、ACRYLOID EXL3330またはPARALOID EXL3300として市販されている種類のコアシェルポリマーである。これらの耐衝撃性改良剤は一般に、ビニル芳香族化合物、アクリレート、あるいはメタクリレートなどのアルキルアクリレートエステルと組み合わされたブタジエンから誘導された単位を含む。前述の耐衝撃性改良剤は、Fromuthらの米国特許第4,180,494号、Owensの米国特許第3,808,180号、Farnhamらの米国特許第4,096,202号およびCohenらの米国特許第4,260,693号に開示されていると考えられる。これらの特許はすべて、参照により本明細書に援用される。該耐衝撃性改良剤は、ブタジエンアクリレート系またはn−ブチルアクリレート系のゴム状コアを有する2段階ポリマーと、メチルメタクリレート単独またはスチレンとの組み合わせから重合された第2の段階を含んでいてもよい。この第1段階には、架橋結合モノマーおよびグラフト結合モノマーも存在する。該架橋結合モノマーとしては、1,3−ブチレンジアクリレート、ジビニルベンゼンおよびブチレンジメタクレートが含まれる。グラフト結合モノマーとしては、アリルアクリレート、アリルメタクリレートおよびマレイン酸ジアリルが含まれる。これ以外の有用な耐衝撃性改良剤は、米国特許第4,292,233号に開示された種類のものである。本特許は参照により本明細書に援用される。これらの耐衝撃性改良剤は一般に、グラフトされたアクリロニトリルとスチレンとの共重合体を有する比較的高濃度の部分架橋ブタジエンポリマーグラフト化塩基を含む。他の有用な耐衝撃性改良剤は、ビニル−エポキシド由来単位を有するポリオレフィン共重合体である。こうしたエポキシド官能性共重合体を、エチレンなどのオレフィンと、アクリル酸グリシジルまたはメタクリル酸グリシジルとから調製してもよい。アルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレート、ビニルエステルおよびビニルエーテルなどの他の非官能化ビニル含有モノマーを導入してもよい。好適なエポキシ含有ポリオレフィン共重合体および三元共重合体は、米国特許第5,907,026号(参照により本明細書に援用される)に記載されている。
【0021】
前記耐衝撃性改良剤は好適には、共役ジエンのアクリルグラフト化ポリマー、共役ジエンのメタクリルグラフト化ポリマーあるいはアクリレートエラストマである。該耐衝撃性改良剤はより好適には、ビニル芳香族化合物との共重合体である。あるいは該耐衝撃性改良剤は、メチルメタクリレート、ブタジエンおよびスチレンのコア/シェル共重合体(MBS)であり、あるいはアクリロニトリル、ブタジエンおよびスチレンのコア/シェル共重合体(ABS)である。
【0022】
前記少なくとも1つのポリエステルには、式(2)の繰り返し単位を含むポリエステルが含まれていてもよい。
【化2】

式中、Dは、ジヒドロキシ化合物から誘導された二価ラジアルであり、例えばC2−10アルキレンラジカル、C6−30脂環式ラジカル、C6−30芳香族ラジカルあるいはアルキレン基が2〜6個の炭素原子、具体的には2、3、4個の炭素原子を含むポリオキシアルキレンラジカルであってもよく、Tは、ジカルボン酸から誘導された二価ラジカルであり、例えばC2−10アルキレンラジカル、C6−30脂環式ラジカル、C6−30アルキル芳香族ラジカルあるいはC6−30芳香族ラジカルであってもよい。ある実施形態では、DはC2−6アルキレンラジカルであり、別の実施形態では、Dは、下式(6)の芳香族ジヒドロキシ化合物から誘導される。別の実施形態では、Dは、下式(9)の芳香族ジヒドロキシ化合物から誘導される。有用なポリエステルとしては、芳香族ポリエステル、ポリ(アルキレンアリレート)を含むポリ(アルキレンエステル)およびポリ(シクロアルキレンジエステル)が含まれてもよい。芳香族ポリエステルは、DおよびTがそれぞれ上記の芳香族基である式(2)のポリエステル構造を有していてもよい。
【0023】
前記ポリエステルの調製に使用可能な芳香族ジカルボン酸としては、イソフタル酸またはテレフタル酸、1,2−ジ(p−カルボキシフェニル)エタン、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ビス安息香酸および前述の酸を少なくとも1つ含む混合物が挙げられる。1,4−、1,5−または2,6−ナフタレンジカルボン酸などの、縮合環を含む酸も可能である。具体的なジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸あるいはこれらの混合物が挙げられる。ある具体的なジカルボン酸は、イソフタル酸とテレフタル酸の質量比が91:1〜2:98のそれらの混合物を含む。別の具体的な実施形態では、DはC2−6アルキレンラジカルであり、Tは、p−フェニレンラジカル、m−フェニレンラジカル、ナフタレンラジカル、二価の脂環式ラジカルあるいはこれらの混合物である。
【0024】
ある実施形態では、前記熱可塑性組成物はポリ(アルキレンエステル)を含む。ポリ(アルキレンエステル)は式(2)のポリエステル構造を有する。式中、Tは、芳香族ジカルボキシレート、脂環式ジカルボン酸あるいはこれらの誘導体から誘導された基を含む。特に有用なT基としては、1,2−、1,3−および1,4−フェニレン;1,4−および1,5−ナフチレン;cis−またはtrans−1,4−シクロヘキシレンなどが挙げられる。従ってTが1,4−フェニレンである式(2)では、ポリ(アルキレンエステル)はポリ(アルキレンテレフタレート)である。また、ポリ(アルキレンアリレート)について、特に有用なアルキレン基Dとしては、例えばエチレン、1,4−ブチレン、およびcis−およびまたはtrans−1,4−(シクロヘキシレン)ジメチレンを含むビス−(アルキレン−二置換シクロヘキサン)などが挙げられる。
【0025】
ポリ(アルキレンテレフタレート)の例には、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)(PBT)およびポリ(プロピレンテレフタレート)(PPT)が含まれる。また、ポリ(エチレンナフタノエート)(PEN)やポリ(ブチレンナフタノエート)(PBN)などのポリ(アルキレンナフタノエートも有用である。特に好適なポリ(シクロアルキレンジエステル)は、ポリ(シクロヘキサンジメタノールテレフタレート(PCT)である。前述のポリエステルを少なくとも1つ含む組み合わせを使用してもよい。
【0026】
他の好適なエステル基を有するアルキレンテレフタレート繰り返しエステル単位を含む共重合体は有用である。特に有用なエステル単位としては、個々の単位としてあるいはポリ(アルキレンテレフタレート)のブロックとして、ポリマー鎖内に存在し得る異なるアルキレンテレフタレート単位が挙げられる。ある実施形態では、アルキレンテレフタレートエステル単位の共重合体は、Tが1,4−フェニレン基でありDがエチレンである式(2)のエチレンテレフタレート単位と、Tが1,4−フェニレン基でありDが1,4−シクロヘキサンジメチレン(CHDM)エステル基である式(2)の1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート(ET)エステル単位と、を含む。該ETエステル単位とCHDMエステル単位を含む共重合体におけるこれらの単位のモル比は1:99〜99:1であり、具体的には5:95〜95:5であり、より具体的には10:90〜90:10であり、さらにより具体的には20:80〜80:20である。該アルキレンテレフタレートに、さらにアルキレンエステル単位を追加することも考慮される。
【0027】
本明細書に記載の熱可塑性組成物に他の樹脂を使用することも考慮されるが、ETエステル単位とCHDMエステル単位を有するポリ(アルキレンテレフタレート)ポリマーは、本明細書での熱可塑性組成物での使用には特に好適である。従って、別の実施形態では、アルキレンテレフタレートエステル単位の共重合体は、Tが1,4−フェニレン基でありDがエチレンである式(2)のエチレンテレフタレート単位と、Tが1,4−フェニレン基でありDが1,4−シクロヘキサンジメチレン(CHDM)エステル基である式(2)の1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート(ET)エステル基と、から本質的に構成される。他の実施形態では、該ポリ(アルキレンテレフタレート)ポリマーが、アルキレンイソフタレート単位とアルキレンテレフタレート単位のモル比が99:1〜1:99であるアルキレンイソフタレート単位を含むことも考慮される。ETエステル単位とCHDMエステル単位から構成される共重合体のこれらの単位のモル比は1:99〜99:1であり、具体的には5:95〜95:5であり、より具体的には10:90〜90:10であり、さらにより具体的には20:80〜80:20である。
【0028】
こうした共重合体の特に好適な例には、50モル%以上のエチレンテレフタレートエステル単位を含み、PETGと略記されるポリ(エチレンテレフタレート)−co−(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)と、50モル%超の1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレートエステル単位を含み、PCTGと略記されるポリ(エチレンテレフタレート)−co−(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)が含まれる。
【0029】
前記ポリエステルを、上記の界面重合や溶融処理縮合、溶液相縮合、あるいは、例えばジメチルテレフタレートなどのジアルキルエステルを酸性触媒を用いてエチレングリコールでエステル交換しポリ(エチレンテレフタレート)を生成するエステル交換重合によって得てもよい。例えば、3つ以上のヒドロキシ基あるいは三官能性または多官能性カルボン酸を有するグリコールなどの分枝剤を導入した分枝鎖ポリエステルを使用できる。さらに、組成物の最終用途に応じて、ポリエステル上に種々の濃度の酸と水酸末端基を有することが望ましい場合もある。本明細書に記載のポリエステルは一般に、ポリカーボネートと配合すると完全に混和性である。脂環式ポリエステルは一般に、ジオールと二塩基酸またはその誘導体との反応によって調製される。
【0030】
前記ポリエステルポリマーの調製に有用なジオールは、直鎖、分枝鎖または脂環式であり、2〜12個の炭素原子を含んでいてもよい。好適なジオールの例には、エチレングリコール;1,2−および1,3−プロピレングリコールなどのプロピレングリコール;1,3−および1,4−ブタンジオールなどのブタンジオール;ジエチレングリコール;2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール;2−エチル−および2−メチル−1,3−プロパンジオール;1,3−および1,5−ペンタンジオール;ジプロピレングリコール;2−メチル−1,5−ペンタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノールと特にそのcis−およびtrans−異性体;トリエチレングリコール;1,10−デカンジオールおよび前述のジオールを少なくとも1つ含む組み合わせなどが含まれる。ジメタノールビシクロオクタン、ジメタノールデカリン、脂環式ジオールかまたはその化学的等価物、および特に1,4−シクロヘキサンジメタノールまたはその化学的等価物は特に有用である。1,4−シクロヘキサンジメタノールをジオール成分として用いる場合、cis−異性体とtrans―異性体との比率が約1:4〜約4:1の混合物が使用できる。具体的には、cis−異性体とtrans−異性体との比率が約1:3の混合物が有用である。
【0031】
前記脂環式ポリエステルポリマーの調製に有用な二酸は、それぞれが飽和環の飽和炭素に結合した2つのカルボキシル基を有するカルボン酸を含む脂肪族二酸である。脂環式酸の好適な例としては、デカヒドロナフタレンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロオクタンジカルボン酸などが挙げられる。特に有用な脂環式二酸としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸およびtrans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が含まれる。前記ポリエステルが脂環式環を含む少なくとも1つのモノマーを有している場合、直鎖脂肪族二酸も有用である。直鎖脂肪族二酸の具体的な例としては、コハク酸、アジピン酸、ジメチルコハク酸およびアゼライン酸などが挙げられる。二酸とジオールの混合物を脂環式ポリエステルの製造に使用してもよい。
【0032】
シクロヘキサンジカルボン酸とその化学的等価物は、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸またはナフタレン酸などの環式芳香族二酸と対応する誘導体を、好適な溶媒(例えば水または酢酸)中、室温・大気圧下で、炭素とアルミナを含む担体に担持したロジクムなどの触媒を用いて水素化することによって調製できる。それらはまた、酸が反応条件下で少なくとも部分的に溶解し、炭素またはシリカ中のパラジウムまたはルテニウムの触媒を用いた不活性液状媒体を使用しても調製できる。
【0033】
一般に水素化中、前記カルボン酸基がcis−またはtrans−位置にある2つ以上の異性体が得られる。該cis−異性体およびtrans−異性体は、例えばn−ヘプタンなどの溶剤の使用に拘わらず結晶化によって、あるいは蒸留によって分離できる。cis−異性体はより混和性を有する傾向があるが、trans−異性体は融点と結晶化温度がより高く、特に好適である。cis−異性体とtrans−異性体の混合物を使用してもよい。trans−異性体とcis−異性体の質量比は約75:25とすることができる。異性体の混合物または2種類以上の二酸の混合物を使用する場合、コポリエステルまたは2つのポリエステルの混合物を脂環式ポリエステルポリマーとして使用してもよい。
【0034】
以下で議論する前記ポリエステルおよびポリエステルとポリカーボネートの配合物の溶融体積流量は、ASTM D1238−04に準拠して温度300℃、荷重1.2kgで測定して、好適には約5〜約150cc/10分であり、具体的には約7〜約125cc/10分であり、より具体的には約9〜約110cc/10分であり、さらにより具体的には約10〜約100cc/10分である。
【0035】
前記ポリエステルは好適には、ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)、ポリ(トリメチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリ(1,4−ブチレンナフタレート、ポリ(シクロヘキサンジメタノールテレフタレート)、ポリ(シクロヘキサンジメタノール−co−エチレンテレフタレート)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチル−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)あるいはこれらの混合物である。前記ポリエステルはより好適には、ポリ(ブチレンテレフタレート)あるいはポリ(シクロヘキサンジメタノール−co−エチレンテレフタレート)である。
【0036】
前記熱可塑性組成物はさらに、少なくとも1つの上記のポリエステルと、少なくとも1つのポリカーボネートの配合物を含む。本明細書での「ポリカーボネート」は、式(3)の繰り返し構造カーボネート単位を有する組成物を意味する。
【化3】

