低濃度排ガス燃料系エマルション生成前処理法とその付属装置
【課題】
W/O型などのエマルション燃料を、高改質する前処理法と付属装置の提供。
【解決手段】 油性剤の可燃性剤2と水などの低可燃性剤1を助剤を介して混合し、その後にエマルション燃料製造を行う本処理の分散操作する前処理に、原料段階で個々の原料に微粒子化操作を行って微細化原料の混合が行えるように、その微粒子化操作に線状孔付き微粒子化部を設ける付属装置を構成して限外ろ過し、混合前原液微粒子が30ミクロン以下の粒径分布スペクトルピーク値が得られる1ないし2以上の回数、原液を微粒化ろ過する前処理操作であって、最終生成液の品質保存性が向上し易いように前処理法を構成した。
W/O型などのエマルション燃料を、高改質する前処理法と付属装置の提供。
【解決手段】 油性剤の可燃性剤2と水などの低可燃性剤1を助剤を介して混合し、その後にエマルション燃料製造を行う本処理の分散操作する前処理に、原料段階で個々の原料に微粒子化操作を行って微細化原料の混合が行えるように、その微粒子化操作に線状孔付き微粒子化部を設ける付属装置を構成して限外ろ過し、混合前原液微粒子が30ミクロン以下の粒径分布スペクトルピーク値が得られる1ないし2以上の回数、原液を微粒化ろ過する前処理操作であって、最終生成液の品質保存性が向上し易いように前処理法を構成した。
【発明の詳細な説明】
【発明が属する技術分野】
【0001】
本発明はエマルション溶液製造技術に係り、水と重油などを化学的、物理的に混合して一液に混和し、燃焼時の排ガスCO2等を低濃度にする燃料生成技術であり、特に生成から消費迄の期間、性状安定化が続くように前処理を充実させる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化抑制の点からCO2等の排出ガス懸念が低い代替燃料、例えば廃油生成から得るリュース系燃料、陸地作物から得るバイオ系燃料、油(O)と水(W)の混合したW/O系エマルションがあり、これらの燃料開発が盛んである。エマルションにはW/O系とO/W系があり、以下、総称してW/O燃料と仮称し、排気ガスを単に排ガスと略称する。
【0003】
他に社会的評価を受ける燃料に、油(O)と水(W)を混合して得るW/O系エマルション燃料がある。この燃料は水の混合比を高めると、燃焼排出ガスのCO2等は低濃度となり、燃焼条件を良好に保つと水混合比以上の排気ガス低減率が得られることが判っているが、油単独燃焼の場合より燃焼に不安定で効率が悪い製品に成り易い。ここに、混合するとは二原液以上を混合することを指す。
W/O燃料の生成には、攪拌機を回転させ、原液を混合した液を機械剪断する物理的分散法、原液の混合液に界面活性剤を加えて界面調製する解膠(かいこう)法と称する化学的分散法に加え、近年、微細な孔を開口する中空糸膜などの、孔径(1ミクロン[μm]前後)が一定大きさのポーラス膜(0.1〜0.2mm厚)に混合液を圧入して通過させる際に液を孔入り口で剪断し、μmサイズに微細化する限外ろ過が利用され、この方法と解膠法を組み合わせた液膜乳化法が普及してきた。この孔構造は、図15(B)に示すように布を引き裂いて隙間を作る開口膜が重層に不規則状に積み重なる形をしている。(非特許文献1:図3.11、p63〜p66)。
これら生成法は一般に、混和槽の中で原液投入から機械攪拌を経て最終生成液とするか、他の方法として、例えば油を限外ろ過して孔剪断、液膜化し、その直後に他方液と混合する一段階操作に基づく物理的分散法によって、混合液を生成し、得た液細粒に界面活性剤を注入して界面調整しながら両液細粒をよく混ざり合わせて最終混和液にする。
なお従来の本処理では、乳化補助のために超音波または振動適用の乳化機、磁力線照射装置などが併用されることがある(特許文献1:p5.41行)。
【0004】
図14は、従来技術を説明する燃料系エマルション生成処理工程の概要ブロック図であって、原料の水1、油性剤2の重油などを混合する際の混合比に対応して界面活性剤4を調整し、それらを注入、混合する操作を前処理として行い、次いで分散槽併用の混合槽7内にそれらを投入し、投入液に高速攪拌翼を回転する機械攪拌を加える剪断型分散装置を操作し、これら混合槽内処理を本処理としてエマルション生成操作19を完成させる。この剪断型分散装置を用いた物理的分散法生成の液粒子は、粒径分布帯域を狭い範囲に規制できず、図12に示す相対粒子量と粒径分布の点線表示のヒストグラムのように広帯域でスペクトルピーク値が低いので、内部に大粒径粒子が有力数残留する。この燃やし難い大粒径液粒は、ヒストグラムを狭域化できれば減少し、燃焼性を改善する。ここに図12は、本発明前処理法の機能を説明する、その微粒子効果を示す模式図である。
限外ろ過器は、前記剪断型装置に代えて、剪断を液に対し繰り返さないで、液剪断をろ過で行うもので、一段階乳化という。この限外ろ過の液膜乳化法では、、高粘性の油を多孔質細孔に圧入して通過させ、これにより得た微粒子化油液を液流状態の水原液中に分散させてエマルションを生成する。
ところで浄水器や純水製造技術に用いる限外ろ過法において、原液を膜ろ過して前処理する工程がある。この膜ろ過前処理では。原液中の懸濁微細粒物質に反応する凝集剤を加え、または時間を掛けて静置、沈殿させ、次いで本処理のろ過を行うものであり、混合操作には併用されてない。以下に、本発明に係る前処理操作の背景技術について可燃性の高い油性剤を「油」とし、その実施例は重油と軽油を試料とし、可燃性の最も低い原液を軟水とし、単に「水」と記載して説明する。
【0005】
水と油のエマルション生成用界面活性剤には、弱アルカリ性を示すアニオン(陰イオン)系、乳化に使われるカチオン(陽イオン)系、他の活性剤と併用する両性系、イオンを生じないノニオン(非イオン)系がある。これらとともに、分散装置や配管を保護する防錆剤や他の目的に併用する補助剤が、エマルション生成に選定される(特許文献2)。
【0006】
近年、一段階乳化法が、前記ヒストグラムを狭域化できないので、SGP膜という多孔質ガラス膜を用い、二段階ろ過して乳化を加えるW/O燃料の二段階乳化生成法が開発された。この法は、ろ過操作の第一段階で、粘性が高い方の油を多孔質細孔に圧入して通過させ、孔を出た微粒子化油液を、液流状態の水原液中に分散し、次いで混合操作し、第二段階で行う限外ろ過でその混合液を別設のSGP膜に圧入、通過させて微粒子化する。
ここにSGP膜(0.4〜2.mm厚)の孔構造は、図15(A)に示すように異種口径(0.1〜5.μmφ)の集まりから成る円筒型トンネル構造をしている。
混合液になった後、多孔質膜孔を通る水は、膜孔入口で剪断を受けて成形される。孔剪断前に不揃いであった水粒子は、その相異状態のまま、ろ過し剪断される。膜孔通過後に混合液から圧入圧が除かれると、混合液中の水液は復元膨脹して高圧縮を受けていた一部は大粒径に変容するものと考えられる。
【0007】
しかし一段階乳化法生成のW/O燃料が貯蔵中に水が分離して、それが原因で燃焼中にトラブルが生じる難点があったと同様に、二段階乳化法のW/O燃料は水の分離は明かでなかったが、燃焼時の着火性や燃焼中の失火トラブルは起こった。そこで二段階乳化法による液膜乳化の第一段階で、水より圧縮率が低い油を、第二段階で水を加えた混合液を、順次、SGP膜孔で限外ろ過すると原液混合比で水3、軽油7割合のW/O系燃料ではエマルション平均粒径0.3〜40μmが得られたという。このことは孔径の約8倍大の微粒子エマルションを生成し、広帯域の粒径の液粒を混在することを示す(特許文献3、第5欄、第7欄)。
以上の点から、上記生成エマルション液粒が広帯域の粒径分布を示すと燃焼時のトラブルを起こし易いことが推定できる。それは外部から加えられ予熱エネルギーや燃焼中の前段階がら持ち越され液粒子に化体される保持エネルギーが、広帯域の異なる粒径粒子に伝達するとき、それぞれ熱的質量大きさが異なる個々の液粒に燃焼可能になるためには、燃焼室内に散在する外熱の保持エネルギーがその位置にある液粒の熱的質量大きさより大きく、かつ潜熱状態から顕熱状態を経て着火状態以上に状態変化できる、継続的な熱量供給が必要となる。前記失火は、広域帯の粒径分布を示すエマルションの粒径大の液粒は粒径小の液粒よりは遠方に供給され勝ちであり、一方、前記外熱は、熱供給口近くから消費されて、遠方に行く程、供給熱量は減少し、粒径大の液粒が着火状態以下の熱的環境を受け易いことにあると仮設できる。ここに着火時のみ必要なのが外熱であり、エマルション燃料には自燃が求めらるので、燃焼室内の遠近に係わらない持続的燃焼環境が必要となる。
【0008】
上記検討結果を多数回実験し、W/O燃料の燃焼環境を考察した結果を図に示す。図16は、ろ過液の粒径分布に対応する燃焼特性を説明するもので、粒径分布特性に係るエクセルギー領域の模式比較図である。ここに、縦軸に狭→広として上方に向かう相対粒子量の粒径分布帯域を、横軸に左から右方へ大きくなる粒径分布のスペクトルピーク値を示す粒径[d]を示すグラフであって、この粒径分布は、粒径[d]が相対粒子量を100とした場合に示す液粒のヒストグラムを想定している。WBは、燃焼(着火)温度TBを基準温度、Tを燃焼室温度ないし個々に液粒温度として作成したエマルション液のエクセルギーであって、これが負領域では着火せず、正領域が燃焼可能域であり、WB=0の下方、網目表示帯では難燃域、斜線帯では失火が発生する可能性ある領域を示す。さらにヒストグラム状態を説明する[P]は多峰性、[S]は単峰性、[skr]は粒径分布の右側、すなわち粒径[d]より粒径大の範囲に粒径が広がる「裾」を示すもの、[skl]は粒径分布の左側(粒径[d]より粒径小の範囲)に「裾」の、それぞれ異質性を示すもの、を表す。そしてx軸基準上の[dn]は、失火が発生する可能性のないWBライン領域の前記スペクトルピーク値を示す粒径、同じく[dn+1]は、失火発生可能性ライン下限の境界にある、[dn]と同じ基準線上に設ける、スペクトルピーク値の粒径を示す。例えば図12に示す点線表示の粒径分布は、図16の[S]縦領域と「広」横領域の交差領域にあってWBの負領域が想定され、同図図示の実線表示分布は図16の[skr]と「狭→広」の中程の交差領域にあり、液粒微細化に努めなければ、燃焼が継続しないことを図示している。
【0009】
主要な問題点は、W/O燃料の液粒の粒径分布が、ヒストグラムが狭帯域の単峰性であるか、粒径[d]ができるだけ小径側にある液粒を生成できるかということである。
