説明

低温衝撃強度に優れた熱可塑性樹脂組成物

【課題】従来公知の6−ナイロン/ABS系樹脂アロイよりも優れた低温衝撃強度を有する熱可塑性樹脂組成物の提供。
【解決手段】11−ナイロン樹脂(A)10〜80重量部、重量平均粒子径が0.15〜2.0μmであるゴム質重合体20〜80重量%、芳香族ビニル10〜70重量%および他の単量体10〜70重量%を重合してなるグラフト率20〜70%のグラフト共重合体(B)10〜80重量部、不飽和カルボン酸0.5〜20重量%、芳香族ビニル50〜89.5重量%および他の単量体10〜49.5重量%を重合してなる不飽和カルボン酸変性共重合体(C)1〜40重量部および芳香族ビニル30〜90重量%および他の単量体10〜70重量%を重合してなる共重合体(D)0〜50重量部〔但し(A)、(B)、(C)および(D)の合計100重量部〕からなる低温衝撃強度に優れた熱可塑性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は低温衝撃強度に優れた熱可塑性樹脂組成物に関するものである。詳しくは特定のポリアミド樹脂、特定構造のグラフト共重合体および不飽和カルボン酸変性共重合体からなる低温衝撃強度に優れた熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
6−ナイロンに代表されるポリアミド樹脂は、優れた成形性、耐熱性、耐衝撃性、耐薬品性、耐磨耗性などを有する反面、乾燥状態での衝撃強度の低下、吸湿による寸法変化や抗張力の低下といった問題を有している。また、ABS樹脂に代表されるゴム強化スチレン系樹脂も優れた耐衝撃性、成形性、光沢などを有するが、耐薬品性が劣ると言った問題がある。
ポリアミド樹脂とゴム強化スチレン系樹脂の特長を残しながら、ポリアミド樹脂の欠点である吸湿時の物性低下やゴム強化スチレン系樹脂の欠点である耐薬品性の向上を図るために、不飽和カルボン酸変性共重合体を相溶化剤として配合してなるポリマーアロイが提案されている(特許文献1:特開平1−158号公報、特許文献2:特開平10−158508号公報、特許文献3:特開2000−17170号公報)。
しかしながら、当該ポリマーアロイの低温衝撃強度は、かかる相溶化剤の配合をもってしても改善されてはいないため、0℃以下の低温領域における衝撃強度を必要とする電気・電子部品、車両部品などへの展開が困難であるのが実情である。
【特許文献1】特開平1−158号公報
【特許文献2】特開平10−158508号公報
【特許文献3】特開2000−17170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、耐衝撃性、成形性、耐熱性、光沢などポリアミド樹脂/ゴム強化スチレン系樹脂アロイの特長を有するとともに、低温衝撃強度を著しく改善した材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、ポリアミド樹脂として植物由来の11−ナイロン樹脂を、またゴム強化スチレン系樹脂として特定の構造を有するグラフト共重合体をアロイ化することにより、ポリアミド樹脂単独、ゴム強化スチレン系樹脂単独が有する低温衝撃強度よりも高い低温衝撃強度を有するアロイが得られることを見出し、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明は、11−ナイロン樹脂(A)10〜80重量部、重量平均粒子径が0.15〜2.0μmであるゴム質重合体20〜80重量%、芳香族ビニル系単量体10〜70重量%およびこれと共重合可能な他の単量体10〜70重量%を重合してなるグラフト率20〜70%のグラフト共重合体(B)10〜80重量部、不飽和カルボン酸単量体0.5〜20重量%、芳香族ビニル系単量体50〜89.5重量%およびこれと共重合可能な他の単量体10〜49.5重量%を重合してなる不飽和カルボン酸変性共重合体(C)1〜40重量部および芳香族ビニル系単量体30〜90重量%およびこれと共重合可能な他の単量体10〜70重量%を重合してなる共重合体(D)0〜50重量部〔但し(A)、(B)、(C)および(D)の合計を100重量部とする〕からなることを特徴とする低温衝撃強度に優れた熱可塑性樹脂組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、ポリアミド樹脂/ゴム強化スチレン系樹脂アロイの低温衝撃強度を著しく改善することができ、その適用範囲を拡大することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の低温衝撃強度に優れた熱可塑性樹脂組成物につき詳細に説明する。
−11−ナイロン樹脂(A)−
本発明の組成物を構成する11−ナイロン樹脂(A)とは、ひまし油から得られたリシノレイン酸エステルを熱分解してウンデレシン酸を製造、これを基にさらに工程を経て製造された11−アミノウンデカン酸を縮重合して得られるものであり、ひまし油を原料とした植物由来のポリマーである。このような11−ナイロン樹脂としては、例えばアルケマ株式会社製 Rilsan Bシリーズとして入手可能である。
【0007】
−グラフト共重合体(B)−