式中、R基の総数の少なくとも60%は芳香族有機ラジカルであり、残りは脂肪族ラジカル、脂環式ラジカルまたは芳香族ラジカルである。ある実施形態では、Rはそれぞれ芳香族有機ラジカルであり、別の実施形態では、Rはそれぞれ式(4)のラジカルである。
【化4】

式中、AおよびAはそれぞれ単環式二価アリールラジカルであり、Yは、AとAを分離する1つまたは2つの原子を有する架橋ラジカルである。典型的な実施形態では、1つの原子がAとAを分離している。この種のラジカルの限定しない具体的な例としては、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−C(O)−、メチレン、シクロヘキシル−メチレン、2−[2.2.1]−ビシクロヘプチリデン、エチリデン、イソプロピリデン、ネオペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロペンタデシリデン、シクロドデシリデンおよびアダマンチリデンなどが挙げられる。前記架橋ラジカルYは、メチレン、シクロヘキシリデンまたはイソプロピリデンなどの炭化水素基または飽和炭化水素基であってもよい。別の実施形態では、YはAとAを結合する炭素−炭素結合(−)である。
【0037】
ポリカーボネートを、式(5)のジヒドロキシ芳香族化合物を含む、式HO−R−OHを有するジヒドロキシ化合物の界面反応で調製してもよい。
【化5】

式中、Y、AおよびAは上記で説明したものである。また、一般式(6)のビスフェノール化合物も含まれる。
【化6】

式中、RおよびRはそれぞれハロゲン原子または一価炭化水素基を表わし、同じであっても違っていてもよく、pとqはそれぞれ独立に0〜4の整数であり、Xは式(7)の基のうちの1つを表わす。
【化7】

式中、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、一価直鎖アルキルまたは環式アルキレン基を表し、Rは二価炭化水素基である。ある実施形態では、RとRは、環式アルキレン基、あるいは、炭素原子、2価以上の原子価のヘテロ原子、あるいは少なくとも1つのヘテロ原子と少なくとも2つの炭素原子を含む組み合わせを含むヘテロ原子含有環式アルキレン基を表す。ヘテロ原子含有環式アルキレン基に好適に使用されるヘテロ原子には、−O−、−S−、および、Zが水素、ヒドロキシ、C1−12アルキル、C1−12アルコキシまたはC1−12アシルから選択された置換基である−N(Z)−が含まれる。該環式アルキレン基またはヘテロ原子含有環式アルキレン基が存在する場合、それらは3〜20個の原子を有していてもよく、また、単一の飽和環または不飽和環、あるいは飽和、不飽和または芳香族の縮合多環式環系であってもよい。
【0038】
好適なポリカーボネートにはさらに、アルキルシクロヘキサン単位を含むビスフェノールから誘導されたものが含まれる。こうしたポリカーボネートは式(8)に対応する構造単位を有する。
【化8】

式中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素、C1−12アルキルあるいはハロゲンであり、置換基R〜RおよびRe’〜Ri’はそれぞれ独立に、水素あるいはC1−12アルキルである。該置換基は、脂肪族であっても芳香族であっても、直鎖、環式、二環式、分枝鎖の何れであっても、また飽和であっても不飽和であってもよい。
【0039】
好適なジヒドロキシ化合物の限定しない具体的な例としては、4,4’−ジヒドロキシビフェニール、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルメタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、1,1−ビス(ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)イソブテン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、trans−2,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブテン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンチン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)トルエン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アセトニトリル、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−n−プロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1−ジブロモ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1−ジクロロ−2,2−ビス(5−フェノキシ−4−ヒドロキシフェニル)エチレン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブタノン、1,6−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,6−ヘキサンジオン、エチレングリコールビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオリン、2,7−ジヒドロキシピレン、6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチルスピロ(ビス)インダン(「スピロビインダンビスフェノール」)、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタリド、2,6−ジヒドロキシジベンゾ−p−ダイオキシン、2,6−ジヒドロキシチアントレン、2,7−ジヒドロキシフェノキサチン、2,7−ジヒドロキシ−9,10−ジメチルフェナジン、3,6−ジヒドロキシジベンゾフラン、3,6−ジヒドロキシジベンゾチオフェン、2,7−ジヒドロキシカルバゾールおよび前述のジヒドロキシ化合物を少なくとも1つ含む組み合わせなどが挙げられる。
【0040】
上記の式(6)で表わされるビスフェノール化合物の種類の具体的な例としては、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以後、「ビスフェノールA」または「BPA」)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−1−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン、2−フェニル−3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン(PPPBP)および1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン(DMBPC)などが挙げられる。前述のジヒドロキシ化合物を少なくとも1つ含む組み合わせを使用してもよい。
【0041】
別のジヒドロキシ芳香族基Rは、式(9)のジヒドロキシ芳香族化合物から誘導される。
【化9】