ポーラス膜質孔やSGP膜孔が生成する液粒は、その孔構造から粒径分布が広帯域型であることが判る。従ってこのことを図16に照合すれば、それら生成燃料の燃焼時の失火トラブル原因を解消するには、その孔構造上、狭帯域にはできない。そこで粒径[d]を小にする必要がある、という問題点があった。
【0010】
以上のように構成するW/O燃料生成の二段階乳化法による改善策では、原液段階と混合液段階の二回の微粒子化操作を行ったが、圧縮率小の油液には充分なろ過回数であった。しかし、狭域化に寄与する圧縮率大の水には充分ではなかった、という問題点がある。このことは生成エマルション粒子の微細化状態の検証において、粒子分布の狭域化への試みは殆ど行われてなく、原液の品質とその液粒子大きさの条件作りにあった不徹底さに問題点があった。その結果、最終生成品の生成から消費までの保留期間が数日を超えると、微粒子再凝集による混合液の分解が生じ、それが燃焼時に失火を起こし易くし、品質保持することが困難であるという問題点があった。
【特許文献1】国際公開WO2004/004881号公報
【特許文献2】特開平7−233381号公報
【特許文献3】特許第2733729号公報
【非特許文献1】岡崎稔他著「超純水のはなし」日刊工業新聞社、2002年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
解決しようとする問題は、W/O燃料系エマルションの前処理段階における原液粒子の管理が徹底されていない点、限外ろ過処理操作を通じて最終生成品の粒径分布の帯域の狭域化と、粒径分布内に粒径大の液粒が混在する点を、さらに超微細の細粒化を均質、単峰性の微粒子化ヒストグラムに移行し得ない点、これらの問題を解決する限外ろ過装置が存在しない点などである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の、低濃度排ガス燃料系エマルション生成前処理法は、水と可燃性液を主体とする生成法において、原液を混合する前に、最終工程で得る混和液の液粒を粒径分布スペクトルピーク値の粒径を目標管理して、原液の粒子化液の混合前原液粒径を30μm以下、好ましくは10μm以下に粒径分布スペクトルピーク値の粒径を得るまで原液を粒子化する限外ろ過操作を行うことを最も主要な特徴とする。
【0013】
また本発明方法のために構成する付属装置は、出入口配管口座を付設する外ケースと、その内部に細孔板付き微粒子化部を設けて、液入口側流入域と液出口側流出域に分けた密閉空間に仕切り、微粒子化部は単層または複層の有孔壁体で構成し、有孔壁体には流出域側に配設する単層の壁体に、約20μm幅以下、好ましくは3μm幅以下の微細幅に開口する線状孔付き有孔板を形成し、配設する丸形または線状孔の孔周りには加工バリを残置形成して成形孔とする微粒子化装置本体を構成した上で、微粒子化装置本体を直列に複数連結して一ユニットに組成して配設可能にすると共に、微粒子化処理量に応じて微粒子化ユニットを並列に複数連結ユニット化して、処理液の分配を可能に配設する微粒子化装置セットを構成することを最も主要な特徴とする。
【0014】
そして本発明付属装置は、吸着構造を配設する付属装置であって、その微粒子化部が流入域に突出状に形成するヒダ様突起をろ過孔周りに設ける有孔板、または有孔壁体の流入域側に前置して吸着シートを付設する吸着構造を選択的に配設して、微粒子化部通過液含有沈着物質を付着可能の有孔壁体構造に構成することを主要な特徴とする。
ここで、図16に照合して、図内記号との対称を行えば、スペクトルピーク値を示す粒径[dn+1]は、本発明方法においては30μm以下、同[dn]は10μm以下の数値範囲に相当し、本発明付属装置に開口するろ過線状孔の微細幅に対応するものは、同[dn+1]は約20μm幅以下、同[dn]は3μm幅以下の数値範囲の条件付けに対応する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の、低濃度排ガス燃料系エマルション生成前処理法は、原液を個別に限外ろ過法による微粒子化を行い、その後に混合した混合液を限外ろ過微粒子化手段を用いて再微粒子化を行えるように準備するものであって、初段階の微粒子化で原液を一定の粒径範囲に揃えて粒径を選別した原液を次の微粒子化段階でより精細に限外ろ過できるようにするので、本操作におけるエマルション生成液の粒径分布帯域のさらなる狭域化とピーク値[P]を微小側に移行させ易くなる。前処理での微粒子化により、他の補助分散処理、例えば混合前の磁力線照射処理の効果が高められる。さらに混合比がW/O燃料の原液混合比がどのように変わっても、分散後の混合物粒径分布を狭域化することは、混合液内に可燃性分子を均一分散させることに役立つエマルション液が生成できるという利点がある。
【0016】
本発明方法のために構成する付属装置は、線状孔をろ過用貫通孔の主体として形成する微粒子装置本体から成り、有孔板厚さの縦断面ほぼ線幅のまま長方形の流路を形成し、平面上は、一本線や曲線、枝分かれ線、交差線を描く線形の長さを示し、線状孔を通過する液粒には、丸孔に通過する際に液粒が受ける場合とは異なる、緩和された圧密性が働くなどの内部液粒に液内圧を流路途中で緩和する作用が得られる。例えば孔内部の液粒は線幅方向には規制を受けるが、線状孔の長手方向には伸張できるので、加工された孔姿形に従って変形し、液保有の表面張力、液粒子内圧に均衡が生じる境界条件に対応する自然分断が生じ易くなる。孔内部で分断後は、液粒の事前にあった内圧均衡は除かれ、新規に緩和された圧密性の取得が生じる。入り口にあるバリの他、孔中央接液面に存在する凹凸が、通液する微粒子塊をさらに細断し、貫通孔の他方の孔出口に達する液粒は、加工バリに触れて、孔入口側で切断されたと同様の微細化が作用する。また直後、流出域に解放された液は、その膨脹する度合いは軽度化され、過大な粒径の生成を抑制する、という効果がある。
【0017】
このような微細液粒でも原液段階で懸濁状態の沈着物質を含むと、孔口はいずれ閉塞する。この閉塞現象に対処する付属装置内設の有孔壁体に設ける吸着構造は、付属装置のメンテナンス期間を延長させる効果がある。
【0018】
図13は、本発明の前処理法を適用した直後の生成エマルション像を説明するもので、その1実施例の顕微鏡写真を示すイメージ図であって、微粒子化を行う付属装置本体内で限外ろ過された液粒は、複数連結ユニット化した装置において一度の限外ろ過操作、または付属装置本体に二回通過させる微粒子化操作を行うと、図12に図示するように粒径分布が単峰性ヒストグラム傾向の狭い帯域に集成し、同時に微粒子化側へ粒径移行が得られることが明示されている。
ここに示される特性は、エクセルギー模式図に照応すると、失火の恐れのない燃焼可能域の充分下方に移行する傾向があって、本操作でも行われる限外ろ過を行う場合に、生成操作の最終段階においては生成エマルションの均一性と改質性に明かな効果が顕れることを示唆する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
水などの低可燃性液を油などの高可燃性液と混合して、最適機能を発揮する低濃度排ガス燃料系エマルションを生成するための前処理として、原液を微小形状に前処理して、その後に混合液の生成操作を行うという目的を、各原料を個別に微粒子化して混合原液をほぼ均一粒径の状態で混合できるようにし、そのための手段に、線幅一定に開口大きさを揃えた線状孔を、通液する限外ろ過式付属装置のろ過孔に用い、その結果として狭帯域でピーク値粒径[P]が粒径小の左方へできるだけ移行する原液加工を行って、本操作で行う生成エマルションの改質が可能な、W/O燃料生成のための前処理効果を計った。
【実施例】
【0020】
図1は、本発明に係る低濃度排ガス燃料系エマルション生成前処理法において、低可燃性液に対して行う基本工程を説明するもので、(A)はその基本工程の実施例を示すブロック図、(B)は電磁気的補助処理を加える実施例を示すブロック図、(C)は混合液微粒子化処理を加える実施例を示すブロック図である。
同図(A)に示す本発明前処理法の実施例1において、予め沈着物質を沈殿除去し、硬水軟化処理をした低可燃性の水1は、原液段階に微粒子化操作5を行い、限外ろ過後に粒径分布が30μm以下(以下、原液粒調整という)、好ましくは10μm以下(以下、二液粒前調整という)にスペクトルピーク値[P]が得られる粒子化液1aに加工する。次いで油性剤2の原液との混合処理3を行って混合液3aとし、液質調整や攪拌のエマルション生成用の混和操作7に移行する。この移行までの処理が本発明の前処理工程である。
なお本実施例では、ここに図示しないが、本処理の調整操作において界面活性剤の注入が行われることを前提とした場合の工程である。
【0021】
原液粒調整段階の微粒子化操作は、第一に混合操作が粒子径が大きなレベルでも燃焼効果が上がるW/O燃料が作れて、例えば硬度が充分に低い軟水と揮発性の高い油性剤を混合する場合、また油性剤リッチの混合比によってW/O燃料を作ったり、本処理工程で、高精細な限外ろ過操作の実施可能性が必須である場合、等に採用する。この場合には、使用する微粒子化装置の貫通孔大きさは比較的大径にして設けて、それに通液してもよい。
二液粒前調整の微粒子化操作は、原液粒調整段階の操作対象には入らない混合液生成条件に対応して行うもので、可燃性液が低揮発性で、原料混合比が水リッチである場合、事前に原液粒調整段階の微粒子化操作を行い、その後の微粒子化操作を行い、混合操作前に高精細な限外ろ過を行う必然性がある場合などで、微細化を最高精細に行う微粒子化装置の貫通孔大きさは1μm以下の孔径に加工してそれに通液して限外ろ過する。
【0022】
前記実施例1の変法として同図(B)に示すように、微粒子化操作5で得た水の粒子化液1aに対し、ろ過剪断した液粒子の解離を容易にする磁性体付設流路6を設け、一方、油である原液2を油の粒子化液2aに変え、それを磁化微粒子化液6aに改質し、混合処理3してもよい。磁化加工により得られたここに示さない本処理後の顕微鏡観察から、この加工を行わない場合と比べて、図12に示す比較結果が得られたので、本処理前混合液のクラスターをより小塊化できたものと推量する。
また図1(C)に示すように、さらに原液粒調整5aして得た前記混合液に対し、二液粒前調整5bを行い、本処理に移行させてもよい。なおここには図示しないが、原液粒調整5aを介在させる管路に循環返送回路を設け、該管路に一定時間通液を繰り返す微粒子化を行ってから、相手の微粒子化液の原液と混合する混合調整をして混合液3aを得るようにしても良い。これら本処理前操作によって、原液粒子の過大な粒径粒子が混合液中に混在し、不均質が生じない予防操作を行うことができた。