本発明の組成物を構成するグラフト共重合体(B)とは、ゴム質重合体20〜80重量%、芳香族ビニル系単量体10〜70重量%およびこれと共重合可能な他の単量体10〜70重量%を重合してなる重合体である。最終組成物の物性バランス面より、ゴム質重合体20〜70重量%、芳香族ビニル系単量体20〜60重量%およびこれと共重合可能な他の単量体10〜60重量%からなることが好ましい。
【0008】
ゴム質重合体の重量平均粒子径は、0.15〜2.0μmであり、かかる範囲外では最終組成物での物性バランスが劣る。好ましくは、0.20〜1.0μmである。当該粒子径を有するゴム質重合体は、乳化重合ゴム(ラテックス)、または短時間の乳化重合による小粒子径ゴムラテックスを機械的・化学的に処理して肥大化したゴム(ラテックス)でもよい。さらには、ドライゴムを裁断後、単量体または溶剤にて溶解することにより得た溶解ゴムでも可能である。
【0009】
ゴム質重合体としては、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体等のジエン系(共)重合体、さらにはこれらジエン系(共)重合体の水素添加ゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−ブテン−1−非共役ジエン共重合体、アクリルゴム等が挙げられ、1種または2種以上使用できる。これらのうち、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、アクリルゴムが好ましく、特にポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体が好ましい。
【0010】
グラフト共重合体(B)を構成する芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、メチル−α−メチルスチレン、臭素化スチレン等が挙げられ、1種または2種以上使用できるが、特に、スチレンが好ましい。
【0011】
また、共重合可能な他の単量体としては、シアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、不飽和カルボン酸系単量体、マレイミド系単量体の群から選ばれた少なくとも1種の単量体が挙げられる。
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等が挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等が挙げられるが、特にメタクリル酸メチルが好ましい。不飽和カルボン酸系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられるが、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸が好ましい。マレイミド系単量体としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられるが、特にN−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドが好ましい。
【0012】
グラフト共重合体(B)におけるグラフト率は、20〜70%である。グラフト率とは
グラフ重合で得られたグラフト共重合体をアセトンにて溶解し、可溶分と不溶分に分離の後、次式により求めたものである。
グラフト率(%)=[アセトン不溶分重量−グラフト共重合体中のゴム質重合体重量]/[グラフト共重合体中のゴム質重合体重量]×100
グラフト率は、グラフト重合時のゴム質重合体と単量体との比率、単量体の添加速度などの重合条件の変更により適宜調整することができる。グラフト率が20〜70%の範囲外では、最終組成物の物性バランスが劣る。特に好ましくは、グラフト率30〜50%である。
グラフト共重合体(B)の製造方法については特に制限はなく、塊状重合、溶液重合、塊状懸濁重合、懸濁重合、乳化重合など通常の公知の方法が用いられる。グラフト率の面より、乳化重合が好ましい。
【0013】
−不飽和カルボン酸変性共重合体(C)−
本発明の組成物を構成する不飽和カルボン酸変性共重合体(C)とは、不飽和カルボン酸単量体0.5〜20重量%、芳香族ビニル系単量体50〜89.5重量%およびこれと共重合可能な他の単量体10〜49.5重量%を重合してなる共重合体である。
共重合体(C)を構成する不飽和カルボン酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられ、1種または2種以上使用できるが、特にメタクリル酸が好ましい。
芳香族ビニル系単量体およびこれと共重合可能な他の単量体としては、グラフト共重合体(B)の項で例示したものと同様のものを使用することができる。
共重合可能な他の単量体としては、アクリロニトリル、メタクリル酸メチルなどが好ましい。
【0014】
上記共重合体(C)の製造においては公知の乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法、溶液重合法を採用することができる。
共重合体(C)の還元粘度については特に制限はないが、0.2〜1.2dl/gであることが好ましい。なお、還元粘度は、重合温度、単量体の添加方法、使用する開始剤および例えばt−ドデシルメルカプタン等の重合連鎖移動剤の種類および量により適宜調整することができる。