式中、Rはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、C1−12炭化水素基あるいはC1−12ハロゲン置換炭化水素基であり、pは0〜4である。該ハロゲンは通常臭素である。式(9)で表わされる化合物の例には、レゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、5−エチルレゾルシノール、5−プロピルレゾルシノール、5−ブチルレゾルシノール、5−t−ブチルレゾルシノール、5−フェニルレゾルシノール、5−クミルレゾルシノール、2,4,5,6−テトラフルオロレゾルシノール、2,4,5,6−テトラブロモレゾルシノールなどの置換レゾルシノール化合物;カテコール;ヒドロキノン;2−メチルヒドロキノン、2−エチルヒドロキノン、2−プロピルヒドロキノン、2−ブチルヒドロキノン、2−t−ブチルヒドロキノン、2−フェニルヒドロキノン、2−クミルヒドロキノン、2,3,5,6−テトラメチルヒドロキノン、2,3,5,6−テトラ−t−ブチルヒドロキノン、2,3,5,6−テトラフルオロヒドロキノン、2,3,5,6−テトラブロモヒドロキノンなどの置換ヒドロキノン、あるいは前述の化合物を少なくとも1つ含む組み合わせなどが含まれる。
【0042】
本明細書での「ポリカーボネート」および「ポリカーボネート樹脂」にはさらに、ホモポリカーボネート、カーボネートに異なるRを含む共重合体(本明細書では「コポリカーボネート」と呼ぶ)、カーボネート単位とエステル単位などの他の種類のポリマー単位とを含む共重合体、およびホモポリカーボネートおよびコポリカーボネートの1つまたは複数を含む組み合わせが含まれる。本明細書での「組み合わせ」には、配合物、混合物、合金、反応生成物などが含まれる。
【0043】
ある具体的な実施形態では、ポリカーボネートを使用する場合、それを、AおよびAがそれぞれp−フェニレンであり、YがイソプロピリデンであるビスフェノールAから誘導された直鎖ホモポリマーとすることができる。該ポリカーボネートの固有粘度は、温度25℃のクロロホルム中で測定して0.3〜1.5dl/gであってもよく、具体的には0.45〜1.0dl/gであってもよい。該ポリカーボネートの質量平均分子量(Mw)は、架橋性スチレン−ジビニルベンゼンカラムを用い、サンプル濃度1mg/ml、ポリカーボネート標準で較正したゲル透過クロマトグラフィ(GPC)で測定して、10,000〜100,000であってもよい。
【0044】
ある実施形態では、前記ポリカーボネートは、薄層物品の製造に好適な流動特性を有する。溶融体積流量(多くはMVRと略記)は、所定の温度・荷重において、熱可塑性物質がオリフィスから押出される流量を測定したものである。薄層物品の製造に好適なポリカーボネートのMVRは、ASTM D1238−04に準拠して温度300℃、荷重1.2kgで測定して、0.5〜80cc/10分であってもよい。ある具体的な実施形態では、好適なポリカーボネート組成物のMVRは、ASTM D1238−04に準拠して温度300℃、荷重1.2kgで測定して、0.5〜50cc/10分であり、具体的には0.5〜25cc/10分であり、より具体的には1〜15cc/10分である。異なる流動性を有するポリカーボネートの混合物を用いて全体的に所望の流動特性を得てもよい。
【0045】
好適には、前記配合物中のポリカーボネートはビスフェノールAポリカーボネートである。より好適には、少なくとも1つのポリエステルと少なくとも1つのポリカーボネートの配合物は、ポリ(ブチレンテレフタレート)とビスフェノールAポリカーボネートを含むか、あるいはポリ(シクロヘキサンジメタノール−co−エチレンテレフタレート)とビスフェノールAポリカーボネートを含む。
【0046】
コポリエステルカーボネート中の好適なポリカーボネートまたはポリカーボネートブロックは、界面重合や溶融重合などのプロセスで製造できる。界面重合の反応条件は変わるが、典型的なプロセスは一般に、二価フェノール反応物を苛性ソーダ水溶液あるいは炭酸カリ水溶液に溶解または分散させるステップと、生成した混合物を好適な水非混和性溶剤に添加するステップと、前記反応物質を、トリエチルアミンなどの好適な触媒または相間移動触媒の存在下、例えばpH8〜10などに調整されたpH条件下で、カーボネート前駆体に接触させるステップと、を備える。最も慣用の水非混和性溶剤としては、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、トルエンなどが挙げられる。好適なカーボネート前駆体としては、例えば、臭化カルボニルや塩化カルボニルなどのハロゲン化カルボニル、あるいは、二価フェノールのビスハロホルメート(例えばビスフェノールA、ヒドロキノンなどのビスクロロホルメート)やグリコールのビスハロホルメート(例えばエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコールなどのビスハロホルメート)などのハロホルメートなどが挙げられる。前述の種類のカーボネート前駆体を少なくとも1つ含む組み合わせを使用してもよい。重合中に、連鎖停止剤(キャッピング剤とも呼ぶ)が含まれていてもよい。該連鎖停止剤は分子量成長速度を制限し、ポリカーボネート中の分子量を調整する。連鎖停止剤は、モノフェノール化合物、モノカルボン酸クロリドおよびまたはモノクロロホルメートの少なくとも1つであってもよい。連鎖停止剤がポリカーボネートに導入される場合、その連鎖停止剤を末端基と呼んでもよい。
【0047】
例えば、連鎖停止剤として好適なモノフェノール化合物としては、フェノール、C−C22アルキル置換フェノール、p−クミル−フェノール,p−tertiary−ブチルフェノール、ヒドロキシジフェニルなどの単環式フェノール;およびp−メトキシフェノールなどのジフェノールのモノエーテルが挙げられる。アルキル置換フェノールには、8〜9個の炭素原子を有する分枝鎖アルキル置換基を有するものが含まれる。モノフェノール紫外線吸収剤をキャッピング剤として使用してもよい。こうした化合物としては、4−置換−2−ヒドロキシベンゾフェノンおよびその誘導体、アリールサリチル酸塩、レゾルシノールモノベンゾエートなどのジフェノールのモノエステル、2−(2−ヒドロキシアリール)−ベンゾトリアゾールおよびその誘導体、2−(2−ヒドロキシアリール)−1,3,5−トリアジンおよびその誘導体などがある。具体的には、モノフェノール連鎖停止剤としては、フェノール、p−クミルフェノールおよびまたはレゾルシノールモノベンゾエートが挙げられる。
【0048】
モノカルボン酸クロリドも連鎖停止剤として好適である。こうしたクロリドには、ベンゾイルクロリド、C−C22アルキル置換ベンゾイルクロリド、4−メチルベンゾイルクロリド、ハロゲン置換ベンゾイルクロリド、ブロモベンゾイルクロリド、シンナモイルクロリド、4−ナジミドベンゾイルクロリドおよびこれらの混合物などの単環式モノカルボン酸クロリド;無水トリメリット酸クロリドおよびナフトイルクロリドなどの多環式モノカルボン酸クロリド;および単環式および多環式モノカルボン酸クロリドの混合物が含まれる。炭素原子数が22個までの脂肪族モノカルボン酸の塩化物も好適である。アクリロイルクロリドやメタクリロイルクロリドなどの脂肪族モノカルボン酸の官能化塩化物も好適である。フェニルクロロホルメート、アルキル置換フェニルクロロホルメート、p−クミルフェニルクロロホルメート、トルエンクロロホルメートおよびこれらの混合物などの単環式モノクロロホルメートを含むモノクロロホルメートも好適である。
【0049】
がそれぞれ同じであっても違っていてもよく、C1−10アルキル基であり、Qは窒素原子またはリン原子であり、Xは、ハロゲン原子、C1−8アルコキシ基またはC6−18アリールオキシ基である式(RXで表される触媒も、界面重合に使用可能な相間移動触媒に含まれる。好適な相間移動触媒としては、例えば、XがCl、Br、C1−8アルコキシ基またはC6−18アリールオキシ基である、[CH(CHNX、[CH(CHPX、[CH(CHNX、[CH(CHNX、[CH(CHNX、CH[CH(CHNXおよびCH[CH(CHNXなどが挙げられる。ある実施形態では、特に有用な相関移動触媒は、CH[CH(CHNCl(メチルトリ−n−ブチルアンモニウムクロリド)である。相関移動触媒の有効量は、ホスゲン化混合物中のビスフェノールの質量に対して0.1〜10質量%であってもよい。別の実施形態では、相関移動触媒の有効量は、ホスゲン化混合物中のジヒドロキシ化合物の質量に対して0.5〜2質量%であってもよい。
【0050】
あるいは、溶融処理を用いてポリカーボネートまたはポリカーボネートブロックを製造してもよい。溶融重合プロセスでは一般に、エステル交換反応触媒の存在下、均一な分散を形成するBanbury(登録商標)ミキサー二軸スクリュ押出機などで、前記ジヒドロキシ反応物とジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネートエステルとを溶融状態で共反応させてポリカーボネートを調製してもよい。揮発性の一価フェノールは蒸留によって溶融反応物から除去され、ポリマーは溶融残留物として分離される。特に有用なポリカーボネート製造溶融プロセスでは、アリール上に電子吸引性の置換基を有するジアリールカーボネートエステルが使用される。電子吸引性置換基を有する特に有用なジアリールカーボネートエステルの例としては、ビス(4−ニトロフェニル)カーボネート、ビス(2−クロロフェニル)カーボネート、ビス(4−クロロフェニル)カーボネート、ビス(メチルサリチル)カーボネート(BMSC)、ビス(4−メチルカルボキシルフェニル)カーボネート、ビス(2−アセチルフェニル)カルボキシレート、ビス(4−アセチルフェニル)カルボキシレートまたはこれらを少なくとも1つ含む組み合わせなどが挙げられる。また、好適に使用されるエステル交換触媒には、R、QおよびXがそれぞれ上記に定義したものである上記の式(RXで表される相関移動触媒が含まれてもよい。好適なエステル交換触媒としては、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムアセテート、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド、テトラブチルホスホニウムアセテート、テトラブチルホスホニウムフェノレートまたはこれらを少なくとも1つ含む組み合わせなどが挙げられる。
【0051】
分枝鎖ポリカーボネートと、直鎖ポリカーボネートおよび分枝鎖ポリカーボネートの配合物も有用である。重合中に分岐剤を添加してこれらの分枝鎖ポリカーボネートを調製してもよい。これらの分岐剤としては、水酸基、カルボキシル基、カルボン酸無水物、ハロホルミル基および前述の官能基の混合物から選択された官能基を少なくとも3つ含む多官能性有機化合物が挙げられる。具体的には、トリメリット酸、無水トリメリット酸、トリメリット酸トリクロリド、トリス−p−ヒドロキシフェニルエタン、イサチン−ビス−フェノール、トリス−フェノールTC(1,3,5−トリス((p−ヒドロキシフェニル)イソプロピル)ベンゼン)、トリス−フェノールPA(4(4(1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−エチル)α,α−ジメチルベンジル)フェノール)、4−クロロホルミルフタル酸無水物、トリメシン酸およびベンゾフェノンテトラカルボン酸などが含まれる。分岐剤の添加量は、
ポリカーボネートの0.05〜2.0質量%であってもよい。ポリカーボネート末端基が熱可塑性組成物の所望の特性に大きく影響しなければ、すべての種類のこうした末端基が該ポリカーボネートにおいて有用であると考えられる。
【0052】
好適な実施形態では、低温衝撃性能が改良された熱可塑性組成物は、a)少なくとも1つの1,3−ジヒドロキシベンゼン部分と少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸とから誘導された構造単位を含むアリーレートブロックと交互に出現する有機カーボネートブロックを含む少なくとも1つのブロックコポリエステルカーボネートを3〜50質量%と、b)少なくとも1つの耐衝撃性改良剤を4〜16質量%と、c)ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)とポリ(シクロヘキサンジメタノール−co−エチレンテレフタレート)から構成された群から選択された少なくとも1つのポリエステル、あるいは前記少なくとも1つのポリエステルと少なくとも1つのポリカーボネートとの配合物を34〜93質量%と、これらの任意の反応生成物を含む熱可塑性組成物であって、温度0℃以下で延性であることを特徴とする。
【0053】
別の実施形態では、前記熱可塑性組成物はさらに難燃性組成物を含む。添加される好適な難燃剤には、リン、臭素およびまたは塩素を含む有機化合物であってもよい。例えば、有機リン酸塩やリン−窒素結合を含む有機化合物などの非臭素化および非塩素リン含有難燃剤は、規制上の理由から、特定の分野では好適であり得る。
【0054】
ある種類の典型的な有機リン酸塩は、少なくとも1つのGが芳香族基として、それぞれのGが独立にアルキル、シクロアルキル、アリール、アルキルアリールまたはアリールアルキル基である式(GO)P=Oで表される芳香族リン酸塩である。G基のうちの2つが互いに結合して、例えば二リン酸ジフェニルペンタエリスリトールなどの環式基を付与してもよい。他の好適な芳香族リン酸塩は、例えば、リン酸フェニルビス(ドデシル)、リン酸フェニルビス(ネオペンチル)、リン酸フェニルビス(3,5,5’−トリメチルヘキシル)、リン酸エチルジフェニル、リン酸2−エチルヘキシルジ(p−トリル)、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)p−トリル、リン酸トリトリル、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)フェニル、リン酸トリ(ノニルフェニル)、リン酸ビス(ドデシル)p−トリル、リン酸ジブチルフェニル、リン酸2−クロロエチルジフェニル、リン酸p−トリルビス(2,5,5’−トリメチルヘキシル)およびリン酸2−エチルヘキシルジフェニルなどであってもよい。具体的な芳香族リン酸塩は、Gがそれぞれ、例えばリン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、イソプロピル化リン酸トリフェニルなどである芳香族リン酸塩である。
【0055】
例えば下式の化合物などの二官能性または多官能性芳香族リン含有化合物も有用である。
【化10】