【0023】
図2は、本発明方法の別の工程実施例を説明するもので、(A)は界面活性剤補助処理を加える実施例を示すブロック図、(B)は混合前液全てに微粒子化処理を加える実施例を示すブロック図、(C)は助剤添加に代え混合液に微粒子化処理を加える実施例を示すブロック図、および図3は、同じく他の実施例を説明するもので、混合前液全てと混合液に適用する全ての補助処理を加える実施例を示すブロック図である。
実施例2は、実施例1の前処理に界面活性剤4の注入操作を加える場合である。図2(A)に示すものは、図1(A)に示す実施例に対応する。また図2(B)に示すものは、図2(A)に対応する。これら二つの事例に対し、可燃性液である油2に原液粒調整5aを加えて、微粒子化した原液同士(1a、2a)を混合し、その混合箇所で界面調整操作を行うものである。
ここに使用する界面活性剤は、非イオン界面活性剤または水溶性の両性界面活性剤のどちらを用いてもよい。なお図2(C)に示すものは、図1(C)に示す実施例に対応する事例であって、油2に原液粒調整5aを加え、二液粒の前調整5bを行う前処理工程を進めるものである。ここに点線矢印で示した界面活性剤4は、原液混合後のpH調整に、界面調整に用いた界面活性剤の単または複数種を添加し、かつその調整pH値保持操作を行うことを示す。
図3に図示する実施例3においては、図1、図2に示す様々な工程を、全て行うようにした前処理操作である。点線枠内に示した操作は、混合対象液の相関または相反条件によっては、取り止めても差し支えない操作である。
【0024】
本発明方法の実施例2と3において使用する、界面活性剤は、乳化効果と共にエマルション生成を行うシステム全体にとって使用管路内を防錆する効果も考慮するとよい。
個別原液に対する原液粒調整5aや二液粒前調整5bを行うことによって、本処理段階に移行させる混合液3aは、その粒径分布が狭域化傾向条件を与える事前誘導効果がある。従って本操作処理において、さらなる微粒子化操作を行う際には、その生成エマルションは、狭帯域化して均一傾向になり、ピーク値[P]が左方へ移行するような粒径分布に変わっていき、均質な溶液を得易くする効果があった。具体的には、図12によって明かな傾向を示しており、図13に示すイメージ図には、0.5〜1μm(大小比:1/0.5≒2)の粒径のものが大部分であり、0.3〜40μm(大小比:40/0.3≒13)の粒径分布を示したSGP膜質による限外ろ過効果より、狭帯域移行効果を得た。ここに当該表示イメージは、島津製作所製デジタルマイクロスコープGLB−B1500NB1の使用顕微鏡によるもので、その対象溶液は、水20(実質19.8)%、軽油80(実質79.4)%、ノニオン性界面活性剤を約0.8%添加した混合液を板厚1mm、そこに開口する線状孔大きさが線幅1μm、全長10μmの限外ろ過孔に二回通液した場合に得られた液粒の拡大写真である。そしてこのイメージ図からは、1μm以上の粒径分子は特に観察できない。この線状孔と通液微粒子化液が示す数値傾向から、「混液微細化」を目指すとき、線状孔条件を決めると液粒状態を予想できるという効果がある。
【0025】
図4は、本発明前処理法の付属装置を説明するもので、(A)はその基本構造を側断面によって示す全体図、(B)は基本構造における粒子化状態を示す部分側断面図、(C)は粒子化開口部分を示す部分平面図、図5は、同じくその細部を説明してその開孔構造を示す部分側断面図、図6は、同じくその装置の1実施例を説明するもので、複層細孔板を示す部分側断面図、図8は、同じくその有孔部極微細孔形状の実施例を説明し、(A)は線状孔形状を示す部分平面図、(B)は基本孔形状を示す部分平面図、そして図11は、同じくその装置の合成ユニット構成を説明するもので、その実施例を示す模式図である。
本発明付属装置の実施例1は、図4(A)に示すように、流入管と流出管との間に膨脹管部を形成する密閉状の外ケース12と、流入管側スペースの流入域▲1▼と、流出管に一端を開放し他端を閉じて設ける流出域▲2▼とを区画する仕切り板に孔加工を施して微粒子化部9を形成、配設して、微粒子化装置10を構成したものである。該微粒子化部は、主材が鋼板製でほぼ円筒状を形成し、前記孔加工部分を介して処理液を通液するとき、限外ろ過操作を行う。なお孔加工は、レーザーや半導体加工技術を手段に用いて開口する。
ここに、付属装置単体を工程中に用いる場合に微粒子化装置10といい、該微粒子化装置が複数、組み合わせて微粒子化装置全体を示す場合には装置セットないし装置ユニット21といい、該ユニットを構成する一つの装置単位に対しては、装置本体10と称する。
微粒子化部9は、同図(B)に示すように、丸や角状の貫通細孔を複数開口する鋼板製支持板8aにシリコンや四弗化エチレン重合樹脂(商標名テフロン)などから成る軟質膜8を貼着して添わせ、該軟質膜の微細孔15aは前記支持板の貫通細孔の外径より小径とする、線状孔にて開口する。
【0026】
同図(C)に示すように、該微細孔は幅d、長さWの原則、線状孔であり、図5に示すように、縦断面孔周りに、入口側の上側バリu1、内部凹凸u2、出口側の下側バリu3を、単層細孔板9aに残置させた極微細孔15である。ここに該単層細孔板の極微細孔は、原則全て線状孔15aに加工し、丸系孔15bの加工は例外的に付設するものである。ここに丸系孔とは、真円、楕円、変形円や変形楕円の形状をした開口を指す。
付属装置の実施例2において、微粒子化部9は、単層細孔板9aから成る以外に、図6に示すように、選択的に単層細孔板を二枚並置した複層細孔板9bを形成して、有孔壁体として構成する。該複層細孔板は、流入域▲1▼に面する前ろ過開口板20をスペーサ16を介して流出域▲2▼に面する単層細孔板9aと組み合わせて有孔壁体を構成したもので、該単層細孔板の細孔15a大きさdは前ろ過開口板細孔15b大きさDより小径になるように、孔配置を行っている。
複層細孔板9bの前ろ過開口板20には線状孔15aと丸系孔15b、いずれかの加工を選択的に行うが、単層細孔板9aからなる有孔壁体には、全て線状孔15aを加工する。これら微細孔の孔大きさは、前ろ過開口板20にあっては、線幅ないし丸径が20μm以下、単層細孔板9aの線状孔線幅は3μm以下とする。 細孔板9a、9bの加工孔15a、15bの形状は、基本的には図8(B)に示すように、(ホ)線状と(ヘ)丸系の貫通孔であり、孔の縦断面においてはほぼ矩形状断面をして、入口側から出口側へ向かって最短距離で貫通する開口である。
線状孔の形状は、平面的には図8(A)に、(イ)から(ニ)にかけて示すように、単純折れ線、交差線、曲線、山形線など、種々な形状の孔姿によって開口する。
【0027】
このような構成の線状孔付き微粒子化部9を採用したので、該微粒子化部内部に通過させる溶液は、通過液入口の孔形状の大きさに原因して切断が起こる第一の作用と、溶液が有する表面張力や粒子内部応力で決まる液粒側条件と、液粒が受ける外力とが釣り合う境界域で、力の不均衡が生じたときに起こる液粒子の自己分断や線状孔姿形に原因する切断の第二の作用が決まる。それに孔のバリ作用による切断が第三の作用となり、孔内の強制枠内から流出域▲2▼へ送り出されて定まる液粒は、第二の作用によって液内圧が分断で小さくなった分、流出域▲2▼内での膨脹の割合が少なくなり、孔内圧から開放されて球形化する第四の作用が生じ、前記した原液粒調整時ばかりでなく、二液粒前調整においても同様に作用が働く。従って図12に示したように、液の粒径が安定して均一化する効果がある。
原液の混在物の9割は、通常、粘稠性物であり、それを効果的に減少させたり、液粒塊が大きく二回剪断が好ましい場合など、複層細孔板9bを用いる。この構造を選択すれば、原液の限外ろ過は効果的に行える。なお処理量がふえる場合、装置ユニット21を介して微粒子化し、W/O燃料設定量に容易に対応させることが出来る。
上述では、微粒子化部9における種々の加工バリuについて説明したが、線状孔15aや丸系孔15bそれぞれの孔大きさがcmやmmサイズの線幅や孔径であって、その孔接液部に残した加工バリによって、穴内に軟質異物を通過させて孔剪断、細片化させ、異物を無効化できる。従って軟質異物無効化機構のコア技術としても本発明装置は有効である。
【0028】
図7は、本発明前処理法の付属装置の他の実施例を説明するもので、(A)は単層細孔板構造を示す部分側断面図、(B)は複層細孔板構造を示す部分側断面図、そして図9は、同じく装置の有孔部の他の実施例を説明するもので、(A)は開孔構造を示す部分側断面図、(B)は(A)のA−A′矢視図である。
図7に示すように、付属装置の実施例3は、微粒子化部を構成する細孔板9a、9bに、極微細孔15の孔周りにヒダないし突起14bを形成するものである。同図(A)に示す単層細孔板9aにおいては線状孔部分が、図示上方から下方に液流があるときに上側を凹にするヒダ付き開口板14を形成する。そのヒダや突起は、線幅dの孔周り全体が凹形状に形成して、渦流が生じる加工を行う。
同図(B)に示す複層細孔板9bでは、単層細孔板9aに開口する線状孔15aの大きさdより直径または線幅Dが充分大きな開口を設けた、丸系孔または線状孔15付きのヒダ付き開口板14を、前濾過開口板20の流入域▲1▼側に付設する。
図9に付属装置の実施例4を示す。これは複層細孔板の密着合板形であって、微粒子化部細孔板孔部分を平坦のまま、ヒダまたは突起14bを設けるものである。流入域▲1▼側にヒダ/突起部14aを位置させ、その内側に開口するのは丸系孔15bであって、ヒダ等はその配置を孔周りに環状に設け、ヒダが内側と外側では液粒に対し相互に遮蔽関係になるように配置される。丸系孔15b下側に前記軟質膜を貼着し、該膜に線状孔15aを前記丸系孔に重ね合わせるように開口させている。
【0027】
図10は、同じく装置の微粒子化部の別の実施例を説明する有孔部を示す部分側断面図である。同じく実施例5として、図10に示すのは、前記ヒダや突起加工に代え、単層開口板9aまたは密着合板形複層細孔板9bなどの流入域▲1▼側に、細孔板に離隔して吸着層17を設けるものである。該吸着層は、対象通過液が含有する微細な沈殿物質および懸濁物質等を捕捉する、沈着物質に親和性を持つ物質を含有する成形した吸着シート17aやビーズを吸着ネットまたは多孔質球状体として形成する、単層体または複層体から成る。吸着層17は、鋼製のネットや有孔板で形成する支持体18によって保持され、前記吸着層面に加わる通過液の圧力に耐えるように構成する。流出域▲2▼側に面する細孔板の貫通孔は線状孔15aである。