【0015】
−共重合体(D)−
本発明において用いることのできる共重合体(D)とは、芳香族ビニル系単量体30〜90重量%およびこれと共重合可能な他の単量体10〜70重量%重合してなる共重合体である。
共重合体(D)を構成する芳香族ビニル系単量体およびこれと共重合可能な他の単量体としては、グラフト共重合体(B)の項で例示したものと同様のものを使用することができる。
芳香族ビニル系単量体としては、スチレンが好ましい。他の共重合可能な単量としてはアクリロニトリル、メタクリル酸メチル、N−フェニルマレイミドが好ましい。
【0016】
上記共重合体(D)の製造においては、公知の乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法、溶液重合法を採用することができる。
共重合体(D)の還元粘度については何ら限定はないが、0.3〜1.2dl/gの範囲であることが好ましい。なお、還元粘度は、重合温度、単量体の添加方法、使用する開始剤および例えばt−ドデシルメルカプタン等の重合連鎖移動剤の種類および量により適宜調整することができる。
【0017】
本発明における11−ナイロン樹脂(A)、グラフト共重合体(B)、不飽和カルボン酸変性共重合体(C)および共重合体(D)の配合割合は、(A):10〜80重量部、(B):10〜80重量部、(C):1〜40重量部、(D):0〜50重量部〔但し(A)、(B)、(C)および(D)の合計を100重量部とする〕であり、この範囲外では本発明の目的とする組成物が得られない。
また、組成物の物性バランスの観点から、(A):20〜70重量部、(B):20〜70重量部、(C):3〜30重量部、(D):0〜50重量部〔但し(A)、(B)、(C)および(D)の合計を100重量部とする〕で、かつ組成物全体に占めるゴム質重合体の含有量が5〜30重量%の範囲であることが好ましい。
【0018】
11−ナイロン樹脂(A)、グラフト共重合体(B)、不飽和カルボン酸変性共重合体(C)および共重合体(D)の混合順序ならびにその状態には何ら制限はなく、パウダー、ペレットなどの形態による、(A)、(B)、(C)、および(D)成分の一括同時混合、特定の二成分を予備混合した後残る成分を混合する方法が例示される。これらの溶融混合に際してはバンバリーミキサー、ロール、押出機等を用いることができる。
なお、混合に際し、必要に応じてポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、6−ナイロン、66−ナイロン等の他のポリアミド、ポリ乳酸に代表される植物由来の熱可塑性樹脂などの他樹脂、さらには酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、染料、顔料、可塑剤、難燃剤、離型剤、ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維、金属フレーク等の公知の添加剤、補強材、充填材等を配合することができる。
【0019】
以下に本発明について詳細に説明する。尚、本発明はこれにより何ら制限を受けるものでは無い。また、部および%は何れも重量基準で示した。
【0020】
<11−ナイロン樹脂(A)>
アルケマ株式会社製 「Rilsan B BMN O」
<6−ナイロン樹脂>
ユニチカ株式会社製 「ユニチカナイロン6 A1030BRL」
【0021】
<グラフト共重合体B>(乳化重合法)
ジエン系ゴムラテックスの製造:
耐圧容器に1,3−ブタジエン100部、t−ドデシルメルカプタン0.3部、過硫酸カリウム0.25部、ロジン酸ナトリウム2.5部、水酸化ナトリウム0.1部、純水170部を仕込み、80℃に昇温したのち重合を開始した。重合は10時間で終了させた。得られたジエン系ゴムラテックスは、固形分37%、重量平均粒子径0.10μであった。
【0022】
凝集肥大化ジエン系ゴムラテックスの製造:
耐圧容器に、ジエン系ゴムラテックス270重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1部を添加して10分間攪拌混合した後、5%リン酸水溶液20部を10分間にわたり添加した。次いで10%水酸化カリウム水溶液10部を添加し、固形分34%、重量平均粒子径0.33μの凝集肥大化ジエン系ゴムラテックスを得た。
【0023】
耐圧容器に、凝集肥大化ジエン系ゴムラテックス50部(固形分)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.5部、過硫酸カリウム0.3部を仕込み、70℃に昇温した後、スチレン35部およびアクリロニトリル15部からなる単量体混合物を5時間に亘って連続添加し、グラフト率38%のグラフト共重合体ラテックスを得た。
得られたラテックス100重量部(固形分)当たり酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤(住友化学社製:スミライザーBBM)1部およびトリスノニルフェニルホスファイト2部を添加した後、硫酸を用いて塩析、脱水・乾燥し、グラフト共重合体B−1を得た。
【0024】
<グラフト共重合体(b−1)>(乳化重合法)
凝集肥大化ジエン系ゴムラテックスに替えて、肥大化する前の重量平均粒子径0.10μmのジエン系ゴムラテックスを用いて、グラフト共重合体B−1と同様の重合を行い、グラフト率44%のグラフト共重合体(b−1)を得た。