式中、Gはそれぞれ独立に炭素原子数が1〜30個の炭化水素であり、Gはそれぞれ独立に、炭素原子数が1〜30個の炭化水素またはヒドロカルボノキシであり、Xはそれぞれ独立に炭素原子数が1〜30個の炭化水素であり、Xはそれぞれ独立に臭素か塩素であり、mは0〜4であり、nは1〜30である。好適な二官能性または多官能性芳香族リン含有化合物としては、二リン酸レゾルシノールテトラフェニル(RDP)、ヒドロキノンのリン酸ビス(ジフェニル)およびビスフェノールAのリン酸ビス(ジフェニル)のそれぞれと、それらのオリゴマおよびポリマー対応物などが挙げられる。
【0056】
リン−窒素結合を含む好適な難燃性化合物の典型的な例としては、塩化ホスホニトリル、リンエステルアミド、リン酸アミド、ホスホン酸アミド、ホスフィン酸アミドおよびトリス(アジリジニル)ホスフィンオキシドなどが挙げられる。リン含有難燃剤が存在する場合、その量は、前記ポリエステル−ポリカーボネートおよびポリ(アルキレンエステル)の合計質量に対して0.1〜10質量%とすることができる。
【0057】
例えば式(10)のハロゲン化化合物や樹脂などのハロゲン化材料を難燃剤として用いてもよい。
【化11】