【0028】
これらを構成する吸着構造付き微粒子化部9は、ヒダ付開口板14に流れ込む原液1、2が、突起14b表面に衝突し、添って流れて孔15へ向かうので、当たった突起壁表面に含有する粘稠性沈着物質を捕捉するという作用が起こる。原液中のろ過阻害物質が閉塞する線状孔の線幅は、数十ミクロンからミクロン以下の大きさの狭小孔であり、この孔サイズによって線状孔はW/O燃料生成用の限外ろ過処理を行う。極微細孔15に付着する主な閉窄物はヌルヌルしたアルコール性粘着物であって、その中に微細な懸濁物質が取り込まれている。前記通過液が当たった場所が前記粘着物で被覆されれば、次からはその場所に含有沈着物質が付着し易くなって捕捉効果が高まる。
ヒダ付開口板14に代えまたはその開口板に付け加えて、吸着シート17aを配置すれば、予め使用原液の含有物質を検証しておくことは、微細な沈殿物質を含む有効な含有沈着物質の除去が効果的に行えて有益である。細孔板9a、9bに離隔して吸着層17を設けることは、線状孔を含む極微細孔15に流れ込む原液を、通過流れの乱れを平均化させる効果がある。
このように線状孔15a付き微粒子化部9を内部に構成した微粒子化装置本体10は、外ケース12内部に圧送された限外ろ過対象液は、貫通孔入口大きさと形状に原因して剪断される第一の作用と、孔中に進入した液粒の内部応力や保有表面張力や粘性の、対象液側条件と、外力と濡れ面係数などの孔内壁材物性条件とが決める境界域で、両者に不均衡が生じたときに液粒側に生じる自己分断や線状孔姿形に原因する切断などの第二の作用、孔のバリu1〜u3が原因する切断の第三の作用、孔内で分断が生じた場合に、液内圧が小さくなる分、孔出口から開放されて液粒が膨脹する割合が二次元容積から三次元体積の球形に変化する第四の作用が生じ、大きな粒径が混在しない環境を生む効果がある。
そして図13に前記した液粒観察から分散が均一化するという効果、また界面調整が再調整され、均質化するという傾向も得られる。
また原液に粘稠性内在物が懸濁している場合や対象液が大小二回の剪断が好ましい場合、複層細孔板9bを用いれば、線状孔15bの閉塞原因を減少させる効果がある。なお、加工バリu付き貫通孔15を線幅や丸孔径がcmやmmサイズにして、視認可能の軟質物が生物の場合、それを孔貫通させて、細断併用のろ過を行い、軟質物を無効化できる効果がある。
本発明付属装置に液通過させて限外ろ過する場合、予め前処理で原液粒調整を1回以上行って、本処理工程で行う二液粒前調整を加えれば、生成工程全体で二回以上限外ろ過することになり、微粒子化効果の向上に大いに役立つのは確実である。
【0029】
ここに、重油と軽油を用いた実施例を、液膜乳化法を用いて得た比較例と比べた。その結果を下記の表に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
表1において、本発明の付属装置は、比較例の2〜4倍の圧入加圧力となった。原液に対する前処理微粒子化を10μm前後のピーク値[P]になる液膜化処理を行った。すると、図12に示した当初点線表示分布をしていた多峰性分布が、単峰性化した。ここに比較例は、SGP膜による液膜乳化法によって得た試料によるもので、多峰性分布は単峰性化しなかった。さらに本操作処理をして得たW/O燃料の保留期間中、原液の凝集、すなわちクリーミングによって、ほぼ生成1週間以内で分散現象が生じた。一方、本操作後のW/O燃料を生成から消費まで約1ヶ月保留したが、その性状はほぼ初期状態にあり、その燃焼操作時の炎の状態は、製造直後状態と違いはなく、燃焼温度も一定であった。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の前処理技術は、原液段階に混合する対象液の粒径を揃えてから混合処理段階に移行するという利点を示したので、この利点は燃料系エマルション生成の前処理に限らず、微細粉末と乳液を混和させる化粧乳液生成や医学上の微細化工法に用いて、均質な処理液や超薄層の被膜を得るのに適用できる。その微粒子化の際に薄鋼板に線状孔加工をした限外ろ過による微粒子化手段を用いる利点を加えたので、限外ろ過対象液のpH値の如何に係わらず、微粒子化操作が行えると共に、特定対象液ばかりでなく広く適用物質範囲を拡げて選択し微粒子化が行える。従って、微粒子化して品質を向上したい流動性溶液の改質手法として、おおいに役立つ。その上、加工バリ付き線状孔は、孔中に軟質異物を通過させて微粉砕して、有害異物を無害細片にする手段としても役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る低濃度排ガス燃料系エマルション生成前処理法において、低可燃性液に対して行う基本工程を説明するもので、(A)はその基本工程の実施例を示すブロック図、(B)は電磁気的補助処理を加える実施例を示すブロック図、(C)は混合液微粒子化処理を加える実施例を示すブロック図である。
【図2】本発明前処理法の別の工程実施例を説明するもので、(A)は界面活性剤補助処理を加える実施例を示すブロック図、(B)は混合前液全てに微粒子化処理を加える実施例を示すブロック図、(C)は助剤添加に代え混合液に微粒子化処理を加える実施例を示すブロック図である。
【図3】同じく他の実施例を説明するもので、混合前液全てと混合液に適用する全ての補助処理を加える実施例を示すブロック図である。
【図4】本発明前処理法の付属装置を説明するもので、(A)はその基本構造を側断面によって示す全体図、(B)は基本構造における粒子化状態を示す部分側断面図、(C)は粒子化開口部分を示す部分平面図である。
【図5】本発明付属装置の細部を説明するもので、開孔構造を示す部分側断面図である。
【図6】本発明付属装置の1実施例を説明するもので、複層細孔板を示す部分側断面図である。
【図7】本発明付属装置の他の実施例を説明するもので、(A)は単層細孔板構造を示す部分側断面図、(B)は複層細孔板構造を示す部分側断面図である。
【図8】本発明付属装置の有孔部極微細孔形状の実施例を説明するもので、(A)は線状孔形状を示す部分平面図、(B)は基本孔形状を示す部分平面図である。
【図9】本発明付属装置有孔部の他の実施例を説明するもので、(A)は開孔構造を示す部分側断面図、(B)は(A)のA−A′矢視図である。
【図10】本発明付属装置微粒子化部の別の実施例を説明する有孔部を示す部分側断面図である。
【図11】本発明付属装置の合成ユニット構成を説明するもので、その実施例を示す模式図である。
【図12】本発明前処理法の機能を説明するもので、その微粒子効果を示す比較図である。
【図13】本発明前処理法を適用した直後の生成エマルション像を説明するもので、その1実施例の顕微鏡写真を示すイメージ図である。
【図14】従来技術を説明する燃料系エマルション生成処理工程の概要ブロック図である。
【図15】従来技術の限外ろ過孔構造を説明するもので、(A)は多孔質ガラス質膜ろ過孔を示す部分縦断面模式図、(B)はポーラス膜質ろ過孔を示す部分平面模式図である。
【図16】ろ過液の粒径分布に対応する燃焼特性を説明するもので、粒径分布特性に係るエクセルギー領域の模式比較図である。
【符号の説明】
【0034】
1 低可燃性液(水)
1a、2a,3a 粒子化液(低可燃性液の)
2 可燃性液(油、油性剤)
3 混合処理
3a 混合液(粒子化)
4 界面活性剤/助剤
5 微粒子化操作(〜処理)
5a 原液粒調整
5b 二液粒前調整
6 磁性体付設流路
7 攪拌/調整/混和処理
8 軟質膜
9 微粒子化部
9a 単層細孔板
9b 複層細孔板
10、10a、10b 微粒子化装置
14 ヒダ付開口板
15a 線状孔
17 吸着剤層
18 有孔支持体
19 生成操作(エマルションの)
20 前濾過開口板
21 装置ユニット
▲1▼ 流入域
▲2▼ 流出域
d 幅(線状孔)
u1、u3 加工バリ(加工残置部分)
【発明が属する技術分野】
【0001】
本発明はエマルション溶液製造技術に係り、水と重油などを化学的、物理的に混合して一液に混和し、燃焼時の排ガスCO2等を低濃度にする燃料生成技術であり、特に生成から消費迄の期間、性状安定化が続くように前処理を充実させる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化抑制の点からCO2等の排出ガス懸念が低い代替燃料、例えば廃油生成から得るリュース系燃料、陸地作物から得るバイオ系燃料、油(O)と水(W)の混合したW/O系エマルションがあり、これらの燃料開発が盛んである。エマルションにはW/O系とO/W系があり、以下、総称してW/O燃料と仮称し、排気ガスを単に排ガスと略称する。
【0003】
他に社会的評価を受ける燃料に、油(O)と水(W)を混合して得るW/O系エマルション燃料がある。この燃料は水の混合比を高めると、燃焼排出ガスのCO2等は低濃度となり、燃焼条件を良好に保つと水混合比以上の排気ガス低減率が得られることが判っているが、油単独燃焼の場合より燃焼に不安定で効率が悪い製品に成り易い。ここに、混合するとは二原液以上を混合することを指す。
W/O燃料の生成には、攪拌機を回転させ、原液を混合した液を機械剪断する物理的分散法、原液の混合液に界面活性剤を加えて界面調製する解膠(かいこう)法と称する化学的分散法に加え、近年、微細な孔を開口する中空糸膜などの、孔径(1ミクロン[μm]前後)が一定大きさのポーラス膜(0.1〜0.2mm厚)に混合液を圧入して通過させる際に液を孔入り口で剪断し、μmサイズに微細化する限外ろ過が利用され、この方法と解膠法を組み合わせた液膜乳化法が普及してきた。この孔構造は、図15(B)に示すように布を引き裂いて隙間を作る開口膜が重層に不規則状に積み重なる形をしている。(非特許文献1:図3.11、p63〜p66)。
これら生成法は一般に、混和槽の中で原液投入から機械攪拌を経て最終生成液とするか、他の方法として、例えば油を限外ろ過して孔剪断、液膜化し、その直後に他方液と混合する一段階操作に基づく物理的分散法によって、混合液を生成し、得た液細粒に界面活性剤を注入して界面調整しながら両液細粒をよく混ざり合わせて最終混和液にする。
なお従来の本処理では、乳化補助のために超音波または振動適用の乳化機、磁力線照射装置などが併用されることがある(特許文献1:p5.41行)。
【0004】