【0025】
<グラフト共重合体(b−2)>(塊状重合法)
公知の塊状重合法により、グラフト共重合体中に分散するゴム状重合体としてポリブタジエン(重量平均粒子径0.45μm)10部、スチレン63部およびアクリロニトリル27部からなるグラフト率75%のグラフト共重合体(b−2)を得た。
【0026】
<不飽和カルボン酸変性共重合体(C)>
C−1:耐圧容器に、純水120部および過硫酸カリウム0.3部を仕込んだ後、攪拌下に65℃に昇温した。その後、スチレン67部、アクリロニトリル30部、メタクリル酸3部およびt−ドデシルメルカプタン1.5部からなる混合モノマー溶液およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部を含む乳化剤水溶液30部を各々5時間に亘って連続添加し、その後重合系を70℃に昇温、3時間熟成して重合を完結した。その後、塩化カルシウムを用いて塩析、脱水・乾燥し、不飽和カルボン酸変性共重合体C−1を得た。得られた共重合体C−1の還元粘度は0.31であった。
C−2:スチレン60部、アクリロニトリル30部およびメタクリル酸10部に変更した以外はC−1と同様にして不飽和カルボン酸変性共重合体C−2を得た。得られた共重合体C−2の還元粘度は0.32であった。
【0027】
<共重合体(D)>
D−1:耐圧容器に、純水120部および過硫酸カリウム0.3部を仕込んだ後、攪拌下に65℃に昇温した。その後、スチレン70部、アクリロニトリル30部およびt−ドデシルメルカプタン0.3部からなる混合モノマー溶液およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部を含む乳化剤水溶液30部を各々5時間に亘って連続添加し、その後重合系を70℃に昇温し、3時間熟成して重合を完結した。その後、塩化カルシウムを用いて塩析、脱水・乾燥し、共重合体D−1を得た。得られた共重合体D−1の還元粘度は0.60であった。
【0028】
〔実施例および比較例〕
表1に示す組成比率に基づき、上記の11−ナイロン樹脂(A)(または6−ナイロン樹脂)、グラフト共重合体(B)、不飽和カルボン酸変性共重合体(C)および共重合体(D)を2軸押出機(設定温度250℃)で一括混練し、各種組成物を得た。
【0029】
このようにして得られた各種組成物を、射出成形機(設定温度250℃、金型温度60℃)にて各種試験片を作成し、物性を評価した結果を表1に示す。なお、それぞれの評価方法を以下に示す。
【0030】
(1)衝撃強度(低温):ISO 179に準拠し、4mm厚みで、ノッチ付きのシャルピー衝撃値を測定。測定温度:マイナス20℃、単位:KJ/m2
(2)衝撃強度(常温):ISO 179に準拠し、4mm厚みで、ノッチ付きのシャルピー衝撃値を測定。測定温度:プラス20℃、単位:KJ/m2
(3)寸法安定性:90mm×150mm×3mmtの寸法の平板作成用金型にて射出成形を実施し、得られた平板を成形後、23℃、50%RH恒温室内に24時間放置した後の長辺(150mm方向)の長さをL0とし、同平板を40℃、90%RHの条件下で200時間放置後の長さをL1とした場合、次式で表される値により評価を行った。
(L1−L0)/L0×100 (%)
【0031】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の樹脂組成物は、特定のポリアミド樹脂、すなわち植物由来の11−ナイロンと特定構造のゴム強化スチレン系樹脂を不飽和カルボン酸変性共重合体でアロイ化した組成物であり、ポリアミドおよびゴム強化スチレン系樹脂単独時の低温衝撃強度よりも遥かに高い低温衝撃強度を有する熱可塑性樹脂組成物であり、低温衝撃強度を必要とする電気・電子部品、車両部品などに広く用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
11−ナイロン樹脂(A)10〜80重量部、重量平均粒子径が0.15〜2.0μmであるゴム質重合体20〜80重量%、芳香族ビニル系単量体10〜70重量%およびこれと共重合可能な他の単量体10〜70重量%を重合してなるグラフト率20〜70%のグラフト共重合体(B)10〜80重量部、不飽和カルボン酸単量体0.5〜20重量%、芳香族ビニル系単量体50〜89.5重量%およびこれと共重合可能な他の単量体10〜49.5重量%を重合してなる不飽和カルボン酸変性共重合体(C)1〜40重量部および芳香族ビニル系単量体30〜90重量%およびこれと共重合可能な他の単量体10〜70重量%を重合してなる共重合体(D)0〜50重量部〔但し(A)、(B)、(C)および(D)の合計を100重量部とする〕からなることを特徴とする低温衝撃強度に優れた熱可塑性樹脂組成物。

【公開番号】特開2008−297334(P2008−297334A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−141691(P2007−141691)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(399034220)日本エイアンドエル株式会社 (186)
【Fターム(参考)】