式中、Rは、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、イソプロピリデン、ブチレン、イソブチレン、アミレン、シクロヘキシレン、シクロペンチリデンなどのアルキレン、アルキリデンまたは脂環式結合;あるいは、酸素エーテル、カルボニル、アミンまたは、例えばスルフィド、スルホキシド、スルホンなどの硫黄含有化合物である。Rはまた、芳香族基、アミノ基、エーテル基、カルボニル基、スルフィド基、スルホキシド基、スルホン基などの基で結合されたアルキレンまたはアルキリデン結合の2つ以上から構成されていてもよい。
【0058】
式(10)におけるArおよびAr’はそれぞれ独立に、フェニレン、ビフェニレン、ターフェニレン、ナフチレンなどのモノ−またはポリ炭素環芳香族基である。
【0059】
Yは、例えば塩素、臭素、ヨウ素、フッ素などのハロゲン;EがXと同様に一価炭化水素ラジカルである、一般式OEのエーテル基;Rで表される種類の一価炭化水素基;あるいは、アリール核あたり少なくとも1つ、好適には2つのハロゲン原子があれば本質的に不活性である、例えばニトロ、シアノなどの他の置換基などである有機、無機あるいは有機金属ラジカルである。
【0060】
Xが存在する場合、そのそれぞれは独立に、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、デシルなどのアルキル基;フェニル、ナフチル、ビフェニル、キシリル、トリルなどのアリール基;ベンジル、エチルフェニルなどのアリールアルキル基;およびシクロペンチル、シクロヘキシルなど脂環式基などの一価炭化水素基である。該一価炭化水素基はそれ自体、不活性置換基を含んでいてもよい。
【0061】
dはそれぞれ独立に1から、ArまたはAr’を含む芳香族環の置換された代替可能な水素の数に等しい最大数までの数である。eはそれぞれ独立に1から、Rの置換可能な水素の数に等しい最大数までの数である。a、bおよびcはそれぞれ独立に0を含むすべての数である。bが0でなければ、aもcも0でなくてもよい。そうでなければ、aまたはcはその両方ではなく、そのいずれかが0であってもよい。bが0の場合、該芳香族基は直接炭素−炭素結合で結合されている。
【0062】
芳香族基ArおよびAr’の水酸基とY置換基は、芳香族環のオルト、メタあるいはパラ位置を変えることができ、互いに任意の可能な幾何学的関係とすることができる。
【0063】
2,2−ビス−(3,5−ジクロロフェニル)−プロパン;ビス−(2−クロロフェニル)−メタン;ビス(2,6−ジブロモフェニル)−メタン;1,1−ビス−(4−ヨードフェニル)−エタン;1,2−ビス−(2,6−ジクロロフェニル)−エタン;1,1−ビス−(2−クロロ−4−ヨードフェニル)エタン;1,1−ビス−(2−クロロ−4−メチルフェニル)−エタン;1,1−ビス−(3,5−ジクロロフェニル)−エタン;2,2−ビス−(3−フェニル−4−ブロモフェニル)−エタン;2,6−ビス−(4,6−ジクロロナフチル)−プロパン;2,2−ビス−(2,6−ジクロロフェニル)−ペンタン;2,2−ビス−(3,5−ジブロモフェニル)−ヘキサン;ビス−(4−クロロフェニル)−フェニル−メタン;ビス−(3,5−ジクロロフェニル)−シクロヘキシルメタン;ビス−(3−ニトロ−4−ブロモフェニル)−メタン;ビス−(4−ヒドロキシ−2,6−ジクロロ−3−メトキシフェニル)−メタン;および2,2−ビス−(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパンおよび2,2−ビス−(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパンで代表されるビスフェノールは上記の式(10)の範囲に含まれる。1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジブロモベンゼン、1,3−ジクロロ−4−ヒドロキシベンゼン、および2,2’−ジクロロビフェニル、ポリ臭化1,4−ジフェノキシベンゼン、2,4’−ジブロモビフェニルおよび2,4’−ジクロロビフェニルなどのビフェニルおよびデカブロモジフェニルオキシドなども上記の構造式(10)の範囲に含まれる。
【0064】
ビスフェノールAとテトラブロモビスフェノールAとのコポリカーボネートや、例えばホスゲンなどのカーボネート前駆体などのオリゴマおよびポリマーハロゲン化芳香族化合物も有用である。例えば酸化アンチモンなどの金属相乗剤を難燃剤と共に使用してもよい。ハロゲン含有難燃剤が存在する場合、その量は、前記ポリエステル−ポリカーボネートとポリ(アルキレンエステル)の合計質量に対して、0.1〜10質量%とすることができる。
【0065】
例えば、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム(リマー(Rimar)塩)、パーフルオロオクタンスルホン酸カリウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸テトラエチルアンモニウムおよびジフェニルスルホンスルホン酸カリウムなどのC2−16アルキルスルホン酸塩;および、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属(例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩およびバリウム塩)と、例えばNaCO、KCO、MgCO、CaCOおよびBaCOなどのカルボン酸のアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩などのオキソ−アニオン、あるいはLiAlF、BaSiF、KBF、KAlF、KAlF、KSiFおよびまたはNaAlFなどのフルオロ−アニオン複合体などの無機酸複合塩との反応により形成される塩などの無機難燃剤を使用してもよい。無機難燃剤が存在する場合、その量は、前記ポリエステル−ポリカーボネートとポリ(アルキレンエステル)の合計質量に対して、0.1〜5質量%とすることができる。
【0066】
前記熱可塑性組成物は、その所望の特性に著しく悪影響を及ぼさないように選択されるという条件で、この種の熱可塑性組成物に通常導入される種々の他の添加剤を含んでいてもよい。添加剤の混合物を使用してもよい。こうした添加剤を、熱可塑性組成物形成成分の混合の間、好適な時間に混合してもよい。
【0067】
前記熱可塑性組成物は、顔料およびまたは染料添加剤などの着色剤を含んでいてもよい。好適な顔料としては、例えば、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化鉄などの金属酸化物およびその混合物;硫化亜鉛などの硫化物;アルミン酸塩;ナトリウムスルホケイ酸塩、硫酸塩、クロム酸塩など;カーボンブラック;亜鉛フェライト;ウルトラマリンブルー;ピグメントブラウン24;ピグメントレッド101;ピグメントイエロー119;アゾ、ジ−アゾ、キナクリドン、ペリレン、ナフタレンテトラカルボン酸、フラバントロン、イソインドリノン、テトラクロロイソインドリノン、アントラキノン、アントアントロン、ジオキサジン、フタロシアニンおよびアゾレーキなどの有機顔料;ピグメントブルー60、ピグメントレッド122、ピグメントレッド149、ピグメントレッド177、ピグメントレッド179、ピグメントレッド202、ピグメントバイオレット29、ピグメントブルー15、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー28、ピグメントグリーン7、ピグメントイエロー147、ピグメントイエロー150あるいは前述の顔料を少なくとも1つ含む組み合わせなどが挙げられる。顔料の量は、その使用によって熱可塑性組成物の所望の特性が著しく悪影響を受けない範囲において、前記ポリエステル−ポリカーボネートとポリ(アルキレンエステル)の合計質量に対して0.01〜10質量%とすることができる。
【0068】
好適な染料は有機材料とすることができ、例えば、クマリン460(ブルー)、クマリン6(グリーン)、ナイルレッドなど;ランタニド複合体;炭化水素および置換炭化水素染料;多環式芳香族炭化水素染料;オキサゾールまたはオキサジアゾール染料などのシンチレーション染料;アリール−またはヘテロアリール−置換ポリ(C2−8)オレフィン染料;カルボシアニン染料;インダントロン染料;フタロシアニン色素;オキサジン染料;カルボスチリル染料;ナフタレンテトラカルボン酸染料;ポルフィリン染料;ビス(スチリル)ビフェニル染料;アクリジン染料;アントラキノン染料;シアニン染料;メチン染料;アリールメタン染料;アゾ染料;インジゴイド染料、チオインジゴイド染料、ジアゾニウム染料;ニトロ染料;キノンイミン染料;アミノケトン染料;テトラゾリウム染料;チアゾール染料;ペリレン染料、ペリノン染料;ビス−ベンゾオキサゾリルチオフェン(BBOT);トリアリールメタン染料;キサンテン染料;チオキサンテン染料;ナフタルイミド染料;ラクトン染料;近赤外波長を吸収し可視波長を放射するアンチストークスシフト染料などの蛍光体など;7−アミノ−4−メチルクマリンなどの発光染料;3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン;2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール;2,5−ビス−(4−ビフェニリル)−オキサゾール;2,2’−ジメチル−p−クアテルフェニル;2,2−ジメチル−p−テルフェニル;3,5,3’’,5’’−テトラ−t−ブチル−p−キンキフェニル;2,5−ジフェニルフラン;2,5−ジフェニルオキサゾール;4,4’−ジフェニルスチルベン;4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン;1,1’−ジエチル−2,2’−カルボシアニンヨージド;3,3’−ジエチル−4,4’,5,5’−ジベンゾチアトリカルボシアニンヨージド;7−ジメチルアミノ−1−メチル−4−メトキシ−8−アザキノロン−2;7−ジメチルアミノ−4−メチルキノロン−2;過塩素酸2−(4−(4−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル)−3−エチルベンゾチアゾリウム;過塩素酸3−ジエチルアミノ−7−ジエチルイミノフェノキサゾニウム;2−(1−ナフチル)−5−フェニルオキサゾール;2,2’−p−フェニルエン−ビス(5−フェニルオキサゾール);ローダミン700;ローダミン800;ピレン;クリセン;ルブレン;コロネンなど、あるいは前述の染料を少なくとも1つ含む組み合わせなどが挙げられる。染料の量は、その使用によって熱可塑性組成物の所望の特性が著しく悪影響を受けない範囲において、前記ポリエステル−ポリカーボネートとポリ(アルキレンエステル)の合計質量に対して0.01〜10質量%とすることができる。
【0069】
前記熱可塑性組成物はさらに酸化防止剤を含んでいてもよい。好適な酸化防止添加剤としては、例えば、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトなどの有機ホスファイト;アルキル化モノフェノールまたはポリフェノール;ポリフェノールと、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート]メタンなどのジエンと、のアルキル化反応生成物など;パラ−クレゾールまたはジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物;アルキル化ヒドロキノン;ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル;アルキリデン−ビスフェノール;ベンジル化合物;β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸と、一価または多価アルコールとのエステル;β−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−プロピオン酸と一価または多価アルコールとのエステル;ジステアリルチオプロピオネート、ジラウリルチオプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネート、オクタデシル1−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのチオアルキルまたはチオアリール化合物のエステル;β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸などのアミド、あるいは前述の酸化防止剤を少なくとも1つ含む組み合わせなどが含まれる。酸化防止剤の量は、前記ポリエステル−ポリカーボネートおよびポリ(アルキレンエステル)の合計質量に対して0.0001〜1質量%とすることができる。
【0070】
好適な熱安定剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス−(2,6−ジメチルフェニル)ホスファイト、トリス−(モノ−およびジ−混合ノニルフェニル)ホスファイトなどの有機ホスファイト;ジメチルベンゼンホスホネートなどのホスホネート、トリメチルホスフェートなどのホスフェート、あるいは前述の熱安定剤を少なくとも1つ含む組み合わせなどが挙げられる。熱安定剤の量は、前記ポリエステル−ポリカーボネートとポリ(アルキレンエステル)の合計質量に対して0.0001〜1質量%とすることができる。
【0071】
光安定剤およびまたは紫外線(UV)吸収剤を使用してもよい。好適な光安定剤には、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンなどのベンゾトリアゾール、あるいは前述の光安定剤を少なくとも1つ含む組み合わせなどが含まれる。光安定剤の量は、前記ポリエステル−ポリカーボネートおよびポリ(アルキレンエステル)の合計質量に対して0.0001〜1質量%とすることができる。
【0072】
好適なUV吸収剤としては、例えば、ヒドロキシベンゾフェノン;ヒドロキシベンゾトリアゾール;ヒドロキシベンゾトリアジン;シアノアクリレート;オキサニリド;ベンゾオキサジノン;2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノール(CYASORB(登録商標)5411);2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン(CYASORB(登録商標)531);2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)−フェノール(CYASORB(登録商標)1164);2、2’−(1,4−フェニレン)ビス(4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)(CYASORB(登録商標)UV−3638);1,3−ビス[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]−2,2−ビス[[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル]プロパン(UVINUL(登録商標)3030);2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン);1,3−ビス[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]−2,2−ビス[[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル]プロパン;粒径がすべて100nm未満の酸化チタン、酸化セリウムおよび酸化亜鉛などのナノ−サイズ無機材料など、あるいは前述のUV吸収剤を少なくとも1つ含む組み合わせなどが挙げられる。UV吸収剤の量は、前記ポリエステル−ポリカーボネートおよびポリ(アルキレンエステル)の合計質量に対して0.0001〜1質量%とすることができる。
【0073】
可塑剤、潤滑剤およびまたは離型剤を使用してもよい。例えば、ジオクチル−4,5−エポキシ−ヘキサヒドロフタレート;などのフタル酸エステル;トリス−(オクトキシカルボニルエチル)イソシアヌレート;トリステアリン;レゾルシノールテトラフェニルジホスフェート(RDP)、ヒドロキノンのビス(ジフェニル)ホスフェートおよびビスフェノール−Aのビス(ジフェニル)ホスフェートなどの二官能性または多官能性芳香族ホスフェート;ポリ−α−オレフィン;エポキシ化大豆油;シリコーン油を含むシリコーン;例えばメチルステアレートなどのアルキルステアリルエステルといった脂肪酸エステルなどが例示されるエステル;ステアリルステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレートなど;メチルステアレートとポリエチレングリコールポリマーおよびポリプロピレングリコールポリマーを含む疎水性非イオン界面活性剤との混合物、および好適な溶剤中でのメチルステアレートとポリエチレン−ポリプロピレングリコール共重合体などの、前記混合物の共重合体;蜜ろう、モンタンワックスおよびパラフィンワックスなどのワックス、を含むこれらの種類の材料はかなり重複している。こうした材料の量は、前記ポリエステル−ポリカーボネートおよびポリ(アルキレンエステル)の合計質量に対して0.001〜1質量%にでき、具体的には0.01〜0.75質量%にでき、より具体的には0.1〜0.5質量%にできる。
【0074】
「帯電防止剤」は、ポリマー樹脂内に加工されるか、およびまたは材料や物品にスプレーされて導電性および全体的な物性を向上させるモノマー、オリゴマまたはポリマー材料を指す。モノマー帯電防止剤には、グリセロールモノステアレート、グリセロールジステアレート、グリセロールトリステアレート、エトキシ化アミン、第一級アミン、第二級アミンおよび第三級アミン、エトキシ化アルコール、アルキルサルフェート、アルキルアリールサルフェート、アルキルホスフェート、アルキルアミンサルフェート、ナトリウムステアリルスルホネートやナトリウムドデシルベンゼンスルフォネートなどのアルキルスルホネート塩、第四級アンモニウム塩、第四アンモニウム樹脂、イミダゾリン誘導体、ソルビタンエステル、エタノールアミド、ベタインなど、あるいは前述のモノマー帯電防止剤を少なくとも1つ含む組み合わせなどが含まれる。
【0075】
典型的なポリマー帯電防止剤としては、それぞれが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコ−ルなどのポリアルキレングリコール部分ポリアルキレン酸化物単位を含む、ポリエステルアミドポリエーテル−ポリアミド(ポリエーテルアミド)ブロック共重合体、ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体、ポリエーテルエステルまたはポリウレタンなどが挙げられる。こうしたポリマー帯電防止剤は、例えば、Pelestat(登録商標)6321(三洋化成工業社)あるいはPebax(登録商標)MH1657(Atofina社)、Irgastat(登録商標)P18およびP22(Ciba−Geigy社)として市販されている。帯電防止剤として使用してもよい他のポリマー材料は本来的に、ポリアニリン(PANIPOL社からPANIPOL(登録商標)EBとして市販)、ポリピロールおよびポリチオフェン(Bayer社から市販)などの導電性ポリマーであり、それらは高温での溶融処理後に、固有の導電性の一部を保持している。ある実施形態では、炭素繊維、炭素ナノ繊維、カーボンナノチューブ、カーボンブラックあるいはこれらの任意の組み合わせを化学的帯電防止剤を含むポリマー樹脂に用いて、該組成物を静電散逸性にしてもよい。帯電防止剤の量は、前記ポリエステル−ポリカーボネートおよびポリ(アルキレンエステル)の合計質量に対して0.0001〜5質量%とすることができる。
【0076】
前記熱可塑性組成物はさらに、電離放射線安定化添加剤を含んでいてもよい。典型的な電離放射線安定化添加剤としては、特定の脂肪族アルコール、芳香族アルコール、脂肪族ジオール、脂肪族エーテル、エステル、ジケトン、アルケン、チオール、チオエーテルおよび環式チオエーテル、スルホン、ジヒドロ芳香族、ジエーテル、窒素化合物、あるいはこれらを少なくとも1つ含む組み合わせなどがある。アルコール系安定化添加剤は、単置換、二置換または多置換アルコールから選択されてもよく、また直鎖、分枝鎖、環式およびまたは芳香族とすることができる。好適な脂肪族アルコールとしては、4−メチル−4−ペンテン−2−オール、3−メチル−ペンテン−3−オール、2−メチル−4−ペンテン−2−オール、2,4−ジメチル−4−ペンテン−2−オール、2−フェニル−4−ペンテン−2−オールおよび9−デセン−1オールなどの、不飽和のサイトを有するアルケノール;3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノンおよび2−フェニル−2−ブタノールなどの第三級アルコール;1−ヒドロキシ−1−メチル−シクロヘキサンなどのヒドロキシ置換第三級脂環式アルコール;およびメチロール基(CHOH)、あるいは、Rが直鎖C−C20アルキルまたは分枝鎖C−C20アルキルである(−CRHOH)あるいは(−CROH)などのより複雑な炭化水素基、などのカルビノール置換基を備えた芳香族環を有するヒドロキシメチル芳香族などが挙げられる。典型的なヒドロキシカルビノール芳香族としては、ベンズヒドロール、2−フェニル−2−ブタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、ベンジルアルコール、4−ベンジルオキシ−ベンジルアルコールおよびベンジル−ベンジルアルコールなどがある。
【0077】
有用な種類の電離放射線安定化添加剤は、脂肪族ジオールおよび脂肪族ポリオールとも呼ばれる二官能性および多官能性脂肪族アルコールである。特に有用なものは式(11)で表される脂肪族ジオールである。
【化12】