図14は、従来技術を説明する燃料系エマルション生成処理工程の概要ブロック図であって、原料の水1、油性剤2の重油などを混合する際の混合比に対応して界面活性剤4を調整し、それらを注入、混合する操作を前処理として行い、次いで分散槽併用の混合槽7内にそれらを投入し、投入液に高速攪拌翼を回転する機械攪拌を加える剪断型分散装置を操作し、これら混合槽内処理を本処理としてエマルション生成操作19を完成させる。この剪断型分散装置を用いた物理的分散法生成の液粒子は、粒径分布帯域を狭い範囲に規制できず、図12に示す相対粒子量と粒径分布の点線表示のヒストグラムのように広帯域でスペクトルピーク値が低いので、内部に大粒径粒子が有力数残留する。この燃やし難い大粒径液粒は、ヒストグラムを狭域化できれば減少し、燃焼性を改善する。ここに図12は、本発明前処理法の機能を説明する、その微粒子効果を示す模式図である。
限外ろ過器は、前記剪断型装置に代えて、剪断を液に対し繰り返さないで、液剪断をろ過で行うもので、一段階乳化という。この限外ろ過の液膜乳化法では、、高粘性の油を多孔質細孔に圧入して通過させ、これにより得た微粒子化油液を液流状態の水原液中に分散させてエマルションを生成する。
ところで浄水器や純水製造技術に用いる限外ろ過法において、原液を膜ろ過して前処理する工程がある。この膜ろ過前処理では。原液中の懸濁微細粒物質に反応する凝集剤を加え、または時間を掛けて静置、沈殿させ、次いで本処理のろ過を行うものであり、混合操作には併用されてない。以下に、本発明に係る前処理操作の背景技術について可燃性の高い油性剤を「油」とし、その実施例は重油と軽油を試料とし、可燃性の最も低い原液を軟水とし、単に「水」と記載して説明する。
【0005】
水と油のエマルション生成用界面活性剤には、弱アルカリ性を示すアニオン(陰イオン)系、乳化に使われるカチオン(陽イオン)系、他の活性剤と併用する両性系、イオンを生じないノニオン(非イオン)系がある。これらとともに、分散装置や配管を保護する防錆剤や他の目的に併用する補助剤が、エマルション生成に選定される(特許文献2)。
【0006】
近年、一段階乳化法が、前記ヒストグラムを狭域化できないので、SGP膜という多孔質ガラス膜を用い、二段階ろ過して乳化を加えるW/O燃料の二段階乳化生成法が開発された。この法は、ろ過操作の第一段階で、粘性が高い方の油を多孔質細孔に圧入して通過させ、孔を出た微粒子化油液を、液流状態の水原液中に分散し、次いで混合操作し、第二段階で行う限外ろ過でその混合液を別設のSGP膜に圧入、通過させて微粒子化する。
ここにSGP膜(0.4〜2.mm厚)の孔構造は、図15(A)に示すように異種口径(0.1〜5.μmφ)の集まりから成る円筒型トンネル構造をしている。
混合液になった後、多孔質膜孔を通る水は、膜孔入口で剪断を受けて成形される。孔剪断前に不揃いであった水粒子は、その相異状態のまま、ろ過し剪断される。膜孔通過後に混合液から圧入圧が除かれると、混合液中の水液は復元膨脹して高圧縮を受けていた一部は大粒径に変容するものと考えられる。
【0007】
しかし一段階乳化法生成のW/O燃料が貯蔵中に水が分離して、それが原因で燃焼中にトラブルが生じる難点があったと同様に、二段階乳化法のW/O燃料は水の分離は明かでなかったが、燃焼時の着火性や燃焼中の失火トラブルは起こった。そこで二段階乳化法による液膜乳化の第一段階で、水より圧縮率が低い油を、第二段階で水を加えた混合液を、順次、SGP膜孔で限外ろ過すると原液混合比で水3、軽油7割合のW/O系燃料ではエマルション平均粒径0.3〜40μmが得られたという。このことは孔径の約8倍大の微粒子エマルションを生成し、広帯域の粒径の液粒を混在することを示す(特許文献3、第5欄、第7欄)。
以上の点から、上記生成エマルション液粒が広帯域の粒径分布を示すと燃焼時のトラブルを起こし易いことが推定できる。それは外部から加えられ予熱エネルギーや燃焼中の前段階がら持ち越され液粒子に化体される保持エネルギーが、広帯域の異なる粒径粒子に伝達するとき、それぞれ熱的質量大きさが異なる個々の液粒に燃焼可能になるためには、燃焼室内に散在する外熱の保持エネルギーがその位置にある液粒の熱的質量大きさより大きく、かつ潜熱状態から顕熱状態を経て着火状態以上に状態変化できる、継続的な熱量供給が必要となる。前記失火は、広域帯の粒径分布を示すエマルションの粒径大の液粒は粒径小の液粒よりは遠方に供給され勝ちであり、一方、前記外熱は、熱供給口近くから消費されて、遠方に行く程、供給熱量は減少し、粒径大の液粒が着火状態以下の熱的環境を受け易いことにあると仮設できる。ここに着火時のみ必要なのが外熱であり、エマルション燃料には自燃が求めらるので、燃焼室内の遠近に係わらない持続的燃焼環境が必要となる。
【0008】
上記検討結果を多数回実験し、W/O燃料の燃焼環境を考察した結果を図に示す。図16は、ろ過液の粒径分布に対応する燃焼特性を説明するもので、粒径分布特性に係るエクセルギー領域の模式比較図である。ここに、縦軸に狭→広として上方に向かう相対粒子量の粒径分布帯域を、横軸に左から右方へ大きくなる粒径分布のスペクトルピーク値を示す粒径[d]を示すグラフであって、この粒径分布は、粒径[d]が相対粒子量を100とした場合に示す液粒のヒストグラムを想定している。WBは、燃焼(着火)温度TBを基準温度、Tを燃焼室温度ないし個々に液粒温度として作成したエマルション液のエクセルギーであって、これが負領域では着火せず、正領域が燃焼可能域であり、WB=0の下方、網目表示帯では難燃域、斜線帯では失火が発生する可能性ある領域を示す。さらにヒストグラム状態を説明する[P]は多峰性、[S]は単峰性、[skr]は粒径分布の右側、すなわち粒径[d]より粒径大の範囲に粒径が広がる「裾」を示すもの、[skl]は粒径分布の左側(粒径[d]より粒径小の範囲)に「裾」の、それぞれ異質性を示すもの、を表す。そしてx軸基準上の[dn]は、失火が発生する可能性のないWBライン領域の前記スペクトルピーク値を示す粒径、同じく[dn+1]は、失火発生可能性ライン下限の境界にある、[dn]と同じ基準線上に設ける、スペクトルピーク値の粒径を示す。例えば図12に示す点線表示の粒径分布は、図16の[S]縦領域と「広」横領域の交差領域にあってWBの負領域が想定され、同図図示の実線表示分布は図16の[skr]と「狭→広」の中程の交差領域にあり、液粒微細化に努めなければ、燃焼が継続しないことを図示している。
【0009】
主要な問題点は、W/O燃料の液粒の粒径分布が、ヒストグラムが狭帯域の単峰性であるか、粒径[d]ができるだけ小径側にある液粒を生成できるかということである。
ポーラス膜質孔やSGP膜孔が生成する液粒は、その孔構造から粒径分布が広帯域型であることが判る。従ってこのことを図16に照合すれば、それら生成燃料の燃焼時の失火トラブル原因を解消するには、その孔構造上、狭帯域にはできない。そこで粒径[d]を小にする必要がある、という問題点があった。
【0010】
以上のように構成するW/O燃料生成の二段階乳化法による改善策では、原液段階と混合液段階の二回の微粒子化操作を行ったが、圧縮率小の油液には充分なろ過回数であった。しかし、狭域化に寄与する圧縮率大の水には充分ではなかった、という問題点がある。このことは生成エマルション粒子の微細化状態の検証において、粒子分布の狭域化への試みは殆ど行われてなく、原液の品質とその液粒子大きさの条件作りにあった不徹底さに問題点があった。その結果、最終生成品の生成から消費までの保留期間が数日を超えると、微粒子再凝集による混合液の分解が生じ、それが燃焼時に失火を起こし易くし、品質保持することが困難であるという問題点があった。
【特許文献1】国際公開WO2004/004881号公報
【特許文献2】特開平7−233381号公報
【特許文献3】特許第2733729号公報
【非特許文献1】岡崎稔他著「超純水のはなし」日刊工業新聞社、2002年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
解決しようとする問題は、W/O燃料系エマルションの前処理段階における原液粒子の管理が徹底されていない点、限外ろ過処理操作を通じて最終生成品の粒径分布の帯域の狭域化と、粒径分布内に粒径大の液粒が混在する点を、さらに超微細の細粒化を均質、単峰性の微粒子化ヒストグラムに移行し得ない点、これらの問題を解決する限外ろ過装置が存在しない点などである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の、低濃度排ガス燃料系エマルション生成前処理法は、水と可燃性液を主体とする生成法において、原液を混合する前に、最終工程で得る混和液の液粒を粒径分布スペクトルピーク値の粒径を目標管理して、原液の粒子化液の混合前原液粒径を30μm以下、好ましくは10μm以下に粒径分布スペクトルピーク値の粒径を得るまで原液を粒子化する限外ろ過操作を行うことを最も主要な特徴とする。
【0013】
また本発明方法のために構成する付属装置は、出入口配管口座を付設する外ケースと、その内部に細孔板付き微粒子化部を設けて、液入口側流入域と液出口側流出域に分けた密閉空間に仕切り、微粒子化部は単層または複層の有孔壁体で構成し、有孔壁体には流出域側に配設する単層の壁体に、約20μm幅以下、好ましくは3μm幅以下の微細幅に開口する線状孔付き有孔板を形成し、配設する丸形または線状孔の孔周りには加工バリを残置形成して成形孔とする微粒子化装置本体を構成した上で、微粒子化装置本体を直列に複数連結して一ユニットに組成して配設可能にすると共に、微粒子化処理量に応じて微粒子化ユニットを並列に複数連結ユニット化して、処理液の分配を可能に配設する微粒子化装置セットを構成することを最も主要な特徴とする。
【0014】
そして本発明付属装置は、吸着構造を配設する付属装置であって、その微粒子化部が流入域に突出状に形成するヒダ様突起をろ過孔周りに設ける有孔板、または有孔壁体の流入域側に前置して吸着シートを付設する吸着構造を選択的に配設して、微粒子化部通過液含有沈着物質を付着可能の有孔壁体構造に構成することを主要な特徴とする。