式中、A’、A’’、B’およびB’’はそれぞれ独立に、HまたはC−Cアルキルであり、Sは、C−C20アルキル、C−C20アルキレンオキシ、C−CシクロアルキルあるいはC−C置換シクロアルキルであり、dとeは、それぞれが0の場合は、2つの−OH基が単一の共通の炭素原子には直接結合しないように選択されるという条件で、それぞれ0または1である。
【0078】
式(11)において、A’、A’’、B’およびB’’はそれぞれ独立に、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチルなど、および前述のアルキル基を少なくとも1つ含む組み合わせから選択できる。
【0079】
スペーサ基Sは、メタンジイル、エタンジイル、1,1−エタンジイル、1,1−プロパンジイル、1,2−プロパンジイル、1,3−プロパンジイル、2,2−プロパンジイル、1,1−ブタンジイル、1,2−ブタンジイル、1,3−ブタンジイル、1,4−ブタンジイル、2,2−ブタンジイル、2,3−ブタンジイル、1,1−ペンタンジイル、1,2−ペンタンジイル、1,3−ペンタンジイル、1,4−ペンタンジイル、1,5−ペンタンジイル、2,2−ペンタンジイル、2,3−ペンタンジイル、2,4−ペンタンジイル、3,3−ペンタンジイル、2−メチル−1,1−ブタンジイル、3−メチル−1,1−ブタンジイル、2−メチル−1,2−ブタンジイル、2−メチル−1,3−ブタンジイル、2−メチル−1,4−ブタンジイル、2−メチル−2,2−ブタンジイル、2−メチル−2,3−プロパンジイル、2,2−ジメチル−1,1−プロパンジイル、2,2−ジメチル−1,2−プロパンジイル、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジイル、3,3−ジメチル−1,1−プロパンジイル、3,3−ジメチル−1,2−プロパンジイル、3,3−ジメチル−2,2−プロパンジイル、1,1−ジメチル−2,3プロパンジイル、3,3−ジメチル−2,2−プロパンジイル、1,1−ヘキサンジイル、1,2−ヘキサンジイル、1,3−ヘキサンジイル、1,4−ヘキサンジイル、1,5−ヘキサンジイル、1,6−ヘキサンジイル、2,2−ヘキサンジイル、2,3−ヘキサンジイル、2,4−ヘキサンジイル、2,5−ヘキサンジイル、3,3−ヘキサンジイル、2−メチル−1,1−ペンタンジイル、3−メチル−1,1−ペンタンジイル、2−メチル−1,2−ペンタンジイル、2−メチル−1,3−ペンタンジイル、2−メチル−1,4−ペンタンジイル、2−メチル−2,2−ペンタンジイル、2−メチル−2,3−ペンタンジイル、2−メチル−2,4−ペンタンジイル、2,2−ジメチル−1,1−ブタンジイル、2,2−ジメチル−1,2−ブタンジイル、2,2−ジメチル−1,3−ブタンジイル、3,3−ジメチル−1,1−ブタンジイル、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジイル、3,3−ジメチル−2,2−ブタンジイル、1,1−ジメチル−2,3−ブタンジイル、3,3−ジメチル−2,2−ブタンジイルなど;オクタンジイル、デカンジイル、ウンデカンジイル、ドデカンジイル、ヘキサデカンジイル、オクタデカンジイル、イコサナンジイルおよびドコサナンジイルの異性体;1,4−ジメチレンシクロヘキサンにおけるように、置換基がラジカル結合点にあってもよく、あるいは分枝鎖および直鎖アルキル、シクロアルキルなどを含んでいてもよい置換および未置換シクロプロパンジイル、シクロブタンジイル、シクロペンタンジイル、シクロヘキサンジイルなど、から選択できる。また、該スペーサ基Sは、エチレンオキシ、1,2−プロピレンオキシ、1,3−プロピレンオキシ、1,2−ブチレンオキシ、1,4−ブチレンオキシ、1,6−ヘキシレンオキシなど、およびこれらの少なくとも1つを含む組み合わせなどの、ポリアルキレンオキシ単位を含む1つまたは複数のジラジカルから選択されてもよい。
【0080】
好適な脂肪族ジオールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、meso−2,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオールなど;1,3−シクロブタンジオール、2,2,4,4−テトラメチルシクロブタンジオール、1,2−シクロペンタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジメチロールシクロヘキサンなどの脂環式アルコール;2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール(ピナコール)、2−メチル−2,4−ペンタンジオール(ヘキシレングリコール)などの分枝鎖非環式ジオール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブロックまたはランダムポリ(エチレングリコール−co−プロピレングリコール)などのポリアルキレンオキシ含有アルコールおよびポリアルキレンオキシ基を含む共重合体のジオールなどのポリアルキレンオキシ含有アルコールなどが含まれる。有用なポリオールは、ポリヒドロキシスチレンなどのポリアリーレンオキシ化合物;ポリビニルアルコール、多糖およびエステル化多糖などのアルキルポリオールであってもよい。前述のものを少なくとも1つ含む組み合わせも有用であり得る。特に好適なジオールとしては、2−メチル−2,4−ペンタンジオール(ヘキシレングリコール)、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールが挙げられる。
【0081】
好適な脂肪族エーテルは、例えば1,2−ジアルコキシエタン、1,2−ジアルコキシプロパン、1,3−ジアルコキシプロパン、アルコキシシクロペンタン、アルコキシシクロヘキサンなどのアルコキシ置換環式または非環式アルカンを含んでいてもよい。Rが、置換または未置換の芳香族または脂肪族炭化水素であってよく、この親カルボキシ化合物が、同様に置換または未置換の芳香族または脂肪族、およびまたは単官能性または多官能性であってもよいエステル化合物(−COOR)は安定剤として有用である。置換基が存在する場合、その中には、例えばC−Cアルキル、C−CアルキルエーテルおよびC−C20アリールなどが含まれていてもよい。有用であることが判明したエステルとしては、テトラキス(メチレン[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナメート])メタン、2、2’−オキサミドビス(エチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、およびオハイオ州ClevelandのB.F.Goodrich社から市販されているGood−RITE(登録商標)3125などの三官能性ヒンダードフェノールエステル化合物などがある。
【0082】
ジケトン化合物、具体的には、例えば2,4−ペンタジオンなどの、2つのカルボニル官能基を有し単一の介在炭素原子によって分離されたものも有用である。
【0083】
安定化添加剤としての使用に好適な硫黄含有化合物は、チオール、チオエーテルおよび環式チオエーテルを含むことができる。チオールは、例えば2−メルカプトベンゾチアゾールを含み、チオエーテルはジラウリルチオプロピオネートを含み、環式チオエーテルは、1,4−ジチアンおよび1,4,8,11−テトラチオシクロテトラデカンを含む。2つ以上のチオエーテル基を含む環式チオエーテルは有用であり、具体的には、例えば1,3−ジチアンにおけるように、2つのチオエーテル基間に単一の介在炭素を有するものは有用である。該環式環は酸素員または窒素員を含んでいてもよい。
【0084】
R−S(O)−R’の一般構造を有するアリールまたはアルキルスルホン安定化添加剤を使用してもよい。式中、RおよびR’は、C−C20アルキル、C−C20アリール、C−C20アルコキシ、C−C20アリールオキシおよびこれらの置換誘導体などを含み、RおよびR’の少なくとも1つは置換または未置換のベンジルである。置換基が存在する場合、それは、例えばC−Cアルキル、C−Cアルキルエーテル、C−C20アリールなどである。特に有用なスルホンの一例はベンジルスルホンである。
【0085】
アルケンを安定化添加剤として使用してもよい。好適なアルケンとしては、RR’C=CR’’R’’’の一般構造を有するオレフィンがある。式中、R、R’、R’’およびR’’’はそれぞれ独立に、同じであっても違っていてもよく、水素、C−C20アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20アルケニル、C−C20シクロアルケニル、C−C20アリール、C−C20アリールアルキル、C−C20アルキルアリール、C−C20アルコキシ、C−C20アリールオキシおよびこれらの置換誘導体から選択されてもよい。置換基が存在する場合、例えば、C−Cアルキル、C−Cアルキルエーテル、C−C20アリールなどであってもよい。該オレフィンは、非環式、環外あるいは環内であってもよい。特に有用なアルケンの例としては、1,2−ジフェニルエタン、アリルフェノール、2,4−ジメチル−1−ペンテン、リモネン、2−フェニル−2−ペンテン、2,4−ジメチル−1−ペンテン、1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1−ウンデセン、1−ドデセンなど、あるいはこれらのものを少なくとも1つ含む組み合わせなどがある。
【0086】
部分的に水素化された芳香族と、不飽和環と結合した芳香族とを含むヒドロ芳香族化合物を安定化添加剤として使用してもよい。具体的な芳香族としては、ベンゼン系のものおよびまたはナフタレン系のものがある。好適なヒドロ芳香族化合物の例としては、インダン、5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフトール、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフトール、9,10−ジヒドロアントラセン、9,10−ジヒドロフェナントレン、1−フェニル−1−シクロヘキサン、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフトールなど、あるいはこれらの少なくとも1つを含む組み合わせなどがある。
【0087】
水素化および非水素化ピラン、および置換および未置換ピランを含むジエーテルを安定化添加剤として使用してもよい。置換基が存在する場合、それは、C−Cアルキル、C−CアルキルエーテルまたはC−C20アリールであってもよい。該ピランは、ピラン環の任意の炭素に位置するC−C20アルキル、C−C20アリール、C−C20アルコキシまたはC−C20アリールオキシを含む置換基を有していてもよい。特に有用な置換基としては、ピラン環の第6の位置に存在するC−C20アルコキシまたはC−C20アリールオキシが挙げられる。水素化ピランは特に有用である。好適なジエーテルとしては、ジヒドロピラニルエーテルとテトラヒドロピラニルエーテルがある。
【0088】
安定剤として機能する窒素化合物としては、例えば、2,2−オキサミドビス−[エチル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などの高分子量のオキサミドフェノール、高分子量のアキサルアニリドとその誘導体、およびチオウレアなどのアミン化合物がなどがある。
【0089】
電離放射線安定化添加剤の量は、前記ポリエステル−ポリカーボネートとポリ(アルキレンエステル)の合計質量に対して、典型的には0.001〜1質量%であり、具体的には0.005〜0.75質量%であり、より具体的には0.01〜0.5質量%であり、さらにより具体的には0.05〜0.25質量%である。
【0090】
前述の質量%値はそれぞれ、他のいかなる添加剤も含まずに、前記ポリエステル−ポリカーボネートとポリ(アルキレンテレフタレート)ポリマーの合計質量に対するものである。ある実施形態では、前記熱可塑性組成物は、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、離型剤、潤滑剤、帯電防止剤、顔料、染料、難燃剤、ガンマ線安定剤、あるいは前述の添加剤を少なくとも1つ含む組み合わせなどの添加剤を含んでいてもよい。具体的な実施形態では、前述の添加剤の合計量は、前記ポリエステル−ポリカーボネートとポリ(アルキレンエステル)の合計質量に対して5質量%以下である。具体的な実施形態では、前記熱可塑性組成物は、イソフタレート−テレフタレート−レゾルシノール(ITR)エステル単位を含むポリエステル−ポリカーボネートと、エチレンテレフタレート単位、1,4−シクロヘキシルエンジメチレン単位、あるいはこれらの単位を含む組み合わせを含むポリ(アルキレンエステル)と、ポリエステル−ポリカーボネートとポリ(アルキレンエステル)の合計質量に対して0〜5質量%の添加剤と、から構成される。添加剤の量と種類は、熱可塑性組成物の所望の特性が著しく悪影響を受けないように選択されることは理解される。
【0091】
前記熱可塑性組成物は、例えば、ある実施形態でのあるプロセス方法では、パウダー化されたポリエステル−ポリカーボネートポリマーと、ポリ(アルキレンテレフタレート)ポリマーと、安定剤パッケージ(例えば、酸化防止剤、ガンマ線安定剤、熱安定剤、紫外線安定剤など)およびまたは他の添加剤を含む他の任意の成分と、を、HENSCHEL−Mixer(登録商標)高速ミキサーで最初に配合するなどの当分野で一般に用いられている方法で製造できる。これに限定されないが、手動混合などの他の低せん断プロセスを用いてもこの配合は実現できる。該配合品を次にホッパーから押出機の供給口に投入する。あるいは、1つまたは複数の成分を、押出機の供給口およびまたはサイドスタッファから下流側に直接供給して、該組成物中に配合してもよい。所望であれば、前記ポリエステル−ポリカーボネート、ポリ(アルキレンテレフタレート)ポリマーおよび任意の所望のポリマーおよびまたは添加剤をマスターバッチ内に配合し、所望のポリマー樹脂と組み合わせて押出機に供給してもよい。押出機は一般に、組成物の流動に必要な温度より高い温度で操作される。押出品を水浴ですぐに急冷してペレット化する。こうして調製したペレットを切断する場合は、要求に応じて1/4インチ以下の長さとしてもよい。こうしたペレットを次の型成形・造形あるいは成形に使用してもよい。
【0092】
具体的な実施形態では、熱可塑性組成物の調製方法は、ポリエステル−ポリカーボネートポリマーとポリ(アルキレンテレフタレート)ポリマーを溶融混合するステップを含む。この溶融混合は押出で行うことができる。ある実施形態では、ポリエステル−ポリカーボネートポリマーとポリ(アルキレンテレフタレート)ポリマーとの組成物は、ポリエステル−ポリカーボネート中のITRエステル単位とポリ(アルキレンテレフタレート)ポリマー中のCHDMエステル単位との合計が40超の値となるようそれぞれ選択される。また、ポリエステル−ポリカーボネートとポリ(アルキレンエステル)は、機械的性能は所望のレベルにある熱可塑性組成物の光学的特性として、ASTM D1003−00に準拠してこの2つで構成された2.5mmの成形品で測定して、光透過率が80%以上、ヘイズが5%以下となるように選択されてもよい。さらに具体的な実施形態では、ポリカーボネートの全質量の5質量%以下の添加剤を、該ポリエステル−ポリカーボネートポリマーとポリ(アルキレンテレフタレート)ポリマーと混合して熱可塑性組成物を製造してもよい。ある実施形態では、ポリエステル−ポリカーボネートポリマーと、ポリ(アルキレンテレフタレート)ポリマーと、必要に応じてポリカーボネートと、の割合は、機械的性能が所望のレベルにある熱可塑性組成物の光学的特性が上記のように最適化されるように選択される。
【0093】
具体的な実施形態では、前記熱可塑性組成物は、二軸スクリュ押出機を用いて押出される。該押出機は典型的には、温度が180〜385℃の範囲で操作され、具体的には200〜330℃の範囲で操作され、より具体的には220〜300℃の範囲で操作されるが、ダイ温度はこれとは違っていてもよい。押出された熱可塑性組成物を水中で急冷しペレット化する。
【0094】
この熱可塑性組成物を含む造形品、成形品あるいは型成形品も提供される。この熱可塑性組成物を含む物品としては、レンズカバー、保護シート、フィルム、繊維、食器類、医療用途、自動車、園芸用品、スポーツおよびレジャー用物品などが挙げられる。
【0095】
本発明を好適な実施形態を参照して説明したが、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であり、本発明の構成要素に対して均等物で置換され得ることは当業者には理解されるであろう。また、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく多くの改良を行って、特別の状況又は材料を本発明が教示するものに適応させることもできる。従って、本発明は、その実施のための最良の形態として開示された特別な実施形態に限定されるこ
となく、添付の請求の範囲に入るすべての実施形態を包含するものと意図される。
【実施例】
【0096】
表1の材料を実施例で使用した。
【表1】

【0097】
調製プロセス/方法
実施例で使用する組成物は以下のように製造した。別途明示された場合を除いて、熱可塑性組成物はすべて、バレル温度とダイヘッド温度が240〜265℃、スクリュ回転速度が150〜300rpmの、真空孔付混合スクリュを備えた25mm Werner and Pfleiderer共回転二軸スクリュ押出機で混合した。該押出機には8つの独立したフィーダがあり、最大処理量は300ポンド/時である。この二軸スクリュ押出機は、十分な分配性と分散性を有する混合部品を備えており、ポリマー組成物間の良好な混合が得られた。押出品を水浴を通して冷却し、ペレット化した。次に、この組成物をISO294に準拠して、設定温度が約240〜290℃のEngel射出成形機で成形した。ペレットは射出成形前に、強制循環オーブンで約80℃×3〜4時間乾燥させた。この方法は、これらの温度や装置に限定されないことは当業者には理解されるであろう。
【0098】
試験プロセス/方法
溶融体積流量(MVR)は、80℃×2時間で乾燥させたペレットを用い、ISO1133に準拠して、温度265℃×荷重2.16kgまたは温度295℃×荷重2.2kg、残留時間240秒、0.0825インチ(2.1mm)のオリフィスの条件で測定した。結果をcm/10分の単位で示す。
【0099】
ノッチ付アイゾッド衝撃(「NII」または「INI」)は、80×10×4mm(長さ×幅×厚さ)の衝撃棒を用い、ISO180に準拠して温度23℃、5.5Jの振り子を用いて測定した。結果をkJ/mの単位で示す。
【0100】
ヘイズと光透過率は、2.5mmのカラーチップを用い、ASTM D1003に準拠して測定した。結果を%ヘイズ(%H)および%透過率(%T)として示す。
【0101】
引張特性は、150×10×4mm(長さ×幅×厚さ)射出成形棒を用い、ISO527に準拠して温度23℃、クロスヘッドスピード5mm/分の条件で測定した。ESCR(環境応力亀裂抵抗)試験として測定した破断引張伸び率の保持率は、100×(ESCR試験後の破断引張伸び率)/(ESCR試験前の破断引張伸び率)である。試験は以下のように行う。該組成物から成る引張棒を化学薬品に暴露した後、ISO527引張試験を行う。破断引張伸び率と降伏点引張応力を求める。
【0102】
熱変形温度(HDT)を、80×10×4mm(長さ×幅×厚さ)の射出成形棒を用いISO75に準拠して測定した。
【0103】
ビカット軟化温度を、80×10×4mm(長さ×幅×厚さ)の射出成形棒を用いISO306に準拠して測定した。
【0104】
表2に試験手順を要約する。室温は23℃である。
【表2】

【0105】
実施例1〜5、比較実施例1〜4
実施例1〜5および比較実施例1〜4では、表3に示した組成物について上記の方法および手順で行った。
【0106】
表記の実施例に対して得られた結果を表3に示す。表3(およびすべての表)に示した量は、それぞれの組成物に対する質量%である。
【表3】

【0107】
これらの結果から、本発明の組成物は温度0℃以下で延性であり、比較実施例に用いた組成物はそうでないことがわかる。さらに、これらの結果から、本発明の組成物は、前記ITR(アリレートブロックと交互に出現する有機カーボネートブロックを含む少なくとも1つのブロックコポリエステルカーボネート)を含まない組成物と比較して、延性から脆性への転移温度が低いことも示されている。例えば実施例1は、ITR質量%が3質量%の場合の延性から脆性への転移温度(DBT)は、ITRを含まない比較実施例1、2と比べて5℃低下することを示している。DBTは組成物が最初に脆性となる温度である。
【0108】
実施例2は、ITR質量%が6質量%の場合のDBTは、ITRを含まない比較実施例1、2と比べて15℃低下することを示している。実施例3は、ITR質量%が9質量%の場合のDBTは、ITRを含まない比較実施例1、2と比べて15℃低下することを示している。実施例4は、ITR質量%が6質量%の場合のDBTは、ITRを含まない比較実施例3、4と比べて5℃低下することを示している。実施例5は、ITR質量%が9質量%の場合のDBTは、ITRを含まない比較実施例3、4と比べて10℃低下することを示している。比較実施例1、2、4および4の組成物は0℃で延性ではなかったが、実施例1、2、3、4および5の組成物はすべて温度0℃で延性であった。
【0109】
実施例6〜7、比較実施例5〜14
実施例6〜7および比較実施例5〜14では、表4の結果で表される組成物について上記の方法および手順で行った。
【0110】
これらの結果から、本発明の組成物は温度0℃以下で延性であり、比較実施例に用いた組成物はそうでないことがわかる。さらに、これらの結果から、本発明の組成物は、前記ITR(アリレートブロックと交互に出現する有機カーボネートブロックを含む少なくとも1つのブロックコポリエステルカーボネート)を含まない組成物と比較して、延性から脆性への転移温度が低いこともわかる。
【表4】

【0111】
表4の結果から、本発明の組成物は温度0℃以下で延性であり、比較実施例に用いた組成物はそうでないことがわかる。さらに、これらの結果から、本発明の組成物は、前記ITR(アリレートブロックと交互に出現する有機カーボネートブロックを含む少なくとも1つのブロックコポリエステルカーボネート)を含まない組成物と比較して、延性から脆性への転移温度が低いこともわかる。
【0112】
例えば実施例6は、ITR質量%が5.5質量%の場合のDBTは、比較実施例9と比べて10℃低下することを示している。実施例7は、ITR質量%が5.3の質量%の場合のDBTは、比較実施例10と比べて少なくとも5℃低下することを示している。4質量%以下の量の耐衝撃性改良剤を含む比較実施例5、6、7および8は0℃で脆性特性を示した。16質量%以上の耐衝撃性改良剤を含む比較実施例12、14では、比較実施例11、13と比べて、DBTを5℃低下させることができなかった。
【0113】
実施例8〜9および比較実施例15〜16では、表5に示した組成物について上記の方法および手順で行った。これらの実施例では、分子量が異なるポリカーボネートを有する組成物の性能を評価した。
【表5】