ここで、図16に照合して、図内記号との対称を行えば、スペクトルピーク値を示す粒径[dn+1]は、本発明方法においては30μm以下、同[dn]は10μm以下の数値範囲に相当し、本発明付属装置に開口するろ過線状孔の微細幅に対応するものは、同[dn+1]は約20μm幅以下、同[dn]は3μm幅以下の数値範囲の条件付けに対応する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の、低濃度排ガス燃料系エマルション生成前処理法は、原液を個別に限外ろ過法による微粒子化を行い、その後に混合した混合液を限外ろ過微粒子化手段を用いて再微粒子化を行えるように準備するものであって、初段階の微粒子化で原液を一定の粒径範囲に揃えて粒径を選別した原液を次の微粒子化段階でより精細に限外ろ過できるようにするので、本操作におけるエマルション生成液の粒径分布帯域のさらなる狭域化とピーク値[P]を微小側に移行させ易くなる。前処理での微粒子化により、他の補助分散処理、例えば混合前の磁力線照射処理の効果が高められる。さらに混合比がW/O燃料の原液混合比がどのように変わっても、分散後の混合物粒径分布を狭域化することは、混合液内に可燃性分子を均一分散させることに役立つエマルション液が生成できるという利点がある。
【0016】
本発明方法のために構成する付属装置は、線状孔をろ過用貫通孔の主体として形成する微粒子装置本体から成り、有孔板厚さの縦断面ほぼ線幅のまま長方形の流路を形成し、平面上は、一本線や曲線、枝分かれ線、交差線を描く線形の長さを示し、線状孔を通過する液粒には、丸孔に通過する際に液粒が受ける場合とは異なる、緩和された圧密性が働くなどの内部液粒に液内圧を流路途中で緩和する作用が得られる。例えば孔内部の液粒は線幅方向には規制を受けるが、線状孔の長手方向には伸張できるので、加工された孔姿形に従って変形し、液保有の表面張力、液粒子内圧に均衡が生じる境界条件に対応する自然分断が生じ易くなる。孔内部で分断後は、液粒の事前にあった内圧均衡は除かれ、新規に緩和された圧密性の取得が生じる。入り口にあるバリの他、孔中央接液面に存在する凹凸が、通液する微粒子塊をさらに細断し、貫通孔の他方の孔出口に達する液粒は、加工バリに触れて、孔入口側で切断されたと同様の微細化が作用する。また直後、流出域に解放された液は、その膨脹する度合いは軽度化され、過大な粒径の生成を抑制する、という効果がある。
【0017】
このような微細液粒でも原液段階で懸濁状態の沈着物質を含むと、孔口はいずれ閉塞する。この閉塞現象に対処する付属装置内設の有孔壁体に設ける吸着構造は、付属装置のメンテナンス期間を延長させる効果がある。
【0018】
図13は、本発明の前処理法を適用した直後の生成エマルション像を説明するもので、その1実施例の顕微鏡写真を示すイメージ図であって、微粒子化を行う付属装置本体内で限外ろ過された液粒は、複数連結ユニット化した装置において一度の限外ろ過操作、または付属装置本体に二回通過させる微粒子化操作を行うと、図12に図示するように粒径分布が単峰性ヒストグラム傾向の狭い帯域に集成し、同時に微粒子化側へ粒径移行が得られることが明示されている。
ここに示される特性は、エクセルギー模式図に照応すると、失火の恐れのない燃焼可能域の充分下方に移行する傾向があって、本操作でも行われる限外ろ過を行う場合に、生成操作の最終段階においては生成エマルションの均一性と改質性に明かな効果が顕れることを示唆する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
水などの低可燃性液を油などの高可燃性液と混合して、最適機能を発揮する低濃度排ガス燃料系エマルションを生成するための前処理として、原液を微小形状に前処理して、その後に混合液の生成操作を行うという目的を、各原料を個別に微粒子化して混合原液をほぼ均一粒径の状態で混合できるようにし、そのための手段に、線幅一定に開口大きさを揃えた線状孔を、通液する限外ろ過式付属装置のろ過孔に用い、その結果として狭帯域でピーク値粒径[P]が粒径小の左方へできるだけ移行する原液加工を行って、本操作で行う生成エマルションの改質が可能な、W/O燃料生成のための前処理効果を計った。
【実施例】
【0020】
図1は、本発明に係る低濃度排ガス燃料系エマルション生成前処理法において、低可燃性液に対して行う基本工程を説明するもので、(A)はその基本工程の実施例を示すブロック図、(B)は電磁気的補助処理を加える実施例を示すブロック図、(C)は混合液微粒子化処理を加える実施例を示すブロック図である。
同図(A)に示す本発明前処理法の実施例1において、予め沈着物質を沈殿除去し、硬水軟化処理をした低可燃性の水1は、原液段階に微粒子化操作5を行い、限外ろ過後に粒径分布が30μm以下(以下、原液粒調整という)、好ましくは10μm以下(以下、二液粒前調整という)にスペクトルピーク値[P]が得られる粒子化液1aに加工する。次いで油性剤2の原液との混合処理3を行って混合液3aとし、液質調整や攪拌のエマルション生成用の混和操作7に移行する。この移行までの処理が本発明の前処理工程である。
なお本実施例では、ここに図示しないが、本処理の調整操作において界面活性剤の注入が行われることを前提とした場合の工程である。
【0021】
原液粒調整段階の微粒子化操作は、第一に混合操作が粒子径が大きなレベルでも燃焼効果が上がるW/O燃料が作れて、例えば硬度が充分に低い軟水と揮発性の高い油性剤を混合する場合、また油性剤リッチの混合比によってW/O燃料を作ったり、本処理工程で、高精細な限外ろ過操作の実施可能性が必須である場合、等に採用する。この場合には、使用する微粒子化装置の貫通孔大きさは比較的大径にして設けて、それに通液してもよい。
二液粒前調整の微粒子化操作は、原液粒調整段階の操作対象には入らない混合液生成条件に対応して行うもので、可燃性液が低揮発性で、原料混合比が水リッチである場合、事前に原液粒調整段階の微粒子化操作を行い、その後の微粒子化操作を行い、混合操作前に高精細な限外ろ過を行う必然性がある場合などで、微細化を最高精細に行う微粒子化装置の貫通孔大きさは1μm以下の孔径に加工してそれに通液して限外ろ過する。
【0022】
前記実施例1の変法として同図(B)に示すように、微粒子化操作5で得た水の粒子化液1aに対し、ろ過剪断した液粒子の解離を容易にする磁性体付設流路6を設け、一方、油である原液2を油の粒子化液2aに変え、それを磁化微粒子化液6aに改質し、混合処理3してもよい。磁化加工により得られたここに示さない本処理後の顕微鏡観察から、この加工を行わない場合と比べて、図12に示す比較結果が得られたので、本処理前混合液のクラスターをより小塊化できたものと推量する。
また図1(C)に示すように、さらに原液粒調整5aして得た前記混合液に対し、二液粒前調整5bを行い、本処理に移行させてもよい。なおここには図示しないが、原液粒調整5aを介在させる管路に循環返送回路を設け、該管路に一定時間通液を繰り返す微粒子化を行ってから、相手の微粒子化液の原液と混合する混合調整をして混合液3aを得るようにしても良い。これら本処理前操作によって、原液粒子の過大な粒径粒子が混合液中に混在し、不均質が生じない予防操作を行うことができた。
【0023】
図2は、本発明方法の別の工程実施例を説明するもので、(A)は界面活性剤補助処理を加える実施例を示すブロック図、(B)は混合前液全てに微粒子化処理を加える実施例を示すブロック図、(C)は助剤添加に代え混合液に微粒子化処理を加える実施例を示すブロック図、および図3は、同じく他の実施例を説明するもので、混合前液全てと混合液に適用する全ての補助処理を加える実施例を示すブロック図である。
実施例2は、実施例1の前処理に界面活性剤4の注入操作を加える場合である。図2(A)に示すものは、図1(A)に示す実施例に対応する。また図2(B)に示すものは、図2(A)に対応する。これら二つの事例に対し、可燃性液である油2に原液粒調整5aを加えて、微粒子化した原液同士(1a、2a)を混合し、その混合箇所で界面調整操作を行うものである。
ここに使用する界面活性剤は、非イオン界面活性剤または水溶性の両性界面活性剤のどちらを用いてもよい。なお図2(C)に示すものは、図1(C)に示す実施例に対応する事例であって、油2に原液粒調整5aを加え、二液粒の前調整5bを行う前処理工程を進めるものである。ここに点線矢印で示した界面活性剤4は、原液混合後のpH調整に、界面調整に用いた界面活性剤の単または複数種を添加し、かつその調整pH値保持操作を行うことを示す。
図3に図示する実施例3においては、図1、図2に示す様々な工程を、全て行うようにした前処理操作である。点線枠内に示した操作は、混合対象液の相関または相反条件によっては、取り止めても差し支えない操作である。
【0024】
本発明方法の実施例2と3において使用する、界面活性剤は、乳化効果と共にエマルション生成を行うシステム全体にとって使用管路内を防錆する効果も考慮するとよい。
個別原液に対する原液粒調整5aや二液粒前調整5bを行うことによって、本処理段階に移行させる混合液3aは、その粒径分布が狭域化傾向条件を与える事前誘導効果がある。従って本操作処理において、さらなる微粒子化操作を行う際には、その生成エマルションは、狭帯域化して均一傾向になり、ピーク値[P]が左方へ移行するような粒径分布に変わっていき、均質な溶液を得易くする効果があった。具体的には、図12によって明かな傾向を示しており、図13に示すイメージ図には、0.5〜1μm(大小比:1/0.5≒2)の粒径のものが大部分であり、0.3〜40μm(大小比:40/0.3≒13)の粒径分布を示したSGP膜質による限外ろ過効果より、狭帯域移行効果を得た。ここに当該表示イメージは、島津製作所製デジタルマイクロスコープGLB−B1500NB1の使用顕微鏡によるもので、その対象溶液は、水20(実質19.8)%、軽油80(実質79.4)%、ノニオン性界面活性剤を約0.8%添加した混合液を板厚1mm、そこに開口する線状孔大きさが線幅1μm、全長10μmの限外ろ過孔に二回通液した場合に得られた液粒の拡大写真である。そしてこのイメージ図からは、1μm以上の粒径分子は特に観察できない。この線状孔と通液微粒子化液が示す数値傾向から、「混液微細化」を目指すとき、線状孔条件を決めると液粒状態を予想できるという効果がある。
【0025】
図4は、本発明前処理法の付属装置を説明するもので、(A)はその基本構造を側断面によって示す全体図、(B)は基本構造における粒子化状態を示す部分側断面図、(C)は粒子化開口部分を示す部分平面図、図5は、同じくその細部を説明してその開孔構造を示す部分側断面図、図6は、同じくその装置の1実施例を説明するもので、複層細孔板を示す部分側断面図、図8は、同じくその有孔部極微細孔形状の実施例を説明し、(A)は線状孔形状を示す部分平面図、(B)は基本孔形状を示す部分平面図、そして図11は、同じくその装置の合成ユニット構成を説明するもので、その実施例を示す模式図である。
本発明付属装置の実施例1は、図4(A)に示すように、流入管と流出管との間に膨脹管部を形成する密閉状の外ケース12と、流入管側スペースの流入域▲1▼と、流出管に一端を開放し他端を閉じて設ける流出域▲2▼とを区画する仕切り板に孔加工を施して微粒子化部9を形成、配設して、微粒子化装置10を構成したものである。該微粒子化部は、主材が鋼板製でほぼ円筒状を形成し、前記孔加工部分を介して処理液を通液するとき、限外ろ過操作を行う。なお孔加工は、レーザーや半導体加工技術を手段に用いて開口する。
ここに、付属装置単体を工程中に用いる場合に微粒子化装置10といい、該微粒子化装置が複数、組み合わせて微粒子化装置全体を示す場合には装置セットないし装置ユニット21といい、該ユニットを構成する一つの装置単位に対しては、装置本体10と称する。
微粒子化部9は、同図(B)に示すように、丸や角状の貫通細孔を複数開口する鋼板製支持板8aにシリコンや四弗化エチレン重合樹脂(商標名テフロン)などから成る軟質膜8を貼着して添わせ、該軟質膜の微細孔15aは前記支持板の貫通細孔の外径より小径とする、線状孔にて開口する。
【0026】
同図(C)に示すように、該微細孔は幅d、長さWの原則、線状孔であり、図5に示すように、縦断面孔周りに、入口側の上側バリu1、内部凹凸u2、出口側の下側バリu3を、単層細孔板9aに残置させた極微細孔15である。ここに該単層細孔板の極微細孔は、原則全て線状孔15aに加工し、丸系孔15bの加工は例外的に付設するものである。ここに丸系孔とは、真円、楕円、変形円や変形楕円の形状をした開口を指す。
付属装置の実施例2において、微粒子化部9は、単層細孔板9aから成る以外に、図6に示すように、選択的に単層細孔板を二枚並置した複層細孔板9bを形成して、有孔壁体として構成する。該複層細孔板は、流入域▲1▼に面する前ろ過開口板20をスペーサ16を介して流出域▲2▼に面する単層細孔板9aと組み合わせて有孔壁体を構成したもので、該単層細孔板の細孔15a大きさdは前ろ過開口板細孔15b大きさDより小径になるように、孔配置を行っている。
複層細孔板9bの前ろ過開口板20には線状孔15aと丸系孔15b、いずれかの加工を選択的に行うが、単層細孔板9aからなる有孔壁体には、全て線状孔15aを加工する。これら微細孔の孔大きさは、前ろ過開口板20にあっては、線幅ないし丸径が20μm以下、単層細孔板9aの線状孔線幅は3μm以下とする。 細孔板9a、9bの加工孔15a、15bの形状は、基本的には図8(B)に示すように、(ホ)線状と(ヘ)丸系の貫通孔であり、孔の縦断面においてはほぼ矩形状断面をして、入口側から出口側へ向かって最短距離で貫通する開口である。
線状孔の形状は、平面的には図8(A)に、(イ)から(ニ)にかけて示すように、単純折れ線、交差線、曲線、山形線など、種々な形状の孔姿によって開口する。
【0027】
このような構成の線状孔付き微粒子化部9を採用したので、該微粒子化部内部に通過させる溶液は、通過液入口の孔形状の大きさに原因して切断が起こる第一の作用と、溶液が有する表面張力や粒子内部応力で決まる液粒側条件と、液粒が受ける外力とが釣り合う境界域で、力の不均衡が生じたときに起こる液粒子の自己分断や線状孔姿形に原因する切断の第二の作用が決まる。それに孔のバリ作用による切断が第三の作用となり、孔内の強制枠内から流出域▲2▼へ送り出されて定まる液粒は、第二の作用によって液内圧が分断で小さくなった分、流出域▲2▼内での膨脹の割合が少なくなり、孔内圧から開放されて球形化する第四の作用が生じ、前記した原液粒調整時ばかりでなく、二液粒前調整においても同様に作用が働く。従って図12に示したように、液の粒径が安定して均一化する効果がある。
原液の混在物の9割は、通常、粘稠性物であり、それを効果的に減少させたり、液粒塊が大きく二回剪断が好ましい場合など、複層細孔板9bを用いる。この構造を選択すれば、原液の限外ろ過は効果的に行える。なお処理量がふえる場合、装置ユニット21を介して微粒子化し、W/O燃料設定量に容易に対応させることが出来る。
上述では、微粒子化部9における種々の加工バリuについて説明したが、線状孔15aや丸系孔15bそれぞれの孔大きさがcmやmmサイズの線幅や孔径であって、その孔接液部に残した加工バリによって、穴内に軟質異物を通過させて孔剪断、細片化させ、異物を無効化できる。従って軟質異物無効化機構のコア技術としても本発明装置は有効である。
【0028】
図7は、本発明前処理法の付属装置の他の実施例を説明するもので、(A)は単層細孔板構造を示す部分側断面図、(B)は複層細孔板構造を示す部分側断面図、そして図9は、同じく装置の有孔部の他の実施例を説明するもので、(A)は開孔構造を示す部分側断面図、(B)は(A)のA−A′矢視図である。
図7に示すように、付属装置の実施例3は、微粒子化部を構成する細孔板9a、9bに、極微細孔15の孔周りにヒダないし突起14bを形成するものである。同図(A)に示す単層細孔板9aにおいては線状孔部分が、図示上方から下方に液流があるときに上側を凹にするヒダ付き開口板14を形成する。そのヒダや突起は、線幅dの孔周り全体が凹形状に形成して、渦流が生じる加工を行う。
同図(B)に示す複層細孔板9bでは、単層細孔板9aに開口する線状孔15aの大きさdより直径または線幅Dが充分大きな開口を設けた、丸系孔または線状孔15付きのヒダ付き開口板14を、前濾過開口板20の流入域▲1▼側に付設する。
図9に付属装置の実施例4を示す。これは複層細孔板の密着合板形であって、微粒子化部細孔板孔部分を平坦のまま、ヒダまたは突起14bを設けるものである。流入域▲1▼側にヒダ/突起部14aを位置させ、その内側に開口するのは丸系孔15bであって、ヒダ等はその配置を孔周りに環状に設け、ヒダが内側と外側では液粒に対し相互に遮蔽関係になるように配置される。丸系孔15b下側に前記軟質膜を貼着し、該膜に線状孔15aを前記丸系孔に重ね合わせるように開口させている。
【0027】
図10は、同じく装置の微粒子化部の別の実施例を説明する有孔部を示す部分側断面図である。同じく実施例5として、図10に示すのは、前記ヒダや突起加工に代え、単層開口板9aまたは密着合板形複層細孔板9bなどの流入域▲1▼側に、細孔板に離隔して吸着層17を設けるものである。該吸着層は、対象通過液が含有する微細な沈殿物質および懸濁物質等を捕捉する、沈着物質に親和性を持つ物質を含有する成形した吸着シート17aやビーズを吸着ネットまたは多孔質球状体として形成する、単層体または複層体から成る。吸着層17は、鋼製のネットや有孔板で形成する支持体18によって保持され、前記吸着層面に加わる通過液の圧力に耐えるように構成する。流出域▲2▼側に面する細孔板の貫通孔は線状孔15aである。
【0028】
これらを構成する吸着構造付き微粒子化部9は、ヒダ付開口板14に流れ込む原液1、2が、突起14b表面に衝突し、添って流れて孔15へ向かうので、当たった突起壁表面に含有する粘稠性沈着物質を捕捉するという作用が起こる。原液中のろ過阻害物質が閉塞する線状孔の線幅は、数十ミクロンからミクロン以下の大きさの狭小孔であり、この孔サイズによって線状孔はW/O燃料生成用の限外ろ過処理を行う。極微細孔15に付着する主な閉窄物はヌルヌルしたアルコール性粘着物であって、その中に微細な懸濁物質が取り込まれている。前記通過液が当たった場所が前記粘着物で被覆されれば、次からはその場所に含有沈着物質が付着し易くなって捕捉効果が高まる。
ヒダ付開口板14に代えまたはその開口板に付け加えて、吸着シート17aを配置すれば、予め使用原液の含有物質を検証しておくことは、微細な沈殿物質を含む有効な含有沈着物質の除去が効果的に行えて有益である。細孔板9a、9bに離隔して吸着層17を設けることは、線状孔を含む極微細孔15に流れ込む原液を、通過流れの乱れを平均化させる効果がある。
このように線状孔15a付き微粒子化部9を内部に構成した微粒子化装置本体10は、外ケース12内部に圧送された限外ろ過対象液は、貫通孔入口大きさと形状に原因して剪断される第一の作用と、孔中に進入した液粒の内部応力や保有表面張力や粘性の、対象液側条件と、外力と濡れ面係数などの孔内壁材物性条件とが決める境界域で、両者に不均衡が生じたときに液粒側に生じる自己分断や線状孔姿形に原因する切断などの第二の作用、孔のバリu1〜u3が原因する切断の第三の作用、孔内で分断が生じた場合に、液内圧が小さくなる分、孔出口から開放されて液粒が膨脹する割合が二次元容積から三次元体積の球形に変化する第四の作用が生じ、大きな粒径が混在しない環境を生む効果がある。
そして図13に前記した液粒観察から分散が均一化するという効果、また界面調整が再調整され、均質化するという傾向も得られる。
また原液に粘稠性内在物が懸濁している場合や対象液が大小二回の剪断が好ましい場合、複層細孔板9bを用いれば、線状孔15bの閉塞原因を減少させる効果がある。なお、加工バリu付き貫通孔15を線幅や丸孔径がcmやmmサイズにして、視認可能の軟質物が生物の場合、それを孔貫通させて、細断併用のろ過を行い、軟質物を無効化できる効果がある。
本発明付属装置に液通過させて限外ろ過する場合、予め前処理で原液粒調整を1回以上行って、本処理工程で行う二液粒前調整を加えれば、生成工程全体で二回以上限外ろ過することになり、微粒子化効果の向上に大いに役立つのは確実である。
【0029】
ここに、重油と軽油を用いた実施例を、液膜乳化法を用いて得た比較例と比べた。その結果を下記の表に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