【0114】
これらの結果から、本発明の組成物は温度0℃以下で延性であり、比較実施例に用いた組成物はそうでないことがわかる。さらに、これらの結果から、本発明の組成物は、前記ITR(アリレートブロックと交互に出現する有機カーボネートブロックを含む少なくとも1つのブロックコポリエステルカーボネート)を含まない組成物と比較して、延性から脆性への転移温度が低いことも示されている。表5から、DBTを少なくとも5℃低下させるためには、3質量%超のITRが必要であることが明らかである。実施例8は、ITR質量%が5質量%の場合のDBTは、ITRを含まない比較実施例15と比べて20℃向上したことを示している。実施例9は、ITR質量%が5質量%の場合のDBTは、ITRを含まない比較実施例16と比べて15℃向上したことを示している。
【0115】
実施例10、比較実施例17
実施例10および比較実施例17では、表6に示した組成物について上記の方法および手順で行った。これらの実施例では、難燃剤を含む我々の組成物の性能について評価した。
【表6】

【0116】
これらの結果から、本発明の組成物は温度0℃以下で延性であり、比較実施例に用いた組成物はそうでないことがわかる。さらに、これらの結果から、本発明の組成物は、前記ITR(アリレートブロックと交互に出現する有機カーボネートブロックを含む少なくとも1つのブロックコポリエステルカーボネート)を含まない組成物と比較して、延性から脆性への転移温度が低いことも示されている。表6から、DBTを少なくとも5℃低下させるためには、3質量%超のITRが必要であることが明らかである。例えば実施例10は、ITR質量%が9質量%の場合のDBTは、ITRを含まない比較実施例17と比べて少なくとも15℃向上したことを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1つの1,3−ジヒドロキシベンゼン部分と少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸とから誘導された構造単位を含むアリーレートブロックと交互に出現する有機カーボネートブロックを含む少なくとも1つのブロックコポリエステルカーボネートを3〜50質量%と、
b)少なくとも1つの耐衝撃性改良剤を4〜16質量%と、
c)少なくとも1つのポリエステル、または少なくとも1つのポリエステルと少なくとも1つのポリカーボネートとの配合物を34〜93質量%と、
これらの任意の反応生成物を含む低温衝撃性能が改良された熱可塑性組成物であって、
前記熱可塑性組成物は温度0℃以下で延性であり、アリーレートブロックと交互に出現する有機カーボネートブロックを含む前記少なくとも1つのブロックコポリエステルカーボネートを含まない第2の熱可塑性組成物と比較して、延性から脆性への転移温度が低いことを特徴とする熱可塑性組成物。
【請求項2】
前記有機カーボネートブロックは、ビスフェノールAカーボネートブロック、未置換レゾルシノールカーボネートブロックおよびこれらの混合物から構成される群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記アクリレートブロックは、イソフタレート、テレフタレートあるいはこれらの混合物と共に、少なくとも1つの未置換レゾルシノールまたは置換レゾルシノールを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記コポリエステルカーボネートは、ビスフェノールAカーボネートブロックとイソフタレート−テレフタレート−レゾルシノールアリレートブロックを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つのブロックコポリエステルカーボネートの量は3〜30質量%であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つのブロックコポリエステルカーボネートの量は3〜10質量%であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記耐衝撃性改良剤は、共役ジエンのアクリルグラフト化ポリマー、共役ジエンのメタクリルグラフト化ポリマーおよびアクリレートエラストマから構成される群から選択されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
前記耐衝撃性改良剤は、ビニル芳香族化合物と共重合していることを特徴とする請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記耐衝撃性改良剤は、メチルメタクリレート、ブタジエンおよびスチレンのコア/シェル重合体、あるいはアクリロニトリル、ブタジエンおよびスチレンのコア/シェル共重合体であることを特徴とする請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1つのポリエステルは、ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)、ポリ(トリメチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリ(1,4−ブチレンナフタレート、ポリ(シクロヘキサンジメタノールテレフタレート)、ポリ(シクロヘキサンジメタノール−co−エチレンテレフタレート)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチル−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)およびこれらの混合物から構成される群から選択されることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1つのポリエステルは、ポリ(ブチレンテレフタレート)であることを特徴とする請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1つのポリエステルは、ポリ(シクロヘキサンジメタノール−co−エチレンテレフタレート)であることを特徴とする請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
前記少なくとも1つのポリエステルと少なくとも1つのポリカーボネートの配合物は、ポリ(ブチレンテレフタレート)とビスフェノールAポリカーボネートを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
前記少なくとも1つのポリエステルと少なくとも1つのポリカーボネートの配合物は、ポリ(シクロヘキサンジメタノール−co−エチレンテレフタレート)とビスフェノールAポリカーボネートを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
前記ポリカーボネートはビスフェノールAポリカーボネートであることを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物はさらに難燃性組成物を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
請求項1乃至請求項16のいずれかに記載の組成物から製造されたことを特徴とする物品。
【請求項18】
a)少なくとも1つの1,3−ジヒドロキシベンゼン部分と少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸とから誘導された構造単位を含むアリーレートブロックと交互に出現する有機カーボネートブロックを含む少なくとも1つのブロックコポリエステルカーボネートを3〜50質量%と、
b)少なくとも1つの耐衝撃性改良剤を4〜16質量%と、
c)少なくとも1つのポリエステル、または少なくとも1つのポリエステルと少なくとも1つのポリカーボネートとの配合物を34〜93質量%と、
これらの任意の反応生成物を含む低温衝撃性が改良された熱可塑性組成物であって、
その延性から脆性への転移温度が、(i)前記少なくとも1つのブロックコポリエステルカーボネートと、(ii)前記少なくとも1つのポリエステルまたは配合物と、を含み、前記少なくとも1つの耐衝撃性改良剤を含まない第2の熱可塑性組成物と比較して、少なくとも5度低下していることを特徴とする熱可塑性組成物。
【請求項19】
前記有機カーボネートブロックは、ビスフェノールAカーボネートブロック、未置換レゾルシノールカーボネートブロックおよびこれらの混合物から構成される群から選択されることを特徴とする請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記アクリレートブロックは、イソフタレート、テレフタレートあるいはこれらの混合物と共に、少なくとも1つの未置換レゾルシノールまたは置換レゾルシノールを含むことを特徴とする請求項18または請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記コポリエステルカーボネートは、ビスフェノールAカーボネートブロックとイソフタレート−テレフタレート−レゾルシノールアリレートブロックを含むことを特徴とする請求項18乃至請求項20のいずれかに記載の組成物。
【請求項22】
前記少なくとも1つのブロックコポリエステルカーボネートの量は3〜30質量%であることを特徴とする請求項18乃至請求項21のいずれかに記載の組成物。
【請求項23】
前記少なくとも1つのブロックコポリエステルカーボネートの量は3〜10質量%であることを特徴とする請求項18乃至請求項22のいずれかに記載の組成物。
【請求項24】
前記耐衝撃性改良剤は、共役ジエンのアクリルグラフト化ポリマー、共役ジエンのメタクリルグラフト化ポリマーまたはアクリレートエラストマであることを特徴とする請求項18乃至請求項23のいずれかに記載の組成物。
【請求項25】
前記耐衝撃性改良剤は、ビニル芳香族化合物と共重合していることを特徴とする請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記耐衝撃性改良剤は、メチルメタクリレート、ブタジエンおよびスチレンのコア/シェル重合体、あるいはアクリロニトリル、ブタジエンおよびスチレンのコア/シェル共重合体から選択されることを特徴とする請求項24に記載の組成物。
【請求項27】
前記少なくとも1つのポリエステルは、ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)、ポリ(トリメチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリ(1,4−ブチレンナフタレート、ポリ(シクロヘキサンジメタノールテレフタレート)、ポリ(シクロヘキサンジメタノール−co−エチレンテレフタレート)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチル−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)およびこれらの混合物から構成される群から選択されることを特徴とする請求項18乃至請求項26のいずれかに記載の組成物。
【請求項28】
前記少なくとも1つのポリエステルは、ポリ(ブチレンテレフタレート)であることを特徴とする請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記少なくとも1つのポリエステルは、ポリ(シクロヘキサンジメタノール−co−エチレンテレフタレート)であることを特徴とする請求項27に記載の組成物。
【請求項30】
前記少なくとも1つのポリエステルと少なくとも1つのポリカーボネートの配合物は、ポリ(ブチレンテレフタレート)とビスフェノールAポリカーボネートを含むことを特徴とする請求項18乃至請求項29のいずれかに記載の組成物。
【請求項31】
前記少なくとも1つのポリエステルと少なくとも1つのポリカーボネートの配合物は、ポリ(シクロヘキサンジメタノール−co−エチレンテレフタレート)とビスフェノールAポリカーボネートを含むことを特徴とする請求項18乃至請求項30のいずれかに記載の組成物。
【請求項32】
前記ポリカーボネートはビスフェノールAポリカーボネートであることを特徴とする請求項18乃至請求項31のいずれかに記載の組成物。
【請求項33】
前記組成物はさらに難燃性組成物を含むことを特徴とする請求項18乃至請求項32のいずれかに記載の組成物。
【請求項34】
請求項18乃至請求項33のいずれかに記載の組成物から製造されたことを特徴とする物品。
【請求項35】
a)少なくとも1つの1,3−ジヒドロキシベンゼン部分と少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸とから誘導された構造単位を含むアリーレートブロックと交互に出現する有機カーボネートブロックを含む少なくとも1つのブロックコポリエステルカーボネートを3〜50質量%と、
b)少なくとも1つの耐衝撃性改良剤を4〜16質量%と、
c)ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)とポリ(シクロヘキサンジメタノール−co−エチレンテレフタレート)から構成される群から選択された少なくとも1つのポリエステル、または前記少なくとも1つのポリエステルと少なくとも1つのポリカーボネートとの配合物を34〜93質量%と、
これらの任意の反応生成物を含む低温衝撃性能が改良された熱可塑性組成物であって、
前記熱可塑性組成物は温度0℃以下で延性であることを特徴とする熱可塑性組成物。

【公表番号】特表2012−514080(P2012−514080A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543626(P2011−543626)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/069125
【国際公開番号】WO2010/078138
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(508171804)サビック・イノベーティブ・プラスチックス・アイピー・ベスローテン・フェンノートシャップ (86)
【Fターム(参考)】