表1において、本発明の付属装置は、比較例の2〜4倍の圧入加圧力となった。原液に対する前処理微粒子化を10μm前後のピーク値[P]になる液膜化処理を行った。すると、図12に示した当初点線表示分布をしていた多峰性分布が、単峰性化した。ここに比較例は、SGP膜による液膜乳化法によって得た試料によるもので、多峰性分布は単峰性化しなかった。さらに本操作処理をして得たW/O燃料の保留期間中、原液の凝集、すなわちクリーミングによって、ほぼ生成1週間以内で分散現象が生じた。一方、本操作後のW/O燃料を生成から消費まで約1ヶ月保留したが、その性状はほぼ初期状態にあり、その燃焼操作時の炎の状態は、製造直後状態と違いはなく、燃焼温度も一定であった。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の前処理技術は、原液段階に混合する対象液の粒径を揃えてから混合処理段階に移行するという利点を示したので、この利点は燃料系エマルション生成の前処理に限らず、微細粉末と乳液を混和させる化粧乳液生成や医学上の微細化工法に用いて、均質な処理液や超薄層の被膜を得るのに適用できる。その微粒子化の際に薄鋼板に線状孔加工をした限外ろ過による微粒子化手段を用いる利点を加えたので、限外ろ過対象液のpH値の如何に係わらず、微粒子化操作が行えると共に、特定対象液ばかりでなく広く適用物質範囲を拡げて選択し微粒子化が行える。従って、微粒子化して品質を向上したい流動性溶液の改質手法として、おおいに役立つ。その上、加工バリ付き線状孔は、孔中に軟質異物を通過させて微粉砕して、有害異物を無害細片にする手段としても役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る低濃度排ガス燃料系エマルション生成前処理法において、低可燃性液に対して行う基本工程を説明するもので、(A)はその基本工程の実施例を示すブロック図、(B)は電磁気的補助処理を加える実施例を示すブロック図、(C)は混合液微粒子化処理を加える実施例を示すブロック図である。
【図2】本発明前処理法の別の工程実施例を説明するもので、(A)は界面活性剤補助処理を加える実施例を示すブロック図、(B)は混合前液全てに微粒子化処理を加える実施例を示すブロック図、(C)は助剤添加に代え混合液に微粒子化処理を加える実施例を示すブロック図である。
【図3】同じく他の実施例を説明するもので、混合前液全てと混合液に適用する全ての補助処理を加える実施例を示すブロック図である。
【図4】本発明前処理法の付属装置を説明するもので、(A)はその基本構造を側断面によって示す全体図、(B)は基本構造における粒子化状態を示す部分側断面図、(C)は粒子化開口部分を示す部分平面図である。
【図5】本発明付属装置の細部を説明するもので、開孔構造を示す部分側断面図である。
【図6】本発明付属装置の1実施例を説明するもので、複層細孔板を示す部分側断面図である。
【図7】本発明付属装置の他の実施例を説明するもので、(A)は単層細孔板構造を示す部分側断面図、(B)は複層細孔板構造を示す部分側断面図である。
【図8】本発明付属装置の有孔部極微細孔形状の実施例を説明するもので、(A)は線状孔形状を示す部分平面図、(B)は基本孔形状を示す部分平面図である。
【図9】本発明付属装置有孔部の他の実施例を説明するもので、(A)は開孔構造を示す部分側断面図、(B)は(A)のA−A′矢視図である。
【図10】本発明付属装置微粒子化部の別の実施例を説明する有孔部を示す部分側断面図である。
【図11】本発明付属装置の合成ユニット構成を説明するもので、その実施例を示す模式図である。
【図12】本発明前処理法の機能を説明するもので、その微粒子効果を示す比較図である。
【図13】本発明前処理法を適用した直後の生成エマルション像を説明するもので、その1実施例の顕微鏡写真を示すイメージ図である。
【図14】従来技術を説明する燃料系エマルション生成処理工程の概要ブロック図である。
【図15】従来技術の限外ろ過孔構造を説明するもので、(A)は多孔質ガラス質膜ろ過孔を示す部分縦断面模式図、(B)はポーラス膜質ろ過孔を示す部分平面模式図である。
【図16】ろ過液の粒径分布に対応する燃焼特性を説明するもので、粒径分布特性に係るエクセルギー領域の模式比較図である。
【符号の説明】
【0034】
1 低可燃性液(水)
1a、2a,3a 粒子化液(低可燃性液の)
2 可燃性液(油、油性剤)
3 混合処理
3a 混合液(粒子化)
4 界面活性剤/助剤
5 微粒子化操作(〜処理)
5a 原液粒調整
5b 二液粒前調整
6 磁性体付設流路
7 攪拌/調整/混和処理
8 軟質膜
9 微粒子化部
9a 単層細孔板
9b 複層細孔板
10、10a、10b 微粒子化装置
14 ヒダ付開口板
15a 線状孔
17 吸着剤層
18 有孔支持体
19 生成操作(エマルションの)
20 前濾過開口板
21 装置ユニット
▲1▼ 流入域
▲2▼ 流出域
d 幅(線状孔)
u1、u3 加工バリ(加工残置部分)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水などの低可燃性液を可燃性液と混合する際に、原液から沈殿性物質を除去し、混合原液の軟化確認処理と、攪拌、磁気照射などの物理的処理と各種化学性剤注入操作を行って、代替燃料を製造する低濃度排ガス燃料系エマルション生成前処理法において、
前処理操作が、混合操作を行う前に少なくとも低可燃性原液(1)の限外濾過(5)処理と、個々の他の混和対象原液(1、2)に対して選択的に限外濾過(5)操作を行い、それら原液の粒子化液(1aないし2a)の原液粒径が約30ミクロン以下、好ましくは10ミクロン以下に粒径分布スペクトルピーク値を得る1ないし2以上の回数、原液を微粒子化する操作であることを特徴とする低濃度排ガス燃料系エマルション生成前処理法。
【請求項2】
請求項1記載の限外濾過を行う付属装置であって、混和対象の原液(1、2)の入口配管口座を有する密閉状の外ケース(1a)と、そのケース内空間を、原液を導入する流入域(▲1▼)と、貫通孔(15)付き有孔壁体(9a、9b)によって限外濾過した微粒子化液を導入する流出域(▲2▼)とを形成する微粒子化部(9)と、該流出域に出口配管口座とを配設して形成する微粒子化装置(10)を構成し、かつ単数細孔板または複数重層に形成する細孔板から成る有孔壁体(9a、9b)を配設する微粒子化部(9)を形成するとともに、形状が線状孔(15a)である貫通孔(15)を加工する細孔板をろ過主体とする微粒子化部(9)を構成することを特徴とする付属装置。
【請求項3】
微粒子化部(9)配設の細孔板に開口する線状孔(15a)が、その開口幅を約20ミクロン以下、好ましくは3ミクロン以下とすることを特徴とする請求項2記載の付属装置。
【請求項4】
微粒子化装置の微粒子化部(9)が、有孔壁体(9a、9b)に開口する貫通孔(15)に加工バリを付設した成形孔を有する構成である請求項2記載の付属装置。
【請求項5】
微粒子化装置の微粒子化部(9)が、流入域(▲1▼)側に突出状に形成するヒダ様突起(14a)を孔周りの加工面に有する有孔体(9)、または有孔壁体(9a、9b)の流入域(▲1▼)側に吸着シート(17a)を付設する吸着構造(14、17)を付設して、通過液含有沈着物質を付着可能の構造を加えた構成にすることを特徴とする請求項2記載の付属装置。
【請求項6】
微粒子化装置(10)が、直列に複数連結状にセット化して配設可能にするとともに、混和対象液(1、2)の処理混和量に応じてセット化した微粒子化装置本体を並列に複数連結状にユニット化し、該ユニット化した装置本体へ被処理液が均一に分配可能に構成することを特徴とする請求項2および5記載の付属装置。
【請求項1】
水などの低可燃性液を可燃性液と混合する際に、原液から沈殿性物質を除去し、混合原液の軟化確認処理と、攪拌、磁気照射などの物理的処理と各種化学性剤注入操作を行って、代替燃料を製造する低濃度排ガス燃料系エマルション生成前処理法において、
前処理操作が、混合操作を行う前に少なくとも低可燃性原液(1)の限外濾過(5)処理と、個々の他の混和対象原液(1、2)に対して選択的に限外濾過(5)操作を行い、それら原液の粒子化液(1aないし2a)の原液粒径が約30ミクロン以下、好ましくは10ミクロン以下に粒径分布スペクトルピーク値を得る1ないし2以上の回数、原液を微粒子化する操作であることを特徴とする低濃度排ガス燃料系エマルション生成前処理法。
【請求項2】
請求項1記載の限外濾過を行う付属装置であって、混和対象の原液(1、2)の入口配管口座を有する密閉状の外ケース(1a)と、そのケース内空間を、原液を導入する流入域(▲1▼)と、貫通孔(15)付き有孔壁体(9a、9b)によって限外濾過した微粒子化液を導入する流出域(▲2▼)とを形成する微粒子化部(9)と、該流出域に出口配管口座とを配設して形成する微粒子化装置(10)を構成し、かつ単数細孔板または複数重層に形成する細孔板から成る有孔壁体(9a、9b)を配設する微粒子化部(9)を形成するとともに、形状が線状孔(15a)である貫通孔(15)を加工する細孔板をろ過主体とする微粒子化部(9)を構成することを特徴とする付属装置。
【請求項3】
微粒子化部(9)配設の細孔板に開口する線状孔(15a)が、その開口幅を約20ミクロン以下、好ましくは3ミクロン以下とすることを特徴とする請求項2記載の付属装置。
【請求項4】
微粒子化装置の微粒子化部(9)が、有孔壁体(9a、9b)に開口する貫通孔(15)に加工バリを付設した成形孔を有する構成である請求項2記載の付属装置。
【請求項5】
微粒子化装置の微粒子化部(9)が、流入域(▲1▼)側に突出状に形成するヒダ様突起(14a)を孔周りの加工面に有する有孔体(9)、または有孔壁体(9a、9b)の流入域(▲1▼)側に吸着シート(17a)を付設する吸着構造(14、17)を付設して、通過液含有沈着物質を付着可能の構造を加えた構成にすることを特徴とする請求項2記載の付属装置。
【請求項6】
微粒子化装置(10)が、直列に複数連結状にセット化して配設可能にするとともに、混和対象液(1、2)の処理混和量に応じてセット化した微粒子化装置本体を並列に複数連結状にユニット化し、該ユニット化した装置本体へ被処理液が均一に分配可能に構成することを特徴とする請求項2および5記載の付属装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−46645(P2009−46645A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−241560(P2007−241560)
【出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(593208603)株式会社アコ−ドシステム (6)
【出願人】(390002967)有限会社ナツ・コープ (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(593208603)株式会社アコ−ドシステム (6)
【出願人】(390002967)有限会社ナツ・コープ (9)
【Fターム(参考)】
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